基礎編 - 日本DV防止・情報センター

DVの理解と解決・支援
基礎編
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの力学
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
女性への暴力(Domestic Violence)
夫・恋人など親密な関係にある男性から女性への
さまざまな形態の暴力であり、それを利用して
男性が女性を支配することをDomestic Violence
(DV)という。
つまり、パワーアンドコントロール(力と支配)の関係
優位に立つもの(多くは男性)は
彼らのもつ体力・経済力・社会的影響力の強さなどの
「力(パワー)」を用いて、
弱い立場のもの(多くは女性)を
「支配(コントロール)」する。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの暴力
身体的暴力・・・殴る、ける、引きずりまわす、突き飛ばす、
首をしめるなど
性的暴力・・・・・無理やりポルノなどを見せる、性器の露出
性的な行為を強要する、暴力的なセックスをするなど
心理的暴力・・・無視する、大切にしているものを壊す、大
声でどなる、おどす、ののしるなど
経済的暴力・・・生活費を渡さない、「誰のおかげで食べられ
るんだ」と言う、お金を取り上げたり、貯金を勝手におろす
など
社会的暴力・・・交友関係や電話や手紙などを細かく監視する、
つきあいを制限する、外出をさせないなど
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
さまざまな暴力
平手で打つ
殴る、蹴る
頭や身体を叩く
たばこの火を押しつける
刃物や武器などの凶器を使う
首を絞める
骨折させる
身体の部分を切断する
髪を引っ張る
物を投げつける
危害を加えると脅したり、実行する
凶器をちらつかせる
別れると殺すなどと脅す
自殺をすると脅す
目つきや表情や態度で女性を脅かす
殴るふりや物を殴るふりをして脅す
子どもの前で暴力をふるう
無視をする
欠点を挙げる
自分がいないと何も価値のない女と言う
罪悪感を感じさせる
罵る
女性の大切なものを壊したりペットを虐待する
妊娠中や病気で寝込んでいるときに辛く当たる
他人の前で恥ずかしい思いをさせる
中絶を休養する、拒む、避妊に協力しない
子どもを使って女性を脅迫する
子どもを取り上げると脅す
子どもの前で女性を非難・中傷する
行動の一つ一つを管理したり制限する
必要以上に嫉妬する
仕事を続けることを妨害する
実家や友人とのつきあいを制限したり、禁止したりする
外出や電話を細かくチェックする
手紙を無断で開封する
持ち物を勝手に点検する
家の中に閉じ込めて外出させない
家計の管理を独占する
生活費を渡さない
生活していけないほどの少額なお金しか渡さない
一方的に重要な決定を下す
一国一城の主のように振る舞う
性役割を一方的に決めつける
女性を召し使いのように扱う
暴力の責任を回避し、女性の責任へ転嫁する
暴力の程度を過小評価する
女性が望んでいない性行為を強要する
女性の性器や性行為について傷つける
女性を性欲を満たす対象とする
暴力的に性行為をさせる
不快・屈辱的なポーズや方法で性行為する
性的嫉妬心が常にある
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
サイクル
開放期
(ハネムーン期)
暴力は繰り返されます。
緊張
形成期
(張り詰めた期間)
爆発期
(暴力が起こる)
繰り返しながらさまざまに暴力の程度が過激さを増していく。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
逃げられない状況のプロセス
・
・被害者を自分の支配下におき、一種の奴隷化(被害者が望んでいると強要)。
・被害者が加害者以外との関係をいっさい絶つことを求め、孤立無援な状態で
加害者に絶対服従することが必要だと思い込まされる。
・その上で加害者は恐怖によって被害者を無力化し、孤立させて徹底的に支配
する。
・自分だけの力で何かを起こすことはほとんど絶望的だと被害者は感じる。
・たまに優しくされたり、手加減されたりすることで感謝の気持ちが出てくる。
(監禁状態における長期的な支配−屈従関係)
・被害者の自律や人間らしい気持ちを奪う。何でも聞かないとできない。指示と
支配なしには生きられない。
・被害者が逃げることを考えた時には、悔い改めるという約束や泣き落とし、
カップルなのだからこれ位は許しあうのが当然という「彼女の中に残る妻や
恋人としての最後の望み」を利用する。
・そのため恐怖と懐疑のあいだを揺れ動くなかで、エネルギーは消耗されていく。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
暴力を受けた女性の心理
 学習性無力感
早期の反応強化とそれに続く受動的な行
動
 複雑性PTSD
監禁状態におけるトラウマ
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
暴力をふるう男性像・
振るわれる女性像
あらゆる人種
あらゆる社会・経済的状況の人
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの原因ではないもの






遺伝
病気
アルコールやドラッグ
ストレスや怒り
手につけられれない態度、行動
被害者が加害者を煽動する
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
