参考資料 公共施設の適正配置に関する基本方針 平成23年3月 西 東 京 市 目 第1章 次 基本方針の策定に当たって.......................................................................................... 1 基本方針策定に至る経緯 ................................................................................................... 1 基本方針策定の視点............................................................................................................. 2 基本方針策定の目的............................................................................................................. 2 基本方針の位置付け............................................................................................................. 3 第2章 現状の課題 ........................................................................................................................... 4 1 合併市特有の課題 ........................................................................................................ 4 2 合併後の公共施設整備状況..................................................................................... 5 3 公共施設を取り巻く社会状況の変化 ................................................................. 5 4 公共施設に係るランニングコストの現状........................................................ 8 5 財政状況の近況と展望 .............................................................................................. 9 6 大震災による影響 ........................................................................................................ 9 第3章 課題解決に向けた基本的な考え方 ....................................................................... 10 1 改修・更新需要への対応についての基本的な考え方 .............................. 10 2 量的適正化についての基本的な考え方......................................................... 10 3 質的適正化についての基本的な考え方......................................................... 11 4 維持管理コストの適正化についての基本的な考え方............................ 12 5 資金計画についての基本的な考え方 ............................................................. 13 第4章 課題解決に向けた取組方針 .................................................................................... 14 第5章 市民意見の聴取等........................................................................................................ 15 1 市民ニーズの把握 .................................................................................................... 15 2 具体案に対する市民意見の聴取 ....................................................................... 