英国国民投票: 離脱決定を受けて

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英国国民投票:
離脱決定を受けて
本レポートは、
年 月 日に実施された英国の国民投票の結果を受けて、インベスコの英国拠点に在籍する
運用担当者・関係者が、自身の見解に基づいて述べたコメントを翻訳・編集したものです。
年 月 日に英国で実施された欧州連合( )からの離脱の是非を問う国民投票の結果、
同国の 離脱が決まったことを受け、この歴史的決断が金融市場や投資方針にどのような意味
を持つと考えられるか、インベスコの運用担当者・関係者が自身の見解を述べました。
ジョン・グリーンウッド(チーフ・エコノミスト、インベスコ・リミテッド)
英国民の総意の結果として からの離脱(
)への賛成が明らかになったことから、次なる注目
点は、短期的には金融市場の動向、長期的には離脱に向けて と交渉を行う政府や議会の動向に
なるでしょう。金融市場では、英ポンドは下落すると予想されますが、 やユーロ圏にも波及効果が
及ぶリスクが意識されることから、ユーロもある程度は下落すると想定されます。おそらくは、米ドル
や日本円、スイス・フランが「避難先通貨」として選好されるでしょう。
ジョン・グリーンウッド
チーフ・エコノミスト
インベスコ・リミテッド
現在のキャメロン政権は、勝利を得た抵抗勢力である 離脱派の意見を反映させるため、近いうち
に内閣改造を行うことになるでしょう。場合によっては、そうした変革にキャメロン首相自身の辞任が
含まれるかもしれず、その場合は与党である保守党の党首選が開かれることになるでしょう。また、
単なる首相や内閣メンバーの後退だけでは不十分ということで、総選挙の実施に至る可能性もあり
ます。更なるリスクシナリオとしては、保守党が分裂し、結果的に与党に返り咲いた労働党が、国民
投票の結果を無効にしようとするかもしれません。
現実的な問題として、有権者は
に投票したのに対し、議会は国民投票までほぼ一貫して 残
留を支持していたことが挙げられます。英国憲法下では国事行為の最高決定権限は議会にあります
が、残留派が多数を占めている議会には、 からの離脱実行に必要な法案を通すことは期待でき
ません。最終的に、英国と 構成国との間で暫定協定が結ばれるための交渉は間違いなく非常に
複雑なものとなり、延々と続く可能性もあるでしょう。当該交渉は、貿易や投資、財やサービスの規制、
移住、安全保障、 内の英国人や英国内の 市民の人権から医療制度に至るまで、多くの法的事
項がカバーされる必要があります。それらが何とか合意にこぎ着けた後は、その多くが新たな法制化
を必要とします。新政権は手一杯となることでしょう。
ニック・マストー(チーフ・インベストメント・オフィサー(
)、インベスコ・パーペチュアル)
ここ数カ月間予想されてきた通り、英国の有権者は歴史的な決断に至りました。英国が
年に
の前身である欧州経済共同体(
)に加盟してから 年後、今度は を離脱することが決まっ
たのです。この決定から推測される、あるいは必然的に導かれる金融、経済、財政、政治面の多くの
結果に、英国政府や企業、実業界は対処していかねばなりません。
ニック・マストー
チーフ・インベストメント・
オフィサー(
)
インベスコ・パーペチュアル
市場コンセンサスは明確なようで、 構成国から外れることは短期的には英ポンドの下落につなが
り、英国の経済成長にも悪影響を及ぼすだろうというものです。その悪影響がどのくらいで、どれだけ
続くかは、現時点では推測の域を出ません。英国経済や成長への短期的なインパクトは、貿易や生
産性、(国内、海外から双方の)資本投資、中央銀行の金融政策の方向性といった内外のファクター
によって決まるでしょう。
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金融市場では、離脱決定により今後の行方に関する不透明感が高まることから、短期的にはボラ
ティリティが上昇し、投資家はディフェンシブな資産への逃避を急ぐことでしょう。ただし、この種のボ
ラティリティの高まりは、しばしば無差別な価格調整を引き起こすことがあり、我々のようにファンダメ
ンタルズに基づく長期的な視点の投資家にとっては、魅力的な投資機会が出現することとなります。
長期的には、我々は依然として英国の成長見通しに楽観的であるため、英国経済が 離脱という
決断に対処可能で、繁栄を続けると見ています。過去 年間、世界の主要 カ国の中でも高い成長を
維持してきたことから、英国経済はこの先待ち受ける事態に対処できる良い状況にあると考えられま
す。
我々は、過去 年以上にわたって世界の株式市場に投資しており、市場が変化しようとも、投資の
原則に忠実であり続けてきました。今回も例外ではなく、何がお客様にとっての長期的に最善の利益
かに焦点を絞っています。長期的視点に基づいて投資を行うとのコミットメントこそが、我々が長い期
間をかけて生み出してきた運用パフォーマンスの核となるものなのです。
マーク・バーネット(英国株式責任者、インベスコ・パーペチュアル)
簡単に言えば、英国が を離脱することになれば、我々はこれまで経験したことのない不確実性に
直面し、未知の領域へと突入することになります。今後数カ月間、国民や世界経済が
