教科書の特長を生かして授業を計画する

[特集]新しい TOTAL ENGLISH をこう使う
教科書の特長を生かして授業を計画する
雨宮 真一
東京学芸大学附属国際中等教育学校 はじめに
私たち英語教師のゴールは単純だ。
「生徒に英語力をつける」こと。しかし,
た生徒を主体的な学習者にするのだ。
(1)学習前に
Chapter を始める 1 時間目は,扉下方にあ
そのために私たちが授業でやるべきことは決
る「…これらのテーマを通して次のことを学
して単純ではない。この複雑で膨大なことを
びます」を見ながら,学習予定の言語材料が,
可能にするためには,ぜひとも教科書の助け
どの Lesson のどのページにあるかを確認さ
が必要だ。では教科書はどうあるべきなのか。
せることから始めてみよう。このスキャニン
教科書も単純だがこの難しい問題を問い続け
グを,なるべく速く該当ページを探すレース
ている。まず生徒にとって無理のないステッ
形式にすると 5 分程度の楽しい活動になる。
プアップを図ること。そして何より英語を楽
この作業を通して,学習予定の内容に意欲・
しく勉強できること。それを実現するため教
関心を持たせ,今後の学習への心の準備をさ
科書はどのようにして私たち教師をサポート
せたい。該当箇所を探したら答え合わせをし
できるだろうか。
て,ページ番号を扉にメモしておく。このよ
今回 TOTAL ENGLISH は新しくなった。本
稿では新しい TOTAL ENGLISH が生徒と教
師へのより良いサポートのために工夫した次
の 7 つの特長を授業実践例とともに紹介する。
1.Chapter 扉で見通しを共有
2.無理のない小・中接続を意識した導入
3.コミュニケーションを意識した言語活動
4.バランスのとれた言語活動の充実
5.繰り返しの指導で確かな定着
6.Chapter Project で表現力の向上
7.Reading に「読む」以上を求める
うにしていつでも簡単に確認できるようにし
ておこう。
(2)学習中に
各 Lesson で目標文を学習したら,そのつ
ど扉に戻ってチェックマークをつけたり,マ
ルで囲って印をつけるように指導する。扉に
印が少しずつ増えていくことで学習の積み重
ねを意識させることができる。扉ページを見
ながら,目標文を言わせたり,簡単な文を
作ってみることで授業のまとめとして使うこ
1.Chapter 扉で見通しを共有
新しい TOTAL ENGLISH では,1 年間の学
習は 4 つの Chapter から構成されている。そ
ともできる。
(3)学習後に
扉 を 復 習 と し て も 使 用 し よ う。 授 業 の
してそれぞれの Chapter は,学習するテーマ
warm-up やまとめの時間を使って,時々扉に
や言語材料が一覧できる
記載された内容の目標文を表現できるかどう
扉のページから始まる。
かを確認し,必要に応じて復習する。
この Chapter 扉を,今ま
【扉ページ例 2 年 p.33】
では教師だけが持ってい
た学習の見通しを,生徒
Chapter 2
・「〜だろう」と予測したり,「〜するつもりだ」と意
志を表したりする表現
と共有するために役立て
・「〜してもよいですか」と許可を求めるときの表現
たい。この扉が,今まで
・「〜しなければならない」などの表現 他
受け身で授業を受けてき
ま た, 各 Chapter の 内 容 を 参 考 に, ポ ス
8
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ターを作成して教室に掲示しておいてはどう
だろう。ポスターの内容は教科書の目標文ど
おりでもいいし,生徒の力量に合わせて,ま
た応用しやすいように下の例のように工夫し
てもよいだろう。授業では学習したところま
学 1 年の 4 月から 7 月までの目標文である。
夏休み前までは,小学校外国語活動で慣れ親
しんできた 1 人称と 2 人称のみで構成され,
小学校では未習の 3 人称は「教科としての英
語」への接続が軌道に乗った後,Chapter 2
で毎回ポスターの内容を口頭で確認する。挙
で夏休み以降に扱うようになっている。
手 し て 目 標 文 を 言 え た ら 着 席 で き る,sit-
【1 年生 夏休み前までの目標文はすべて 1・2 人称】
down ゲームもできる。言う英文を少しずつ
変えるルールにすれば,楽しみながら応用力
を身に付けられる。このようにして生徒は自
然と重要表現を繰り返し確認することができ
る。Chapter の終わりには,ポスターの内容
をそのまま確認テストに使用してもよい。確
認テストの問題は何週間も教室に貼り出され
Lesson 1 I like.… Do you play…? I don’t play….
