ナノテクノロジー技術動向調査 調査報告書

ナノテクノロジー技術動向調査
調査報告書
平成16年12月
独立行政法人 物質・材料研究機構
ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
本 報 告 書 は、独 立 行 政 法 人 物 質 ・材 料 研
究 機 構 ナノテクノロジー総 合 支 援 プロジェク
トセンターが平 成 16 年 度 に実 施 した「ナノテク
ノロジー技 術 動 向 調 査 」の成 果 を取 りまとめた
ものです。
本 報 告 書 の無 断 複 製 、転 載 、引 用 等 を禁
じます。
平成16年度
ナノテクノロジー技術動向調査
文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターでは、国内のナノテクノロ
ジー研究者への研究支援の一環として、国内外の研究情報を収集し、適切な方法で情報発
信することにより、研究活動の活性化と国内外の研究機関・研究者の間のネットワーク形
成を促進しています。
ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターは事業の一環として、平成15年度に
引き続き「ナノテクノロジー技術動向調査」を実施いたしました。本調査は、ナノテクノ
ロジーにおける最近の国内の研究機関・研究者の研究活動について網羅的に情報収集し、
研究状況を整理して今後の研究支援活動に資することを目的として、実施されたものです。
本報告書で取り上げたナノテクノロジー研究分野は、ナノテクノロジー総合支援プロジ
ェクトセンターが実施した分野別文献動向調査の結果をもとに、15年度より社団法人未
踏科学技術協会の協力のもと、
「ナノテクノロジー技術動向調査委員会」において検討し、
整理したものです。本報告書は、その研究分野における 100 を越す先端技術を取り上げ、
その技術において第一線で活躍する研究者により研究動向をまとめたものです。
今後のこの分野で研究開発する方々の参考としていただければ幸いです。
平成 16 年 12 月
ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
i
平成 16 年度 ナノテクノロジー技術動向調査委員会
委 員 長
田中 順三
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター
副委員長
塙
隆夫
東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 金属材料分野
春山 哲也
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能専攻
上野 則夫
(株)資生堂 基盤研究本部マテリアルサイエンス研究センター
技術開発研究所
尾笹 一成
(独)理化学研究所 前田バイオ工学研究室
小林 幹彦
(独)物質・材料研究機構 材料研究所 機能融合材料グループ
寺部 一弥
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所
原子エレクトロニクスグループ
内藤
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
委
員
尚
藤田 大介
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所
極限場ナノ機能グループ
宮原 裕二
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター
吉田
東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
亮
ii
寄稿者リスト
(
)内は執筆項目を示します。
1.基盤要素技術
藤田 大介(1.1)(1.1.4_1)(1.2)
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所
森田 清三(1.1.4_2)
http://www.nims.go.jp/activenano/
大阪大学 大学院 工学研究科電子工学専攻
http://www-e2.ele.eng.osaka-u.ac.jp/index-jp.html
斎木 敏治(1.1.4_3)
慶應義塾大学 理工学部 電子工学科
幾原 雄一(1.1.4_4)
東京大学 大学院工学系研究科 総合研究機構
長谷川修司(1.1.4_5)
東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻
木塚 徳志(1.1.4_6)
筑波大学 大学院数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻
http://sogo.t.u-tokyo.ac.jp/
http://www-surface.phys.s.u-tokyo.ac.jp
http://www.ims.tsukuba.ac.jp/individual2/kizuka.html
一村 信吾(1.2.4_1)
(独)産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門
http://unit.aist.go.jp/riif/index.htm
三澤 弘明(1.2.4_2)
北海道大学 電子科学研究所
大木 泰造(1.2.4_3)
筑波大学 物理学系
杉村 博之(1.2.4_4)
京都大学 大学院工学研究科 材料工学専攻
寺部 一弥(1.2.4_5)
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所 原子エレクトロニクス G
山内
(独)物質・材料研究機構 ナノファンクショングループ
泰(1.2.4_6)
http://misawa.es.hokudai.ac.jp/
http://www.mtl.kyoto-u.ac.jp
http://www.nims.go.jp/nanofunc/EAL/overview_j.html
三石 和貴(1.2.4_7)
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所 ナノキャラクラリゼーショングループ
小寺 正敏(1.2.4_8)
大阪工業大学 電子情報通信工学科
尾笹 一成(1.3)
(独)理化学研究所 前田バイオ工学研究室
渡邉 孝信(1.3.4_1)
早稲田大学 大学院理工学研究科
大野 隆央(1.3.4_2)
(独)物質・材料研究機構 計算材料科学研究センター
http://www.coe.waseda.ac.jp/
渡辺 尚貴(1.3.4_3)
みずほ情報総研(株) 科学技術部
中村 美道(1.3.4_4)
(独)物質・材料研究機構 計算材料科学研究センター 第一原理物性グループ
http://www.nims.go.jp/cmsc/
http://www.mizuho-ir.co.jp/science/meso/index.html
2.ライフサイエンス・医療
菊池 正紀(2.1)(2.1.4_5)
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター 組織再生材料研究グループ
http://www.nims.go.jp/bmc/
玉田
浦
角五
靖(2.1.4_1)
剛博(2.1.4_2)
