eーラーニングコンサルタント Yegin Chen氏へのインタビュー 米国視察報告 平成14年4月 (4月9日実施) 1 eーラーニングコンサルタント Yegin Chen氏へのインタビュー インタビュー実施日: 平成14年4月9日 インタビュー者:E.Yegin Chen,Ph.D インタビュー場所:Millenium Hotel (New York) インタビュー者所在地:831 Beacon Street, #309Newton Center, Massachusetts 02459 Tel:1-617-916-5201 E-Mail Address :YeginChen@yahoo.Com EYChen@alum.MIT.Edu レポート担当者:角崎 正人 2 インタビュー者プロフィール 氏名:E.Yegin Chen 略歴:・米国生まれ,スタンフォード大学出身 ・マサチューセッツ工科大学にてPh.D.取得。 (産・学の協力関係についての研究) ・教育関連企業に入り、8年間アジアですごす。 (中国語堪能) ・香港で6年間、投資顧問として活動 ・ボストンのe-learning関連企業に在籍 ・独立し、教育関連コンサルタントとなる。 3 先方の発表内容 4 1.企業におけるe-learningの状況 1998-2000:幼児期(試験的適用・急成長) 2001-2003:青年期(大規模な適用・成長の鈍化) 2.米国での企業向けe-learning市場 成長率は、年率10~25%に鈍化した。しかし、 2005年には35億ドルの市場となる見通し。 2002年度は、21億ドルと予想されている。 現在利益をあげているのは2社 スマートフォース:4,500万ドル/4半期 スキルソフト:1,200万ドル/4半期 5 3.成長促進・成長阻害要素 ・促進要素 トレーニングを超えた進展、コスト削減・ビジネスでの成果・ ROI,政府関係の市場,国際市場,新技術 ・阻害要素 経験不足,不確定な市場動向,古いシステムでの構築, いったいいくらかかるのか 4.企業の統合(企業買収の状況) 1999年:7件,1億ドル 2000年:25件,2億ドル 2001年:27件,3.5億ドル 6 5.企業買収の動機 コンプリートソリューションを提供できる企業を 目指している。 6.企業買収の状況 企業買収は主として、コンテンツベンダとプラットホーム ベンダの間で、技術的な補完を行う形で進んでいる。 7.E-learningの評価の必要性 ベンダは、大風呂敷を広げるがどうすれば本当に効果が でるのかわからない。 8.評価システム 各ベンダの成功例を集め、どうして成功したかを分析 コストなど具体的な数値を評価 7 9.E-learningの成功測定スケール ・レベル1 e-learningを適用している。 ・レベル2 e-learningが好評で利用者が満足している。 ・レベル3 e-learningの集合教育にくらべてのコスト削減効果 もしくは時間節減効果が何らかの形で認められている。 ・レベル4 e-learningの効果(コスト・時間の削減)が企業全体の 規模で認められている。 ・レベル5 企業の収益に貢献している。 8 10.評価結果の要点 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 成功例が少ない RIO評価手法が未成熟 学習者の満足度は上がっている 明確なビジネス上の効果をあげたというケースは少ない。 大企業が大きな成功を収めているわけではない。 RIOの評価方法がベンダによって異なる 9 11.ベンダとユーザの評価の差 57ケース( 13ベンダ)についてのベンダとユーザの それぞれの評価 35 ベンダ ユーザ 30 25 20 15 10 5 0 L1 L2 L3 L4 L5 NA 10 12.成功事例 レベル3以上の成功を収めたケースが16ある。 ・11ケースがテクノロジー関連の企業である。 ・2ケースは、金融不動産関連である。 ・2ケースは、公共・産業関連 ・1ケースは、ホスピタリティー ・3ケースは、拡張型の事業を行っている。 (サプライアとディストリビュータを兼ねていて、コンピュータを 使うことになれている) ・2ケースは、コールセンタ従業員向を含んでいる。 (レスポンス時間など、効果測定が容易である) 11 13.ライブ E-learning市場 ・ライブ E-learning市場は60%の成長を遂げ 2001年は、2億ドル ・Centraほかの先行企業はもちろん、トレーニングベンダの New Horizonsほかの企業も参入している。 ・キーマーケットは、大企業や学校関係で複数の拠点を持って いる顧客である。 14.ライブ E-learningの効用 ・経験豊かな講師の講義をいながらにして受けることができる ・講師の役割を常に維持できる上に、講師の負担も少なく なる。 ・トレーニングプロバイダにとっては地理的に分散した顧客を 獲得することになる。 12 15.ブレンディング市場 ・ブレンディングとは、e-learningと講師による指導および テキストベースの教材をシステマティクに組み合わせた 教育手法である。 ・今までも教育現場で『その場限りの組み合わせ』として 広く使われてきた手法であり、決して目新しいものでは ない。 ・ブレンディングの手法をパッケージ化して提供しようとする 動きがでてきた。 16.ブレンディングの効用 ・受講者が教育効果をあげるための選択肢を豊富に持つ ことができる。 ・企業に対しては、時間や費用を節減しつつ教育を実施する 手法を提供できる。 ・ブレンディングの手法をパッケージ化することにより、 互換性が増し、シングルベンダからの調達が可能となる。 13 17.要約 ・ e-learning市場は今後も成長を続ける。 ・ e-learningの効果を厳密に評価し、成功例を作ろう とする努力は続けられている。 ・ しかし、高いレベルの成功例はまだ少ない。 ・ 多くの成功例はテクノロジー関連の企業で、集合教育 とのコスト比較によって報告されている。 ・ 有望なベンダはクライアントの成功例を積み上げてゆく ・ 『ライブ e-learning』と『ブレンディング』は、 e-learning発展のキーポイントである。 14 質疑応答 Q1:ブレンディングの実施例は A1: ① 銀行では、5日の研修のうち2日をe-learningで 行い、残りの3日を集合教育で行っているような例がある。 ② コンテンツを自社開発するシスコ社では、集合教育・ e-learning・シュミレーション・資料なとどと数多くの コンポーネントを組み合わせている。 ③ グローバルノレッジ社では、部署ごとにブレンディング をおこない広げていっている。 15 質疑応答 Q2:効果の客観的評価尺度は A2:基本的には、以前と以後の比較となる。保険会社の エージェントのような例では、1人当たりのクライアントの 数であるとか、テストの合格者数といったものがある。 Q3:e-learningは一般的に効果があるといえるか A3:一概にはいえない。E-learningに向いていない人もいる。 16 質疑応答 Q4:e-learningの成功のポイントは A4:以下のように整理している。 ① ビジネスの目的とe-learningの戦略が合致している こと ② 組織内で責任者が明確であること ③ 成功についての評価尺度が確立していること ④ ビジネス環境に適合したシステムが導入されること ⑤ スモールスタートし、順次拡大すること Q5:大きな成功を収めた例は集合型か A5:yes 17 質疑応答 Q6:テクノロジ関連企業に成功例が多い理由は A6:① 分散した拠点をもってe-learning向き ② 要求される知識の変化が激しい ③ コンピュータを使うことになれている 18
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