特集 IoT社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況

<表紙の言葉>
誌名のローマ字表記である “DENKI” をメインビジ
ュアルとすることで、電機産業の発展が社会や人々
に貢献し続けた歴史を振り返るとともに、より安心
で便利な未来のために、これからもますます進化し
続けたい、
という想いを表現しています。
特集 IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況
スマートマニュファクチャリング特別委員会2015年度報告
「製造業2030」に関して
スマートマニュファクチャリング特別委員会 水上 潔
6
IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)の活動紹介
一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ 標準モデル委員会 茅野眞一郎
14
RRI(ロボット革命イニシアティブ協議会)の活動
ロボット革命イニシアティブ協議会 久保 智彰、徳山 幹夫
ハイライト
トピックス
第95回 定時総会
23
2016年度 電機工業永年功績者表彰式
25
会長交代記者会見
27
2016年度〔第65回〕電機工業技術功績者表彰
36
世界最大出力 900MVA 級
45
水素間接冷却タービン発電機の製品化
三菱電機株式会社 古賀 清訓、佐古 浩
重電部門 優秀賞の紹介
世界最高耐圧の超高耐圧素子を適用した
47
世界最小 GIS 用避雷器の開発
株式会社 東芝 春日 靖宣、深野 孝人
家電部門 優秀賞の紹介
「圧倒的省エネ性能」及び
「革新的気流制御搭載」のエアコン
49
霧ヶ峰 FZ シリーズの開発
三菱電機株式会社 手塚 元志、福井 智哉
多品種少量向けモジュラー型設計・生産システム開発
IoT ASIA 2016 参加報告
-シンガポールで開催の IoT に関するカンファレンス-
53
スマートマニュファクチャリング特別委員会 松隈 隆志
一般社団法人 日本電機工業会 高橋 一郎、市村 浩一
メキシコにおける電力改革の進展状況と
電力公社製品認証機関との意見交換
~会員企業によるメキシコ市場参入の一助として~
最優秀賞の紹介
ものづくり部門 優秀賞の紹介
19
56
インフラ・システム輸出推進検討WG 今村 正宏
アジア地区銅ダイカスト連合広州会議 出席報告 62
一般社団法人 日本電機工業会 小川 晋
ASEAN 諸国での冷蔵庫の標準化活動の取組み
64
ASEAN 基準認証制度の調和動向調査報告
68
第3回 IRHMA(家電工業会国際円卓会議)
出席報告
72
冷蔵庫省エネ普及評価WG 今田 寛訓
海外規格認証技術専門委員会 内田由紀夫
一般社団法人 日本電機工業会 田中 智、笹子 雅純
51
株式会社 日立製作所 上野 信也、青木 敏雄
2015年度 太陽光発電用パワーコンディショナの
75
出荷量動向調査報告
PVパワコン統計委員会
4 電 機 2016・June
2016
原子力発電所再稼働への取組み(インタビュー記事)
九州電力株式会社 川内原子力発電所
全国で初めて新規制基準に適合し通常運転を再開する
,
THE JAPAN ELECTRICAL MANUFACTURERS ASSOCIATION
(6 月 24 日発行)
80
PV-OMC 国内検討委員会 吉田 功
家電 EMC 技術専門委員会 前川 恭範
84
標準化活動紹介
TC22/ IEC62477-1
(パワーエレクトロニクス機器の安全)改正会議
IEC/SC22G/MT11(可変速駆動システムの安全)
タンパ会議 出席報告
可変速駆動システムIEC 対応分科会 横井 修
IEC/SC22G/MT7 エキスパート 吉岡 康哉、井上 博史
87
一般社団法人 日本電機工業会 家電部
89
IEC/TC61/MT23(住宅用機器の電子制御安全性、EMS 及び絶縁協調)
ベルリン会議 出席報告
IEC/TC61/MT23セクレタリ 柴田 和男
90
2016年度(平成28年度)第1回理事会
ネットワーク推進特別委員会 塩原 康壽
一般社団法人 日本電機工業会 高橋 一郎
92
104
フラッシュニュース
新会員紹介(正会員)
ダイヤモンド電機株式会社
日立化成株式会社
新会員紹介(賛助会員)
ハイセンスジャパン株式会社
IEC/SC65C/JWG10(工業用ケーブリング)
アーリントン会議 出席報告
103
理事会報告
IEC/SC59M(家庭用電気冷蔵・冷凍機器の性能)食品鮮度保持 WG
上海会議 出席報告
日立アプライアンス株式会社 岩渕 真也
100
家電啓発活動紹介
「2016年度 扇風機安全啓発活動」の紹介
86
IEC/SC22G/MT7
(可変速駆動システムの EMC)
ロンドン会議 出席報告
99
CISPR
(国際無線障害特別委員会)
/
SC-F(家電機器・電機工具・照明機器等)/WG1
ロンドン会議 出席報告
四国電力株式会社 伊方発電所
運転再開を目指してさらなる安全性向上に力を注ぐ
一般社団法人 日本電機工業会 原子力部
電機
IECRE(IEC 再生可能エネルギー機器規格試験認証制度)/
PV-OMC(太陽光発電システムにかかわる運営管理委員会)
済州会議 出席報告
業界報告
一般社団法人 日本電機工業会 原子力部
Vol.784
一般財団法人 省エネルギーセンター
平成28年度「省エネ大賞」募集について
106
107
108
109
IEC/SC77A/WG8(低周波電磁両立性の電磁環境)
東京会議 出席報告
家電 EMC 技術専門委員会 吉岡 康哉
95
IEC/TC116
(手持ち電動工具の安全性)WG7/WG8/WG9/WG10
サバンナ会議 出席報告
第 59/61/116 小員会 WG5 山城 直人
96
一般社団法人 日本電機工業会 委員会体系図 110
118
統計
120
編集後記
5
特集
IoT社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況
現在最も注目されている技術である IoT(モノのインターネット)は「第 4 次産業革命」とも言われ、
集積された膨大なデータを利活用することで、さらなる生産性の向上や、新たなサービスを生み出す
ことが期待されています。
今号の特集では、一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)スマートマニュファクチャリング特別委員会
が 2016 年 5 月に発行した提言書『製造業 2030』の内容や、関連団体の動向を中心に紹介すること
といたしました。
スマートマニュファクチャリング特別委員会 2015 年度報告
「製造業 2030」に関して
一般社団法人 日本電機工業会
スマートマニュファクチャリング特別委員会 委員長
水上 潔
日本では2015 年は、
「第 4 次産業革命」元年となった。
年始め、雑誌『日経ビジネス』に「第 4 次産業革命」と
◇
1.特別委員会発足の経緯、目標設定
いう名前が初めて使われ特集記事が掲載され、各工業会
本 誌『 電 機 』第 780 号(2015 年 12 月発 行 )でもご
の賀詞交換会でもこの話題が取り上げられた。民間の活
紹介したように、以前よりJEMAの下で有志が集まって
動としては「つながる工場」
「緩やかな標準」の検討を進
「システム標準化情報連絡会」という勉強会活動を行っ
める「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ
ていた。きっかけは「機能安全」
「スマートグリッド」な
(IVI)
」が法政大学の西岡先生により発足した。産官学に
どシステムとして多分野にまたがる国際標準化の活動が
て、
「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)
」が発足
活発化しており、こうした活動がどういうものかを情報
し「IoTによる製造ビジネス変革」のWGが設置されたり、
交換していた。2014 年 6 月、国際電気標準会議(IEC)
「IoT 推進コンソーシアム」が発足し製造業を含む幅広い
の上層委員会である標準管理評議会(SMB)は、ドイ
分野のIoT 化の検討が始まった。産業構造審議会に新産
ツ 提 案 の 戦 略 グ ル ープ(SG)8「Industrie 4.0-Smart
業構造部会が設置され、
「第 4 次産業革命」のインパクト
Manufacturing」
、同じく市場戦略評議会(MSB)傘下に
に対して新産業構造ビジョンを検討することになった。そ
米国提案の「Factories of the Future(FoF)
」の発足を
こで、一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)は「ス
決定し、製造業分野のシステムの標準化活動が始まった。
マートマニュファクチャリング特別委員会(SmMC)
」を
これを契機に「システム標準化情報連絡会」は、JEMA
設け「第 4 次産業革命」とは何かを議論した。この初年
会員に限定せず製造業のシステムや標準化活動にかかわ
度の活動の報告が提言書「製造業 2030 *」である。
る方々と検討できるように特別委員会とした。この委員
本稿ではこの「製造業 2030」を単に要約して紹介する
会の2016 年度の目標は「第 4 次産業革命」が進行する中
のではなく、これらをまとめる過程で得たことなどにさら
での製造業の将来像の検討とした。委員会活動は、競合
に考察を加えて記載してみることにする。よって、ぜひ提
企業が議論することになる。直近の課題解決は既にRRI
言書は別途一読していただきたい。
や IoT 推進コンソーシアムが行っており、同様の議論を
*製造業 2030
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/info/download/160527.pdf
しても仕方がないので 10 年以上先の議論をすることとし、
◇株式会社 日立製作所 産業・水業務統括本部 企画本部 渉外部
6 電 機 2016・June
スマートマニュファクチャリング特別委員会 2015 年度報告「製造業 2030」に関して
比較的競争領域とはならないとの考えから、ターゲットを
設備機器に内蔵するインテリジェンシーもはるかに向上する。
2つ目は「人工知能」である。2012 年に深層学習と呼
2030 年の将来像と置いた。
2.将来像への大きなインパクトは
情報通信技術
ばれる技術が実用化し、2015 年だけでみてもその技術
進化は目まぐるしいものである。たぶん、この1 年だけで、
従来想定の未来技術が 10 年ぐらい早まったという意見も
ある。図1に人工知能と産業へのインパクトを示す。
「第 4 次産業革命」=「IoT 化」ととらえ、IoTを広く
ビッグデータ分析や人工知能化までを含ませた上で、そ
3つ目は「仮想化技術」である。注目を浴びた「クラ
の背景となる情報通信技術の主な動向として、以下の3
ウド」が 2008 年ごろより普及し始めるが、その後も進化
つに注目してみる。
を遂げている。今、スマートフォンの処理がどこでどうな
1つ目は「ムーアの法則」と呼ばれる集積度の向上によ
されているか利用者は知る由もない。米国 Amazon 社は、
る処理性能のさらなる向上である。2030 年には例えば現
プロ野球リーグ MLBの試合を実況中継中に分析し、視
在の1000 倍程度となる。集積度が向上すれば小型化も
聴者に放送している。その情報量の単位は「ペタ」とも
加速する。この恩恵にはプロセッサのみならず、記憶素子、
言われる。既にこうした世の中に変化している。図2は
センサー素子、通信など多分野に渡る。組込みと呼ばれる
ネットワーク仮想化の普及展開の予測を示す。
出典「新産業構造ビジョン」~第 4 次産業革命をリードする日本の戦略~産業構造審議会 中間整理
図 1 人工知能(深層学習)の発展と産業へのインパクト
出典 CIAJ 技術ナビゲーション 2014 より
図 2 ネットワーク仮想化普及展開の予測
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 7
現在自動車には多くのICが搭載されているが、設備機
ようになった。ソフトのパッケージ化はワークステーショ
械などもいずれそうなる。これらがネットワーク機器上の
ンといわれるころから加速化し、製造業分野でも、ERP、
IC やクラウドなどと集中化、分散化を繰り返しながら仮
MES、SCM、CRM、CAD、CAEなど3 文字パッケージ
想化が進化すると思われる。
が 1980 年代から普及し、さらに、オブジェクト化の流れ
これら情報通信技術と比較すると、製造業を支える機
がシステムの全体アーキテクチャーを整備し、ISA95な
械、電気の技術の進化は小さいと言わざるを得ない。つ
どに代表される考え方が提示されるようになった。また
まり、
「第 4 次産業革命」とは、このとてつもない進化速
Linuxなどオープンソースソフト(OSS)が登場し、今や
度の情報通信技術が産業界に及ぼす影響といえる。では
一企業では対応不可能な規模のソフトが開発されている。
この技術がこれまでどんな影響を与えてきたのだろう。電
これらの動向が、
「もの」と「こと」をインターネットで
子計算機が発明され、半導体ができ、
「ムーアの法則」な
つなげ製造業を変えるとすると、情報システムのみなら
