研究代表者 箕浦 高子 研究員

理工学研究所 共同研究第1類
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理工
微小管ドラッグ感受性突然変異株による
チューブリン機能ドメインの同定
研究代表者
◊✲௦⾲⪅ 箕浦
⟪ᾆ 高子
㧗Ꮚ 研究員
◊✲ဨ
はじめに
微小管はα-およびβ-チューブリンのヘテロ⼆量体が規
๶৵ଵमȘ-उेलș-ॳগ‫ش‬ঈজথभঊॸট੸୤৬ऋૠ
則的に配列した管状重合体であり、細胞分裂時の紡錘体や
ಋ৓पଦഔखञଵ૾੎়৬दँॉ‫ؚ‬಍ཝীຝৎभၯᑪ৬ृ
鞭毛・繊毛の主軸を形成する。コルヒチンやノコダゾール
Ꮖห‫ྐ؞‬หभ਌ກ॑஄ਛघॊ‫؛‬॥ঝ঄ॳথृঀ॥ॲ॰‫ش‬ঝ
など、微小管の重合を阻害する薬剤の多くはβ-チューブ
ऩन‫ؚ‬๶৵ଵभ੎়॑༛૩घॊఇදभ੗ऎमș-ॳগ‫ش‬ঈ
リンの特定の部位に結合し、そのコンフォメーションを変
জথभ્৒भ৖ਜ਼प੥়ख‫ؚ‬जभ॥থইज़ও‫ش‬३ঙথ॑૗
化させることにより、微小管重合を妨げる。微小管の重合
৲औचॊऒधपेॉ‫ؚ‬๶৵ଵ੎়॑࿉ऑॊ‫؛‬๶৵ଵभ੎়
阻害は細胞分裂を抑制するので、これらの薬剤は抗ガン剤
༛૩म಍ཝীຝ॑೪਑घॊभद‫ؚ‬ऒोैभఇදमಿफ़থද
としても⽤いられる。本研究は、突然変異株の作出が容易
धखथु৷ःैोॊ‫؛‬মଢ଼஢म‫ؚ‬఍ே૗౮ઙभ੿লऋઍಔ
なモデル生物クラミドモナスからこうした薬剤に耐性を示
ऩঔॹঝে੟ॡছ঑ॻঔॼ५ऊैऒअखञఇදपິਙ॑ં
す突然変異株を単離し、微小管ドラッグの効果を分子構造
घ఍ே૗౮ઙ॑౐௞ख‫ؚ‬๶৵ଵॻছॵॢभ஍ટ॑ী৕ଡୗ
のレベルで解析しようとするものである。
भঞঋঝदੰෲखेअधघॊुभदँॊ‫؛‬
GDP
(2)hpr1 ૗౮भ৊৒
変異の同定
‫كڮق‬hpr1
遺伝⼦配列を解析した結果、
఩஫৕ଦഔ॑ੰෲखञ੥ટ‫ ؚ‬hpr1の原因遺伝⼦はシャペロン
hpr1भਉ౤఩஫৕म३কঌটথ
タンパク質APM1{HSP40(熱ショックタンパク質)の一つ}
ॱথঃॡସAPM1‫و‬HSP40‫ق‬೸३ঙॵॡॱথঃॡସ‫ك‬भ঳ण‫ى‬
をコードする遺伝⼦APM1であり、全⻑450アミノ酸のうちの18
॑॥‫ॻش‬घॊ఩஫৕APM1
৕
दँॉ‫ؚ‬৸শ450॔঑ঀ෷भअठभ18
番目のグリシンが終⽌コドンに変化するナンセンス変異が⽣じ
୞৯भॢজ३থऋીૃ॥ॻথप૗৲घॊॼথ७থ५૗౮ऋেग
ていることが判明した。APM1の変異株はこれまでにもいくつか
थःॊऒधऋਖ਼৥खञ‫؛‬APM1भ૗౮ઙमऒोऽदपुःऎणऊ
報告されているが、null変異株が得られたのは、これがはじめて
ਾઔऔोथःॊऋ‫ؚ‬null૗౮ઙऋ੭ैोञभम‫ؚ‬ऒोऋमगीथ
である。
दँॊ‫؛‬
野生株
৙েઙ
ATGCCCGGGGGCTTTGGAGAAATG
60
ATGCCCGGGGGCTTTGGAGAAATG
GGAG
60
M P
P G
G G
G F
F G
G E
E M
M
20
M
20
hpr1
ATGCCCGGGGGCTTTTGAGAAATG
60
ATGCCCGGGGGCTTTTGAGAAATG
TGAG
60
M P
P G
G G
G F
F *
*
18
M
18
図3)APM1
௕3‫ك‬APM1 のcDNA部分配列(上段)および推定アミノ酸配列(下段)
