戸建て住宅地におけるコモンスペースに関する研究

乾他 :戸建て住宅地 におけるコモ ン
-2
1-
5
巻 (
1
9
9
7
)
大阪市立大学生活科学部紀要 ・第4
戸建 て住 宅地 にお け る コモ ンスペ ース に関 す る研 究
-コモ ンスペースの空間構成 と利用実態 -
乾
康代 ・梶浦恒男 ・藤田 忍 ・高橋昭子
■
A St
udy on Common Spacesoft
he Det
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e-
YASUYO h Ul
,TsU、EO KAJI
URA
SHI
NOBU FUJl
l
、
A and AKI
KO TAKAHASHl
1.研究の 目的と方法
析手順 を踏 んで研究 して いる。
居住地 の住環境保全 には、居住者が居住地空間利用を
1)近隣活動 の基盤 とな る道路や広場 などの コモ ンス
とお して、 コ ミュニテ ィを形成 し、 これを基盤 と した自
ペースが計画的 に整備 された戸建て住宅地 を選定す る。
主的な共同管理の実現が前提 と して必要である。近年増
これ ら居住地の コモ ンスペースを機能 と形態か ら分類 し
加 しつつある、住戸の集合的 まとまりとコモ ンスペース
た うえで、 その構成 のあ り方 によ り住宅地を分類 をす る。
は、住環境の質を高 めるとともに居住者 の居住地空間利
2)住宅地 の空間成型 ごとに、居住者 の活動、 コモ ン
用を促す空間的 しくみ として計画 されてお り、戸建て住
利用の実態 および近隣づ きあいの状況 を把握 し、 それ ら
宅地 における良好 な住環境形成 とその保全体制 を考えて
の対応関係 を検討す る。
3)以上 の分析 よ り、戸建て住毛地 におけるコモ ンス
い くうえで有効 な方式である。
ペースの空間計画の課題 を明 らかにす る。
本研究 は、 コモ ンスペースを もっ住宅地 を対象 と して、
その コモ ン利用の実態を明 らかに し、 コモ ンの利用およ
調査対象地 と して コモ ンスペースが計画的に整備 され
び近隣づ き合 いを発展 させ る空間構成 の条件 を導 き出す
4
地区を関西都市圏 より選定 した。 これ ら
ている住宅地 2
ことを目的 と している。本論 におけるコモ ンスペースと
2
4
地区に対 し、現地観察調査 と、居住者 に対す るア ンケ
は、 その所有関係を共有 に限定せず に、共同利用を促す
ー ト調査 (
留 め置 き、郵送 による回収) を1
9
9
6
年1
1
月お
空間的 しくみ として計画整備 された空間、施設 と して と
2
月に実施 した (
義-1
)
0
よび1
らえている。
2.対象住宅地 の概要 と分類化
2- 1.対象住宅地 の概要 と回答者特性
コモ ンを もつ戸建て住宅地例 は全体か らみればまだ限
られてお り、 この分野の研究 は十分でない。 そのなかで、
公団、公社 による住宅地 が全体 の 7割 を占め、残 り 3
コモ ンを もつ戸建て住宅地 の計画課題 を論 じた論文 1) 、
共有地 を もつ住宅地の居住者 の住環境評価 を した論文 2)
割 は大手 の- ウスメーカーである。 いずれ も1
9
8
0
年代半
がある。前者 は、供給者側の立場か ら 「
街並 みを計画 し
ば以降 に分譲 された新 しい住宅地であ り、世帯数規模 は
た」戸建て住宅地の計画の現段階の到達点 を示 し、区画
9
5
戸か ら1
0戸 の範囲 にあ る (
義 - 2)
0
割や道路 などの計画課題 につ いて論 じている。後者 は、
調査の回答 は、近隣生活 の担 い手であ る主婦 に依頼 し
共有地 の居住者 による住環境評価 を分析 して いる。本研
てお りその結果、回答者 は女性が 7割で、 その職業 をみ
究 は居住者 の居住地空間の共同利用への展開 を支え る、
6%、有職者が3
0%、年齢層 は4
0
歳以上6
0
歳
ると主婦が5
コモ ンの空間構成 のあ り方 について示唆 を得 よ うとす る
未満が中心 である。世帯員数 は 3人 また は 4人が半数 を
ものである。 このような目的 に もとづ き、次 のよ うな分
占め、 2人 と 5人以上 はそれぞれ 2割前後である。高齢
(1)
ー2
2-
生 活 環 境 学 科
者 (
6
5
歳以上) のいる世帯 は 2割 である。
義 - 1 調 査概 要
2-2. コモ ンスペースの分類 と特徴
配 布数 回収数 回収 率 (
%)有効 回答数
居住地 における諸活動 の展開 とコ ミュニテ ィ関係 をみ
るためにまず、地区が もつ空間条件 と しての コモ ンスペ
ースをその機能 と形態 によって整理、分類 す る。 すなわ
ち、交通系、広場系、緑地系、サー ビス系 の 4つの機能
住都公 団開発 5地 区
2
0
9
8
2
3
2.
