第 58 期 報告書 2015年 4 月 1 日 ▼ 2016年 3 月31日 証券コード:6274 トップインタビュー 構造改革の仕上げから収穫段階へ Q. 2015年度の概要について 教えてください A 2015年度(2016年3月期)の連結業績は、売上 高12,662百万円(前期比11.5%増) 、営業損失1,035 百万円、経常損失1,444百万円、親会社株主に帰属す る当期純損失1,849百万円となりました。 世界経済は、米国と欧州では雇用・所得環境の改善を 背景に個人消費が拡大し、景気は緩やかな回復基調を 辿りました。一方、中国をはじめとする新興国経済の成 長鈍化、中東における地政学リスクの高まりが景気の下 押し要因となるなど、依然として不透明感は払拭できな い状況が続きました。 エレクトロニクス業界においては、電子部品市場は堅調 に推移したものの、中国経済の減速を受けて、スマートフ ォン市場の在庫調整を契機に、モバイル関連半導体需 要が低迷しました。また、年度後半にはディスクリートを 含む半導体市場全体にまで落ち込みが広がり、年明け 以降も市場は停滞基調で推移しました。後工程装置市 場においても、その影響を受け、設備投資を抑制する動 きとなりました。 このような状況のもと、韓国大手メモリメーカーや中国 大 手OSAT等からの 受 注 増 加により、ワイヤボンダ UTC-5000シリーズの販売が順調に推移したものの、7 月以降、スマートフォン市場の在庫調整を受けて、顧客 の設備投資に見送りが相次ぎました。年明け以降も設 備投資への慎重姿勢が継続し、受注回復には至りませ んでした。 一方で、フリップチップボンダの売上増加や、オペレーショ ンの効率化によるコスト低減など、種々の取り組みによ る成果は徐々に現れており、収穫期を迎えつつあると考 えています。 Q. 2016年度の見通しを 教えてください A 2016年度の半導体業界は、PCの需要低迷やスマ ートフォンの成長鈍化によるDRAM価格の下落などが影 代表取締役社長執行役員 1 長野 高志 響し、大手メモリメーカーの事業環境は厳しい状況が続く と予測されています。一方で、ロジックは、中国OSAT等 の特定モバイルへの新製品投入を背景に、需要が増加 ェーハ・レベル・パッケージなどのワイヤレスプロセスが大 すると予測されており、車載半導体市場も堅調に推移す 幅に増加していくと予想されており、フリップチップボンダ ると見られています。また、IoT社会に向けて、ワイヤレス 市場の拡大が期待されています。そこで、TSV(シリコン 通信で使用されるデバイスの需要拡大が期待されてい 貫通電極)を用いた3次元実装で必要とされるTCB工法 ます。後工程装置市場では、メモリメーカーの設備投資 に加え、既に普及している高精度マスリフロー工法などに は縮小するものの、ロジックメーカーや一部の中国OSAT も対応した装置を揃え、先端パッケージ分野での競争優 等の設備投資は堅調に推移すると予測されています。ま 位性を高めていきます。ワイヤボンダ・ダイボンダでは、 た、足元ではIoT技術を活かした生産現場の自動化・効 既存顧客・新規参入顧客へ信頼性の高い技術提供を継 率化の需要も増しています。 続していきます。また、装置単体のオペレーター・サポート このような市場見通しのもと、当社グループは以下に取り 機能を発展させ、装置稼働状況や生産状況の管理も含 組んでいます。 めたシステム・ソリューション提案を通じて、新興OSAT等 営業・技術・生産体制の再構築とその定着を推進してい への拡販を図ります。 ます。営業については、各国販売拠点が主体の各地域に 密着した販売活動をすることにより、顧客満足度の向上 を図ります。技術については、生産・品質部門と連携し、 開発・設計からのコストダウンを推進するとともに、製品 のプラットフォーム化や海外拠点エンジニアの強化等によ り、開発・設計体制のグローバル化と効率化を図ること で収益性改善を目指します。生産については、最適地生 産によるコスト低減を実現するために、一部製品の製造 業務を外部に委託するとともに、フレキシブルできめ細や かな生産を目指すべく生産機能を子会社へ移管しました。 タイ工場・国内工場および外部委託先それぞれが相互 補完関係を築き、グループ全体の生産効率向上に努め Q. 株主の皆様へメッセージを お願いします A 平素からのご支援に心からお礼申し上げます。