Brexitショックから立ち直り始めた金融市場

情報提供⽤資料
マ - ケ ッ ト 情 報
2016年6⽉29⽇
Brexitショックから⽴ち直り始めた⾦融市場
-英国のEU離脱に向けた⼿続きは⻑期化の⾒通し-
(注)Brexit(ブレグジット)とは、英国(Great Britain)がEUから離脱する(Exit)ことを表した造語です。
英国⺠は、6⽉23⽇の国⺠投票で欧州連合(EU)からの離脱という歴史的な選択を⽰しました。
これを受けて世界の⾦融市場は⼤きな変動に⾒舞われましたが、リーマン・ショック時のような信⽤
収縮や、欧州債務危機時のような国債のデフォルト懸念といった問題が顕在化している訳ではありま
せん。また、実際に離脱となるまでは、英国のEU加盟国としての⽴場に変わりはないことから、⾦
融市場は徐々に落ち着きを取り戻すものと⾒られます。ただ、他のEU加盟国においてもEU懐疑派が
勢いを増すようであれば、政治や経済の先⾏き不透明感が再び強まる可能性があり、今後の欧州の選
挙動向を注視する必要があると考えています。
英国経済には少なからぬ影響
(図表1)英国の実質GDP成⻑率への影響(IMF予想)
英国がEUを離脱した場合、英国経済には少なから
ぬ影響が出ることが予想されます。英国の貿易に占
(%)
2.5
める対EUの割合は、輸出が約47%、輸⼊が約53%
2.0
と約半分を占めているためです※1。
1.5
また、英国に拠点を置く⾦融機関が英国以外に機
能を移し、ロンドンの国際⾦融センターとしての地
位が低下する可能性や、製造業が⼯場をEU域内へ移
転させる可能性もあります。
1.4
1.1
0.6
0.0
かった場合に⽐べ、英国経済の成⻑率は落ち込むこ
-1.0
EUに残留した場合
離脱の影響が限定的だった場合
離脱の影響が⼤きかった場合
2016年
-0.8
2017年
2018年
(出所)IMF資料より岡三アセットマネジメント作成
英国株は相対的に⼩幅な下落
(図表2)各国株価指数・英ポンドの騰落率(6⽉23⽇以降)
しかし、投票結果を受けての各国株式市場の騰落
率を⽐較すると、英国株の下落率は他の主要国に⽐
べて相対的に⼩幅に留まっています(図表2)。こ
れは、英国が実際にEU離脱となるまでは、英国の
EU加盟国としての⽴場に変わりはなく、この間、英
国の輸出産業は英ポンド安のメリットを享受する可
能性があることを反映したものと⾒られます。
⼀⽅、欧州の他の国の株式市場は⼤きく下落して
います。EUの名⽬GDPに占める英国の割合は、約
18%※2と⼤きく(2015年)、また、EU予算に占め
る英国の拠出額は11%を占めており(2015年)、
EUから⾒れば、英国の離脱で失うものは⼤きいと⾒
られているためと思われます。
※2 「World Economic Outlook Database, April 2016」
IMF推計値を基に算出
1.8
1.7
0.5
-0.5
※1 英国歳⼊税関庁データ(2014年)
2.2
1.0
国際通貨基⾦(IMF)の分析によると、離脱しな
とが予想されています(図表1)。
2.2
1.9
(2016/6/23〜2016/6/27)
⽶国株
-5.3
英国株
-5.6
⽇本株
-5.7
ドイツ株
-9.6
フランス株
-10.8
イタリア株
-15.9
英ポンド(対ユーロ)
-8.9
英ポンド(対⽶ドル)
-12.5
英ポンド(対円)
-17.1
0
-5
-10
-15
-20
(%)
(注)国⺠投票の投票⽇(6⽉23⽇)を起点とした各国株価指数と通貨の騰落率
⽶国株:S&P500種指数、英国株:FTSE100指数、⽇本株:⽇経平均株価、
ドイツ株:DAX指数、フランス株:CAC40指数、イタリア:イタリアFTSE
MIB指数。通貨は英ポンドの対ユーロ、対⽶ドル、対円レート
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
1
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マ - ケ ッ ト 情 報
(図表3)⽇本と英国間の貿易額(2015年)
⽇本経済への影響は限定的に
⼀⽅、英国との貿易を通じた⽇本経済への影
⾦額
輸出(輸⼊)総額
に占めるシェア
響は限定的と考えられます。⽇本の総輸出額に
英国への輸出
1兆2,905億円
1.7%
占める英国への輸出額の割合は1.7%であり、
英国からの輸⼊
7,832億円
1.0%
⼤きくないためです(図表3)。また、実質
GDPに対する影響についても、欧州などに⽐べ
(注)2015年末の⽶ドル円レートで円換算
(出所)財務省資料より岡三アセットマネジメント作成
て、軽微に留まると⾒られます(図表4)。
ただ、英国にある⼯場をEU域内へ移転する場
合には、事業⾒直しのコストが発⽣するほか、
(図表4)Brexitによる各国の実質GDPに対する
2018年までの押し下げの影響予想
(%ポイント)
円⾼による輸出企業への影響など、個別企業
直接的影響
⾦融ショックの影響を含む
押し下げの影響
欧州
-0.51〜-0.35
-1.16〜-0.99