る経験則がいわれるようになると、計算機そのものがどん
ず、製造業が生産する製品も、製造業という組織自身を
どん姿を変え、それに伴い、主力企業が代わった。IBM、
も変える。技術である「アーキテクチャー化」
「モジュー
DEC、Apollo、Appleなどが代表者であろう。
ル化」
「ソフト化」は社会経済を変え、
「製造の民主化」
次に、インターネットや Webがこの世界を大きく変え
を推し進めることが想定される。今回の「第 4 次産業革
た。Google、Amazon、Twitter、Facebookなどが 現 在
命」が、機械や電気の技術者に理解しづらいのは、こう
の代表者だ。しかし、これらは社会をも変えてきている。
した情報社会学といわれる分野のとらえ方に戸惑うから
一言でいえば「情報の民主化」かもしれない。パソコン、
だろう。機械・電気の技術はこれまで製品を作る技術と
スマートフォンという個人ツールとインターネットがその
して存在していた。ただし、過去の産業革命を振り返る
根源となっており、SNSなどにより「アラブの春」など社
と欧米や日本では、機械・電気の技術が農業から工業
会革命も引き起こした。Uberなどシェアリングエコノミー
化、都市化を引き起こし、資本主義や民主主義を形作っ
もこの流れかもしれない。
た。そして今、その波は新興国に広く及ぼうとしている最
では、将来、製造業はどうなるのであろう。パソコンを
中といっても過言ではない。一方で同時並行してこの第 4
例にとると、Intel、Microsoftによるモジュール化が大き
次産業革命が進行している。図3で ITとオートメーショ
な影響を与えた。極論すれば、パソコンは誰でも作れる
ンの融合を示す。
出典 http://iot-analytics.com/industrial-internet-disrupt-smart-factory/
図 3 IT とオートメーション(機械・電気)の融合
8 電 機 2016・June
スマートマニュファクチャリング特別委員会 2015 年度報告「製造業 2030」に関して
3.製造業の将来像 -FBM
起きているオープンソースソフトなどのような形態も同様
にハードウエアで起きている。シェアエコノミー化-金融
SmMCでは、製造業の将来像を「Flexible Business
面ではFintechと呼ばれる仕組みもメーカーズムーブメ
and Manufacturing(FBM)
」という概念でとらえるこ
ントを加速する。一方で、新興国の製造業で今起きてい
とにした。図4「2030 年の将来像とトレンド」はFBM
るもう1つの現象は、巨大な工場化である。日本の数倍、
を中心に置き、それに影響するトレンドを周りに並べた。
数十倍の規模の工場が生まれている。
1980 年代、日本では製造に関して「大量生産」から「多
SmMCではこれらの共通点は何かを考えた。例えば、
品種少量、変種変量、1 個流し、整流化」といった生産
スマートグリッドのシステムを検討する中で、発電、送
変革が起き、
「メカトロニクス」
「FMS-Flexible Manu-
電、配電、需要という電気のプロセスの中の個々の機能
facturing System」
「IMS-Intelligent Manufacturing
は、自由化の進む米国であろうと、従来これらをすべて
System」などの概念ができた。今回、製造業のビジネス
賄う日本の方式であろうと変わらない。むしろ、日本なら
そのものも変わると考え「FBM」とした。
社内ですべての組織がコミュニケーションして電力事業
では、これはそもそもどういう概念であろうか。2008
をするのと同様に、自由化している多数の企業としての企
年ごろから米国中心に3Dプリンターなどによるデジタル
業のみならず家庭ですらネットワークでつながりコミュニ
ファブリケーション、パーソナルファブリケーション、メー
ケーションできれば、同じように効率的に運用できると考
カーズムーブメントと呼ばれる活動が始まる。製造業は
えスマートグリッドが 2008 年ごろから議論された。同様
従来製造設備という資金のかかる部分が存在し、これら
に製造業が持つ機能は、パーソナルファブリケーションと
は第 1 次産業革命の工業化に端を発し製造業を形成して
呼ばれるネットワーク型組織であろうと、巨大な工場であ
きた。しかし、今や設備をシェアしたり、デスクトップ
ろうと変わらない。情報通信技術が発達すれば、モジュー
化して個人でも製造が可能な時代に突入した。ちょうど、
ル化やオブジェクト化が進み、これらはネットワーク(イ
ソフトの世界で個人のアイデアがビジネスになるようにも
ンターネットなど)でつながって機能し、活動できるよ
のづくりでもビジネスになり、今ではシリコンバレーなど
うになっている。そして、この構造でフレキシビリティを
でも、ものづくりのスタートアップ企業が従来の投資の百
発揮できるように活動すると考えたのが「FBM」である。
分の一で立ち上がるようになった。また、ソフトの世界で
FBMの要件や目的を整理したのが図5「トレンドと将来
図 4 2030 年の将来像とトレンド
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 9
像」である(なお例えば、Industrie4.0ではマスカスタマイ
設け、SQDC(安全・品質・納期・コスト)について3ム
ズは言われているが、FBMでいうフレキシビリティは扱われ
(ムリ・ムダ・ムラ)を製造の3 現主義(現場・現物・現
実)で PDCAを回す KAIZENを世界に発信した。トヨタ
ていない)
。
生産方式はカンバン方式、多能工、自働化など多くの方
巷の議論では製造業が多様であるが故に、こうした単
法を生み出した。1980 年代に欧米はこれを分析し、リー
純に「つながる」ことに懐疑的な意見も多い。製造過程で
ン生産方式と名付けた。これらは、自動車の組立だけ
考えると、大手企業が得意とする組立と、中小企業が多
にとどまらず、広く製造業のさまざまな分野で応用され
い加工・成型と、石油精製・石油化学などのマスの連続
てきた。3 現が IoTなら、製造業の機能モジュール(安
プロセスと、高機能素材などに代表されるバッチプロセス
全・品質・在庫・納期・コスト管理など)に対して共通
とでは、材料と中間品と製品というものの流れは全く違う。 の概念は工程を単位とした4Mなのかもしれない。図6は
極論ではあるが、組立は多数の部品で 1つの製品を作る。
KAIZENの基本要素 4M×SQDC・3ムでのPDCAを示す。
加工で言えば、1つの素材で 1つを作る。連続プロセスは
1つもしくは複数の素材を混ぜたり分離したりして複数を
作るが、環境の影響もあり、1+1=2というような単純な
ものではなく、原油などその素材の成分も変化する。バッ
チプロセスは連続部分が釜などと称したバッチになり、成
型や組立のような工程も加わることによりさらに多様である。
その他、仕込み型の量産と受注型一品料理、強大な機械
と半導体のような大きさ、価格の差異など多様な要素が製
造業としてビジネスを可能にする運用を複雑化している。
日本はトヨタ生産方式を編み出し、4M(人、機械、材
料、製法)を基本として、生産現場で作業などの標準を
出典 http://www.slideshare.net/EngineerTariq/kaizen-bcic 今井正明氏の図を参考に作成
図 6 KAIZEN の基本要素 4M×SQDC・3 ムでの PDCA
図 5 トレンドと将来像(目的・要件)
10 電 機 2016・June
スマートマニュファクチャリング特別委員会 2015 年度報告「製造業 2030」に関して
4.FBM の構成要素とモジュール化
FBMの構成要素の例を図7「バリューチェーンにおけ
いない。近年は製造業向けのパッケージとしてERP(経
理、調達、人事など)や生産計画、さらにはMES(製
造実行システム)で工程管理などが行われてきているが、
最近は、欧米ではMOM(製造運用管理)と称する、製
る主な機能とFBM」に示す。
造・品質・在庫・メンテナンス(アセット)管理などから
サプライヤ
商品開発
エンジニア
リング
品質保証
なるパッケージ群での見直しが進められている。しかし、
トップダウン型の欧米方式とは別に、ボトムアップ型の日
生産
販売
企画
ユーザ
保守
Flexible Business and Manufacturing Platform
図 7 バリューチェーンにおける主な機能と FBM
ものづくりは、以下の3つのバリューチェーンの機能と
本企業は、今後グローバル進出も含め、本来どうモジュー
ル化をしていくべきかが問われ岐路に立っている。グロー
バルな議論に参加しつつ自らモジュール化を考えて主張
していかないとならない。
5.FBM を支える仕組み
-プラットフォーム
管理からなる。
① オーダーに合わせ材料を調達し、加工・成型、組立
モジュール化された機能間で、データを共有活用でき、
などにより製造、検査後に出荷し、流通・物流を経て
かつ、オープンイノベーションに対応したエコシステムを
ユーザに届くサプライチェーン
形成し迅速に組織再編しながら、持続的に事業を推進す
② 企画・開発・試作などを経て生産につなげていくエン
ジニアリングチェーン
③ 製造を支える工場やその生産設備自体を企画・計画し
て、建設・設置、試運転、稼動、保守など
るための仕組みをプラットフォームとした。SmMCでは、
このプラットフォームに対する重要な要件や機能について、
コーディネータ、オープンイノベーション、ビッグデー
タ活用、FBM 構築基盤技術、標準化(国際のみならず、
企業内の標準までもを含む)
、金融・保険新技術、品質・
これに対して経営者は経理・財務の観点で、BS/PL や
セキュリティを取り上げた。
ROE、ROA、ROI、CFなどに着目して経営していく。さ
プラットフォームについて情報システムの観点で考えて
らに最近におけるグローバルな製造業の先進企業は、ユー
みる。米国では、製造業に留まらず多方面のIoT 化につ
ザ価値基準でサービス事業化し従来の製造活動のムダを
いてIndustrial Internet Consortium(IIC)などで活発
なくし、より迅速に効率的に進めるために、業務のアウト
に推進されている。その中で、図8のような新たなアーキ
ソーシング化はもちろん、外部の知恵をオープンイノベー
テクチャモデルが提示された。
ションとして活用するエコシステム化や、そのガバナンス
が競われるようになってきている。
日本の企業の現実は、絶えず組織再編は行うが、縦割
りの中で間接部門をはじめ、さまざまな場でバラバラに
APPソフトや表計算が開発され使われ、データの二重三
重の入力などの無駄や、ミス入力によるロスが発生して
いるように見える。
IoT 化を機に、いかに組織や機能をモジュール化し、
組織再編にも柔軟に対応できるようにモジュールの間で
データを共有し活用するかが問われている。これを目指
すものが FBMである。
モジュール化のあり方はJEMAではまだ議論ができて
出典 http://blog.iiconsortium.org/2015/10/the-main-themes-of-industrial-internet-part-iiglobal-optimization.html
図 8 IIC アーキテクチャモデル
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 11
このモデルでは次世代製造業の機能がどうモジュール
6.今後に向けて
化されているかはわからないが、ビッグデータ分析など
ではOSS 化、モジュール化が進んでいる。一方 AIの分
SmMCは2015 年 7 月から計 7回開催され、トレンドと
野でも図9「AI 企業相関図」に示すように機能別に示さ
将来像についてはアドホックグループを形成し、さらに数
れている。こうした動向をしっかりと理解していく必要が
回議論した。また、JEMA 事務局も議論に参加いただき、
ある。
検討途中のものではあるが、FBMのプラットフォームに
関して図10「今後の課題案」を作成した。こうした課題
を今後各方面の方々とよく協議していきたい。2016 年度
の活動予定を以下に記す。
① 2015 年度残件対応
1)ロードマップ、中期アクションプランの作成
2)JEMAおよび各工業会連携での活動の具体化
3)オープンイノベーション、デザイン指向、金融など
製造業周辺連携、レガシー問題などの深堀り
② SmMCの活動 PRとPRを通しての深堀り
1)JEMA 他におけるイベントでのPR
2)各委員の会社、各工業会との対話
出典 https://www.dri.co.jp/auto/report/venturescanner/vsai.html
3)海外(外資系や ZVEI 他)との対話
図 9 AI 企業相関図(ベンチャースキャナー社)
4)アンケートや事例見学会
③ 全体俯瞰力の強化
プラットフォームを組織論からみるとエコシステム運営
機能ととらえられるが、OSS、IIC、Industrie4.0プラット
フォーム(PFI4)などで実践的活動から学ぶ必要がある。
なお、JEMAとして何をすべきで何が可能かなど、従
各工業会や SmMCもプラットフォームではあるが、集合
来にない工業会自体の活動の変革も必要となっているよ
知活用やエコ(生態系)化という面は未発達かもしれない。
うに感じる。機械・強電・家電・制御・情報通信・半導
No.