ま た、未だ新川復活には至っていない状況につきまして、 株主の皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけして いますことを、心よりお詫び申し上げます。2016年度が 本格的な収穫期入りとなるよう、引き続き邁進してまいり ます。 株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご理解、 ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。 ていきます。 また、技術面においては、技術力・商品力の向上を目指 2016年6月 します。今後のパッケージ技術トレンドは、フリップチップ、ウ 2 ビジネスハイライト 社 志 経営理念 「人がもっと創造力を発揮できる社会へ、新川はロボット技術の最先端を進みます。」 人が創造力を発揮し夢と希望を持てる社会、人が人の持つ可能性に挑戦できる環境、新川は、その実現 のためにロボット技術を磨き、人間社会をより豊かにする最先端技術を提案し続けてゆきます。 私たちは、あらゆる行動の根底には、常に本質を追求する姿勢が大切だと考えます。 表面的な事象や慣例にとらわれず、 『本質は何か』を真摯に追い求め、以下の行動指針に従い進みます。 行動指針 Challenge 挑 戦 Change 変 化 Collaboration 協 働 新川は、ボンディング装置メーカーです 私たちの生活に密着した携帯電話やスマートフォン、パソコン、テレビなどは、高機能化、 多機能化を続けていますが、これら多くの製品で使用される半導体も日々進化を続けて います。 新川は、半導体の製造において必要不可欠な「ボンディング装置」のメーカーです。 1970年代後半、全自動化に成功して以来、半導体の技術革新を支え、先駆的な製品を 提供し続けています。 IoT 時 代を見 据えた商品戦 略 ここ数年、爆発的な成長を遂げたスマートフォン市場が成熟期を迎え、半導体市場の新たな牽引役はIoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場に移行しつつあります。2020年には500億個のモノがインターネットに接続されると言わ れており、半導体への要求にも変化が現れています。今後は、大型サーバーやスーパーコンピューター向けとしてメモリの大容 量化や高速化、モバイル機器向けとしては従来の小型化・薄型化に加え、省電力化が求められます。 このような変化に伴い、半導体パッケージのトレンドでは、フリップチップ、ウェーハ・レベル・パッケージ等のワイヤレスプロセスの 拡大が見込まれており、当社グループはこのトレンドに向けて数年来フリップチップ事業の拡大に注力してきました。 従来より商品展開しているTCBプロセス用機種に加え、2015年12月にリフロープロセス用機種を、2016年5月にはマルチプ ロセスに対応した新機種を市場投入し、フリップチップ市場に対する装置ラインアップを強化しています。 また、IoT時代の後工程組立市場では、IoT機能を活かしたトータルボンディングソリューションの提案が期待されており、市場 ニーズに合わせて装置のインテリジェント化を推進しています。 3 連結財務ハイライト ■ 韓国大手メモリメーカーや中国大手OSAT等からの受注増加により、ワイヤボンダUTC-5000シリーズやフリップチップボンダ LFBシリーズの販売が伸長し、連結売上高は12,662百万円(前期比11.5%増)となりました。 ■ 営業損失は1,035百万円となり、為替差損や人事制度変更による一時費用を計上したことなどから親会社株主に帰属する当期 純損失は1,849百万円となりました。 ■ 純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上などにより利益剰余金が減少したため、20,570百万円となりました。 