Nutanix特別版 「ソフトウェア・デファインド・ストレージ for

ソフトウェア・
デファインド・ストレージ
Nutanix 特別版
スコットD.ローウィ
(Scott D. Lowe)著
寄稿:
ニュータニックス プロダクトマーケ
ティング部門シニアディレクター
グレッグ・スミス(Greg Smith)
これらの内容は当社が著作権を保有しています。ⓒ 2014 John Wiley & Sons, Inc.
いかなる公開、配布、および不正使用も厳禁します。
ソフトウェア・デファインド・ストレージFor Dummies®、 ニュータニックス特別版
John Wiley & Sons, Inc. 出版
111 River St. Hoboken,
NJ 07030-5774
www.wiley.com
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ISBN 978-1-118- 96103-2 (pbk); ISBN 978-1-118- 96143-8 (ebk)
Manufactured in the United States of America
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謝辞
本書の出版にあたり、以下の方々をはじめとする多くの方々にご協力をいただきました。
企画編集者: キャシー・シンプソン(Kathy Simpson)
プロジェクト編集者: ジェアニファー・ビンガム(Jennifer Bingham)
発注編集者: コニー・サンティスティバン(Connie Santisteban)
編集者マネージャー: レヴ・メングル(Rev Mengle)
事業開発代表者: キンバリー・シュマッカー(Kimberley Schumacker)
カスタム出版プロジェクト スペシャリスト: マイケル・サリバン(Michael Sullivan)
プロジェクトコーディネーター: メリッサ・コセル(Melissa Cossell)
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デ
はじめに
ータセンターの運営形態が変化してきている。仮想化
は、データセンターの経済性と運用に多大な利得と改
善をもたらした一方で、
とりわけストレージに関して新しい課題も
投げかけた。既存環境におけるワークロードの多様化や新たなワ
ークロードの発生によって、
ストレージデバイスはその追随に奮闘
するようになった。
こうした問題の多くは、時代遅れで複雑、独自仕
様に頼らざるを得ないレガシー的な性質が要因となっており、今日
のストレージシステムにおいて最も一般的で共通する問題となっ
ている。
しかし、
ストレージに関して多くの問題は、
コモディティハードウェア
上で動作するソフトウェア型のインフラによって解決することが可能
である。
複雑なソフトウェアツールを使って、
ストレージを独自仕様の
ハードウェアデバイスから、残りのソフトウェア・デファインド・データ
センター
(ソフトウェアで定義された)に容易に適合するソフトウェア
主導のサービスへと移行することができる。つまり、
これがソフトウェ
ア・デファインド・ストレージ
(SDS)(ソフトウェアで定義されたストレ
ージ)
である。
現在、SDSはIT業界で注目の話題である。有望な新技術が発表され
ると、
それがどのようなものであってもベンダコミュニティは過度な
反応をしがちであり、何とか市場の恩恵にあずかろうとし、新たなキ
ーワード使うことによって新市場での指導性を確立しようとやっきに
なる。
これは単にIT業界における感染症のようなものである。何十億ドル
もの市場が危険にさらされる局面では、
これは驚くに値しない。幸い
なことに、新技術がもたらす真の利得は、時間の経過とともに一般
的に広く知られ理解されるようになるのが常である。本書では、SDS
の実態を明らかにするとともに、SDSの本質的な利点を説明してい
きたい。
本書について
本書では、高機能ソフトウェアが、
データセンターとIT効率化におけ
る主要な推進力として独自仕様のハードウェアサービスに取って代
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
わる、即ち、
ソフトウェアが主導となる可能性を探る。今日の企業は、
運用に多数のIT人員を必要とせず、簡素で複雑さに煩わされること
もない技術サービスを求めている。GoogleやFacebookなどが提供
するクラウドプラットフォームの効率性を、社内のIT機能にも応用す
ることを企業は望んでいるのである。
クラウド企業はその成功を現状維持の姿勢で達成したわけではな
い。
こうした企業は、従来のハードウェアを安価なコモディティハー
ドウェアで置き換え、その上に高機能ソフトウェアを構築し、配備し
た。
この設定により、ハードウェア主導の環境と同等の可用性、デー
タ保護、管理機能を、複雑さを排除しつつ、わずかな費用とで実現
できたのである。
本書で提示される概念を理解するのに、
ストレージのMBA(経営管
理学修士号)や博士号は必要ない。いかなる読者もその経歴に関
係なく、データセンターで主流になりつつある新しいソフトウェア
主導システムについて、先入観なしに理解されることを希望したい
(最近の若者はとても変わった思考をするらしいので)。
本書は、ニュータニックスと共同で、同社のために執筆された。
本書の構成
本書は、5つの章にまとめられており、順番に読み進んでも、
どの章
から読み始めても構わない。
これが「For Dummies」シリーズの素
晴らしいところである。必要な章を部分的に読んで、他は飛ばして
も問題ないし、あるいは最初から最後まで、ページを熟読するのも
有益である。以下に各章の内容をまとめる。
✓第1章: 現状のストレージ: レガシーストレージが抱える問題に
ついて説明する。
✓第2章: ソフトウェア・デファインド・ストレージの基礎: ソフトウェ
ア・デファインド・ストレージの実態をひも解く。
✓第3章: SDSの基本概念と成功への鍵: SDSの背景にあるテクノ
ロジーを解明する。
✓第4章: SDSの企業への貢献: 企業の最高財務責任者にとって
のSDSの関心事項、すなわち、柔軟性と効率性の向上について
説明する。
✓第5章: SDSの重要な真実10項目: SDSを検討する際に留意す
べき重要項目を説明する。
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はじめに
3
読者の想定
まず、読者は、一般的なデータセンターの概念やリソースのサイロ
について、
また仮想化についても、多少の知識をお持ちのことを推
定する。本書は、
ストレージおよびITの効率化、
そして全般的な管理
に関心をお持ちの読者を対象に書かれている。
本書で使用するアイコン
本書では、内容の理解に役に立つ以下のアイコンが使用されて
いる。
時間や労力の節約をもたらすキーポイント
覚えておくべき重要情報
問題を引き起こす可能性のあるリスクや落とし穴
より深い理解につながる技術知識
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
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第1章
現状のストレージ
本章の内容
▶旧式で高価、
極めて複雑な技術
▶他のリソースから隔離されたストレージ
▶ストレージは仮想化を活用したものでなければならない
た
とえ、既存のソリューションが市場のニーズに見合ってい
ても、技術革新がとどまることは決してない。
レガシーシ
ステムは過去のストレージにおける問題に対処してきたが、新たに
出現する需要に対応するには、不十分で柔軟性に欠けることが明ら
かになってきた。加えて、今後問題がより深刻化しないと誰が言い切
れるであろうか?
過去の技術の上に成り立つ今
日のストレージ
今日市場に普及するストレージ技術の多くは、
コンピューターの使
用方法が今日とは異なる時代に設計されたものである。
これらは、
アプリケーションおよびこれに伴うワークロードが常に専用サーバ
で動作するとの想定で考案されたが、仮想化の台頭による仮想マシ
ン( VM)の普及以後、
この状況は変化している。残念ながら、
レガシ
ーのストレージシステムの開発と管理も、
クラウド的なリソースの供
給、仮想マシン主体のデータセンターサービス、
スケールアウト ア
ーキテクチャ、
そしてオンデマンド プロビジョニングの機能などの新
しいニーズに応じることが困難になっている。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
つい最近に至るまで、
レガシーのストレージ システムでもストレー
ジにおける大幅な進歩である、
ソリッドステート(フラッシュ)スト
レージをシームレスに活用できていなかった。
フラッシュストレー
ジは、
ストレージ ハードウェアにおける近年の大きな進展である。
ストレージの性能向上へのニーズに応えて15,000 RPM SAS ディス
クが市場に紹介された時、確かに同市場はこれを歓迎したが、2000
年初めから半ばにかけての展開は、
その性質から見て画期的という
よりも、進化にとどまるものであった。
今 日のストレ ージは 過 度 に
複雑
仮想化の登場は、
データセンター歴史上の転機として多くの関係者
に歓迎されたが、
これは全く当然のことである。
しかし、仮想化は、難
解な問題に対する解決策を与えてくれたものの、データセンターに
おけるストレージの問題に対しては、ほとんど役立たなかった。むし
ろ、状況は悪化したとさえ言える。
様々なアプリケーションのワークロードに対応させるためのストレ
ージの調整は、時として、ストレージシステム専門の博士号が必要
なのではないかと思えるほど大変な作業である。長年にわたって、
多様な新技術導入されたが、そのほとんどが単に複雑さを増すに
すぎなかった。
ストレージ運用管理者が一般的に管理する、以下の
ストレージ構築を考慮してみる。
✓LUN: 論理ユニット番号(LUN)は、下位の物理的ストレージ
リソースから成る仮想構築である。ストレージ運用管理者
は、LUNによってデータセンターで動作するアプリケーション
の理にかなう方法で物理的ストレージを切り分けることがで
きる。LUNを認可されたホストのみから閲覧可能にする場合
は、LUNのマスキングが必要である。
✓RAIDグループ: RAIDとは、
RAID1、
RAID5、
またはRAID10など、
一定のRAIDレベルのグループに割り当てられ、運用される一
連の物理ディスクのことである。RAIDレベルは、データ保護と
ストレージ性能に多大な影響を与える。多様なワークロードの
パフォーマンスへのニーズに対してレガシーストレージを調整
するには、RAIDレベルに関する高度な知識が欠かせない。
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第1章: 現状のストレージ
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✓階層化: あらゆるワークロードが同等というわけではない。階
層化を使用することによって、様々な性能および保護レベルの
ストレージレイヤを作成することができる。例えば、大量データ
の分析を行うアプリケーションに対しては、高速の15,000RPM
SASディスクを使用し、パフォーマンス層にそのLUNを適用す
るという手法が用いられる。
用語や全体的な概念を理解するのはそんなに難しいことではな
いが、これらの用語の背景には、ストレージ特性に関して豊富な
経験がある者のみが真に理解することのできる、膨大な情報が潜
んでいる。
ストレージの専門家であれば、
これらの情報を解釈する
のはたやすいことであろう。
