第9号 - 斐伊川漁業協同組合

(1)平成 28 年7月
斐伊川漁業協同組合広報誌
瀬
音
第 9 号
第9号
編集・発行/斐伊川漁業協同組合広報委員会/平成28年7月1日発行/雲南市三刀屋町下熊谷1272番地5/TEL(0854)45-2098
斐伊川土手の桜と願い橋(目を閉じて渡りきると願いが叶う)
先頭の若
鮎
跳ねて里
の川
小柳正明
目
次
就任にあたって 代表理事組合長 山根成二 �������2
平成28年事業計画 ���������������3
平成28年新役員紹介 ��������������4
写真で見る地域活動���������������5
斐伊川を訪れた文化人(七)内海隆一郎(小説家) ����6
支部の紹介(多根支部) ��������������6
アユ群れる川の再生に向けて�����������7
広葉林への転換による水源涵養の推進について���8
漁協組合員の紹介���������������� 9
斐伊川水系全図���������������� 10
及び剰余金処分案承認の件
第4号議案 余裕金預入先金融機関の承認の件
第6号議案 平成28年賦課金の額・徴収時期及び徴収方法の件
第5号議案 平成28年における理事及び監事の報酬決定の件
第7号議案 定款一部改正の件
第8号議案 規約一部改正の件
第10号議案 任期満了による理事及び監事選任の件
第9号議案 自主禁漁区新設及び変更の件
就任にあたって
第3号議案 平成28年における借入金の最高限度額決定の件
1.Q組合員減少に歯止めをかける対策はどのようにしてい
るか。
A組合員が共通認識の下で若い組合員加入に努力頂いて
いる。
2.Q河川工事等の汚濁水問題はどのようにしているか。
A事前協議を必ず実施し、特に放流時期には汚濁防止を
強くお願いしている。
汚濁水通報があった時には、
役員・
支部長・本部が出動し対応策を協議している。
3.Q友釣専用区が増設されたが、看板を設置してほしい。
また、三成専用区については7月19日までと変わらな
いが、7月31日までにならないか検討してほしい。
A看板はよくわかる場所に設置する。三成専用区につい
ては今年はこれでやらせていただくが問題が生じれば
来年度に向けて検討する。
第2号議案 平成28年事業計画並びに収支計画書承認の件
①規程改正報告
②一般財団法人斐伊川漁業振興会報告
③その他(主な意見)
第1号議案 平成27年事業報告書・貸借対照表・損益計算書
山 根
成
二
「 古 事 記 」 の 神 話 の 舞 台 で あ り、
固有の文化を醸し出しました。「出
雲国風土記」において斐伊川は「年
魚、痲須あり」と記載されている
ように貴重な蛋白源を提供し、そ
の清流は飲料水の提供と共にこの
地の田畑を潤し、農業の礎となっ
てきました。日本遺産に選ばれた
「たたら操業」も斐伊川の役割抜
きには語れません。また、近世・
近代にいたるまで、雲南地域と出
雲・簸川地域とは斐伊川の舟運に
よって経済的な結びつきがあった
ようです。我々は先祖から一貫し
て、斐伊川と共に生き、暮らして
きたと言えます。
この命の源ともいえる斐伊川の
清流・自然を次世代に引き継ぐと
いう崇高な理念を掲げる当組合の
使命・責任は誠に大なるものがあ
ると痛感しております。また、こ
うした悠久の斐伊川の歴史の一齣
の中で、微力を捧げる役割をいた
だきましたことに深く感謝申し上
げる次第であります。
斐伊川漁協においても、いくつ
かの課題もあります。尾原ダム建
設に伴う影響が今後どう表れてく
るのか、地球温暖化や昨今の異常
気象など環境の変化による影響へ