15 第6章 今後の取組みの進め方 .............................................................................................. 16 1 基本計画の策定......................................................................................................... 16 2 課題別検討組織の立ち上げ................................................................................. 16 3 行程表の作成と進行管理...................................................................................... 17 4 財政計画上の対応 .................................................................................................... 17 第1章 基本方針の策定に当たって 基本方針策定に至る経緯 本市は、平成13年の合併・新市誕生以来、これまでの10年間は、合併市だから こそ得られる合併特例債等の特例的な財政支援措置による財源を活用しながら、 「新市 建設計画」に基づく新しいまちづくりを優先して取り組んできました。 そのため、新規施設の建設や、既存施設の建替え・大規模改修の面では、これまで 多くの成果をあげることができましたが、その一方で、同じ「新市建設計画」の中で 「地域で重複する公共施設については、市域全体のバランスを考慮し統合整備」する とされていることに対しては、未だ十分には成果をあげられていません。 今後、合併に伴う財政的な支援措置の段階的な縮小、高齢化のさらなる進展に伴う 福祉関連経費の増加など、厳しい財政状況が見込まれる中で、現在の施設配置状況の ままで維持管理コストを負担し続け、さらには老朽化等に対応する改修・更新コストも 捻出していくことは、市財政にとって極めて大きな負担であり、もはや「公共施設の 適正配置」は避けて通れない課題と言わざるを得ない状況にあります。 これまでにも、合併から4年目を迎える平成16年3月に「公共施設適正配置基本 計画」を定め、これに基づく取組みによって一定の成果をあげてきてはいますが、同 計画は基本的に現在の総合計画(平成25年度まで)の範囲を念頭に置いている内容 である点や、既に同計画における想定とは異なった状況も生じている点など、内容の 見直しが必要となっています。 そこで、合併後10年の「新市建設計画」の期間を終えた今、平成26年度からの 次期総合計画への位置付けも見据えつつ、これまでの「施設白書」 (平成19年10月 策定)や「西東京市公共施設保全計画」 (平成21年3月策定)において課題整理した 内容も踏まえながら、改めて「公共施設の適正配置に関する基本方針」を定め今後の 取組みの推進を図ることとしたものです。 -基本方針1 基本方針策定の視点 この基本方針の策定に当たっては、以下の5つの視点を検討の柱と位置づけました。 (具体的な内容は、第3章「課題解決に向けた基本的な考え方」で詳述します。) 改修・更新需要への対応の視点 老朽化をはじめとする施設建物の課題について、将来を見据えた計画的対応を 基本とし、必要性・緊急性を見定めながら取組みます。 量的適正化の視点 転用による施設資源の再配分や、改修・更新時等における統廃合・複合化による 集約化を進め、市の保有土地・建物の総量抑制を図ります。 質的適正化の視点 需要に即した施設配置への見直しを行うとともに、施設建物の安全性の確保に 努め、市民ニーズや社会的ニーズに可能な限り応える設備等の整備を図ります。 維持管理コストの適正化の視点 施設の複合化やライフサイクル・コスト・マネジメントにより、施設全体の維持 管理コストの抑制を図ります。 資金計画の視点 トータルコストの抑制や財政負担の平準化を図ることに加え、施設の建替えや 新規整備に係る投資的経費の財源に、統廃合等により確保した余剰地の売却益 を充てるなど、適切な資金計画に裏打ちされた取組みとしていきます。 基本方針策定の目的 各施設の老朽化等の課題に対応しながら、市政全体を見渡した上での施設資源の再 配分や統廃合等も進めることで、需要に適応した施設配置と施設保有量の適正化との 両立を図り、効果的かつ効率的な行政サービスの提供に資することを、この基本方針 策定の目的とします。今後、この目的達成のため、この基本方針の内容に即して具体 的な対応策の検討・実施を推進していきます。 -基本方針2 基本方針の位置付け この基本方針は、次期総合計画への位置付けを見据えながら、取組みの推進を図る ために定めるものであることは既に前述したとおりであり、これを実効性あるものと するためには、より具体的な計画が必要です。 