9
8
2
公社 開発 1
2
地区
42
3
1
7
4
41
.
1
1
6
9
民間 開発 7地 区
1
7
9
7
9
4
4.
I
7
8
に分 け、 さ らにそれ らの形態 に よ って 8つ に分類 した
(
義- 3) 3)。
義 -2 対 象地 区 の概 要
この分類でみ る、対象住宅地 の空間的特徴 は、周辺緑
地 ・植栽帯がいずれの住宅地 に も整備 され、つ いで歩行
団地毛
事業
主体
和泉市
泉
ト
け エール和
任那
公団
1中高層
寺
地区
号
所在
1
2
用
地域
途
世帯欺
(
n
専有地
面積
i
/
戸)
分
開始
早
辞
者通路 が8
5% と非常 に高 い割合で整備 されていること、
広場系 コモ ンが地区の中心や小規模 な住戸 グループごと
に配 されている例が多 い ことであ る。
2- 3.住宅地 の分類 と特徴
次 に対象地区 を分頬す る。地区空間の利用 はまず、広
70
157 92
1
81
-25
3 88
…田市
北摂
NT 三田
岡上
1低層
56
3 神戸市
西神 NT
同上
1低層
29
不明
4
同上
1中高層
28
228 88
85
大藩市
ア大津
レークビ
場系 コモ ンの形態、配置が大 き くかかわ ると考え、 その
5 香芝市
N
真美ケ丘
T
同上
2住専
26
15
0 84
特徴か ら、往来型広場、 コア型広場、囲 み型広場 に分類
6 堺市
泉北 NT
公社
1中高層
24
1
24-16
3 84
した 。
7 交野市
ティ星田
コモンシ
同上
2中高層
55
120 92
8 堺市
泉北 NT
岡上
1中高層
65
133 87
9 堺市
泉北 NT
同上
1中高層
18
135 88?
場 は、地区の中心 に配置 されて いる。囲み型広場 は、先
1
0 三 田市
N
北摂三田
T
同上
1低層
21
400-421 88
の コモ ンスペースの分類 におけるコモ ンアプローチで、
ll …田市
N
北横三田
T
岡上
1中高層
26
158 91
12 三 田市
N
北摂三田
T
同上
1中高層
36
21
2 91
1
3 神戸市
西神 NT
同上
1低層
26
241 89
1
4 神戸市
酉神 NT
同上
1低層
95
163 87
図 -2は、 これ らの タイプの典型住宅地 の コモ ンスペー
15 神戸市
象磨 N
T
同上
1低層
12
200 84
スの配置、形態 を示 した ものである。
16 神戸市
茶 席NT
岡上
1低層
28
182 85
構成 タイプ ごとの特徴 を述べ る。
17 和歌山市 S
ク
●リ
ー
ン
ハ
イ
ム 同上 1低層
21
175 87
タイプ 1は、 もっとも世帯数規模が大 き く、 いずれ も
18 豊能町
新光 風台
民間
近商
15
287 92
19 神戸市
六甲アイ
ランド
同上
1
住居
36
203 93
20 神戸市
六甲アイ
ランド
同上
1
住居
40
1
94 91
21 神戸 市
六甲アイ
ランド
岡上
1住居
27
1
94 91
22 京都市
桂坂
同上
1住専
15 296瑚 4
23 京都市
栓坂
同上
1住専
10
24 交野市
テ
コモンシ
ィ星 田
同上
1
倍屑
38
往来型広場 とは、道路 の交差点上 あるいは道路上 のふ
くらみ とい う、配置、形態上の特徴 を もっている広場で、
周辺住戸 との結 びっ き関係 はゆ るやかである。 コア型広
特定住戸 とのつなが りの強 い広場である。以上 の 4つの
広場 の型 の うち囲み型広場 を もつ地区 につ いては、 さ ら
に地区内道路 の有無で分 け、広場 を もたない タイプを加
えて、合計 5つの タイプに分類 した (
義 -4、図 - 1)
0
交通系 コモ ンとして区画道路 と袋小路道路、歩行者通路
l
1
-
国
同
ー
固 l
r 田
89
・タイプ 2
『-
1
98-41
9 88
タイプ 1
1
J
タイプ 3
■
- ■
'区両道蕗
袋小路道 路
L
義 -3
千
タイプ 5
タイプ 4
広場
図- 1 構成タイプのモデル図
(2)
不明
91
コモンの分類
機能
形態
機能
形態
交通
袋小
路道
区画 道
