発表資料

駒澤大学菅野ゼミ
杉本 菅沼 西山 前川 藤浪
本論構成
1.はじめに
2.現状分析
3.問題意識・研究課題
4.先行研究
5.調査課題
6.調査結果
7.提案
8.まとめ
はじめに
従来の子持ちの主婦といえば、
ちびまるこちゃんの
「お母さん」のようなイメージであった。
しかし、近年の主婦は、おしゃれにも余念がない
「お母さん」らしくない
子持ち主婦が増えている?!
Googleでの検索
「おしゃれ ママ」でヒットするページは
約 1,870,000 件(2010年10月6日現在)
おしゃれママ増加の事例(ママ×耐久財の変化)
従来のベビーカー=赤ちゃんを寝かせたり腰掛けさ
せたりして乗せる乳母車
STYLE
 ADVANCED fUNCTION
 SAFETY
現在のベビーカー=従来の目的+ママのおしゃれ
増えるおしゃれママの要因
• メディアの影響
– もてはやされる海外セレブママや日本の芸能人ママ
• 働くママの増加
– 自分が買いたいものを買うために働く
• 女性の意識の変化
– ママになっても美しくいたい、おしゃれしたい
– 母・妻・女性として輝いていたい
現状分析
変化する女性のライフコース
と主婦の意識
主婦とは
・・・家事の切り盛りをする女性
継続就業主婦
復職主婦
専業主婦
学習院大学経済経営研究所 2006
第1回パネル調査「ライフコース類型別消費特性」より
継
続
就
業
層
復
職
層
継続就業
マザー
年齢層
価値観特性
30代中心
・仕事観高
・自立自活志向高
・「自立的親子関係」
志向高
・時間自由度低
・仕事観高
結婚退職後 40代
〜50代 ・「自立自活志向」
復職
やや高
出産退職後 30代後半 ・「子供自立」期待大
・「家族団欒」志向低
〜40代
復職
離
結婚契機
職
離職
層
出産契機
離職
30代
生活資源
消費特性
・お金はあるが
時間がない
・自分消費は高い
が、「時間」のなさ
から矛先は「モノ」
・お金も時間も
そこそこある
・経済的事情
からの復職者
多い
・家族観高
・夫の経済力
・「家族団欒」志向高
如何での
・出産契機離職者は
二極分化
「継続就業・自己実
・お金は
現」志向高
そこそこあるが、
・「自立自活」志向低
時間がない
・家事消費を補助
・わずかな所得が
免罪符となり、自
分消費も旺盛
・プチ贅沢消費
・自分消費謳歌者
とそうではない者
が存在
・お金も時間も子
供に注ぎ込む
共働き世帯数の推移
出所)内閣府 『男女共同参画白書』 (2009)
「夫は仕事、妻は家事と子育て」時代の終焉→夫婦共働き時代へ
女性のライフコース構成
〜国立社会保障・人口問題研究所
第 4 回全国家庭動向調査(2008)〜
54.60%
60.00%
50.00%
40.00%
30.00%
22.40%
18.60%
20.00%
4.40%
10.00%
0.00%
就業継続型
再就職型
退職型
復職層が5割以上を占めている
その他
総務省「就業構造基本調査」(2002)より
復職後の就業形態は圧倒的にパートが多い
DAIKO マーケティング・コミュニケーション・ラボ
ライフコースaround40レポート調査(2008)より
女性が働く理由
80.7
89.3
金銭的なゆとりが欲しいから
43.4
自己実現したいから
56
68.7
復職主婦
自分の自由になるお金が欲しいから
継続就業主婦
82
49.4
キャリアを活かしたい
65.3
72.3
子供の将来のお金
90
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
単位:%
就業理由は、経済的理由だけでなく、
自己実現や自分への投資、キャリア形成などがある
N=233
ベネッセ・コーポレーション『働くままの仕事と育児』
仕事を再開しようと思ったきっかけは?(復職ママ150人)
98
家計を助けるため
90
社会の空気を吸いたくなったため
38
資格やキャリアをもう一度生かしたいと思った
29
夫が働くことに賛成してくれたから
24
自分のおこづかいを稼ぐため
14
育児が一段落したため
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
復職の理由においても、経済的理由だけでなく、
社会の空気を吸いたい、キャリアを活かしたい、自己への投資など
の理由で働く女性も少なくない
学習院大学経済経営研究所 2006
第1回パネル調査「ライフコース類型別支出」より
ライフコース類型別平均支出
(円/月)
47,321
50,000
45,000
38,797
35,439
40,000