Lesson 2 I have a/an…. I have two dogs.
Action!
How many…? What do you…?
Stand up. / Don’t run.
Lesson 3 I’m…. Are you…? I’m not….
(2)L・S から R・W へ無理のない接続
ま た, 小・ 中 の 接 続 期 に は Listening と
Speaking を中心に小学校の復習を行う。そし
ており,授業で何度も確認できているはずだ
て Chapter 1 に入ると,小学校では口頭で慣
から,どの生徒も自信を持って解答すること
れ親しんできた表現を,今度は文字を使って
ができるだろう。
Reading・Writing に無理なくつなげられるよ
【扉ページを応用したポスターの例】
う に な っ て い る。 下 の 表 は,Pre-lesson と
Chapter 2 英語で言えるかな?
・明日は晴れるでしょう。
・給食は 12:30 の予定です。
・トイレに行ってもいいですか。
・一生懸命勉強しなければいけません。他
また,各 Chapter 末の「Chapter Project」を
始める際,扉のすべての内容に印がついてい
箋やインデックスシールを貼って開きやすい
The Alphabet 音読
§A 目標文の導入→ p.21 Activities
p.20 新出語句導入→ §A 音読練習
ライティング(ペンマンシップ)
2 -
The Alphabet 音読
§A 目標文の復習→ Check It Out ①
活動 More Words pp.138-139
p.20 語句練習→ §A 音読練習
ライティング(ペンマンシップ)
3 -
The Alphabet 音読
§A 音読練習
§B 目標文の導入→ p.23 Activities
p.22 新出語句導入→ §AB 音読練習
ライティング(ペンマンシップ)
4 -
The Alphabet 音読→身の回りの英語音読
§AB 目標文の復習→ Check It Out ①
活動 More Words pp.138-139
pp.20-22 語句練習→ §AB 音読練習
ライティング(ペンマンシップ)
5
-
The Alphabet 音読→身の回りの英語音読
§AB 音読練習
§C 目標文の導入→ p.25 Activities
p.24 新出語句導入→ §ABC 音読練習
ライティング(ペンマンシップ)
Chapter 扉で学習内容をチェック
第
工夫をさせるとよいだろう。
1
-
時
教科書で最も頻繁に開くページとしたい。付
動をバランスよく設定できるよう心がけた。
【1 年 Lesson 1 授業案例】
時
認」「復習」と様々に使うことができるため,
ため,毎時間会話での活動と,文字を書く活
第
このように Chapter 扉は,「動機付け」「確
授業から,自然に「読む・書く」につなげる
時
直す作業が大切だ。
の授業案の例である。「聞く・話す」中心の
第
るかを確認して,Project で使える表現を見
Let’s Start を 終 え,Lesson 1 を 扱 う 5 月 中 旬
時
2.無理のない小・中接続を意識した導入
校で 2 年間の外国語活動を経験している。こ
の経験を生かしながら,彼らが無理を感じる
(1)夏休み前までは 1・2 人称のみで
次 の 表 は, 新 し い TOTAL ENGLISH の 中
時
うに授業を展開したい。
第
ことなく中学校の英語学習を続けていけるよ
第
4 月に中学 1 年生になる生徒は,既に小学
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[特集]新しい TOTAL ENGLISH をこう使う
第
6
時
The Alphabet 音読→身の回りの英語音読
§ABC 目標文の復習→ Check It Out ①
活動 More Words p.136
pp.20-24 語句練習→ §ABC 音読練習
ライティング(ペンマンシップ)
Lesson 1 新出語句小テスト
める際,新たな言語材料を導入するときに念
頭に置いておきたいのは,Listen → Speak →
Read → Write と い う 4 技 能 導 入 の 流 れ だ。
新しい TOTAL ENGLISH では,4 技能を意識
