方を扱うことにします。 上田修一 ト で は な く、 自 分 で 調 査 を す る レ ポ ー ト と 卒 業 論 文 の 書 き 論文への新しいアプローチ 一 論文を読む 様 々 な 知 識 を 得 る こ と が で き、 無 駄 に は な ら な い で し ょ ど出版されています。もちろん、こうした本を読むことで レ ポ ー ト と 論 文 の 書 き 方 を 指 南 す る 本 は、 毎 年 三 十 冊 ほ では、役割や位置づけがかなり違っています。通信教育課 す。それは、優れた研究論文を読むことです。自分の分野 う。しかし、そうした本を読むより、もっと早道がありま 大 学 で 出 題 さ れ る レ ポ ー ト は、 通 信 教 育 課 程 と 通 学 課 程 程の場合にはテキストの理解を中心としたレポートが求め 論文を探して読む便利な方法 の雑誌論文を数多く読むことです。 られる場合もあれば、担当者が、テーマを与えて、決めら れた期限までに調査し、書き上げる通学課程の科目と同じ 情を考慮すれば、科目や担当者によって異なるレポートの ようなレポートを要求する場合があります。このような事 つかの大学図書館が所蔵しているだけです。一般の人々が 術雑誌のほとんどは、市立や区立の図書館にはなく、いく 日常生活で論文を読む機会はないはずです。専門的な学 歩かもしれません。 タイプを判断するのがレポートの書き方のノウハウの第一 こ こ で は、 テ キ ス ト の 理 解 の 確 認 を す る タ イ プ の レ ポ ー 三色旗 2010.12(No.753) 専門的な論文を入手するにはかなり高いハードルがありま 論文の本文を電子版で読むことができるようになったので 果、収録論文の全部ではありませんが、かなりの数の医学 す。 した。 調べて知識を得るばかりでなく、さらには、最新の研究状 患者が、自分の病気について、自分の力だけでウェブで 医療の分野では、今、とても興味深いことが起きていま す。検査でひっかかって、病院で診断を受けてみたら思い 文を読むためのリテラシーが必要であるとともに、それが ん、研究論文を読んで正しく理解するには、専門知識や論 況 ま で 知 る こ と が で き る よ う に な っ た わ け で す。 も ち ろ もかけなかった病気に罹患していることがわかり、一人辛 い思いをするといった経験をお持ちの方もいらっしゃるこ とでしょう。 治療に直ぐに結びつくわけではありません。また、担当医 こうした時に医師の診断や治療方針を尊重するのが第一 ですが、最近では、ウェブで提供されている疾病別の豊富 的な医学論文をたやすく手に入れる道を知り、自分の病気 には迷惑なことかもしれません。けれどもこうして、専門 一つの勢力になりつつあります。 について徹底的に知識を得る道を歩んでいる人達が増え、 な医療情報を手に入れて、自分で専門知識を得る努力をす けでなく患者側のサイトもあり、かなり専門的な知識を得 る人々が増えています。様々な疾患について医療提供側だ ることができる状況になっています。それどころか、自分 で、最新の英語の医学雑誌論文を読む人達も出てきていま これまでは、医学研究者が読む医学雑誌は、医学部の図 も可能な仕組みが出来上がっています。その一つは、 ﹁機 ができるとともに、検索された論文の電子ファイルの閲覧 以上は、医学分野の場合ですが、国内に学術論文の検索 機関リポジトリとサイニー 書館や製薬会社の研究所図書室などでしか閲覧できず、一 関 リ ポ ジ ト リ ﹂で あ り、 も う 一 つ は﹁ サ イ ニ ー︵C i N i す。 般の人々が利用するのは難しい状況でした。ところが、米 大学や研究機関が自主的にその研究成果を公開するため 国政府は、十年前から﹁パブメド︵Pu bMe d ︶﹂とい のサイトは、米国に限らずどこからでも誰でも利用できま に 作 ら れ た シ ス テ ム を﹁ 機 関 リ ポ ジ ト リ ﹂ と 呼 ん で い ま i︶﹂です。 