DU - Wärtsilä 2ストロークエンジンの挑戦

DU - Wärtsilä
2ストロークエンジンの挑戦
2016年4⽉15⽇(⾦)
技術部低速エンジングループ
担当者 ⾜利 泰宜
Copyright © 2015 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
本日の発表内容
DU-Wärtsilä 2ストロークエンジンの挑戦
(1)電子制御エンジンの概要
(2)X-DFエンジンの紹介
(3)大型舶用2ストロークエンジンの今後
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
DU-Wärtsilä 2ストロークエンジンの挑戦
(1)電子制御エンジンの概要
(2)X-DFエンジンの紹介
(3)大型舶用2ストロークエンジンの今後
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
舶用2ストロークエンジンを取り巻く環境
NOx
(g/kWh)
15
ECA
Other
10
5
CO2
Reduction(%)
Sulfur in
FO(%)
0
4
3
出典:DNV-GL
2
ECA (Emission Control Area)
1
0
0
-10
-20
-30
-40
舶用エンジンに関するIMO規制動向
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
4
従来の機械(カム)式エンジンの限界
掃気
圧縮
燃焼
膨張
排気
Pressure →
燃料噴射
開始
排気弁閉
(圧縮開始)
<機械(カム)式エンジン>
・排気弁の開閉時期が固定.
・燃料噴射時期調整可能範囲が限定.
・低速域では燃料噴射圧を上げることができない.
→性能向上への大きな制約となっていた.
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
5
排気弁開
(排気開始)
Time→
エンジン制御システムの発展
機械式
電子制御式
(第1,2世代)
プランジャポンプをカム駆動
プランジャポンプを油圧駆動に
(噴射弁個別制御不可)
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
6
電子制御式
(第3世代)
燃料噴射弁を個別に制御
エンジン制御システムの発展
機械式
電子制御
第1世代
電子制御
第2世代
電子制御
第3世代
(1)燃料噴射
時期制御
△
○
○
○
(2)低速での
高圧燃料噴射
×
○
○
○
(3)燃料噴射量
個別制御
×
×
×
○
(4)燃料噴射時期
個別制御
×
×
×
○
(5)排気弁
開閉時期制御
×
×
○
○
(6)始動弁制御
×
○
○
○
■舶用エンジンは,電子制御技術との融合により
制御自由度が大幅に向上
■第3世代の電子制御技術を舶用2ストロークエンジンで
実現したのはWinterthur Gas & Diesel のエンジンのみ
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
7
電子制御(RT-flex) のメリット
■全負荷域でのスモークレスオペレーションの実現
■低負荷域での燃費低減
■低燃費率と低NOx排出率の両立
Bad
■常用域での最適チューニング
SFOC
(燃料消費率)
Good
個々の燃料弁の最適化制御で
低燃費と低NOxを実現
機械式(RTA)
エンジン
電子制御式
(RT-flex)エンジン
Good
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
8
NOx Emissions
Bad
機械式と電子制御式の構成部品の比較
RT-flex(電子制御式)
RTA(機械式)
■レールユニット
VEC 装置
・燃料レール
排気弁駆動装置
・サーボオイルレール
燃料ポンプ゚
・燃料噴射/排気弁制御装置
カム軸
・レールバルブ
(高速電磁弁)
逆転サーボモータ
■WECS-9520
制御装置
燃料連桿
VIT 装置
■サプライユニット
始動空気管制弁
・燃料ポンプ
カム軸付歯車
・サーボオイルポンプ
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
9
電子制御エンジンの実績
<機種別初号機就航の歴史>
2001年
RT-flex58T-B
2006年
RT-flex68-B
2004年
RT-flex96C
DU
2003年
RT-flex60C
DU
2006年
RT-flex84T-D
2005年
RT-flex50
DU
2009年
RT-flex82C
2013年
flex58T-D ER-3
2009年
RT-flex82T
2012年
W-X35
世界初の電子制御
大型舶用2ストロークエンジン
Copyright © 2016 DIESEL
UNITED, LTD. All Rights Reserved.
10
DU
2014年
W-X82
2014年
W-X72
電子制御エンジン(RT-flex)の進化
 サプライユニットのシンプル化
RT-flex58T-D
RT-flex58T-D V1
V型サプライユニット
 制御システムの進化
直列型
サプライユニット
2011
オリジナル
5種類あった制御用モジュールを1種類に統合.