の対策、全国的現象でもある組合
員の減少対策などなど。こうした
課題に真摯に、継続的に取り組ん
で参る所存であります。
重ねて、組合員各位の御指導・
御協力をお願い申し上げ、御挨拶
といたします。
5名
報告事項
重要な議事及び議決事項
第65回 総代会風景
88名
5名
74名
通常
H28.3.13
96 名
4名
合計
書面
委任状 代理出席
本人
代表理事組合長
この度、皆様の御推挙をいただ
き、伝統ある斐伊川漁業協同組合
の第八代組合長に就任いたしまし
た。
もとより浅学菲才の身でありま
すが、重責に身の引き締まる思い
がいたします。組合員の皆様はじ
め関係各位の御指導・御協力を賜
りながら、微力を尽くす覚悟であ
ります。どうかよろしくお願い申
し上げます。
早速、漁協の状況を把握すべく
書 類 に 目 を 通 し ま す と、「 河 川 環
境 の 保 全 」、「 河 川 生 息 魚 類 の 増
殖」、「子どもたちへの自然環境学
習機会の提供」など実に多岐にわ
たる、また、時宜を得た事業を展
開されてこられたことに敬服いた
しました。
また、和泉前組合長におかれま
しては、昨年、全国内水面漁業振
興大会において、河川水確保のた
めの広葉樹林の拡大を図る提案を
なされ、大会決議が採択されると
いう立派な業績も打ち立てられた
ところであります。
財政的にも健全経営を維持さ
れ、 将 来 に わ た る 確 固 と し た ビ
ジョンも打ち立てておられること
を深く認識したところでありま
す。
これらの立派な業績等は、偏に
これまで経営にあたってこられま
し た 歴 代 組 合 長 は じ め 理 事 各 位、
それを支えてこられました組合員
各位の御尽力・御協力の賜物であ
り、深く敬意を表します。
斐伊川は、皆様御存じのとおり
出 席 総 代 数
開催日現在
の 総 代 数
総代会の種類 開催年月日
平成 28 年7月(2)
音
瀬
第 9 号
第65回 通常総代会開く
全提出議案原案通り可決
平成28年3月13日午前9時より木次町下熊谷
交流センターにて開催しました。
平成28年事業計画
190kg
わ か さ ぎ 卵
300万粒
うぐい産卵場
19ヶ所
事業の概況
な
ぎ
300kg
や
ま
め
280kg
や ま め 成 魚
1,100kg
も く ず が に
30kg
3ヶ所
和 泉 一 朗
退任のあいさつ
う
① 放流事業
1,600kg
前代表理事組合長
(斐伊川・赤川・三刀屋川、
人工産卵床設置)
い
こ
放流量
魚 種
このたび任期満了に伴い斐伊川漁業協同組合代表理事組合長
を退任いたしました。
在任中は組合員の皆様、団体、お取引先の皆様はもとより支
部長、役員の皆様に温かいご支援、ご厚情を賜りお蔭をもちま
して楽しく責務を全うできましたこと心より厚くお礼申し上げ
ます。
多くの素晴らしい先輩組合長様方の足もとにも及ばぬ者でし
たが、斐伊川を思う心と皆様方との思い出は生涯の宝として後
期高齢人生の一頁にとどめ置くものでございます。今後とも変
わらずご厚誼、ご指導賜りますようお願い申し上げます。
なお、後任の山根成二組合長に対しましても私同様変わらぬ
ご厚情をいただきますようお願い申し上げ退任のご挨拶といた
します。
② 養殖事業
地方経済は一層厳しさを増す世情を鑑
み、養殖尾数一八、
〇〇〇尾とする。安全・
安心・新鮮はどこにも負けないあゆ生産
に努力する。
皆様のご愛顧をお願いしたい。
③ 漁場管理事業
河川環境の保全を図るべく汚濁水防
止・河川清掃など、各支部や他団体との
協議・協力を得ながら実施していく。ダ
