ブドウの栽培管理

ブドウの栽培管理
○生長にかかわること
○実習にかかわること
栽培品種:藤
稔
(ピオーネ×井川682)
平均気温:真岡市の年間平均気温13℃
○休眠期の施肥(収穫後~発芽前)
〈 4月以降の成長を促すため、元肥・酸性土壌の調整をします。 〉
•元肥料
↑トラクターによる表層の耕耘で肥
料と空気をまんべんなく土壌に
与えます。
石灰によるpH調整
ブドウ(アメリカ種)の適性pHは7.2~7.6
○ ハウス被覆( 4月頃 )
〈 生育温度を高め、雨に当てないことで病気予防の効果があります。 〉
地温の上昇と
発芽の促進効果も
ねらっています。
Before
After
○ 発芽前の活動(自発休眠の覚醒)
〈 地温が上昇すると根が活動し、ブリーデイングが始まります。 〉
発芽促進のための灌水
根の活動(吸水)が始まると枝の切り口
から樹液が出てきます。
これをブリーデイング(溢泌)と言います。
○ 発 芽 ( 4月初旬 )
〈 十分に水が回ってくると硬かった芽が動き出し発芽します。 〉
3月中の芽の様
子、堅いリン片に
包まれています。
芽の動きだし
リン片が割れて
綿毛があらわれ
ます。
2日後
4日後
○ 展 葉 ( 新梢の伸長 )
〈 発芽から開花までは、前年度の貯蔵養分が成長に影響します。〉
展葉と伸長は
同時に進みます。
貯蔵養分が充分に
あると結果母枝から
均一に発芽します。
○ 花穂の発生 (ブドウは混合花芽)
〈 葉が2~3枚展開すると新梢に花穂があらわれます。 〉
葉芽と花芽を
一緒にもつ芽
のこと。
4月下旬の発生から5月下旬の開花まで花穂は伸び続けます。
○ 花穂の整房( 5月下旬 )
〈 開花前に花ぶるいの防止や形を整えるために切り込みます。 〉
開花前まで、
花穂は伸び
続けます。
〈 実習風景 〉
○ 開 花 ( 5月下旬 )
〈 開花すると花冠(キャップ)がとれ、雄しべと雌しべが現れ受粉します。 〉
雌しべ
花冠
雄しべ
○ 開花後の無核化処理
〈 植物ホルモンを満開時とその10日後に分けて与えることで
種無し(無核)ブドウが出来ます。 〉
房全体を浸す
ドブ漬け作業
食紅を使うため処理
の有無がわかる。
• 植物ホルモンはジベレリンやフルメット
などを利用
• 1回目は果実の無核化効果
処理前
• 2回目は果実の肥大効果
処理後
○ 果実肥大第一期(開花後30~40日間)
〈 結実後、細胞分裂が盛んに行われ急速に果粒が肥大します。 〉
○ 花穂の整房・摘房
〈 整房作業二回目、前回の残りや伸びすぎたものを切り込みます。〉
過剰の場合は摘房
し房ごと取り除きま
す。
○ 果実肥大第二期(硬核期)
〈 果実肥大が緩やかな期間で、胚が発達して種子が硬化します。 〉
○ 果房の摘粒
〈 小果・変形果・病虫害果の除去・肥大による潰し合いの防止。 〉
1粒15gならば1房500g
にするため、すき間を空
けて33粒残すように摘
粒する。
○ 袋掛け( 7月梅雨明け )
〈 雨除けハウス除去後の病害虫の物理的防除になります。 〉
房全体を包んで穂柄
のところで口を縛りま
す。
摘粒後・袋掛け直前の様子
袋掛終了後の葡萄園
○ 新梢管理 (葉数と受光率)
〈 枝葉の重なりは病害虫の住処をつくり、光合成阻害になります。 〉
風通しが良く
なり病害虫
の発生抑制
必要のない新梢を間引き、
枝葉の重なりを無くします。
葉1枚づつの受光率
が増え、光合成が盛
んに行われる。
○ ブドウ園の虫たち
〈 害虫の被害・無害な虫。 〉
害虫を食べてくれ
るありがたい虫達
枝や葉を食
べる害虫
コガネクモ
スズメガ類
ヨトウ虫
カエル
○ 果実の病気や障害
〈 果実にでる微生物の病気や水分過多で起こる生理障害。 〉
灰色カビ病
うどんこ病
裂果後に酵母が増殖
こんなにも廃棄しなければ
ならない時もあります。
オソグサレ病
黒カビ病
○果実肥大第三期(果房の成熟)
〈 果実が急激に肥大・軟化し、糖と着色品種の果皮にアントシアニンが
蓄積されていきます。〉
着色直前(7/10)
良くない着色
(7/24)
良い着色、まだらに出る
成熟!!(8/20)
○ 収穫期( 8月下旬 )
〈収穫は品種の特徴・カラーチャート・糖度を目安にしていきます。〉
摘粒の加減で
調整した結果で
す。
○ 収穫期以降の果樹園
〈 収穫後は来年の貯蔵養分をためるための大切な時間です。〉
収穫後、葉は黄化するまで光合成を続け、光合成産物は翌年の貯蔵養分となります。
気温下ると樹は落葉し自発休眠
に入ります。
○ 剪 定 ( 休眠期の作業 )
〈 落葉が終わり樹が休眠期に入ったら、整枝・剪定を始めます。 〉
新梢の重なりなどを切り、枝の配置を動かし、来年分の新梢が
成長できる空間をつくる。
○ 剪定くずの処理
〈 剪定で出る枝は木質化され、簡単に分解されないので処理方法が
検討されています。 〉
例:チップ化による雑草防除