6回目 情報の基本的性質 11/06

6. 情報の基本的性質
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6-1 情報は人が発信する
6-2 情報は人が受信する
6-3 mediaが存在する
6-4 受信者に多様な判断が存在する
6-5 情報はサイクルを描く
6-6 情報の伝達には時間を要する
6-7 記録、複製、保存が可能
6-8 多様に蓄積すると価値が大きくなる
6-9 情報は時間軸上に並ぶ
6-10 情報の発信期間は有限である
情報の対象
• 対象
– ある特定の目的について、適切な判断を下したり、行
動の意思決定をするために役立つ資料(データ)、情
報、知識
– 情報の定義より広い
• 「人間と社会組織の特定の目的に対し評価されたデータ、
データが持っている意味や内容」より広い
– 情報を資源として活用する事を前提とする
• この章で扱う情報は人に有用な全ての情報
6-1 情報は人が発信する
• 人が情報を作る
• オリジナリティー創造性が必要
– コンピュ-タは情報を作らない
– コンピュ-タ(人工知能)の出力は計算結果であり、コ
ンピュ-タそのものに創造性はない
• 情報には人の意志が含まれている
– 人は伝えたいことを情報として他人に発信する
– 伝えたくない情報は存在しない。
• 伝えたいことを100%発信できない
– 記号で表現するため伝えたい情報の一部しか発信で
きない
– 伝えたいことを全て言葉(記号)で伝えられない
6-2 情報は人が受信する
• 受動的行為(受動者)
• 情報は,発信者と受信者がいて成立する
• 行為の相互性
– 行為とは働きかけるものと、働きかけられるものとの
間に成立する
• 能動者と受動者の交互作用
– 1つの主体は同時に能動的であることなしには、受動
的でなりことはできない:カント
– 一切の受動は同時に能動である
• 情報の発信は能動的行為であるが、情報と関わ
る場合は受動的行為が多い
行為の相互性
• 能動者と受動者の関係
能動者
受動者
情報発信者(人が発信する)
情報受信者(人が受信する)
行為の主体(行動する人)
行為の容体(行動の対象となる人)
能動的行為
受動的行為
働きかける主体
働きかけられる容体
自己
他者
原因
結果
受動者に変化を生じさせる行動
受動者の中に変化が生じる
情報受信者の必要性
• 情報発信者だけが独立して存在することはない
– 情報発信者が情報を発信しても情報としては不完全
• 行為の受動者が存在して初めて情報となる。
–
–
–
–
テレビを見る人
本を読む人
話を聞く人
講義を聴く人
• 媒体で表現されても情報にはならない
– 情報が媒体で表現されたものは単なる記号
– 情報が記号(画像、印刷物、音)で表現され、受信者に
受け取られて情報となる
行為の受動者
• 受け手が理解して初めて情報となる
– 正確でなくてもよい
– 講義で話して受け手がいても、受け手が寝ていたり、別
のことを考えていれば情報にならない
• 行為の能動者から行為の受動者は影響を受ける
– 情報を受信することにより受信者に変化が生じる
• 動物(蜂、蟻、犬)が情報をやり取りするのは、情報
か?
– 蜂と蟻にとっては情報であるが人間の情報ではない
– 蜂と蟻の現状を観察したものは人間のデータとなる
• 犬が人に吠えるのは情報か?
– 観察したものは人にとりデータとなる
– 他の情報と併せないと情報にならない
• 人が犬に命令するのは情報か?
– 犬にとって情報になるが人間の情報でない
• 自分の論文を10年後に見る
– 発信者と受信者が同じだが情報である
6-3 媒介物Media【mi:dia】の存在
•
6-1
6-3
6-2
人が発信→情報│ Media │情報→人が受信
(媒介物)
• 伝達には媒介物Mediaが必要
– Mediumの複数形
– 音、光、文字、電気信号、記号
• Media
–
–
–
–
–
①
②
③
④
⑤
媒介物、中間物、媒体、媒質
媒介、手段
中間、中位、中庸
巫女、霊媒
溶媒
媒介物と媒介手段
• 情報の媒介物の主体は文字
– 殆どがテキストで流通している。
– 画面もテキストをわかりやすくするため画像が使
用される
• 情報の媒介手段も一般にメディアと呼ぶ
– 媒介手段とはMedia(媒介物)を運ぶ物理的な形
態(伝達手段、通信手段)
情報の媒介手段
• マスコミ(マスメディア)
–
–
–
–
–
テレビ
ラジオ
新聞
雑誌
図書
• TV、電話、音楽CD,映画、パソコンは情報
の媒介手段
– テレビそのものが欲しくて買うわけではない
– テレビの情報が欲しいから買う
• 情報の媒介手段の多様化
– マスコミからミニコミへ
• 多種多量の情報
–
–
–
–
情報は受け取るもの(アンケート)
情報は利用するもの(アンケート)
情報は発信するものでもある
情報に関わる人の存在が希薄化している
6-4 受信者に多様な判断が存在する
• 情報の個別化
• 情報は受け手がいて,ある目的に関連づ
けられて初めて情報となる
• さらに受け手の固有の環境によって理解
する意味が異なってくる
• 1つの情報の理解は受けた人の数だけ存
在する
新聞記事
• MSはなぜ連携を選択したか?