路路
広場
コモンアプローチ
広場
歩行 者 通 路
緑地
周 辺緑 地 .植 栽帯
ー2
3-
乾他 :戸建て住宅地 におけるコモ ン
の 3つを もち、従来型広場 を地区の中心部 に配 し、 その
3.居住者 の コモ ン利用 とコモ ン構成
他 に も広場 を 2つ以上 もって いる。 いずれ も公的開発主
3- 1.居住者活動 の分類 と活動状況
居住者 の活動 をその性格 によ って 日東活動 と共同活動
体 による。
タイプ 2は、囲み型広場 で形成 され る住戸群 (クラス
に分類 し、共同活動 はさ らに近隣 グループ活動 (
以下、
近隣活動) と地区活動 に分類 し、分析 した。
ター)を区画道路でつないで地区を構成 して い る タイ プ
である。区画道路 はいずれの地区 もループ状 で通過交通
日常活動 は、「日光浴」、 「散 歩」、 「軽 い スポー ツ」、
の発生 しに くい形状 にな って いる。世帯数規模 はタイプ
「
子 どもを遊 ばせ る」、「
立 ち話」 の 5項 目につ いて調 査
1の半分であ る。公社 による 1地区をのぞ くと 4地区が
した。 「
立 ち話」、「
散歩」 で コモ ンが よ く利用 され、 夕
同一 の- ウスメーカーが計画 しているため空間構成上 の
義 -4 コモンの構成による地区の分類
類似性が高 い。分譲開始年 は もっとも新 しい。
タイプ 3は、 コア型広場 を もちループ型 区画道路や歩
行者通路 によ って住戸 をっな ぐ構成 とな っている。 タイ
プ 2と同程度 の世帯数規模 である。
タイプ 4は、単一 の交通系 コモ ンのみで住戸 をっな ぐ
成
棉
イ
タ
プ
広
1
場
型
冊
数
世
均
平
t
t
f
均
年
分
始
翠
諺
開
地
敬
区
往来型広場
71
8
9
4
2
囲み型広場
(
地区内連結型)
3
5
91
5
3
コア型広場
3
0
8
9
6
4
広場 な し
1
6
8
8
4
構成で、 1例 をのぞいて並列形状 とな って いる。広場系
コモ ンはな く、 5つの タイプ中 もっとも小規模 な住宅地
の グループである。
タイプ 5は、 タイプ 2と同様 に囲み型広場 を もつが、
地区内道路 によるクラスターの連結関係 を もたず、 クラ
スターは並列 または背合わせの形 で集合 し、直接地区外
周公有道路 につなが る構成 を とって いる。分譲開始年が
もっとも古 く近年 の事例 はない。 いずれ も公的開発であ
る。
■
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戯重層
2
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タイプ 2
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丘
i
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i
一
■
■
■
■
■
■
I
l
タイプ 4
図 -2 各構成タイプの配置図例
(3)
タイプ 5
-2
4-
生 活 環 境 学 科
イブ 2で利用率が高 い (
図 - 3)
0「
子 ど もを遊 ばせ る」
構成 タイプ別 に、 これをさ らに詳細 にみ る。
は、広場 のない小規模 な住宅地であるタイプ 4と分譲開
タイプ 1で は、 日常活動、近 隣活動 において道路 と広
始後 1
2
年経 して いるタイプ 5では少 ない。
場 は同程度 に利用 されているが、 その利用度 は他 の タイ
共同活動 の うち、近隣活動 と して は生協活動、地区活
プに比べ ると低 い。地 区活動 になると広場が もっともよ
動 で は屋外パーテ ィが圧倒的に多 い。共同活動 に参加 し
く利用 され るが道路 は利用 されない。 これ は、広場が、
ていると回答 した人の割合が高 いのはタイプ 3であ り、
世帯数規模 に対応 した一定 の広 さを もって いる ことが第
タイプ 1がそれ に続 いて いる。 タイプ 5が もっとも少 な
- の選択要因であると考え られ る.
