システム工学概論 第4回 工程1.工程と工数 2004. 11.11 第4回概要 1.工程とは 2.工程の基本特性 3.工程の利用 工程 目的:作業の流れの中の個々を指定する 工程(Work process Process) :作業の流れのある区間 プログラム設計工程 デ | タ フ ロ | 設 計 工 程 フ ロ | チャ | ト 設 計 工 程 コ | デ ィ ン グ 工 程 工程の実体 入力情報 (図面) 工程 出力情報 (図面) 工程(Work process):作業の流れのある区間 実体:入力情報から出力情報への情報変換作業 ・機械化されない限り人間の作業を含む ・やる気(モラール/志気)が影響する ・人間関係(上長/関係者)が影響する ・作業準備・設備・環境(温度等)も影響する 工程の定義(規定) 入力情報 (図面) 例:PAD 工程 出力情報 (図面) 例:ソースリスト 工程に命名することは可能である 例 データフロー設計 しかし,自然言語では工程を規定できない 仮に定義すると下位の作業の記述を繰返すことになる そこで,入出力の情報を定義して, その間の変換で規定する 全ての論文/著書に脱落している重要原理 工程の階層性 プログラム 設計 入力情報 (図面) 仕 様 書 仕 様 書 仕 様 書 データ フロー 設計 データ フロー1 設計 データ を書く フロー チャート 設計 データ フロー 図 データ フロー 図1 データ フロー 図1 出力情報 (図面) フロー チャート コー ディ ング データ データ データ データ フロー2 フロー フロー3 フロー 設計 図2 設計 図3 矢線 を 書く データ フロー 図1 機能 を 書く データ フロー 図1 ソース コード リスト 工程は階層的に 展開できる 展開を繰返すと 明確になり 具体的になり 詳細になり, 最後は 単位的知的処理に 帰着する 階層的な組織と組合せる 組織は 階層的に構成 システム部長 プログラム 設計 入力情報 (図面) 部下は5名以下 出力情報 (図面) 設計課長 SE課長 仕 様 書 仕 様 書 仕 様 書 データ フロー 設計 データ フロー1 設計 フロー チャート 設計 データ フロー 図 データ フロー 図1 データ データ フロー を書く 図1 フロー チャート コー ディ ング データ データ データ データ フロー2 フロー フロー3 フロー 設計 図2 設計 図3 矢線 を 書く データ フロー 図1 機能 を 書く データ フロー 図1 上位ほど 大きな権限 重い責任 ソース コード リスト データフロー 設計 FC 設計 銀行兼信金係主任 大きく複雑/困難な 問題の解決能力 コーディ ング 生保係主任 上長は部下に 仕事を展開する 人を動かす力 東京 三菱 担当 みず ほ担 当 静岡 信金 担当 山梨 信金 担当 下位になるほど 明確/具体的/詳細 な業務を担当する 人と協調する力 工程の階層的な統制 基準(例:データフロー図記法)に従った入力から 基準(例:フローチャート記法)に従った出力を作る ー両端面で統制するー 統制する階層を下げるほど 工程はより厳しく統制され 工程のバラツキは減少する バラツキを減らすには, 対象工程を階層的に繰返し定義する 工程図 工程 入力情報 (図面) プログラム 設計 ○△信金業務システム 組織 出力情報 (図面) 仕様確定 ○月△日 システム部長 ○月 △日 仕 様 書 データ フロー 設計 データ フロー 図 フロー フロー チャート チャート 設計 コー ディ ング ソース コード リスト FC 設計 データ データ データ データ データ データ フロー1 フロー フロー2 フロー フロー3 フロー 設計 図1 設計 図2 設計 図3 銀行兼信金係主任 仕 データ データ 様 を書く フロー 図1 書 機能 データ 矢線 データ を フロー フロー を 書く 図1 書く 図1 DF設計 A月 B日 FC設計 S月 T日 Coding □月 ×日 SE課長 設計課長 データフロー 設計 仕 様 書 納期 □月×日 担当SE Ya 東京 三菱 担当 み ず ほ 担 当 担当SE Ya コーディ ング Fca FCb 生保係主任 静岡 山梨 信金 信金 担当 担当 Ya 方針 打合 