しかし、組織内で未使用あるいは未調
整のストレージが山積みといった状態においては、
ストレージ管理
に多大な時間を費やさねばならない、中小企業の一般IT技術者に
とっては、理解が困難であるかもしれない。
そして、これがまさに問題の真髄である。過去においては、企業
は、IT部門が最新技術の習得に時間をかけることに寛容であった
かもしれない。
しかし、今日の最高情報責任者(CIO)は、刻々と変化
するビジネスニーズへの迅速な対応を迫られているため、主要シス
テムの対応を担当者に任せて何とかうまく行くように望むなどとい
う悠長なことはできなくなった。
さらに、
レガシーストレージの管理ツールは、近代的データセンター
のアーキテクチャとして一般的になった仮想マシンを必ずしもサポ
ートしていない。典型的なデータセンターで作動する、多数のアレ
イから成る仮想マシンは、異なるストレージサービスおよび異なる
サービス水準を要求する場合が多い。
ストレージ管理においては、
個々の仮想マシンレベルでサービス管理しなければならないとい
う、新しい現実を受け入れなくてはならない(仮想マシンについて
は、後述の「ハイパーバイザによって統制されるデータセンター」を
参照されたい)。
最後に、
レガシーのストレージシステムは一般的にスケールアップ
のモデルで構築される。
スケールアップ環境では、
より大きい容量が
必要になると、たとえ追加ストレージが少しであっても顧客は新しい
ディスクシェルフを設置しなければならない。
レガシーのストレージ
環境では、
アーキテクチャ上の制限によって、顧客はストレージのオ
ーバープロビジョニングを行わねばならない、
というような非効率
な技術決定を余儀なくされているのである。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
独自仕様技術に基づく今日の
ストレージ構築
レガシーシステムでは、ハードウェアによってすべてが統制される。
一部の重要機能に対してストレージアレイが最善の効率で作動す
るよう、アレイは専用ハードウェアで埋め尽くされる。実際、多くの
アレイはカスタマイズされた独自仕様のハードウェアでゼロから
構築される。
多くのレガシーシステムでは、目標達成に向けてフィールド プログ
ラマブル ゲート アレイ(FPGA)や特定用途特化型のた集積回路
(ASIC)がカスタマイズされ搭載される。ストレージアレイの全体
性能に多大な影響を及ぼすことなくインライン重複排除サービス
を提供するだけのために、それ専用のASICを実装するベンダもあ
る。FPGAやASICは、多くのレガシーアレイベンダの専用設計シャ
ーシで作動するカスタムコントローラモジュール上に実装される。
新しいアレイやモデルがリリースされる度に、新しいユニットの目
的に合わせてハードウェアのコンポーネント
(FPGA、ASIC、コント
ローラ基板、シャーシを含む)も再設計される。
とどまる事のないハードウェアの設計作業により、研究開発コスト
は増大し、最終的には価格上昇という形で顧客にその負担が転嫁
される。加えて、ハードウェア中心主義アプローチでは、柔軟性に
欠けるシステムを構築することになり、新しいニーズに応じて再
装備することができない。カスタム製造のハードウェアに依存す
るアプリケーションを使用すると、時期尚早なリップ・アンド・リプ
レース運用から逃れることはできず、経済的な損失が大きい。つ
まり、
レガシーアプローチはコストがかかり適応性に欠けるといえ
る。ベンダ間の容易な統合は困難であり、長期的なストレージコス
トも増大することから、究極的には革新が遅延するのである。
これらすべての問題を背景として、
コモディティハードウェアを使用
し、独自仕様のコンポーネントなしにストレージレイヤを構築し、高
度なストレージ機能を実現するといったソリューションの必要性が
浮上する。詳細は第2章を参照されたい。
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第1章: 現状のストレージ
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今日のストレージにおけるリソ
ースの隔離
仮想化により、コンピューティング環境全体において中央管理式、
かつトップダウン式の単一システムが実現された。環境に対する可
視性の向上とともに、オペレーティングプラットフォーム(つまりハ
イパーバイザ)
と新たなワークロードに対する認識も高まった。個々
のハードウェアのユニットが個別に動作するのではなく、
単一のハイ
パーバイザがすべてのワークロードをサポートするようになった。
こ
の単一プラットフォームによって、ハイパーバイザが環境全般にわた
って動作するアプリケーションすべてを認識し、個々の仮想マシンに
対してサービスを調整することが可能になった。
しかしながら、時間の経過とともに状況は改善したものの、
ストレー
ジは依然としてリソース面で隔離されている。
ストレージは、同一環
境内の他のリソースと全く独立しており
(特に問題なのは、ネットワ
ークレイヤと仮想化レイヤ)、管理者がワークロードを明示的に定
義しない限り、
ワークロードの予測が不能である。
ワークロードが定
義されたとしても、既存のストレージ技術では環境内の個々のワー
クロードに妥当なサービスを割り当てることが非常に難しい、ある
いは不可能なのである。データセンターの他のコンポーネントとの
統合や認識が困難であるこの状態は、全体的なプロジェクトのリス
ク増大につながり、組織が簡素化を推進するにあたって障害となっ
ている。
こうした問題すべてが要因となって、ニーズの変化に自動的に対応
し、
アプリケーションの性能を維持するプロアクティブなストレージ
レイヤへの必要性が高まっている。詳細は第3章を参照されたい。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
スケーリングのための多大なコ
スト
レガシーのストレージ環境では、
スケーリングに多大なコストを伴
う場合が多い。ディスクシェルフの増設といったソリューションにお
いて、独自仕様のレガシーストレージは、
コストが嵩み、追加ストレ
ージのギガバイト当たりのコストも非常に高い。
性能面でも、
とりわけ、
フラッシュストレージをシームレスに活用し
ない、あるいは、できないシステムにおいては、判断が極めて難し
い。システム性能を向上し、重要なワークロードのサポートに十分
なIOPS(1秒あたりのI/O回数)を実現するために、ストレージ容量
が十分である場合も、ディスクスピンドルの増設が必要となる場合
がある。
このコストは高額である。容量ニーズと性能ニーズのバラ
ンスをとることは現実的に不可能であり、将来のストレージニーズ
を予測することもできない。
さらに、ストレージサービスが、汎用的な形式で提供された場合、
ストレージの全体コストを限定するのが難しくなる。
レガシーのス
トレージシステムでは、ゲスト仮想マシンに個別な要求を考慮する
ことなく、処理コストが高く、多くの資源を必要とするサービスを環
境内のすべてのホストマシンに一律に適用する。個々のワークロー
ドへに対応できない場合、最高水準の可用性を実現する仮想化コ
ストを受容せざるを得ない。例えば、一時データや業務にとって重
要度の低いデータも、同様に扱われるからである。
これらすべての課題が要因となり、継続的にニーズを満たす一方で
予測可能なITコストモデルを提供し、実装可能なストレージの創造
が促された。
この詳細は第4章を参照されたい。
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第1章: 現状のストレージ
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ハイパーバイザによって統制さ
れるデータセンター
ハイパーバイザは、データセンターにおいて新しいワークロードを
処理するための、事実上の標準プラットフォームとなった。
こうした
現実を受け入れてソリューションの提供に取り組むストレージベンダ
もあるものの、
その場合においても、
ベンダはハイパーバイザベンダ
(主にVMware)のサービスを使用してソリューションを提案して
いる。
ストレージベンダが、データセンターで使用される仮想マシンベー
スのストレージアレイを開発するために、VMwareは、以下をはじめ
とするAPIを提供している。
✓vSphere API for Array Integration( VAAI ): ホストマシン
上の仮想マシンの集約度と共有ストレージの性能向上(領域
をゼロで埋める処理やファイル/領域の複製処理など)のため
に提供されるAPI。データセンターにおける仮想化及びストレ
ージレイヤを統合する。
✓vSphere APIs for Data Protection ( VADP ): 個々の仮想マシ
ン上のバックアップによってワークロードを中断することなく、
仮想マシンの集中バックアップを実行
✓vSphere API for Storage Awareness ( VASA ): アレイの能
力を正確に把握できるため、ハイパーバイザとストレージレ
イヤの密度の高い統合が可能。
ストレージの仮想化、設定、容
量、
シン・プロビジョニングなどの情報を収集し、vCenterのサ
ーバを介してユーザーに送信する。
ハイパーバイザとストレージを統合するための進歩は、すべてソ
フトウェアをベースにしている。
ソフトウェア・デファインド・ストレ
ージ(SDS)で基本前提となるのは(つまり本書の主題そのもので
あるが)、ハイパーバイザが、データセンターの新しいベアメタル
だという事実である。ソフトウェア・デファインド・データセンター
(SDDC)においては、すべてのサービスが仮想化レイヤ上に構築
され、明示的にデータプレーンとコントロールプレーンが分離され
るだけでなく、ストレージの機能が実行時の情報まで拡張される
(遅延束縛)。固定的なハードウェア構築に依存して企業のワーク
ロードのニーズを満たすのではなく、機能やポリシーはハイパー
バイザを通じて実行される。ハイパーバイザとSDSは、一連のサー
ビス(API)を提供して連動し、様々なハードウェアの実行能力を把
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
握して、適切な実行能力とプロパティを必要に応じて個々の仮想マ
シンに対し、適用する。
ベンダが仮想化レイヤ上のサービスを構築する際には、実際の環
境で実行されるハイパーバイザと独立した開発を行われなければ
ならない。つまり、構築されるサービスは、特定ベンダのハイパーバ
イザに依存してはならない。
そうでなれば、
この開発は、仮想化本来
の柔軟性を失うことになってしまう。
現時点では、多くのデータセンターが依然としてレガシーのストレ
ージデバイスを使用しているが、仮想化を中心とするソフトウェアレ
イヤによって、徐々にストレージの問題は解決の兆しをみせている。
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第2章
ソフトウェア・デファインド・
ストレージの基礎
本章の項目
▶SDDCの仕組みを理解する
▶仮想化の要件を理解する
▶SDSができないことを理解する
ソ
フトウェアによって定義されたインフラの概念は、革新と
可能性をデータセンターにもたらすものである。
ソフトウ
ェアは、
データセンターの全般を完全に変革する勢いであり、
ストレ
ージは、ほんの一つのコンポーネントにすぎない。本章では、
データ
センターにおけるソフトウェア・デファインド・ストレージ(SDS)の概
要を説明し、SDSで実現できることと、
できないことを整理する。
「2013年 ストレージ分類レポート
(2013 Storage Taxonomy Report)
」
において、
