看護師基礎教育を4年に!

資料3-1
看護師基礎教育を4年に!
安心・安全の医療提供のために必要な教育時間
の確保には「3年」では不足 「4年」が必須
看護師基礎教育の現状
教育時間の圧倒的な不足により
看護師に必要な基礎的能力の獲得のための教育ができない
新人看護師の実践能力の不足
新人看護師の早期離職や医療安全上のリスクの増大
公益社団法人日本看護協会
記者会見
2016年6月21日
1
1.医療・看護をとりまく状況の変化
高齢で複数疾患を有するなど、より病態が複雑化して
いる患者に対し、短い入院期間で集中的に、高度かつ
安全・安心な医療・看護を提供することが求められる。
現在(平成26年)
20年前(平成8年頃)
平均在院日数
33.5日
全身麻酔手術 128,086件/月
新規入院患者
31,652人/日
救急搬送患者 3,247,129人/年
65 歳以上入院患者
55.2%
1/2
1.8倍
1.3倍
1.7倍
1.3倍
医療の効率化により入院期間は半分に短縮
一方で、医療の高度化や
16.8日
患者の高齢化により、
226,928件/月 医療や看護の必要性
41,507人/日
や提供頻度の高い
5,405,917人/年
患者が増加
70.9%
入院患者の20%程度が認知症またはその予備群!?
(現在の入院患者の7割以上が65歳以上。
65歳以上の約 4人に1 人が認知症またはその予備群といわれている)
出典:厚生労働省保険局医療課「医療施設調査・病院報告」、「患者調査」
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」、総務省「消防白書」
公益社団法人 日本看護協会
0~14歳,
2.2%
15~64歳,
26.8%
75歳以上,
50.3%
65~74歳,
20.6%
2
2-1.新人看護師の現状
新人看護師の就職時の能力不足により、
医療安全上のリスクが高い
・ヒヤリハット報告数は、新人看護師が21.2%を占める
・医療事故に占める「薬剤」関連の割合は、新人以外では
8.1%だが、新人では15.4%と約2倍。その理由として、
薬剤に関する知識不足が挙げられている。
※新人看護師=経験1年未満の看護師
【医療事故の内容】
【 経験年数別ヒヤリハット報告件数】
H26
輸血 治療・処置 医療機器等
1年未満
新人
21.2%
薬剤
15.4%
新人の占める割合は増加傾向
H22
15.0%
0%
0年
1年
新人以外
20%
2年
3年
40%
4年
5-9年
60%
10-19年
薬剤の
事故事例
20-29年
80%
100%
100%
30-39年
40年以上
ドレーン・
チューブ
その他
療養上の世話
新人は薬剤の割合が2倍
8.1%
0%
検査
20%
40%
60%
80%
出典:日本医療機能評価機構 「医療事故情報等収集事業 報告書」より作成
糖尿病患者が検査で禁食の場合、血糖降下剤を中止するという薬の知識が不足して
いたために内服させてしまい、患者は低血糖を引き起こし、命に関わる状態となった。
公益社団法人 日本看護協会
100%
3
2-2.新人看護師の現状
新人看護職員の卒後臨床研修が努力義務化されたが(平成22年)、
離職率は改善せず、自身の能力への不安から新人看護師が離職
【
離
職
率
の
推
移
】
新人看護職員研修制度の創設
(%)
13
12.6
常勤看護職員離職率(%)
新卒看護職員離職率(%)
11.9
11.2
11.0
11
9.2
8.9
8.6
9
11.0
10.9
8.1
7.9
7.5
11.0
10.8
養成所
72 校分
7.5
7.5
H25
H26 (年)
7
H19
H20
H21
H22
H23
H24
出典:日本看護協会「病院における看護職員の需給状況調査」
【
新
卒
看
護
師
の
退
職
理
由
】
第1位:適性能力への不安
(n=72)
労働条件への不満
17%
14%
家事・出産・育児 他施設へ就職
14%
結婚
13%
10%
健康上の
人間 介
理由 キャリア 関係 護 転
居 1%
(身体面) アップ
7%
6% 3% 3% 2% 2%
8%
看護職以外へ転職
第2位:健康上の理由(精神面)
0%
10%
20%
30%
40%
その他・不明
50%
60%
70%
80%
90%
100%
出典:栃木県看護協会「平成26年度離職状況施設調査」
公益社団法人 日本看護協会
4
3-1.看護師基礎教育の現状
領域数は増やしたが、総教育時間数は増加せず
求められる能力に応じて領域数を増やしたが、
総教育時間数は増加しておらず、教育時間が不足
看護の統合と実践
老人看護学
母性看護学
小児学総論
成人看護学
基礎看護学
在宅看護論
精神看護学
老年看護学
母性看護学
小児学総論
成人看護学
基礎看護学
在宅看護論
精神看護学
老年看護学
母性看護学
小児学総論
成人看護学
基礎看護学
専門領域数の増加
領域数の増加に応じ
必要とされる時間数
(時間)
6000
教育時間の
不足
5000
4000
3000
2000
1000
0
計3,000時間
計2,895時間
計3,000時間
2130
2025
2130
総教育時間数の
増加なし
科目数に応じ追加が必要とされる時間数
510
360
510
360
510
360
平成元年
(第2次改正)
平成8年
(第3次改正)
平成21年
(第4次改正)
専門分野(ⅠⅡ)・統合分野
専門基礎分野
基礎分野
出典:看護教育の内容と方法に関する検討会 資料を改変
平成8年より単位制が採用されたため、実習は1単位=45時間とし算出
(看護師等養成所の運営に関する指導要領について)
公益社団法人 日本看護協会
5
3-2.看護師基礎教育の現状(専門分野等)
総教育時間数を増やしていないため、1専門領域*あたり
の時間数が大幅に減少し、必要な教育がなされていない
1領域あたりの講義・演習時間は2/3に、実習時間は1/2に!
*専門領域:基礎看護学、成人看護学等の専門分野ⅠⅡおよび統合分野の教育内容
(時間数)
250
225
学んだ知識・技術を統合・活用し、
現場で看護実践を行う実習は、
実践能力を養う上で極めて重要
200
150
150
151
100
128
実習
119
117
講義・演習
50
*第4次改正は単位数のみの提示のため、
第3次改正カリキュラムの時間数を元に試算
0
平成元年
(第2次改正)
平成8年
(第3次改正)
平成21年
(第4次改正)
1専門領域あたりの教育時間数の推移
公益社団法人 日本看護協会
6