組織では, 同一の最終目的に向け, 皆が協力する Cdk S月 Z日 Cdp Cdq ユーザ 調査 Prog仕様書作成 1 外部仕様書作成 System仕様書作成 2 3 1 2 顧客 システム部 打合 構成仕様書作成 工程図 顧客説明/承認 作業の順序を示す 縦に書いても良い 階 層 的 に 展 開 日程計画の厳守 製作会社 開発組織 発注組織 仕様書 ○△信金業務システム 仕様確定 ○月△日 納期 □月×日 担当SE Ya システム部長 ○月 △日 DF設計 A月 B日 FC設計 S月 T日 Coding □月 ×日 SE課長 設計課長 製品 担当SE Ya データフロー 設計 FC 設計 Fca コーディ ング FCb 納 期 銀行兼信金係主任 □月×日 日本社会 東京 三菱 担当 静岡 山梨 信金 信金 担当 担当 Ya 発着時間厳守 世界一 Cdp Cdq 生保係主任 時間に厳しい 例:交通機関 納期厳守 み ず ほ 担 当 Cdk S月 Z日 方針 打合 ユーザ 調査 Prog仕様書作成 1 外部仕様書作成 System仕様書作成 2 3 1 2 顧客 システム部 打合 構成仕様書作成 顧客説明/承認 Q 納期を厳守するにはどうすれば良いか? 参考用 工程の調整/山崩し ユーザ 調査 外部仕様書作成 1 2 3 1 構成仕様書作成 2 顧客システム部 打合 方針 打合 Prog仕様書作成 System仕様書作成 顧客説明/承認 30日 0 員 数 35日 1 0 課長/主任 同行 ○×sys 前回担当者 応援 説明本人 その他は 営業代行 ○×sys Prog流用 参考用 工程の調整/山崩し ユーザ 調査 外部仕様書作成 1 2 3 1 構成仕様書作成 2 顧客システム部 打合 方針 打合 Prog仕様書作成 System仕様書作成 顧客説明/承認 30日 0 員 数 35日 1 0 課長/主任 同行 ○×sys 前回担当者 応援 説明本人 その他は 営業代行 ○×sys Prog流用 工程が消費するもの 入力情報 (図面) 工程 出力情報 (図面) 工程は 経営資源を 消費する 経営資源:人/金/もの 人 金 物 15人日(時/月/年) 1人・15日 3人・ 5日 15人・ 1日 ある作業には 対応する工数を 必要とする 日数・人数=工数 人数を増せば 早くできる 期間が長いなら 人を減らせる 工程の消費する工数 仕 様 工数∝規模1 設計情報 単位的 知的処理 設 計 図 面 開 発 工 数 人 月 . . . . . . . . ソ ー ス コ ー ド 設計情報を展開するには 単位的知的処理に時間が掛かる ソフトウエア規模 (行) 大きなバラツキ ×N〜1/N N=4 工程の生産性 仕様 ソフトウエア 開発 ソフト規模 ソースコード 工数 1 開発工数∝(ソフトウエア規模) 開発工数は規模に比例する 開 発 工 数 人 月 生産性 ∝ ソフトウエア規模 開発工数 または,この逆数 生産性は一定性を示す ソフトウエア規模 (行) 大きなバラツキ ×N〜1/N 生産性の意味 仕様 ソフトウエア 開発 ソフト規模 ソースコード 工数 生産性 ∝ ソフトウエア規模 開発工数 生産性は一定性を示す ・私企業は利益の向上を図る 売上金額−開発〜製造原価 開発 原価の大半は人件費 パッケージメーカーの場合 開発/N+製造コスト(コピー代) N:販売数 ・生産性は効率の指標 ・必要工数の見積に使える =開発規模/生産性 バラツキを考慮して マージン(余裕)を取る 生産性の差異 25人月/K行 △:強い拘束条件 のソフト開発 ○:熟知する対象についての 自家用ソフト開発など ×:両者の中間 開 発 工 数 バラツキは作業の仕方の相違による 工程の違い 人 月 生産性を悪化させる要因 仕様が複雑,込み入った構成, 能率悪い作業方法,環境/設備が悪い 顧客や市場に未知,技術が低い 作業能力が低い,やる気が無い, ムラ/ムリ/ムダ多い 7人月/K行 1.6人月/K行 ソフトウエア規模 (行) 大きなバラツキ ×N〜1/N 技術能力と生産性 システム 設計 プログラム 展開設計 プログラム 設計 低級者 正しい決定がすぐに できない 作業 当たり 時間 標準者 上級者 単体 テスト 統合 テスト システム テスト 何処が悪いのか 直ちには判らない 工程・設備と生産性 1960〜70年代 プロ グラム 設計 リスト (コーディング シート) カード パンチ 鑽孔済 カード ベリ ファイ 確認済 カード コン パイ ル 作業時間は,昔と今とどのように違うか? 