(独)農業生物資源研究所 生体機能模倣研究チーム
北海道大学 大学院理学研究科
彰(2.1.4_2)
(同上)
剣萍(2.1.4_2)
(同上)
長田 義仁(2.1.4_2)
(同上)
龔
吉田
亮(2.1.4_3)
菊池 明彦(2.1.4_4)
東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
田中 順三(2.1.4_5) (2.1.4_9)
石原 一彦(2.1.4_6)
http://www.nias.affrc.go.jp/
http://altair.sci.hokudai.ac.jp/g2/
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター
http://www.nims.go.jp/bmc/
東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
http://www.bmw.t.u-tokyo.ac.jp/ishihara/
吉成 正雄(2.1.4_7)
東京歯科大学 歯科理工学講座
塙
東京医科歯科大学
隆夫(2.1.4_8)
http://www.tdc.ac.jp/dept/dm/index.html
生体材料工学研究所 金属材料分野
http://www.tmd.ac.jp/i-mde/www/index.html
iii
田口 哲志(2.1.4_9)
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター
大和 雅之(2.2)
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
各務 秀明(2.2.4_1)
名古屋大学 医学部 組織工学講座
西田 幸二(2.2.4_2)
大阪大学 大学院
岩田 博夫(2.2.4_3)
京都大学 再生医科学研究所 組織修復材料科学分野
水野 裕和(2.2.4_4)
名古屋大学 大学院医学系研究科 頭頚部感覚器外科学講座
鷲見 幸男(2.2.4_4)
(同上)
上田
(同上)
実(2.2.4_4)
http://www.nims.go.jp/bmc/
医学系研究科 眼科視覚科学
http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp
清水 達也(2.2.4_5)
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
立石 哲也 (2.2.4_6)
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター 医工連携チーム
陳
国平(2.2.4_6)
(同上)
長崎 幸夫(2.3)(2.3.4_7)
筑波大学 学際物質科学研究センター 物質工学系
西山 伸宏(2.3.4_1)
東京大学 大学院工学系研究科 材料学専攻
由井 伸彦(2.3.4_2)
北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科
横山 昌幸(2.3.4_3)
神奈川科学技術アカデミー 横山「高分子ナノメディカル」プロジェクト
http://www.jaist.ac.jp/ms/labo/yui.html
http://www.newkast.or.jp/index.html
青柳 隆夫(2.3.4_4)
鹿児島大学 大学院理工学研究科 ナノ構造先端材料工学専攻
磯部 寛之(2.3.4_5)
東京大学 大学院理学系研究科・理学部 化学専攻
http://www.eng.kagoshima-u.ac.jp
http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/%7Ecommon/NakamuraLab.html
中村 栄一(2.3.4_5)
藤原 正浩(2.3.4_6)
(同上)
(独)産業技術総合研究所 人間系特別研究体刺激応答材料研究グループ
http://staff.aist.go.jp/m-fujiwara/
春山 哲也(2.4)(2.4.4_1)
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能専攻
http://www.life.kyutech.ac.jp/ haruyama/
堀池 靖浩(2.4.4_2)
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター 産学官連携チーム
宮原 裕二(2.4.4_3)
(独)物質・材料研究機構 生体材料研究センター
加地 範匡(2.4.4_4)
名古屋大学 大学院工学研究科 化学・生物工学専攻
田渕 眞理(2.4.4_4)
徳島大学 大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部
馬場 嘉信(2.4.4_4)
名古屋大学 大学院工学研究科 化学・生物工学専攻
田中 有希(2.4.4_5)
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻
http://133.6.56.1/index.html
http://www.appchem.t.u-tokyo.ac.jp/appchem/labs/kitamori/
北森 武彦(2.4.4_5)
(同上)
藤井 輝夫(2.4.4_6)
東京大学 生産技術研究所 海中工学研究センター
船津 高志(2.4.4_7)
東京大学 大学院薬学系研究科 生体分析化学教室
鷲津 正夫(2.5) (2.5.4_3)
http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ tfujii
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/ funatsu/
東京大学 大学院工学系研究科 機械工学専攻 www.washizu.t.u-tokyo.ac.jp
吉田
亮(2.5)
東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
田畑
仁(2.5.4_1)
大阪大学 産業科学研究所 http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/bis/
田中 裕行(2.5.4_2)
川合 知二(2.5.4_2)
大阪大学 産業科学ナノテクノロジーセンター
(同上)
3.情報通信技術
寺部 一弥 (3.1)(3.1.4_4)(3.2)
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所 原子エレクトロニクス G
川浦 久雄(3.1.4_1)
日本電気(株) 基礎・環境研究所
石橋 幸治(3.1.4_2)
(独)理化学研究所 石橋極微デバイス工学研究室
iv
http://www.riken.jp
水谷
亘(3.1.4_3)
(独)産業総合技術研究所 ナノテクノロジー研究部門 http://staff.aist.go.jp/w.mizutani
長谷川 剛(3.1.4_4)
(独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所 原子エレクトロニクス G
大野 英男(3.1.4_5)
東北大学 電気通信研究所
