山 田 錦 情 報 (平成 28 年度 第2号) 今年の生育状況とこれからの管理 平 成 28 年 6 月 13 日 加西農業改良普及センター みのり農業協同組合・兵庫みらい農業協同組合 田植え後~分げつ期に起きやすい「分げつ停滞」の原因・対策 今年の 5 月は気温も安定し、苗の生育はおおむね順調でした が、後半の急激な高温、強日照による葉焼けや肥料切れの苗が 見受けられました。梅雨入りは 6 月 4 日(平年より 3 日早い) でした。今後の気温の推移により肥料の効きが早まったり、遅 れたりするので、天候に応じた対応が必要です。 主な発生原因 対策 ・苗の深植えによる分げつ阻害 浅水管理 ・過度の代かきにより根が酸素欠乏 間断灌水 ・未熟有機物すき込みによるガス障害 数日間落水 ~ 田植え後 1 ヶ月頃の管理 ~ ○葉いもち病の伝染源となる置き苗は、速やかに除去・処分する。 ○分げつ肥(調整肥)を施す場合、豆・レンゲあとは急に肥料が効いて くることがあるので生育状況を見て加減する。 ○田植え1ヶ月後を目安に、自然落水し中干しに入る。 ○スムーズな排水給水の役目を果たす溝切りを、確実に実施する。 ○中干し時期を利用して、取りこぼしたヒエや多年生雑草を除草する。 中干しと溝切り ~生育後期の水管理に向けての重要な作業~ 田植え後 30 日経過したが、スムーズ な分げつが確保できていないほ場。 (ガス発生による根傷みが原因。) 中 干 し 効能と期待 できる効果 開始時期 溝 切 り ・過剰な分げつ(無効分げつ)の発生を抑制する。 ・土中への酸素供給と、土中の有害ガスの放出を促し、根の 活性を高める。 ・田面が適当に締まり、収穫前の落水時期を遅らせることが できる。 ・収穫時目標穂数の 80%の茎数で開始する。 従って、1 株当たりの目標穂数を 22 本とする場合、中干し開 始時の茎数の目安は、株当たり15~18本(坪 50 株植えの 場合)となる。 ・山田錦では7月上中旬頃(田植え後 30 日が目安)。 ・直播の場合、移植より分げつが旺盛となるため、やや早め に開始する。 やり方・程度 ・田面に小さなひびが入り、足跡が軽くつく程度まで干す。 ・砂質田や作土層の浅いほ場はやや軽めに干す。 ・湿田や作土層が深い場合はやや強めに干す。 終了時期 ・出穂の 30~35 日前(7月 23~28 日頃)には終える。 ・実施期間は7~14 日ぐらい。 中干し後の水管理 ・速やかな入排水ができる。 ・秋の長雨時には停滞水をスムーズに排水できる。 ・収穫前の遅めの落水や機械収穫の条件づくりができる。 ・田植え後 20 日から中干しまで 手押し型あるいは乗用型の溝切り機 ・溝の間隔は8~10 条おき、溝の深さは 10 ㎝以上を確保す る。 ・溝は連結し、溝の末端は確実に排水溝につなぐ。 ~飽水状態の水管理を徹底~ 移植の分げつ は株当たり 15 本前後 ○中干し終了直後は 走り水を行う。 (水稲の根を水に慣らす感覚で、一気に水を溜めない) ○中干し後~出穂期まで 間断かん水を行う。 (足跡に水がたまる程度の飽水管理により、根への酸素供給 と、土中のガス抜きを行う。ただし、完全には干さない。) ← 中干し開始前の株 (7月3日:田植え後 28 日) 後発雑草、とりこぼし雑草の除草 ○ヒエやホタルイなどが残った場合は、落水して除草剤を散布 する。 ○散布後少なくとも 3 日間(浅水で散布する場合は 5 日間)はそ のままの状態を保ち、入水、落水、かけ流しはしない。散布 後 2 日以内に降雨があると効果が不十分になる恐れがあるの で、晴天が続くときに散布するのがよい。