の影響
を認識していくにつれ、個人消費や企業の雇用、外国直接投資などに遅延が見られる可能性があり
ます。こうしたことが重なり、英国経済は短期的に大きな逆風にさらされるでしょう。
マーク・バーネット
英国株式責任者
インベスコ・パーペチュアル
しかしながら、長期的には、英国の 離脱に対する対応力は高いと我々は考えており、今後の見通
しも楽観視しています。英国は変化に適応することのできる柔軟な経済構造を有しています。現在も
英国は、
でどんな変化が生じようとも、それに順応しようと体制を整えています。
英ポンドは、短期的には注視すべき重要な指標になるでしょう。英ポンドの変動は、
に対する
投資家の反応をより反映すると考えられるからです。市場は の離脱をネガティブに受け止め、株
式市場は下落すると想定されますが、問題は、それがどの程度かということにあります。我々はすで
に多くのマイナス要因を見てきましたので、センチメントの悪化は既に株価に一定程度織り込まれて
います。当初は反射的に売り込まれる可能性がありますが、その後、英ポンドの下落による経済や
企業などへの影響が慎重に考慮されていくにつれ、株式市場は上昇に転じると見られます。我々が
多く投資している英国企業、特に海外で大半の収益をあげている国際的な大企業は、英ポンドが急
落した場合、通貨換算差益による恩恵を享受するでしょう。
我々は、英国企業が全般的に
に対する適応力を有していると考えています。英国企業は、米
国の金利政策や米ドル、商品価格など、市場が大きく左右されるような環境の中でも、こうした逆風
に耐えてきました。
我々は、先 カ月や カ月といった短期的な見通しに基づいて資金を運用しているのでなく、お客様
の長期的な利益に資するよう資金を運用しています。現時点では、国際貿易や規制の交渉が今後ど
のように落ち着くかを正確に評価することは困難です。そのため、視界がある程度良好になるまでは、
ポートフォリオに大幅な変更を加えることはないでしょう。我々は、今後明らかになっていくであろう事
実を熟慮したうえで、慎重に投資判断を行うよう努めていきます。長年にわたって培ってきたポート
フォリオ構築手法を変更したり、英国株式市場の投資機会に対する分析、理解および対応などを含
む、従来の投資手法から逸脱したプロセスを採用したりすることはないでしょう。
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ジェフ・テイラー(欧州株式責任者、インベスコ・パーペチュアル)
英国の有権者は、英国が欧州連合( )から去る決断を下しました。今後の焦点は、英国と 間の
離脱に向けた交渉に移り、これにはかなりの時間がかかると予想されます。
の欧州経済や政
治全体へのインパクトは依然として不透明であり、英国と欧州の両極で金融市場のボラティリティが
高まるでしょう。
ジェフ・テイラー
欧州株式責任者
インベスコ・パーペチュアル
経済面においては、
は欧州経済にマイナスではあるものの、そのマイナス度合いはそれほど
大きくはないと考えています。欧州経済は内需を中心に回復基調にあり、過去数年にわたって様々
な外的要因に耐えることができた実績もあります。
により欧州経済が不況に陥るようなシナリ
オは考えていません。欧州中央銀行や主要な政治リーダー(ドイツのメルケル首相やフランスのオラ
ンド大統領)は、
のマイナス影響を打ち消すような何らかの政策を発動するでしょう。具体的な
内容は発表を待つ必要がありますが、彼らが何もせずに静観を続けるということは考えにくいでしょう。
政治面においては、
が 崩壊の引き金になるとは考えませんが、
年に行われるドイツ
とフランスの総選挙におけるノイズとはなり得ます。ただし、英国に次いで、欧州各国で 離脱の国
民投票が連続して実施されるような事態は想定していません。アンチ を唱えるポピュリスト的な政
治家は存在するものの、
年の欧州債務危機や
年のギリシャ債務危機への周縁国の対応
に見られるように、欧州の政治リーダーや各主体の欧州共同体維持に対する意思は歴史的に見て
非常に強いものです。ポピュリストは欧州のみならず(また米国のみでもなく)、世界のどこにでも存
在します。
の投票結果はネガティブ・サプライズではあったものの、このイベントは金融市場において足
元まで充分に意識されており、金融市場にも相当程度は織り込まれていたと考えられます。ただし、
我々のポートフォリオは、バリュエーションの魅力度が高いと考えている景気敏感株を多く保有してい
るため、
という結果は短期的にはパフォーマンスにマイナスの影響を与えるでしょう。しかしな
がら、我々の投資哲学は一貫して変わりません。長期の投資リターンを決定づける最も重要な要素
はバリュエーションであるとの信念の下、ボトムアップのファンダメンタルズ・リサーチとバリュエーショ
ンに基づく投資判断を実践していきます。
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動リスク、⑪中小型株式への投資リスク、⑫デリバティブ(金融派生商品)に関するリスク、その他の留意点などがあ
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