多様な判断が生じる原因
• 知識の違いによって理解が異なる
– 知っている人
– 知らない人
• 知識構造の違い
– Brookes、1980 (2-3 情報と知識情報)
– K[s]+Δ I = K[S +Δ S]
S:現在の知識
K[S]:知識構造
ΔI:情報
ΔS:付加された知識
K[S+ΔS]:新しく修正された知識構造
多様な判断が生じる原因(続き)
• 心理状態の違い
– 気分の良いとき/気分の悪い時
• 経験の違い
– 実際経験したことは具体的に判断できる
• 友人の違い
– 友達の意見は自分の判断に反映する
• 環境の違い
– 静かなところ/うるさいところ
• 年代による違い
– 同じ本を読んでも年代により感じ方が異なる
– 小学生、大学生、30歳、50歳、70歳
• 性別、性格、地域の違い
多様な判断
• 同じ情報に多様な判断があるのは当然
– 同一の事件の報道内容が違っても悪いことで
はない
– 全ての記事が同一であるほうが異常
– 情報とは多様なもの
• 自分なりに情報の内容を理解し判断できる
ようになることが重要
– 情報の内容を自分で確認せずに受け入れたり、
他人の判断をそのまま受け入れることは避け
る
• 情報の多様性
– 社会の進歩に貢献
– 生物の進化に相当する
• マスメディアは多様化に反している
• インターネットは多様化に対応している
– 信頼性のなさといったマイナス面を伴う
6-5 情報はサイクルを描く
• 行為の循環
• 行為A→行為B
– 情報の受信A→ 判断A→ 行動A→ 情報の発信A
– ↑
↓
– 情報の発信B ←行動B ←判断B ←情報の受信B
• 個人の意志が行為のたびに加わる
– 行為は未だ己のものとなっていない目的の実現のた
めにおこなわれる
情報の循環
情報の循環に伴い情報が変化する原因
① 情報発信者の意志
 情報受信者が行動し情報を発信する意志と、受信し
た情報の発信者の意志と異なる
 意志に基づいて情報を発信する
② 発信者は伝えたいことを100%発信できない
③ 受信者に多様な判断(個別化)が存在する
サイクルを描くにより情報は変化を続ける
6-6 情報の伝達には時間を要する
• 発信者から受信者へ伝達の時間が必要
情報が相手に伝わるということは、相手がこちら
のいったことを理解したことを意味する
– 発信に必要な時間〔準備〕
– 媒介に必要な時間〔通信時間〕
– 理解に必要な時間
• 口頭で話し合っているときも、情報には時間遅れ
が生じる
– 情報発信者が伝達したことを相手が理解するまでの
時間
早く知ること
• 情報を早く知ることにより他人より有利に
行動でき、優位に立てることが多い
– ビジネスチャンスをつかむ
– 適切な処置を行える
– 戦争に勝つことができる
• 情報を正確に早く知る方法
– 情報の属性
– 情報を創造し発信している人を捜す
阪神大震災
• 17日
– 95年1月17日5:46 地震発生
• 17日夕刊
– 神戸中心に大震災 死者・不明1000人超す。(朝
日)
• 18日朝刊
– 死者1681人、不明1017人、8000戸が損壊(朝
日)
• 18日夕刊
– 死者2000人超す、不明1058人、19万人が非難
(朝日)
• 25夕刊
– インターネットひっぱりだこ
メディアと時間
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会話
秒
理解する時間
電話
秒~分
理解する時間
FAX
分~時間
読むまで
電子メール
分~時間
読むまで
新聞
日
手紙
日
学術誌 月
図書
年
特許
1.5年
通信は情報の伝達時間を短くする
6-7 複製copy、保存save、記録print、が
可能
• 複製copy
– 何回情報をコピーしてももとの情報はそのまま残り減
少しない
– 何度同じ話しをしてももとの情報は消えない
• 移動paste
– 情報を他の場所に移動しても元の情報は減少、消滅
しない
• 保存save
– 長時間、情報は保存できる
• 記録print
– 何回情報を使用しても(出力しても、読んでも、見ても、
聞いても)情報は消えない、減少しない
情報の特質
