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死亡診断書を巡る法的問題
在宅死の取り扱いは
病院死と異なるのか?
(医)あおばクリニック
伊藤新一郎
(医)あおばクリニック
内科・小児科 無床
 常勤医師2名・小児科非常勤2名
(居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション:
Ns・PT・OT協同経営)
 在宅時医学総合管理・在宅末期医学総合診
療・在宅療養支援診療所・身障福祉15条指定
など
 訪問リハビリテーション・看護

自験例の予後:他院主治医の16例を除く
’00年1月~’06年8月
在宅死
施設入所・入
院
施設入
所・入院
継続中
*外来
移行な
ど
合計
1週間以内死亡
症例合計
13例
4例
28例
30例
27例
102例
悪性疾患
9例
2例
5例
2例
3例
21例
良性疾患
4例
2例
23例
28例
24例
81例
#予測でき
なかった死
2例:独居
(検視)
# 再掲
*かかりつけ医交代・中断
1例
(救急搬送)
3例
最後の医師訪問(1)
死亡診断書9+2件
最期の立会い :0件
 当日
:3+1件
 1日前
:4+1件
 2日前 :1件(訪問看護当日まで連日)
 3日前 :1件(訪問看護当日まで連日)
*最期は全例家族による看取り

最後の医師訪問(2)
死体検案書2件


症例1 63歳 女性 狭心症 ARⅢ°ASO
糖尿病 独居
検案日:死亡推定日から2日後ヘルパー発見
最後の医師の訪問:死亡推定日の12日前
デイケア・OTの訪問:死亡推定日当日
死因:AMI疑い
症例2 76歳 女性 脳梗塞後遺症 糖尿病
独居
検案日:死亡推定日当日に訪問看護師発見
最後の医師の訪問:死亡推定日の2日前
訪問リハビリ:死亡推定日前日
死因:脳梗塞疑い
医師法
第二十条 医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは
診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち
会わないで出世証明書若しくは死産証明書を交付し、
又は自ら検案しないで検案書を交付してはならない。
但し、診察中の患者が受診後二十四時間以内に死
亡した場合に交付する死亡診断書については、この
限りではない。
医師法第二十条但書に関する件(昭和二四年四月一
四日 医発第三八五号)(各都道府県知事あて厚生
省医務局通知)
二十条但書に関する件(通知)
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医師法
第二十一条 医師は、死体又は妊娠四月以上
の死産児を検案して異状があると認めたとき
は、二十四時間以内に所轄警察署に届け出
なければならない。
*異状死は異常ではない。犯罪性のある意味
の異常死と異なり、「ふつう死」でない死亡を
意味する。
「異状死」ガイドライン:日本法医学会
平成6年5
月
(前文要約:伊藤による)
第二十一条は明治時代からの医師法がそのまま踏襲されている。時
代に即した定義がないため異状死の届け出について混乱が生じ
ている。実務的側面(異状死の届出義務違反の免責)を重視して5
つの項目を示したものである。
[1] 外因による死亡(診療の有無、診療期間を問わない)
[2] 外因による傷害の続発症、あるいは後遺症による死亡
[3] 上記[1]または[2]の疑いがあるもの
[4] 診療行為に関連した予期しない死亡、およびその
疑いのあるもの
「異状死」ガイドライン
[5]死因が明らかでない死亡
(1)(受診歴が無く)死体として発見された場合
(2)一見健康に生活していたひとの予期しない急死
(3)初診患者が、受診後ごく短時間で死因となる傷病が診断できないまま
死亡した場合
(4)医療機関への受診歴があっても、その疾病により死亡したとは診断で
きない場合(最終診療後24時間以内の死亡であっても、診療されてい
る疾病により死亡したとは診断できない場合)
(5)その他、死因が不明の場合
病死か外因死か不明の場合
(
)伊藤挿入
死亡診断書を巡る法的問題
「在宅死の取り扱いは
病院死と全く同様である」
但し、異状死に関する
アセスメントに課題

情報の量と質
独居
非医療従事者からの情報
死亡診断書を巡る法的問題
結
語
在宅医は、異状死論議の余地がないよう
に配慮し、必ず遺体を確認する。



死を予告しておく。
死に向かって起こることをよく説明しておく。
医師以外のスタッフ(看護師)でもよいの
で頻回に訪問する。
在宅ターミナルのClinical Ethics
(Albert R.Jonsen)伊藤による
① 適切な診断と予後さらに治療の無益性をも考
慮した医学的な適応方針が明確になっているこ
と(Medical Indication)
② リビングウイルなどを含んだ患者自身の選択で
あること(Patient Preferences)
③ QOLへの配慮がされていること(QOL)
④ 家族の希望などを含めた周囲の状況から選択
可能なもの(Contextual Features)