課長が抱える悩みとは

BUSINESS DATA
課長が抱える悩みとは
上司と部下の板挟みとなり、組織のなかで最も気苦労
(
『2016年度新入社員の理想の上司』2016年4月)
、理
が多いとされる中間管理職。産業能率大学では、
従業員
想の男性上司のトップ3は、
「松岡修造」
(2年連続)
、
「マ
数100人以上の上場企業に勤務し、
部下を1人以上もつ
ツコ・デラックス」
「阿部寛」が、女性上司には「天海祐
課長を対象とした、
『第3回上場企業の課長に関する実
希」
(7年連続)
「水卜麻美」
「澤穂希」がそれぞれ選ば
態調査』
(2016年3月)を実施した。それによると、マ
れた。こうした無邪気な新入社員の声を、悩み多き課長
ネジメント業務に対するプレーヤーとしての仕事の割
たちはどのように聞いているのだろうか。
合について、
「半分以下」とする回答は54.8%。これは
前回調査より3.8ポイント増加したが、
「プレーヤーとし
課長として悩みを感じること(複数回答)
ての仕事はない」は前回調査同様1%を下回り、99.1%
がプレーヤーとマネジメント業務を兼任している。
0
悩みについて最も多かった回答は、
「部下がなかなか
職場の変化については、
「業務量が増加」
(56.4%)が
国人社員が増加」
(6.5%、前回比4.3ポイント増)
、
「非
正規社員が増加」
(11.8%、前回比3.8ポイント増)で、
人材の多様化が進展していることが伺える。介護や育
児への配慮が必要な社員(部下)も増えており、課長
35.8
27.3
部下が自分の指示通りに
動かない
19.8
思うような成果が出せない
18.9
上司と考え方や意見が
合わない
18.3
14.3
目標のハードルが高すぎる
12.6
悩みは特にない
一番多かったが、3年前と比較した伸び率でみると、
「外
他部署との調整が
うまくいかない
11.2
職場の人間関係がよくない
10.6
部下の人事評価の
フィードバックがうまくできない
7.2
3.8
セクハラやパワハラが心配になる
その他
はそうした変化への対応も求められそうだ。
求められることがますます増えていく課長だが、彼
(%)
50
40
42.7
部下の人事評価が難しい
トップだが、
「有効だと思う施策はない」も22.6%となっ
職場やマネジメント環境も少しずつ変化している。
30
業務量が多すぎる
ンについて有効な施策を聞くと、
「飲み会」が 52.7%と
明確化もさらに必要となるだろう。
20
部下がなかなか育たない
育たない」
(42.7%)
。そんな部下とのコミュニケーショ
ている。部下育成において、上司などとの役割分担の
10
1.5
[1]課長として悩みを感じていること
ら・彼女らが最終的になりたい
立場は、
「部長クラスのポジショ
ンに就く」が 35.5%で最も多く、
部下育成の役割分担の認識について
次いで「現在のポジション(課
長)を維持する」
(35.2%)であっ
た。
「プレーヤーの立場に戻る」
も
14.9%と年々増加しており、過去
3回の調査のなかで最も高くなっ
た。日々のマネジメント業務をこ
なしていく困難さを実感している
のかもしれない。
ちなみに、同大学は毎年新入社
員に理想の上司を聞いているが
0
20
40
部下が担当する業務の指導 4.9
60
87.1
部下の成長を考えた仕事の割り振り 8.6
部下のキャリア形成支援
部下の能力開発の機会提供 12.6
部長
(上司)が
担うべき
課長
(自分)が
担うべき
3.2
57.8
26.6
49.9
31.0
35.2
48.1
人材開発部門が
担うべき
4.8
3.1 1.7
86.6
13.8
部下のジョブローテーション
(%)
100
80
17.8
1.8
2.3
3.1
その他の人・部門が
担うべき
[2]部下の育成における役割分担についての認識
出所:
[1]
[2]学校法人産業能率大学『第 3 回上場企業の課長に関する実態調査』
(2016 年 3月)より
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JMA マネジメント
2016.7