す。そして、パブメドには、医学雑誌論文の全文の電子版 す。何のことやらわからない、こなれない名称ですが、普 う医学論文の検索システムを無料で提供し始めました。こ ファイルへのリンクがついているものもあります。その結 三色旗 2010.12(No.753) 及してしまったので仕方ありません。機関リポジトリは、 す。 以 外 は、 普 通 の 文 章 で す か ら、 理 解 で き る よ う に な り ま 二 論文らしくする 通常、大学や研究所単位で作られています。慶應義塾大学 の 機 関 リ ポ ジ ト リ は、 ﹁慶應義塾大学学術情報リポジト をP D F フ ァ イ ル で 読 む こ と が で き ま す。 同 様 に 商 学 部 の号までが収録対象となっていて、各号の掲載論文の全文 仕方などが含まれます。一般にそれぞれの文献の種類、あ 文らしさには、その構成や文体、専門用語の使用、引用の ますが、論文らしければ、それは論文です。ここでいう論 ﹁どうすれば論文になるのか﹂と尋ねられることがあり リ KOARA﹂です。ここには、各学部の紀要をはじめ 様々な研究報告書が格納されています。例えば、文学部の ﹃三田商学研究﹄も第一号︵一九五八年︶から二年前の号 るいはメディアに応じて、特有のスタイルとよぶべきもの 社会学専攻﹃三田社会学﹄は一九九六年の第一号から最近 まで、掲載された全ての論文のフルテキスト、すなわち全 私の最近の研究テーマの一つは、電子化されたファイル が存在します。手紙には手紙の、契約書には契約書のスタ の形をとる様々な文書群の中から学術論文を自動的に判定 イルがあります。ブログにも、ツイッターにもスタイルが サイニーは、パブメドと同様に学術雑誌論文の検索サー する手法の開発です。ここで用いるのは機械学習という方 文を読むことができます。﹃三田社会学﹄や﹃三田商学研 ビスと、全文ファイルへのリンクを提供しています。ただ 法です。あらかじめ何万件かの電子ファイルを用意し、人 究﹄を図書館まで行って複写するということはもはや必要 し、医学中心のパブメドとは違い全ての分野が対象となっ あります。 ている反面、日本国内の学術雑誌掲載論文に限られていま 手によって、その中から学術論文を見つけていきます。こ ではなく、自宅で、KOARAを使えばよいわけです。 す。なおサイニーには、各大学の機関リポジトリから収集 タ︶に学習させ、学術論文とそれ以外の様々な文書からな う し て 見 つ か っ た 学 術 論 文 群 の 特 徴 を 機 械︵ コ ン ピ ュ ー 以上のようにインターネットを通じて、容易に学術論文 ン ピ ュ ー タ は 考 え る こ と が で き ま せ ん が、 手 法 に よ っ て るファイル群から、学術論文を自動的に判定させます。コ した論文なども含まれています。 を読むことができるのですから、論文やレポートを書く前 は、かなり高い確率で判別できます。ここで、手がかりと に読んでみて下さい。最初は、何と難しげに書いてあるの だろうと思うでしょうが、少し馴染んでくれば、専門用語 三色旗 2010.12(No.753) なっているのは、論文の内容ではなく、スタイルです。 ﹁です、ます﹂よりは﹁である﹂がよく、主語︵私︶は禁 れてしまうでしょうが。 ります。それ以前に、手垢にまみれた表現を使うなといわ としただけで、全体が主観的だと思われてしまう危険があ 物 で す。 ﹁ 最 近、 家 族 の 絆 が 弱 ま っ て い る よ う に 感 じ る ﹂ 論文らしくするには、まず、構成が重要です。 論文の構成 論文では、章、節、項目などと構造化する必要がありま 南書やウィキペディアで概要を知ることができます。日本 で構成されます。IMRADについては論文の書き方の指 はなく、具体的に出典を示す必要があります。﹁先日の新 りますが、信頼性を高めるためには、自分の意見や伝聞で 書くということです。