16
バリューチェーン
コーディネーター
FBM の基盤
◆顧客とメーカーの
マッチング
17 ◆メーカー同士の
マッチング
◆ビジネスの継続
18
サプライヤ
企画
19
商品開発
ユーザ
生産
販売
エンジニア
リング
品質保証
保守
Flexible Business and Manufacturing Platform
協調領域
機 能
工業会等の領域
・スマートマニュファクチャリングに必要な
コーディネーターの実現検討 ★
・電機製品(モーター・電力など)の共通
ビッグデータ
データの検討 ★
活用
・設備の知能化,自動学習 ★
機能をつなげる ・IVI のプラットフォーム委員会への参画
技術
・モジュール化戦略の協調領域の検討 ★
標準化
21
金融・保険
22
品質・
セキュリティ
・IoT 推進ラボのマッチング
・他社との協業による技術開発
・研究機関の研究
テーマに OSS 取込み
・自社技術と外部導入技術の戦略的設計
・AI 技術の製品化
・政府によるビッグデータ
活用システムの調達
・自社のコア製品のビッグデータ収集
方法の開発
・プラットフォーム検討
・複数社によるフレキシブルな SCM導入
・スマート工場の実証など
・ICT による電機製品の付加価値アップ
・IEC(Industrie 4.0-Smart
・標準化機関の取りまとめ者の育成
manufacturinng)標準化活動への参画 ★ (コンビナなど)
・国際標準化推進力向上のための人材育成 ★ ・標準化注力分野の厳選と戦略立案
-
・制御システムセキュリティ先進事例情報の
収集 ★
・品質確保方式の検討
-
・OSS 研究開発
・新規技術分野の保険料率査定の実証
-
注:★は、今後特に JEMA での検討が望まれる事項
図 10 今後の課題案(FBM プラットフォーム)
12 電 機 2016・June
各企業
・公共系ビッグデータの活用
・各社得意の製造分野の情報収集、利用方法の
・インターネットインフラへの投資
検討 ★
・OSS の活用のための事例・活動の収集
オープン
・各種コンソーシアムのと協調作業 ★
イノベーション
・海外団体との連携 ★
20
競走領域
( I VI を含む)学・官
・標準化による自社製品のグローバル
マーケティング
-
・セキュリティ技術の製品化
・第 3 者品質評価の検討
スマートマニュファクチャリング特別委員会 2015 年度報告「製造業 2030」に関して
体などを全体俯瞰して、システムのあるべき姿の検討が
ことは大変良かった。しかし、ものが行き渡り経済が成
求められている。別の軸で見れば、経営・研究開発・設
熟し、一方で急速な少子高齢化と人口減少が進み、多
計・生産技術などといった軸、さらには、政治・経済・
くの社会的課題を抱える中で第 4 次産業革命が進行する。
社会といった社会的課題の軸、法制度や人材育成に至る
技術進歩やビジネス構造変革が加速化している中、人口
までの幅広い視点が求められている気がする。日本全体
ボーナスによる経済成長が期待できない以上、欧米のよ
としても高度成長期に個々の業界の成長を目的に作った
うに、より戦略的に戦後同様の活気ある創業期を作り出
縦割りの工業会に対して、複数分野にまたがっている分
さなければならない。
野の課題をどう協調し、また自律的に対応するのかが大
SmMCに参加いただいたメンバーはこうした現状を共
きな課題であるが、今から動き出せば将来の日本のため
有できたからこそ活発な議論ができたと思う。メンバー
になると信ずる。最後に技術面で図11に私案ではあるが、 各位は技術系が多く、真面目で実直な方々ばかりであ
FBM やプラットフォームを実現していくための検討すべ
る。こうした方々に代表される日本人気質(勤勉など)が、
き課題案を示す。
次の日本を支えるとすれば必ずや道が開けると信ずる。
最後に、講演いただいた多数の方や議論いただいた委
7.最後に
員各位他、幹事メンバーや JEMA 事務局や幹部の方々
のご協力により提言書が発行できたことを深く感謝申し
日本は戦後の高度成長期に第 3 次産業革命を過ごせた
上げる。
図 11 FBM(プラットフォーム含め)具現化の課題案(私案)
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 13
IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)の
活動紹介
一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ
標準モデル委員会 委員長
茅 野 眞一郎
1.はじめに
◇
2.IVI とは
昨今、IoTの発達とともに、工場のIoT 化、つまりス
IVIは、ものづくりとITが融合した新しい社会をデザ
マートマニュファクチャリングへの対応が重要となって
インし、あるべき方向に向かわせるための活動において、
きている。海 外 では、ドイツのIndustrie4.0 や 米 国の
参加するそれぞれの企業の現場が、その立場でイニシア
Industry Internet Cousotium(IIC)などが有名であり
チブをとるためのフォーラムである。IoT や自動化技術、
先行して活動している。主な海外での活動を表 1に示す。
ネットワーク技術など、高度で先端的な要素技術が時代
一方、国内でも遅ればせながら、ロボット革命イニシア
を大きく変えようとしているが、ものづくりとIoTを並べ
ティブ協議会(RRI)や IoT 推進コンソーシアムが立ち上
て議論すると、どうしても自動化や無人化の話題が先行
がり、日本におけるスマートマニュファクチャリングへの
する傾向にある。しかし、人がものづくり現場の中心とな
対応を模索しつつある。このような動きは、法律や金融、
ることによってのみ、自動化を先導し、故障予知などの新
教育など幅広い分野に関係していることもあり、国の趨勢
たなアプリケーションの開発や改良を行っていくことが可
を担うという点で政府主導の活動が多い。主な国内での
能となる。このように、人が中心となったものづくりを目
活動を表 2に示す。その中で、インダストリアル・バリュー
指すことによって、モノと情報を介した人と人とのかかわ
チェーン・イニシアティブ(IVI)は、日本のスマートマニュ
り方、作る人と使う人との関係性を、あらためて問い直し、
ファクチャリング関連活動の一角を支えるために活動して
バリューが世界の隅々に行きわたるしくみを作り、広める
いる、産業界主導の数少ないコンソーシアムである。本稿
ことを目指すのが IVIである。
では、2015 年度の活動を中心にIVIに関してご紹介する。
表 1 スマートマニュファクチャリングにかかわる海外の活動
国
名 称
概要・目的
参加企業・組織
ドイツ
Industrie 4.0
IoT や自動化技術で工場内外のモノやサービスと連携し、 BITOKOM、VDMA、BMWi、主要企業:シーメンス、
新たな価値/ビジネスモデルの創出を狙う次世代製造業
SAP、ABB、ダイムラー、ボッシュ、BMW 等
のコンセプト
〈2013 年 4 月~〉
米 国
Digital Manufacturing
& Design Innovation
Institute(DMDII)
最先端のデジタル技術を応用することにより、製造時間
とコストの削減、米国のサプライチェーン能力の強化を
実施
英 国
Catapult – High
Value Manufacturing
英国が強みを有する 7 ~ 9 分野において世界をリード
する技術・イノベーションの拠点を構築
中 国
中国製造 2025
ネットワーク化、デジタル化、知能化等技術により、
工業化と情報化を高度に融合させる等で、製造大国から 〈2015 年~〉
製造強国になる
米 国
Industrial Internet
Consortium(IIC)
技術検討と実証実験を通じて機器と IT 連携システムの
業界標準確立を目指す業界団体。日系企業も参画
(14 企業/団体、2016 年 2 月現在)
注:〈 〉は活動開始時期
◇三菱電機株式会社 FA システム事業本部 e-F@ctory 戦略プロジェクトグループ
14 電 機 2016・June
設立パートナー:GE、P&G、ロッキード・マーティン、
シーメンス、ボーイング、マイクロソフト他
〈2014 年 2 月~〉
管理・運営:Innovate UK、これまで 1,500 社の
企業が参画 〈2011 年 11 月~〉
AT&T、CISCO、IBM、Intel、GE(米)が主導
参加 243 社(2016 年 2 月現在)〈2014 年 3 月~〉
IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)の活動紹介
IVIは、一般社団法人 日本機械学会生産システム部
あったため、IVIは、
「つながる工場」のコンセプトを継
門の「つながる工場」研究分科会(2014 年 9 月に設立、
続的に発展させる体制として発足した。さらに、2016 年
2016 年 2 月終了)をベースとしている。この研究会は、
6 月には法人格となり、活動のさらなる活性化を目指す。
2014 年 5 月に開催された「生産システムに関するプロセ
IVIの2015 年度の体制を図1に示す。2016 年 3 月25
スイノベーションのための意見交換会」のアウトプットで
日時点におけるメンバーは、正会員 89 社(うち中小企業
ある「日本的な『つながる工場』実現へ向けた製造プロ
28 社)
、サポート会員 37 社、学術会員 15 名、賛助会員 7
セスイノベーションの提言(2014 年 6 月2日)
」の提言を
団体となっている。なお、IVIは現場を重視するため、自
実現するために設立された。同年 7 月に開催された講演
社内に生産現場を持つ企業が正会員となる資格を有して
会「わが国の成長戦略とモノづくりイノベーション」を経
いる。また、一般にIoTで中心となるIT 系などのソフト
て、9 月に正式に発足した。同研究会は2 年間の時限で
ウェア企業は、サポート会員として参加している。
表 2 スマートマニュファクチャリングにかかわる国内の活動
名 称
主催・主導
概要・目的
主要参加企業・幹事会社等
ロボット革命
イニシアティブ
協議会(RRI)
一般社団法人 日本機械
工業連合会(JMF)
ロボット創出力の抜本的強化、ロボット利活用推進、IoT 時
代の世界でのイニシアティブの発揮。WG1 がスマートマニ
ュファクチャリング系(2015 年 7 月 15 日~)
WG1:日立製作所、三菱電機、他。
RRI 全会員数 300 超
〈2015 年 5 月 15 日~〉
インダストリアル・
バリューチェーン・
イニシアティブ(IVI)
法政大学、一般社団法人
日本機械学会(JSME)
協調領域を共有することで、各企業がつながるしくみを
構築し、価値が相互に高まることを目指す。
2016 年 6 月に一般社団法人化
幹事会社;日立製作所、三菱電機、
他全 18 社 会員数約 150
〈2015 年 6 月 18 日~〉
Industrie 4.0 の本丸である IEC/SMB/SG8 日本ミラーを
技術的にバックアップする有識者集団
アズビル、横河電機、日立製作所、
オムロン、三菱電機、他
〈2014 年 10 月 20 日~〉
IEC/TC65-JNC/SG8
戦略検討グループ
一般社団法人
日本電気計測器工業会
(JEMIMA)
スマート
マニュファクチャリング
特別委員会
一般社団法人 日本電機
工業会(JEMA)
製造業の将来像を描くことにより、今後の生産システムの
方向性を含む事業全体に必要な要件を探る
幹事会社:日立製作所、オムロン、
安川電機、三菱電機 全 30 名
〈2015 年 8 月 4 日~〉
IoT 推進コンソーシアム
総務省・経済産業省
IoT 推 進 に 関 す る 技 術 の 開 発・ 実 証 や、 新 た な ビ ジ ネ ス
モデルの創出を推進するための体制を構築する
会員数約 2000
〈2015 年 10 月 23 日~〉
注 1:〈 〉は活動開始時期
注 2:その他のプロジェクト(産業界のプロジェクト)
・e-F@ctory Alliance:三菱電機株式会社が主導、国内外約 300 社参画
出典:IVI 全体会議資料(2016 年 4 月 20 日)
図 1 2015 年度の IVI の体制
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 15
そのため、活動の中心として「ビジネス連携委員会」を
3.2015 年度の活動
設置し、その下に位置する20の「業務シナリオWG」に
2015 年度はIVIの初年度であり、機械学会の学究的な
おいて、ユースケースの検討を行った。そのWG 構成を
活動から、産業界の活動への展開を図る年であった。学
表 4に示す。会員の大多数は、このWGのいずれかに属
究の活動では、既存のシステムの再認識や解析などに主
している。ここでは、現状の現場(AS-IS)のモデル化や、
眼を置いた活動を行ってきた。一方、産業界の活動とし
その抱える課題を解決するための本来あるべき姿(TO-
ては、新たな方式の考案、そしてその実証などを行う必
BE)のモデルを導き出した。その一例を図2に示す。
要があった。そのため、IVIでは内部に4つの委員会を設
また、多くのWGにおいて、実証試験が実施された。
置し、ユースケース作成および実証実験や、標準モデル
実証試験のレベルはWGに任せられており、机上から実
づくり、広報等の幅広い活動を行っている。2015 年度の
験装置、さらに実際の生産ラインを使用しての実験まで、
委員会概要を表 3に示す。
さまざまなレベルで実施された。なお、この作業には多
大な作業が発生するため、その軽減を目指して「インフ
3.1 業務シナリオ(ユースケース)と実証試験
IVIでは、ユースケースをベースに、人を交えたスマー
トマニュファクチャリングを理想として活動を行っている。
ラ支援委員会」が組織された。これにより、
「業務シナリ
オWG」では、IVI内外からの機材やソフトウェア類の調
達を容易に行える体制となっている。
表 3 IVI の委員会概要
No.
委員会名(WG 名)
概 要
1
ビジネス連携委員会
(業務シナリオ WG)
業務シナリオの開発を促進し、それらの活動を通してメンバー企業が相互に連携した
実際のビジネスケースを実証実験として具体化することを支援する。委員は、各業務
シナリオ WG のファシリテータ(リーダー)によって構成されている。
2
標準モデル委員会
(ゆるやかな標準 WG)
業務シナリオを具現化する際に参照可能な活動や情報やモノなどを定義することによ
り、ゆるやかな標準の策定を推進し、ライブラリとして提供する。活動/情報/モノ
コト/データに関する WG が、それぞれのモデルを策定する。
3
インフラ支援委員会
データ通信のためのインフラの要件を整理し、メンバー企業間での実証実験を前提と
して、オープンな環境の中で調達できるための環境を整備する。
4
パブリシティ委員会
IVI のさまざまな活動を対外的に発信する上での方針や具体策などを検討するととも
に、外部の団体との情報共有のためのコンテンツや仕組みづくりを推進する。特に、
海外への情報発信のための窓口や、国内中小企業への普及活動を実行する。
出典:IVI 全体会議資料(2016 年 4 月 20 日)
表 4 IVI の業務シナリオ WG 構成(2015 年度)
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
業務シナリオ名
遠隔地の工場の操業監視
設備ライフサイクルマネジメント
現物データによる生産ラインの動的管理
設備連携によるリアルタイムな保全管理
リアルタイムな設備データと保全管理
保全データのクラウド共有と PDCA
MES による自動化ライン間の統合
企業を超えて連携する自律型 MES
想定外の状況に対応可能な MES
実績データによる製造知識の獲得
データ連携による品質保証
ロボットを活用した中小企業の生産システム
生産技術&生産管理のシームレス連携
設計&製造 BOM 連携とトレサビ管理
人と設備の共働工場における働き方の標準化
中小企業を中心とするつながる町工場
サイバーフィジカルな生産&物流連携
国内外企業間の生産情報連携による変動への対応
遠隔地の B2B アフターサービス
ユーザ直結のマス・カスタマイゼーション
メンバー
ダイフク、NEC、他 11 社
矢崎総業、他 7 社
横河電機、パナソニック他 11 社
オムロン、他 14 社
オークマ、他 12 社
NEC、他 7 社
神戸製鋼所、他 15 社
小島プレス工業、他 9 社
デンソー、他 10 社
日立製作所、他 5 社
キヤノン、他 7 社
安川電機、他 9 社
川崎重工、他 9 社
豊田中央研究所、他 10 社
トヨタ自動車、他 6 社
今野製作所、他 9 社
東芝、他 4 社
富士通、他 4 社
ニコン、他 12 社
マツダ、他 8 社
シナリオ種
101
105
106-1
106-2a
106-2b
106-3
108-1
108-2
108-3
109
201
204
207
208
211
306
309
310
402
403
※ シナリオ種はデータ形式の共通化部の分類を示す 1xx:設備間、2xx:工程間、3xx:工場間、4xx:利用者間
出典:ISA 日本支部 テクニカルフォーラム(2016 年 2 月 19 日)
「Industrial Value Chain Initiative の活動状況」
16 電 機 2016・June
IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)の活動紹介
の開催や、海外のスマートマニュファクチャリング関連コ
3.2 標準モデル
並行して、今後のユースケース作成を効率良く行える
ンソーシアムとの連携をとるなどの作業を行う。シンポジ
よう、モデルの標準化も行った。その作業の中心は、
「標
ウムは、昨春のIVI 設立時、秋の中間報告時、今春の成
準モデル委員会」とそれに属する4つの「ゆるやかな標
果発表と3回開催され、立ち見が出るほどの盛況さを博
準化 WG」である。これらのWGでは、
「業務シナリオ
した。また、海外連携では、Industrie4.0の開発の中心で
WG」の作成したモデルをベースに、さまざまなシナリオ
あるドイツのアカテックやフラウンホーファー研究所との
で共通に使うことができるモデルを抽出し、標準モデルと
連携の方向を探るなど、2016 年度以降の海外連携活動の
して辞書化(ライブラリ化)を行った。なお、このような
下準備を行った。
作業が可能となったのは、
「業務シナリオWG」のモデリ
ング方法が統一されていたためである。IVIのモデリング
3.4 アウトプットの公開
これら2015 年度の活動成果は、2016 年 3 月(春)の
概要を図3に示す。
シンポジウムにて発表された。さらに、2016 年 6 月には、
「業務シナリオ解説書」
「IVI 連携の手引き~『ゆるやかな
3.3 広報活動
さらに、IVIの活動を広く広報するために、
「パブリシ
標準』を活用したシステム構築入門~」および「IVIホワ
ティ委員会」を設置した。この委員会は、シンポジウム
イトペーパー『つながる工場』
(日本語、英語)
」が印刷
出典:IVI 業務シナリオ関連資料(2016 年 5 月 12 日)
図 2 IVI の業務シナリオ例
出典:IVI 全体会議資料(2016 年 4 月 20 日)
図 3 IVI のモデル概要
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 17
物またはPDFデータとして一般公開される。これら2015
にIndustrie4.0 や IIC 等も視野に入れて活動を行う予定で
年度のアウトプットの概要を表 5に示す。
ある。
一方、活動の足腰を強化するという観点から、任意団
4.2016 年度活動予定
体から一般財団法人へ体制を変更する。法人化によって
社会的な責務は重くなるが、活動の成果を高め、さらに
2016 年度はIVIの活動 2 年目として、昨年からの活動
展開するための下地を固められると考えている。例えば、
をさらに深化させるとともに、新たな活動として、IVIの
IVIとしての契約等ができるため、海外のスマートマニュ
手法を容易に実現可能な環境の構築と、海外や国内へ広
ファクチャリング関連コンソーシアムとの連携を円滑に進
く浸透・展開させるための活動を企画している。この中
めることが可能となるというメリットが望める。
には、昨年度の活動内容の継続と新規に実施する事業が
含まれる。以下、主な計画に関して説明する。
5.今 後
「ビジネス連携委員会」では、新たな業務シナリオを立
案してその内容を対象に「業務シナリオWG」を再構成し、
IVIは、まだ走り始めたばかりの団体である。また、完
7 月から活動を開始する予定である。また、
「標準モデル
全に民間発の形態をとっていることから、行政からのバッ
委員会」での標準モデルの開発を引き続き実施し、今年
クアップもない。しかし、そのぶん身軽であり、昨今の変
度の2 巡目の「業務シナリオWG」の知見を取り入れて、
化の激しい状況の中で、フレキシブルに活動することが
年度末に結果を公開する。さらに、実証実験のサポート
可能である。この点が、日本の他の団体が持たない利点
を目的に、
「インフラ支援委員会」をより発展させる事業
となっており、その点を最大限に活用することにより、日
として、新規に「プラットフォーム委員会」を設置する。
本のスマートマニュファクチャリングの発展に寄与しよう
これにより、類似するシナリオ(カテゴリ)ごとに、実証
と考えている。
実験で必要となる環境を提供する。
また、広報活動としては、シンポジウムなどのイベント
を引き続き実施するとともに、これまで参加できなかった
地方の企業にもIVIを展開するための施策を打つ。さら
に、海外との連携に関しては、昨年度の下準備をベース
〈引用文献〉
・G-TeC 報告書 主要国における次世代製造技術の研究開発に係る政策動向
CRDS-FY2014-CR-02, 独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略セン
ター(2015)
・IVI- ウェブサイト URL:http://www.iv-i.org/
表 5 2015 年度アウトプット概要
No.