ム湖の状況についても関連団体と協議し
ながら将来に向けての課題として検討し
ていく。あゆの動体や河川水の調査・ダ
ムが及ぼす影響など、島根大学吉岡助教
の研究調査に協力し河川の改善に努め
る。更に、あゆ友釣専用区の拡大を図り
入漁者のニーズにも応えたい。監視活動
カワウの大群(木次大橋上空を舞う 11月)
な
ふ
ゆ
あ
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(3)平成 28 年7月
では、本部二名体制とし支部監視員と連
携を取りながら安全遊漁に努める。
④ 有害鳥獣駆除対策事業
カワウ・サギ対策は昨年同様、花火の
追払い・テグス張り・駆除助成金制度を
継続して行う。国の対策事業では、種々
メニューはあるが実施可能なものでなく
てはならない。現在では猟友会にお願い
している銃器による駆除が最も有効であ
ると考えている。ブルーギル・ブラック
バスの駆除も同じく継続する。ダム湖に
ブルーギルが増殖している状況は頭の痛
い問題であり、啓発活動も含め検討して
いきたい。
⑤ 教育啓発広報活動事業
「 う さ ぎ 追 い し か の 山 こ ぶ な 釣 り し か
の川」と歌われる童謡のごとく生きてき
た時代は、今はない。物の豊かさと心の
豊かさとは反比例する。自然学習(水辺
の教室)を推進し、かつての童謡の歌心
を子供たちに感化させたい。生きる力と
豊かな心を育み、強く逞しく優しい人間
形成の一助になることを願いたい。
広報誌『瀬音』は第九号の発刊となる。
情報内容をより充実させ、読んで楽しく
わかりやすい紙面作りに努めたい。
任期:平成28年3月~平成31年3月
理 事 錦織
滋
この度、理事に選任され、重責を感
じております。
斐伊川水系の自然環境を維持する
為、組合員、地域住民の理解を得なが
ら活動を図りたいと思います。
新役員の抱負
新役員紹介
理 事 蔦川 正夫
この度、新しく理事に選任頂きまし
た。微力ながら皆様のご指導を頂きな
がら、努めてまいりますので宜しくお
願いいたします。
石原武志
鳥谷哲男
蔦川正夫
河角守雄
足田耕二
高橋修治
收
願永信夫
片石武夫
谷戸邦夫
山根成二
滋
周藤茂雄
錦織
若月末一
支部名
支部長名 組合員数
三刀屋
代表理事
山根成二
横 田
吉田 勉
78
木 次
第一理事
周藤茂雄
八 川
糸原 功
70
鍋 山
第二理事
谷戸邦夫
馬 木
吉川光則
44
大 東
第三理事
錦織 滋
亀 嵩
村田勝仁
34
三 成
理 事
足田耕二
布 勢
八澤重利
35
多 根
理 事
片石武夫
三 成
中林敏夫
64
掛 合
理 事
願永信夫
阿 井
立石好次
67
阿 井
理 事
若月末一
三 沢
小池吉孝
30
八 川
理 事
蔦川正夫
温 泉
西村謙一
45
横 田
理 事
伊藤 收
日 登
瀬尾正明
50
加 茂
理 事
高橋修治
木 次
森山繁男
61
温 泉
理 事
亀山真二
大 東
野々村一己
105
田 井
代表監事
河角守雄
加 茂
舟木 隆
49
大 東
監 事
鳥谷哲男
三刀屋
松尾静治
65
布 勢
監 事
石原武志
鍋 山
名原英夫
72
多 根
落部 勇
22
掛 合
落部照治
70
吉 田
高橋 守
21
田 井
松島貞夫
27
組合役員と支部長及び組合員数
理 事 亀山 真二
この度、新しく理事に選任されまし
た。 人 間 が 生 き る た め の 原 点 に 帰 り、
食する事の出来る魚が育つ川を守って
行きたいと思います。
監 事 石原 武志
この度、監事に選任されました。漁
協 の 組 合 員 資 格 を 得 て か ら 十 余 年、