そこで、この基本方針に示す考え方を踏まえつつ、個々の施設分野について課題を 整理し、将来における需要動向等も見定めながら、施設分野ごとの見直しの方向性を まとめた全体的な「基本計画」を策定することとします。 この基本方針は、今後の「基本計画」策定において、さらには、その後の具体的な 個別事案について検討を進める際に、その検討の基本に据えるべき課題認識や、課題 解決に向けた基本的な考え方を整理したものです。 -基本方針3 第2章 1 現状の課題 合併市特有の課題 合併時の本市の公共施設は、合併前の旧田無市・旧保谷市が、それぞれの市域や市の 規模に見合った施設配置をしてきたものを引き継いだため、旧市境付近における同種 施設の重複や、現市域全体を見渡したときの配置バランスの偏り、小規模施設の多数 配置といった課題がありました。 これまでも、出張所や消防分団詰所の統廃合や住吉公民館の保谷駅前への移転など 一定の課題解決を図ってきてはいますが、依然として旧市における施設配置が基本と なっている現状があります。 また、その一方で、合併特例債を活用した新規施設の建設等により、市の保有する 土地や建物面積は増加しています。 そのため、今後、一つになった現在の市の姿や規模に見合った施設配置・施設規模・ 施設保有量への転換を図っていく必要があります。 市の保有土地・建物面積の推移 ◇合併・新市誕生以降、市の保有する土地・建物の総面積は増加傾向にあり、この 10年間で土地は約12%、建物は約14%も増えています。 土地・建物面積の年度末現在高 (千㎡) 750 375 700 350 650 325 600 300 土地面積(左目盛り) 550 建物面積(右目盛り) 275 250 500 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 ※ 各年度決算ベース。ただし、平成22年度末は見込み。 -基本方針4 2 合併後の公共施設整備状況 新市建設計画や総合計画に基づき、合併特例債を活用しながら公共施設整備(建設・ 建替え・改修等)を進めてきました。平成13年度から平成22年度までの10ヶ年度 において、合併特例債の起債(借入れ)上限額約320億円のうち、約251億円の 起債(借入れ)を予定しています。 これまでも、新規施設の建設だけではなく、既存施設の建替えや大規模改修なども 含めて整備を進めてきましたが、耐震改修や老朽化への対応が今後必要な施設がまだ 数多く存在しているのが現状です。 各年度普通建設事業費推移 (百万円) 12,000 全体事業費 10,000 施設関連事業費 8,000 6,000 4,000 2,000 0 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 ※施設関連事業費には、公園・道路・下水道管等を含まない。 3 公共施設を取り巻く社会状況の変化 市の公共施設を取り巻く社会状況は、合併からこれまでの10年間でも大きく変化 してきています。適正配置に向けた検討においては、そうしたこれまでの状況変化を 踏まえるとともに、将来の状況変化についても想定しながら、それらの要素が今後の 施設配置のあり方に与える影響を勘案していく必要があります。 各要素の具体的な内容やその影響については、今後策定する基本計画や各施設分野 における個別具体的な計画の段階で、検討を深め課題整理を進めていきますが、その 主なものについて以下に概括的に示します。 -基本方針5 人口面での変化 ◇本市の人口は、合併・新市誕生以降、当時の将来推計(平成25年度に約19万 2千人と想定)を超えて増加し続けています。この増加傾向は市全域で均等に 生じているものではなく、地域により差があることに注意が必要です。 ◇全体の傾向として高齢化が進む一方で、若年人口の流入が多く見られる地域も 存在するなど、人口構成の面でも変化が生じています。 ◇そのため、各地域に現在設置している公共施設と、各地域で今後必要とされる 公共施設とにギャップが生じていないか検証する必要があります。 人口推計と実際の人口推移 210,000 205,000 200,000 195,000 . 190,000 185,000 180,000 175,000 H13 H15 実際の人口推移 H17 H19 H21 H23 H25 平成19年度推計(中位推計値) 地域ごとの人口の増減の状況 (平成13年1月∼平成23年3月) 人口増加地域 1,000 人以上増 500∼1,000 人増 300∼500 人増 人口減少地域 300 人以上減 150∼300 人減 100∼150 人減 -基本方針6 H27 H29 H31 H33 H35 平成13年度推計(中位推計値) 人口密度の状況の推移 平成23年3月 【凡例】 平成13年1月 15,000以上 9,000∼15,000 9,000未満 (人/k㎡) 既存施設の利用状況の推移 ◇大規模マンション等の建設により若年人口が流入し子育て世帯が増えたことや 共働き世帯が増加したことなどにより、保育需要は増加してきました。同様に 今後は学童クラブを利用する児童数が増加することが見込まれます。