バタラーに共通する特徴
 自己評価が低い
 虐待関係について、すべて神話を信じている
 男性至上主義者で、家庭における男性の性役割を信じ
ている
 自分の行動を他人のせいにする
 病的なほど嫉妬深い
 二重人格を呈する
 重度のストレス反応をし、このため酒を飲んだり、妻を虐
待する
 男らしさを回復するために、セックスを支配的行動として
利用することが多い
 自分の暴力行為が悪い毛かを生むとは信じていない
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
バタードウーマンに共通する特徴
 自己評価が低い
 虐待的関係の神話を信じている
 伝統的な家庭主義で、家族の絆を重要視し、女性の性役割につい
て固定観念を持っている
 虐待者の行為について責任をとる
 罪悪感に悩んではいるが、彼女自身が恐怖と怒りを感じていること
を否定する
 社会に対しては受け身であるが、それ以上の暴力を受けたり殺さ
れたりしないように環境を操作する強さを持っている
 重度の精神的重圧反応があり、心理生理学的な苦情を訴える
 性行為に基づいた親密な関係を作り上げる
 自分以外に自分の苦境を解決できる者はいないと信じている
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
女性が虐待的関係にとどまる理由
・暴力は一時的なものであり、また正常ではない状況で
起こったものだと信じる
・彼はきっと変わってくれると願う
・彼の暴力を押さえ彼を助けられるのは自分だけと信じる
・男性はみな暴力を振るうものだと信じる
・経済的に依存している(自立への不安)
・家を出ようとしたら、報復されたり、もっとひどい虐待
を受けるのではないかと恐れている
・孤立、つまり社会(家族)からの支援の欠如
・諸機関からの援助の欠如
・将来の不安
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの法律
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV防止法
前文
(前略)配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な
人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも
十分に行なわれてこなかった。又、配偶者からの暴力の被
害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である
女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を
害し、男女平等の実現の妨げとなっている。(後略)
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV防止法:定義
第1条 定義
この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者から
の身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生
命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)または
これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいい、配偶
者からの身体に対する暴力等を受けたあとに,その者が離
婚をし、又はその離婚が取り消された場合にあっては、当該
配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等
を含むものとする。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV防止法:特徴
 DVの定義をつけたこと
 DVは犯罪であること
保護命令(接近禁止命令(本人と子ども)・退去命令
2ヶ月)
違反者は罰則(1年以下の懲役又は100万円以下の
罰金)
 DVは人権侵害・男女差別であること
 DV被害者の援助が必要であること
配偶者暴力相談支援センターの設置、相談・援助・一
時保護・自立支援(就業促進・住宅の確保など)、警
察本部長等の援助
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV防止法:保健医療関係者の役割
第6条2
医師その他の医療関係者は、その業務を行なうに当たり、
配偶者からの暴力によって負傷しまたは疾病にかかったと認
められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援
センター又は警察官に通報することができる。この場合におい
て、その者の意志を尊重するよう努めるものとする。
第6条3
刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律
の規定は前二項の規定により通報することを妨げるものと解
釈してはならない。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV防止法:保健医療関係者の役割
第6条4
医師その他の医療関係者は、その業務を行なうに当たり、
配偶者からの暴力によって負傷しまたは疾病にかかったと
認められる者を発見したときは、そのものに対し、配偶者暴
力相談支援センター等の利用について、その有する情報を
提供するよう努めなければならない。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
