わかりやすいマルチスライスCTにおける画像再構成 名古屋大学医学部保健学科 市川勝弘 講演の内容 ・CTの基本的な画像再構成法 ・補間再構成法 ・マルチスライスCTの基本的な再構成法 X線管球 X線管球 連続回転 連続移動 検出器 コンベンショナル 検出器 ヘリカル(一列) X線管球 連続回転 連続移動 2列、4列、6列、8列 16列、32列、64列のものが 製品化されている。 また、32列で、焦点を電磁 偏向することにより高解像 度化して64列を実現した機種 もある。 多列検出器 マルチスライス 4列マルチスライスCTの 検出器の例 4×0.5mm 15×1mm 15×1mm X線管球 32mm 16×1.25mm 20mm 1mm 1.5mm 1.5mm 2.5mm 2.5mm 5mm 5mm 検出器 体軸方向 20mm CTの再構成法の基礎 逆投影 投 影 y y q r 投影データを得る x q r x 投影データを一様に 伸ばしながら埋める フィルタ補正無し 45° 90° 135° 180° 135° 180° フィルタ補正あり 45° 90° シミュレーションでその様子を見てみましょう。 基礎的には、平行ビームCTの理解で良い。 実際には、ファンビームCTが使われている。 しかし... 理解の上では、さほど気にする必要はない。 X線管球 検出器 検出器 X線管球 平行ビーム ファンビーム β α 回転中心 ファンの中のα度のビームは,β+α度の平行ビーム投影 の中の1本の投影に相当. よって,180度+ファン角回転すれば平行ビーム投影のすべてが 得られる. 平行ビームの投影データ β xβ -180° 回転中心 xβ (βだけ回転した 座標のx座標) β 180° ファンビームの投影データ xβ β -180° 回転中心 xβ (βだけ回転した 座標のx座標) β 180° 平行ビームとファンビームの投影データ xβ xβ β -180° 180° -180° 180° ファンビーム ー 平行ビーム変換 xβ -180° β 180° ファンビームのサンプリング点を補間して平行ビームの サンプリング点 を得る. 補間再構成法 X線管球 連続回転 螺旋状にスキャンした場合に、 (患者を連続移動させた場合に、) アーチファクトの少ない画像を得る (動きを補正する)ためには... 補間再構成法を用いる。 検出器 ヘリカル(一列) よくある誤解 X線管球 螺旋状にスキャンしているので、 X線が斜めに投影される。 連続回転 検出器 ヘリカル(一列) X線は常に、寝台移動方向に対して 垂直に投影されている。 (投影方向は、コンベンショナルとなん ら変わりなく、被写体に対して、z方向の 違う位置をスキャンしていく点で異なる) 補間再構成法(360度補間) 目的再構成位置 Z方向 zs zb za D t = (zs-za) / D zaにおける投影データ×(1-t) zbにおける投影データ×t 加算 zsにおける補間後の投影データ(実線) t = (zs-za) / D = 0.2の場合 目的再構成位置 Z方向 zb za zs D zaにおける投影データ×(0.8) zbにおける投影データ×0.2 加算 zsにおける補間後の投影データ(実線) 目的位置と補間データ対の位置関係に従って 重み付け加算する(線形補間)。 180度補間再構成法 (180度対向したビームを用いる) この図では、センタービームだけが対向 180° 180° 0° -180° 重付け 係数 ×0 180° -180° 重付け 係数 ×1 重付け 係数 180° 0° ×0.5 180° ×0.25 ×0.75 180° -180° 0° ×0.5 180° -180° 0° 180° 重付け 係数 ×0.75 ×0.25 データの線形補間 実際の分布 補間によって得られる分布 A S B データ間隔が小さい場合 ヘリカルCTにおいて,データ間隔はピッチ(寝台移動速度)で決まる ビーム幅 Pitch = 寝台移動距離 ビーム幅 寝台移動距離/1回転 360度補間では、補間対が1回転分離れるため、補間の 正確性に問題があり、スライス厚が、厚くなる。 よって、スライス厚の広がりが少なく、画質の良好な180度 補間法が開発された。 360度補間における補間データの関係 Pitch 1 0° ビーム幅 Pitch 1.5 360° 0° 360° ビーム幅 0°の投影データの位置と範囲 360°の投影データの位置と範囲 重なりがないデータの補間は正確でない. 