注① 各セクションの語句や音読は,1 時間だけでなく,
複数時間繰り返し学習する。
注② 第 6 時の新出語句小テストは,主に学習意欲を高
めるために行う。自己採点にするなどしてあまり
ストレスがかからないよう配慮する。
注③ 各時間,やらなければならない事項の計画は 40
〜 45 分間で終えられる程度とし,残りの時間は
英語の歌やゲームなど,学習意欲を高める活動に
充てる(解説にはほとんど時間をかけず,目標文
を繰り返し使用することで慣れさせる)。
注④ 宿題は,音読とライティング(ペンマンシップ)。
家庭での学習習慣をつけるためと,各作業で生ず
る個人差を埋めることを目標とする。
した活動を豊富に経験しながら,自然な順序
3.コミュニケーションを意識した言語活動
に Activities があるため,必要に応じて常に
1 年生の Lesson 1 〜 3 は,先にも述べたよ
うに 1・2 人称のみで構成されているとともに,
で目標文を導入し,定着を促すことができる
よう構成されている。
各 Lesson では,左ページが本文,右ペー
ジ が 目 標 文 を 習 得 す る た め の Activities と
なっている。まず右ページで目標文や語彙を
習得するために練習する。そして左ページで
本文の学習をするという順番で授業を進める
ことができる。どのページを開いても見開き
繰り返してコミュニケーション活動をするこ
とが可能である。
扱っている話題もスポーツや食べものなど,
生徒たちにとって身近で話しやすいテーマが
繰り返し出てくる。教科書の Activities で練
習した後は,是非巻末付録の More Words も
利用して,毎時間ペアやインタビュー活動で
本物のコミュニケーションに近い言語活動を
設定したい。下の表は,扱うテーマに関連し
た巻末付録「More Words」の対応表だ。
【1 年生のはじめはすべて生徒に身近なトピック】
Lesson 1 〜 3 テーマ
巻末付録参照ページ
-
More Words p.138
More Words p.136
More Words p.137
More Words p.137
好きなスポーツ
好きな食べもの
ペット
好きな音楽・テレビ番組
ペアやインタビューの活動にはゴールを仕
掛けるだけで,より盛り上がる活動にするこ
とができる。例えば,クラスで一番人気があ
るスポーツや好きな食べ物のランキングを作
2 年 pp.46-47
Activities(状況把握,イントネーション・強勢)
Activities(パターンプラクティス,ロールプレイ他)
目標文,本文,Review②(2~3 年)
Activities,Review①,Review②(2~3 年)
Lesson 後には Review で既習事項を総復習
することができる。特に 2 〜 3 年は Review ①
で Listening,Speaking,Writing,そして Review
②で Reading,Writing と繰り返し復習する。
ることをゴールとする,また同じカードを
ま た,Chapter ご と に Check It Out で 文 法 事
持っている人を探してグループを作ることで,
項をまとまりごとに確認する。Lesson で学
意味のある活動ができる。コミュニケーショ
習した内容を様々な技能でバランスよく刺激
ンは目的があってこそ成立するものなのだ。
することにより定着を図ることが狙いだ。
4.バランスのとれた言語活動の充実
5.繰り返しの指導で確かな定着
コミュニケーションを中心とした学習を進
言語習得には,繰り返しが欠かせない。一
10
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度学習したことも繰り返し使わないとすぐに
Check It Out ③ 1 年 p.50
忘れてしまうが,一方,繰り返し使うことで
定着した力は,その後間違うことなく自然に
コミュニケーション活動で使用することがで
き る よ う に な る。 新 し い TOTAL ENGLISH
の繰り返し復習するための工夫を見てみよう。
(1)Review ①(1 年は Review と表示)
このページは Listening,Speaking,Writing
という構成で,基礎・基本の定着に重点を置
(2)Review ②(2 〜 3 年のみ)
●