池田 正二(3.1.4_5)
http://www.ohno.riec.tohoku.ac.jp
(同上)
長
康雄(3.1.4_6)
東北大学 電気通信研究所
蔡
兆申(3.1.4_7)
日本電気(株) 基礎研究所
http://www.d-nanodev.riec.tohoku.ac.jp
http://www.riken.jp/r-world/research/lab/frontier-rs/quantum/coherence/
小出 康夫(3.2.4_1)
(独)物質・材料研究機構 物質研究所 スーパーダイヤグループ
上村佐四郎(3.2.4_2)
ノリタケカンパニーリミテド戦略開発センター
大津 元一(3.2.4_3)
東京工業大学 大学院工学系研究科 電子工学専攻
藤田 博之(3.2.4_4)
東京大学 生産技術研究所
http://www.noritake.co.jp/
http://www.nanophotonics.info
http://www.fujita3.iis.u-tokyo.ac.jp
4.ナノ素材
塙
隆夫(4.1) (4.2) 東京医科歯科大学
生体材料工学研究所 金属材料分野
http://www.tmd.ac.jp/i-mde/www/index.html
宝野 和博(4.1.4_1)
酒井
明(4.1.4_2)
(独)物質・材料研究機構 材料研究所 ナノ組織解析グループ
京都大学 国際融合創造センター 創造部門
http://www.iic.kyoto-u.ac.jp/index.php
井上 明久(4.1.4_3)
東北大学 金属材料研究所
小澤 英一(4.1.4_4)
文部科学省 ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター 普及・教育グループ
隅山 兼治(4.1.4_5)
名古屋工業大学 材料工学科 http://ss.mse.nitech.ac.jp
井上
http://www.inoue.imr.tohoku.ac.jp/
悟(4.2) (4.2.4_1)
(独)物質・材料研究機構 物質研究所 機能探索領域
足立 基齊(4.2.4_2)
京都大学 エネルギー理工学研究所
安藤 寿浩(4.3)
(独)物質・材料研究機構
中川 清晴(4.3)
塙
隆夫(4.3)
http://www.nims.go.jp/glass-lab/
物質研究所 スーパーダイヤモンドグループ
(同上)
東京医科歯科大学
生体材料工学研究所 金属材料分野
http://www.tmd.ac.jp/i-mde/www/index.html
中山 喜萬(4.3.4_1)
大阪府立大学 大学院工学研究科 電子物理工学分野
大竹 尚登(4.3.4_2)
東京工業大学 大学院理工学研究科 機械物理工学専攻
http://www.dd.pe.osakafu-u.ac.jp/
http://www.mech.titech.ac.jp/ seikei/
若林 知成(4.3.4_3)
近畿大学 理工学部 理学科化学コース
宮澤 薫一(4.3.4_4)
(独)物質・材料研究機構 エコマテリアル研究センター
岸本
(独)物質・材料研究機構 材料研究所 機能融合材料グループ
哲(4.4)
武田 邦彦(4.4.4_1)
名古屋大学 大学院工学研究科 材料機能工学専攻
新谷 紀雄(4.4.4_2)
(独)物質・材料研究機構 材料研究所 機能融合材料グループ
http://www.nims.go.jp/Smart/member/shinya/
京野 純郎(4.4.4_2)
西
義武(4.4.4_3)
(同上)
東海大学 工学部 材料科学科
5.ナノ素材応用
西
義武(5.1) (5.1.4_3) (5.2.4_2) 東海大学 工学部 材料科学科
太刀川恭治(5.1.4_1)
東海大学 工学部
村上 雅人(5.1.4_2)
芝浦工業大学 工学部材料工学科 超伝導材料研究室
中森 裕子(5.1.4_4)
東北大学 金属材料研究所 特殊耐熱材料学研究部門 http://www.hydrogen.imr.tohoku.ac.jp/
折茂 慎一(5.1.4_4)
(同上)
v
http://moniko.s26.xrea.com
内田 裕久(5.1.4_5)
東海大学 工学部応用理学科 エネルギー工学専攻
山口 猛央(5.1.4_6)
東京大学 大学院工学系研究科 化学システム工学専攻
吉田
日本原子力研究所 高崎研究所
勝(5.1.4_7)
片貝 良一(5.1.4_7)
群馬大学 工学部 材料工学科 http://www.chem.gunma-u.ac.jp/ kb4/
上野 祐子(5.1.4_8)
NTTマイクロシステムインテグレーション研究所
松原 一郎(5.1.4_9)
(独)産業技術総合研究所 センサインテグレーショングループ
http://www.ntt.co.jp/milab/
http://unit.aist.go.jp/amri/group/senint/ja/senint.html
小林 幹彦(5.2) (5.2.4_1)
(独)物質・材料研究機構 材料研究所 機能融合材料グループ http://www.nims.go.jp/Smart/
古屋 泰文(5.2.4_3)
弘前大学 理工学部 知能機械システム工学科
岡崎 禎子(5.2.4_3)
弘前大学 理工学部 物質理工学科
岸本
(独)物質・材料研究機構 材料研究所 機能融合材料グループ
哲(5.2.4_4)
上野 則夫(5.3)
(株)資生堂 基盤研究本部 マテリアルサイエンス研究センター 技術開発研究所
西川 和男(5.3.1_1)
シャープ(株) 電化システム事業本部 電化商品開発研究所
上野 則夫(5.3.1_2)
(株)資生堂 基盤研究本部 マテリアルサイエンス研究センター 技術開発研究所
神山 三枝(5.3.1_3)
帝人ファイバー(株)
中村 知基(5.3.1_4)
帝人ファイバー(株) テキスタイル技術開発グループ
http://www.teijin.co.jp
柏原
徹(5.3.1_5)
カネボウ繊維(株) 営業戦略室
鈴木
晃(5.3.1_6)
東レ(株)生産本部 フィラメント技術部
田中 裕久(5.3.1_7)
ダイハツ工業(株)材料技術部
松林 賢司(5.3.1_8)
三菱商事(株) 事業開発部
http://www.daihatsu.co.jp/tech/i-topaz/index.htm
vi
目次
Ⅰ.調査の背景と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.調査報告書の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
Ⅲ.調査の進め方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
Ⅳ.調査報告
1.基盤要素技術
1.1 ナノ計測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
1.1.1 はじめに
1.1.2 研究状況
1.1.3 今後の展開
1.1.4 先端技術内容
1.1.4_1
走査トンネル顕微鏡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
1.1.4_2
原子間力顕微鏡 ·························································································· 11