ただし、 国の全体的な傾向としては少子化が進んでいることも考慮し、中長期的な需要 動向を見極めて適切に対応していくことが必要です。 ◇施設の中には利用率が上昇傾向にあるものと下降傾向にあるものとが混在して います。同種施設でも地域ごとに稼動状況に大きな開きのあるものも存在して おり、今後の適正配置の取組みの中で均衡を図っていく必要があります。 法令など国・都の制度変更等に伴う影響 ◇合併からこれまでの間は、特に制度変更等の影響を直接的に受けて公共施設の 配置見直しを行う必要が生じたことはありませんでした。 ◇庁舎等の執務面積については、事務の委託化等の推進によりある程度は必要な 面積が減少してきた部分もありますが、地域主権改革に伴う事務・権限の移譲に より市の業務範囲の拡大や業務量増が想定され、今後は逆に必要な面積が増大 することとなる可能性があります。 ◇小学校については、今後、35人学級化が段階的に進められる見通しとなって おり、児童数の将来推計を更新し影響予測をしながら必要な対応策を検討して いく必要があります。 -基本方針7 今後想定される市の変貌 ◇本市では、近年、大規模事業所や企業グラウンドの撤退した跡地などで大規模 マンション建設や住宅開発が相次ぎ、新しいまちが形成されている中で、公共 施設をとりまく地域バランスに変化が生じてきました。 ◇今後も、都市計画道路の整備や駅周辺のまちづくりの進捗等により市の様相も 変貌していくことから、これらに起因する環境の変化や需要の変動への対応を 想定していく必要があります。 ◇また、東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構(東大農場) におけるキャンパス整備とあわせた周辺地域のまちづくりの動向にも注視して いく必要があります。 4 公共施設に係るランニングコストの現状 施設の維持管理に要する経常的な経費(光熱水費、修繕費、清掃・警備・設備点検 などの委託料等)は、平成21年度決算では一般会計で約26億円(特別会計を含む 全体では約27億円)にのぼり、これは同年度の一般会計における歳出総額の4%を 上回る額となっています。 平成22年度以後にも新規施設を建設したことや、今後予定されている小中学校に おける空調設備の設置等を考慮すると、このままではランニングコストは増加傾向と なってしまうことが見込まれます。 施設維持管理に要する経費内訳(平成 21 年度一般会計) 項 目 年間経費 光熱水費 607 百万円 (約 24%) 1,508 百万円 (約 58%) 使用料及び賃借料 258 百万円 (約 10%) 修繕料等 142 百万円 (約 5.5%) 66 百万円 (約 2.5%) 委託料(清掃・警備・設備点検等) その他(保険料・通信運搬費等) 合 計 2,582 百万円 -基本方針8 5 財政状況の近況と展望 歳出面では、高齢化の進展に伴う福祉関連経費の増大や、生活保護受給者の増加に 伴う扶助費の増大が見込まれるほか、道路整備をはじめとしたまちづくりについても 市民ニーズは大きく、整備促進を図っていく必要があります。 歳入面では、引き続き厳しい社会経済情勢の中で市の独自財源である税収が大幅に 伸びることは想定しがたい状況にあることに加え、合併に伴う国からの財政支援措置 (合併算定替え)が、合併後10年間が経過した平成23年度から5年間で段階的に 縮減され、平成28年度には通常算定による交付となります。 この合併算定替えによる普通交付税の増加額は、平成21年度決算で約13億7千 万円にのぼっており、その縮小に見合う経常経費の縮減も図る必要があります。 さらには、地方財政制度の見直しの方向性も現時点では極めて不透明であり、注意 深くその動向を見ていく必要があります。 このように、今後も厳しい財政状況が継続するものと見込まれており、そのような 状況の中で市民サービスの維持・向上を実現し、かつ、それを持続可能なものとして いくためには、財政のスリム化を図っていく必要があります。 公共施設に関することとしては、改修・更新に要する臨時経費の財源を計画的に確保 すること、運営・維持管理要する経常経費の抑制を図っていくことが、これまで以上に 重要となってきています。 6 大震災による影響 平成23年3月11日に起きた大地震により、東北・北関東を中心に広範囲にわたり 大きな被害が生じています。これにより、今後、国からの交付金配分等の面で、本市 にも影響が生じるおそれがあり、その影響は中長期に及ぶ可能性も否定できません。 また、今回の震災被害に対する検証の結果次第では、国・都の防災計画や建築基準の 見直しが行われることも想定され、その動向も注視していく必要があります。 -基本方針9 第3章 1 課題解決に向けた基本的な考え方 改修・更新需要への対応についての基本的な考え方 施設の老朽化・劣化への対応や耐震化対応といった改修・更新需要については、既に 平成21年3月策定の「西東京市公共施設保全計画」において整理しています。 