何がどのように変わったか? 現代 プログラム 設計 CASEツール 文書 ファイル ソース ファイル 30~40年後には,どうなるであろうか? コン パイ ル 作業時間の分布例1 Coding 所要時間 頻度 頻度 PAD 0 —9 分 コード化 コーディング 1 0 —1 9 2 0 —2 9 ○ 3 0 —3 9 4 0 —4 9 5 0 —5 9 ○ 6 0 —6 9 ○○ 7 0 —7 9 ○ 8 0 -8 9 9 0 —9 9 ○ 1 0 0 -1 0 9 1 1 0 —1 1 9 1 2 0 -1 2 9 ○ 1 3 0 -1 3 9 1 4 0 —1 4 9 1 5 0 -1 5 9 1 6 0 -1 6 9 1 7 0 -1 7 9 1 8 0 —1 8 9 1 9 0 -1 9 9 2 0 0 -2 0 9 2 1 0 -2 1 9 ○ 2 2 0 -2 2 9 2 3 0 以上 1 0 時間 作 業 時 間 非熟練状態では Rayleigh分布になる ソースコード リスト 作業時間の分布例2 所要時間 データ PAD データ フ ロ ー図 Mai n, 表示 仕様書 表示除く 合計 除く 合計 5 —9 1 0 —1 4 ○ データフロー 図設計 1 5 —1 9 2 0 —2 4 2 5 —2 9 データ 仕様書設計 ○ ○ ○ 3 0 —3 4 3 5 —3 9 PAD設計 ○ ○○○ ○ ○ 4 0 —4 4 ○ 4 5 —4 9 ○ ○ 標準 5 0 —5 4 5 5 —5 9 ○ ○ 6 0 —6 4 ○○ ○○ 6 5 —6 9 ○ ○ 優等 劣等 7 0 —7 4 7 5 —7 9 ○ 8 0 —8 4 ○○ 8 5 —8 9 9 0 分以上 4 時間 1 0 時間 慣れて熟練すると 正規分布になる 標準作業時間 教育されある程度 訓練された状態 未熟練状態 平均 標準 優等 最小 1 劣等 最大 10 標準的な仕事を,標準的な環境で,通常の努力で, 平均的な能力者が作業する時間を標準作業時間とする. これを基準にして,作業期間/人数などを計画する 例 1時間/枚 なら,10枚の仕事は1人なら10時間 5人なら2時間 能力の格付け ある人が,標準的な仕事をする 作業時間をTx,標準作業時間をTs, Tx/Tsは正規分布を示す. 標準 劣等 優等 能率の比で作業能力を格付けする. 賃金/ボーナスは,格付けに比例 低能率者は,最初から雇わない. 環境 採用 教育 間) 格差 雇用 かっての日本企業 家族的雰囲気 一応なら雇う 企業内教育 全時間の数~15% 実力社会 競争社会 良い人のみ 自己啓発(自分の金・時 あまり付けない 永年雇用 何とか使う工夫する 厳しく査定 役立つ限り 低能率者は, 日常的にレイオフ ソフト ハウス社長が儲かる為には? 市場 お客様 人材 S/H設備 所で,君が有利は会社/職にありつくにはどうするのか? 日程を厳守するには ○△信金業務システム 仕様確定 ○月△日 ○月 △日 納期 □月×日 担当SE Ya A月 B日 DF設計 S月 T日 FC設計 担当SE Ya Fca Cdk Coding □月 ×日 計画 S月 Z日 FCb Cdp Cdq 実行 ユーザ 調査 方針 打合 1 2 3 1 2 顧客 システム部 打合 仕様 Prog仕様書作成 外部仕様書作成 System仕様書作成 構成仕様書作成 顧客説明/承認 現在ある組織をベース フイード バック 日程を守れる人になるには 纏め 1.工程は,作業の流れのある区間である 2.工程は,入力から出力への変換である 工程は,両端の文書で規定する 3.工程は,階層性を持つ 4.階層的に下位に展開するほど,厳しく規定される 5.階層的な工程と階層的な組織を組合せて運用する 6.工程は,経営資源を消費する. ある作業には,それに見合う工数が消費される 工数=人数・日数 7.生産性=生産量/工数 8.生産性に各種の要因が影響する
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