い (
義 - 5)0
タイプ 2で は、 日常活動ではコモ ンアプ ローチが利用
日常活動 の 5項 目の うちの活動 の多 い 4項 目 (
立 ち話、
され ることが多 いが、屋外パ ーテ ィには区画道路が圧倒
散歩、子 ど もを遊 ばせ る、軽 いスポーツ) および生協活
的によ く利用 されている。 これ は、 コモ ンアプ ローチは
動 と屋外パ ーテ ィの 6種 の活動 につ いて、 よ く利用 され
それを囲む特定住戸間の準私的空間 と しての性格が強 い
るコモ ンを構成 タイプ別 に示 したのが図 -4であ る.
.
ため、 よ り公 的な空間 と しての区画道路が選 ばれ るか ら
であろうと考 え られ る。
活動 ごとにみ ると、「軽 いスポーツ」 は、 コア型広場
を もつ タイプ 3とコモ ンアプローチを もつ タイプ 5で比
コア型広場 を もつ タイプ 3で は、広場が利用 され るこ
較的多 い。「
子 どもを遊 ばせ る」 は、 コア型広場 を もつ
とが多 いが、 区画道路 の利用 もタイプ 1に比べ ると高 い。
散歩」 はルー プ状 区画道路
タイプ 3が もっとも多 い。「
これを タイプ 1との比較でみ ると、通過交通 の ほとん ど
を もつ タイプ 2、「
立 ち話」 は もっと も小 規模 な タイプ
発生 しない袋小路やループ型道路や歩行者通路 によ って
4が もっとも多 い。
構成 され る地 区であ り、道路の安全性 がよ く確保 されて
3-2.コモ ン利用か らみたコモ ン構成 の評価
いることによ ると考え られ る。
歩行者通路 か区画道路 の単一交通系 コモ ンで構成 され
義 -5 共同活動の参加状況
るタイプ 4は、 タイプ 2における区画道路 と比較的 よ く
似 た利用曲線 を示 し、「
散歩」 や 「
立 ち話」 な ど 日常活
タイプ 共同括動参
加状沢(
%)
動 の はか地区活動 に もよ く利用 されている。
1
6
0
.
2
コモ ンアプ ローチのみで構成 され る タイ プ 5は、 「立
2
53
.
