市営住宅の現在の状況 【 概略】 ・現行の収入基準は、本来階層で158,000円/月以下、裁 量階層で214,000円/月以下 ・入居抽選倍率は二極化(※鳥取地域は高倍率、合併地 域は低倍率、参考資料⑦入居者募集の状況、応募倍率参照) ・応募者の9割以上、入居者の8割以上が生活保護世帯 を含む収入分位⑴の0~104,000円/月以下 ・入居が公開抽選によって決定するため、上限額に近い 世帯が当選し、最下層の世帯が落選する可能性 ・入居者の高齢化、入居年数の長期化による回転率の悪 化(終の棲家) ・住民コミュニティーの弱体化が進行中(役員選出等の困 難さ、高齢単身者の孤独死、等) 収入基準見直しのメリット・デメリット 【基準引き上げの場合】 【メリット】 ・新たな階層の入居による住民コミュニティーの活性化 ・家賃収入の増加 【デメリット】 ・応募倍率の上昇、民間賃貸住宅との競合 ・本来の市営住宅の趣旨(住宅困窮者の救済)から乖離 【基準引き下げの場合】 【メリット】 ・応募倍率の低下、民間賃貸住宅との共存 ・本来の市営住宅の趣旨に合致 【デメリット】 ・階層構成の偏りによる住民コミュニティーの弱体化 ・家賃収入の減少(※新基準案で試算した結果、年間約4千万円程 度の収入減少の可能性、 参考資料⑧中、家賃収入減額試算参照) 新入居収入基準(案) 現 行 基 準 新 基 準 (収入分位⑦50%) 259,000円上限 (収入分位⑥40%) 214,000円上限 (収入分位④25%) 158,000円上限 (収入分位③20%) 139,000円上限 (収入分位①10%) 104,000円上限 一般入居者 (本来階層) 高齢者や 障がい者など (※裁量階層) ※裁量階層=特に居住 の安定を図る必要があ ると認める世帯 一般入居者 (本来階層) 高齢者や 障がい者など (※裁量階層) 収入基準引き下げに関連した措置(案) ①改良住宅の収入基準を同水準に統一 ・現在の改良住宅の収入基準は、本来階層114,000円/月以下、裁量階層 139,000円/月以下となっているが、これを公営住宅と同基準とする。 ※改良住宅:住宅地区改良法の規定に基づき、不良住宅が密集する地区の改良事業として建設された住宅。 ②加算家賃に猶予期間 ・引き下げにより収入超過となる現入居世帯に対する加算家賃は、経過措 置規定により、例えば5年間の猶予期間を設ける。 ③合併地域と子育て世帯に対する特例 ・合併地域の市営住宅を対象に、裁量階層である子育て世帯の収入基準を 最高上限額259,000円/月以下に引き上げ、将来へのステップアップの場とし て活用できるようにすると同時に、合併地域の活性化を図っていく。 ④裁量階層の「子ども」の定義の変更 ・特に居住の安定を図る必要がある者として、国が定めていた同居者である 子どもの規定を「小学校就学の始期に達するまでの者」から「義務教育終了 までの者」に引き上げ、子育て世帯の入居の可能性を拡大する。 ⑤更なる追加措置等 ・更なる追加措置や制度新設の必要性が認められる場合には、今後も状況 に応じて検討し、新しい基準の円滑な運用を図っていく。 新入居収入基準(案)の考え方 ①近年の雇用経済情勢の悪化等から、住宅セーフティネットが必要な層への対応 は今後とも継続して確保していく必要がある。 ②市営住宅は、まさに住宅困窮者へのセーフティネットであり、この点を最大限に 尊重するため、収入基準を収入分位⑴の最下層まで引き下げるものする。 ③これにより、高倍率の抽選がある程度緩和されるとともに、住宅セーフティネット という本来の趣旨が一層明確化する。 ④引き下げは市営住宅に入居できない層を発生させるが、民間空き家率が高止ま りする中、役割分担によるマッチングで吸収可能と想定される。 ⑤住民コミュニティー維持の問題は、収入基準とは別の問題として対応(例:水道 管理人制度のあり方の検討)していくものとする。 ⑥優先入居制度は維持するが、対象者の収入基準も新基準に連動する。 ※優先入居制度:住宅困窮度の高い者が連続落選した場合に名簿登録し、希望団地に空き室が出た時に登録順に入居できる制度。 ⑦公営住宅とは別の収入基準を設けている改良住宅も、公営住宅と同基準として 公平性を確保する。 ⑧引き下げにより現入居者が収入超過者となる場合、加算家賃の支払い義務が 生じるが、猶予期間を設けて激変緩和とする。 ⑨対象世帯や対象団地を限定した裁量階層の政策的な基準も、今回の条例改正 に盛り込むものとする。 ⑩今後、更なる追加措置や制度新設の必要が指摘されることも予想されるが、新 しい基準の円滑な運用を図るため状況に応じて検討していくものとする。
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