今回答申される重要文化財(美術工芸品) 〈古文書の部〉の概要 藤原 俊

今回答申される重要文化財(美術工芸品)
〈古文書の部〉の概要
ふじわらの と し な り じ ひ つ しょじょう
さ しょう べ ん ど の あ て
藤原 俊成自筆書状 〈三月六日/左 少 弁殿宛〉
【所 有 者】
【所有者住所】
【員
数】
【時
代】
【寸
法】
【概
要】
公益財団法人香雪美術館
神戸市東灘区御影郡家2-12-1
1幅
鎌倉時代
本紙 縦 30.5cm 横 67.5cm
さだいえ
ごしらかわいん
ぶんじ
本文書は、藤原俊成が子・定家の除籍を解くように後白河院に嘆願した文治
てんじょう
2年(1186)の自筆の書状である。その内容は、定家の 殿 上 での狼藉は年少
ともがら
の 輩 の遊戯のようなものであり、除籍について許してもらえるようにとりな
してほしいと、子を思う気持ちを表している。また文中にある和歌から「あし
たつの文」として著名なものである。歴史上は、もとより文化史上にも貴重な
文書であり、また俊成の筆跡の面目を伝えている。
(画像資料)藤原俊成自筆書状〈三月六日/左少弁殿宛〉
【資料】答申が行われる重要文化財の概要
1
「美術工芸品」とは
建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書、考古資料、歴史資料などの有形の文化的所産
で、我が国にとって歴史上、芸術上、学術上価値の高いものを総称して有形文化財と呼んでいる。こ
のうち、建造物以外のものを総称して「美術工芸品」と呼んでいる。
2
指定・登録・選択の流れ
○有識者で構成する文化審議会の「専門調査会」における専門的な調査検討を受け、文化審議会が
文部科学大臣に答申し、国宝・重要文化財の指定を行っている。
文部科学大臣(文化庁長官)
諮問
(調査依頼)
文化審議会
( 報
専門調査会
告 )
答申
文部科学大臣(文化庁長官)
↓
指定
官報告示・通知
3
統計資料
〈全国〉国指定の重要文化財
※(
)内は国宝で内数
今回の新指定数
現在の指定数
累
計
国宝
重要文化財
10,612(874)
4
46
絵画
2,002(159)
1
8
2,010(160)
彫刻
2,692(130)
1
10
2,699(131)
工芸品
2,447(252)
1
5
2,452(253)
書跡・典籍・古文書
2,662(284)
1
8
2,669(285)
美術工芸品
10,654(878)
(内訳)
考古資料
618(
46)
0
8
626(
46)
歴史資料
191(
3)
0
7
198(
3)
〈兵庫県〉国指定の重要文化財
※(
)内は国宝で内数
現在の指定数
今回の新指定数
累
計
国宝
重要文化財
363(9)
0
1
364(9)
絵画
101(2)
0
0
101(2)
彫刻
106(1)
0
0
106(1)
工芸品
66(2)
0
0
66(2)
書跡・典籍・古文書
42(3)
0
1
43(3)
考古資料
47(1)
0
0
47(1)
0
0
美術工芸品
(内訳)
歴史資料
1
1
4 用語解説
○藤原俊成(ふじわらのとしなり)
平安末期・鎌倉初期の歌人・歌学者。定家の父。後白河院の命により「千載和歌集」を撰進。歌
論「古来風体抄」、家集「長秋詠藻」などのほか、書の名筆を多く遺す。
○左少弁殿(さしょうべんどの)
左少弁殿は、ここでは、藤原定長(ふじわらのさだなが)のこと。
左少弁は、弁官の一つ。弁官とは、律令制において、太政官(中央の最高行政機関)を構成する
機構の一つ。太政官とその管轄下の諸官司・諸国とを結んでその行政指揮運営の実際をつかさどっ
た。左弁官・右弁官に分かれ、それぞれ大中少の弁があった。
○藤原定家(ふじわらのさだいえ)
平安末期・鎌倉初期の歌人・歌学者。俊成の子。「新古今和歌集」(共撰)、「新勅撰和歌集」
を撰した。歌論書「近代秀歌」「毎月抄」、撰集「小倉百人一首」、日記「明月記」、家集「拾遺
愚草」など。その書は「定家流」と呼ばれ、尊重された。
○殿上(てんじょう)
清涼殿の殿上の間。
○輩(ともがら)
連中。仲間。やから。