情報デザイン言論 第7章前半 博物館その他の公共的空間の情報デザイン 2005年11月9日 2105024 鳴海 輝 概要 博物館、美術館、動物園、科学センター、 植物園、ショッピングモールなどの公共的 環境の展示物は、必ずしも展示者が意図 した内容を利用者が得るとは限らない。 意図した通りの内容を利用者に与えるた めには、様々な情報デザイン的な工夫が 必要になってくる。 博物館的施設の工夫 古来からの博物館的施設 利用者がある程度の知識持っていたり、素質 がないと理解しづらい。 利用者が博物館的施設に併せる必要がある。 工夫されてきた博物館的施設 利用者に特別な知識や素質がなくても受け入 れやすい。 博物館的施設を利用者に併せるつくる。 情報デザインは大衆によって決まる 初期調査などによって、博物館的施設の どの部分に問題があるかなどを予め受け 手側に提示してもらい、それに併せて展示 していく。 初期調査・・・ビジターの注意・行動・コミュ ニケーションを妨げる要素を見つけ、調整 するテストの事。後期に行う調査と違い、 問題の要素の修正をしやすい。 博物館的施設におけるコミュニケー ション 博物館的施設はTVなどのような一方通行 にだけ情報を提示するものではなく、また 単純なフィードバックモデルでも説明のつく ものではない。 人間は外界からリアルタイムで得ている情 報により、認知地図の作り替えを逐次行っ ている為である。 博物館的施設におけるコミュニケー ション 博物館的施設の構成要素の関係図は次 のようなものである。 その他の行動 情報野 目的、 メッセージ、 優先順序 展示媒体 ビジター 展示物、説明文・図版 体裁、フィードバック 構成、伝達媒体 注意と努力 の動機付け 知覚された メッセージ 行動 成果 学習環境としての博物館的施設 人間は注意を向けなければ、ほとんど学 習出来ない為、注意を引く事が重要になっ てくる。 注意を引く要素とは何か? なじみがあるかどうか 展示内容によって生じる疑問に答えているか 現状の環境が適しているか 利用者の注意 展示物に近づく頻度 引きつける力=魅力 展示物の前で費やされる時間 保有時間=引きつけておく時間 メッセージ理解に必要な時間と、実際に費 やされた時間の比 保有力=引きつけておく力 学習における注意の役割 認知地図は経験と次のような能力で形成 される。 入ってくる情報の流れの中からパターンを探 知し、 そのパターンを解釈し、 その解釈に則って行動する これら3つのステップはすべて「注意」が重 要な役割を果たす。 情報野 知覚フィルタ 情報野 説明文、表題 横断幕 展示物 騒音 同伴者 出口 視聴覚資料 伝えたい メッセージ の要素 その他の メッセージ モデル・実演 コンピュータ 人込み 知覚されたメッセージ 態度、行動、概念 知覚フィルタ 利用者が展示物から情報を知覚する際に、 入ってくる情報を歪めてしまう可能性のあ るフィルタ。 デザイナーはこれを出来るだけ小さくする ことが課題になる。 展示の効率 展示情報を理解するのに要する時間は、 利用者の個人的状況や気持ちや展示内 容に左右されるが、展示のレイアウトや内 容の構成、体裁、説明ラベル、照明、用語、 媒体などの影響もある。 例えば 文字の大きさやデザイン、コントラスト、照 明、配置。 なじみのある用語 パラグラフの長さ、パラグラフ同士のス ペース。 情報を詰め込みすぎてないか 等々 意識的注意と無意識的注意 集中した積極的な注意を「意識的注意」と 言い、気まぐれで散漫な注意を「無意識的 注意」と言う。 意識的注意は展示の重要なポイントに注 目し、無意識的注意は目的や方向性を持 たず、大雑把に見回すような動作である。 学習 学習は単純に観測出来るものではないた め、測定には工夫が必要。 単純に学習の前後の能力を比べても、疲 労などの影響で単純にはわからない。 思考様式 人によって情報を受け取ったり、まとめたり、 活用する方法は違う。その様式のことを 「思考様式」と言う。 立法的、行政的、司法的、専制的、階級制 的、寡頭制的、無政府的などの様式があ る。 それぞれの様式に優劣はなく、それぞれに 利点と弱点がある。 動機づけ 展示物に目を引かせるためにゲーム的要 素などを組み込ませることで、利用者の動 機づけを行うことが多かった。 しかし、気を引くだけで実際の内容の理解 はほとんど出来ない事が多い。 その点も考慮して動機づけを行う要素を取 り入れなければならない。 強化因子と罰因子 強化因子と罰因子とは「それ以前の行動 の頻度を増幅あるいは低下させる経験や 出来事」として定義される。 強化因子は他の因子を排除することで強 化を行うことがある。 積極的強化因子 内的因子と外的因子に分けることが出来 る。 内的強化因子は意識的注意によってもた らされるため学習も成り立つ。 外的強化因子は、学習者本人から生じる ものではなく、成果などのシンボルとして与 えられる。 デザイナーは両方を考慮する必要がある。 注意形成における随伴事象の役割 随伴事象とは、ある行動とその直後の結 果である強化因子との相互依存関係を指 す言葉である。 行動の結果としての随伴事象は、自然に 行われる学習では重要な役割を果たす。
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