2
ち話」 の利用割合が きわめて高 く、近 隣の出会 いの場 と
3
7n8
な っていることがわか るが、 コモ ンアプローチが駐車場
4
5己0
5
413
との併用か車 の出入 り口にな っていることか ら、利用内
容 に広が りはみ られない。
数 値 :各 タイプの 回答
者 合 計 に対する参 加者
の 割合
以上 の構成 タイプか らみた コモ ンの利用状況 の概観か
ら、次の 3点 が指摘 される。 ひ とつに、 コモ ンの空間的
80
性格 によって使 い分 けが され ること、第二 に、広場 の道
70
路 との空間的分離 の有無 によって、広場 の利用度 の違 い
60
が現 れ ること、第三 に住戸 アクセスの共通 コモ ンによる
連結 の有無が、 コモ ンの利用度 に違 いを もた らしている
50
とい うことである。
%40
コモ ンの空間的性格 による使 い分 けは、居住者活動 の
30
際の利用 コモ ンに対す る空間的要求 の違 いに基 づ いてい
20
る。 すなわち、 日常活動 は個人的な レベルの活動 であ り、
子 供 を 選
ば す
目を気 に しないでい られ るなどの一定隈 のプライバ シー
も要求 され る。 コモ ンアプローチは、 日常活動 における
このよ うな要求 に応 え られ る準私的な コモ ンと して利用
1
動
清
的
人
- 社会的活動
日 光 浴
0
軽 い スポ個
lツ
利用 され る空間 は住戸周辺 または人 との出会 いのあ った
場所で展開 され る。 また個人的 な活動 とい う性格上、一
立 ち 帯
10
が高 くな って いるとみ られ る。 しか し地 区活動 への展開
図 -3 構成タイプ別にみた日常活動の状況
を考え ると、 コモ ンアプローチに代わ ってよ り公的な コ
(4)
-2
5-
乾他 :戸建て住宅地 におけるコモ ン
モ ンのあることが必要 にな る。 タイプ 2で は、 コモ ンア
型 の と違 いであ り、往来型広場 の利用 を抑制 して いる大
プローチか ら準公的な コモ ンであ り道路へ と段階的に構
きな要因 とみ られ る。実 際 に、 ヒア リングで もタイプ 1
成 され ることによって、居住者活動 の多様 な要求 に応え
での通過交通 の問題 が多 く指摘 されていた。
ている。 これ に対 し、各 コモ ンアプローチが地区外周公
第三 に、住戸 のア クセ スの共通 コモ ンに向け られて い
有道路 に直接接続す るタイプ 5で は、地区活動への広が
ることが、 コモ ンの利用度 を高 め ることに役立 ってい る
りが十分 に実現 されていない。立 ち話利用 の多 さに もか
ことであ る. タイプ 4は、単一交通系 コモ ンを中心、
にし
かわ らず、表 -3にみ るよ うに共 同活動 の参加が低 いと
て小 さな住戸数 で まとま りをっ くってい る。 この タイプ
い うことは、 その ことを示 していると思 われ る。
で は、 日常活動、地 区活動 のいずれ もコモ ン利用度が高
第二 に、広場 の道路 との空間的分離 の有無 は、広場 の
い。 しか しそのなかで」歩行者通路 の両側 の 2つの住戸
利用度 に影響 を もた らしている。往来型広場 を もっ タイ
列 の一方 が地区外周公有道路 に向いてい る地区を取 り出
プ 1で は、 日常活動、地区活動 のいずれをみて も、 5つ
してみ ると、他 の地区 に比 べて コモ ンの利用度が著 しく
の タイプ中広場 の利用度 は もっとも低 い。往来型広場 は
低 くな って いる。 日常 の アクセスが共通 コモ ンに連結 さ
区画道路上 に配置 されているために、広場上 に通過交通
れない住戸数が全体 の半分 に達す るこの地区の例が示す
が発生す るとい う欠点 を もっている。 この点が他 の広場
よ うに、住戸 のア クセスを共通 コモ ンに向 けることは、
(
a)タイプ 1
(
d)タイプ 4
\
ヽ/
t
三
ゝ
_
_
_
_
_
_
/
_
_
_
_
__
ニ
ト†
J…ー
_
Aヽ
∫
-I
--一
一
イー
し
I
ヽ
-一
/ 一一一
-- -- -
一一
●一一-コモンアブロー
二
ポ鞭 並 チ
tい ぼ 供
ツス す を
(
b)タイプ 2
散
歩
立
も
宙
生
l塵
動t
B
チ外
汚
イバ
(
e)タイプ 5
(
C)タイプ 3
図 -4 構成タイプ別にみた居住者活動の参加状況
(5)
-2
6-
生 活 環 境 学 科
居住者活動 の広 が りを支 え る重要 な計画課題 といえ る。
といえ る。
4.近所づき合 いとコモ ン構成
中、 つ き合 い関係 は もっとも低 い。 この タイプの空間的
4- 1.構成 タイプ別 にみた近所づ き合 いの状況
特徴 は、 クラス ター同士 を結 びっ ける ものが外周公有道
これ ら 2つ の タイプに対 し、 タイプ 5は 5つの タイプ
本節 で は、近所づ き合 いを支 え発展 させ るコモ ンの条
路 しかない ことであ り、 なか にはクラス ター同士がすべ
件 を検討 す るために、近所づ き合 いを構成 タイプ との関
て背合わせ にな ってい る地区 もあ る。 クラスター同士 を
係 で分析す る。
結 びつ けるコモ ンがな いこと、 いいか えれば、広場系か
ら交通系へ と段階的な コモ ン構成 を もたない点 が、他 の
地区内で互 いの家 にあが った り物 の貸 し借 りがで きる、
特 に親 しいっ き合 い戸数 を構成 タイプ ごとに示 したのが
タイプとの大 きな相違点 であ り、 これが コ ミュニテ ィ形
図 -5である。 図 -6は、つ き合 い関係 の多 い ものを 2
成 の阻害要因 のひ とつであると考 え られ る。 また、 コモ
つ まで回答 して もらった ものであ る。
ンアプローチが タイプ 2のそれ に比 べ ると狭 く、住戸居
図 -5か らは、 タイプ 4は、世帯数 が もっ.
