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税関業務をシステムで支え、職場の IT 環境を整える
沖縄地区税関通関総括第一部門付
門司税関総務部システム企画調整室
日 比 野 雄 也 【平成 24 年Ⅱ種行政】
宗像 健人
【平成 26 年一般職(大卒程度)化学】
みなさん、こんにちは。私は、平成 27 年7月から沖縄地区税関
分析担当として分析依頼を受ける物品の種類は多岐に渡ります。
税関業務に興味をお持ちの皆さん、税関の多種多様な業務内容に驚
り、職員のユーザーアカウントやメールボックスの作成、故障した機器
通関総括第一部門で分析担当として勤務しています。皆さんは税関
覚醒剤や大麻、様々な麻薬、向精神薬、近年社会問題化している危
かれているところとは思いますが、私の所属する「総務部システム企画
の修理の手配なども行っています。また、機器については 24 時間監視
の仕事といえば、海外から入国する旅客の手荷物検査や外国から輸
険ドラッグのたぐいも膨大な種類が存在します。また、薬物以外でも、
調整室」では、名前から想像できるとおり、税関における様々なシステ
されており、障害発生時には即応・復旧できるような万全な連絡体制
入される貨物の通関手続を想像されると思います。これらの税関業
食品、工業製品、金属や石油製品など様々です。もちろんこれらを
ムの運用・管理を担当しています。
が敷かれています。このように、あまり目立たない存在ではありますが、
務と分析の仕事は非常に密接に関わっています。
分析する方法も多岐にわたり、使用する分析機器も様々なものが存
例えば、外国船舶の入出港や輸出入貨物の通関など、主要な税関手
職員の皆さんがシステムやパソコン関係について、ストレスフリーで業
例えば、入国旅客の手荷物検査を行った際に、手荷物から不審な
在します。これらに対応するためには多くの知識や技術、経験が必
続きのほとんどが NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)と呼ば
務を行えるように「縁の下の力持ち」となって日々尽力しています。
薬などが見つかり、それが不正な薬物である可能性が高いと考えら
要となるため、日々勉強の連続です。また、高度な専門技術を必要
れる船会社、航空会社、輸出入業者、銀行及び税関をはじめとする関係
また、職場の中だけでなく、社会で起こっている様々な情報セキュリ
れたとしても、外見だけではそれが一体何なのか分かりません。そ
とする分析にあっては、関税中央分析所に分析を依頼することもあり
官庁 等が 参 加するシステムを使って電子 的に 行 われています。この
ティ事案にも目を光らせています。税関は職務上、機密性の高い情報
こで化学的な分析を行うことによって、それが日本に輸入してはなら
ます。
NACCSは適正かつ迅速な通関を実現するうえで大きな役割を果たして
を扱うことが多くあります。そのため、コンピュータウイルスやプログラ
ない不正な薬物に該当するか否か、該当するなら、どのような物質
依頼される分析の他にも、現場で不正薬物の簡易的判別が可能と
いるので、NACCSが停止するようなことがあれば、税関手続きが行えな
ムの脆弱性による情報流出、標的型メール攻撃などによる被害が起こ
が含まれているのかを特定することができます。
なるように、数種類の簡易試薬を作成し、各部署に配備することも
くなり、さらには日本の物流が停滞してしまうといったことになりかねま
らないよう、これらの対策には特に力を入れています。
また、通関手続において、外国から輸入される貨物には、それぞ
重要な役割のひとつです。また、それに伴う、簡易試薬の保管や使
せん。NACCS や他のシステムについて、安定稼動はもちろんのこと、万
最後に、システム企画調整室は私のように学生時代に IT 関係を専攻
れの品目ごとに関税率が設定されており、成分などによっては異なる
用方法などの研修も定期的に実施しています。
が一、障害が発生した場合には早急な復旧に努めるのが私たちの仕事で
していなくても上司や専門家の方、充実した研修制度のサポートがあり
関税が課される場合があります。例えば、ペットフードは、乳糖とい
分析業務を行う上で色々な専門的技術の習得に苦労することもありま
す。
ますので不安になることはありません。また、IT に関する知識が得られ
う糖の一種やタンパク質などの成分の含有量によって適用される関
すが、
その分、
やりがいも大いにあります。
分析業務は様々な仕事がある税
次に、税関では、資料の作成や印刷、メールやインターネットの利用
るだけでなく、システムを通して税関業務の流れ・仕組みについても理
税率が異なり、糖やタンパク質などについて分析を行うことにより適
関の中でも専門性が最も高い業務のひとつですが、
そんな専門的なスキ
など、職員はパソコンを使って仕事をしています。これらの事務に必要
解を深めることができるので、ここで得た知識は他の部署に行っても必
用される関税率を決定することができます。このように分析は税関業
ルを高めたい方は、
分析業務を希望してみてはいかがでしょうか。
な環境を整えるのも私たちの仕事です。具体的に言えば、ある部門が
ず役に立つと思います。皆さんが税関で、そしてシステム企画調整室で
関係のない部門のフォルダを閲覧できないように権限の設定を行った
ご活躍されることを期待しています。 務において欠かせない役割を担っています。
分析依頼の流れ
税関における分析(品目別割合)
NACCS とは?
WCO
分析依頼
分析結果
関税局
分析依頼
高度な機器又は分析
技術が必要な場合
関税中央分析所
税関
平成27年
分析結果
78%
通関部門
分析依頼
JAPAN CUSTOMS
3%
12%
関税分類についての
意見を含む
分析結果
分析部門
13
7%
輸出入者
関税分類または課税標準決定上、
分析が必要な場合
■
農水産品、
食料及び油脂
■
石油及び有機化学品
■
高分子物質及び雑品
■
金属、
鉱物及び無機物質
NACCS
(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)
は、
入出港する船舶・航空機及び輸出入される貨物について、
税関その他の関係行政機関に対する手続及び関連する民間
業務をオンラインで処理するシステムです。
JAPAN CUSTOMS
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財務省・税関の業務
システム
分
析
財務省・税関の業務
税 関の 分 析業 務