1.1.4_3
近接場光学顕微鏡 ·······················································································14
1.1.4_4
透過電子顕微鏡法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
1.1.4_5
多探針ナノプローブによるナノ計測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
1.1.4_6
TEM− SPM 複合ナノプローブ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
1.2 ナノ加工・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
1.2.1 はじめに
1.2.2 研究状況
1.2.3 今後の展開
1.2.4 先端技術内容
1.2.4_1
超薄膜による半導体製造技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
1.2.4_2
フェムト秒レーザ加工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
1.2.4_3
STM ナノ創製加工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
1.2.4_4
AFM ナノ加工(リソグラフィー) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
1.2.4_5
AFM ナノ加工(強誘電体ドメインエンジニアリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
1.2.4_6
原子ビームによるナノ創製加工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47
1.2.4_7
TEM によるナノ創製 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
1.2.4_8
電子ビームナノ加工(リソグラフィー) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
1.3 ナノシミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56
1.3.1 はじめに
1.3.2 研究状況
1.3.3 今後の展開
1.3.4 先端技術内容
1.3.4_1
分子動力学計算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
1.3.4_2
第一原理計算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
1.3.4_3
量子電子動力学シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
1.3.4_4
量子・古典融合型分子動力学シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
vii
2.ライフサイエンス・医療
2.1 生体親和性材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73
2.1.1 はじめに
2.1.2 研究状況
2.1.3 今後の展開
2.1.4 先端技術内容
2.1.4_1
生物由来素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76
2.1.4_2
ケモメカニカルゲル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
2.1.4_3
機能性高分子ゲル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
2.1.4_4
蛋白質分離素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85
2.1.4_5
無機―高分子自己組織化複合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89
2.1.4_6
細胞膜類似ポリマー高集積化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
2.1.4_7
金属表面修飾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95
2.1.4_8
医療用新合金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98
2.1.4_9
接着剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101
2.2 組織再生技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
2.2.1 はじめに
2.2.2 研究状況
2.2.3 今後の展開
2.2.4 先端技術内容
2.2.4_1
組織工学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 106
2.2.4_2
人工角膜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108
2.2.4_3
人工膵臓 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 111
2.2.4_4
人工皮膚・人工口腔粘膜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114
2.2.4_5
人工心筋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117
2.2.4_6
生体外再生軟骨:細胞培養工学による軟骨欠損の修復 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 120
2.3 ナノ粒子と DDS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 123
2.3.1 はじめに
2.3.2 研究状況
2.3.3 今後の展開
2.3.4 先端技術内容
2.3.4_1
高分子 DDS によるガン治療 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 125
2.3.4_2
DDS のための超分子材料設計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 128
2.3.4_3
ダブルターゲティングシステム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 131
2.3.4_4
ハイドロゲル生分解性ナノキャリア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 134