180度補間における補間データの関係 Pitch 1 Pitch 1.5 90° 0° Pitch 2 90° 90° 360° ビーム幅 270° 0° ビーム幅 360° 270° 360° 0° ビーム幅 90°の投影データの位置と範囲 270°の投影データの位置と範囲 50%オーバーラップは必要だが、25%程度でも容認できる. 270° 補間の効果(正確性)を画像間の補間で見る Z方向位値 +1mm スライス厚2mm +1mm ×0.5 -1mm Z方向位値 0mm Z方向位値 0mm 平均 + ×0.5 補間画像 0mmの真の画像 Z方向位値 -1mm やや不正確、しかし、容認できる範囲である。 Z方向に3mm間隔の画像を 補間有りと無しで、連続的に観察してみる。 補間無しと有りでのCT再構成のシミュレーションを 見てみましょう。 マルチスライスCTの基本的な再構成法 補間再構成法 *マルチスライスCTの最も基本的な再構成法 *1列ヘリカルの180度補間の応用である。 では、そのまま4列マルチでのピッチ1の状態を見てみましょう。 4列Pitch 1 1列Pitch 1 ビーム幅 90° 順向データ 90° 0° 0° 360° 対向データ 360° 順向データ ビーム幅 270° 270° 対向データ 補間用データ 1列ヘリカルでは ビーム幅=コリメーション 1列ヘリカルのPitch2~8に相当。 ビーム幅≠コリメーションなので、pitch1では 補間対が離れすぎてしまう。 マルチスライスCTの補間再構成法 4列Pitch 0.75 順向データ ビーム幅 対向データ 補間データ Pitch 0.75にすることで、対向データを用いて1列ヘリカルの Pitch 1に相当する補間が可能。 マルチスライスCTのピッチ 従来のPitch = 寝台移動距離 ビーム幅 Beam pitch= 寝台移動距離 ビーム幅 従来のPitchに相当する Pitchとして Pitch = 寝台移動距離 コリメーション幅 よって、Pitch=Beam pitchx列数となり、 4列でBeam pitch0.75は、Pitchでは0.75x4=3.0となる。 複数回転分の投影データの関係 2回転目 4列Pitch 0.75 順向データ ビーム幅 対向データ 1回転目 順向データ 対向データ 補間データ こんな図では、理解するのは相当難しい...そこで... マルチスライスCTの補間再構成の理解のために 展開図が多用される。 3rd rot. 1st rot. 1 2 1 3 2 2nd rot. 1 3 4 2 3 4 4 0 π Z方向 2π 対向データ 実データ 再構成位置 展開図を描くプログラムを見てみましょう。 目的スライス位置における補間 1 1 2 3 2 3 4 4 Z方向 コリメーション幅 補間データ対 フィルタ補間法 1st rot. 1 2 3 3rd rot. 2nd rot. 1 2 3 1 2 3 フィルタ幅 4 4 4 0 Z方向 Z方向 π 2π 対向データ zs 実データ z1 z2 zs z3 z4 フィルタ補間法 投影値 補間後の投影値 実測された投影値 z方向 z1 z2 目的位置 Δz z3 z4 フィルタ幅 重み付け関数 w(i) i -I 0 +I 補間後の投影データにあるフィルタ幅の重み付け関数を乗じる マルチスライスCTは、なぜ速いか。 寝台移動距離/回転= Beam pitch x コリメーション x 列数 列数に応じて確実に速くなる!! マルチスライスCTにおけるその他の再構成法 焦点軌道 再構成面 booklet Feldkampらの近似的3次元再構成法 斜平面の合成による 2次元再構成法 斜平面の合成による2次元再構成法 コーン角 焦点軌道 booklet 180度の角度範囲で、画像再構成することにより、 コーン角に沿った画像データとなる。そして、そのデ ータを合成して、再構成画像を完成させる。 マルチスライスCTの基本的な再構成法 ・投影データとその逆投影から再構成される。 ・個々の投影データどうしの計算によって補間 が可能。 ・マルチスライスでは、複数回転分の投影データを 補間して再構成する。 ・再構成データの合成による再構成法もある。
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