昔は渓流釣りによく行っていました
が・・・。皆さんの魚好きと情熱に影
響を受け再開致します。ご指導宜しく
お願いします。
監 事 鳥谷 哲男
この度の改選で、監事に選任されま
した。斐伊川水系の自然を守りいつま
でも魚の棲める川になるよう努力して
いきたいと思います。
氏 名
支部名
伊藤
亀山真二
理 事 高橋 修治
この度、理事に選任されました。斐
伊川水系の自然環境の保全に努め、多
くの魚が住める豊かな河川づくりに取
り組みたいと思います。よろしくお願
いします。
理 事 伊藤
收
この度、斐伊川漁協の理事に就任致
しました。どうか宜しくお願い致しま
す。斐伊川の最上流に位置する組合員
として河川の美しい環境を保全するこ
とで、子供たち次の世代に引き継ぐ為
に微力ながら努力して行きたいと思い
ます。
役職名
支部長名と組合員数
役 員 名
平成 28 年7月(4)
音
瀬
第 9 号
瀬
(5)平成 28 年7月
)
屋川
こいの人工産卵床(三刀
音
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さくらおろち湖活性化を目指し
ワカサギ卵の放流
にて)
漁協前河川敷
事業(
水辺の交流
テグス張り(加
茂支部)
ゴビウス講師による水辺の教室(木次支部)
水辺の教室 真剣な眼差しで!(鍋山支部)
一郎 (小説家 1937~2015) =
=内海 内海 隆一郎
『蛍の宿』
ひ
い
愛知県名古屋市生まれ。立教大学社会学部卒
代 表作は「人々シリーズ」。第二十八回文学界新人
賞受賞。「ハートウォーミング」と呼ばれる独自のスタイルによって市井
の人々を描くことを得意とした。庶民の日常生活の哀歓を主に短編小説に
描き、ほのぼのとした読後感を与える。
「蛍の宿」は『湖畔亭』という題の一冊に収められている。この短編小
説 の舞台となっている湯村温泉の「湯之上館」を三月二十一日に訪ね、ご
主人からお話を訊いた。
内海隆一郎氏は、斐川町に開設されていた「暁ハウス」に平成三年三月
か ら滞在されていた。その間に最初は遊行に来られたが、斐伊川の清流、
旅館の佇まい、周辺の情景などがお気に召してその後数回、ご夫人や知人
同伴で訪れ、宿泊された。
尚、『湖畔亭』は県立図書館で借りることが出来る。
小説「蛍の宿」
湯山温泉は、宍道湖の西岸から斐伊川に沿って山深く入ったとこ
ろにある。
明治の末までは松江から広島方面へ抜ける旧街道に近く、旅人た
ちがかならず立ち寄った温泉地だった。当時は旅館が渓流沿いに列
をなしていたが、ここを遠く迂回して鉄道が敷設されてからは、時
代から取り残されたかたちになってしまった。
鉄道に遠かったおかげで、静けさが残されたのは、むしろ僥倖と
いうべきだろう。大正時代の末から口伝えに、知る人ぞ知るといっ
た秘湯となって、ひなびた風情を愛する文人たちが訪れた。
いまは、ただ一軒、元湯館が残っているだけだ。全部で八室のこ
じんまりした宿で、建物は古いが木の温かみを感じさせる。
き ごう
毫さ
文人たちに愛された名残は各客室にある。扁額や掛け軸に揮
れた見事な書や山水画である。すべて、昭和初期までの高名な文人
の筆になるものばかりなのだ。
『湖畔亭』の一編「蛍の宿」から引用
集英社 平成五年刊
その宿に、高名だと自称する画家が泊まった。宿泊中に、各部屋
にある絵や掛け軸の偽物を作ってすり替え、
本物を持ち出そうとする。
湯の宿シリーズに登場する小笠さんが、すんでのところでそれを
見破った。
多根支部の会
員は現在二十二
名の小さな支部
である。組合員
の高齢化と河川
環境の悪化に伴