とも少 ない
住者 とコモ ンアプ ローチ利用者 間の プ ライバ シー保全が
タイプに もかかわ らず、 4戸以上 および1
0
戸以上 のつ き
十分 でない点 も、つ き合 いの発展 を阻害 してい ると考 え
合 いの回答が多 い。次 いで タイプ 3のつ き合 いが多 い。
られ る。 1
9
8
0
年代、計画的戸建 て と して この タイプの住
つ き合 い戸数が少 ない、 およびっ き合 いがないとい う回
宅地 が公団 によ って先駆的 に計画、供給 されて きたが、
答 の多 いのが タイプ 5、次 いで タイプ 1とな って いる。
9
0
年代 に入 って供給 されな くな って い る。 コ ミュニテ ィ
図 -6で も、 タイプ 4でのつ き合 いが隣近所関係 に集中
形成上 の問題 があ ることは、公 団 の ヒア リングか らで も
してい ることがわか る。 その他 の タイプの住宅地 で もだ
確認 して いるところで ある。
いたいにおいて隣近所 のつ き合 いが一番多 く、 ほぼ 2人
次 いでつ き合 い戸数 の少 ない タイプ 1は、 コ ミュニテ
に 1人 が隣近所 のつ き合 いが他 のつ き合 いに比べて多 い
ィ形成 の良好 な タイプ 4、 3との比較 でみ ると平均世帯
と回答 している。
数が 2倍以上 と大 きい。 また、小規模 の住戸数 で集合的
4-2.近所づ き合 いか らみた コモ ン構成 の評価
まとま りを形成す るタイプ 4、 3に対 し、 タイプ 1で は
つ き合 い戸数 の もっとも多 い タイプ 4は、つ き合 い関
広場 が区画道路 の交差上 に配 置 されて いるなど、必 ず し
係で も隣近所 のつ き合 いをあげ る回答者 が きわめて多 い。
も住戸 の集合 的 まとま りを創 出す るよ うな配置 にな って
つ き合 いの良 さは特 に、歩行者通路 をは さんで住戸が内
いるわけで はない ことが、近 隣づ き合 いの薄 さの要因 に
に向 いている地 区 に顕著 で、一方 の住戸 の列 が外周公有
な って いると考 え られ る。
道路 に向 いている地区でのつ き合 い状況 はよ くない。 こ
タイプ 2は、地区内っ き合 い戸数 の傾向が中間 にある
の ことよ り、 コモ ンを はさんで小規模数 の住戸が向 き合
地区であるが、 日常活動 は もっとも活発 な地区である。
う空間構成 が、 緊密 な コ ミュニテ ィと日常活動 や共同活
ただ し共同活動 につ いて は 5つの タイプ中、不活発 な方
に・
はい ってい る。 この不整合 の関係 は、分譲開始 よ り日
動 を育 て る基盤 にな って いるといえ る。
タイプ 4に次 いでつ き合 い関係 が良好 な タイプ 3の タ
が浅 くそのため、平均未入居住戸 が2
3%に ものぼ る 3地
イプ 4と類似す る空間的特徴 は、平均世帯数規模 が比較
区が含 まれて いることが大 きな要因 にな ってい ると考え
的小 さい ことであ り、住戸が コア型広場 や これにつづ く
られ る。
道路 に面 して緊密 なまとま りを構成 して いることである。
この 2点がっ き合 い関係 を高 めている空 間的要因である
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図 -6 付 き合 い関係
図 -5 特 に親 しい付 き合 い戸数