売上高 営業利益 (億円) (億円) 126.6 113.5 113.5 100 74.8 50 55期 56期 57期 58期 300 △26.7 △10.4 ‒10 ‒20 ‒20 ‒30 ‒30 ‒40 ‒40 ‒50 55期 56期 57期 58期 200 205.7 100 56期 57期 58期 0 ‒50 55期 56期 △18.9 △18.5 57期 58期 研究開発費 30 △116.7 △237.3 △104.2 △101.8 25.9 25 ‒60 20 ‒120 15 ‒180 10 ‒240 5 ‒300 △21.2 △43.1 (億円) 60 233.4 0 ‒10 (円) 289.7 55期 10 △25.6 △41.1 1株当たり当期純利益 244.0 0 0 (2016年3月期) 純資産 (億円) (億円) 10 150 0 親会社株主に帰属する当期純利益 55期 56期 57期 58期 0 22.0 20.3 14.6 55期 56期 57期 58期 4 トピックス 1 2 5 マルチプロセス対応パッケージボンダFPB-1s NeoForceを市場投入 従来機種であるLFBシリーズは、3次元実装メモリ キューブ等、TCB工法のアプリケーション向けとして 主に採用されていますが、ハイエンドグラフィックス やクラウドサーバー等に用途が限定されており、現 在フリップチップの主流であるマスリフロー工法に対 しては、コスト・生産性の面で大きな課題がありまし た。 また、IoT時代の到来によりプロセスの多様化が進 み、今後、後工程製造装置ではフレキシビリティ向 上への要求が加速すると予想しています。 そこで当社グループは、時代に先行するソリューショ ン提案として、モジュールオプションの追加により多 様なパッケージに対応する新プラットフォーム「FPB (Flexible Package Bonder) 」を開発し、その第 一 弾 とし て、 サ ブ ストレ ート 用 機 種「FPB-1s NeoForce」を市場投入しました。 同機種は、当社独自の低振動技術であるNRS(Non Reaction Servo system)を応用したNVS(Non Vibration System)を搭載し、高いボンディング 精度を維持しながらも高生産性を実現しています。 ま た、 高 荷 重 に 対 応 す るFFG(Force Free Gantry)構造を採用しており、1台の装置でTCB工 法を始めとする幅広いフリップ実装工法に、高い生 産性で対応する装置となっています。 Shinkawa Smart Bonding Solutionの推進 IoT社会の立ち上がりに加え、中国を始めとした新 興国では賃金水準が年々上昇し、従来の条件設定 や搬送の自動化に加え、半導体製造装置のメンテナ ンスや管理までを含めた完全自動化への要求が高ま っています。 この要求に対応すべく、当社グループは、センサー やソフトでインテリジェント化した「Smart Bonder」 及びSmart Bonderにデバイスや材料の特性等、高 度 なプロセスノウハウをビ ルトインした「Smart Process」 、更には多数の装置を相互に接続して効 率 良く管 理・進 化 さ せ るネットワ ークシステム 「Smart Network」の開発を進め、これら3つの機 能 をト ー タ ル で 提 供 す る「Shinkawa Smart Bonding Solution」の提案を推進しています。 「Shinkawa Smart Bonding Solution」の中核と もいえる「Smart Network」では、従来から一部 の提供を開始している「新川ネットワークシステム (Shinkawa Computer Integrated Manufacturing : S-CIM) 」 を 更 に 進 化 さ せ、 Smart BonderやSmart Processと連携した装置管 理機能やセットアップサポート機能などの強化を図っ ています。 会社概要 会社概要 株式の状況(2016年3月31日現在) 商 号 株式会社新川 本 社 東京都武蔵村山市伊奈平二丁目51番地の1 設 立 1959年8月6日 金 83億6,000万円 株主数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 従 業 員 数 株式会社新川 272名(2016年3月31日現在) 新川グループ 681名(2016年3月31日現在) 大株主の状況 事 業 内 容 半導体製造装置の研究・開発・設計・製造・販売 および保守サービス 役 代表取締役社長執行役員 長野 高志 取締役専務執行役員 永田 憲雅 取締役常務執行役員 森 琢也 取締役執行役員 藤野 昇 取締役 資 本 員 (2016年6月29日現在) 取引金融機関 発行済株式の総数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20,047,500株 