その中では、施設建物の安全性を確保するとともに突発的な機能停止による公務や サービスの中断を防ぐためには、今後の施設保全のあり方は「計画保全」とすべきで あり、それが、適切な予算措置を可能とし、また、改修・更新に要するコストの総額を 抑制する観点からも有効であるとしています。 この「計画保全」を効果的かつ効率的に行っていくには、近い将来に建替えを行う 施設、改修をして延命化を図るべき施設、廃止も含めて検討する施設を、可能な限り 早い時期に選別していく必要があります。 特に、既に劣化等の課題が顕在化している施設については、他に優先して具体的な 検討を進め、対応策を講じていく必要があります。 また、耐震化については、平成20 年 2 月に策定した「西東京市耐震改修促進計画」 において、防災上重要な公共建築物については平成27年度までに耐震化率を 100% とすることを目標としています。 その後、平成20年度に実施した耐震性能調査の結果を踏まえ、 「西東京市公共施設 保全計画」において計画的な耐震の考え方を示し、目標達成に向け具体的な取組みを 進めてきています。しかし、市民会館と中央図書館・田無公民館の2建物については、 未だ具体的な対応策が定まっていない状況にあり、今後、中長期的な施設のあり方に ついての検討を促進し、早期に結論を得ていく必要があります。 2 量的適正化についての基本的な考え方 市の公共施設全体の保有量については、平成16年3月に策定した「公共施設適正 配置基本計画」では、新規施設整備を総合計画等で明確な位置付けのあるものに限定 するという「膨張抑制」を基本スタンスとしており、 「総量抑制」にまでは踏み込んで いませんでした。また、余剰施設が生じた場合の取扱いについても、 「他用途、多目的 での利用を視野に入れ、可能な限り転用を図る」としており、 「施設を解体撤去し用地 売却」といった選択肢を明示してはいませんでした。 -基本方針10 そのため、出張所や消防団詰所の統廃合を行っても、そのことが市の保有土地・建物 量の抑制にまではつながってこなかったという実態があります。 もちろん、他の用途でのニーズがある場合には、転用が有効な選択肢であることは 言うまでもなく、それは今後も変わりありませんが、これまで、新たな用地を確保し 新たな施設建物を建設する中で、既存の用地・施設もほとんど保持し続けたため、市の 保有土地・建物量が増加傾向にあり、それに伴って施設維持管理コストも増加し続けて きたことを踏まえ、今後の対応を見直す必要があります。 今後、第2章で述べたように財政のスリム化を図っていかなければならないことを 踏まえると、やはり土地・建物も含めた保有資産のスリム化を図っていく必要があり、 これまでより踏み込んだ対応が望まれます。 そこで、今後の適正配置の取組みの中では、施設の大規模改修や建替えを実施する 際などに統廃合や複合化により施設の集約化を図るとともに、統廃合等により生じた 余剰施設・用地については、必ずしも転用を前提とはせず、売却処分も選択肢の1つに 含めて検討し、可能な限り市の保有土地・建物量の総量抑制を図ることとします。 また、上述したように一部の施設では統廃合も進んできてはいますが、依然として 旧市の市域(形状)・規模を前提にした施設がそのまま残されているものもあり、今後の 適正配置の中でも、引き続き現在の市の姿に見合った施設規模・施設配置への転換を 図っていく必要があります。 3 質的適正化についての基本的な考え方 公共施設の質については、「施設の性質(用途、設置目的)」と「施設建物の質」の 2つの側面から適正化を図っていく必要があります。 ① 施設の性質(用途、設置目的)の適正化 地域における施設需要と実際に設置されている施設とのギャップを埋め、需要に 即した施設配置に変えていくことが必要です。 例えば、施設設置から長い年月が経過する中では、地域の人口構成や地域住民の ライフスタイルの変化等により、その施設の利用者が減少する一方で、他の施設の 設置要望が高まるといったケースも想定されます。そうした場合には、施設の有効 活用の観点からも、現在の施設設置目的にとらわれず転用も検討すべきです。 -基本方針11 また、施設の全体に限らず、その一部の機能において利用率(稼働率)が低い場合 等にも、部分的転用を検討していくこととします。 さらに、利用対象を特定の目的に限定している施設で利用率(稼働率)の低いもの について、本来の施設設置目的に十分に留意しながら、他の用途での利用も柔軟に 受容することを検討するなど、施設の有効活用を図っていきます。 ② 施設建物の質の適正化 この側面では、「安全性の確保」、「施設内容の充実」「社会的ニーズへの対応」の 3つの観点からの取組みが必要と考えます。 第1の「安全性の確保」については、上記1でもふれた「公共施設保全計画」に 即した計画保全の取組み等により、公共施設利用者の安全性を最優先させた施設の 維持・補修に努めていきます。 第2の「施設内容の充実」については、「各公共施設が、その設置目的を果たし、 市民生活を豊かにする真に有意義なものとして機能するためには、その設置目的に 照らして必要な設備の充実が必要」という考えを基本とし、潜在的な市民ニーズや 利用者ニーズを踏まえた施設設備の充実に努めます。 