भcDNA৖ীଦഔ‫ق‬঱஺‫ك‬उेल௓৒॔঑ঀ෷ଦഔ‫ৣق‬஺‫ك‬
β-tubulin
ș-tubulin
(3)抗
‫كگق‬ಿ APM1 抗体の作成
ಿ৬भ੿ਛ
コルヒチンなどの
॥ঝ঄ॳথऩनभ
結合部位
੥়৖ਜ਼
GTP
APM1-MBP 融合タンパク質を抗原とする抗
੆়ॱথঃॡସ॑ಿਉधघॊಿ APM1 抗体を作
ಿ৬॑੿
成した。野生株の細胞体にのみ、APM1タンパク質が検出された。
ਛखञ‫؛‬৙েઙभ಍ཝ৬पभा‫ؚ‬APM1ॱথঃॡସऋਫ਼লऔोञ‫؛‬
プロピザミド
উট
উটআ२঑ॻ
図1)微小管と、その構成単位である
௕1‫ك‬๶৵ଵध‫ؚ‬जभଡਛ౐ਜ਼दँॊ
α/β-チューブリンヘテロ⼆量体の構造
̢̣-ॳগ‫ش‬ঈজথঊॸট੸୤৬भଡୗ
図2)微小管ドラッグ、
௕2‫ك‬๶৵ଵॻছॵॢ‫ؚ‬
プロピザミドとコルヒチン
উটআ२঑ॻध॥ঝ঄ॳথ
(1)新規プロピザミド耐性変異株 hpr1 भ౐௞
の単離
‫كڭق‬ৗૠউটআ२঑ॻິਙ૗౮ઙ
UV照射によってクラミドモナスに突然変異を誘導し、新規プ
UVසೝपेढथॡছ঑ॻঔॼ५प఍ே૗౮॑ා଑ख‫ؚ‬ৗૠউ
ロピザミド耐性変異株 hpr1 ॑౐௞खञ‫؛‬
を単離した。 hpr1 मউটআ२঑ॻ
はプロピザミド
টআ२঑ॻິਙ૗౮ઙ
だけでなく、コルヒチンに対しても極めて高い耐性を示す。
टऐदऩऎ‫ؚ‬॥ঝ঄ॳথपৌखथुாीथৈःິਙ॑ંघ‫؛‬
表1)hpr1 भউটআ२঑ॻິਙ‫ق‬಍ཝੜ༢भ৒ਙ৓ૻຎ‫ك‬
のプロピザミド耐性(細胞増殖の定性的比較)
਀1‫ك‬hpr1
プロピザミド濃度 (M)
2
4
6
8
10
20
30
35
++
+
-
-
-
-
-
++
+
+
-
hpr1 +++ +++ +++ +++ +++
表2)hpr1
਀2‫ك‬hpr1 のコルヒチン耐性(細胞増殖の定性的比較)
भ॥ঝ঄ॳথິਙ‫ق‬಍ཝੜ༢भ৒ਙ৓ૻຎ‫ك‬
コルヒチン濃度 (mM)
0
野生株 +++
hpr1
+++
0.5
1
1.2
各関
要
空気圧
軸方向
径方向
コルヒチン
これまでの経過
0
装
・広
空
α-tubulin
Ș-tubulin
野生株 +++ +++
・セン
・高出
1.4
1.5
2
4
+++
++
++
+
-
-
-
+++
+++
+++
+++
++
+
-
–, swollen, dead cells incapable of dividing; +, some normal-sized dividing cells
++, many normal sized, dividing cells; +++, mostly normal sized, dividing cells.
共同研究者
ુ৊ଢ଼஢঻
岩舘
గ࿂ 満雄(研究員、理⼯学部准教授)
௥௟‫ق‬ଢ଼஢৩‫ؚ‬৶ੵ৾৖ၳઇ౸‫ك‬
小泉
࿖ื‫૆ق‬ଢ଼஢৩‫ؚ‬৶ੵ৾ଢ଼஢ఐে୵ఐ৾௧వ೗૒ୖ
৵೎ 淳也(準研究員、理⼯学研究科生命科学専攻博士課
程前期2年)
ங৐਋‫ڮ‬ফ‫ك‬
神谷
ઋદ 律(客員研究員、学習院⼤学理学部客員教授・理⼯
൅‫ق‬௢৩ଢ଼஢৩‫ؚ৾‬ಆ੹প৾৶৾৖௢৩ઇ౸‫؞‬৶ੵ
学部共同研究員)
৾৖ુ৊ଢ଼஢৩‫ك‬
― 12―
①:発現誘導前の
⋇‫؟‬৅ਠා଑৐भ
⼤腸菌全タンパク質
পႯ༳৸ॱথঃॡସ
②:発現誘導後の
⋈‫؟‬৅ਠා଑৏भ
⼤腸菌全タンパク質
পႯ༳৸ॱথঃॡସ
③:アミロースによる