• 情報は,物質やエネルギーとは異な
– ものは宅急便で送ると残らないが、情報をメー
ルで送ると手元にそのまま残る。
– 電池のエネルギーを使うと残らないが、情報
は使っても残る
• 組織的な教育制度
– 情報の特質を利用して次世代に人類の資産
である知識を伝達する巨大な情報伝達システ
ム
6-8 多量に蓄積すると価値が大きくなる
• 情報は蓄積され増加すると,その価値が高くなる
• 1. 特定の目的に対する判断が正確になる
–
–
–
–
選択の幅が広がる
選択する手段を沢山準備できる
全体の様子が把握できる
情報の比較ができる
• 2.特定の情報を捜しやすくなる
– ソートすると活用しやすくなる
– 特定の情報が多く集まると使用環境が良くなる
– 早く情報が見つけられる
• 3.特定の層を抜き出すことにより利用価値が生
まれる
– 電話帳にない電話番号
– ダイレクトメール、アンケートの回答者を抽出する住所
録
• 4.情報を組み合わせることにより新しい視点が
生まれる
– 蓄積による相互付加性、相乗効果
– いくつかの情報を相互に使うと,新しい情報が生まれ
る
• 例1:フロンガスの変動とオゾン層の変化
• 例2:地域別の食品摂取と罹患率
• 5. 重要な情報の漏れを防げる
権利の確立
裁判の判例
• 6.データベースとして利用できる
– コンピュータに情報を大量に蓄積したもの
6-9 情報は時間軸上に並ぶ
• ダイオキシン;史上最強の発がん物
質、枯葉剤
• 81-84 農薬除草剤
• 85-88 大気汚染
• 88-92 製紙工場廃水と魚汚染
• 93-95 ゴミ焼却炉
• 96-0 環境ホルモン
農薬・除草剤
565-1041-1057
637-810-
ダイオキシンの新聞記事件数
95
96環境ホルモン
製紙工場 88-92
大気汚染85-88
ゴミ焼却
99
97
95
93
91
89
87
日経
朝日
85
83
81
200 発ガン物質
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40 除草剤-84
30
20
10
0
環日本海 日経
1984
6
1985
2
1986
3
1987
4
1988
10
1989
10
1990
56
1991
202
1992
281
1993
111
1994
89
1995
78
1996
36
1997
48
1998
23
1999
10
2000
17
2001
6-10 情報の発信期間は有限
• 15年程度~最長でも50年
• 情報を発信するのは人
– 人が情報を発信するため継続した情報の発信期間は
有限
• 自然科学、技術分野などグループで情報を創造
する分野の発信期間は短い
• 人文科学、文学、芸術、博物学など一人で活動
できる分野の発信期間は長い
• 継続は力
– 10年同じ分野で活動を続ければ、その分野の専門家、
権威になれる
– 10年継続するのは困難。
• 一般的な情報発信期間
–
–
–
–
–
研究開発 25~40年
プログラマー15~20年
政治家
10~30年
作家
25~70年
画家
30~80年
• 情報を人で整理できる
– 個人の情報を時間で並べる
– 大江健三郎
確認
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情報は囗が発信する
情報には人の囗囗が含まれている
情報は囗が受信する
行為の能動者は囗囗囗囗囗で行為の囗囗囗は
情報受信者である
• 情報の伝達には囗囗囗囗が必要である
• 情報受信者に多様な囗囗が存在する原因には、
囗囗識構造の違いなどが考えられる。
• 情報は囗囗囗囗を描くことにより囗囗を続ける
6. 情報の基本的性質
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情報は人が発信する
情報には人の意志が含まれている
情報は人が受信する
行為の能動者は情報発信者で受動者は情報の
受信者である
• 情報の伝達にはメディアが必要である
• 受信者に多様な判断が存在する原因には、知
識構造の違いなどが考えられる
• 情報はサイクルを描くにより変化を続ける