い魚類が激減し
ている。時代の
進行とともに趣
味の多様化や生
活状況の変化に
起因するものと
思う。しかしながら、人の営みは自
然と共有することで成り立ってい
る。支部では、河川敷の草刈や竹の
伐採、カワウ・サギ対策としてテグ
ス張り・花火での追払い・水辺の教
室等、漁協が推進する事業に協力し
少しでも河川環境を保全すべく活動
している。漁協からの助成金は全て
支 部 会 計 に 入 れ、 人 件 費 は 一 切 払
わず完全ボランティアで行ってい
る。それでも会員からは一回の苦情
も出ていない。これには一つ訳があ
る。 会 員 そ れ ぞ れ が 季 節 の 旬 の も
の、山菜であったり魚(ウグイ・ア
ユ・ウナギ・コイ・フナ・ナマズ・
スッポン等)であったり肉(イノシ
シ・ウサギ・シカ・マミ等)が獲れ
た時は「オーイとれたどー」と声掛
けすれば会費をポケットにぞろぞろ
と集まってくる。誰言うともなく分
担が決まっていて、料理する人・下
準備する人・皿に盛る人・コップを
並べる人・手際よく宴会の支度がで
きる。乾杯は支部長の出番だ!誰か
が「これうまいの~」と云った。す
かさず料理人から「今までまずいも
の出したことがあるか!」と返しが
く る。 思 わ ず そ れ も そ う だ と 納 得。
今日の料理を紹介すると、メインは
アユである。塩焼き・刺身・背ごし
だ。焼肉もある。臭みもなくやわら
かい、冬獲れた猪肉とのこと。瓶に
入れたものがある。保存したワサビ
漬けだ!ツーンと鼻にくる、これが
たまらない、とても美味だ、皆ピッ
チが速い。しばしその時の肴談義か
ら始まる。皆の顔は日頃のうっぷん
はどこへやら、笑顔満載えびす顔で
ある。やはり川や山や百姓の話が主
であるが熱が入ると国政にまで話が
は ず む。「 こ の 次 は 何 か の ~」 誰 も
が顔を見回す。すぐには頭に浮かば
な い。「 コ イ で も い い よ ー、 年 中 食
べ ら れ る か ら な ー」「 う ん う ん 」 こ
れで会は終わる。大いなる仲間作り
の妙薬になっている。
漁協の中では、一番小さな支部だ
けどまとまりが良い支部である。
ゆっくり
と月日が流
れるごとく
多根の地で
根付いてお
だやかに自
然と共に明
日へ生きて
いく糧とし
たい。
いかだ下りで自然体験(多根支部)
りゅう いち ろ う
うつ み
(七)
平成 28 年7月(6)
音
瀬
第 9 号
多根支部紹介
自然の恵に感謝
支部長 落部 勇
アユ群れる川の再生に向けて
島根大学生物資源科学部 斐伊川でのアユ回遊に関する研究
吉岡秀和
白井朋之・田上大助
京都大学大学院農学研究科 八重樫優太・宇波耕一・藤原正幸
九州大学マス・フォア・インダストリ研究所
私どもが二〇一四年秋に斐伊川でのアユ回遊を研究し始めてから、一
年半が経過しました。当初は手探りの研究でしたが、現在は、回遊の理
論構築、現地調査、理論の実用化に向けた研究に進展しています。今回
はこの場をお借りして、私どもの研究の一端を紹介いたします。
(理論構築)
「アユの遊泳速度と体力消費の関係
性」を方程式で表現します。とくに、
「 ア ユ は 斐 伊 川 を ど の よ う な 経 路
と遊泳速度で遡上するのか?」とい
〝確率微分方程式〟や〝ハミルトン・
う疑問を出発点に、アユ回遊の理論
ヤコビ・ベルマン方程式〟と呼ばれ
を構築しています。生物学や物理学
る、株価推移や資産運用の研究に使
の法則を利用しながら、数理モデリ
われてきた方程式のアユ回遊への応
ン グ と 呼 ば れ る 数 学 の 道 具 を 使 い、 用に取り組んでいます。方程式の性