⋉‫॔؟‬঑ট‫ش‬५पेॊ
アフィニティ精製画
॔ইॕॽॸॕಖଲ઺
分
ী
図4)APM1-MBP融合タンパク質の精製
௕4‫ك‬APM1-MBP੆়ॱথঃॡସभಖଲ
①:野生株、細胞体
⋇‫؟‬৙েઙ‫ؚ‬಍ཝ৬
②:hpr1、細胞体
⋈‫؟‬hpr1‫ؚ‬಍ཝ৬
③:野生株、鞭毛軸糸
⋉‫؟‬৙েઙ‫ؚ‬Ꮖหກໃ
④:hpr1、鞭毛軸糸
⋊‫؟‬hpr1‫ؚ‬Ꮖหກໃ
*:非特異的反応
‫؟ٮ‬శ્౮৓ખૢ
MR
図5)抗APM1抗体による
௕5‫ك‬ಿAPM1ಿ৬पेॊ
ウエスタンブロッティング
क़ग़५ॱথঈটॵॸॕথॢ
hpr1 はapm1のnull変異株と判明した(図3)。抗
मapm1भnull૗౮ઙधਖ਼৥खञ‫ق‬௕‫؛كگ‬ಿ
APM1抗体を⽤いたウエスタンブロットの結果、野生株の
APM1ಿ৬॑৷ःञक़ग़५ॱথঈটॵॺभ੥ટ‫ؚ‬৙েઙभ
APM1は主に細胞体に局在することが明らかになった(図
APM1म਌प಍ཝ৬पଂ૔घॊऒधऋ৥ैऊपऩढञ‫ق‬௕
5)。APM1
は細胞質内ではたらく唯一の1型HSP40であ
‫؛كڱ‬APM1 म಍ཝସ৔दमञैऎི঳भ1஑HSP40दँ
り、それが全く発現しなくても細胞の増殖性や運動機能に
ॉ‫ؚ‬जोऋ৸ऎ৅ਠखऩऎथु಍ཝभੜ༢ਙृઈ৿ਃચप
一⾒何の異常も認められなかったことは、意外である。
঳ৄ୦भ౮ଞुੳीैोऩऊढञऒधम‫ؚ‬ਔਗदँॊ‫؛‬
また、hpr1
ऽञ‫ؚ‬hpr1 は既存のapm1
मใோभapm1 変異株とは異なり、APM
૗౮ઙधम౮ऩॉ‫ؚ‬APM
やプロピザミドだけでなく、コルヒチンにも耐性を示す新
ृউটআ२঑ॻटऐदऩऎ‫ؚ‬॥ঝ঄ॳথपुິਙ॑ંघৗ
規の性質をもつ(表1,2)。
ૠभਙସ॑ुण‫؛كڮ؜ڭ਀ق‬
HSP70/HSP40シャペロンシステムでは、タンパク質の
HSP70/HSP40३কঌটথ३५ॸ঒दम‫ॱؚ‬থঃॡସभ
フォールディング活性を担うHSP70は数種類に限られて
ইज़‫ش‬ঝॹॕথॢણਙ॑૿अHSP70मਯரథप଒ैोथ
おり、多数存在するHSP40がそれぞれシャペロン作⽤の
उॉ‫ؚ‬੗ਯோ૔घॊHSP40ऋजोझो३কঌটথ੿৷भ
対象を限定すると考えられている。apm1変異により
ৌ଴॑଒৒घॊधઅइैोथःॊ‫؛‬apm1૗౮पेॉ
チューブリン重合阻害剤に対する性質が変わることから、
ॳগ‫ش‬ঈজথ੎়༛૩දपৌघॊਙସऋ૗ॎॊऒधऊै‫ؚ‬
APM1はチューブリンまたは微小管をHSP70/HSP40シャ
APM1मॳগ‫ش‬ঈজথऽञम๶৵ଵ॑HSP70/HSP40३ক
ペロンシステムに誘導する機能をもつ可能性が考えられる。
ঌটথ३५ॸ঒पා଑घॊਃચ॑ुण૭ચਙऋઅइैोॊ‫؛‬
あるいは、微小管を不安定化または脱重合させる因子のは
ँॊःम‫ؚ‬๶৵ଵ॑ਂ਍৒৲ऽञम൓੎়औचॊ౤৕भम
たらきを阻害することにより、間接的に微小管を安定化さ
ञैऌ॑༛૩घॊऒधपेॉ‫ؚ‬৑ம৓प๶৵ଵ॑਍৒৲औ
せている可能性もある。
चथःॊ૭ચਙुँॊ‫؛‬
本研究により⾒出された微小管と微小管ドラッグ、シャ
মଢ଼஢पेॉৄলऔोञ๶৵ଵध๶৵ଵॻছॵॢ‫ؚ‬३ক
ペロンとの新たな関係は、新タイプの抗がん剤開発への手
ঌটথधभৗञऩঢ়બम‫ؚ‬ৗॱॖউभಿऋ॒ද৫৅षभু
がかりを与えるものである。
ऋऊॉ॑ଖइॊुभदँॊ‫؛‬
・肘関
トル
・部品
・上腕
<
ポテ ン
ひ