民事再生法 - of civilpro

2015年度
民事再生法講義
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関西大学法学部教授
栗田 隆
第8章 再生計画認可後の手続
第9章 再生手続の廃止
再生計画の遂行(186条・186条)
管理命令
監督命令
命令なし
遂行者 管財人
再生債務者
再生債務者
監督者 裁判所
監督委員
なし
 再生計画が遂行
されたとき、又は
終結決  再生計画が遂行
されることが確実
定の
であると認めるに
要件
至ったとき
 再生計画が遂行  再生計
されたとき、又は 画認可の決
 再生計画認可の 定が確定し
決定が確定した後 たとき
3年を経過したと
き
T. Kurita
2
認可された再生計画の挫折




再生計画の変更(187条)
再生計画の取消し(189条)
破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の
決定がされたこと(190条)
再生計画認可後の手続廃止(194条)
T. Kurita
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再生計画の変更(187条)
再生計画認可の決定
やむを
得ない
事由
不利な変更の場合に
は、議決・認可の手
続を再度行う(2項)
再生債務者、管財人、監
督委員又は届出再生債権
者の申立てにより、再生
計画を変更することがで
きる
再生手続終了
T. Kurita
再生債権者に有利な
変更も含まれる
(例:繰上償還)
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再生計画の取消し(189条)
取消事由
1. 再生計画が不正の方法により成立したこと。
2. 再生債務者等が再生計画の履行を怠ったこと。
3. 再生債務者が監督者の許可・同意を要する行
為を独断でしたこと( 41条1項・42条1項又
は54条2項の違反)
T. Kurita
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取消しと廃止の比較
取消し(189条)
廃止
時期
認可決定確定後
手続開始後・再生手続終結まで
(廃止事由により異なる)
申立ての要否
再生債権者の申立てが
必要(1項)。失権規
定がある(2項)
おおむね、再生債権者以外の者
にも申立権があり、職権でもで
きる。
裁判所の裁量
性
「できる」(1項)
「しなければならない」(191
条・192条・194条)/「でき
る」(193条)
認可された計
画により変更
された権利
原状回復あり(7項)
原状回復なし(195条6項。ただ
し190条に注意)
T. Kurita
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再生計画発効後の再生計画の取消し等
再生計画認可決定の確定
再生手続終了
破産手続開始
決定等(190
条1項)。
従前の再生計画の取
消しは不要(規則96
条参照)
再生計画によって変
更された再生債権の
原状回復。ただし、
再生債権者が再生計
画によって得た権利
に影響を及ぼさない。
再生計画
取消し
(188条7
項)。
再生計画の履行完了
T. Kurita
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190条の続き
再生手続終了後の破産手続開始の場合
原則(3項)(特に議決権関係。cf.破産法142
条2項)
[破産債権の額] = [従前の再生債権の額]
- [再生計画により弁済を受けた額]
 配当関係(4項)
1. 従前の再生債権の額をもって配当の手続に
参加することができる債権の額とみなし、
2. 再生計画により受けた弁済は、破産手続に
より配当を受けた額として扱い、
3. 他の債権者が同率の配当をうけるまで配当
を受けることができない。

T. Kurita
8
190条の続き
再生手続終了後の新たな再生手続開始の場合



原則(6項) [再生債権額] = [再生計画に
より弁済を受ける前の債権の全額]
弁済関係(7項)
他の再生債権者が自己の
受けた弁済と同一の割合の弁済を受けるまでは、
弁済を受けることができない。
議決権関係(8項)
先の再生計画により弁
済を受けた債権の部分については、議決権を行
使することができない
T. Kurita
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要するに(190条3項以下)
新手続
破産手続
原則/債権額 弁済後の残額(3項)
配当・弁済関
係
議決権関係
再生手続
弁済前の全額(6項)
弁済金組入(4項)
弁済金組入(7項)
弁済後の残額(3項の
原則に従う)
弁済後の残額(8項)
新手続において他の債権者が旧手続によりなされた弁済割
合以上の配当又は弁済を受ける場合については、4項と7項
とで実質的な差異はない。
T. Kurita
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再生計画認可前の手続廃止(191条)
 認可の対象となる再生計画が得られる見込みがない場合
には、再生手続を速やかに廃止する。
 意見聴取は必要なく、職権で廃止しなければならない。
 廃止事由
1. 付議に足りる再生計画案の作成の見込みがないとき。
a. 174条2項1・2・4号に該当せず、かつ、
b. 可決される可能性がないことはない
 清算型計画案であってもよい(破産の場合よ
りも柔軟な配当が可能になる)
2. 所定期間内に付議に足りる再生計画案の提出がないと
き
3. 再生計画案が否決されたとき、又は所定期間内に可決
されないとき。
T. Kurita
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続(192条)
 破産手続開
始原因となる
事実の生ずる
おそれがなく、
かつ
 事業の継続
に著しい支障
をきたすこと
なく弁済期に
ある債務を弁
済できる
債権届出期間の経過
再生手続開
始の申立て
の事由のな
いことが明
らかになっ
たとき
再生債務者、管
財人又は届出再
生債権者の申立
てにより、再生
手続廃止を決定
する
認可決定の確定
T. Kurita
職権での廃
止はできな
い
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再生債務者の義務違反による手続廃止(193
条)
認可決定の前後を問わない。
再生債務者の義務違反のみが廃止事由であり、
管財人の義務違反は廃止事由にされていない。
 廃止事由
1. 保全処分命令違反
2. 許可等が必要な行為の独断実施(監督受ける
義務の違反)
3. 認否書提出義務違反
 85条1項違反が廃止事由とされていないことに
ついては、強い批判がある。


T. Kurita
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再生計画認可後の手続廃止(194条)
再生計画認可の決定の確定
大口取引
先やスポ
ンサーの
倒産など
再生計画が
遂行される
見込みがな
いことが明
らかになっ
たとき
再生債務者等若
しくは監督委員
の申立てにより
又は職権で、再
生手続廃止の決
定をする
規則98条の意見
聴取を経る
T. Kurita
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再生手続廃止の公告等(195条)
廃止決定
廃止決定の取消決定
直ちに、主文及び理由
公告の時
の要旨(根拠規定を示
期と内容
す程度でよい)(1項)
即時抗告
可(2項)
効力発生
確定の時(5項)
廃
止
決
定
即
時
抗
告
確定してから、その旨
(4項)
特許
棄却
3項 別 可
抗抗
取消決定
告告
T. Kurita
民訴333条によ
る更正としての
「廃止決定の取
消し」にも注意
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廃止決定の効力(195条6項)
廃止時期と計画認可の前後を問わず、次のものは影響を
受けない
1. 未履行双務契約の解除の効果
2. 担保権消滅請求制度による担保権消滅の効果
3. 役員に対する損害賠償請求権の査定の効果
 認可された計画による権利変更も影響を受けない。ただ
し、破産手続の開始の場合には、変更前に復する(190
条1項)。
 否認権行使の効果については、次の見解が有力である。
1. 認可前の廃止の場合には遡及的消滅
2. 認可後の廃止の場合には、消滅しない

T. Kurita
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廃止決定が確定した場合の準用規定
(195条7項)
廃止事由
廃止の時期
=認可決定
の確定
再生計画の不提
出・否決(191
条)
手続開始事由の不
存在(192条1項)
前
再生債務者の義務
違反(193条1項)
計画の遂行見込み
なし(194条)
後
確定再生債権の債権
者表記載の効力
185条の準用
により確定判決と同
一の効力
管理命令・監
督命令の失効
188条4項の準
用
180条2項
により確定判決と同
一の効力
T. Kurita
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