35,000
30,000
継続就業主婦
25,000
復職主婦
20,000
専業主婦
15,000
10,000
8,138
8,745
7,736
5,000
0
「私事」支出額
子育て・教育費
私事支出においても、継続就業マザーと
※「私事」支出額・・・ファッションや化粧品等の自分につぎ込んでいる消費額
復職マザーと専業マザーでは出費は変わらない。
学習院大学経済経営研究所(2006)
『女性の就業と消費意識に関するパネル調査』
子育て、教育費への出費は復職層が多い。
変化する女性の役割(乳井 2008)
かつて
母
妻
私
妻
母
私
現代
妻
職業人
私
独身期
職業人
妻
職業人
私
母
結婚・子育て期
私
子離れ期
継
続
就
業
マ
ザ
ー
私
私(娘)
職業人
離
職
層
復
職
層
妻
私
母
職業人
私
母
妻
妻
私
母
女性の役割の変化(乳井 2008)
就業
結婚・出産
職業
人
現状分析まとめ
 共働き世帯の増加
 復職主婦層(パートが9割)は、女性のライフコースで
高い割合を占める
 女性が働く理由に、経済的な側面だけでなく、自己実
現や自己投資といった理由も見受けられる
 女性の役割が変化しており、近年では私、妻、母、職
業人といった役割を一人の女性がもつようになってい
る
 継続就業・復職・専業主婦それぞれの役割の中で、
「私」、「妻」、「母」という役割は共通して存在する
 主婦と耐久消費財の関係は、役割によって保有財、
保有率が異なる
問題意識
• 欲張りになる主婦たち
– 近年の主婦たちは、多様な役割(=アイデンティティ)を合
わせ持つようになっていて、それぞれの役割において、自
己実現をしようと欲張りになってきている。
多様な役割を演じる近年の主婦たちの、
「役割」と「消費」の関係について明らかにする
「私」という役割に着目し、どのような共通点があるの
か、またどのような違いがあるのか。
先行研究
①ライフコース類型別「私事」時間、「私事」消費
の違い 乳井(2008)
②「自分づくり」の進化 梅本(2008)
③中年期のアイデンティティの揺らぎと再達成
岡本 (1997)
先行研究①
ライフコース類型別生活時間帯の違い(乳井 2008)
継続就業マザー
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
私事
23
24
1
2
私事
復職主婦
専業主婦
私事
私事
私事
同じ「私」という役割であっても、
主婦ごとに自分に費やしている時間は違う
学習院大学経済経営研究所 2007
第3回パネル調査「私事消費志向」より
先行研究①
45
42.9
40.3
40
単位:%
35
30
22.7
27.4
25.7
22.5
25
20
15
10
18.4
21.5
13.9
10.9
継続就業層
10.5 11.7
復職層
離職層
5
0
継続就業層がどの項目でも高く、
「自分づくり」への消費欲求を強く持っていることが分かる
先行研究①
• 継続就業層にも復職層にも専業層にも同じ
「私」という役割はあるものの、それぞれ「私」
への時間の使い方、消費の仕方は異なる
• 特に継続就業層は「私事」消費志向が高いこ
とは分かっている
し
か
し
継続就業主婦層には劣るものの
復職・専業主婦層にも「自分づくり」への消費欲求はある
先行研究②
「自分づくり」の進化
梅本 2008
夫
子
親
妻
母
職業
人
娘
市民
妻
母
職業人
私
妻
娘
市民
母
私
職業
人
娘
市民
社会
仕事仲間
地域社会
限定的な「関係性のアイデン
「関係性のアイデンティティ」 新たな「関係性のアイデンティティ」
ティティ」の中での「自分づくり」 から脱却した「自分づくり」
=社会と繋がる「自分づくり」
役割の中で、
「自分らしさ」を模索する
・キャラづくり
・ポジション確認
どの役割にもとらわれな
い「個のアイデンティティ」
を追求
・自己投資・自分磨き
企業・社会への参画・貢
献に、新たな自己の存在
意義を見出す
・SNS・ブログの活用
先行研究③
こ
れ
ま
で
の
(
アア
イイ
デデ
ンン
テテ
ィィ
テテ
ィィ
拡の
散揺
)ら
ぎ
・
崩
壊
中年期のアイデンティティの揺らぎと再達成
(岡本 1997)
自
将分
来の
(
モの
ラ生生
トきき
リ 方
ア方の
ムの見
)模直
索し
・
現代の主婦は自分の生き方の
見直し時期が早くなっているのではないか
再
び
主
体軌
(
ア的道
イに修
デ関正
ン与・
テの軌
ィで道
テ 転
ィき換
のるに
達生よ
成きり
)方、
の
獲
得
「私」役割が
存在する理由?