(6)
ー2
7-
乾他 :戸建 て住宅地 におけるコモ ン
5.まとめ
引用文献 および注
1)佐藤俊一 :戸建 て住 宅地 、
、
計画
共 同利用 を促す空間的 しくみ と して コモ ンが計画的 に
〝
を考 え る、石 田頼
整備 された戸建 て住宅地 を選定 し、広場型 か ら 5つの構
房先生退職記念論文集、 1
9
9
6
年
成 タイプを導 き出 した。 この構成 タイプよ り居住者 の コ
同 :戸 建 て住宅地 "
計 画 〝 を考 え る (アメ リカの住宅
モ ン利用、近所づ き合 い実態 を分析 し、戸建 て住宅地 の
地計画 に学 ぶ)、住都公 団住宅都 市総 合研 究 所 調 査 研
究期報、No
.
1
1
2
,
1
9
9
7
2)斎藤広子、八木滞壮-
コモ ン計画の課題 につ いて考察 した。以下 にまとめ る。
1
) 近所づ き合 いの基盤 とな るコモ ンは、 住 戸 との結
:共有地 のあ る戸建 て住宅地
び付 き関係が明確 で、通過交通 のない コモ ンであ る。住
の特性 と評価、都市住 宅学 1
5
号、 1
9
9
6AUTUMN
戸 の ア クセスは、 コモ ンに向 いて いることが重要 であ る。
同 :共有地 を積極 的 に取 り入 れた戸建 て住宅地 の住環
小規模住宅地 で は歩行者道路、 よ り規模 の大 きい住宅地
境 とその管理 につ いて の居住者 の評価、都市住宅学 1
8
号、 1
9
9
7S
UMMER
で はコモ ンアプローチが この よ うな条件 を もち住戸 のア
3) 5- 6戸程度 の住戸 が取 り囲んで共通 のアプ ローチ
クセスを取 りまとめ るのに適 して いる。
と して いる小広場 を コモ ンアプ ローチ と名づ けた。
2
)共 同活動 を支 え る空間的条件 は、 これ らコモ ンによ
る住戸集合が有機的 に連結 されて いることであ る。
参考文献
本論 は、 コモ ンの利用実態分析 に もとづ き、 コモ ンの
空間計画 に関す る考察 を行 った。 コモ ンを もつ住宅地 に
1)住宅、 中間領域特集、 1
9
8
3
年1
1
月
お ける初期条件 と して、次 に コモ ンの管理計画が重要 と
2)住環境施設 の コモ ン的所有、管理 に関す る研究、大
阪市立大学住 田研究室 はか、 1
9
8
4
年 3月
な る。今後 は、 コモ ンの管理実態 とその計 画課題 につ い
3)居住環境 にお ける新 しい共同空間、 日本住宅組合 セ
て考察す る予定 である。
ンター、 1
9
9
3
年
感謝 いた します。 また、本論文 は、谷 口京子 さん (当時
4)∫.ゲ -ル :屋外空 間 の生活 とデザ イ ン、鹿 島出版
会、 1
9
9
0
年
5)小林秀樹 :集住 のなわぼ り学、彰国社、 1
9
9
2
年
院生)、中川啓子 さん (当時学生) の調 査 研 究 の労 が あ
6) 猪狩達 夫、高山登 :戸建 て集合住宅 による街づ くり
謝辞
本調査 にあた り、協力 して いただ いた居住者 の方 々に
手法、彰 国社、 1
9
9
0
年
った ことを記 し謝意 を表 します。
7)前園百合子 :共有地 (コモ ン) の管理、保全 の実態、
家 とまちなみ、住宅生産振興財団、 1
9
9
6
年 9月
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