質を数学的に調
べたり、その答
えをコンピュー
ターで計算する
ことで、アユ回
遊の説明や予測
が可能になりま
す。さらにこの
予測を元に、「い
つ、どのような
とき、カワウか
らアユを守れば
よいのか?」と
吉井堰堤下で調査する吉岡助教
いう漁協の方々の疑問を解決できる
ようなアユ管理手法の構築にも着手
しています。
尾原ダム直下流の河床に繁茂する「黒いコケ」
(2016年2月5日に吉井 傅参事が撮影)
ます。二〇一六年
二月より、尾原ダ
(現地調査)
斐伊川漁協、ならびに株式会社大
隆設計のご協力のもと、斐伊川中流
域にある吉井堰堤を対象に、堰堤直
下流の水深や流速、地形の調査、堰
堤左岸側に設置さ
れた階段式魚道と
小わざ式魚道での
魚類遡上調査を実
施しています(写
真 左 )。 ま た、 尾
原ダムの下流域に
時折発生する「黒
いコケ」(写真右)
の正体や出現法則
の解明を試みてい
遡上調査に用いる箱網を設置する様子
(2016年4月21日に大隆設計 森脇昭子氏が撮影)
第 9 号
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瀬
(7)平成 28 年7月
ムの上流(三成)と下流(旧温泉小
学 校 前 )、 吉 井 堰 堤 直 下 流 で、 機 器
により河川の水位と水温を連続的に
計測しています。
(実用化に向けた研究)
上述の理論と調査結果に立脚し
て、コンピューターを利用して斐伊
川でのアユ回遊を予測できる手法を
開発しています。現在は、吉井堰堤
に設置された二種類の魚道をアユが
どのような割合で利用するのか、宍
道湖から斐伊川を天然アユがどのよ
うに遡上するのか、といった解析を
進めています。解析結果からは、吉
井堰堤直下流の右岸側でアユが数時
間以上は滞留しうること、また、二
種類の魚道が重要な回遊経路として
機能しうることが示唆されていま
す。 さ ら に、 カ ワ ウ の 飛 来 数 や 時
期、漁業者数や遊漁者数を考慮しな
がら、斐伊川において放流アユを如
何にして管理すべきかの解析を進め
ています。
機会がございましたら、こうした
研究のより深い内容を皆様に直接ご
報告できればと思います。皆様方か
らのご支援を賜りながら、引き続き
斐伊川の内水面漁業の発展に少しで
も 貢 献 で き れ ば と 考 え て お り ま す。
今後とも、宜しくお願い申し上げま
す。
謝辞
本研究の遂行にあたり、科学研究費(研究活動スタート支援:課題番号 15H06417)、河川(整備)基金(課題番号 271263020 および
2853311020)、平成27年度九州大学マス・フォア・インダストリ研究所短期研究員事業(整理番号 20150002)の援助を受けました。
泉 一 朗
広葉樹林への転換による
水源涵養の推進について
― 中国ブロック(島根県) —
前斐伊川漁業
協協
共同組合
代表理事組合長 和
入れ不足から、森林の保水力が低下
して水源涵養の機能低下も指摘され
ている。
また、豪雨に伴う山崩れも、針葉
樹へ改植され手入れの行き届かない
山腹で多く発生して泥水が長引くな
ど、魚の棲む河川環境を悪化させて
いる。
環 境の 変 化 に 富 ん だ 川の 流 れ は、
豊かな生態系を潤し、海の恵みをも
支えるものであり、人々の生活に無
くてはならない。この永続的な流れ
を保全し流量を復活させるため、森
林の除抜間伐等管理の推進と計画的
な広葉樹林への復元が求められる。
豊かな河川水の流れは、流域と海
に大きな恵みをもたらすものであ