援助機関:相談や援助
 配偶者暴力相談支援センター(各都道府県・市町
村)
 警察(生活安全課)
 男女共同参画センターや女性センター
 自治体の福祉関係デスク
 私的な相談機関
など
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの実態
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV被害の現状
配偶者等からの暴力被害経験(複数回答)(女性)
0
5
身体に対する
A 暴行を受けた
身体
10
4.8
15
女性の5人に1人
(19.1%)はこれらの行為
(A,B,C)のいずれかを1
度でも受けている
10.7
恐怖を感じる
B ような脅迫を
恐怖 1.5
2
うけた
C 性的な行為を
性的
強要された
3.4
20 %
何度もあった
1,2度あった
5.6
命の危険を感じた経験(回答者全体)
0
女性(1714人)
男性(1409人) 0.7
5
4.4
10
15
20 %
13.8
8.2
感じた
感じなかった
科学研究費補助金基盤研究(B)に
内閣府「配偶者等からの暴力に関する調査」(平成14年)
より作成した
女性の約20人に1人が配
偶者等からの暴力によっ
て身の危険を感じている
実態:日本
1987年 民間調査
DV被害者の8割以上がけがを負っていた
1992年 大阪府民間調査
DV被害者の約6割は病院で治療を受けていた
2000年 内閣府調査
約20人に1人の女性がDVで命の危険を感じていた
2003年 内閣府調査
繰り返し暴力を受けている人の3人に1人が医療処置
が必要となる程のけがを負っていた
DV被害者の4人に3人は医療機関を受診していた
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
実態:アメリカ
 年間100万人の女性が、けがを負っている
 4人に1人 (28%)の女性は、生涯にわたる障害を受け
ている
 9人に1人が救急治療室で治療を受けている
 けが等で障害を受けた女性の2人に1人 (54%) が、
救急治療室で治療を受けている
 自殺を図った女性の4人に1人がDV被害者
 妊婦の5人に1人がDV被害者
 子どもが虐待を受けている家庭の母親の半数以上が
DV被害者
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
被害の深刻化
死亡:年間約200人
心身の健康障害
身体的障害
複雑性PTSD
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの影響
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
暴力が及ぼす女性の健康への影響




身体的影響
妊娠/出産に関する影響
精神的影響
生活障害
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
外傷
・頭部、顔面、頚部、胸郭、乳房、腹部への外傷
・繰り返す性感染症
・複数の外傷
・鼓膜穿孔、眼窩骨折、歯損傷、顎骨骨折、顔面骨骨折
頚部圧迫
・タバコに等よるやけど、胸部損傷、横隔膜損傷、
外陰部損傷、四肢捻転
・身体の左側の外傷
・過去に外傷の緊急処置を受けた経験
・明白な病因のない慢性疼痛症状
・妊婦の外傷
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
「関連性のない」健康への影響





高血圧
糖尿病
過敏症大腸炎や過敏症腸症候群
子宮内膜症や月経前症候群(PMS)
その他
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVと身体的愁訴
・DVを受けている女性に明らかに多いのは、
頭痛、背部痛、食欲不振、性器出血
腟炎、下腹部痛、性交痛、尿路感染症
STI、腹痛、消化器症状
・婦人科的問題、中枢神経系の問題、あるいは
ストレス関連疾患が50ー70%多い
・身体的暴力に加え性的暴力も受けている場合に
はさらに多くなる
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
理解されにくい後遺症
 頭痛・顔面の傷のその後・・・
偏頭痛、視力低下、難聴、慢性の鼻づまり、噛み
合わせ障害など
 手足の傷のその後・・・
痛みに過敏、むくみ、焼け付くような痛み、皮膚・
爪・骨の萎縮など
 頚部・腹部圧迫のその後・・・
息苦しさ、下腹部痛など
 骨折やねんざのその後・・・
関節痛、神経損傷によるしびれ感、腰痛など
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
妊娠中の暴力
米国では、0.9~20.1%(3.9~8.3%)の女性
が妊娠中にパートナーからDVを受けている。
WHOにおける調査では、4人に1人の女性が
妊娠中にDVの被害にあっている。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
妊娠中の暴力と児の予後
警察へ訴え出たDV
Seattle、1995-1999年の統計
4
3
2.54
2.54
1.7
2
1.61
1
亡
死
1週
児
生
新
早
産
20
-3
6週
-3
早
産
20
<1
BW
VL
W
<2
50
50
0g
0g
0
LB
調整オッズ比
3.49
Obstet Gynecol. 2003 Sep;102(3):557-64.