⽶国
-0.187
-0.24
⽇本
-0.25
-0.46
ベースでの影響には留意が必要と思われます。
英議会の紛糾が避けられない⾒通し
EUとの交渉は、正式には、英国が欧州理事会に
離脱の意思を通知することで始まります。ただ、
キャメロン⾸相は既に辞意を表明しており、英国に
よる通知は、9⽉頃予定の新⾸相選出を待つことに
なる⾒通しです(図表5)。
EUとの交渉にあたっては、議会の承認が必要と
なる場⾯が想定されますが、英下院の保守党、労働
(注)欧州:英国を除くEU加盟国+ノルウェー、スイス
(出所)経済協⼒開発機構(OECD)のデータより岡三アセットマネジメント作成
(図表5)英国のEU離脱に向けて想定されるシナリオ
9⽉頃までに保守党党⾸選実施、次期⾸相選出
欧州理事会に離脱の意思を通知
通知せずに⽔⾯下で交渉
党は残留派が多数を占めており、スコットランド国
⺠党も残留派であることから、交渉⽅針などを巡っ
英国とEUが脱退協定の交渉開始
て紛糾するのは必⾄の情勢と思われます(図表6)。
EU法は通知から2年間適⽤されるため、交渉の間
も英国は今まで通りEU市場にアクセスできます。
また、2年以内に合意できなかった場合には、全て
のEU加盟国が同意すれば、交渉期間の延⻑(その
間EU法の適⽤も延⻑)が可能とされています。
ただ、離脱派は期限があることで交渉が不利な⽴
通知から2年以内に
2年以内に合意せず
脱退協定で合意
(全EU加盟国の同意が
<EU離脱>
あれば交渉期間延⻑)
(出所)各種報道などから岡三アセットマネジメント作成
(図表6)英下院の党派別内訳(2015年5⽉現在)
⾃由⺠主党:8
場となることを警戒し、通知せずにEUと⽔⾯下で
交渉することを主張しており、交渉に⾄る過程にお
いては、なお紆余曲折が予想されます。
交渉決裂
保守党:331
労働党:232
スコットランド国⺠党:56
(出所)外務省資料から岡三アセットマネジメント作成
その他:23
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(図表7)離脱後の英国とEUの経済関係の枠組み例
新協定の交渉は⻑期化の⾒通し
離脱に向けた交渉の中で、英国はEUとの新たな
EUとの通商関係
概要
ノルウェー型
欧州経済領域
(EEA)に加盟
貿易では、農業・漁業分野以
外の関税を撤廃。
EU予算への拠出義務あるが、
政策意思決定に参加できず。
スイス型
EUと分野ごとに
個別協定
120以上の個別協定であるた
め、交渉に⻑期間を要する。
⾦融サービスを含まず。
カナダ型
2国・地域間協定
(FTA)
2国・地域間での貿易、サー
ビスの協定。関税撤廃も可能。
協定合意に時間を要する。
WTO型
EUとの2国・
地域間協定なし
世界貿易機関(WTO)の
ルールに基づく。貿易に関税。
関係について定めた新協定についても協議するもの
と⾒られます。その際には、ノルウェーやスイス、
カナダなどEU⾮加盟国におけるEUとの枠組みが参
考となると⾒られます(図表7)。
英国は、可能な限り現状と⽐べて不利にならない
新協定を⽬指すことになりますが、EU側は、他の
加盟国内でEU懐疑派が勢いを増すことを懸念して
おり、英国との交渉において安易な妥協はしないも
のと⾒られます。新協定の交渉は難航することが想
定され、かなり⻑期化する可能性があります。
(出所)各種報道などから岡三アセットマネジメント作成
欧州各国の選挙動向に注⽬
(図表8)欧州の主な選挙⽇程とポイント
以上のように、EUからの離脱は英国経済に少な
からぬ影響を与えることが想定されますが、実際
2016年
に離脱するまでは、英国のEU加盟国としての⽴場
10⽉
リトアニア総選挙
11⽉まで
ルーマニア総選挙
3⽉
オランダ下院選
・極右政党の⾃由党が世論
調査で⽀持率トップ
4⽉末〜5⽉初旬
フランス⼤統領選
・極右政党の国⺠戦線のル
ペン党⾸が決選投票に進
む可能性
に変わりはないことから、⾦融市場は徐々に落ち
着きを取り戻す展開になるものと⾒られます。
その後は、英国とEUの交渉の状況や、来年にか
けて予定されている欧州の選挙動向に左右される
展開が想定されます(図表8)。各国のEU懐疑派
2017年
6⽉
が勢⼒を増すようなことになれば、中⻑期的にEU
全体の不安定化に繋がるため、今後の欧州各国の
選挙動向を注視する必要があると考えます。
フランス下院選
8⽉〜10⽉の間
10⽉まで
ドイツ総選挙
・⺠族主義政党が議席獲得
の可能性
チェコ総選挙
(注)上記⽇程は今後変更となることがあります。
(出所)各種報道などから岡三アセットマネジメント作成
以上(作成:投資情報部)
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登
録:⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第370号
加 ⼊ 協 会:⼀般社団法⼈ 投資信託協会/⼀般社団法⼈ ⽇本投資顧問業協会
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