初見の読解力を育てる Reading
いている。3 年間を通して同じパターンなの
Lesson の本文は,コミュニケーション重
は,教師も生徒も,同様のリズムでスムーズ
視のため会話文で書かれていることが多いが,
に活動しやすくするためだ。各セクションの
読む量を補ったり,説明文を読む機会を増や
Activities で練習してきたことを Review でも
すために Review ②の Reading が役立つ。こ
ジも一度だけではなく,下の表のように繰り
けて同じ問題に繰り返し解答することで,生
【Review ② Reading の特長】
◆ 既習の言語材料と語句で書かれているため,未習語
句やわからない表現一つ一つに妨げられずに読める。
◆ テーマが Lesson の内容に関連しているので,予測
しながら読める。
◆ 各 Lesson 末にあり,全体として読む量が増える。
徒に自信がついて挙手も増えていく。また,
●
繰り返し確認できるが,この Review のペー
返し使うよう授業展開をするとより効果が得
られるだろう。毎回 10 分以内で何回かに分
一度誤った箇所を次回に正答するという経験
が前向きな学習者を育てていく。
【Review ページの繰り返し使用例】
回目
一度聞いて,答え合せ
Listening
1
(本格的に扱うのは 2 回目)
Speaking ノートに解答,答え合せ,ペアで音読
Writing
ノートに解答,答え合せ
2 〜 3 度聞いて,他の答えでない理由
2 Listening を口頭で確認
Speaking ノートにもう一度解答(口頭でもよい)
Writing
答え合せ(Speaking は音読)
回目
回目
3
Speaking 教科書に直接書き込み,答え合せの後
Writing
Speaking は音読
回目
4 Listening 定期テストで同じ問題を出題
Speaking
(予告ありで家庭学習を促す)
Writing
語順整序問題は,正しい語順の文を意識す
ることを通して書くことに慣れていくという
の Reading の特長は主に次の 3 点である。
表現力を育てる Writing
Review の 最 後 に あ る の が,Q/A 形 式 の
Writing 問題だ。生徒自身のことについての
質問に答えるようになっているため,Lesson
で学習した言語材料を使って,自分のことに
ついて自分の言葉で答えることにより,自由
英作文につながる表現力の基礎を育てること
ができる。答えが生徒によって異なるため,
生徒同士で見せ合うとおもしろい。
【Review ② Writing の答え合せ方法の例】
◆ 生徒同士のペアやグループで答えを確認し教えあう。
◆ 勉強になりそうな誤答例をいくつか挙げ(生徒名は
伏せる),生徒に誤りを指摘させる。
◆ 授業中,できた生徒からその場で採点し,合格した
生徒を Teaching Assistant として教室を巡回させ,
採点者を増やしていく。
(3)既習事項の繰り返し
Writing の最初のステップだ。この問題に取
教科書の本文にも繰り返しの工夫があちこ
り組む前や解説する際は,Chapter 末にある
ちに盛り込まれている。本文の表現には前の
Check It Out を参照したい。Check It Out では, Section や少し前の Lesson で学習した語彙や
その Chapter で学習した言語材料がわかりや
慣 用 表 現, 言 語 材 料 を そ の 後 の Section や
すく解説されていて,日本語との語順の違い
Lesson にできるだけ使用し,繰り返して確
も色別に分けられているため,注意するポイ
認できるようになっている。以下に例を一部
ントが一目瞭然だ。
だけ紹介しよう。生徒は教師よりよく覚えて
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[特集]新しい TOTAL ENGLISH をこう使う
いるものだ。音読をしていると,「この表現,
現活動だ。言語学習で最も楽しく,嬉しく感
あのとき出てきた。」とつぶやきが聞こえる
じることの 1 つは,学習した内容を使って,
ことがある。また,教師が意図的に前の学年
の教科書に出てきた表現を思い出させること
もできる。そういうときの「そうだった!」
語彙
→
→
→
→
with Teresa….