アウトプット名称
概 要
1
業務シナリオ解説書
各業務シナリオを通しで解説し、それぞれの特徴と、技術的な優位性を示す。読み物
として、IoT で工場がどのように変わるか、そのためにどのような技術が用いられて
いるかを理解できるようにする。
2
IVI ゆるやかな標準
~連携用リファレンス
モデル~
実際に、2015 年度の WG および実証実験で利用された活動、情報、物事、そして
データについて、それらを一覧でき、さらにはそれぞれの詳細に構造についても参照
できる辞書を提供する(準備中、公開時期未定)。
3
IVI 連携の手引き
~
「ゆるやかな標準」を活用
したシステム構築入門~
ゆるやかな標準の具体的で技術的な側面を、一般の工場の担当者でもわかるように解
説する。ゆるやかな標準の教科書的なものとして、その手法を普及させるための位置
付けである。
4
IVI ホワイトペーパー
「つながる工場」
ゆるやかな標準のコンセプトおよびその具体的な実現例によって、IVI のアプローチ
を分かりやすく解説するとともに、海外の動向との比較なども行いながら総括する。
英語版も同時に作成し、対海外にも情報発信を行う。
出典:IVI 全体会議資料(2016 年 4 月 20 日)
18 電 機 2016・June
RRI(ロボット革命イニシアティブ協議会)の活動
RRI(ロボット革命イニシアティブ協議会)の活動
ロボット革命イニシアティブ協議会
事務局長 久
次長 徳
1.はじめに
保 智彰
山 幹夫
2.活動領域
IoT(Internet of Things)により、製造ビジネスが大
きく変わりつつある。
IoTの活用により期待される効果、またそれを実現す
るための課題は、製造ビジネスに限ってみても多岐に渡
日本再興戦略の一環として策定された「ロボット新戦
る。そこで本 WGでは活動を始めるにあたり、その活動
略」
(日本経済再生本部、2015 年 2 月10日決定)は、デ
領域、目指すべき2030 年に想定される日本の製造業のあ
ジタル技術およびネットワーク技術のメリットを活かしつ
り方、それに伴う産業界共通の課題などについて参加者
つ高度なセンサーや人工知能等を駆使して作業を行うシ
の議論により「中間とりまとめ」として発表した*1。その
ステムを、新たな「ロボット」の概念として位置付けてい
結果、活動領域は以下の3つと定めた。
る。この広義のロボットの開発・普及を通じてわが国が
直面する社会的課題の解決に資するとともに、わが国が
2.1 業務の変革
ロボットイノベーション拠点として、また製造分野におけ
本協議会の活動が対象とする一つ目の領域は、製造ビ
るIoT(もしくはIT)をはじめとする世界的な技術と産業
ジネスにかかわるすべての業務に渡る変革である。製品
の変革の潮流において、先導的な役割を果たすべく総合
を開発し、それを市場に送り出すまでのプロセスは、研
的に取り組むことを求めている。この期待を受け、2015
究開発から始まり、製品開発、製品設計、製造準備(製
年 5 月に発足した「ロボット革命イニシアティブ協議会」
造工程手順、品質管理手順、治工具、製造設備、製造
は、広範囲な産業にわたる企業、事業者団体、および学
ラインなどを含む)を経て製造、出荷に至る。また製造
会、研究機関等が参加し、政府関係省庁と連携しつつ、
ビジネスのプロセスはそこで終わらず、出荷、据え付け、
取り組むべき課題および課題解決のための行動を共有し、
運転、保守、廃棄までを含む。これらの一連のプロセス
IoT時代に適合したロボット新戦略の推進を横断的に図
は、それぞれを担当する部門により実施され、そのために
ることを目的として活動を開始した。本協議会では現在
各業務単位の “カイゼン” や最適化は行えるが、業務単
3つのワーキンググループ(WG)を設置している。本稿
位を超えた全体の最適化を行うことは極めて困難である
では、そのうちのIoTによる製造ビジネス変革をテーマと
ことを多くの人が経験されているであろう。この各業務単
したWGについて紹介する。
位が必要な情報を介してつながることにより、業務全体
図 1 業務の変革の対象
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 19
のコスト感度分析が行え、それにより、全体業務の最適
ている。例えばユーザに納めた製品の保守や運転支援
化が可能となる。
などの新たなサービス、ハードの販売ではなくサービ
また、製造ビジネスの業務の流れは、上述した製品ラ
ス(例えばハードの使用)に対する課金もその一例で
イフサイクルの観点のほか、原材料や部品の調達、作業
ある。これらの価値は、ユーザにとっては新しいエク
外注などの業務単位がある。これらをエンジニアリング
スペリエンス(体験)であると言える。これらの新しい
チェーン、サプライチェーンの2つの軸に整理したもの
価値を生み出すためには、ハードウエアからデータを
を図1の左側に示す。一方、製造の管理という視点では、
吸い上げる手段、そのデータから有用な情報を抽出す
製造にかかわる機器の制御から製造実行、製造計画から
るビッグデータ解析や人工知能技術、またこれらの技
経営に至るまで、さまざまな業務のレイヤーが存在する
術を組み合わせて価値を生む場を事業者に提供するプ
(図1の右側)
。これら図1で示したすべてが本活動の対
ラットフォームなどが必要となる。IoTによりもたらされる、
このような新たな価値を生み出す行為、すなわち価値の
象である。
なお、IoT 活用の効果としては、上で述べた最適化領
変革も、本活動の対象とする(図3)
。
域の「広がり」だけではなく、
「深み」の方向にもIoTの
効用が期待できる。センシング技術や人工知能などデー
タ分析技術との組み合わせとなるが、今まで収集できな
かったデータを活用することにより加工の品質や生産性の
レベルを大幅に引き上げることも、本活動の対象とする。
2.2 企業同士のかかわり方の変革
IoT(もしくはIT)の活用は、企業同士のかかわり方を
変革する可能性も持っている。すなわち、従来の販売/
図 3 価値の変革
購入という関係や、共同開発といった関係から、オープ
ンイノベーションという形態を取り込み、最終顧客や異
業種企業とも双方向のネットワークでつながり、共生する
3.取り組むべき課題
エコシステムが、IoTにより生み出される可能性を秘めて
いる。このような、企業同士のかかわり方の変革も、本
活動の対象とする(図2)
。
中間取りまとめでは、上述で結論付けた活動領域に対
して、以下のような課題をこの協議会で取り組むべきもの
として抽出した。
① 製造プロセスの標準化と企業内外との連携
製造プロセスの全体最適の達成や、オープンイノ
ベーションによる新サービスの創出等を可能にする、
企業内外をまたいだ仕組みを構築する。
具体例としては、
図 2 企業同士のかかわり方の変革
・産業機械の通信インターフェースなどの共通化
・業務連携のための管理モデル
・業務連携システムの導入プロセスの標準策定
2.3 価値の変革
・サプライチェーン連携
IoTは上で述べた製造ビジネスを実行するプロセス
・その他、構造的もしくは社会的課題を解決するため
の変革にとどまらず、これまでの商品やサービスとは異
に、製造業などの複数の企業がアクセス可能なデー
なる新しい価値を生み出すというポテンシャルも持っ
タプラットフォームの構築、などが挙げられる。
20 電 機 2016・June
RRI(ロボット革命イニシアティブ協議会)の活動
② 標準化・セキュリティ
「スマートマニュファクチャリング標準化対応タスク
フォース」
(経済産業省)における検討状況、業種横
断的なIoTセキュリティガイドラインの策定状況(IoT
創出し、産業界全体に発信・共有する。その他必要な
制度・規制等の改革についても検討する。
4.テーマごとの議論の掘り下げ
推進コンソーシアム*2)を随時聴取し、情報共有を図
りつつ、これらの検討と連携し、必要な対策の充実・
強化を図る。
上述により整理した活動領域と取組むべき課題に基づ
き、現在はより具体的なテーマを設定して議論を掘り下
げるフェーズに移っている。ここでは例として工作機械を
③中小企業が IoTを活用するための基礎インフラの整備
大企業と中小企業との間などで生じうるIoT 活用環
核とする加工プロセスの生産性向上を検討した事例*3 を
紹介する。
境の差を解消するため、必要な環境やツールの洗い出
工作機械ユーザが加工プロセスの生産性を向上する上
しとその整備を行う。例えば、専門知識がなくても簡
で、機械から取得できる情報を活用することは非常に有
単・気軽に IoTを試せる環境の構築などが挙げられる。
効である。これを活用した「スマートマニュファクチャ
リング」の導入、実践によって、生産現場における全体
④わが国製造業の強みの維持・強化
わが国製造業の強みについて、さらに具体的に分析
最適化が実現できる。そのため、工作機械メーカは、機
械の提供のみならず、機械から取得される情報を活かし、
し、IoT時代においても、これを引き続き活かす仕組み
生産性向上に寄与する「マニュファクチャリングサービス
を構築していく。例えば、熟練技能の形式知化を行う
プロバイダー」を目指すことが、新しいビジネスモデルの
とともに、それらをものづくりソリューションとして提
獲得につながるはずである、というのが本テーマの出発
供していくための具体的な検討などを行う。
点である。議論を行うにあたり、同分野のIoT 化によって
効率化が期待される、遠隔保守、予防保全などの情報モ
⑤ 実証とモデルケースの共有等
デル化を行った。またこれらのモデルに基づいて工作機
上記の個別の取組みにおいて、必要に応じ実証実験
械の状態遷移を定義し、さらにそれに基づいて工作機械
を行う。その際、単独の工場内で高度な生産プロセス
内部のブロック定義図と情報インターフェースを整理した
を構築するもののみならず、例えば上述の通り、工場
(図4)
。また、サービス展開のための情報セキュリティや
間・企業間をまたがってサプライチェーンを効率化さ
アクセスコントロールに関するガイドラインをまとめ、さ
せるものや、中小企業が IoTを活用しやすい環境整備
らに通信においてインターフェースを共通化すべきデータ
のための取組みなどを幅広く含むことを想定する。こ
項目をリストアップした。今後は共通化の実現手法につ
れに加え、企業における事例を通して、製造業におけ
いて検討していく。
る今後のIoT 活用のモデルケースとなる取組みを発掘・
図 4 遠隔保守の情報モデル(左)と工作機械のブロック定義と情報インターフェース(右)
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 21
5.ドイツにおけるインダストリー 4.0
との連携
現在世界中から注目を集めている、ドイツが官民一体
6.おわりに
本協議会におけるIoT 活用推進への取組みは、2016 年
7 月で WG 発足後 1 年を迎える。今後は、テーマごとの
となって進めているインダストリー 4.0は、本協議会とし
議論の掘り下げのアイテムを増やし、課題の整理のほか、
ても最大の関心事の一つであり、設立当初からコミュニ
適用シナリオの創出およびその実証を図る。また同時に中
ケーションの確立を図ってきた。2016 年 2 月にはドイツ
間取りまとめで整理した課題への取組みのロードマップを
政府および民間側の推進団体であるPlattform Industrie
作成し、体系的な議論を進めてゆきたい。本協議会の会
4.0 他を招き、国際シンポジウムを東京で開催し、両国
員数は、設立当初の226から現在までコンスタントに増
においてセキュリティ、標準化、中小企業支援などIoT
加を続け、5 月11日現在でちょうど400に到達している。
活用推進における多くの共通課題が存在することを確認
入会は常時受け付けているので、本協議会に入会いただ
した。また4 月28日には日独政府間で IoT /インダスト
き、日本の産業競争力をロボット・IoTにより高めるシナ
リー 4.0 協力に係る共同声明が署名され*4、同日これに基
リオ作りへ参加いただければ幸いである。
づくPlattform Industrie 4.0 事務局−ロボット革命イニシ
アティブ協議会事務局間でも協力に係る共同声明を発出
*5
した(図5)
。ここでは、産業サイバーセキュリティ、国
際標準化、規制改革、中小企業支援、人材育成、研究開
発の項目について連携を行うことを定めた。この手段とし
て、WGなどへの相互参加、ワークショップなどによる活
動成果の共有などを具体的に進めていく。
<引用文献>
* 1 IoT による製造ビジネス変革 WG:“中間とりまとめ”、ロボット革命イニ
シ ア ティブ 協 議 会、2015、https://www.jmfrri.gr.jp/content/files/WG01/
report/chuukann-report.pdf
* 2 IoT 推進コンソーシアム HP、http://www.iotac.jp/
* 3 IoT による製造ビジネス変革 WG:“産業機械サブ幹事会 活動成果”、
ロボット革 命 イニシ アティブ 協 議 会、2016、https://www.jmfrri.gr.jp/
info/252.html
* 4 “日独 IoT /インダストリー 4.0 協力に係る共同声明への署名を行い
ま し た。
”、 経 済 産 業 省、2016、http://www.meti.go.jp/press/2016/04/
20160428011/20160428011.html
* 5 “ドイツ Plattform Industrie4.0 と RRI との共同声明について”、ロボット革
命イニシアティブ協議会、2016、https://www.jmfrri.gr.jp/info/255.html
図 5 ‌Plattform Industrie 4.0 事務局長 Banthien 氏と久保
(2016 年 4 月 26 日、ドイツ ハノーバーにて)