り、 私 達 は そ の 恵 み を 大 切 に 守 り、
次世代へ繋げたい。 よって国に対して、内水面漁業の
振興に関する法律第十六条及び十七
条に 基 づいて、水 源 涵 養への一層の
取組みを強く要望する。
平成二十七年十月八日
第五十八回全国内水面漁業振興大会(米子市開催)に於いて
河 川環境再生の重要事業について和泉組合長 堂々の発表
満場一致で採択された
【提案の趣旨】
年間の降雨量に大きな変化はない
ものの、河川の流量は特にダム下流
域において減少が著しい。背景には、
水需要の変化に伴う取水量の増加が
挙げられるが、木材の生産を目的と
した針葉樹林への改植とその後の手
全国大会で発表する和泉組合長
平成 28 年7月(8)
音
瀬
第 9 号
【説 明】
川の流量が減って水深が浅くなる
と、深い淵が消 えることとなりその
水域から親魚などの大型魚が姿を消
すとともに、水温が上昇することで
魚の生息域を狭めることになる。ま
た、流量の不足によっては転石が起
こりにくくなることから、〝はまり石〟
の河床が拡大して水質浄化機能が失
われ、生物の多様性が低下すること
になる。
また、手入れの行き届かない針葉
樹林では山腹の表層崩壊が起こりや
すく、河川への土砂流出量は計り知
れない。これら川に流れ込んだ土砂
は河床を埋めて〝はまり石〟化 を 招
き水質浄化機能を低下させ、魚を忌
避させる。
清浄な川の流れを確保するととも
に治山治水の観点からも、除抜間伐
など針葉樹への適切な管理を徹底
し、保水力のある広葉樹林への改植
を進める必要がある。
瀬
(9)平成 28 年7月
音
第 9 号
組合員募集
各支部独自の活動の他に本部では、投
網大会・ゴルフ大会・水辺の交流事業など、
様々な活動をしています。
一緒に楽しい活動を行って交流を深め
ませんか。
出資金1万円(入会時のみ)
年会費 6,000 円
ご入会を
お待ちしています。
http://www.hiikawafish.jp
ish.jp
斐伊川漁協
検索
全国内水面漁業協同組合連合会機関誌第39号より転載
住 所
仁多郡奥出雲町横田1188-4
仁多郡奥出雲町竹崎1843-2
仁多郡奥出雲町三成558-6
仁多郡奥出雲町下阿井175-9
仁多郡奥出雲町上阿井1639
仁多郡奥出雲町郡304-1
雲南市木次町平田70
雲南市木次町平田806-5
雲南市木次町木次228
雲南市木次町新市87
雲南市大東町大東2402-1
雲南市三刀屋町三刀屋376-6
一 般 遊 漁 券 取 扱 所
取 扱 所
角
屋
商
店
ヴィラ船通山 斐乃上荘
奥出雲サイクリングターミナル
奥 出 雲 運 送
渡
部
商
店
村
田
勝
仁
亀
山
幹
生
橋 本 屋 商 店
松 本 釣 具 店
FlyShop Martira
ECO・カーステーションK
松 尾 理 容 店
電 話
0854-52-1054
0854-52-0234
0854-54-2100
0854-56-0027
0854-56-0052
0854-57-0782
0854-48-0001
0854-48-0008
0854-42-1544
090-1681-8074
0854-43-6773
0854-45-3179
住 所
雲南市掛合町掛合2223-2
雲南市吉田町深野339-8
雲南市吉田町民谷456
出雲市渡橋町1033-1
出雲市渡橋町1085-1
出雲市西平田町108-2
松江市学園南2-1-8
松江市南田町163-5
松江市北田町127-8
松江市東朝日町73-5
広島県庄原市新庄町368-1
広島県福山市南本庄3-4-30
取 扱 所
願
永
信
夫
