潜在的交通弱者という概念の提案 横浜にLRTを走らせる会 横浜の公共交通活性化をめざす会 柴田 智洋 はじめに 「車社会」の群馬県前橋市で生活して感じた事 ・職場の近くに住むなどすれば車無しで生活できる ・しかし地元の人はフリーター等所得の低い人も含め皆「車無では 生活できない」と車を所有し利用して生活している ↓ 「車社会」=「フリーター等低所得の人にも車を所有し維 持することを強制する社会 」 1.低所得者増加時代 ~2000年代の給与動向~ 2007年対2000年各所得階層増減(単位%参照:国税庁民間給与実態統計調査 ) 1000万円以上 ←所得300万円以上は激減 300~1000万円 増加率(%) ~300万円 ~200万円 ←所得300万円以下は激増 ~100万円 -10.00% 0.00% 10.00% 20.00% 30.00% 高所得の層が減少し、若い世代を中心と した低所得者が激増している 2.車社会ということ ~群馬県前橋市を参考に~ 群馬県前橋市通勤・通学利用交通手段(参照:2000年度国勢調査) 4% 5% 1% ←バス・ 電車は1割に満たない 6% 15% 2% 67% 鉄道利用 バス利用 徒歩 自転車 オートバイ 自家用車 その他 ←車利用が67%と2/3を占める一方 車以外の交通機関は見向きもされない なぜだろう? 50本以 上 3% 前橋市バス路線本数分類 ~44本 11% ~29本 26% ~14本 ~29本 ~44本 50本以上 ~14本 60% 前橋市バス路線終バス分類 ~19:59 ~20:59 ~21:59 22:00~ ~21:5922:00~ 3% 9% ~20:59 37% 参照:群馬県バス協会HP 過半数のバス路線が ・1日15本(1時間1本)未満 ・終バスは20:00前 これでは通勤・通学に使えない ~19:59 51% 殆どのバス路線が乗り入れる中心市街地では 中心市街地商業従業員推移(単位:人 平成14年度前橋市商業統計調査より) 5,000 4,717 4,459 4,000 3,623 3,000 2,000 従業員 1,000 0 94 97 2002 年度 8年で従業員が20%以上も減少し郊外に流出 (市内全体では2.4%減少) 郊外型店舗を見ると 食品スーパーFRESSAY 前橋市内店舗終業時間 ~20:00 0% 22:00以降 36% 20:00 46% ~20:00 20:00 21:00 22:00以降 21:00 18% バス路線の過半数が終了する20:00前に閉店する店舗は無し また全バス路線の営業時間外の22:00以降まで営業する店舗が1/3以上 バスで通勤すると言う選択肢そのものが無い まとめると 前橋市では ・多くのバス路線が1時間に1本未満、20:00前に営業終了で 利便性が低い ・多くのバス路線が乗り入れる中心市街地が空洞化してい る ・商業等の出て行った郊外地区では勤務時間からバス通勤 が出来ないケースも多い 働く為には車が不可欠で車にかかる費用が一種 の人頭税になってしまっている 3、車社会の人頭税 年収200万円の場合 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 210000 0 364,108 465,485 364,108 1,635,892 960,407 0 車あり 車無し 車維持 車保有 税金・社会保険 実質可処分所得 計算内容 税金・社会保険:前橋市基準で計算 車費用前提:1800cc、1.5t未満 車保有費:税金、各種保険(自賠責、任 意)、購入費用、ローン、リサイクル 料金 車維持費:駐車場代、ガソリン代 社団法人 日本自動車工業会HP参照 車がある事で実質的な所得が半分近くまで減ってしまう 人頭税のある光景 飲み会にて ・上司はお酒を頼むものの若手はウーロン茶 →若手は高い代行代が負担できない為飲酒を遠慮、当然2 次会、3次会も 繁忙期の職場 ・当たり前のように午前2時、3時まで残業 →終電の概念が無いので残業に歯止めがかからない、そ の為、上司が無理矢理定時退社日を設定する事で何と か大都市並みの残業時間に押さえる 若手の住まい →家賃負担まで回らないのか実家暮らしが激増している 車の運転できない学生さんやお年寄りを交 通弱者と言いますが 低所得なのに車を保有せざるを得ずその負 担に苦しむ地方の若い世代は言うなれば 潜在的交通弱者 と言えるのではないでしょうか?
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