先行研究③
中年期のアイデンティティ・ステイタス
(岡本 1985)
再生アイデンティティ達成型
(今の自分を変えたい)
アイデンティティの達成
積極的自己受容型
(そのままの自分でいい)
安定マイペース型
(これから徐々に変わろう)
調査課題①
 Q1:かつての主婦にはなかった「私」役割が現在の主婦にある理
由としては、女性の社会進出が増えていったことによって、女性
自身の「アイデンティティ」に対する関心が高まっているからでは
ないか
 主婦たちは「アイデンティティの再認識」をどのくらい感じているのか
 継続・復職・専業主婦のうち、「アイデンティティの再認識」を一番強く感じ
ている主婦はどれか
 Q2:もし、主婦たちがアイデンティティの再認識を感じているなら
ば、アイデンティティ達成のために、どのような対処法を取ってい
るのか
 継続・復職・専業主婦は、再生アイデンティティ達成型、積極的自己受容
型、安定マイペース型のどのタイプにそれぞれ分類されるのか
調査課題①
 Q3:近年の主婦の「自分づくり」は進化してきていると言われ
ているが、継続就業・復職・専業主婦それぞれの「自分づく
り」は、どこまで進化しているのか
 継続就業・復職・専業主婦のうち、個のアイデンティティから、関係性
のアイデンティティに進化している主婦層はどれか
調査課題②
耐久消費財
自動車
エアコン・ヒーター
DVD(BD)レコーダー
調理器具
テレビ
アクセサリー
ポータブルオーディオ
電子レンジ
TVゲーム機
携帯電話
食器洗い乾燥機
掃除機
自転車
インテリア用品
靴
デジカメ
時計
ポータブルゲーム機
パソコン
衣料品
オーディオ
美容器具
洗濯機
主婦が自己実現のため
に必要な耐久財
主婦が社会との
つながりにおいて
必要な耐久財
Q4:役割としてではなく、自己実現のため・社会とのつながりのために
必要な耐久財は何なのか?
調査結果
-調査概要調査手法
調査対象者
有効回答数
調査期間
調査項目
・主婦の「アイデンティティの再認識」に関する設問(下山 1992)
・主婦の「アイデンティティの達成」3分類に関する設問(加藤 1983)
・主婦の「自分づくりの進化」に関する設問
・主婦の「自分づくり」と耐久財の関係に関する設問
Q1:アイデンティティへの関心の高さ
 主婦たちは「アイデンティティの再認識」をどのくらい感じているのか
アイデンティティ尺度5段階評価における
全体の平均値は
2.94
継続・復職・専業主婦のうち、「アイデンティティの再認識」を一番強く感じて
いる主婦はどれか
3.08
3.1
2.95
3.05
3
2.82
2.95
2.9
継続就業主婦
復職主婦
2.85
専業主婦
2.8
2.75
2.7
2.65
継続就業主婦
復職主婦
専業主婦
Q2:アイデンティティ達成の分類
• 継続・復職・専業主婦は、再生アイデンティティ達成型、積極
的自己受容型、安定マイペース型のどのタイプにそれぞれ
分類されるのか
– 再生アイデンティティ達成型:
– 積極的自己受容型:
– 安定マイペース型:
現在の自己投入
過去の危機
将来の自己投入
再生
アイデンティティ型
高い
高い
高い
積極的
自己受容型
低い
高い
低い
安定
マイペース型
低い
低い
高い
同一性地位尺度
クラスター分析
再生アイデンティティ達成
15%
再生アイデンティティ
達成型
13%
積極的自己受容型
型
積極的自己受容型
安定マイペース型
15%
28%
安定マイペース型
今から改心型
現在将来型
無関心型
今から改心型
現在将来型
16%
13%
無関心型
構成
現在の
過去の
将来の
割合の高い
比
自己投入
危機
自己投入
主婦層
13
高
高
高
専業主婦
積極的自己受容型
28
中
中
中
専業主婦
安定マイペース型
13
高
中
低
復職主婦
今から改心型
16
中
高
中
復職主婦
現在将来型
15
中
低
中
専業主婦
15
再生アイデンティティ達成型
安定マイペース型
今から改心型
低
低
低
復職主婦
積極的自己受容型
(%)
再生アイデンティ
ティ達成型
無関心型
42% 現在・将来の自己投入が高い
現在将来型
43% 決して自己投入度が低いわけではない
Q3:主婦の「自分づくり」の進化
1.私は役割(母、妻など)の中で現在迷いと不安がある
2.私は役割の中での自分らしさを模索している
3.私は自分の役割に満足していない
役割の中の「私」
4.日々の生活において、自己への投資や自分磨きは必要であると思う