これは、後に述べる引用にもかかわ 客観的な記述で大切なのは、できるだけ根拠に基づいて の人文科学分野の研究者の中には、IMRADについて知 月一日の朝日新聞の社説には﹃⋮⋮﹄と書かれていた﹂と 聞 に 書 か れ て い た よ う に ﹂ で は だ め で、 ﹁二〇一〇年一〇 す。そして論文では、章は、一般にIMRADという順序 らない方々も大勢いるのですが、自然科学、社会科学分野 必ず何らかの資料で確認して間違いのないようにします。 書くのが出典を示すことです。年号や人名や機関名などは では、この形式で論文を書くよう学生の頃から訓練されま す。有力な学術雑誌ではIMRAD型でないと論文を受け 誤記や誤表記は直ぐに気付かれてしまいます。 付けてもらえません。従って、ある程度の水準の学術雑誌 に掲載された論文を読めば、実例を知ることができます。 ビデンス︶﹂に基づいた研究は、今日、様々な分野で論じ ここで述べていることから少し離れますが、 ﹁ 根 拠︵ エ られ、試みられています。﹁根拠﹂は、現在、研究法で関 説明し、先行研究の紹介をしたあと、問題を指摘して、目 的や仮説を述べます。次に、根拠となるものを示すために 心を呼んでいるトピックとなっています。 この形では、まず、取り上げる問題やその背景、意義を 採用する方法の説明、そして得られた結果から結論を導く 論 文 ら し さ の も う 一 つ の 欠 か せ な い 要 素 は、 ﹁引用﹂で 引用 という手順です。これは、読み手を説得するのに適した形 すいという大きな利点があります。ただし、人文科学分野 文献の量が多い、引用文献が一定の形式に従って記述され す。引用の仕方、引用番号の表示などに問題がない、引用 です。教員もこうした叙述に慣れているので、理解されや では、通用しない場合もあるので注意が必要です。 次に、論文らしくするには、客観的な記述が必要です。 三色旗 2010.12(No.753) 文献を何回も引用するときの慣例を知っている、など引用 ている、記載する書誌事項とその順序に統一がある、同一 に多くの人がかかわっている、︵三︶執筆者、刊行者名が する仕組みがある、︵二︶公的な性格があり、作成、編集 をどう考えるかに帰着します。一般に、︵一︶内容を審査 明示されている、といったことがあれば、信頼性が高いと には注意しなければならない点が数多くあります。 レポートや論文で、誰もがまず戸惑うのは、どこでどの みなされます。 たように、研究論文を時間をかけて注意深く読むことによ その事例毎に検討するしかありません。しかし、先に述べ 度があります。従来からあるメディアにはこうした信頼性 されます。学術雑誌は査読制度という研究者相互の審査制 り、新聞記事原稿は、新聞社内の校閲部によってチェック 本 や 雑 誌 の 原 稿 は、 出 版 者 の 編 集 者 や 校 閲 担 当 者 に よ って、次第に引用のタイミング、形式などの見当がつくよ を確保する仕組みが組み込まれています。また、企業や自 も、どこで何を引用するのかが大事なのですが、これは、 ように引用すればよいのかという点です。引用の仕方より うになります。 いので、信頼性は高いと言えます。また、個人名が明記さ 人々が目を通し、また、間違いを避けようとする意識が強 れている場合もたびたび間違いをすれば自分の信用に跳ね 治 体 な ど の 刊 行 物 や ウ ェ ブ ペ ー ジ は、 作 成 段 階 で 大 勢 の 者は、様々な雑誌に研究論文を載せてもらおうとしている っていますが、これはあまり役に立ちません。専門の研究 の で す が、 そ の 雑 誌 毎 に 引 用 文 献 の 記 述 法 は 異 な っ て い 返ってきますから信頼性を高めようとするはずです。 論文作成法の指南書には、引用の記述法の説明が必ず載 て、雑誌に合わせて記述法を変えているのです。 信頼性が高く、印刷物にも信頼性の階層があると考えられ ています。