22 電 機 2016・June
第 95 回 定時総会
業計画と予算、および任期満了に伴う役員改選について、
1.開催概要
ご説明申し上げ、会員の皆さまにご審議賜りたいと存じま
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)の第 95 回定
時総会は、5 月 31 日 ㈫ 10 時 30 分より、
「ANA インター
す。よろしくお願い申し上げます。
さて、私が会長に就任した昨年 5 月からのこの 1 年は、
コンチネンタルホテル東京」において開催され、津田会
雇用環境は好調であったものの、夏以降、中国および新
長の開会挨拶に続き、佐脇紀代志 経済産業省 製造産業
興国における経済の減速や円高傾向の影響を受け、設備
局 産業機械課長よりご挨拶をいただいた後、次の議案に
投資は伸び悩み、個人消費も年度を通じて停滞し、全体
ついて審議の結果、いずれも原案どおり承認された。
としては足踏みの状況で推移しました。
このような状況下、2015 年度電気機器国内生産実績
最後に、津田会長より退任の挨拶があった。
は、重電機器は、アジアを中心とする新興国経済の減速
第1号議案 2015年度
(平成27年度)
事業報告
(案)
の件
等により、6 年ぶりに前年比減、一方、白物家電機器は、
第2号議案 2015年度
(平成27年度)
決算
(案)
の件
2014 年 4 月の消費増税後の低調傾向を脱し、高付加価
第3号議案 2016年度
(平成28年度)
事業計画
(案)
の件
値機種が好調に推移したことにより、2 年振りの増加とな
第4号議案 2016年度
(平成28年度)
収支予算
(案)
の件
り、この結果、JEMA 合計では、5 兆 3,259 億円、前年
第5号議案 理事・監事任期満了に伴う改選
(案)
の件
度比 95.4%と、前年を若干、下回る推移となりました。
経済状況はやや足踏みの 1 年でありましたが、昨年はわ
が国全体、経済の方向性を決める進展があり、JEMA は会
員の皆さまとともに、幅広い事業活動を展開して参りました。
まず、
『エネルギー・環境戦略』についてであります。
昨年、政府の「長期エネルギー需給見通し」
「温室効
果ガス削減目標」が決定し、JEMA はそれぞれの政策に
対して、業界としての考え方を取りまとめ、意見発信を
行うとともに、その具体化に向けさらに意見発信を行い、
JEMA としての活動を進めました。
定時総会風景
原子力の分野では、昨年、東日本大震災後 4 年を経て
ようやく再稼働を果たしましたが、福島第一原子力発電
2.津田会長開会挨拶
所の廃炉、汚染水対策への協力、電機業界としての安全
日本電機工業会 第 95 回定時総会の開催にあたり、一
性向上への自主的・継続的取組みを進め、まだまだ国民
言ご挨拶申し上げます。
本日はお忙しい中、会員の皆さまには多数ご出席賜り、
誠にありがとうございます。また、公務ご多用のところ、
経済産業省・産業機械課長 佐脇様はじめ、関係各位の
ご臨席を賜り、厚く御礼申し上げます。
平素より、皆さま方には、当会の活動、運営に多大な
ご支援、ご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございま
す。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
本日は、2015 年度の事業報告と決算、2016 年度の事
開会挨拶 津田会長
特集:IoT 社会におけるわが国製造業の現状と取組み状況 /[ハイライト]
23
ハイライト
の皆さまの原子力に対する信頼回復が図れていない状況
意見発信を行なうことができました。
の中、原子力への信頼回復や、原子力技術と人材の維持、
官民連携で進めている国際標準化活動、将来の電機業
核燃料サイクル維持・放射性廃棄物処理などに関する理
界を担う人材育成と確保に向けての理科教育支援事業、
解促進などに関する意見発信・活動を進めました。
大学や高専に対する電機業界への理解を深める電機業界
重電分野では、経済産業省と連携し、インフラシステ
ム輸出のさらなる促進、そしてトップランナー制度の普及
説明会も、2015 年度はさらに拡大して取り組んできてお
ります。
促進等を展開、家電分野では、この 3 月に冷蔵庫の省エ
ネ法トップランナー基準が改正されましたが、この切り替
このように、JEMA は、電力・社会インフラから、家電
えに対する準備など省エネの推進、家電リサイクルへの
製品に至るまで、電機産業の幅広い分野を担当し、さまざ
継続的取組み、直面する多くの課題の解決に向け、ご関
まな課題やテーマについて積極的に取り組んで参りました。
係の皆さまと鋭意検討を進めて参りました。
これからも、わが国経済の持続的成長と、国民が豊か
太陽光、風力等の新エネルギーの分野でも、再生可
に暮らすことのできる社会の構築を第一義に考え、皆さ
能エネルギーの最大限導入と国民負担抑制を両立させる
ま方と十分な議論を重ねて事業を推進していくことが重
FIT 法見直しへの意見発信や、太陽光出力抑制など直面
要なことであると考えております。
する多くの課題の解決、さらには新たなエネルギービジネ
今後とも、会員の皆さまのご協力、ご尽力を頂戴し、
スに向け活動、また環境関連では、電機業界の自主的活
関係省庁、関連団体ともしっかりと連携して、事業活動に
動である「低炭素社会実行計画」の推進など、積極的に
取り組んで参りたいと思いますので、皆さま方の変わらぬ、
進めて参りました。
ご指導・ご鞭撻をこれからもよろしくお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、開会にあたり、私から
次に、
『スマートマニュファクチャリングへの取組み』に
のご挨拶とさせていただきます。
ついてです。Industrie4.0 や IoT 等の動きがわが国で加
速化する中、わが国電機産業として展開すべく、JEMA
なお、役員任期の満了により、定時総会終了後、新理
にスマートマニュファクチャリング特別委員会を設置し、会
事、新監事による臨時理事会が別室で開催され、理事会
員の方々と鋭意検討を進める等、積極的な活動を進めて
の決議によって、会長、副会長、専務理事、常務理事が
参りました。
以下のとおり選定された。
2015 年度は、隔年で開催する「システムコントロール
会 長
志賀重範(新任)
フェア」の開催年でありました。昨年 12 月、
「技術がつな
がる、未来が拓ける、ものづくりイノベーション」をテーマ
副会長
に、スマートマニュファクチャリング関連のセミナーも多く準
備し、会員企業の皆さまからの多数の出展協力により、国
専務理事
海老塚 清(再任)
内外より約 5 万人の来場者をもって議論の場を提供し、
常務理事
本松 修(再任)
議案説明 海老塚専務理事
24 電 機 2016・June
〔株式会社 東芝 代表執行役副社長〕
北澤通宏(新任)
〔富士電機株式会社 代表取締役社長〕
佐脇紀代志 経済産業省 製造産業局
産業機械課長
監査報告 山本監事
2016 年度
電機工業永年功績者表彰式
贈呈が行われ、受賞者を代表して、立石文雄 オムロン株
5 月 31 日の当会定時総会終了後、11 時 50 分より、
式会社 取締役会長よりご挨拶をいただいた。続いて行わ
2016 年度電機工業永年功績者表彰式が開催された。
れた懇親パーティでは、糟谷敏秀 経済産業省 製造産業局
受賞者は 11 名で、いずれも功績顕著なる方で電機業界
長よりご挨拶をいただいた後、志賀新会長のご発声により
の発展に貢献された方々である。
乾杯が行われた。
式は、津田前会長の挨拶の後、表彰状と記念品目録の
2016 年度 電機工業永年功績者表彰受賞者
芳 名
会 員 会 社 名
(敬称略・年齢順)
役 職 名
田谷野 憲
ダイキン工業株式会社
代表取締役 副社長執行役員
立 石 文 雄
オムロン株式会社
取締役会長
山 本 博 夫
和 仁 正 文
澤 俊 裕
伊 藤 文 夫
正 森 滋 郎
山 西 健一郎
山 田 喜 彦
井 上 博
中 村 豊 明
日東工業株式会社
三菱重工業株式会社
株式会社 安川電機
富士電機株式会社
三菱重工業株式会社
三菱電機株式会社
パナソニック株式会社
株式会社 東光高岳
株式会社 日立製作所
相談役
特別顧問
顧問
顧問
特別顧問
取締役会長
代表取締役副社長
取締役 常務執行役員
代表執行役 執行役副社長
記載の役職名は推薦書(2016 年 1 月)に基づく
電機工業永年功績者表彰式
[ハイライト]
25
ハイライト
津田前会長挨拶
ご挨拶 糟谷敏秀 経済産業省 製造産業局長
壇上の様子
乾杯の発声をする志賀新会長
受賞者代表挨拶 立石文雄 オムロン株式会社 取締役会長と受賞者の方々
懇親パーティ
26 電 機 2016・June
会長交代記者会見
当会は、5 月 31 日開催の、
第 95 回 定 時 総 会 に お い て 津
田会長が退任し、志賀重範理事
(株式会社 東芝 代表執行役副
社長)が会長に就任するのに伴
い、定時総会終了後、会長交代
記者会見を行いました。
記者会見に臨む志賀新会長(中央右)
、津田前会長(中央左)
、海老塚専務理事(右端)、
本松常務理事(左端)
1.津田前会長挨拶
期会長には、株式会社 東芝 代表執行役副社長 志賀
重範様にご就任いただくことになりました。
津田でございます。私は、本日開催されました第 95 回
志賀様は、長年にわたり東芝を導かれ、中でも電力・
定時総会において、任期満了をもって、日本電機工業会
社会インフラ事業、コミュニティ・ソリューション事業の分
の会長を退任致しました。在任中、記者の皆さまには、
野を中心にご担当し、ご尽力されたと伺っております。ま
格別のご支援をいただき、誠にありがとうございました。
さに JEMA の事業分野に精通され、JEMA の会長として
厚く御礼申し上げます。
誠にふさわしい方であると存じます。志賀様の豊かなご経
在任中の 1 年間には多くのことがありましたが、JEMA
に直接かかわる大きなことと致しましては、2 つのテーマ
が挙げられます。
1 つは、
『エネルギー・環境戦略』についてであります。
政府の「長期エネルギー需給見通し」
「温室効果ガス削
減目標」のほか、いくつかの進展が見られた年であった
験をもって、電機業界が直面するさまざまな課題の解決や、
新たな発展にご貢献いただけるものと確信しております。
最後になりましたが、電機業界のさらなる発展を祈念
して、私の退任のご挨拶といたします。今後とも、皆さま
方のご指導、ご鞭撻をどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆さま、この一年ありがとうございました。
と思います。JEMA は、それぞれの政府案に対し、業界
としての考え方を取りまとめ、意見発信を行う等、幅広い
活動を推進しました。
2 つ目は、
『スマートマニュファクチャリングへの取組
み』についてです。ドイツの Industrie4.0 や、世界で広
がる IoT 等の動きを的確にとらえ、わが国電機産業とし
ても、これを前向きに展開すべく、JEMA に特別委員会
を設置し会員の方々と鋭意検討を進める等、積極的な活
動を進めてきたと思います。
なお、私は、これで会長を退任しますが、JEMA の次
津田前会長
[ハイライト]
27
ハイライト
2.志賀新会長挨拶
このたび、日本電機工業会の会長を仰せつかりました、
志賀でございます。
記者の皆さまには、平素より、当工業会の活動に多大
なご理解、ご支援をいただき、厚く御礼申し上げます。
会長就任にあたり、
「電機業界の今後の取組み」を説
明申し上げて、ご挨拶に代えさせていただきたいと存じま
す。
堅調な需要が期待されます。グローバル市場では、新興
国を中心に、厳しい受注環境が続くものの、旺盛なエネ
ルギー需要を背景とする市場拡大が続くと予想されます。
白物家電分野は、国内では、消費者のニーズを的確に
とらえた付加価値の高い製品や HEMS を中心としたス
マート家電も期待されて、堅調な需要が見込まれ、グロー
バル市場におきましても新興国の需要拡大は継続するも
のと考えられます。
さらに、あらゆる機器をネットワークにつなぎ、そこか
その前に、私ども、電機業界の先頭に立たれ、国や業
ら得られたデータの利活用や自動制御を行うことで産業
界が抱えるさまざまな課題に対応し、そして発展と成長
構造を変革しようという IoT や Industrie 4.0 といった構
を目指して、積極的に取り組んで来られた、津田前会長
想の具体的実現に向けた動きが加速化しており、この動
のご尽力とご功績に心から敬意を表しますとともに、厚く
きは、電機業界自体の事業やものづくりの革新を生み出
御礼を申し上げます。
すとともに、新たな製品・サービスの創出・提供につなが
それでは早速ですが、お手元のニュースリリースをご
覧下さい。
まず、1.
「2015 年度電気機器の生産実績」が出ました
ので、ご報告させていただきます。
重電機器、白物家電機器を合わせた電気機器の生産実
績は、5 兆 3,259 億円、前年度比 95.4%となりました。
ると期待されます。
このような状況の中、電機業界は、
「エネルギー・環境
革新戦略の推進」
「電機業界の成長戦略の推進」および
「新たなものづくり、サービス産業の創出の推進」を、電
機産業が持続的な発展や成長を実現するための重点項目
ととらえ、積極的に取り組んで参ります。
重電分野は、アジアを中心とする新興国経済の減速や、
海外プロジェクト案件の先送りの影響を受けまして、3 兆
4,957 億円、前年度比 89.6%と、6 年ぶりに前年度を下
回る結果となりました。
白物家電分野は、冷夏、暖冬など天候不順がありまし
たが、2014 年 4 月の消費増税後の低調傾向を脱してお
り、生産の国内回帰の動きや高付加価値機種が好調に
推移したことによりまして、1 兆 8,302 億円、前年度比
108.8%と、2 年振りの増加となりました。
続きまして、2.