Chapter で input された事項が,繰り返しの
(p.40)
(p.52)
(p.90)
(p.46)
(p.34)
(p.46)
(p.61)
(p.68)
(p.82)
(p.125)
(4)Pre-lesson
会がこの Chapter Project である。
【TOTAL ENGLISH での学習過程のイメージ】
Input
Listening 目標文
本文 Reading
Listening
Reading
Speaking
Writing
Intake
Output
表現の自由度
言語材料
→
→
I’m a rock fan, too.
I’m a soccer fan.
Sounds like fun.
Sounds good.
We will arrive at 3:15.
I’ll have tea. 他
They will use English. 他
I like to talk with people.
…people try to reduce….
Her student started to work
たときだろう。
言語活動で intake され,最後に output する機
が既習事項の定着に役立つのだ。
【本文中 語彙や言語材料繰り返しの例の一部】
1 年 L3B
1 年 L4A
1 年 L7B
2 年 4A
2 年 L3A
2 年 L4A
2 年 R1
2 年 5A
2 年 6C
2 年 R3
自分が本当に言いたいことをうまく表現でき
小
Activities
Review①
Review②
大
Chapter Project / Book Project
Chapter Project では,作品やスピーチ用の
1 年生では小・中接続のために Pre-lesson や
文章が無理なくまとまってステップアップし
Lesson 1 の前には見開き 2 ページの Pre-lesson
Chapter Project を実施する際,最も注意を
Let’s Start が設置されているが,2・3年生でも
ながら書けるようになっている。
で前学年を簡単に復習できるようになってい
払うのは,表現する内容を決定することだ。
る。2 年生の Pre-lesson では,1 年生の最後
ここで焦っていい加減なアイディアにしてし
で学習した過去形を規則動詞,不規則動詞と
まっては自分の言いたいことを自由に表現す
ともに確認でき,3 年生の Pre-lesson では,2
る楽しみを奪ってしまうことになりかねない。
年生で学習した不定詞,動名詞,助動詞,接
続詞の when,that などを復習できる。
Chapter Project を始める予定の遅くとも 1 週
間前までには予告しておき,アイディアを
Pre-lesson には目標文がないので,本文の
ノートやワークシートに書き出しておくこと
語彙練習や音読練習に十分時間を注ぎ,今後
を宿題にしておけば,生徒はじっくりと考え
の Lesson の授業展開のペースを作ることが
ることができる。
できる。また,2 年生では「春休みの体験」,
【Chapter Project のプロセス例】
3 年生では「朝食について」という身近な
テーマで話しやすい。クラス替えをして間も
ない生徒同士が英語の時間にスムーズにコ
Step 1
アイディアをいくつか出してみる
Final Step
制作する・発表する
Step 2-3
アイディアを絞り,練る・整理する
ミュニケーション活動ができるよう,ペアや
また,Chapter Project を予告する際,トッ
グループ活動を毎時間取り入れて活動的な授
プバッターとして教師が実際に自身の作品を
業展開にしたい。
発表してみてはどうだろう。先生の例を見れ
6.Chapter Project で表現力の向上
ば,Chapter Project では個性を発揮することや,
どのような形が期待されているかということ
Chapter Project は,既に紹介した「4. 充実
も生徒にとってわかりやすい。先生が始めに
した言語活動」を「5. 繰り返し」て学習して
個性を出せば生徒も表現しやすくなるし,先
きた基礎的・基本的な知識・技能をさらに確
生の発表例からイメージを膨らませることも
かなものにするための,より自由度の高い表
できるのだ。
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7.Reading に「読む」以上を求める
文や Review ②に加えて,より長くまとまり
のある話が,様々な形式と興味を引くテーマ
で扱われている。Reading には次のような特
長がある。
【Reading テーマ一覧と特長】
学年
タイトル
アレン先生の 1 日
1 Braille
Who is Joey’s Favorite Girl?