ただし、高温時は 薬害発生の恐れがあるので注意する。 連絡先 JA みのり 加美営農経済センター(℡ 35-0181) 直播の分げつ は1m当たり 72~80 本前後 中干し開始前の株(直播)→ (7月3日:播種後 53 日) 次回は 7 月下旬、穂肥についてお知らせします。 気温が上昇し、病害虫の発生が増える時期なので、無人ヘリ防除を利用するなどして基幹防除を必ず行いまし ょう。また、稲の生長や気温を見ながら、こまめに水の管理を行いましょう。中干しをする際には溝きりを行い、高 温時には迅速な給水ができるようにしておきましょう。 取りこぼした雑草は中後期除草剤で防除を! クサネムに注意! バサグラン粒剤・液剤(ホタルイ、クログワイ) 使用量:3~4kg/10a、500~700ml/10a 使用時期:移植後 15~55 日 但し、粒剤は収穫 60 日前まで、液剤は収穫 50 日前まで 雑草の増殖初期までに散布しましょう。 クログワイは粒剤で草丈 15cm 以下、液剤で草丈 15~30cm です。 ポイント:晴天時の散布が効果的です。バサグランは雑草の蒸散作用が 活発な状態でより早く、かつ大量に吸収されます。 水は「足あと水」程度にします。カラカラでは根部から吸収できません。 雑草生育期で効果が出ます。雑草発芽前処理は効果が期待できません。 田の畦畔,水田内に発生する一年生草本。 薬害:高温時の処理で赤褐色の斑点を生じる場合があります。これは一 種子により繁殖し,5 月頃発芽します。開花は 7~10 過性のもので出穂や収量への影響はありません。 月で,種子は 9~11 月に成熟するが,黒色の種子の大 きさが玄米に近く,収穫時に混入すると機械的な除去 が困難なため,米の品質低下をもたらします。 クリンチャーバスME液剤 (ホタルイ、クログワイ、ノビエ、キシュウスズメノヒエ) 使用量:1,000ml/10a 使用時期:移植後 15 日~ノビエ 5 葉期 但し、収穫 50 日前まで クサネムにはノミニー液剤! クサネムにはノミニー液剤! ポイント:茎葉散布なので、薬剤が触れる場所が多いほど雑草は良く枯 使用量:50~100ml/10a 使用量:50~100ml/10a 使用時期:移植後 30 日~クサネムの草丈 40cmまで 使用時期:移植後 30 日~クサネムの草丈 40cmまで 但し、収穫 60 日前まで 但し、収穫 60 日前まで れます。 薬害:高温時の散布は赤褐色の斑点を生じることがあるので、夕方の散 布がおすすめ。 (斑点が生じても出穂や収量などへの影響はないです。 ) いもち病対策! コラトップジャンボ 圃場で最初に確認する場所 時期:葉いもちは初発 20 日前~初発時 散布量:小包装(パック) ・日当たりの悪い場所、朝露が遅くまで残る場所、 10~13 個(500~650g)/10a 水口周辺、置き苗周辺、葉色の濃い場所、強い ブラシン粉剤DL 中干し後の畦畔沿い等 時期:収穫 7 日前まで ・葉いもちは上から 2~3 枚目の葉を確認! 散布量:3~4 ㎏/10a いもち病 葉いもち病は穂いもち病の伝染源となるので、早期に発見し防除! 同一薬剤の連用は避けましょう! 調整肥・からだ肥で倒伏軽減! ケイ酸入りPK化成 28 号:リン酸・苦土が登熟を促進させ、倒伏軽減に役立ちます。 [保証成分]リン酸 12 加里 18(内けい酸加里 6) 施肥 苦土 4 7 月 15 日頃 ケイ酸入りPK化成 28 号
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