アナリスト・グループのIDCは、
SDSを 「あらゆるコモディ
ティリソース(x86ハードウェア、ハイパーバイザ、
またはクラウド)や
市販品のコンピューティング ハードウェアにインストール可能な、
ス
トレージのソフトウェアスタック」
として定義し、
「完全なるストレージ
サービスを提供し、様々なデータ格納リソースを連携させて、
リソー
ス間のデータ移動性を実現する技術」
と解説している。
ソフトウェア・デファインド・デー
タセンターの構造
「ソフトウェア・デファインド・データセンター(SDDC)」
という用語
は、2012年になって使用され始めたものである。SDDCの背景とな
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
る概念は、VMwareがx86の仮想化を市場に持ち込んだことに遡
り、
これによってビジネスに不可欠なワークロードの展開、管理、お
よび保護の手法に大きな変革がもたらされた(第3章を参照)
。ハイ
パーバイザ型のソフトウェアレイヤが複数のワークロードを結合さ
せる接着剤のような役割を果たし、サーバレイヤの効率が向上した
ことから、管理者は、新しいワークロードを管理するための多くの選
択肢を得ることになった。例えば、一つのホストから別のホスト、一
つのデータセンターから別のデータセンター、
さらに、
プライベート
データセンターからクラウドプロバイダが運用するデータセンター
といった、実行中のワークロード間移動が可能になった。
VMware、Microsoft、およびOracleなどのベンダが提供するハイパ
ーバイザ型「ソフトウェア・デファインド・サーバ」
(仮想マシン)の登
場によって、最終的にSDDCを目指した他のデータセンター コンポ
ーネントにもソフトウェア型への推移傾向が認められる。データセ
ンターのサービスはすべて、コモディティハードウェア上で実行さ
れるソフトウェアを介して提供されることが、SDDCの基本的な教義
の一つに数えられる。
レイヤ
(層)
重要な業務サービスを提供するために、最終製品(つまり、完全なソ
フトウェア・デファインド・データセンター)は複数の個別レイヤで構
成される。本書では、
ストレージレイヤに注目するが、すべてのレイ
ヤを統合システムに関連付けて理解することが重要である。
処理レイヤ
ハイパーバイザを使用して構築されるソフトウェア・デファインド・
サーバの台頭により、コモディティハードウェア上で実行されるソ
フトウェアが、究極的に独自仕様のハードウェア プラットフォーム
に取って代わるのではないかという考えが主流となった。最終的に
は、同一のx86サーバが設置された多くのラックで構成されるデー
タセンターといった図が予測される。
ネットワークレイヤ
今日注目されているのが、ソフトウェア・デファインド・ネットワー
ク
(SDN)を構築するネットワークレイヤの「ソフトウェア化」であ
る。SDNは柔軟性、
コスト削減、および管理負荷軽減に関して、新し
い可能性を生み出す。例えば、従来であれば、固定的で、環境内の
すべてのネットワークデバイスに分散されていたネットワークのコ
ントロールプレーンとデータプレーンを切り離すことが可能になる
(後述の「コントロールプレーンとデータプレーンの分離」
を参照)
。
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第2章: ソフトウェア・デファインド・ストレージの基礎
15
各デバイスへのデータ送信を可能にするために、データプレーン
は広範囲に分散されるが、
コントロールプレーンは、環境全般を制
御する集中管理式のソフトウェア有効化サービスとなる。
これによ
り、SDNに基づいて構築されたネットワークでは、物理エラーをよ
り簡単に回避することができ、アプリケーションへのニーズが変化
しても手直しの必要性がないなど、低コストでのデバイス有効活
用が可能になる。
ストレージレイヤ
今日、
従来のストレージに伴う問題を低減または排除するような製品
の構築に尽力するベンダ間で、
ストレージレイヤが注目を浴びてい
る。
SDSの展望は本格化してきてはいるものの、
広範なITコミュニティ
には依然として浸透していない状況である。
SDNの場合と同様、SDSも、I/O処理におけるデータ配置や適用サー
ビスを決定するストレージの論理領域と物理的ハードウェアを切り
離すことが追求されている。変化するアプリケーションニーズに対
応して調整が可能な、柔軟性の高いストレージレイヤが最終目標
である。
また、すべての仮想マシンの完全な可視性を維持し、統一
性および一貫性を持ったデータファブリックを作成する。
サービスレイヤ
いかなる組織であっても、SDDCへの全面的な取り組みは称賛に値
する目標ではある。
しかし、本書では、
そうした目標に対するソフトウ
ェア的側面であるSDSに集中して議論を進める、以降の章ではSDS
のサービスレイヤのストレージ機能に焦点を宛てる。
ストレージサービス
ストレージサービスは依然として重要であり、
これがソフトウェアレイ
ヤに移動したからといって、
企業規模のインフラで必要とされる機能
を諦める必要はない。
それどころか、
ソフトウェアを介した実装によっ
て、
ストレージ機能を拡張および向上することも可能である
(以下参
照)
。
✓動的な階層化: 新たなストレージシステムは、
高性能なフラッシ
ュストレージと、大容量ハードディスクドライブをサポートする
ため、
ソフトウェア型の動的な階層化により、性能を最適化する
ためのストレージ階層間のデータ移動を自動的に行うことがで
きる。
管理者が複雑なルールを設定する必要はない。
✓キャッシング: フラッシュストレージの価格低下により、キャ
ッシング機能の重要性が増している。また、キャッシングによ
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16
ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
り、サーバ側のキャッシュデバイスやハイブリッド ストレージ
アレイなどの新しいストレージ製品も使用可能となった。価格
が低下したとはいえ、ハードディスクに比べるとフラッシュスト
レージは依然として高価である。
このため、ストレージベンダ
は、最も頻繁にアクセスされるデータを高速キャッシュに配
置することにより、フラッシュを使用した高速データアクセス
を実現している。
✓レプリケーション: 様々なデータ保護(ローカル レプリケーシ
ョン)や災害復旧(異なる場所でのレプリケーション)機能を
実現するため、
ストレージのレプリケーションは、非常に重要
である。
レプリケーションによって、本番データを地理的に離
れたデータセンターの異なるストレージシステムにコピーす
ることができる。
✓クオリティ・オブ・サービス(QoS): QoSの目標は、各アプリケー
ションで負荷を予測し、高い性能をを確実に実現することであ
る。従来、IT部門は、単一プラットフォーム上で異なる種類のワ
ークロード(例えば、Microsoft Exchange、SQLデータベース、
およびVDI)を混合することを避けてきた。
これは、
ワークロー
ドがリソースを奪い合い、パフォーマンスが低下するからであ
る。
しかし、分散コントロールプレーンにより、特定の仮想マシ
ンにローカルデータを保存することが可能になり、パフォーマ
ンスの保護、モニターおよび分析が可能になった。
✓スナップショット: スナップショットは、任意の一時点でストレ
ージシステムの複製を作成し、復旧に備えるものである。
スナ
ップショットは正式なバックアップに置き換わるものではな
いが、オペレーションミスによって失ったデータをリカバリす
ることが可能であり、復旧においては、
まず用いられる手法で
ある。
✓重複排除: フラッシュストレージを含むストレージの価格低下
が続いているが、適切なデータ保護が可能であれば、
ストレー
ジ容量を有効活用したいと願うのは当然である。重複排除は、
このようなニーズに対して頻繁に利用される。容量に対する要
件が低下すれば、
コスト削減にもつながる。
✓圧縮: データ圧縮は、
ストレージ容量を最大限に活用するため
のもう1つの方法である。データ重複排除はブロックレベルで
行われるが、圧縮はファイル単位であり、
ファイルサイズを何
分の1にも縮小することが可能である。
✓クローニング: 全体的なサービスを合理化し、
向上するクローニ
ングは、特定のプロジェクト
(仮想デスクトップのプロジェクトな
ど)
で頻繁に活用される。
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第2章: ソフトウェア・デファインド・ストレージの基礎
17
仮想化と個々の仮想マシンのサ
ービス提供
「仮想化とソフトウェア・デファインド・ストレージ」は、同義語で
はないかと主張する人々もいるが、
これはまるで見当違いである。
SDSは上位の技術であり、仮想化はその主要なコンポーネントの
一つである。
最も基礎的なレベルにおいて、仮想化とは抽象化のことである
(次
項を参照)
。抽象化によって下位のハードウェアからワークロードが
効果的に分離される。そして、
ワークロードは仮想マシン(VM)
と呼
ばれるソフトウェア主導のフレームワークで処理される。
ソフトウェア・デファインド・ストレージ ソリューションでは、
これまで
に言及したサービスはすべて仮想マシンレベルで実行されるため、
リソースは効果的に使用され、仮想マシンの移動性がSDDC全般に
わたって維持される。
仮想マシンレベルでのソリューション構築では、
ビジネスニーズに対
してより柔軟に対応できる。仮想化されたワークロードに新しいコン
ポーネントが追加された場合には、
例えば、
該当する仮想マシンのみ
にレプリケーションを使用することで投資を保護することが容易にな
る。これとは対照的に、RAIDのような原始的なハードウェア型ソリュ
ーションを使用すると、IT部門は新しい要件を満たすため、重要でな
いワークロードを何百回も反復したり、
インフラ全体を再設計したり
する必要性がでてくる。
抽象化についての事実
仮想化やSDNと同様、
抽象化はSDSの主要な要素である。
仮想化なし
では、実際、SDSは不可能である。
それはSDSが「ストレージ リソース
はハードウェアから抽象化される
(または分離される)
」
という事実に
依存しているからである。
抽象化において、
サービスは、
追加ソフトウ
ェアのメカニズムを通じて拡張される。抽象化された特性に基づい
て、例えば、
データの格納場所をアプリケーションの必要性に応じて
決定する。
また、重複排除やシン・プロビジョニングなどの重要なス
トレージサービスも提供する。
しかし、
このメカニズムは仮想化スタ
ックの一部ではなく、追加の機能を提供する追加サービスである。
もう一つの構造上の特性は、SDSでは一般的になってきているが、
リ
ニアなスケールアウトを可能にするソフトウェアである。
スケーラビリ
ティは仮想化されたストレージに依存するが、
ストレージ環境が顧客
の継続的な容量および性能を向上するニーズに応えるものである。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
抽象化でのコモディティ
ハードウェアの使用
組織は、物理リソースを抽象化す
ることで、基盤となる異なるハード
ウェアの活用を開始することがで
きる。SDSの抽象化によって、今日
の企業が必要とする完全なストレ
ージサービスを利用しつつ、より
安価なコモディティハードウェア
に移行することが可能になった。
代わりに、ストレージのワークフ
ローがアプリケーション管理と同
調するように、仮想化担当部門が
ストレージのプロビジョニングと
管理を仮想マシン主体ベースの
みで行うことができるようなった。
どうしてそうなる の だろうか ?
