活動方針 - 地中送電技術研究会

平成28年度活動方針(案)
地中送電技術研究会
アベノミクスによる各種の経済政策が実施されて以降、日本経済は順調に活況を取り戻しつつあるが、
電力業界を取り巻く情勢は、本年4月施行の全面電力自由化、将来を見据えての分社化等予断を許さな
い厳しい環境に直面しており、それらを反映する形で地中送電業界を取り巻く足元の環境は依然として
厳しい状況が継続している。また、建設業界においては人手不足が慢性的な問題となっており、東日本
大震災による被災地の復興、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後さらに人材
確保が難しくなるものと予想される。
しかしながら、地中送電業界の建設・保守に当たる会員各社の役割は、今後も引き続き高い安全と施
工品質を要請されていくであろうことは想像に難くない。また、公正取引委員会の立入調査以降コンプ
ライアンス遵守の周知徹底を図り、継続して推進しているところである。
以上から、平成28年度の本会活動に当たっては、コンプライアンス遵守の徹底を継続するとともに、
施工の安全と品質、それを支える技術技能の維持向上という原点に返り、次の三点を基本方針として展
開する。
1. 安全・品質・環境の確保
「安全は全てに優先」は変わることのない基本理念である。しかしながら、一昨年の暮れに発生した
重大災害以降、昨年度も地中送電関連の災害が続いており、なかなか断ち切れない状況にある。いずれ
も過去に経験した災害の再発であることから、安全基本ルールの周知と再発防止対策の確認・実践を徹
底していくとともに、安全活動のツールとして会員各社に配布した「地中送電関係請負災害報告書(C
D)」を継続かつ有効に活用し、類似災害の未然防止を図ることとする。
昨年度開催した「安全研修会」において、至近の重大災害事例の多くが「リスク感度不足」に起因し
ているとの報告があり、東京電力パワーグリッド㈱から、今年度も引き続きリスク感度向上に向けた具
体的取り組みの実践を要請されている。特に現場レベルでの実践項目として①注意喚起(緊急時の笛吹
き)②災害状況再現(ビデオ・実演)③呼称・復唱の定着化(指差呼称、問い掛け呼称)について、各
委員会安全部会の活動に盛り込み実践していく。
また、部門横断での安全大会・安全研修会・安全パトロールの開催などにより会員各社が保有する安
全ツール、ノウハウの共有化に引き続き取り組むとともに、災害事例から得られる貴重な知見・対策を
安全・環境委員会から会員各社に水平展開していく。
加えて、平成23年度から運用開始した現場代理人資格更新研修時の「安全確認テスト」を現場代理
人の資質向上と安全意識の更なる高揚の機会として引き続き実施し、安全の確保を図っていく。
環境面では、工事による騒音・振動防止、廃棄物処理などに関し、会員各社が保有するノウハウの共
有化やタイムリーな情報提供により、地域環境維持に努める。
2. 現業技術・技能の見える化
地中送電業界の現業技術・技能の維持継承には“経験による習得”が重要との認識のもと、持続性の
ある魅力ある業界とするため、専門技術者の認知度改善と作業環境の整備に取り組む。
また、平成25年度から本格適用された“66kV接続班長資格認定制度”の更新時期を迎え、その課題
についての確認、フォローを継続していく。
加えて、“管路工事技術・技能認定登録”についても、“携わる職工は特殊技能工である”というこ
とが社会に広く認証され、働く人たちが“やり甲斐が持てる”仕組みへの取組みとして平成24年度か
ら開始した“管路こわし工認定制度”を確実に継続・実行し、社会的ステータス向上に向けた活動を推
進していく。
その他、会員各社の積極的な意見交換を企画し、現場の作業環境改善・向上について取り組んでいく。
3. 現業で働く人材の確保・育成
現在、活躍している技術者が保有する技術・技能と現場マネジメント力は、大型工事を含む多くの工
事経験を背景に、集合研修や、OJT研修など、
“人を育てる環境”によって獲得してきたものである。
今後とも、人材育成の場となる大型工事等の経験機会は減少することと、震災復興工事、東京オリンピ
ック・パラリンピックに伴う建設工事等の増加により人材の確保がこれまで以上に困難になると考えら
れる。継続して、地中送電業界として効果的な育成策を提案していく。
以上