形式
日常表現
説明文
物語
English for International Communication 説明文
物語
2 Red Demon and Blue Demon
Mother Teresa
伝記
Energy and the Environment
説明文
3
Fly Away Home
物語
◆
◆
◆
語数
76
132
203
293
283
353
298
554
目標文がなく,既習の言語材料が繰り返し出てくるので,力
試し・復習になる。
新出語句のうち重要度の低い語彙にはページ内に日本語の意
味が記載されていて,読む妨げにならない。
4 技能をバランスよく使う Task が用意されているので,読
みっぱなしにならない。
Reading では,できれば Lesson の本文とは
違った授業展開を試みたい。次の表は,1 年
生 Reading 2(pp.110-112)の授業展開例であ
る。 こ の 例 で は, 普 段 の Lesson の よ う に
Section ごとに読み進めるのではなく,毎時
間始めから終わりまで繰り返し通読すること
時
れている読み物教材だ。ここでは教科書の本
第
Reading は,各学年に 2 〜 3 話ずつ配置さ
4
-
テーマ展開(点字で名前を書く)
§ABC の新出語句の復習
Q What’s the letter “d” for music?
Q What is Braille?
Q How do you read Braille?
§B Task,§B 音読
パーシャル音読(§ABC)
Q「聞こえた文を探せ」
5
注① Q は一度に 1 問,口頭で出題する。1 問ごとに答えを探す
ための通読をさせる余裕をもつ。
注② Lesson はコミュニケーション活動を重視するため,音読
は全ページで行いたいが,Reading ではキーセンテンスな
ど重要な文のみを音読させるパーシャル音読を行い,「黙
読して理解」を優先させたい。
注③ Task でも Listening や Speaking など 4 技能を刺激する問
が用意されているが,余裕があれば「聞こえた文を探せ」
という活動をやってみたい。教師がすべての Section の中
から 1 文だけ CD で流し,生徒はその文を探すというも
のである。この活動でまた文章を 1 回ほとんど通読する
ことになる。
注④ この授業展開例は毎時 30-40 分で終わる。残りの時間は,
テーマに沿った活動をしてもよいし,確認したい文法事項
復習に使ってもいいだろう。歌を歌うなど,まったく違う
活動を行って気分転換をしてもよい。
上記の展開例の場合,読むことの程度の差
をあまり考えなければ,合計 18 回通読する
ことになる。学年が上がり,物語がもっと長
くなれば,通読回数を増やすための問の数も
増えていく。読むことに抵抗を感じさせずに
読ませる工夫をたくさん用意しておきたい。
また,Reading は読むことに終始しない。
を目標にした。各時間の「Q」が出されるた
ページの下方にある Task を使用しながら授
びに生徒に通読を指示する。
業を進めれば,4 技能を総合的に育成するこ
通読回数 【1 年 Reading 2 授業展開例】
テーマ導入(点字器の写真)
Q Reading に数字はいくつ出てくるか
Q 全部(§A − C)で何文あるか
Q Reading に単語 “Braille” が何回出てくるか
§A の新出語句の練習
4
§A Task,§A 音読
2
-
テーマ展開(点字を読んでみる)
§A の新出語句の復習
§B の新出語句の練習
Q 点字で示された語は全部でいくつ?
Q それらはどういう意味?
Q 点字は街の中のどこにある?
§B Task,§B 音読
パーシャル音読(§AB)
3 -
テーマ展開(点字を打ってみる)
§AB の新出語句の復習
§C の新出語句の練習
Q 点字について「へえ!」と思ったことは?
Q 大文字や数字を表すには?
5
Q 誰が点字を使うの?
§C Task,§C 音読
パーシャル音読(§ABC)
Q「聞こえた文を探せ」
第
1
-
とができるようになっている。
時
終わりに
新 し い TOTAL ENGLISH に は, 英 語 の 授
業が楽しく進められるように様々な工夫が凝
第
らされていて,教師が教科書を手に取ったそ
時
4
の日からすぐに授業で使うことができる。一
方で,生徒の顔を見ながら使い方を自由に工
夫できる余裕も残してある。教科書を見なが
ら様々な授業計画案が浮かんで授業が楽しみ
第
になってくれば,それは生徒にとってとても
時
幸せなことだ。教室で楽しく授業を受ける生
徒の笑顔は,実は始業のチャイムが鳴って,
教室に入ってくるときの教師のワクワクした
表情でもう既に約束されている。
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