SDSにおいては、様々なアプリケ
RAIDグループやLUNのような従 ーションとワークロードを稼動す
来のストレージ構築の多くは(第 る仮想化レイヤを含め、ストレー
1章を参照)、目的に沿って使用可 ジシステムおよびデータセンター
能な管理オブジェクトとして設計 の他のエリアで何が起こっている
された。
この目的は果たされたか のかを、管理レイヤが正確に把握
もしれないが、ストレージ環境は している。ストレージリソースは
複雑化の一途をたどった。データ 特定のアプリケーションニーズに
センターの管理部門が、抽象化を 応じて独自で構築されるため、管
使って、
このような構築の多くを排 理者は、ストレージの初期設定を
除または隠すことが可能になり、 それほど実行する必要がない。.
SDDCは、すべてのサービスをソフトウェア経由で提供するだけで
なく、サービスまたはアプリケーション単位でコントロールプレー
ンとデータプレーンを分離する。
このように結合が緩い分散型モデ
ルでは、
どのコンポーネントも一切、
システムのボトルネックとなる
ことはない。説明を加えると、例えば、
ストレージのロジックがRAID
コントローラのようなハードウェアデバイスの使用に依存して可用
性を提供していたと想定する。その場合には、今後の柔軟性はす
べて、そのハードウェア デバイスに縛り付けられることになり、
この
システムはソフトウェア・デファインドからほど遠くなる。さらに、
ス
トレージ インテリジェンスを下位のハードウェアから切り離すこと
で、複数の利益が得られる。例えば、ハードウェアレイヤのディスク
ドライブに障害が発生しても、分散されたコンピュータリソースに
よってデータの再構築とリカバリ処理が実行される。
SDSシステムでは、
コントロールプレーンにより、ハードウェア環境か
ら分離されたストレージサービスのポリシー型管理が可能になる。
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第2章: ソフトウェア・デファインド・ストレージの基礎
19
この分離の重要性は、複数のハードウェアシステムが環境内に追加
されるとさらに明白になる。ITは、ハードウェア全領域への可視性を
利用して、
データ配置を単一システムまたは単一の拠点から拡張し、
クラウドやオフサイトのストレージシステムを活用することができ
る。SDSシステムでは、単一の分散型コントロールプレーンで管理お
よび制御を行い、数多くのデータセンターのハードウェアを(パブリ
ックとプライベートの両方)
使うことができる。
オープンAPI
ハードウェアから分離されていること以外に、SDDCとSDSの主要な
特性として、オープン アプリケーション・プログラミング・インターフ
ェース(API)を使用した相互運用性が挙げられる。APIによって、直
接的なストレージ管理を超える継続的な自動化が可能になり、同
環境内でサードパーティの拡張機能を使って制御されるプロビジ
ョニングが可能になる。例えば、特定のアプリケーションが特定のス
トレージを必要とする場合、SDS管理レイヤが収集した同環境の情
報に基づいてSDSベンダのオープンAPIを使用してストレージのプ
ロビジョニングを行うこともできる。今日、最も一般的なAPI標準は
REST(representational state transfer)
と呼ばれる APIである。
SDSにできないこと
SDSはただの誇大広告ではない。
レガシーのベンダの中には、そう
考える者もいるが、それは大して驚くようなことではない。
というの
も、
レガシーのベンダは現状維持(高価なハードウェア、高価なアド
オンのオプション付ソフトウェア、独自仕様のハードウェア、高い利
益率)の既得権者であり、
この状況をなるべく維持したいからであ
る。実際、SDDCとSDSに難癖をつけて、顧客の不安、不透明感、懸念
を駆り立てているベンダもいる。
しかし、
より多くのSDSソリューションが市場で発表されるにしたがっ
て、製品の説得力が増大して高性能になり、SDSに対する独自の見解
の下で開発を進める業界大手と競合するようになる。
単なる仮想化ではない
ベンダは、
自分の構築をSDSであると主張したがるが、SDSとして市
場で宣伝される多くの製品は、厳密な意味でSDSではない。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
仮想化は、SDSに欠かせないコンポーネントではあるものの、SDS
の全体像から見るとほんの小さい部分でしかない。
アーチェリーの
練習用の標的を想像してみると分かりやすい。同様のイメージを使
用してSDSを説明したとすると、仮想化は最内部の円である。
それを
取り囲む次の円は、SDSの高度な機能を提供するソフトウェアレイ
ヤを表現すると言える。SDSが稼動するのに必要な抽象化を提供す
るという意味において、
ストレージの仮想化は重要ではあるが、
ソリ
ューションは、それに伴う管理レイヤがなければ、ただの仮想化さ
れたストレージである。
単なる連合ストレージではない
これと同様に、
(適切な管理フレームワークによってそれに近づけ
ることは可能であるものの)SDSは単なる連合ストレージではない。
「連合ストレージ(共通の管理システムによって統制された異種の
ストレージリソースの集合体)
」は、SDSと全く同一ではない。下位の
物理的ストレージシステムに、依然としてスケーリングおよびデータ
保護のための独自ハードウェアが使用され、
コモディティハードウェ
アを使用しない場合もある。今日、市場で一般的な連合ストレージ
構築は、仮想ストレージ装置、または省略してVSAと呼ばれるもの
である。連合ストレージシステムは、SDSのワークロードの配置およ
び企業規模の機能を部分的に提供することもあるが、独自仕様のハ
ードウェアを使用することもあり、真のSDSシステムだとは言えない。
単なるソフトウェアではない
SDSはソフトウェアのみによるソリューションではない。
コモディティ
ハードウェア
(コンピュータおよびハードウェア)上に構築されるソ
フトウェア駆動ソリューションである。ハードウェアは、企業規模の
ワークロードを確実にサポートできることが最低条件であり、
どの
ようなハードウェアを使っても良いというわけではない。結局のとこ
ろ、5,400-RPMの中古ハードドライブを購入して費用を抑えようとす
るような企業は、
それがソフトウェア・デファインドであろうがなかろ
うが、
ストレージシステムに長期的な安定性や優れた性能を期待す
ることはできない。
これが、
自社製品をコモディティ型SDSシステムだとして販売する多
くのベンダが、事実上ハードウェアとソフトウェアをバンドルで販売
する理由である。企業にとって、インフラ ソリューションに対する継
続的なサポートは不可欠である。製品をサポートする能力の有無
は、即ち、究極的に成功と失敗を左右する要因であるとも言える。
ベンダがハードウェアをソフトウェアとともに販売しているからとい
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第2章: ソフトウェア・デファインド・ストレージの基礎
21
って、
ソリューションのソフトウェアに基づく機能を諦める必要はな
い。
これが、ニュータニックスなどの企業による、ハードウェア/ソフト
ウェアのバンドルの一部分として販売するソリューションがSDS(あ
るいは、部分SDS)
として捉えられる理由である。
ソフトウェアのみのSDSを販売するベンダも他に存在するが、実際
は最初の「S」
(つまりソフトウェア)のみを取扱っている。ただし、
こう
したベンダも、ハードウェアの互換リストとデバイス毎の様々なテス
ト結果を提供している。ハードウェアをバンドルするSDSのベンダと
ハードウェアをバンドルしないSDSのベンダと違いは、後者はハード
ウェアソリューションのサポートをしないことにある。彼らは単にSDS
のソフトウェアを販売して、
ソフトウェアのみをサポートする。
単なる容量と性能だけではない
SDSは、データセンターにおける容量と性能の両面を向上させる特
性を持っているが、
これだけでなくSDSの検討は、
ストレージ全般に
おける改善を検討する再考する機会も与えてくれる。以下はその一
例である。
✓費用の削減: IT部門は、機器の導入コストと運用コストを抑え、
余剰予算を、企業に付加価値をもたらす活動として還元しなく
てはならない。従来、
ストレージはデータセンターの非常に高
価な部分であった。
✓自動化実現の機会: ストレージのハードウェア
(データプレー
ン)上に稼動する完全な管理レイヤ(コントロールプレーン)、
および完全なAPIを伴ったSDSは、データセンターの自動化お
よび統合を実践する際の強力なパートナーとなり得る。先進的
なIT部門はこうしたプロジェクトに取り組んでおり、価値を創出
しない運用サポートを排除し、
自動化に切り替える試みを行っ
ている。
これは、IT部門がプロセス全般に関与せず、運用にお
いて例外的なアプローチを採用する際に業務の支援となるも
のである。
✓アプリケーション使用の可能性: すべてのアプリケーションが
極めて優れているというわけではないが、データセンターが
よりソフトウェア主導になるにしたがって、
アプリケーションの
インテリジェンスが向上する。インテリジェンスは、データセン
ターの個々のコンポーネントに対して特定の作業を実行する
よう指令を送るとともに、そのアプリケーションを稼動させる
ために必要な特性および性能レベルに関する情報をコントロ
ールプレーンに伝達する。例えば、処理作業のピーク時間に突
入すると知っているアプリケーションがあるとする。
このアプリ
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
ケーションはストレージレイヤに、
その時間帯には性能の高い
ディスクが必要であると積極的に知らせ、最高レベルのレプリ
ケーションができるように、
より高いレプリケーションファクタ
ーをリクエストする。
これに応じて、
ソフトウェア レイヤは、処
理が急増するこの時間帯には、重要度の低いワークロードに
対するデータ保護の水準を下げることもあり得る。将来、
これ
らはすべて管理者の関与を一切必要とせずに実行されるよう
になろう。
機能を諦める必要は一切なし
機能や性能面において、SDSソリューションは市場で最も巨大な独
自仕様のストレージシステムにさえも対抗できるだけの力量を備
えてきた。
これは、
フラッシュ型ソリッドステートディスクなどの、今
日の高性能プロセッサや下位に位置づけられるハードウェアの活
用によるもので、驚くに値することではない。
レガシーのストレージシステムの多くが、企業ストレージのアプロー
チとして、重複排除などの機能を個別に顧客に強制するが、SDSは、
より包括的な機能や高い性能を柔軟に顧客へ提供することができ
ると考えられる。
パブリッククラウドの必要なし
新しいソフトウェア主導のインフラは、巨大なクラウド基板にて使用
される高度なアーキテクチャをベースにしているかもしれないが、
ク
ラウドのソリューションを使用するのに、必ずしもクラウドのプロバ
イダと契約する必要はない。
エンタープライズに注力する企業は、
ク
ラウド・スケールのソリューション
(GoogleやFacebookのネットワー
キング、
コンピュータ処理、
ストレージサービスなど)
を、外部の一般
企業が利用できるコンポーネントとしてリファクタリングしてきたが、