7,798名 所有株式数 比率 (千株) (%) 氏名又は名称 906 4.52 みずほ信託銀行株式会社 退職給付信託 東京都民銀行口 900 再信託受託者 資産管理サービス信託銀行株式会社 4.49 THE BANK OF NEW YORK 133522 735 3.66 安生 一郎 STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 720 3.59 取締役 川上 雄一 執行役員 田島 寛敏 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 664 3.31 執行役員 佐久間哲也 新川取引先持株会 546 2.72 執行役員 大岡 文彦 株式会社アイ・アンド・イー 499 2.49 常勤監査役 関口 晃嗣 監査役 吉野 正己 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 489 2.44 監査役 三矢麻理子 東京TYリース株式会社 405 2.02 株式会社みずほ銀行 294 1.46 東京都民銀行三鷹支店 三菱東京UFJ銀行立川支店 みずほ銀行立川支店 グローバルネットワーク 本社 発行可能株式総数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80,000,000株 開発/製造/販売 ソフトウェア開発 GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL (注) 1.所有株式数、比率とも表示単位未満を切り捨てて表示しています。 2.当社の保有する自己株式1,873千株は上記の表には含めていません。 所有者別株式数比率 販売/保守サービス 自己株式 9.34% 金融機関 (金融商品取引業者含む) 23.26% 個人・その他 37.02% 所有者別 比率 その他国内法人 11.52% 外国法人等 18.83% 6 株主メモ 事 業 年 当社ウェブサイトのご案内 度 毎年4月1日~翌年3月31日 定 時 株 主 総 会 毎年6月 株主確定基準日 定時株主総会 議決権行使株主 3月31日 配当金受領株主 3月31日 なお、中間配当を行う時は9月30日 その他必要がある場合は、あらかじめ公告する 一定の日 公 告 方 法 100株 株 主 名 簿 管 理 人 特別口座の口座管理機関 三菱UFJ信託銀行株式会社 同 三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部 〒137-8081東京都江東区東砂七丁目10番11号 TEL 0120-232-711(通話料無料) 絡 先 上場証券取引所 業務内容詳細ならびにプレスリリース内容等をタイ ムリーかつ幅広くお知らせしています。 http://www.shinkawa.com 電子 公 告により行う。ただし、事 故その 他や むを得ない事由によって電子 公 告をすること ができない場合は、日本経済新聞に掲載して 行う。 公告掲載URL http://www.shinkawa.com 1単 元 の 株 式 の 数 連 当社ウェブサイト上で会社概要、財務内容をはじめ 東京証券取引所 ご注意 1. 株券電子化に伴い、株主様の住所変更、買取請求その他各種お手続きにつ きましては、原則、口座を開設されている口座管理機関(証券会社等)で承 ることとなっています。口座を開設されている証券会社等にお問合せくださ い。株主名簿管理人(三菱UFJ信託銀行)ではお取り扱いできませんのでご 注意ください。 2. 特別口座に記録された株式に関する各種お手続きにつきましては、三菱UFJ 信託銀行が口座管理機関となっていますので、上記特別口座の口座管理機関 (三菱UFJ信託銀行)にお問合せください。なお、三菱UFJ信託銀行全国各 支店にてもお取り次ぎいたします。 3. 未受領の配当金につきましては、三菱UFJ信託銀行本支店でお支払いいた します。 この冊子は環境にやさしい植物油インクと再生紙を使用しています。 環境に配慮した 「ベジタブルインキ」を 使用しています。 〒208-8585 東京都武蔵村山市伊奈平二丁目51番地の1 TEL. 042-560-1231 FAX. 042-560-8485
© Copyright 2024 ExpyDoc