ただし、設備の内容によっては光熱水費その他の維持管理コストを相当に要する ものもあるため、導入した場合の稼働見込みを精査するなど、費用対効果を慎重に 判断することとします。 第3の「社会的ニーズへの対応」については、主に施設の建替えや大規模改修の 際に、施設のバリアフリー化による利便性向上を図るとともに、環境負荷の低減を 図るため、高効率・省エネルギー型の設備や、太陽光発電等の自然エネルギーを活用 する設備の導入、自然採光による照明電力の節減など、環境配慮型の施設への転換 についても検討することとします。 4 維持管理コストの適正化についての基本的な考え方 施設の維持管理コストについては、既に平成17年9月策定の「西東京市地域経営 戦略プラン−第2次行財政改革大綱−」において課題として位置づけており、仕様や 契約方法の見直し等により適切な予定価格を算出することで施設維持管理費の削減に 努めてきました。今後も、こうした取組みにより適切な維持管理水準を確保しながら 経費抑制に努めていくことは大切ですが、あわせて抜本的な対応も必要です。 -基本方針12 そこで、今後の適正配置の取組みの中では、統廃合等により施設の複合化・集約化を 図ることで施設維持管理費の圧縮に努めるとともに、施設の建替えを行う場合には、 ライフサイクル・コスト・マネジメントの考え方により、施設建設に要する初期経費と ランニングコストとの合計額を総合的に勘案するほか、高効率エネルギーシステムの 導入により光熱水費の抑制を図るなど、トータルでの経費抑制に努めていきます。 また、上記1でもふれた「西東京市公共施設保全計画」にも掲げたストック・マネジ メントの考え方により「公共施設の長寿命化」と「効率的な施設整備」を図るべく、 各施設の性能水準や目標使用年数を設定した上で、定期点検・診断や予防保全の実施、 短期・長期の保全計画の策定、改修工法の最適化といった手法を整備・活用していける よう検討を進めていきます。 5 資金計画についての基本的な考え方 資金計画の面では、施設の維持管理・保全・建替えに要するトータルコストの抑制と ともに、財政負担の平準化を図ることが重要です。 財政負担の平準化という観点では、中長期的な見通しのもとで課題対応の優先順位 づけを行い計画的な改修・更新を進めていくほか、大規模施設整備事業を実施する際は 民間資力の活用(PFI 等)も一つの選択肢として検討することとします。 トータルコストの抑制という観点では、上記1で述べた計画保全や上記4で述べた 維持管理費抑制の取組みを行うほか、大規模改修や建替えにあたり国・都の補助金等を 有効に活用できるよう、制度の状況を踏まえた柔軟な対応が必要です。 また、後年度における負担の増大を見据えた財源確保に努め、基金の積立てやその 効果的な活用を図っていくことで、起債の抑制によるコスト(利子負担)の縮小と財政 負担の平準化の双方での効果を目指します。 さらに、施設の建替えや大規模改修のためには多額の投資的経費が見込まれること から、スクラップ&ビルドを行う中で生じた余剰地の売却や有効活用により、財源の 一部を確保することも重要です。施設の統廃合を行うに当たり、さらに新たな用地を 取得する必要が生じることも想定されますが、特にそのような場合には、少なくとも その財源の一部を他の用地の売却により確保することを基本とします。 -基本方針13 第4章 課題解決に向けた取組方針 前章で述べた基本的な考え方を踏まえ、今後の取組みを推進していく上での基本的な 取組方針を、次のとおり定めます。 ○耐震強度・劣化度・耐用年数から見て問題の高い施設から順次取組むこと とし、当該施設の利用状況だけでなく周辺地域の施設状況や施設需要等も 勘案して、改修(長寿命化)・建替え・廃止・転用等を判断する。 ○新たな施設需要が生じた場合は、新設対応を原則とせず、既存施設の転用 による対応も検討する。また、当該需要が恒久(長期)的なものか時限的な ものかも精査して、設置する施設のあり方を検討する。 ○大規模施設の建替えを行うこととなった場合には、周辺施設の統合も検討 するとともに、周辺地域における他の施設新設需要の有無等を十分に精査 することで、施設の複合化を推進する。 ○施設の建替えに当たっては、現地建替えが困難な場合をはじめ、必ずしも 既存用地に固執することなく、適地移転による市域内の配置バランス改善 についても検討する。 ○施設統廃合により生じた余剰地は、行政による活用に固執せず、民間への 売却により土地活用を促進し、施設の再配置や改修・建替え等の資金源を 確保することも有力な選択肢と捉え、適切な活用・処分方法を精査する。 ○長期間にわたる構想・計画期間を要することが想定される市役所庁舎問題 についての検討を具体化させ、あわせて、中央図書館・田無公民館および 市民会館のあり方についても一体的に検討を推進する。 -基本方針14 第5章 1 市民意見の聴取等 市民ニーズの把握 施設の見直しを行うに当たっては、その施設が本当に地域住民をはじめとする市民 全体の需要に即したものとなるよう、既存施設の利用者の意見だけでなく、潜在的な ニーズの把握にも努める必要があります。 