これは、今後、多くの企業がクラウドプロバイダではなく各社のデー
タセンターにソリューションを導入するという予測に基づいている。
一方で顧客は、現場でのプログラマビリティとパブリッククラウド ス
トレージサービスに匹敵する経済性を要求すると考えられる。つま
り、新しいSDSソリューションは、
クラウド プロバイダのデータセン
ターで生まれたものでありながら、現在では、エンタープライズの
領域に取り入れられるものとして展開しているのである。今日のSDS
ソリューションでは、
プログラマビリティをの利便性を提供する一方
で、
クラウド・スケールの経済性と利益をもたらす。つまり、
ストレー
ジのコスト削減とデータセンターにおける柔軟性を実現するので
ある。第3章ではSDSのこうした成果の背景にある概念を説明する。
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第3章
SDSの基本概念と
成功への鍵
本章の項目
▶x86サーバでの運用
▶ストレージ選択の自動化
▶フラッシュの活用
S
DSがストレージ市場を変革する強力な候補である理由は何
だろうか。数々の事象や技術が錯綜する中、
これまでにない
方法でベンダがストレージ アーキテクチャを構築することができる
ようになった。
これを背景に、
データセンター全体を見直したいとの
顧客の要望が増大し、
これがSDSの革新と導入の原動力となってい
る。本章では、SDSの原則と成功への鍵について説明し、SDSが注目
される背景を探る。
x86のシェア拡大
10年前のインテルプロセッサに比べて、今日のx86プロセッサは、
ミ
ッドレンジ(中堅企業)の市場においても猛獣のような勢いを示し
ている。
ソケットあたりのコア数が10にものぼるこのCPUは、従来、
特定用途に特化したカスタム集積回路(ASIC)
でしか手におえなか
った作業量をこなす処理能力をもつため、
このCPUを搭載する製品
では、簡素化が進み価格も低く抑えられている。仮想CPUによって、
リソースが詳細にスケジューリングされて仮想ワークロードに割り
当てられるため、仮想化によってx86の能力はさらに強化されると
言える。
SDSの主な利点の1つとして、
コモディティハードウェアの経済性と
普遍性を活用できることが挙げられる。x86はこの礎となり、10年以
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24
ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
上にもわたって、仮想化動向の基盤としての実績を積み上げてき
た。x86 のアーキテクチャは、データセンターのプロセッサ競争に
おいて他のほぼすべてのアーキテクチャを打ち負かした。インテル
は製品の強化を続け
(例えば、仮想化の為の支援機能を追加するな
どして)、x86は、最強プロセッサとしての地位を確立した。
現在インテルのプロセッサの主流は、厳しい状況下でも高い処理
能力を発揮するマルチコア プロセッサである。
これらのCPUは、
レ
ガシーのストレージデバイス使用されるためだけに設計されたプ
ロセッサやASICと比べて安価でもある。さらに、インテルCPUの優
れた性能実績は実証済みであるため、ベンダは、
ストレージ スタッ
クにおける重要な分野の開発にフォーカスすることが可能である。
SDSシステムでは、
ソフトウェアが、RAIDコントローラや専用ASIC
など固定ハードウェアのレガシーシステムを置き換える。
また、x86
CPUによって高速で強力なソフトウェア中心のストレージ コントロ
ーラが稼動するが、
これはSDSには必須である。正しく実装されれ
ば、
こうしたプロセッサにより、企業規模の機能を発揮する一方で、
企業のニーズに対応するシステムのスケーリングが可能になる。
従来のストレージアレイのライフサイクルが4~5年以上であるのに
対し、
インテル製品のライフサイクルは18ヶ月未満であるため、SDS
システムは、速いスピードで進化するものと考えられる。顧客は、
プ
ロセッサの交換やアップグレードといったわずかな修正のみで、
ス
トレージ環境全体を置き換えることなくこれらの革新の恩恵を受け
ることができる。例えば、インテルの最新プロセッサであるHaswell
は、DDR4 RAMをサポートし、劇的な性能向上を実現した。
インテル
の前世代プロセッサであるIvy Bridgeは、16 PCI Express 3.0 のサ
ポートにより、
スケーラビリティを飛躍的に向上させた。
利用するストレージ選択の自動化
これまでは、
ストレージの主要決定を行う際、
ブロック・レベル、
ファ
イル・レベル、オブジェクト・レベルのストレージの内、特定のアプリ
ケーションがどのレベルを必要とするかを検討する必要があった。
しかし、SDSの世界では、データセンターの担当者はこうした選択
に関与しなくてもよい。物理的ストレージは、依然としてこの3種類
のストレージサービスを提供することもあるが、ソフトウェアが自
動的にアプリケーションやデータのニーズ・特性に基づいてデータ
の配置を選択する。
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第3章: SDSの基本概念と成功への鍵
25
アプリケーションおよびデータのニーズに基づいて、物理ストレー
ジが決定される。
✓ブロックストレージ: この種類のストレージは、データ転送用の
下位レベルのプロトコルを提供するが、
メタデータを持たず、
使用を可能にするには上位レベルのファイルシステムが必要
である。VMwareのVMFSボリュームは、
このレベルである。
✓ファイルストレージ: この種類のストレージは、管理が容易な上
位構造であるが、概してスケーリングが困難である。Windows
ファイルサーバのストレージは、
ファイル・レベルのストレージ
を使用するストレージシステムである。
✓オブジェクトストレージ: この種類のストレージはスケールアウ
トに適しているが、頻繁な変更やトランザクション処理に関す
るサポートは得意としない。データはオブジェクトとして取扱
われ、個々のオブジェクトはデータペイロード(本体)、オブジ
ェクトに関連するメタデータ、およびオブジェクトの検索を可
能とするグローバル識別子によって構成される。
コモディティハードウェアとの互
換性
コモディティハードウェアを活用する能力は、
ソフトウェア・デファイ
ンド・データセンター(SDDC)の支柱となるもので、SDSの重要なコ
ンポーネントである。ベンダは、一般的なサーバシャーシ、インテル
x86プロセッサ、マザーボード、利用可能なハードドライブ、および
ソリッドステートドライブなどの市販コンポーネントを使って、安
価なストレージシステムを構築することができる。インテルx86プ
ロセッサを使用することにより、ベンダはプロセッサやその他のハ
ードウェアの研究開発を行う必要がなく、SDDCの真の利点である
ソフトウェアに注力することができる。
SDSの目標は、
「ファクトリー・デファインド ・ナッシング(出荷時未定
義)」のストレージ ハードウェアを活用することである。
「ファクトリ
ー・デファインド・ナッシング」とは、
ストレージ機能がハードウェア
製造工程でインストールされたコンポーネントによって、事前に用
途を決定されていないという意味である。そのかわり、本来の柔軟
性が残されているため、
その後のライフサイクルにおいてニーズに
合わせた設定を行うことができる。端的に言えば、何も組み込まれて
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
おらず、柔軟性に優れた状態ということである。顧客は、単にサーバ
で使用している物と同様の、業界標準のハードウェアを使用するこ
とができ、機能しなくなったときに なかなか代わりが見つからない
カスタム製造のコンポーネントに煩わされる懸念もない。
SDSにおけるハードウェアの役割
ソフトウェアによる管理型データ
センターサービスへの移行は、実
際、ハードウェアの市場全体にと
って朗報である。特にコモディテ
ィハードウェアのデバイス上にソ
リューションを構築するベンダに
とっては尚更である。SDSにおけ
るハードウェアの役割は、重要で
あるが、
シンプルである。ハードウ
ェアの選択に関するルールを以
下で説明する。
✓ ハードウェアは交換可能である
こと(依存関係がないこと)
。ハ
ードウェアの観点からの変化
は、専用設計または独自仕様
ハードウェアとの潜在的な依
存関係である。SDSでは、x86型
コンピュータ技術が、
ソフトウ
ェア主導のストレージサービス
(コントロールプレーン)を提
供し、ハードウェアは、実際の
ストレージ機能(データプレー
ン)
を提供する。
このソリューシ
ョンが有効であるためには、
ス
トレージ ハードウェアが非依
存の状態で保持されなければ
ならない。
すなわち、
ストレージ
ハードウェアを他の製品と交換
しても、ソリューションが有効
でなくてはならない(交換する
ハードウェアに独自仕様のデ
バイスが含まれない場合)
。
例えば、数年前にSDSのシステ
ムが利用可能であったなら、
シームレスにフラッシュメモリ
ー技術を組み込んだ形で構築
されていたはずである。今後
ストレージをはじめとする様
々な技術への投資が拡大され
るにつれてし、
さらなる革新が
現実となるのは間違いない。
その一例として、2014年には、
インテルなどのサプライヤか
ら不揮発性メモリエキスプレス
(NVMe)が大量に市場供給さ
れることが予測されている。
✓ ASICおよびFPGAは過去の産物
である。専用設計されたハード
ウェアの構築は、SDSには無縁
であり、
これまでにASICやフィ
ールド プログラマブル ゲート
アレイ(FPGA)によって提供さ
れていた機能は、高性能ソフ
トウェアによって再現される。
今日主流になったx86プロセッ
サは、SDSシステムとそのすべ
てのコンポーネントをサポー
トしても余りある能力を持つ。
さらに、インテルはCPUを継続
的に最適化しており、新しい
命令セットによって特定作業
の処理が加速化されたことに
よって、x86は専用ASICに匹敵
する性能を提供するようにな
った。一部の重複排除メカニ
ズが使用するSHA-1は、x86命
令セットにより直接にアクセ
ス可能である。
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第3章: SDSの基本概念と成功への鍵
27
ソフトウェアによるスケーリング
と可用性
このように多大な利益をもたらすSDSであるが、その実装は容易で
はない。GoogleやFacebookのような企業が、旧来の技術を用いた
データセンターは費用がかかり過ぎ、非効率的でスケーリングが容
易ではないと、結論付けたおかげで、現在のソフトウェア・デファイン
ドの動向が顕著になってきた。
とりわけ、
これらの企業は、
ストレージ
レイヤに関して、従来のSANおよびNASのデバイスは今後のデータ
センターには不要であるという結論を下し、大量のエンジニアリング
リソースを投入して、
これらを排除した。同時に、
これらの企業は、過
度に高額な費用をかけずに何百万(潜在的には数十億)のユーザー
へとスケールアップできるソリューションを必要としていた。
こうした企業は、ハードウェアプラットフォーム(コモディティハード
ウェア)の選択肢が増えたおかげで、
また、
スケーリングが必要なシ
ステムにソフトウェアを戦略的に採用した結果、理想的な環境の構