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
精神的影響





睡眠障害
薬物濫用(アルコール中毒など)
不安、パニック
よくうつ
PTSD
DV被害者のPTSD有病率は31~84%である
 自殺念慮または未遂
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV女性の入院歴
18ー44歳の女性 Washington
1-year retrospective cohort study
5
4
3
4.9
3.7
2
3.6
1
1.9
1.8
患
疾
神
精
や
が
け
消
化
器
中
疾
毒
患
行
暴
殺
企
図
0
自
調整オッズ比
6
Am J Public Health. 2000;90:1416-20
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
複雑性PTSD
 感情コントロールの障害
持続的不機嫌、うつ、慢性的な自殺念慮、自分
を傷つける行動
 意識状態の障害
記憶にまつわる障害、離人症、一過性の解離
 自己イメージに関する障害
絶対的無力感、自分が壊れてしまったよう自覚、
自責感と罪悪感、遊離
 人間関係に関する障害
孤立と引きこもり、人への不信と依存
 その他
絶望感、自暴自棄
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV被害とうつ状態
 憂うつで何もする気力が
ない
 何をやってもうまくいかな
いと感じる
 考えが浮かばず、頭の
回転が遅くなる
 些細なことを過剰に心配
する
 自分を責めてばかりいる
 眠れない
 疲れやすい
 死にたくなる
 人に会うのが苦痛になる










口数が減る
元気がない
イライラして見える
妙に落ち着きが無く動き
回る
心身共に消耗して見える
注意力・集中力がない
仕事の能率が低下する
自殺を図る
食事量が減る
身辺が不潔になる
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
日常生活への影響
・無気力、絶望感
・いつもびくびく
・自分に自信がなくなる
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
生活への影響
明るく元気なほうである
そう思う
そう思わない
どちらともいえない
67.0
暴力を受ける前(N=379)
暴力を受けた後(N=379)
暴力経験なし(N=414)
0%
25.3
7.1
32.5
54.8
20%
19.5 6.3
35.1
5.6
40%
無回答
60%
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
22.2
80%
7.1
17.4
100%
生活への影響
人との付き合いがおっくうである
そう思う
そう思わない
どちらともいえない
暴力を受ける前(N=379) 10.0
暴力を受けた後(N=379)
60.9
44.3
暴力経験なし(N=414) 9.9
0%
23.0
24.5
43.2
20%
40%
無回答
23.5
29.0
60%
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
6.1
7.7
17.9
80%
100%
生活への影響
好奇心が旺盛で、行動的である
そう思う
そう思わない
60.9
暴力を受ける前(N=379)
暴力を受けた後(N=379)
暴力経験なし(N=414)
0%
どちらともいえない
31.9
38.9
20%
無回答
10.3
28.2
32.5
13.3
40%
22.4
30.4
60%
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
6.3
7.4
17.4
80%
100%
生活への影響
なんとなく自信がない
そう思う
そう思わない
暴力を受ける前(N=379)
22.2
暴力を受けた後(N=379)
暴力経験なし(N=414)
0%
どちらともいえない
45.9
50.9
21.7
21.4
34.3
20%
40%
無回答
25.3
6.6
18.5
9.2
26.6
60%
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
17.4
80%
100%
DVと子どもの虐待
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
暴力環境下の子どもの影響




暴力の被害
ネグレクトの被害
暴力の学習
暴力の世代間連鎖
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVの危険度
致命的な攻撃
身体の暴力、性的な暴
行、殺すや死ぬと脅す、
武器を使用
態度や行動で支配する
脅迫、脅えさせる
大切な物を壊す
夫婦間の葛藤、争論、大声でわめく
子どもの数
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
暴
力
の
重
大
さ
DVにより健康を害した女性の母親と
しての態度と子ども
 身体の様々な障害により子育てに影響を及ぼす
 妊娠中からの暴力が子どもの成長発達に影響を及
ぼす
 暴力による精神的影響が、子育てに影響を及ぼす
 夫の子どもへの権威誇示や暴力行為を荷担する
 夫から虐待を受けている女性が自分の子どもを虐
待する確率は、そうでない女性に比べて、2倍高い
 暴力によって健康を害した母親に対し、助けること
ができなかったと子ども自身が自責する
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV加害者の父親としての態度と子ど
も
1.パートナーに対する暴力的な態度とは違い、
子どもに対して優しい
2.子どもに無関心
3.パートナーの子育てに口を挟み、母親を介
して子どもを支配する
4.子どもに対して権威的態度
5.子どもへの虐待
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
1.パートナーに対する暴力的な態度
とは違い子どもに優しい親と子ども
 経済的な貢献を惜しみなくする
父親の存在を誇示
 良い父親像をアピール