辞典や百科事典や専門書の信頼性は高く、ハウ 一般的な信頼性の認識では、ウェブページより印刷物の ツーを書いた本、週刊誌の記事、編集者の手がほとんど入 記述法を決めなければなりません。縦書きと横書きでも違 い ま す。 普 通 は、 書 誌 事 項 と し て、 本 な ら、 著 者 名、 書 らない自費出版の本は信頼性は低いと認識されています。 学生の場合、レポートや卒業論文の提出先を考慮して、 名、出版者名、出版年月、全ページ数を、雑誌論文なら、 し、信頼性を確保する手段をとっているページなら、引用 ん が、 前 述 の よ う に、 作 成 者 が 明 示 さ れ、 大 勢 が 目 を 通 ウェブページは、全体としての信頼性は高くはありませ 著者名、論文名、雑誌名、巻、号、掲載ページ、年月を記 録しておけば対応できます。 引用で問題となるのはウェブページです。これは、ウェ ブページの引用の善し悪しではなく、根拠としての信頼性 三色旗 2010.12(No.753) は、認められることが多いようです。 では、ウィキペディアは引用してよいのでしょうか。レ を 二 〇 〇 〇 年 以 降 二 〇 〇 九 年 ま で と し て、 検 索 し た と こ ろ、その結果は三〇〇件でした。本を探す場合にはこのよ 国の中央図書館に納入する制度があります。これは、検閲 多くの国々には、出版社が本を出版したときにその本を うに、まず、 ﹁NDL O ―PAC﹂を使います。 験のカンニングと同様の扱いになります。それでは、引用 ポートでウィキペディアをコピーアンドペーストすると試 するのは構わないのでしょうか。ウィキペディアで問題に ろに信頼性の問題があります。また、書かれている内容は の著者が不明であり、誰が責任をとるのかわからないとこ もう一つは誰でも書き換えできるという点です。テキスト のほとんどは、国立国会図書館が所蔵しています。 されているわけではありませんが、流通している本や雑誌 入先となっています。実際には、国内の出版物全てが収集 本 で は、 ﹁国立国会図書館法﹂により国立国会図書館が納 任で保存し、将来の利用を保証しようとするものです。日 とはかかわりなく、文化的な生産物である出版物を国の責 固定しておらず、可変です。ネットニュースで著名人の死 なるのは次の二つの点です。一つは、匿名であることと、 亡ニュースが報じられると、直後に必ず誰かがウィキペデ は、その役割や目的に応じた資料を所蔵していますが、国 索 シ ス テ ム が﹁ N D L こうした役割を持つ国立国会図書館のウェブ上の蔵書検 はウィキペディアの大きな利点ですが、他のウェブページ 立国会図書館は、ともかく﹁網羅的﹂に資料を集めていま ィアの記事に死亡日を付け加えています。内容が新しいの に比べて内容が流動的であることが信頼性の点で問題にな す。あるテーマや著者の国内で出版された本を﹁網羅的﹂ O P A C ﹂ で す。 個 々 の 図 書 館 ― ディアからの引用は避けるのが無難です。 ります。ウェブページを引用してよい場合でも、ウィキペ では、その図書館が所蔵している本しか探せません。従っ なります。個々の図書館の蔵書検索システム︵OP AC ︶ O P AC ﹂ で 探 す こ と に ― 本を探す に探そうとするなら、 ﹁N D L さて、先ほど、論文作成法の本が、年間三十冊ほど出版 て、 ﹁N D L O P AC ﹂ と そ の 他 の 図 書 館 の 蔵 書 検 索 シ ― ステムとの間には、大きな相違があります。 さて、ではなぜ﹁網羅的﹂にすなわち全部を探さないと されていると述べましたが、三十冊くらいであることは、 いけないのでしょうか。書店や図書館の関連書籍の並んだ どのようにすればわかるのでしょうか。 OPA ― 国 立 国 会 図 書 館 の 目 録 検 索 シ ス テ ム︵N D L C︶の﹁件名﹂という欄に﹁論文作法﹂と入れて、出版年 三色旗 2010.12(No.753) の段階では、入門書でもウィキペディアでも構いません。 