築に成功した。
こうした経緯から、SDSをコンポーネントとする企業
向けソフトウェア・デファインド・ソリューションが誕生したのであ
る。主な目標(SDSを独自仕様ハードウェアから独立させる)はすで
に十分理解されているところである。
しかし、
コモディティ 化したx86ハードウェアそのものには、独自仕
様ハードウェア製品が持つ高い可用性や冗長性が組み込まれては
いない。実際、
ストレージ システムを管理レイヤなしにコモディテ
ィハードウェアのみで構築した場合、
スケーリングの問題がすぐに
明白になろう。
ここでソフトウェアが必要になる。SDSでは、ハードウェアは高性能
なソフトウェアメカニズムによって補強され、x86ノードを介してス
ケールアウトや分散クラスタを実現し、制限のないにリニアなスケ
ーリングを実現する。
このスケールアウトできるストレージモデル
では、全ノードおよび全ワークロードによって活用されるハードディ
スクとソリッドステート ストレージが各x86ノードに直接割り当てら
れる。
さらに、
スケールアウトはストレージ容量だけでなく、
ストレー
ジの制御論理にも適用され、
スケーリング時のボトルネックを回避
する。
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28
ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
SDSストレージ製品が構成するクラスタでは、データ可用性は、冗
長性の高いハードウェア装置ではなく、
ソフトウェアのレジリエンス
(障害許容性)によって実現される。実際、ソフトウェアレイヤは、
ハードウェアインフラで障害が起こり得ることを前提に設計されて
おり、ハードウェアリソースの障害は即座に検出されて、
ストレージ
のSLAが維持される。
例えば、高価で、信頼性を損ないつつあるRAIDを使用する代わり
に、SDSシステムでは、データ保護に関して、
クラスタの様々な場所
に複数のデータコピーを保管するという、
レプリカ型アプローチを
採用することができる。
まさにこれが、ニュータニックスを始めとす
る企業が提案するアプローチである。
データのローカリティ
スケーラビリティを最大限活用し、可能な限りの高い性能を提供す
るため、ニュータニックスのシステムでは、データのローカリティを
スケーリング戦略の中心に据えている。
これは、できる限り、データ
をソースの仮想マシンノード上に保存することによって実現され
る。
しかし、仮想環境の常であるが、仮想マシンは他のハイパーバ
イザーに移動可能であり、
また実際に移動を行う。
こうした場合に、
ニュータニックスは、仮想マシンのストレージ ブロックを一つのホ
ストから他のホストに完全に転送してネットワークファブリックに
大きな負担をかけるような手法はとらない。その代わりに、仮想マ
シンのファイルをリモートノードからゆっくりと読み出す。仮想マシ
ンがデータの呼び出しを行うと、他の仮想マシンは元のノードのま
まの状態で、読み出されたブロックが新しい仮想マシンの場所に
移動される。仮想マシンのコンテンツすべては、徐々に新しい場所
に移されるが、
この移動は自然な方法で行われ、ネットワークには
負担がかからない。
このようなスケーリングのすべてが、
ストレージ環境のすべてを管
理するソフトウェアレイヤによって実装される。
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第3章: SDSの基本概念と成功への鍵
29
仮想コントローラと仮想マシン
認識型ソフトウェア
SDSが単なる仮想化ではない(第2章を参照)
と理解すれば、SDSで
あると主張するいかなるソリューションにおいても、
ソフトウェア管
理レイヤが重要な役割を担っていることが明らかになる。仮想デー
タセンターの様々なワークロードやI/Oパターンをサポートするた
めに、管理サービスは、データセンターのソフトウェアファブリック
全体に統合され、仮想マシンを認識できなければならない。
ストレ
ージサービスが個々の仮想マシン レベルで実行されてはじめて、
ソフトウェア・デファインド・ストレージは期待通りの効率性やコス
ト節減を実現できるのである。
これに加えて、
ストレージリソースの容量および制御論理に対する
プロビジョニングを容易に行い、迅速にスケーラブルなソリューシ
ョンを提供するため、SDSには仮想ソフトウェアのコントローラを
担う能力も必要である。
さらに、インフラ内における他の仮想要素を完全に認識できること
により、
ソフトウェアレイヤは、管理者が定義したポリシーに基づい
て、環境内で起こっている状況に応じ必要なストレージを決定する
ことが可能となる。例えば、応答性の高いストレージを必要とするア
プリケーションには、
フラッシュ型ストレージで対応し、そうでない
ワークロードに関しては、スピードは劣るが安価なハードディスク
型ストレージで対応するなど、サービスレベルに合わせてアサイン
するストレージを変更させる。SDSの抽象化レイヤおよび仮想化に
よって、環境内すべての動作が監視できるようになり、
自動ワークロ
ード管理が可能となった。
SDSは、
ストレージ ファブリックに適応したサービスを提供できる
ため、I/O頻度の高いアプリケーションは、優先的にリソースのアク
セスが与えられ、SLAが保証できる。
これによって、データセンター
のストレージ コンポーネントには、他の技術と同様の柔軟性が確
保される。例えば、VDI環境では、すべてのデスクトップが同時に起
動し
「ブートストーム」が発生する。
ブートストームでは、大量のI/O
処理が発生する。SDSでは、高いI/O需要が発生する前にこれを検出
し、
自動的に適切なデータを性能の高いストレージレイヤに移行す
ることができる。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
フラッシュの出現
従来のハードディスクは遅い。15,000 RPM シリアルアタッチドSCSI
(SAS)ディスクでさえも、仮想デスクトップ、多量のデータアナリテ
ィクス、基本的なサーバの仮想化など、多くのワークロードが求め
る高い性能を提供できない。時間の経過とともに、新しいサービス
のI/O要件が、ハードディスク市場が提供できるI/O性能を大きく追
い抜いてしまった。
ハードディスクからできる限りの性能を引き出すという勇敢な試み
がなされてきてはいるが、残念ながら、
ストレージの性能問題を対
処するソリューションの多くが非常に高価であった。そして今日、
ソ
リッドステート(フラッシュ)ストレージという、
もっと良いソリュー
ションが出現した。
フラッシュ型ストレージは、ずいぶん前から利用可能であったが、最
近になるまで多くの企業にとってこれを導入するには高価すぎた。
しかし、
この価格が大きく低下したため、
フラッシュストレージは、ハ
イブリッド ストレージアレイ、
オール フラッシュ アレイ、
そしてSDSシ
ステムなどの新しいストレージのクラスの重要な部分となっている。
フラッシュストレージは、
ストレージの性能に2つの潜在的な利点
をもたらす。
✓高速層: フラッシュストレージを使用すれば、
ストレージ システ
ム内で真に高速なパフォーマンス層を管理者に提供できる。
こ
の層は、1秒あたりのI/O処理(IOPS)
で特に高速性が要求され
るワークロードに使用することができる。
✓キャッシング: ソリッドステートドライブをI/Oキャッシングに活
用することで、
フラッシュストレージは、本来は遅いハードディ
スクを加速することができる。キャッシュは、
アクセス頻度の高
いデータおよびメタデータの保管に自動的に使用される。
その仕組みを説明する。
まず、ハードドライブが性能を最大限
発揮するためには、I/Oパターンがシーケンシャルでなくては
ならない。書き込み処理を一定時間保持するのに、キャッシン
グレイヤを使用することができる。最終的にはソフトウェア管
理レイヤがこのデータ
(ハードドライブへのランダム書き込み
となっていただろうデータ)をシーケンシャルI/Oに再配列し、
その後、ハードディスクへの書き込みが行われる。
この単純な
テクニックによって、I/Oのランダム処理を大幅に高速化するこ
とができる。
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第3章: SDSの基本概念と成功への鍵
31
ショートストローキング
ハードディスクの性能をもっと高
めようとする試みは、ショートスト
ローキングと呼ばれる。 ショート
ストローキングは、ハードドライ
ブがフォーマットされる手法を指
すが、実際は、各プラッターの外側
リングのみがフォーマット処理さ
れ、残りのドライブは無視される。
プラッターの外側のみをフォーマ
ットすることで、フルディスクをフ
ォーマットした場合と比べて、ヘッ
ドをそれほど動かす必要がない。
もちろん、当たり前のことである
が、この手法では未フォーマット
領域の容量を使用することはでき
ない。従って、ショートストローキ
ングは、IOPS毎のコスト削減には
役立つが、ギガバイト毎のコスト
が肥大化し、ストレージ性能の問
題解決としては、結局は高価な手
法となる。
端的に言えば、
フラッシュストレージは、ハードディスクだけでは不
可能な、インシステムのソフトウェア制御のストレージ管理を提供
する。
迅速な障害からの復旧
障害は起こり得る。データセンターのすべてのコンポーネントはい
ずれ障害を起こす。今日や明日には起こらないかもしれないが、い
ずれ、すべてが機能しなくなる。別に、読者を憂鬱にさせるつもりで
この節を書いたわけではないが、実際、
どのコンポーネントも永久
に作動し続けるものではない。
しかし、正当に設計されたSDSシステムは、万が一の障害時に対応
できるよう設計されている。つまり、ソフトウェアレイヤは、大規模
にスケーリングされた分散システムであっても、システムのハード
ウェア/ソフトウェアコンポーネントの状態を常に把握することがで
きる。
ストレージサービスがスケール化されるに従って、管理レイヤ
が様々な障害からシステムを保護できることが今後ますます要求さ
れる。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
SDS型ストレージシステムの保護とデータ可用性メカニズムに関し
ては、いくつかの種類がある。
✓データ配置のインテリジェント化: データ保護は、データが物
理ディスクに書き込まれ、アプリケーションのワークロードに
認識されると同時に開始される。SDSのストレージシステムに
おいて、
データ配置と保護は、重要な意味を持つ。なぜなら、ハ
ードウェアベースのRAIDは一切データ保護をしないからであ
る。SDSでは、データ の再配置が何度も実行される。
ニュータニックスのシステムでは、ディスク、
ノード、またはフ
ルアプライアンスの損失によって、
クラスタに保管されるデー
タへのアクセスに問題が生じないように、データ配置のアル
ゴリズムによって、データのコピーが物理ノードと収束された
アプライアンスに分散される。
✓コントローラ: SDSでは、データがディスクから読み込まれ、デ
ィスクに書き込まれていること、およびアプリケーションと仮
想マシンが使用できる状態にあることの確認をソフトウェア
型コントローラが担う。
ソフトウェア コントローラは冗長性を
持ち、障害が発生した場合も高水準の可用性が維持設計され
ている。