ヤマサキショップ すまいる店
岩
田
隆
福
ポ イ ン ト 出 雲 店
かめや釣具 出雲店
小 村 漁 具 店
かめや釣具 松江店
天
狗
堂
山陰釣具センター
ポ イ ン ト 松 江 店
フィッシングショップぬまた
HJツリグヤ本庄
電 話
0854-62-0455
0854-75-0666
0854-74-0530
0853-23-9481
0853-20-1191
0853-62-2214
0852-24-1191
0852-23-0775
0852-26-2623
0852-60-1161
0824-72-1767
084-922-3109
平成28年遊漁腕章の色 渓流魚……緑色 渓流魚以外の全魚種……白色 腕章は、体のよくわかるところに提示しマナーを守り、楽しく入漁してください
瀬
第 9 号
音
禁 漁 区
平成 28 年7月(10)
仁多郡奥出雲町横田県営三成発電所堰堤
② 上流200m 全漁法禁止
⑧
⑦
⑨
雲南市木次町平田中国電力設置平田堰堤
③ 上流100m 下流100m 全漁法禁止
⑩
雲南市木次町西日登大島地内用水堰
⑪
④ 上流90m 下流90m 全漁法禁止
⑫
雲南市木次町里方地内小原床止堰堤
⑤ 上流100m 下流200m 全漁法禁止 但し4月1日より7月31日まで
雲南市木次町里方地内斐伊川里熊大橋より上
⑭ 流300mまでの区間、あゆ漁のみ全漁法禁止
但し10月1日より10月31日まで
雲南市木次町里方地内斐伊川小原床止堰堤 ⑮ 上流100m 下流300m あゆ漁のみ全漁法
禁止 但し10月1日より10月31日まで
雲南市加茂町加茂中赤川中の大橋(旭町裏)
⑯ 上流50m 下流50m 全漁法禁止
雲南市三刀屋町三刀屋 三刀屋川天神頭首工
⑰ より坂山橋上流50m 網・釣禁止 但し、あゆ漁は認める
雲南市掛合町多根中国電力KK設置滝ヶ平堰
⑱ 堤 上流18m 下流35m 全漁法禁止
雲南市吉田町芦谷芦谷川清水橋より上流 ⑲ 全漁法禁止
編 集 後 記
『 瀬 音 』 九 号 を お 届 け し
ます。今回から広報委員会
が改編され、委員は末尾記
入の四名になりました。『瀬
音』は漁協組合員以外の方
に斐伊川漁協の経営理念や
年間活動などを御理解して
いただくのに多少の貢献を
したと思っています。その
為でしょうか、ここ数年若
い人の組合加入が増える傾
向にあります。喜ばしいこ
とです。
方々の苦難はいかばかりで
茂
武夫
傳
初美
しょう。一時も早い立ち直
槙原
片石
吉井
筒井
りをただただ祈ります。
委員長
委 員
委 員
員
委
広報誌『瀬音』編集委員会
再び大災害が日本列島を
襲いました。テレビなどで
じさには目を覆います。災
⑥
見る被害の大きさ・すさま
⑬
難に遭われた熊本・大分の
自 主 禁 漁 区
仁多郡奥出雲町八川地内坂根ダムを含む上流
全漁法禁止
仁多郡奥出雲町八川小八川地内草坂川草坂橋
より上流 全漁法禁止
仁多郡奥出雲町三成宇根鬼の舌震区域刺網禁
止 但し8月1日より翌年5月31日まで
仁多郡奥出雲町上阿井内谷川奥内谷橋より上
流 全漁法禁止
仁多郡奥出雲町河内中国電力KK北原発電所
阿井川調整池堰堤より200m 全漁法禁止
禁止区域より上流八幡原橋まで釣のみ認める
常高寺下より上流あゆ漁に限り投網は認める
雲南市木次町西日登引野堰堤魚道及び登り口
半径5m 全漁法禁止
雲南市大東町上久野桃源郷上長谷川上流頭首
工より上 全漁法禁止
雲南市木次町木次 久野川木次橋から上流
500m(小学校裏) 全漁法禁止
仁多郡奥出雲町三沢中国電力KK設置三
① 沢堰堤 上流180m 下流180m 全漁
法禁止