2.3.4_5
水溶性フラーレンの生体関連機能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140
2.3.4_7 ナノ粒子による診断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 143
2.3.4_6
メソポーラスシリカのナノ材料特性 −薬物放出の光制御−
2.4 生体分子検出技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 146
2.4.1 はじめに
2.4.2 研究状況
2.4.3 今後の展開
2.4.4 先端技術内容
viii
2.4.4_1
人工酵素設計とその生体分子測定への応用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 148
2.4.4_2
在宅健康診断チップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 151
2.4.4_3
DNA チップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 154
2.4.4_4
電気泳動チップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157
2.4.4_5
免疫チップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160
2.4.4_6
細胞チップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163
2.4.4_7
一分子計測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 166
2.5 DNA とナノテクノロジー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 168
2.5.1 はじめに
2.5.2 研究状況
2.5.3 今後の展開
2.5.4 先端技術内容
2.5.4_1
DNA 電子回路− DNA 分子を用いたボトムアップナノテクノロジー− ・・・・・・・・・・・・・・ 170
2.5.4_2
DNA 可視化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 174
2.5.4_3
DNA 操作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 177
3. 情報通信技術
3.1 ナノ電子デバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 181
3.1.1 はじめに
3.1.2 研究状況
3.1.3 今後の展開
3.1.4 先端技術内容
3.1.4_1
大規模集積回路 (ULSI, MOSFET) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 183
3.1.4_2
単電子デバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 186
3.1.4_3
分子デバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 191
3.1.4_4
原子スイッチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 194
3.1.4_5
スピントロニクス・デバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 197
3.1.4_6
プローブメモリ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200
3.1.4_7
量子コンピュータ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 203
3.2 ナノ光デバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 206
3.2.1 はじめに
3.2.2 研究状況
3.2.3 今後の展開
3.2.4 先端技術内容
3.2.4_1
半導体発光素子(量子ドット、量子細線、量子井戸) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 208
3.2.4_2
カーボンナノチューブ発光素子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 211
3.2.4_3
ナノフォトニックデバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 214
3.2.4_4
マイクロ・ナノシステム(MEMS, NEMS) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 217
4.ナノ素材
4.1 金属ナノ素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 221
4.1.1 はじめに
4.1.2 研究状況
4.1.3 今後の展開
4.1.4 先端技術内容
ix
4.1.4_1
金属ナノ組織制御 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 224
4.1.4_2
STM・AFM 等による表面観察・解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 227
4.1.4_3
ナノ構造複合材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 230
4.1.4_4
金属ナノ粒子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 234
4.1.4_5
金属クラスタ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 237
4.2 セラミックスナノ素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 240
4.2.1 はじめに
4.2.2 研究状況
4.2.3 今後の展開
4.2.4 先端技術内容
4.2.4_1
ナノガラス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 242
4.2.4_2
セラミックスナノチューブ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 245
4.3 カーボンナノ素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 248
4.3.1 はじめに
4.3.2 研究状況
4.3.3 今後の展開
4.3.4 先端技術内容
4.3.4_1
CNT を応用した SPM プローブ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 251
4.3.4_2