5.自分にとって価値のあるものにお金を使いたい
「個」としての「私」
6.いつでも自分を高めたい欲求がある
7.社会への参画・貢献をすることによって自己の存在意義を見出したい
8.他者とのつながりをつくることは、自己成長において重要である
社会とつながる「私」
9.SNSやブログをやっている
単位:人
役割の中の「私」
「個」としての「私」
社会とつながる「私」
継続
14
7
5
復職
21
10
6
専業
18
11
8
合計
53/100
28/53
19/28
Q4:私としての耐久財購買欲求
自己実現
1位
2位
3位
4位
5位
衣料品
パソコン
靴
携帯電話
自転車
社会とのつながり
1位
2位
3位
4位
5位
携帯電話
パソコン
テレビ
デジカメ
自転車
Q4:私として必要な耐久財
自己実現×継続
1位 衣料品
2位 パソコン
3位 携帯電話
社会×継続
1位 携帯電話
2位 パソコン
3位 テレビ
自己実現×復職
1位 靴
2位 携帯電話
3位 調理器具
社会×復職
1位 携帯電話
2位 パソコン
3位 テレビ
自己実現×専業
1位 自転車
2位 衣料品
3位 パソコン
社会×専業
1位 パソコン
2位 携帯電話
3位 テレビ
・自転車
提案①
専業主婦の「自己実現のため」、「社会とのつながり」においても
上位の耐久財である…
自転車
オリジナリティ+自転車=「私」らしさ
提案①
主婦向け自転車ショールーム設立
Girl×Bike
主婦が気軽に入れるような自転車ショールーム
店内にカフェを併設
店内のインテリア用品にこだわる
主婦をスタッフとして雇う
自分でカスタマイズ可能な
Only one の自転車
 カラー、かご、タイヤ、サドル、ハ
ンドル、子供用シートなどを自分
で選択できる
 店内試乗可能で、見て・選んで・
乗って・話して楽しめる
提案②
復職主婦の「自己実現のため」において
上位にきている耐久財…
調理器具
Only one+キッチン=「私」らしさ
提案②
料理を作る、私を作る
Only one キッチン
調理器具を扱うメーカーを一つの
グループとして、ショッピングサイト
を設立
ごはん鍋特集
かわいい調理鍋
今日の一品
お料理ブログ
検
索
 デザイン性や機能性のどちらか
にこだわらず、自分の好きな調
理器具を一度に閲覧選択する
ことで、Only oneをサイト側から
提供する
他とは違う自分だけのOnly one な調理器具を提供することで
家庭における私らしさを作ることができる
提案③
復職主婦の「自己実現のため」においても
上位にきている耐久財…
靴
復職主婦+靴=「私」らしさ
提案③
復職主婦向け雑誌
今どきの復職主婦を徹底調査!
a g a i n
ありそうでなかった復職主婦層を
ターゲットとした雑誌の発売
 靴をはじめとする復職するにあ
たって必要なものを取り上げる
 復職主婦ならではの悩みや、
「あるあるネタ」をコラムとして載
せる
働く人の靴特集!
これであなたも化ける!
おしゃれ主婦の着こなし術
みんなどこで買ってる!?
おしゃれママの行きつけショップ
みんなが本当に買ったモノはコレ!
輝く!復職アイテム200
東京・パリ・NYのおしゃれブランド・ショップで
ブレイク中のアイテム大公開
420円
最後に・・・
この研究は、非常に貴重な経験となった。
特に主婦の方々への調査は、調査票の内容だけでなく、
日頃どのようなことを考えているのかなど、直接話さない
と知ることができないことが多くあった。
年代の異なる主婦層をターゲットにしたことで苦労は
多々あったが、得たモノは非常に大きなものだった。
参考文献
青木幸弘編[2008]『ライフ・コース・マーケティング』日本経済新聞出版社
岡本裕子[2002]『アイデンティティ生涯発達論の射程』ミネルヴァ書房
堀博道監修[2001]『心理測定尺度集Ⅰ』サイエンス社
内閣府[2009]『男女共同参画白書』
国立社会保障・人口問題研究所[2008]『第4回全国家庭動向調査』
総務省[2002]『就業構造基本調査』
『赤ちゃんができたら考えるお金の本 2011年版』ベネッセ・ムック たまひよブックス
DAIKO マーケティング・コミュニケーション・ラボ・ライフコースaround40レポート調査
http://www.daiko.co.jp/ja/portfolio/database/life_course/life_course_01.pdf
ありがとうございました!