「電機業界の今後の取組み」について
志賀新会長
ご説明いたします。
2016 年度のわが国経済は、世界経済の減速や円高傾
向を受けた企業収益の減少、それに伴う設備投資の慎重
化など、景気を下押しするリスクが高まりつつありますが、
まず、
(1)エネルギー・環境革新戦略の推進について
です。
①「エネルギー革新戦略」への対応につきましては、省
基本的には緩やかな景気回復が期待され、電機産業とし
エネルギー強化、再生可能エネルギー拡大、新たな
ては堅調に推移する見通しです。
エネルギーシステム構築の各政策に対し、電機産業
電機産業の中長期展望についてですが、重電分野は、
としてトップランナー制度拡大、住宅・運輸部門に
国内では、
「長期エネルギー需給見通し」や「温室効果
対する電機産業としての貢献、再生可能エネルギー
ガス削減目標」に基づき、より高効率な火力発電所の新
拡大と国民負担抑制を両立させる FIT 法のあり方へ
増設またはリプレース、また再生可能エネルギーの導入
の意見発信、信頼性・安全性・稼働率向上等の技
拡大、省エネルギー製品の普及などが見込まれ、今後も
術開発ならびに標準化、エネルギーリソースアグリ
28 電 機 2016・June
ゲーションビジネス立ち上げのためのプラットフォー
等を進めて参ります。
ム構築などに取り組んで参ります。
次に、申し上げました重点項目に対する分野別の主な
②「地球温暖化対策計画」に対しては、電機業界とし
取組みについて、ご説明いたします。
ての「低炭素社会実行計画」を着実に進め、さらに
まず、
(1)
「重電分野」についてですが、
わが国温暖化ガス削減目標に対する電機業界として
① 世界をリードするわが国の重電技術をさらに強くす
の貢献を進めて参ります。
そして、電機業界としては、わが国において、
③ 強靱で高品質かつ環境負荷低減を徹底的に追求した
エネルギーインフラ構築、付加価値が高く環境に貢
献する電気機器やシステムを開発・提供し、世界を
リードする高いエネルギー効率社会を実現することが
重要と考えており、この実現に向けしっかり取り組んで
参ります。
次に、
(2)電機業界の成長戦略の推進ですが、
① 国内の景気回復や電機市場拡大を実現するイノベー
ション創出
②国内の財政健全化や国内で製造を継続するための環
境整備の推進
③グローバル市場の旺盛な需要取込みのための戦略的
施策
に対する意見発信・提言を行うとともに、
④ 国内での生産を最大限確保しつつ、世界に先駆けた
高い技術や製品を国内で開発・製品化
そして、
⑤これらを世界各地域のニーズに応じて提供すること
でのグローバル展開の推進
に取り組んで参ります。
次に、
(3)新たなものづくり、サービス産業の創出の
る革新的エネルギー・環境技術
② スマートコミュニティ、スマートグリッドなど、地域
全体・需給システム全体での最適エネルギー管理や
運用ビジネス
を創出あるいは進化させ、国内でまず適用するととも
に、グローバル市場へ展開して参ります。
③ 電力システム改革においては、高品質かつ低廉な電
力の安定供給を可能とするシステム機器の対応や電
機産業ビジネスとしての展開
④ グローバル市場においては、インフラシステム輸出
の強力な推進と面的展開
などを進めて参ります。
(2)
「原子力分野」については、
まずは、
① 福島第一原子力発電所事故の収束に向けた廃炉、除
染、汚染水の対策への支援
を最優先に取り組むとともに、
② 産業界としての原子力に対する自主的・継続的な安
全性向上への取組み
③ 原子力技術・人材の維持と発展
④ 原子力発電に関する理解促進
⑤ 核燃料サイクル政策の維持、放射性廃棄物処分の
現世代における道筋確立に向けた提言
推進につきましては、IoT、CPS(サイバーフィジカルシ
⑥ 原子力発電を推進する海外諸国や地域に対する、福
ステム)
、Industrie4.0 の動きが海外そして国内で加速化
島第一発電所事故を踏まえたわが国原子力技術の提
してきております。JEMA と致しましては、ものづくりの
供
変革と製造業の革新に対し、
① 政府や国内外の関係団体との連携
② 将来の製造業を実現するためのプラットフォームの
構造検討と実現のための先行事例の推進
③ 製造業における企業間の協調領域と競争領域の明確
化、さらに、協調領域における、電機製品に関する
IoT 対応方式の提案や先行事例の推進
などに注力して参ります。
(3)
「白物家電分野」につきましては、
① 環境配慮、エネルギー利用の最適化、消費者ニーズ
を実現する製品創出と市場拡大、特にスマートハウ
スや HEMSといった新しい分野に取り組むとともに、
② グローバル市場における各地域の文化・生活・習
慣・価値観にマッチした製品開発と拡販
④国際標準化戦略の立案や活動への参画
③トップランナー家電等、省エネ機器の普及促進
⑤ セミナー等の啓発活動、日本発のものづくりの革新
④ 家電リサイクル法の着実な推進や課題への対応
に関する情報の国内外への発信
などを推進して参ります。
[ハイライト]
29
ハイライト
(4)
「新エネルギー分野」については、再生可能エネル
(基礎的財政収支)を黒字化する」という目標は堅持され
ギー拡大のため、高効率化・出力安定化・コスト低
ると思われますが、そもそも増税先送りとプライマリーバ
減などの課題に対する研究開発等を推進するととも
ランス黒字化の両立は可能であるとお考えですか。
に、水素エネルギーや IoT を活用した取引システム、
バーチャルパワープラントなどの技術課題や普及課
題に対し取り組んで参ります。
* 2016 年 5 月 28 日、安倍首相は、麻生副総理兼財務相と谷垣自民党幹事長ら
に消費税率 10%への引き上げを 2019 年 10 月へ再延期する考えを伝えた。
A1(志賀会長)
:今回の消費増税の延期について、電機
(5)
「地球環境保全活動」については、電機業界の自
業界として何か具体的に議論しているわけではありませ
主行動計画である「低炭素社会実行計画」の着実な
んが、増税延期が私どものビジネスへ与える影響につい
推進や、化学物質規制への業界としての対応、循環
て、どのように考えているかということでお答えしたいと
型社会構築に向けた取組み、環境配慮設計促進、生
思います。
物多様性保全を推進して参ります。
重電機器は、中長期的な計画に基づく設備投資の動向
(6)
「国際標準化推進」については、人材育成、認証
基盤整備など、官民が協力した標準化の推進
そして最後の、
が生産に大きな影響を与えているので、今回の消費増税
先送りによる影響は非常に小さいと考えています。ただ、
汎用電機品は、景気全体の影響を大きく受けるという性
(7)
「共通技術基盤強化、その他」の中では、若い世
格をもっているので、消費税率の問題とそれに対する景
代の理科系人材育成や電機業界の人材確保について
気感への変化については注視する必要があると考えてい
も取り組んで参ります。
ます。
白物家電機器については、本来のわれわれの計画では、
お手元のプレスリリース資料の説明は以上でございま
消費税の引上げを見越した需要増の影響を織り込んでい
すが、わが国経済は、緩やかな景気回復が期待される中
ましたが、前回の消費増税時と比べてそれほど大きな影
で、先行き不透明感をどのように払拭できるかどうかの、
響を見込んでいませんでした。
大切な時期に差し掛かっていると思います。
私ども電機業界は、これからも引き続き、さまざまな課
題に取り組んで参ります。
私どもとしては、省エネ製品や高付加価値製品への根
強いニーズ、また買い替え需要を主体に白物家電の需要・
生産を見込んでいるので、
(増税先送りとなっても)堅調
このようなときに、会長の大役を仰せつかり、誠に身の
を維持するという判断をしています。
引き締まる思いであります。
JEMA に課された社会的使命や役割を認識し、幅広
Q2:消費増税が先送りとなっても、財政健全化への道筋
い重要課題については、今後の展開をしっかりと見極め、
は維持されるとみていますか。それとも、何らかの影響を
会員各社をはじめ、関係省庁・関連団体の皆さまと連携
受けざるを得ないとみていますか。
しながら、全力で取り組んで参る所存であります。
A2(志賀会長)
:私どもとしては、ぜひ 2020 年の基礎
皆さまには、今後とも、JEMA の活動に一層のご理解・
ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
的財政収支の黒字化という目標を堅持していただきたい
と思っていますし、われわれもそれに向けて努力していき
たいと考えています。
3.質疑応答
Q3:白物家電を念頭に置いた質問となりますが、志賀会
Q1:消費増税先送りという話が出ており 、安倍首相と
長の出身である東芝は白物家電事業を売却し、シャープ
電機業界との判断がずれている印象を受けますが、電機
も鴻海精密工業の傘下に入っています。このような中、日
業界としての景気判断、基調をどのようにみていますか。
本の白物家電の競争力底上げに向けた課題をどのように
併せて、消費増税は今のところ 2019 年 10 月に先送り
とらえていますか。また、中国・ハイアールの家電は既に
されるという見方が濃厚ですが、それについてどのよう
日本市場に参入していますが、今年はおそらく、従来より
に評価しますか。また、
「2020 年にプライマリーバランス
も一段、二段レベルの上がった世界市場を形成するとい
*
30 電 機 2016・June
われています。そのような中で、いわゆる外資系企業をど
う改造工事をきちんと行うことだと思っています。技術維
のように業界の活動に取り込んでいくのでしょうか。
持という観点では、インフラ輸出は非常に重要であり、ま
A3(志賀会長)
:各社の対応の仕方には温度差があると
た、先ほどの 2030 年のエネルギーミックスの比率目標を
思うので、各社における個別の経営戦略にかかわるとこ
達成するためにも、福島第一原子力発電所の事故の教訓
ろについてはお答えできませんが、
(今、白物家電事業が
を活かした安全性の高い原子力発電所を、日本人の手で
置かれている状況として)全体的にはグローバル化が進
再度建設することができる能力・技術をキープしていく必
み、世界市場の需要の取り込みが期待できる一方、国際
要があると考えています。
競争が非常に激しくなってきているととらえています。そ
のような中、日本企業が白物家電分野で競争力を上げる
Q5:先日発表された(2016 年 1-3 月期の)GDP による
には、省エネ、IoT によるスマート家電といった面で付加
と、企業の設備投資がマイナスに転じましたが、その理
価値をつけていくことが重要だと理解しています。
由についてどうみていますか。先ほどの資料でも触れて
いましたが、もう少し詳しく教えてください。
Q4:国内の原子力発電所の再稼働がなかなか進まない
A5(志賀会長)
:まず、われわれの景気に対する見方と
状況について、今後、業界としてどのように対処していく
して、5 月 18 日発表の実質 GDP 成長率がプラス 1.7%
のでしょうか。また、国内の原子力発電事業の将来性を
ということでしたが、うるう年の影響を除くと小幅な増加
どのように考えているのか、ご自身の経験を踏まえてお答
にとどまり、景気の足踏み状態が続いているというのが基
えいただけますでしょうか。
本的な認識です。また、2016 年度については、基本的に
A4(志賀会長)
:現状で、国内の原子力発電所の再稼働
は緩やかな景気回復を期待していますが、世界経済の減
がなかなか進まないということは、やはり原子力の安全
速、年初来の円高傾向による企業収益の減収、また企業
性・信頼性について、国民の理解を十分に得られていな
の設備投資への慎重姿勢等、景気を下押しするリスクが
いためだと思います。一方で、日本の規制当局の審査は
多いと考えています。1-3 月期の GDP 統計では、民間企
非常に厳しく、世界的にみてもレベルの高い安全性を要
業設備が前期比マイナス 1.4%となっておりますが、これ
求する内容になっており、審査の仕方についても科学的・
は今申し上げたような要因を背景に、企業の投資姿勢が
客観的な内容になっていると考えます。審査が終了した
慎重化していることが読み取れるというのではないかと考
原子力発電所については、順調に再稼働してほしいと思っ
えています。ただし、中期的には、2020 年の東京オリン
ていますし、当工業会としても、原子力の信頼性を得る
ピック・パラリンピックに伴う経済効果を期待しており、
ための支援活動を中心に行っていきたいと考えています。
それに向けて、経済成長を確実に、かつ持続的にしてい
国内の原子力については、
「長期エネルギー需給見通し」
くという観点では、2016 年は非常に重要な年であると考
で、2030 年の電源構成に占める割合を 20%~ 22%とす
えています。
る目標が立てられています。また 2030 年の CO 2 削減目
標についても、
(2013 年度比)26%減という数字が出て
います。これらの目標を実現していくために、
(原子力発
電の再稼働は必要であり)原子力の信頼性を得るための
支援活動は必要だと思っています。私どもとしての長期
的な課題は、福島第一原子力発電所の事故をきちんと処
理していくこと、具体的には廃炉、汚染水の処理、廃棄
物の処理の 3 点になりますが、これらに対して業界として
きちんと取り組む体制を維持するということ、また当面の
課題としては、再稼働についての許認可、またそれに伴
[ハイライト]
31
ハイライト
ニュースリリース 電機業界の今後の取組み
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA、会長:志賀
電機産業の中長期展望について、重電分野は、国内で
重範)では、電機業界の今後の取組みについて取りまと
は「長期エネルギー需給見通し」および「温室効果ガス
めましたので、以下のとおりご報告致します。
削減目標」に基づき、より高効率な火力発電所の新増設
又はリプレース、また再生可能エネルギーの導入拡大、
省エネルギー製品の普及などが見込まれ、今後も堅調な
1.2015 年度 電気機器の生産実績
2015 年度の重電機器、白物家電機器を合わせた電気
需要が期待されます。グローバル市場では、新興国を中
機器の生産実績は、5 兆 3,259 億円、前年度比 95.4%と
心に、厳しい受注環境が続くものの、旺盛なエネルギー
なりました。
需要を背景とする市場拡大が続くと予想されます。白物
重電分野は、アジアを中心とする新興国経済の減速や
家電分野は、国内では、消費者のニーズを的確にとらえた
海外プロジェクト案件の先送りの影響を受け、3 兆 4,957
付加価値の高い製品や HEMS を中心としたスマート家電
億円、前年度比 89.6%と、6 年ぶりに前年度を下回る結
