第7回 色知覚 [email protected] 第7回 色知覚 1 第7回 色知覚 [email protected] 人間の色覚 霊長類以外の哺乳類には無し 色相 (hue): 色の違い 彩度・飽和度 (saturation, chroma): 色味の強さ(色の鮮やかさ) 同じ色相で最大のもの:純色 明度 (intensity, value , brightness ): 色の強さ~最大:白,中間:灰色,最小:黒 例)明度:桃色>赤, 彩度:赤>桃色 2 第7回 色知覚 [email protected] 色覚研究の流れ I.Newton: 「光学」(1704) 物理学的客観主義 ~ プリズムによるスペクトル分解 J.W.Goethe: 「色彩論」(1810) 現象学的主観主義 ~ 色彩残像、色彩対比、影の彩り M.E.Chevreul: 「色彩対比論」(1839) ~ ゴブラン織りにおける混色 →色の対比の法則,色の調和の法則 D.Katz: 「色の世界」(1930) 現象的色彩論 ~ 体験的知覚,非分析的 ~ ボリューム・カラー(透明で透けて見える)、 幻影肢、触覚・・ 3 第7回 色知覚 [email protected] 色覚の法則(Chevreul) 色の対比の法則 色の調和の法則 2つの異なる色を並べると,その色や色の強さが互いに変 化してみえる ~ 赤黄を並べると,赤は菫味(黄の補色)を帯び,黄は緑 味(赤の補色)を帯びる ・6つの基本色(赤,黄,青,橙,緑,菫)はいずれも快い ・色相が互いに類似している色の組は調和する (類似色の調和) ・著しく異なる色の場合,対比的な組合せは調和する (反対色の調和) 4 空間的対比効果(錯視) 色を評価する対象の周辺に,色や明度の違 うものが配置されると,対象の色が異なって 知覚される現象 Figure 2: 同時対比効果のデモ 5 色知覚における恒常性 色恒常性 (color constancy) : ~ von Helmholtz (1821~1894) 照明光のスペクトルが変化しても物体表面の 色の知覚は大きく変化しない現象 ← Retinex theory(E.H.Land,1959): m個の物体を観測することによる反射光のスペク トル分布(3m)から,照明光のパラメータ(3)と物体 表面反射率パラメータ(3m)を推定する問題 ~ 不良設定問題 vs 平均灰色(白)仮定 6 恒常性の例 2つの異なる照明下の部屋のシーン 7 第7回 色知覚 [email protected] 主観色現象 (錯視) アルキメデスの螺旋 フェヒナーの円盤(1838) ベンハムのコマ(1894) 4つの縞: 赤,緑,青,菫 8 第7回 色知覚 [email protected] ベンハム・カラーの説明 感覚時間による説明: 白色に含まれる様々な色感覚成分の,立ち 上がり・減衰時間が異なるため,回転するこ とによりこれらが分離し,独立に知覚される. 滲み説: 円盤の白部分に発生した独立の色感覚成 分が黒部分に滲む(縞模様の周辺のみ発 生) 9 第7回 色知覚 [email protected] カラー情報の表現法-1 RGB表色系 ~ 3板式カラーカメラ 光の3原色: 赤(R)、緑(G)、青(B) の混色 等色: C ≡ rR+gG+bB 原刺激 R:700nm, G:546.1nm, B:435.8nm 単色光 三刺激値 r, g, b ; 負の値も取り得る 等色関数 r’(λ), g’(λ), b’(λ) r=∫E(λ)r’(λ)dλ g=∫E(λ)g’(λ)dλ b=∫E(λ)b’(λ)dλ 10 第7回 色知覚 [email protected] RGB表色系の等色関数(CIE) 11 第7回 色知覚 [email protected] カラー情報の表現法-2.1 国際照明委員会(CIE;Commision Internationale de l’Eclairage)が基準を作成 CIE-XYZ表色系 全ての刺激値が正となる原刺激(X,Y,Z)を設定 X=0.490R+0.310G+0.200B Y=0.177R+0.813G+0.011B: 明度情報 Z= 0.010G+0.990B 等色C≡XX+YY+ZZ 色度図: 単位平面X+Y+Z=1を座標面(xy,xz,yz)に射影 12 第7回 色知覚 [email protected] xy色度図 XY平面に投影 均等な色空間 ではない 13 第7回 色知覚 [email protected] カラー情報の表現法-2.2 CIE-LAB表色系 (非線形) CIEが均等色空間の標準化に向け推奨 スキャナー、モニタ、プリンタなどのデバイス独立色 再現に利用 L*= 116(Y/Y0)1/3 – 16 a*= 500{(X/X0)1/3 - (Y/Y0)1/3} b*= 200{(Y/Y0) 1/3 - (Z/Z0)1/3} (L* , a* , b*): 直交座標系 X0, Y0 , Z0: 色再現に用いる媒体(用紙など)の 標準白色物体の三刺激値 14 第7回 色知覚 [email protected] カラー情報の表現法-3 オストワルド色立体 ・黄,青,赤,緑を元に24色相 