CNT 複合材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 254
4.3.4_3
フラーレン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 257
4.3.4_4
フラーレンナノウィスカー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 260
4.4 自己修復材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 263
4.4.1 はじめに
4.4.2 研究状況
4.4.3 今後の展開
4.4.4 先端技術内容
4.4.4_1
自己修復材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 265
4.4.4_2
自己修復性耐熱材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 267
4.4.4_3
固体センサ・アクチュエーター材要素の機能劣化(ナノオーダー損傷) ・・・・・・・・・・・ 270
5.ナノ素材応用
5.1 エネルギー・環境技術用素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 273
5.1.1 はじめに
5.1.2 研究状況
5.1.3 今後の展開
5.1.4 先端技術内容
5.1.4_1
超伝導材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 275
5.1.4_2
Nd, Eu, Gd 高温超伝導体を利用した永久磁石 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 278
5.1.4_3
超強力新型モーター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 281
5.1.4_4
錯体水素化合物を用いた高密度水素貯蔵技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 284
5.1.4_5
ナノ化水素吸蔵合金の水素吸収特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 287
5.1.4_6
固体高分子形燃料電池 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 290
5.1.4_7
イオン穿孔膜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 294
5.1.4_8
ナノ多孔質材料を用いた環境ガスセンサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 298
x
5.1.4_9
有機/無機ハイブリッド材料の VOC センサ応用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 301
5.2 安心・安全技術用素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 304
5.2.1 はじめに
5.2.2 研究状況
5.2.3 今後の展開
5.2.4 先端技術内容
5.2.4_1
自己調温機能をもつヒーター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 305
5.2.4_2
電子線照射による医療用殺菌防曇処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 309
5.2.4_3
相変態制御による能動材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 312
5.2.4_4
異なる物質を内包するクローズドセル構造化による多機能化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 318
5.3 日常生活用素材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 321
5.3.1 先端技術内容
5.3.1_1
大気圧プラズマ生成クラスタイオンによる空気清浄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 323
5.3.1_2
ナノテクノロジーを用いた化粧品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 326
5.3.1_3
超多層成形と繊維への応用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 329
5.3.1_4
汗におい消臭織編物「パーマフレッシィ®」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 333
5.3.1_5
抗酸化作用のあるビタミン E 誘導体を含む
油分層と水分層をナノサイズでサンドイッチ構造に重ねた繊維 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 336
5.3.1_6
吸湿性を向上させたナイロン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 339
5.3.1_7
貴金属が自己再生する排ガス浄化触媒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 342
5.3.1_8
ナノテク素材:フラーレンを用いた新規化粧品成分の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 345
Ⅴ.総括:ナノマテリアルの研究の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 348
xi
Ⅰ. 調査の背景と目的
ナノテクノロジーという言葉はもともと 1980 年代の後半に日本で使われたのが最初であろう。
それはナノサイズ(1 ナノメートルは 100 万分の 1 ミリ)の構造体がマクロサイズの構造体とは異
なる特性を有することに言及し、用いられた言葉であった。その当時、ナノテクノロジーが技術と
して発展するためには周辺技術が充分でなかったが、主に材料分野において原子・分子レベルの構
造設計技術を扱うナノテクノロジーの基礎的研究開発が進められてきた。その水準は世界的に見て
トップレベルにあるということができよう。
2000 年 2 月になって、米国のクリントン大統領(当時)が国家戦略プロジェクト(NNI: National
Nanotechnology Initiative)としてナノテクノロジーに言及し、その重要性が改めて認識された。日本
においても、2001 年、科学技術基本計画(2001 年 3 月)や総合科学技術会議の分野別推進戦略(2001
年 9 月)において、ナノテクノロジー・材料分野が「広範科学技術分野の飛躍的な発展の基盤を支え
る重要分野であるとともに、特にナノテクノロジーは 21 世紀の基幹をなすもの」
、
「産業競争力の強