✓ソフトウェアRAID: SDSでは、ハードウェア型のRAIDシステムを
不要とするが、
ソフトウェア型のRAID構築が使用されることも
ある。SDSの概念に適合させるため、
こうしたRAID構築は、
ソ
フトウェア型のコントローラで完全にサポートされ、企業規模
の容量と性能ニーズに対応してスケーラブルでなくてはなら
ない。
ニュータニックスの仮想コンピューティングプラットフォームで
は、各ホストにて仮想マシンを稼動するのと同時にソフトウェ
ア型のストレージ コントローラが動作する。
このストレージ コ
ントローラとそのニュータニックスクラスタアーキテクチャ内の
位置づけによって、
システム全体が潜在的な障害を回避するこ
とができる。
これは、
クラスタ内のストレージコントローラ同士
が緩く結合されているためである。万が一ストレージ管理をす
る仮想マシン全体が不能状態に陥ったら、不能になっているコ
ントローラが回復する間、他のストレージ仮想マシンが自動的
かつ透過的にデータ管理を引き継ぐ。
これと同様のことがハー
ドウェアの障害の際にも行われる。ハードウェアのノード全体
に障害が起こると、他のストレージ仮想マシンが、不能ノードが
停止したところから複製されたデータコピーを使用して稼動を
開始する。
この処理はすべて、
ユーザが意識することなく実行さ
れる。
管理者にとっても、
この処理は透過的で、
これがソフトウェ
ア設計のインフラストラクチャが目指すところである。
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第3章: SDSの基本概念と成功への鍵
33
高価な大型コンピュータによるストレージ システムを、今後SDSが
完全に置き換えるためには、
シームレスな障害対応や、
これを回避
して作業を継続する能力が、極めて重要な設計要素となる。
SDDCの到来
ソフトウェアとインフラ管理の包括的な目標は、完全なSDDCを実
装することである。
この、
より大きなパラダイムの一環として SDSは
いくつかの特性をSDDCと共有する。
✓コントロールプレーンとデータプレーンの分離: コントロール
プレーンをデータプレーンから分離させることにより
(第2章
を参照)、
リソースのプロビジョニングやその運用に関する意
思決定の分散が可能になる。さらに、インテリジェンスの度合
いが低い安価なコモディティハードウェアを使用して、インフ
ラの全体的なコスト削減が可能になる。
✓遅延束縛: プログラミング用語である
「遅延束縛」
とは、環境の
柔軟性を維持する能力を指す。早期または静的な束縛システ
ムでは、多くのコンポーネント、その操作、および設定がハー
ドウェアに固定されている。遅延束縛では、
これらがランタイ
ム処理の一環としてソフトウェアで提供および管理されるた
め、特定の環境に合わせて調整が可能になる。SDSとSDDCは
この遅延束縛の原則を活用して、環境に最大限の柔軟性を提
供する。
このインフラに対する能動的なシステムのアプローチでは、
データセンターのすべての要素が動的であると想定する。デ
ータセンター環境そのもの、データセンター環境へのニーズ、
そしてビジネス自体が刻々と変化する現状において頻繁な変
更は避けられない状況である。遅延束縛では運用の多くが、
ベンダや初期構成での厳しい管理ルール経由で強制される
のではなく、実行時に決定される。初期構成で厳しい管理ル
ールが作成されるということは、起こり得る変更に対応するた
めにIT部門は、絶えず警戒していなくてはならない。そしてそ
れが現状である。変更は通常のことと受け入れ、能動的なシス
テムとポリシーに環境の管理を任せることで、IT管理者は、ビ
ジネスに付加価値を生む業務に安心して注力することができ
る。
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第4章
SDSの企業に対する貢献
本章の項目
▶クラウドの利点を活用する
▶ITリソースを最大限に利用する
▶組織の将来に備える
I
Tの革新はIT業界だけの革新にとどまらない。概して、技術進展
は、
トレンドになる前に、幾分かの具体的かつ継続的なビジネ
スの利益をもたらすものである。SDSに関しては、規模の大小にか
かわらず、多くの企業にとって、
この技術が事業にもたらす成果や
推進力が成功への鍵となることに疑いの余地はない。
クラウドスケールのエンタープ
ライズ アーキテクチャ
たとえ、小さな企業であっても、競争力を擁して成長していくには、
大企業のような形態を真似なければならないと考える。
また、大企
業は、社内IT部門がその内向きで受身の体制から、合理的な費用
で幅広いサービスを提供できる(または請け負うことができる)
ク
ラウドスケールのサービスプロバイダへと生まれ変わならければ
ならないと理解している。
クラウドとサービスプロバイダは、IT部門が関与することなくワー
クロードの改革が実現できるという提案を事業責任者に対して行
うこともあるが、最高情報責任者(CIO)は、
これに対して慎重に対
処するべきである。事業が必要とするサービスを提供する一方で、
自社組織における技術目標へのコントロールを失わないようしな
ければならない。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
IT目標の支援
ITシステムの改善に向けた高額プロジェクトの実施に対しては、
最近になって、より厳しいチェックが行われるようになった。財務
担当者は、IT部門が提供するサービスの価値について懐疑的であ
る。CIOは、運用コストを低下する一方で、継続的に、可用性、スケ
ール、容量、性能面での目標を達成するシステムの導入を迫られて
いる。
SDSシステムは、広範なソフトウェア・デファインド・データセンター
(SDDC) のイニシアチブの一環として配備された場合には特に、
新しく発生するワークロードのニーズに対応できる柔軟性をIT部
門にもたらす。
この柔軟性は、概して、データセンターで別個に管理
されたリソースとしてのストレージを排除することでもたらされる。
別個に管理されたリソースやストレージシステムは、専門技能を持
つ高価な人材を必要とするが、SDSを導入することで、
これらのリソ
ースを他の分野に割り振ることが可能になる。SDSがSDDCの一部
である場合、ストレージリソースは自動でアプリケーションニーズ
に応じるように個々の仮想マシンレベルに割り当てられる。アプリ
ケーションレイヤはAPIを介してSDSのコントロールプレーンと通
信する。SLAが必要とする性能およびデータ保護を提供するため、
コントロールプレーンは、要求元のアプリケーションに対して物理
的なストレージリソースを動的に割り当てる。
これらはすべて自動
的に実行されるだけでなく、
リアルタイムでアプリケーションの要
求に対し、SDSシステムは、ストレージレイヤに対する変更を実行
する。
さらに、
このようなソリューションはコモディティハードウェアを使用
するため、全体的な性能向上が実現される一方で、IT組織はストレ
ージコストを削減することができる。つまり、SDSを使うことで、
スト
レージの機能に対して妥協することなく、ストレージのギガバイト
あたりのコスト、および1秒あたりのI/O処理(IOPS)に対するコスト
を削減させることができる。事実上これらの機能(重複排除、圧縮、
フラッシュストレージのメタデータ キャッシング)によって、
ストレ
ージサービス全体のコストが削減できる場合もある。それは、サー
ビスが高価な独自仕様のハードウェアではなく、
ソフトウェアを介
して提供されるためである。
SDSが実現するもう一つのITトレンドに、ITシステムの簡素化が挙
げられる。データセンターは、何十年に渡り、特定ニーズに対して都
度設計されたポイントソリューションで満たされ、
しかも、
ソリュー
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第4章: SDSの企業への貢献
37
ション同士は、なんら関連性を持たないという状況に陥ってきた。
仮想マシンレベルの制御ではなく、性能確保を目的として、インフ
ラのサイロが配備された。
これは、インフラの簡素化と完全にに相反するものである。
さらに、
スペース、電力消費、冷却負荷という形でデータセンターのコスト
が増加する。SDDCにおいては、ハードウェアデバイスは、いかなる
データセンターのサービス(複数)
も提供できる。共通のリソースで
さえも、管理が不安定で困難になった。データセンターの簡素化は
より良いサービスの提供、コスト削減、そしてビジネスへのフォー
カスが可能になるため、CIOは、データセンターの簡素化を最重視
している。
既存リソースの効率的な使用
企業のIT部門が組織内の技術サービスをすべて提供する時代はほ
ぼ終わりに近づいているが、
これには正当な理由がある。過剰な数
の新しいベンダが強力なソリューションを掲げて市場に参入してい
るため、企業は、
自社のIT部門を使うよりもずっと低い費用で、サー
ドパーティーのサービスを受けることが可能になったからである。
この結果、IT部門の人件費や技術リソースを、成長分野のビジネス
や技術のニーズを満たす方向で再配置を行わねばならない。
これ
により、今日のIT部門が、サードパーティー技術サービスを提供す
る社内サービスプロバイダあるいはブローカーに転向するという、
もう一つのトレンドも生まれた。
そうしたサービスはクラウドを基に
したものが多く、企業組織におけるハイブリッドクラウド化の一環
と言える。
このように、サービスが現場とクラウドプロバイダのデータセンター
の両方で実行される
「拡大された」環境下でも、SDSアーキテクチャ
は、
オフサイトでもクラウド型のストレージでも、企業の単一のデー
タファブリックの一部として活用できるはずである。SDSが高速フラ
ッシュSSDを最も頻繁にアクセスされるデータセットに使用するのと
同様に、SDSはアーカイブされたデータをより安価なオフサイトのス
トレージへと押しやって、ITの優先事項を犠牲にすることなく全体的
なコスト削減に貢献することができる。SDSは、
より深くインフラに統
合することが可能なため、IT部門の目標達成をサポートし、新たな
自動化実現の機会と捉える事ができる。
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プライベートクラウドの機能を
実装する
ますます多くのCIOが、
クラウド利用の恩恵を得ることを望む一方
で、データセンターのリソースは企業コントロール下に置きたいと
考えている。SDSは、
プライベート クラウド イニシアチブ(自動化お
よび編成されたデータセンターのインフラ)をサポートする機能を
提供する。
「オーケストレーショ ン」
とは、複雑なデータセンターの
サービスを自動化、調整、そして管理する一連のサービスを指す。
より大規模に編成された環境でストレージがクラウドの管理リソー
スになるように、SDSシステムは、
こうした戦略的なイニシアチブを
サポートできなければならない。OpenStackなどのツールは、企業
がオーケストレーショ ンの潜在能力を最大限引き出す際に有用な
ツールである。
SDSは、
クラウド管理スタックにより、
ストレージリソースの使用に関
する詳細情報を提供する。
これらの情報は、以下の問いに対する回
答を提供するものである。
✓どの程度のストレージが必要か?
✓どのストレージ層が必要か?
✓どのような性能レベルが実現されているか?