PCCS色立体(日本色彩研究所) ・24色相 マンセル色立体 色相(H)、明度(V)、彩度(C)が知覚的に等ステッ プとなるよう分割、円筒座標系で表現 ・基本色相10: 赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫 (P)、YR、GY、BG、PB、RPを10分割し, 最大100色相 15 第7回 色知覚 [email protected] マンセル表色系の色立体 最大彩度が 色相毎に異なる ため凸凹 ~カラーツリー 中心:無彩色 16 第7回 色知覚 [email protected] カラー情報の表現法-4 HSI表色系 RGB値から近似的な色空間を構築 例)R,G,B各成分: 8ビット量子化 (r,g,b) = (R/255, G/255, B/255) H = tan-1[√3(g-b)/{(r-g)+(r-b)}] S = 1 – min(r,g,b)/I I = (r+g+b)/3 17 第7回 色知覚 [email protected] カラーキャリブレーション –1 カラーカメラ 入出力特性 ~ 非線形 グレースケールのパッチのRGB値と 輝度値をプロットし、逆関数を推定 分光感度 一定波長間隔の単色光を用いて、 カメラ出力を計測、 輝度値との比をとることによる、 分光感度関数の作成 18 第7回 色知覚 [email protected] カラーキャリブレーション –2 カラーモニタ(CRT)~加法混色 ガンマ特性 L = cVγ(近似)を線形化 ~ ガンマ補正 L:発光輝度、V:印加電圧、c:定数、γ:2~3 ルックアップテーブルによりモニタのRGB値に変換 蛍光体の色度 三刺激値を行列で座標変換 → ルックアップテーブルによりモニタのRGB値に変換 19 第7回 色知覚 [email protected] CVにおける色情報の取り扱い 領域分割: ヒストグラム(1次元、2次元・・)利用 Physics-Based Vision: 光の物理的反射モデルの構築 色恒常性(color constancy): シーン内の物体表面の分光反射率の推定 不良設定問題 20 第7回 色知覚 [email protected] 1次元ヒストグラムを用いた領域分割 R.B.Ohlander et al.(1979) 1. 9個の特徴(R,G,B,I,H,S,Y,I,Q)の ヒストグラムの山と谷を評価 2. 谷より分割の閾値を決定し、 対応する領域の切り出しを反復実行 21 第7回 色知覚 [email protected] 領域分割の例(原画像) 22 第7回 色知覚 [email protected] 領域分割の例(処理結果) 中間結果(B=190で分割) 最終結果 課題: 再帰的処理のため時間がかかる 23 分布推定による自動領域分割処理 (東,丸尾,渡邊) 24 屋外シーン(明度分布) 原画像 25 屋外シーン(明度分布・実行結果) 26 屋外シーン(色相分布) 原画像 27 屋外シーン(色相分布・実行結果) 28 考察(1) ☆明度分布を用いた自動領域分割・・・太陽の日照によって 明度範囲が変動したため、誤分割率が高くなった。 ☆色相分布を用いた自動領域分割・・・色相情報のみを用い るため、誤分割率は低かった。 ☆近傍多数決法を用いることで、明度分布・色相分布共に 誤分割率が低くなった。 ☆天候の変化や時間の変化による差はあまり見られなかった。 29 考察(2) •明度分布を用いた自動領域分割のフレームレート・・・10.0FPS •色相分布を用いた自動領域分割のフレームレート・・・8.0FPS ☆実時間で処理が行われていることを確認 以上より、画像認識においては 色相分布を用いた自動領域分割のほうが 明度分布を用いた自動領域分割より有効である 30 第7回 色知覚 [email protected] 色彩検定 http://www.aft-jp.org/ A・F・Tでは1990年からこの『色彩検定』を実施し、1994年にはその内容 が生涯学習の一環として評価され、文部省(現:文部科学省)認定の『技能検 定』となりました。現在、日本で唯一の省庁が認定する色に関する検定試験 です。すでに10年を超える実績を誇り、年々増加する志願者数は2000年で 累計35万人をこえました。 従来から「感性」だけによるものと見られがちであった「色に関する知識や技 能」を理論的、系統的に学ぶことにより、誰もが「理論に裏付けられた色彩の 実践的活用能力」を身につけることができるのです。 色に関するスペシャリストのことを『カラーコーディネーター』という総称で呼ぶ ことがありますが、これは国家試験のようなライセンスではありません。しかし、 『色彩検定』は「色に関する知識や技能」を社会的に評価する『尺度』として確 実に社会的な認知を得ています。 『色彩検定』にはその程度や難易度から3級・2級・1級と3つの級がありま す。「ちょっと面白そうだな」と思った方は色の勉強をはじめるチャンスかもし れません。まずは基礎の3級から色の世界を覗いてみませんか? 31
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