化と経済社会の特続的発展等に不可欠な重点領域」として今後 5 年間の重点 4 分野の一つに位置づ
けられた。
それから 3 年以上が経過し、ナノテクノロジー分野で様々な研究成果が生まれ、予期されなかっ
た現象や技術、そしてその方途が見え始めている。
文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターでは、平成 12 年度以降の国内外の
研究情報を収集している。ナノテクノロジーに関する論文及び報道記事は、1999 年度から 2000
年度にかけては 1,790 件から 2,217 件へと 24%程度の増加であったが、2000 年度から 2001 年度にか
けては 2,217 件から 3,764 件へと 70%増加した。2002 年度の発表件数は 2003 年 3 月末時点で 5,628
件と急増傾向にある。基盤要素技術、ナノバイオテクノロジー、ナノ材料技術及び IT の 4 分野の分
野別の国内発表件数の推移では、4 分野全てについて発表件数は、過去 2 年間で急増傾向にある。
テーマ別にみると、ナノ材料分野のフラーレンを除くほぼ全てのテーマについて発表件数が増加
している。基盤要素技術分野では、加工、計測に関わる発表が増加している。特にナノ加工技術に
関する発表件数が多く、新規方式の開発、既存方式の精度向上といった点が件数の増加につながっ
ている。同様の展開はナノ計測分野にもみられ、新しい測定方法や CNT プローブなどの適用よる
既存装置の改良、ナノスケールでの測定精度向上や新しい測定対象への取り組みなどが見られる。
ナノプロセスはナノ加工に用いられるものと同等の機器、例えばフェムト秒レーザなどの適用が見
られ、これらのナノテクノロジーを支える周辺機器の開発が順調であることがうかがえる。ナノマ
シン分野については、
MEMS から NEMS への展開がナノ加工技術の発展に伴って見られるものの、
マイクロマシンについては応用面で乏しく、要素技術としてのものにとどまっているが、適用する
分野が開拓されればその他の基盤技術から考えると、将来的な技術方途の開拓が見込まれる。ナノ
バイオ分野では、ゲノム、タンパク等の発表数が多い。ナノバイオというキーワードに掛かる件数
は大きく伸びており、同様の伸びはゲノム、プロティン、セルといったものにも掛かる。ただ、そ
の内容については解析や反応などの単純操作から、要素技術としての利用、自己組織化を利用した
機能性構造体の形成などへと移ってきた。医療関係ではバイオチップ、DDS についても、発表件数
が伸びている。これは生体材料と他のナノ物質の融合に関する研究が進んだことによると考えられ
る。ナノマシンについての国内発表数は増加しているが、その数は他の技術に比べて少ない。これ
は前述のマイクロマシンの場合と同様に現在のところは明確な方途が見えていないことによると考
えられる。IT 分野では、高集積デバイス等の開発において、極微細加工技術や成膜技術がナノメー
トルオーダーの分解能の領域に達していることから、ナノテクノロジーとしての発表が増加してい
る。また、ナノ材料分野においては、金属材料の組成や表面性状の改質・加工技術やその観察・分
析技術についての発表が増加している。金属(微粒子・ナノロッド)
、CNT などの作成や応用に関
1
する技術について、件数こそ向上しているが伸び率には鈍化が見られる。具体的な利用を目的とし
た金属材料は現在でかなり絞り込まれてきており、単体や合金として新材料の開発が少ないこと、
また用途に対応した原料の製造方法など技術面が成熟しており、新方式の開発等が少ないことが原
因と考えられる。しかしサイズ均一性の制御など技術的にまだ完全とはいえず、これらの打開によ
る展開は期待される。一方でセラミック系ナノ材料は伸びており、上記の技術が金属や炭素などの
単純材料から BN ナノホーンなど複雑な構造組成、複合材料へと適用されたのではないかと考えら
れる。フラーレンについては発表件数が大きく落ちており、金属内包フラーレンなど研究は進めら
れているものの、カーボン系の多くは CNT へとシフトした結果であろう。
IT 分野については光デバイス関連の件数は増加していると見られるが、電子デバイス材料の進展
が鈍くなっている。本調査の分類では、量子ドットレーザや光スイッチング素子といった研究が光
デバイスに分類されており、光デバイスではすでに数十ナノメートルの加工精度に達した半導体技
術の応用による量子ドットやナノ構造体デバイスの作製が進められているのに対して、電子デバイ
スではより精度の高い加工が求められるため、ナノ構造半導体を用いた単電子トランジスタや電子
波干渉デバイスなどの動作実証に留まっていることによると考えられる。しかし IT 分野は日本の関
心の高い分野であり、またこれら量子デバイスの実証試験は成果を挙げていること、さらにはスピ
ントロニクス関連という特に注目すべき材料研究が進められてきており、今後とも研究が広がるも
のと期待できる。
このようにナノテクノロジー関係の発表が増加している理由として、ナノテクノロジー領域の
技術、すなわち、ナノテクノロジー基盤要素技術、ナノバイオテクノロジー、ナノ材料技術が、同
時に発展し、技術や材料の相互活用が活発に行われたことが大きな要因である。こうした相乗効果
は、各機関の予算、人材等の研究資源のナノテクノロジー研究への重点化、政府の研究開発予算
の増加及びナノテクノロジー研究への重点化、大学等の研究機関内における改組等が良い効果を
生んだと考えられよう。
このような現状に鑑み、ナノテクノロジーという分野の今後を展望するために、ナノテクノロ
ジーの研究動向を些細にまとめておく必要性については異論ないであろう。本報告が、我が国の
ナノテクノロジー発展の一助となれば幸いである。
(春山哲也、塙
2
隆夫)
Ⅱ. 調査報告書の構成
前章で述べた通り、本報告書はナノテクノロジー研究領域の中で、日本の「得意技術」とその先
にある「産業技術(応用)
」を浮かび上がらせることを目的としている。技術方途を明確にするため、
各ナノテクノロジー研究を応用の方向性により分類した。すなわち、下記の5つの方向性(領域)
に分類し、まとめてある。
1.基盤要素技術:ナノテクノロジーがナノ構造により発現される現象や機能などに基づいている
ため、ナノ構造の創成・計測・評価・制御を行う技術はナノテクノロジー研究の基盤となる。
これらは必ずしも産業応用へ直結するものではないが、その基礎研究・基礎開発の必須技術で
あるため、基盤要素技術としてまとめた。
2.ライフサイエンス・医療:ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合領域技術がナノバイ
オテクノロジーである。ここでは、設計されたナノ構造体による生体親和性あるいは触媒活性
などの機能を有する人工材料や、ナノ構造の界面で形成する人工組織シート、あるいはナノ粒
子によるドラッグデリバリーなど、ヒトの健康等に非常に関係深い方向性を持った研究成果を
まとめた。
3.情報通信技術:増え続ける情報通信量に対応するために IT 機器の性能を支えている集積回路
は微細集積化が尚一層進んでいる。これらは、大きくナノ電子デバイス及びナノ光デバイスに
分類できる。そこで、ナノ電子デバイスとしては、単一電子デバイス、分子デバイス、原子ス
イッチ、スピンエレクトロニクスデバイス、プローブ目盛り、量子コンピュータを、ナノ光デ