も期待され、堅調な需要が見込まれ、グローバル市場にお
果となりました。
いても新興国の需要拡大は継続するものと考えられます。
白物家電分野は、冷夏、暖冬など天候不順があったも
さらに、日米欧を中心に、あらゆる機器をネットワーク
のの、2014 年 4 月の消費増税後の低調傾向を脱し、生
につなぎ、そこから得られたデータの利活用や自動制御を
産の国内回帰の動きや高付加価値機種が好調に推移した
行うことで産業構造を変革しようとする IoT や Industrie
ことにより、1 兆 8,302 億円、前年度比 108.8%と、2 年
4.0 といった構想の具体的実現に向けた動きが加速してお
ぶりの増加となりました。
ります。この動きは、電機業界自体の事業・ものづくりの
革新を生み出すとともに、新たな製品・サービスの創出・
提供につながると期待されます。
2.電機業界の今後の取組み
2016 年度のわが国経済は、基本的には緩やかな景気
このような状況の中、電機業界は、
「エネルギー・環境
回復が期待されるものの、世界経済の減速や円高傾向を
革新戦略の推進」
「電機業界の成長戦略の推進」および
受けた企業収益の減少、それに伴う設備投資の慎重化な
「新たなものづくり、サービス産業の創出の推進」を、持
ど、景気を下押しするリスクが高まりつつありますが、電
続的な発展・成長を実現するための重点項目ととらえて
機産業としては堅調に推移する見通しとしております。
います。
【表】2015 年度 電気機器の国内生産と白物家電機器の国内出荷
2015 年度実績
国内生産
金額
(億円)
前年度実績比
(%)
(参考)2016 年度見通し
(2016 年 3 月発表)
金額
(億円)
前年度実績
見込比(%)
重電機器
34,957
89.6
37,626
101.6
白物家電機器
18,302
108.8
18,677
105.4
電気機器合計
53,259
95.4
56,303
102.8
白物家電機器国内出荷
22,475
105.7
22,939
105.0
備考 1:国内生産の見通し値は、経済産業省 生産動態統計をベースに JEMA が策定しました。
2:‌白物家電機器の国内出荷の見通し値は、JEMA 統計、日本冷凍空調工業会統計をベースに、JEMA が策定しました。
32 電 機 2016・June
(1)エネルギー・環境革新戦略の推進
③ 強靱で高品質かつ環境負荷低減を徹底的に追求し
①エネルギー革新戦略に対する電機産業としての推進
たエネルギーインフラ構築、付加価値が高く環境に
a.省エネルギー強化:電気機器トップランナー制度
貢献する電気機器・システムを開発し、提供し続け
拡大・普及、住宅・運輸部門における電機産業
ることで、世界をリードする高いエネルギー効率社
としての推進
会実現の推進
b.再生可能エネルギー拡大:国民負担抑制と最大
限導入を両立させる FIT 法のあるべき姿・規制
改革・導入拡大施策への継続的検討と意見発信、
信頼性・安全性向上、稼働率向上、コスト低減
のための技術開発・標準化の推進
c.新たなエネルギーシステム構築:電力システム
改革の中、火力発電のさらなる高効率化の推進、
安定供給を維持する制度設計への意見発信、エ
(2)電機業界の成長戦略の推進
① 国内の景気回復、および電機市場拡大を実現する
イノベーション創出
(景気対策 の継続的実施、省エネ機器普及施策、
IoT 技術を活用した新たなシステムの創出、東京オ
リンピック・パラリンピックに向けたビジネス発掘など)
② 国内の財政健全化、および国内で製造を継続する
ための環境整備の推進
ネルギーリソースアグリゲーションビジネスの立ち
(わが国の財政健全化の着実な推進、デフレ脱却の
上げ、ネガワット取引市場の創設、バーチャルパ
確実な実現と金融緩和政策の出口を見据えた戦略
ワープラント実現のプラットフォーム構築、実証
策定、電力安定供給・低廉な電力料金の実現、将
事業やエネルギー機器の通信規格の整備、ポス
来的な労働人口減少対策、法人税実効税率の継続
ト 2030 年に向けた水素社会戦略の構築への支援
的引き下げを含む税制改正、サイバーセキュリティ
② 地球温暖化対策計画に対する電機産業としての推進
わが国の地球温暖化対策計画の実現に向けた電機
業界としての貢献、電機業界の「低炭素社会実行
計画」の着実な推進
対策強化など)
③ グローバル市場の旺盛な需要取込みのための戦略
的施策に関する提言・推進
(TPP の速やかな発効に向けた円滑な国内手続き・
【図】電気機器の国内生産実績額 推移
[ハイライト]
33
ハイライト
RCEP/EPA など国益を確保する経済連携協定の実
現、インフラシステム輸出推進・面的展開、官民連
携した国際標準化強化など)
④ 国内での生産を最大限確保しつつ、世界に先駆け
た高い技術・製品を国内で開発・製品化
⑤これらを世界各地域のニーズに応じて提供すること
でのグローバル展開の推進
(3)新たなものづくり、サービス産業の創出の推進
① IoT、CPS(サイバーフィジカルシステム)
、Indstrie4.0
での最適エネルギー管理・運用ビジネスの拡大
③ 電力システム改革における高品質かつ低廉な電力の
安定供給を可能とするシステム機器の対応、および
電機産業ビジネスとしての展開
④インフラシステム輸出の強力な推進と面的展開
1)エネルギー・環境戦略に関する継続した各国と
の信頼・協力関係構築のもと、わが国の高性
能、低環境負荷、高品質な重電システムのビジ
ネス拡大
の動きの中で、ものづくりの変革と製造業の革新に
2)安定供給性・経済性に優れ、高効率化による
対し、政府・関係団体・研究機関および海外の関
CO 2 排出削減ポテンシャルが大きい高効率石
係団体との連携による具体的進め方の立案、実現
炭火力発電への国際的な理解促進、および公
の推進
的金融支援の戦略的確保への協力
② 将来の製造業(スマートマニュファクチャリング)
⑤ 産業システム・機器の高効率化・環境負荷低減と
を実現するためのプラットフォームの構造検討、プ
してトップランナー変圧器・モータなどの普及・促
ラットフォームの中のモジュール化の検討、実現の
進、蓄電システムなどリサイクルの促進
ための先行事例の推進
(JEMA では、プラットフォームとして「フレキシブル・
ビジネス・アンド・マニュファクチャリング:FBM」を
提案)
③ 製造業における企業間の協調領域と競争領域の明
確化、協調領域における電機製品(モータ等の動
⑥ 電力技術研究、インフラシステム保全、制御システ
ムセキュリティ、サイバーセキュリティ対策強化の
推進
(2)原子力分野
① 福島第一原子力発電所事故の収束に向けた廃炉・
除染・汚染水の対策への最優先での支援
力機器、製造ラインの制御機器、エネルギー監視
② 産業界としての原子力に対する自主的・継続的な安
機器など)に関する IoT 対応方式の提案、先行事
全性向上への取組み、および原子力事業者を始め
例の推進
とする関係諸機関への支援
④ 世界、わが国での先行事例を踏まえた国際標準化
戦略の立案、標準化活動への参画
③「軽水炉安全技術・人材ロードマップ」に沿った産
業界としての原子力技術・人材の維持・発展に向け
⑤ セミナー等の啓発活動、および提言書「製造業
た取組み、およびその見直しに対する継続的な支援
2030」の内容や日本発のものづくりの革新に関する
④ 原子力発電に関する理解促進活動の推進、原子力
情報の国内外への発信
の基盤技術・人材の維持に不可欠な原子力発電所
のリプレース・新増設および原子力損害賠償制度
前出の重点項目に対する分野別の具体的な取組みは、
以下のとおりです。
(1)重電分野
等、原子力事業の環境整備についての意見発信、
国への要望・提言
⑤ ウラン資源有効利用や放射性廃棄物の減容・有害
① 世界をリードするわが国の高効率、低環境負荷、お
度低減の観点から重要な、高速増殖炉技術開発の
よび高品質な重電技術をさらに強くする革新的エネ
継続を含む核燃料サイクル政策の維持、放射性廃
ルギー・環境技術・製品の開発、国内での実証・
棄物処分の現世代における道筋の確立に向けた提
普及、およびグローバル市場への展開
言と理解促進活動の推進
② スマートコミュニティ、スマートグリッド、デマンド
⑥ 原子力発電を推進する海外諸国・地域に対する福
レスポンスなど、再生可能エネルギー・蓄電システ
島第一原子力発電所事故を踏まえた、わが国の原
ムを含めて構成する地域全体・需給システム全体
子力技術提供の推進に係る国への要望・提言
34 電 機 2016・June
⑦ 放射線利用医療機器の普及および輸出の促進(原
子力応用技術の医療分野への適用)
(3)白物家電分野
① 環境配慮、エネルギー利用の最適化、消費者ニー
ズを実現する製品創出と市場拡大
(2030 年に向けて、生産プロセスに係る「エネル
ギー原単位改善率年平均 1%」の目標管理、製品・
サービスによる CO 2 排出抑制貢献量の推計、政府
審議会フォローアップへの報告)
② RoHS・REACH など欧州・中国の化学物質規制へ
1)スマートハウスの構成要素の一つであり、家庭
の対応、事業所関連揮発性有機化合物(VOC)排
におけるエネルギー利用の最適化と消費者の利
出抑制自主的取組みの推進、水銀条約に係わる国
便性を実現する、HEMS を中心としたスマート
内法整備への対応
家電としての製品群
2)環境をキーワードとした、リサイクル技術と環
境配慮設計による製品群
3)美容家電、高機能調理家電など消費者のニー
ズをとらえた尖った製品・高付加価値製品群
② グローバル市場における各地域の文化・生活・習
慣・価値観にマッチした製品開発と拡販
③トップランナー家電等、省エネ機器の普及促進
③循環型社会構築に向けた、新たな「産業廃棄物排出抑
制自主行動計画」の推進
(2020 年に向けて、
「最終処分量:2.5 万 t/ 最終処分率
1.8%以下」の目標達成に向けた着実な推進とフォロー
アップ)
④環境配慮設計促進(製品のライフサイクル環境影響評
価)と国際標準化の推進
(製品の LCA 簡易評価手法の確立、欧州および各国・
④ 循環型社会構築の中で、家電リサイクル法の着実
地域の環境配慮設計規制への対応、IEC・ISO 共同
な推進・回収率向上など課題への対応、および使
WG「環境配慮設計国際標準規格」の開発を国際幹事
用済み小型家電機器リサイクルの円滑運営への対
として主導)
応
⑤ 家電事業のグローバル展開での課題把握と対策、
各国工業会との連携強化
(4)新エネルギー分野
① 再生可能エネルギーの最大限導入の方針のもと、
国民負担の妥当性を踏まえた FIT 制度の継続的な
⑤生物多様性保全の国際動向等に基づく課題への会員企
業の支援と普及啓発の促進
(業界行動指針に基づく会員企業への普及啓発、会員
企業の取組み事例データベース公開活用、海外向け情
報発信強化)
(6)国際標準化推進・国内標準化の強化
見直しの提言、高効率化/出力安定化/コスト低
①日本の製品の優位性を正当に評価できる規格等の国際
減などの課題に対する研究開発推進、規制緩和・
標準化の推進、人材育成、認証基盤整備、アジアを中
各種制度に対する意見発信・提言
心とした相手国への採用・普及活動および支援事業な
② 太陽光発電・風力発電・燃料電池発電・太陽熱発
電などの技術課題・普及課題への取組みならびに
規格化・標準化・認証制度構築の推進
③ 水素エネルギー社会実現に向けた取組み
④ 新たな再生可能エネルギー・省エネルギーを融合し
たシステム構築、技術実証、ビジネス創出に向けた
取組み
(再生可能エネルギー・省エネルギー拡大を推進す
る IoT を活用した取引システム、バーチャルパワー
プラントなど)
ど、官民が協力した国際標準化の推進
②高電圧試験分野など世界に通用し国内での試験を可能
とする試験・認証機関構築
(7)共通技術基盤強化、その他
①電気用品安全の推進(電安法体系見直し・安全 JIS 整
備への協力)
②長期的な理科系人材育成を目的とした小学校理科教育
支援推進
③電機業界の人材確保のための大学生向け電機業界説明
会の開催
(5)地球環境保全活動
① 電機業界「低炭素社会実行計画」の着実な推進と
政府「地球温暖化対策計画」への貢献
[ハイライト]
35
ハイライト
2016 年度 〔第 65 回 〕
電機工業技術功績者表彰
2016 年度(第 65 回)電機工業技術功績者表彰は、4 月
15 日 ㈮ に経団連会館にて開催され、88 件、169 名の
方々が表彰された。
津田会長の挨拶に続いて審査委員長の海老塚専務理事よ
挨拶する津田会長
り審査経過が報告された。
表彰式では、ご来賓の佐脇紀代志 経済産業省 製造産業局
産業機械課長よりご祝辞をいただいた。
ご案内のとおり、この「電機工業技術功績者表彰」は、わ
その後の受賞祝賀パーティーでは、室町副会長による乾
が国電機産業の技術、技能の発展、継承を奨励する制度とし
杯のご発声と、受賞会社を代表して山脇雅彦 三菱電機株
て、昭和 27 年(1952 年)に創設され、今回で 65 回目を迎
式会社 執行役員 電力・産業システム事業本部副事業本部
える大変歴史ある、意義深い表彰制度であります。
長より謝辞をいただき、盛会に執り行われた。
私ども電機業界は、これまでにさまざまな新製品、新技術
を、世の中に数多く送り出し、電力・社会インフラや、産業
システムの整備・充実、そしてホームアプライアンスの分野
津田会長挨拶
では便利で快適な生活の向上に大きく貢献して参りました。
日本電機工業会 会長の津田でございます。
2016 年度 電機工業技術功績者 表彰式に当たり、一言、ご
また、近年では、新製品、新技術に加え、製品の信頼性や、
安全性の確保、地球環境への対応、省エネルギー、省資源と
いった社会が求める多様なニーズにお応えするとともに、生
挨拶申し上げます。
まず、昨夜(4 月 14 日)
、熊本地方で震度 7 の地震が発生
しました。まだ、詳しいことはわかっていないようですが、報
産性の向上等、ものづくりの現場における技術革新にも、注
力して参りました。
道ではお亡くなりになられた方を含め、多くの方が被害に遭
どうか、皆さまには、本日受賞の対象となった研究開発の
われたとのことでございます。心より、お悔やみ、お見舞い
成果を、電機業界のみならず、わが国の発展と、成長に活か
を申し上げるとともに、一日も早く、元どおりの暮らしに戻る
していただきますよう、切にお願い申し上げます。
ことができるようお祈り申し上げます。
本日、受賞された皆さまの日ごろの多大なご努力に、心か
本日は、公務ご多用のところ、ご来賓として経済産業省 製
ら敬意を表しますとともに、今回の受賞を機に、さらなる研
造産業局 産業機械課から、佐脇課長様はじめ、ご担当の皆
鑽を重ねられ、より一層、ご活躍されることを、お願い申し
さまのご臨席を賜り、誠にありがとうございます。また、会員