高機能化,シンプル化を実現し,利便性を大幅に向上
燃料噴射系の進化
FAST ノズルの適用( Fuel Actuated Sacless Technology )
サックボリューム内の燃料の燃焼室への漏れを防止
 燃焼室の清浄度 向上
 燃料消費率の改善
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
RT-flex58T-D V2
11
DU-Wärtsilä 2ストロークエンジンの挑戦
(1)電子制御エンジンの概要
(2)X-DFエンジンの紹介
(3)大型舶用2ストロークエンジンの今後
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
X-DFエンジン
“2ストローク低圧デュアルフューエルエンジンコンセプト”
長所
■ガス圧力は低圧 < 16bar
•
シンプルで信頼性の高いガス供給システム
•
シンプルなガスシール
•
実績のあるコンプレッサー(ピストンタイプまたは遠
心タイプ等)の幅広い選択が可能
■予混合希薄燃焼によりIMO Tier IIIに適合:
掃気
圧縮/ガス投入
着火膨張
‘予混合希薄燃焼’
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
13
•
外部的なNOx低減装置(EGR/SCR)が不要
•
燃費率悪化が無い
•
信頼性が向上
X-DFエンジンの環境適合性
(%)
100
80
THC
60
40
20
Diesel
高圧ガス
低圧ガス
0
CO2
Equivalent
SOx
NOx
PM
(黒煙)
IMO Tier III 規制値
のほぼ1/2
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
14
低圧ガス
高圧ガス
Diesel
X-DF 技術開発の各ステップ
2010
2013
2015
コンセプト展開:
テストエンジン RT-Flex 50DF
• シミュレーション
• コンセプトと信頼性の検証
技術デモンストレーションエンジン
6X72-DF
• 基本設計
• フルスケール(6-cyl)試験
• リグおよび 1-シリンダ試験
• 性能最適化
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
• 大口径エンジンでの技術検証
• エンジンを使った試験と技術の
展開
15
X-DF 技術の市場への導入
2015
2016
2017
初号機RT-flex50DFの陸
上公式試運転と船級型式
承認試験
初号機RT-flex50DFの海上
運転(複数):
初号機W-X62/72DF:
• LNG船(複数)
• 小型LNG運搬船
• プロダクト船
以下就航が続く
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
16
2台のテストエンジン
6RT-flex50DF イタリア・トリエステでの運転時間は1000時間を越える
2013年夏に全シリンダをガス化=フルスケールガステストエンジン:
エンジン性能の開発
制御システムの開発
各種部品の信頼性試験
更なる性能改善試験
新たな機能の開発試験 (フューエルシェアリング等)
6X72DF ディーゼルユナイテッド相生工場内
本テストエンジンの設計段階から WinGDとIHI/DU との緊密な協力関係を維持
ガス貯蔵設備および供給システムはDU/IHIが計画・建造
同テストエンジンは開発決定から約1年という短期間で起動し,2015年4月には
種々のお客様にデモンストレーション運転を披露
72cmを超える大口径エンジン X82/X92へのX-DF化展開に向けて信頼性の高い
技術的基礎を提供
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
17
エンジン性能
エンジン出力
通常のディーゼルエンジンに比し,
エンジン出力は低く設定
 通常のディーゼルエンジンでは,燃料費削
減の観点からディレーティングが多く採用さ
れているために,実際のケースでは,出力
が低いことが障害となることは少ない.
一方で低圧X-DFエンジンはそのレーティン
グフィールド内では,ほぼ同じ性能を示す.
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
18
エンジン性能
メタンナンバー依存性
 MN70-90のガスが普通に入手可能であり,サービススピードの維持
には影響しない
代表的なLNG
のメタン価
Rating on R1 to R3 line
Rating on R2 to R4 line
90
80
70
60
Valid for W-XDF engines
50
60
70
80
90
Methane Number
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
19
100
一般的な運転域
Engine Power (%)
100
燃料ガスハンドリングシステム(FGHS)
コンプレッサ
コンプレッサ形式やそのメーカ選定にあたっては,広い選択が可能:
遠心方式
スクリュー方式
Cryostar
ピストン方式
Kobelco (skid solution)
Burckhardt Compression
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
20
X-DFの特長
 NOx削減装置(SCR/EGR)なしにIMO Tier Ⅲ規制値をクリア
 高圧コンプレッサやNOx削減装置等を必要とせず、
CAPEX, OPEXを抑制。
 低い圧力の天然ガスを利用し、安全性が高い。 (<16bar)
 ガスモードからディーゼルモードへ瞬時に切り替え可能。
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
21
DU-Wärtsilä 2ストロークエンジンの挑戦
(1)電子制御エンジンの概要
(2)X-DFエンジンの紹介
(3)大型舶用2ストロークエンジンの今後
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
IMO NOx TierIII規制対応
SCR(選択的触媒還元)
既に10年以上の実績あり
(NH2)2CO+H2O → 2NH3 + CO2
4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2O
6NO2 + 8NH3 → 7N2 + 12H2O
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
23
IMO NOx TierIII規制対応
SCR配置例
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
24
IMO NOx TierIII規制対応
排気再循環(EGR, Exhaust Gas Recirculation)
排気を清浄後に給気に戻す.CO2およびH2Oの熱容量が大きいことを利用し,燃
焼温度を低減させ,NOxを削減.
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
25
統合サポートプラットフォーム CMAXS LC-A
CMAXS LC-A
CMAXS LC-A
CMAXS LC-A
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
26
統合サポートプラットフォーム CMAXS LC-A
■自動トラブルシュートは,確率上位の3要
因内に約90%の確率で正解を抽出
■ご利用いただいているお客様からも高い
評価を得ております.
Copyright © 2016 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
27
まとめ
■RT-flexエンジン/W-Xエンジンは,大型舶用2ストロークエン
ジンで唯一コモンレール電子制御技術を採用しています.
■X-DFエンジンは低圧噴射式の採用により,本質的な安全に優
れ,排気後処理なしでTier3に適合できます.
■これからもディーゼルユナイテッドは,日々刻々と変化する
ニーズに,常により適切なソリューションを提供していきます.
Copyright © 2015 DIESEL UNITED, LTD. All Rights Reserved.
28
ご清聴ありがとうございました