分です。まずは基本知識や背景を知る必要があるので、こ けないのでしょうか。問題に取り組んだ当初は、それで十 書架でよさそうな本を選んで、それを読むだけではなぜい す作業になります。もちろん関連度の高いものから選ぶわ ら、次に、そのリストの中で役に立ちそうな資料を選び出 文 献 探 索 を 行 っ て、 あ る 程 度 の 文 献 の リ ス ト が で き た 読む順番 す。簡単に言えば、新しいものから選ぶ必要があります。 なぜ新しい文献から読むのがよいのかということです け で す が、 そ の 時 に、 資 料 の 刊 行 年 に よ る 判 断 が 重 要 で が、それは、新しい文献は、それまでの知見を含んでいる しかし、ある研究課題について取り組むのなら、これまで が前提になります。これまでの知識に何か付け加えるのが はずだからです。新しい文献から順に読んでいけばこれま 明らかになっていることを全て、つまり網羅的に知ること これまで明らかになったことを整理したのがレポートで での成果、その課題について得られている情報を効率的に 研究であり、それをまとめたものが研究論文です。また、 す。これまでの知見全体と関連づけることが大事です。 研究課題が大きかったり、広かったりした場合であり、こ ものから読むのが基本です。 究者の著作を読むのも一つの方法です。この場合も新しい また、同じ課題に取り組んでいる研究者がいればその研 手に入れることができます。 れは研究課題の設定が間違っています。普通は、かなり狭 ﹁網羅的﹂というと大変そうですが、大変になるのは、 いテーマとなるので、網羅的な探索をしても文献があまり ないということになってしまいます。そこで、網羅的探索 すのには不可欠ですが、国外の資料を探すのには役に立ち O P AC ﹂ は 国 内 刊 行 の 本 や 雑 誌 を 探 ― ︵データベースを検索する︶のと文献を手に入れるのは別 手 で き る 場 合 も あ り ま す が、 通 常 は、 文 献 の 存 在 を 知 る い。前述のサイニーやパブメドのように文献そのものが入 も う 一 つ、 文 献 の 探 索 と 入 手 は 別 の こ と と 考 え て 下 さ 文献の入手 ません。国外の資料の探索方法は、ここで説明できるほど の作業となります。言い換えれば、手に入るものだけを読 の方法を知っていることが重要になります。 単 純 で は あ り ま せ ん。 本 に つ い て は、 ワ ー ル ド キ ャ ッ ト む の は 望 ま し く あ り ま せ ん。 読 ま な け れ ば な ら な い 文 献 な お、 ﹁N D L く、アマゾンでは不十分です。 ︵ Wo r l d Ca t ︶ と 呼 ば れ る 総 合 目 録 が 網 羅 性 が 高 は、手を尽くして入手するのが原則です。 三色旗 2010.12(No.753) http://ci.nii.ac.jp/ 慶應義塾大学学術情報 リポジトリ: KOARA http://koara.lib.keio.ac.jp/ 国立国会図書館の雑誌記事索引 https://opac.ndl.go.jp/ WorldCat http://www.worldcat.org/ 国立国会図書館登録利用者 制度案内 http://www.ndl.go.jp/jp/information/guide.html 日本の雑誌論文の入手では、国立国会図書館の登録利用 サイニー(CiNii) 者制度が有用です。これは、大学図書館を利用しにくい通 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez 信教育の学生にとっては、特に役立つはずです。これは、 あらかじめ国立国会図書館に利用者登録をしておくと、同 図書館の雑誌記事索引データベースで検索した雑誌論文の コピーを自宅まで郵送してもらうことのできるサービスで す。