そのため、各種計画の策定時に行う市民アンケート等により需要の所在を見出して いくとともに、人口等の統計データを活用して将来の需要動向の予測を行うなど、各 地域の施設需要を中長期的な視点から見極めながら、適切な施設配置を検討していく ことが望まれます。 特に、市役所庁舎問題のような全市的課題については、具体的な構想等をまとめて いく途中の段階でも、必要に応じて市民意向調査等を適宜実施することで、市全体の 合意形成に努めていくこととします。 2 具体案に対する市民意見の聴取 施設の廃止や統廃合を行う場合や、施設の見直しの内容がある程度まとまってきた 段階では、その具体案に対する市民意見の聴取を行います。 施設を新設する場合や既存施設の目的変更・多用途化(複合化)を行う場合には周辺 住民への説明会等を、また、既存施設の廃止・移転・大規模改修・内容変更等を行う場合 には利用者への説明会等を開催し、計画案の内容を丁寧に説明するとともに、意見や 要望を聴取し、周辺住民との合意形成、利用者の利便性の確保、財政的負担の3つの 要素のバランスをとりながら、適切に対応していくこととします。 また、市役所庁舎問題のような全市的課題をはじめ、特に重要な課題については、 市民意向調査やパブリックコメントといった手法により、広く市民意見の聴取をする ものとします。 -基本方針15 第6章 1 今後の取組みの進め方 基本計画の策定 この基本方針で示した考え方を、具体的な取組みに落とし込んでいくために、今後 速やかに、全体的な取組みの骨格を「公共施設の適正配置に関する基本計画」として まとめていきます。 この基本計画の内容は、この基本方針の策定に向けた検討の中で進めてきた、施設 分野ごとの課題整理、今後の見直しの方向性、検討・実施スケジュールの概要等から なるものとし、各分野の課題への対応の優先順位を整理します。 計画期間は、計画の策定時点(平成23年度)から次期総合計画の終期(平成35 年度)までとし、短期的課題・中長期的な課題の振り分けを行います。 特に、現在の総合計画の期間(平成25年度まで)を「重点取組期間」とし、早期 対応が必要な短期的課題への取組みを推進するとともに、次期総合計画に位置付ける 必要のある中長期的課題について、可能な限り具体的な方向性をまとめていきます。 なお、この基本計画策定に当たっては、まず「計画案」を議会・市民に示した上で、 パブリックコメントの実施などにより意見の聴取を行うほか、行財政改革全般の諮問 機関である西東京市行財政改革推進委員会にも報告して意見を求め、それらの意見も 踏まえながら最終的な計画決定を行うものとします。 2 課題別検討組織の立ち上げ 基本計画の策定後、個別課題の具体的検討を進めるに当たっては、庁内に課題別の 検討組織(プロジェクト・チーム。以下「PT」という。 )を立ち上げます。 ただし、既に何らかの検討組織が存在しているものについては、引き続き当該既存 組織による検討を継続することとします。 既に存在する課題別検討組織 ○公営住宅政策のあり方に関する庁内検討委員会 ○学校施設適正規模・適正配置検討委員会 -基本方針16 このPTは、全体的な検討を行う「公共施設等活用検討委員会」 (以下「検討委員会」 という。 )のもとに、基本計画に定める優先順位づけに基づいて必要な時期に順次立ち 上げていくこととし、検討委員会事務局(企画部企画政策課・総務部管財課・総務部建 築営繕課)がPT事務局を兼ねることにより全体的な整合性を担保しながら個別具体 的な検討を進めていくこととします。 ただし、既に存在する課題別検討組織については、当該検討組織の事務局から適宜 その検討状況を検討委員会事務局に報告することで足りるものとします。 PTの構成員は、主たる検討対象となる施設の所管部署のほか、周辺地域での施設 新設需要が見込まれる施策分野の所管部署、周辺地域の既存施設で複合化の検討対象 となり得る施設の所管部署の代表を含むものとし、検討を開始する段階で、まず施設 集約・複合化を検討することとします。 3 行程表の作成と進行管理 上記2により設置したPTでは、まず、検討や調査が必要な事項について議論した 上で、各年度における検討項目や取組内容を整理し、課題解決に向けた行程表を整理 していくこととします。 行程表に掲げた取組みの進捗状況については、基本的には検討委員会において進行 管理し、必要に応じて行財政改革推進本部に報告します。また、西東京市行財政改革 推進委員会にも適宜報告して意見を聴取することとします。 4 財政計画上の対応 施設整備については、相当規模の予算を必要とし、また、設計・工事に複数年度を 要する案件も多いことから、可能な限り中長期的な見通しを明らかにし、少なくとも 直近の数年間については財政計画との整合性を担保していく必要があります。 そのため、各個別案件の具体性が高まるごとに、全体の中長期的な事業費見込みを 更新して財政的に対応可能と見込めるか否かを確認するとともに、総合計画における 計画事業と同様に(またはそれに準じるかたちで)向こう3年間の事業費を財政計画 見込に織り込んでいくこととします。 -基本方針17
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