子どもはアンビバレンス(相反する感情)を抱き
やすい
 アンビバレンス(相反する感情)な状況、つまり暴
力を目撃している状況は、直接に虐待を受け続
けている子どもよりも精神疾患の原因になりや
すい
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
2.子どもに無関心な親と子ども
 子どもは所有物、権威が及ぶものと考え子育て
は母親の責任であると母親を強要
 家族のために自分のやりたいことを妥協する、
我慢することを嫌う
 子どもについての知識不足
 発達に相応しくない行動を子どもに要求する
 子どもに身体的な愛情表現をすることが少ない
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
3.子育てに口を挟み子どもを支配す
る親と子ども
 子どもが自分に従わないとき、子どもに対してで
はなく、母親を罵る
子どもが父親に対して無条件に従うよう、子ども
が父親に反抗しないよう、母親に指示
 パートナーの子育てを否定・非難し、自分の子育
てが絶対とする
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
4.子どもに対して権威的な親と子ども
 子どもの前で母親を傷つけ家族を支配下におく
父親としての報いや評価を無条件で得られるという特権意識や自
己中心性が強い
 子どもの考えや行動、感情など全てを一方的に命令し子どもを意
のままにする
無条件に父親の権威に従うことを期待し、男児は厳格な支配を受
けやすい
 女児は罵るなど言葉を用いた抑圧を受けやすい
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
5.子どもを虐待する親と子ども
 DV加害者は子どもに対しても所有物であるとし、
子どもを虐待する
 妊娠中の女性への暴力、胎児への虐待
 DVを受けている母親からの子どもへの虐待
 両親の子どもへの無関心によるネグレクト
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
子どもを虐待する親と子ども
 妻を虐待する夫の64.4%が子どもへ虐待
 DVのうち68.2%が子どもへの虐待の経験がある
 DVのある家庭の4割のこどもはDVを目撃(何度もDVがある家庭で
は6割)
 DVが起こると子どもへの虐待発生を70%増加させる(
 DVのある家庭では、ない家庭に比べて約2倍の頻度で子どもの虐
待が発生
 DVの殺人被害者のうち、27%の被害者が子どもであった
 DVにより、生命に危険のある暴力の、約5件に1件の割合で子ども
の命が奪われている
 DVによる殺人未遂被害者の25.8%が妊娠中であった
 DV被害と低出生体重児出産は関連し、DV被害により低出生体重
児を出産するリスクが高い
 身体的暴力の頻度が重いほど、新生児の体重が少なかった
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DV環境下にいる子どもの影響
1.暴力の世代間連鎖
2.情緒・行動・発達面に影響し問題が発生
しやすい
3.虐待による影響
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
1.暴力の世代間連鎖
 特に男児が暴力的な行動を取るなどの影響が高く
なる
 DV環境下で育った子どもは成人後、自分のパー
トナーに虐待する可能性が高い
 性役割に関する固定観念を抱きやすく女性に対す
る否定的態度を取りやすい
 他人を支配する手段として暴力は有効であると学
ぶ
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
2.情緒・行動・発達面に影響し
問題が発生しやすい
 DVにさらされる子どもに、問題行動が多くなる
 発達障害、学習困難、集中力の欠如、自殺傾
向、アルコール薬物濫用、抑うつ、暴力への関
与など、情緒面・行動面に問題がおこる
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
3.虐待による影響
 DVの環境下で暮らす
子どもは、被虐待児で
ある。
 DVの環境下にいる子
どもへのケアは、子ど
もの虐待ケアに準じる。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
影響の変数
・子どもの年齢
・性別
・反復性
・激しさ
・密室性
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
DVに対する保健・医療
の機能と役割
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
医療や公衆衛生は、DVへの対
応・対処という面で、どのような役割
を果たすことができるだろうか。
どのようなことを期待されているだ
ろうか。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
より作成した
保健医療関係者がDVの問題に
取り組む必要性の理由
 DVは医療・公衆衛生に関係する健康問
題であるから。
「DVで死ぬかもしれない」と思った人は20人に1人である。
 医療機関がDV被害者の早期発見機関
になり得るから。
DV被害者のうち,身体的暴力を受けた人の8割はケガをしてお
り,その半数が病院を受診している.
 医療機関は地域のDV解決支援機関で
もあることから。
科学研究費補助金基盤研究(B)に
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日常的な取り組み
 問診
口頭や書面でのDVに関連する
問診と一般的な問診
 ポスター、カード、小冊子の提供
 全スタッフの訓練
 他の機関との連携(施設内・外)
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皆さん一人一人の理解と協力が社会を変えていく
暴力を受けても仕方ない人などいない
どんな人にも暴力をふるってよい権利はない
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ありがとうございます。
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