有料ですが、実費だけですからそれほど高くはありま せん。満一八歳以上なら海外在住者でも登録可能で、国立 国会図書館のウェブページから申請書をダウンロードして 記入し、本人確認書類とともに送れば一週間ほどで利用者 登録証が送られてくるはずです。 ジの左側に与えられた番号とパスワードを入力すれば、複 後は、国立国会図書館のNDL O ―PACのトップペー https://opac.ndl.go.jp/ 国立国会図書館の蔵書検索 (NDL−OPAC) 写サービスを利用できるようになります。 同館は、一般の人々の利用を促進する方向に向かっていま 国立国会図書館は敷居が高いという印象ですが、現在、 す。 か な り 前 か ら お 役 所 仕 事 か ら 脱 却 し て お り、 迅 速 な サービスが行われています。国立国会図書館へ直接足を運 んでみてもよいでしょう。この図書館の閲覧サービスの合 理的な仕組み、年齢層の異なる多くの利用者の存在に、最 初は誰でも驚きます。 パブメド(PubMed) 三色旗 2010.12(No.753) なったので、字が乱暴だからわかるというわけではありま はすぐにわかります。今は、手書きのレポートはほぼなく るレポートを読んでいると、締切間際に書かれたレポート 要 な の は、 ﹁考える﹂ことです。通学生の場合、提出され レポートや論文を書く上で、論文を読むこととともに重 三 考える 中味については触れませんでしたが、苅谷剛彦﹃知的複眼 に馴染む、そして、よく考えて下さい。レポートと論文の ドキャットなどのウェブで利用できるシステムやサービス 立国会図書館のNDL O ―PACや雑誌記事索引、ワール 文らしさを学ぶ、サイニーや機関リポジトリ、あるいは国 論文を書くには、まず学術論文を読んでみる、そこで論 四 おわりに 思考法﹄︵講談社、二〇〇二年︵講談社+α 文庫︶︶を読ん せん。レポートが出題されても、期限ぎりぎりまで何もせ ず、 短 い 時 間 で 書 い た 論 文 で あ る と な ぜ わ か る か と 言 え でみて下さい。 余裕が必要です。時間がなくなってしまったら考えること ﹁ ― 日 本 語 学 術 論 文P D F フ ァ イ ル の 自 動 判 定 ﹂ ﹄ No. 56, p. 43-64 (2006). ﹁絵の Library and Information Science 中で本を読む一五人﹂ ﹃文読む姿の西東﹄慶應義塾大学出版 ﹃ 学。主要業績 学 専 攻。 一 九 七 九 年 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 博 士 課 程 単 位 取 得 退 ︹うえだ しゅういち 慶 應 義 塾 大 学 文 学 部 教 授、 図 書 館 情 報 ば、考えていないからです。考えるにはある程度の時間の ができません。 レ ポ ー ト が 出 題 さ れ た ら、 そ の テ ー マ に つ い て 考 え 始 め、いろいろな機会に考え、そして本や雑誌論文を読んで 考えを深めて、その成果をレポートにまとめることができ ればいいのです。自分でよく考えていれば、本や雑誌論文 を読むときに何が新しい知識であるのか、何が有益な情報 であるのかがわかります。 会、二〇〇七年。﹁読書行為の次元﹂ ﹃日本図書館情報学会誌﹄ しかし、実際には、誰でもなかなかレポートに取り組む 気にならないわけで、その気持ちを理解できないわけでは ︺ Vol. 55, No. 4, p. 199-212 (2009). あ り ま せ ん。 レ ポ ー ト が 出 題 さ れ た ら、 そ の 時 点 で、 レ ポートの課題だけでも忘れないようにしたいものです。 三色旗 2010.12(No.753)
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