バイスとしては、半導体、有機、カーボンナノチューブなどの発光素子、光メモリ、マイクロ
ナノシステムをまとめた。
4.ナノ素材:ナノ構造を制御あるいは構築することでこれまで達成することの出来なかった性能
を持つ多くのナノ素材が生み出されている。本報告書ではこれらを、ナノ構造複合材料、磁性
材料、金属ナノ粒子、金属ナノクラスターといった金属ナノ素材、無機ナノ結晶、ナノガラス、
セラミックスナノチューブ、酸化物粒子といったセラミックスナノ素材、カーボンナノチュー
ブ、フラーレン、フラーレンナノウィスカーといったカーボンナノ素材、自己修復性ポリマー、
自己修復性耐熱材料、自己修復性耐食性皮膜、ナノオーダー損傷といった自己修復材料として
まとめた。
5.ナノ素材応用:上記のナノ素材は、その用途に応じてさらに新たな機能を持つ材料として進化
している。ここでは、エネルギー材料、環境材料、安心・安全材料、日常生活材料に分類して、
ナノ素材やナノテクノロジーが、どのように応用されているかをまとめた。
(塙 隆夫、春山哲也)
Ⅲ. 調査の進め方
調査は、平成 15 年度に引き続き、対象となる研究領域の第一線研究者により構成された「ナノ
テクノロジー技術動向調査委員会」が行った。
各領域担当委員は、領域毎に含まれるナノテクノロジー研究の調査を網羅的に行った。整理され
た技術は、それぞれの技術において第一線で活躍する研究者に詳細を聞くとともに、さらに委員会
全体での相補的な調査により補完を行い、調査結果とした。
3
Ⅴ. 総 括: ナノマテリアルの研究の流れ
最後にナノマテリアルの研究開発のマクロな流れを概観したい。
材料種別の研究
図 1 に 1993 年∼2004 年のナノマ
テリアル関連の特許数、また図 2 に
論文数の年次推移を示す。材料種別
で特許数を見ると、カーボンナノチ
ューブがトップである。それに対し
て、論文数では、ナノパーティクル
とナノチューブの数が逆転していて、
ナノパーティクルが1位になってい
る。特にカーボンナノチューブの特
許が過半数を占めており、カーボン
系ナノチューブについては基礎研究
段階を過ぎて実用化研究に進展して
いると考えられる。実用化に関して
はナノパーティクルがナノチューブ
を追っている。
800
2004
600
ナノチューブ
(大部分カーボン)
2003
400
ナノ粒子
2002
2001
200
ナノファイバ
(含カーボン)
2000
ナノワイヤー
図1 ナノマテリアルの公開特許数の推移(日本)
ナノマテリアルの公開特許件数は、1998年以降増加し
ており、特にここ3年ののびが大きい。
500
2004
400
nanoparticle
2003
2002
応用分野
300
carbon
nanoparticle
2001
特許から見たカーボンナノチュー
200
2000
ブの応用分野を図 3 に示す。自動車
100
nanotube
部材やゴルフヘッドの強化部材、あ
nanowire
るいは熱伝導・電気伝導を利用した
nanofiber
部材、さらに電子放出素子や燃料電
池の水素吸着材としての特許が多い。
図2 ナノマテリアルの論文数の推移
(Wiley系検索エンジン)
特に、従来技術をナノチューブで改
研究は、2000年以降増加している。カーボンナノチュ
良する特許出願が多く、新規の応用
ーブの論文は、非カーボン系ナノチューブより数は多
いが、特許ほどの差はない。 nanoparticleの研究はカ
を目指すものは相対的に少ない。例
ーボンナノチューブの発見前から行われ、論文も多
えば、ナノチューブをメモリ素子の
い。Nanofiberは数が少ないが、カーボンファイバーを
ような微細デバイス、あるいは走査
除外しているため。
型プローブ顕微鏡の探針や近接場光
学顕微鏡の光源として利用する技術も特許化されているが、フィラーとして他のバルク素材に分散
させる利用法に比べて数は少ない。同様にナノファイバについても、用途はカーボンナノチューブ
に似ている。製造加工技術と応用技術の特許件数の比率も 1:3 で両者はほぼ類似している。
金属、半導体、超伝導系のナノマテリアルでは微細電子部品への応用が期待され、ナノデバイス
やナノマシンを視野においた配列制御に関する特許が見受けられる。現時点では、デバイスや機械
のナノサイズ化については基礎技術の開発段階にあり、多様な実用製品が開発される段階には至っ
ていない。
348
ナノパーティクル
デバイス・プローブ
55
120
2004 アメリカ
100
中国
80
2002
力学的特性
電気・熱伝導特性
担体等の利用
202
ガス吸収剤
燃料電池
84
60
日本
2000
40
20
0
ナノチューブ
電子放出素子
光電反応等の利用
154
80
2004
アメリカ
70
中国
60
50
40
2002
日本
30
図3 カーボンナノチューブの用途
2000
20
(2004年の公開特許情報より)
10
ナノチューブは、力学特性、電気伝導、熱伝導特
0
性の利用、電子放出・電界放出素子としての利用、
ガス吸着機能の利用が中心となっている。トラン
図4 ナノマテリアル論文数の国別の推移
Wiley系の検索エンジンで1995-2004年を検索。
ジスタ、メモリ素子等のデバイス微細化への応用
ナノマテリアルの研究論文は、2000年ころか
研究はまだ少ない。
ら、中国の論文数の増加が特に顕著で日本を上
回っている。
日本・米国
その他
西欧
図 5 ナノテク関連の政府予算
日本は 2000 年以降、アメリカとほぼ同額で推移。
2004 年でアメリカ:日本:西欧:他=1:1:1:1 の比率。文献:Service,R.F. (2004),
Nanotoxicology. Nanotechnology grows up. Science, 304, 1732-1734.
349
国際状況
国内外の研究状況を図 4 に示す。図のように、論文数は米国が1位であるが、2000 年から中国の
論文数が日本を越えているのが特徴である。具体的に、非カーボンナノチューブではアメリカ 61、
中国 57、日本 41 であり、ナノワイヤーではアメリカ 105、中国 103、日本 31 になっている。わが
国のナノテクノロジーは世界的に高いレベルにあるという考え方は必ずしも単純に受け入れること
はできない。
図 5 に、各国のナノテクノロジーに投入された資金を示す。昨年(2003 年)は、EC:12.5 億ドル、
米国:10.7 億ドル、日本:8.1 億ドルに対して、中国は1億ドルである。人件費と物価格差を考える
と中国は大きな投資を行っている。欧州と米国は GDP の 0.01%を投入しているのに対し、日本は
0.02%を投入している。研究者の数では、日本は米国の2分の1、中国の 10 分の1である。わが国
のナノテク研究に携わっている研究者数は決して多くないと言える。
本報告書が、第 3 次科学技術基本計画の提言のバックデーターになるものと期待している。
(田中順三)
350
発行者
独立行政法人
物 質 ・材 料 研 究 機 構
ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
〒 105-0001 東 京 都 港 区 虎 ノ 門
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3-2-2 虎 ノ 門 30 森 ビ ル 2 階
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