プライベート クラウドは、
これらの情報を活用して、全体的なストレ
ージ環境を最適化し、企業に提供されるリソースに対応する。
基本的に言えることは、SDSはプライベートクラウドの環境にとって
重要なコンポーネントになり得る、
ということである。
現代のCIOが掲げる目標は、TCOを大幅に削減することと、新しい投
資からのリターンをなるべく早期に確保することである。既存のリソ
ースを使用する自動化は、
この目標を達成する有効な方法である。
IT投資リターンへの期待
より迅速に新しいイニシアチブを実行したいとするIT部門の要望
を受けて、取り除かれた最初のハードルが、サーバの仮想化であっ
た。
しかし、データセンターの他の部分はこうした動向から取り残さ
れた。IT部門は、新規プロジェクトやビジネスのイニシアチブにおい
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第4章: SDSの企業への貢献
39
て、
コストを合理的範囲に抑えながらも、投資に対しての見返りを迅
速に実証しなければならない。仮想デスクトップやデータ アナリテ
ィクスのような新しいイニシアチブの多くは、多大な処理能力と容
量を必要としており、その実現は、優れた設計のストレージ システ
ムに大きく依存するが、SDSの採用によって、IT部門は、ビジネスニ
ーズをサポートするストレージの設計、
プロビジョニング、および管
理から解放される。容量と性能の両面においてリニアなスケーラビ
リティを持つことから、
ストレージシステムが新しい目標に向かう際
の障害物になることはない。
将来に焦点を当てる
事業責任者は、いつでも、
どこでも、
リソースや情報にオンデマンド
アクセスできるコンピュータをポケットに入れて歩くことに慣れて
しまっている。IT部門は、一部の情報リソースへのアクセスを管理
してはいるものの、サードパーティーからも同様のアクセスが提供
されており、このような経験から、経営陣はどの技術が何を行い、
どのように動作するかという見識を持っている。CIOは、
こうした新
しい展望に社内の部門が応えるように変革しなければ、経営陣が
より能力が高いと考えるベンダに、外注することになるというリスク
に直面する。
しかしながら、IT部門は変革を実施するための大金を用意してもら
っているわけではない。彼らは、80パーセントの予算が既存の運営
を賄い、20パーセントの資金で新しいイニシアチブを実施するとい
う80/20の概念で働き続けることを強いられている。SDSとSDDCは、
多額の費用を要すことなく、IT部門が24時間体制で運用することを
可能にする。ソフトウェア主導のインフラは、自動化と統合に十分
な能力を提供する。そうしたイニシアチブにより、過度の費用や遅
延を伴うことなくITはビジネス需要を満たすことができるようにな
り、組織は21世紀の市場に向けてより周到な準備をすることができ
るようになる。
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第5章
SDSの重要な事実10項目
本章の項目
▶仮想化とSDSの連携
▶ハードウェアの重要性を認識する
▶フラッシュストレージの役割を理解する
以
下は、IT部門がソフトウェア・デファインド・ストレージを
検討する際に、意思決定に役立つと考えられる重要な10
項目である。
仮想化はSDSの基本
事の起こりは、2000年初頭に仮想化が主流になったことに遡る。仮
想化(仮想マシンを実行するソフトウェアレイヤが制御する、CPU、
メモリなどの物理的リソースの抽象化)は、データセンター環境に
対する概念を一変させた。本当の意味での革新は、仮想化と強力
な管理ツールが結びつき、サーバ間でのシームレスなワークロー
ドの移行が実現され、システム全体に迅速さと可用性がもたらさ
れたことである。
ここでは、
ワークロードはもはや特定のシステムに
依存しない。仮想化レイヤが、下位ハードウェアの共通プラットフォ
ームとなり、
このプラットフォーム上で上位のアプリケーションが実
行されるからである。仮想化によって、個々のアプリケーションやワ
ークロードに対するリソースの割り当てが可能になった。抽象化レ
イヤ(第2章参照)なしには、SDSは未だにただの夢物語にとどまっ
ていたであろう。
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しかし、SDSは仮想化だけでは
ない
仮想化は、SDSの極めて重要な要素ではあるが、ただの一部分でし
かない。SDSをアーチェリーの練習用の標的と仮定すると、仮想化
は中心の円である。それを取り囲む次の円は、SDSの高度な機能を
実行するソフトウェアレイヤを表す。SDSの動作に不可欠な抽象化
を提供するという意味において、
ストレージの仮想化は重要ではあ
るが、付随する管理レイヤなしには、
ソリューションは、ただの仮想
化されたストレージになってしまう。管理レイヤによって、重複排除
や圧縮をはじめとする高度なワークロード管理サービスが提供さ
れるからである(第2章を参照)。細部にわたってアプリケーション
を制御するため、
これらのサービスは仮想マシンレベルで実行さ
れる。
また、階層化ハードウェアで構成される物理ストレージ環境(
高性能ディスクと大容量ディスクの組み合わせなど)においては、
管理レイヤによって、
ワークロードが実行されるストレージ層が決
定される。
ハードウェアは依然として極め
て重要である
SDSにおいては、各種機能を提供するソフトウェアが注目されがち
である。
しかし、いかなるソリューションにおいても、ハードウェアの
重要性を忘れてはならない。SDSでは、ハードウェアから独立した
ソフトウェアレイヤが機能と製品の差別化を行う。
この構造により、
仮想ホストやワークロードへのストレージサービスに影響を与える
ことなく、ハードウェアリソースレイヤのアップグレードが可能にな
る。
多くのベンダが「コモディティ型SDSソリューション」
として、ハードウ
ェアとソフトウェアをバンドル販売している。これには理由がある。
企業にとって、総合インフラの継続サポートは不可欠であり、包括的
な製品サポートの有無はビジネスの成否をも決定付けるからであ
る。ベンダがソフトウェアと共にハードウェアを販売している場合で
も、
ソフトウェアコンポーネントの重要性に対する理解は非常に重
要である。
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第5章: SDSの重要な事実10項目
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SDSに妥協の余地なし
SDSは、経済性とITアジリティの向上をもたらすものであるが、だか
らといって、
ストレージ機能やサービスに妥協が許されるものでは
ない。
ストレージソリューションには、データの階層化、
スナップショット、
重複排除をはじめとする様々な機能が求められる。多くのデータセ
ンターにおいて、
これらの機能は必須である。SDSソリューションに
おける唯一の違いは、
これらの必須機能が独自仕様のハードウェア
でなく、
ソフトウェアによって提供されることである。
クラウドに借りができたSDS
S D Sとクラウドストレージは直接関連するものではない。しか
し、SDSの概念はFacebookやGoogleをはじめとする先進的なクラ
ウドインフラに触発されたものであるといっても過言ではないで
あろう。
クラウド型サービスのユーザの増加に伴い、
コンピュータの
処理能力とストレージ容量に対する要求が飛躍的に増大した。共有
SANストレージを搭載する従来のx86型アーキテクチャ
(第3章を参
照)では、新たに求められたITコストの削減に対応できなかったた
め、安価なサーバーに内蔵されるストレージ
(システムが統合ストレ
ージとして認識するフラッシュとHDD)を応用する高性能ソフトウェ
ア主導のアーキテクチャが開発された。
この一連の流れの中で、従
来の集中型サイロストレージは、終焉を向かえつつある。
中小企業、中小企業のクライアント、および大企業ですらクラウド
プロバイダのような巨大規模のシステムは必要ないが、それでも、
これらのプロバイダの技術がもたらすコスト激減やシステム設計
の簡素化は大きな魅力である。
しかも、
これらの恩恵は、あらゆる
仮想ワークロードで実現することができる。
フラッシュがSDSを拡張する
ハードディスクには、大量データを安価に保管できるという利点が
ある。
しかし、ハードディスクのみによって高速性能を得ようとする
場合、数百台ものドライブを導入し平行稼働しなくてはならない。
大容量のストレージに高速性を求める場合、容量のわずか一部し
か使用されないという非効率的な状況が発生してしまうからであ
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
る。利用効率を犠牲にして性能を追求するのは、優れた手法とは言
えない。
フラッシュ型ストレージは、ディスクドライブと比較して何十倍も高
速である。
フラッシュ型ストレージを適切な構成でシステムに統合
すれば、コスト増加を伴わずして、システム全体において高いパフ
ォーマンスが実現できる。SDSにおいては、IT管理者は、
フラッシュ
ストレージとハードディスクを組み合わせ、各アプリケーションに
適切なストレージ層を割り当てることができる。
フラッシュストレー
ジを装備するSDSは、従来型ストレージアレイの安価な代替ソリュ
ーションといえる。
コントロール/データプレーン
の分離による柔軟性
コントロールプレーンをデータプレーンから切り離すことにより
(第
2章を参照)、
リソース運用に関して一元的な意思決定ができるとと
もに、企業規模でソフトウェア主導サービスの効率的提供が可能
になった。
また、IT部門は、安価なコモディティハードウェアを使用
することにより、インフラ全体のコストを削減することができる。
プ
レーンの分離によって、
ストレージシステムの頭脳部分は集中化さ
れ、データ配置を管理する下位データプレーンは分散される。集中
化されたコントロールプレーンが分散したデータプレーンを管理す
るという構造である。
x86ハードウェアが標準に
インテルx86アーキテクチャ
(第3章を参照)は、データセンターの
標準プラットフォームとなった。高速なx86の利用によって、独自仕
様のハードウェアにかかるコストが不要になっただけでなく、CPU
の短い開発サイクルによって処理能力を大幅に増大することがで
きた。
このCPUアーキテクチャを仮想化に応用すれば、x86の低コ
スト技術は、企業環境やクラウドデータセンターの「ユビキタス」に
なる可能性を秘めている。
こういった背景により、現在、多くのSDSソ
リューションは、x86シリーズのハードウェア上に構築されている。低
価格で柔軟性の高いx86は今日のみでなく、明日のニーズにも応え
るプラットフォームである。
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第5章: SDSの重要な事実10項目
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SDSは本物
新技術が登場すると、ハイプ・サイクルに乗ってコストや利益面の利
点が誇大に主張されるのが常である。
しかし、SDSはこの稀少な例外
となる可能性が高く、既存ベンダや新規ベンダの提案の多くが実現
するものと期待されている。
SDSはビジネス向上に貢献する
S D Sを礎石とするソフトウェア・デファインド・データセンター
(SDDC)によって、設定が容易で、、管理コストが低く、効率的な
運用可能な技術が提供された。ITがサービスとなって組織のすみ
ずみまで迅速に浸透するようになると、ビジネスの機動力が向上
する。
これはストレージに関しても言えることである。
ストレージが
ハードウェアから切り離されてサービスとなることによって、ビジ
ネスは必要とするアプリケーションとデータを手にすることができ
る。SDSにおいては、従来のインフラよりも迅速かつ低価格でこれ
が可能になるのである。
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ソフトウェア・デファインド・ストレージ For Dummies, Nutanix 特別版
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