上げる次第であります。
各社、関係団体、報道関係の皆さま方にも、多数のご出席を
いただきまして、厚く御礼申し上げます。
さて、本日、電機工業技術功績者表彰を、受賞されました
皆さま、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げま
最後になりましたが、大変お忙しい中、ご審査いただきま
した審査委員の皆さまに、厚く御礼申し上げ、はなはだ簡単
ではございますが、私のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠におめでとうございます。
す。
祝辞を述べられる佐脇紀代志 経済産業省
製造産業局 産業機械課長
36 電 機 2016・June
審査経過報告をする海老塚専務理事
受賞祝賀パーティーにおいて
乾杯の発声をする室町副会長
受賞会社を代表して謝辞を述べる
山脇雅彦 三菱電機株式会社 執行役員
電力・産業システム事業本部
副事業本部長
受賞者一覧
(会員会社名、所属は、申請受付時点のものです)
最優秀賞
革新的な開発成果により、電機工業技術の進歩発達に貢献したもの。
件数 1 件 受賞者 2 名
会員会社名、所属
(敬称略)
受 賞 者
三菱電機㈱
電力・産業システム事業本部
電力システム製作所
回転機製造部 開発課
古賀 清訓
電力・産業システム事業本部
電力システム製作所
回転機製造部 タービン発電機設計課
佐 古 浩
功績の題目(部門)
世界最大出力 900MVA 級
水素間接冷却タービン発電機の製品化(重電)
最優秀賞受賞 三菱電機㈱ 古賀 清訓殿、佐古 浩殿
優秀賞
優秀な技術的成果を示し、電機工業技術の進歩に貢献したもの。
件数 3 件 受賞者 6 名
(敬称略・会社名 五十音順)
会員会社名
㈱東芝
三菱電機 ㈱
所 属
受 賞 者
社会インフラシステム社 浜川崎工場 避雷器部
避雷器技術担当
春日 靖宣
社会インフラシステム社 浜川崎工場 避雷器部
避雷器技術担当
深野 孝人
静岡製作所 ルームエアコン製造部 技術第一課
手塚 元志
先端技術総合研究所 熱流体システム技術部
空調換気技術 G
福井 智哉
インフラシステム社 大みか事業所 モノづくり統括設計部
上野 信也
インフラシステム社 大みか事業所 製造部
青木 敏雄
㈱ 日立製作所
功績の題目(部門)
世界最高耐圧の超高耐圧素子を適用した
世界最小 GIS 用避雷器の開発(重電)
「圧倒的省エネ性能」及び「革新的気流制
御搭載」のエアコン霧ヶ峰 FZ シリーズの
開発(家電)
多品種少量向けモジュラー型設計・生産
システム開発(ものづくり)
[ハイライト]
37
ハイライト
優良賞
優良な技術的成果を示し、電機工業技術の発達に貢献したもの。
件数 21 件 受賞者 41 名
(敬称略・会社名 五十音順)
会員会社名
音羽電機工業 ㈱
㈱ キューヘン
㈱ 三社電機製作所
山洋電気 ㈱
シャープ ㈱
ダイキン工業 ㈱
㈱ 東芝
東芝ライフスタイル ㈱
西芝電機 ㈱
パナソニック ㈱
パナソニック ㈱
パナソニック
エコシステムズ ㈱
日立アプライアンス ㈱
日立工機 ㈱
㈱ 日立製作所
富士電機 ㈱
所 属
受 賞 者
総務センター
志 賀 悟
デバイス技術部
塚本 直之
技術開発部
林 秀 美
技術開発部 制御システム・開発グループ
野田 貴史
電源機器製造本部 設計部 設計第二課
松本 美勝
技術本部 開発第一部 開発第一課
山 本 聡
クーリングシステム事業部 設計部
藤 巻 哲
クーリングシステム事業部 設計部
川島 高志
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 健康・環境システム
事業本部 スモールアプライアンス事業部 第 2 技術部
吉留 彰宏
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 健康・環境システム事
業本部 要素技術開発部 ネイチャーテクノロジー開発担当
志摩 秀和
環境技術研究所
小林 直人
空調生産本部 先行要素・基盤技術グループ
配川 知之
電力・社会システム技術開発センター
電力ソリューション・配電システム開発部
丹羽 芳充
電力・社会システム技術開発センター
電力ソリューション・配電システム開発部
浅利 直紀
ホームアプライアンス事業本部
HA 第二事業部 技術部
河野 哲之
ホームアプライアンス事業本部
HA 第二事業部 技術部
久野 功二
発電・産業システム事業部 発電・産業システム技術担当
黒田 弘人
制御システム事業部 制御システム設計担当
柳 哲 夫
アプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部
クリーナー技術部 クリーナー設計課
仲本 博司
アプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部
八日市工場 技術課
雁瀬 聡彦
生産技術本部 生産技術開発センター
生産技術研究所 実装技術開発部 接合技術課
越智 正三
生産技術本部 生産技術開発センター
高度生産システム開発センター 先行設備開発部 開発一課
前川 幸弘
IAQ ビジネスユニット 空質家電ディビジョン
技術グループ グローバルファンチーム
田 井 泰
IAQ ビジネスユニット 空質家電ディビジョン
技術グループ グローバルファンチーム
山下 達也
家電・環境機器事業部 多賀家電本部 第三設計部
濱田 貴子
家電・環境機器事業部 多賀家電本部 生産技術部
高嶋 智美
開発本部 第一設計部
武田 祐貴
開発本部 第一設計部
熊 倉 健
研究開発グループ 制御イノベーションセンタ
パワーエレクトロニクスシステム研究部
松元 大輔
インダストリアルプロダクツ社 パワーエレクトロニクス本部
宮川 良平
パワエレ機器事業本部 開発センター インバータ Gr
野村 和貴
技術開発本部 製品技術研究所 パワエレ技術開発センター
電力変換技術開発部 機種応用 Gr
古庄 泰章
38 電 機 2016・June
功績の題目(部門)
低圧大容量酸化亜鉛避雷器の
開発商品化(重電)
世界最小の急速充電器の開発(重電)
系統連系パワーコンディショナ評価に用いる
系統模擬電源システムの開発(重電)
「リバーシブルフローファン」の開発(重電)
新しいお茶習慣を提案する
「ヘルシオお茶プレッソ」
(家電)
空調機の発停運転を排除するプレミアム
冷房のための磁束制御形インバータ技術の
開発(家電)
高電圧、大遮断容量小型真空バルブの
開発(重電)
ドラム式洗濯乾燥機 TW-117X3、
117V3 の開発(家電)
発電装置負荷試験時の電力回生システム
の実用化(重電)
世界最軽量(本体質量 2.0kg)掃除機 MC-JP500G の開発(家電)
全自動誘導加熱ロウ付け装置の開発と
量産実用化(ものづくり)
創風機 Q(F-BL25Z)の開発(家電)
「W(ダブル)スキャン」システム過熱
水蒸気オーブンレンジの開発(家電)
業界初 AC ブラシレスモータ搭載のディスク
グラインダーおよび丸のこの開発(重電)
空冷両面冷却機構を適用した小型 UPS
(無停電電源装置)の開発(重電)
ハイブリッド SiC 素子を 690V 電源用途に
適用した高性能産業用インバータの商品化
(重電)
三菱電機 ㈱
三菱電機
ホーム機器 ㈱
㈱ 明電舎
㈱ 安川電機
㈱ 安川電機
先端技術総合研究所 電力変換システム技術部
泉 喜久夫
京都製作所 スマートエネルギー製造部
土本 直秀
家電製品技術部 クリーナー技術課
古山 拓也
家電製品技術部 クリーナー技術課
山岸 直樹
電力変換装置工場 技術部 技術課
青木 隆之
電力変換装置工場 技術部 技術課
須貝 拓也
ロボット事業部 ロボット技術部
産業用ロボット技術部 技術第 1 課
宮園 義彰
技術開発本部 ロボティクスヒューマンアシスト事業推進室 HA 事業推進第 2 チーム
吉田 秀作
技術開発本部 ロボティクスヒューマンアシスト事業推進室 HA 事業推進第 2 チーム
石川 邦彦
太陽光発電システムや商用電力と連携
動作可能な EV 用パワーコンディショナの
開発(重電)
“お部屋に出しておく” 新しい掃除スタイル
を提案するコードレススティッククリーナー
「iNSTICK」の開発(家電)
業界トップレベルの高効率・大容量化を
実現した電鉄直流き電用 PWM 回生
インバータの開発(重電)
高精度サーボモータを駆使したアーム長
可変ロボット MOTOMAN-VS100(重電)
サーボ制御で理学療法士の熟練の技を
再現する下肢用リハビリ装置「LR2」
(重電)
奨励賞
前述3賞の対象となるまでには至らないが、表彰に値すると認められるもの。
件数 63 件 受賞者 120 名
(敬称略・会社名 五十音順)
会員会社名
愛知電機 ㈱
愛知電機 ㈱
IDEC ㈱
㈱ 三社電機製作所
㈱ 三社電機製作所
山洋電気 ㈱
山洋電気 ㈱
山洋電気 ㈱
山洋電気 ㈱
所 属
受 賞 者
電力事業部 変圧器技術部 大形技術グループ
松原 和司
電力事業部 変圧器技術部 小形技術グループ
坂口 義行
電力事業部 変圧器技術部 小形技術グループ
苻川 謙治
電力事業部 環境エネルギー技術部
パワエレグループ
水野 秀則
電子製品事業部 企画開発部 X-E2
HMI 開発
松本 太志
電子製品事業部 企画開発部 X-E4
ソフトウェア強化
浦 川 大
電源機器製造本部 設計部 設計第四課
天野 英幸
技術本部 開発第一部 開発第二課
山 本 創
技術本部 開発第二部 開発第三課
佐生 浩士
功績の題目(部門)
真空バルブ式負荷時タップ切換器搭載型 22kV 自動電圧調整器(重電)
ハイブリッド型電圧調整器の開発(重電)
優れた耐環境性能と幅広い接続性を有する
HG2G-5T 形プログラマブル表示器の開発
(重電)
150kVA 次数間高調波重畳電源(重電)
技術本部 開発第二部 開発第三課
交直兼用 TIG 溶接電源(300A/500A)の開発
森 本 猛 (重電)
パワーシステム事業部 設計第二部
山岸 伸一郎
パワーシステム事業部 設計第二部
電力供給の信頼性向上と高効率化を実現した
無停電電源装置「SANUPS A11K」の開発
荻 原 康 彦 (重電)
サーボシステム事業部 設計第一部
宮下 利仁
サーボシステム事業部 設計第一部
堀 内 学
サーボシステム事業部 設計第一部
三澤 康司
サーボシステム事業部 設計第一部
高橋 昭彦
サーボシステム事業部 生産技術部
製造技術第一課 第三係
武捨 雅樹
サーボシステム事業部 生産技術部
製造技術第一課 第三係
坂井 直樹
高出力・軽量化を実現した小径 20 角
AC サーボモータの開発(重電)
小型軽量・高応答とマグネット使用量の削減を
両立したリニアサーボモータの開発(重電)
3 種類コアシート形状の積層技術の確立
(ものづくり)
[ハイライト]
39
ハイライト
[ 奨励賞 ]
会員会社名
シャープ ㈱
シャープ ㈱
シャープ ㈱
シャープ ㈱
シンフォニアテクノロジー ㈱
㈱ 正興電機製作所
ダイキン工業 ㈱
㈱ ダイヘン
㈱ ダイヘン
㈱ ダイヘン
大洋電機 ㈱
寺崎電気産業 ㈱
テンパール工業 ㈱
デンヨー ㈱
40 電 機 2016・June
所 属
受 賞 者
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部
メジャーアプライアンス事業部 第二技術部
江 場 豊
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部
メジャーアプライアンス事業部 第二技術部
吉川 真帆子
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部
IoT ソリューション事業部 IoT ソリューション推進部
杉 山 信
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部
要素技術開発部 ネイチャーテクノロジー開発担当
公 文 ゆい
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部 空調・PCI 事業部
第一技術部
渡辺 雅治
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部 空調・PCI 事業部
第一商品企画部
竹原 豊明
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部
スモールアプライアンス事業部 第二技術部
有馬 寿和
コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
健康・環境システム事業本部
スモールアプライアンス事業部 第二技術部
堀元 純生
鳥羽工場 技術部
尾崎 正太郎
電子精密機器工場 技術部 制御機器グループ
畑
事業統括本部 モノづくり統括部
生産エンジニアリンググループ
白水 邦彦
空調生産本部 空気清浄商品グループ
清野 竜二
空調生産本部 IAQ 技術グループ
鈴 村 啓
配電システム事業部 技術部 開閉器開発課
園 田 誠
配電システム事業部 技術部 開閉器開発課
綾部 浩一
プラズマシステム事業部 技術部
大上 泰幸
プラズマシステム事業部 制御技術部
深野 勝之
技術開発本部 高周波応用技術開発部
横田 真郎
技術開発本部 高周波応用技術開発部
鷲田 晃暢
可児工場 技術部
佐藤 直人
可児工場 技術部
土田 幸司
システム事業 海洋技術部 基本設計課
岡村 輝男
システム事業 海洋技術部 基本設計課
西田 秀一郎
技術本部 開発部
田中 康之
研究開発部
川畑 健太郎
研究開発部
翠川 圭佑
誠
功績の題目(部門)
家庭用ドラム式洗濯乾燥機 ES-Z210 の開発
(家電)
デザイン性と空気清浄能力の間の二律背反を
打破し上質な空気のカタチを表現した
「S-style 空気清浄機」
(家電)
DC ハイブリッドエアコンの開発(家電)
熱もダニも逃がさないエコなふとん掃除機
「コロネ」の開発(家電)
超小型 EV 用ダイレクトドライブインホイルモータ
およびインバータの開発(重電)
タブレット端末を活用した製造・品証業務の
合理化(ものづくり)
ユーザビリティを徹底的に追及した
加湿空気清浄機の開発(家電)
三相センサ内蔵自動真空開閉器の開発(重電)
小型高効率 13MHz 帯 30kW 電源の開発
(重電)
AGV 向けワイヤレス給電システムの開発(重電)
ライティングタワー専用コンデンサ式発電装置の
開発(重電)
船舶用集合始動器盤 GS50 の開発(重電)
オール電化・太陽光発電対応高機能ブレーカの
開発(重電)
可変速制御エンジン発電機の開発(重電)
会員会社名
㈱ 東光高岳
㈱ 東芝
東芝ホームテクノ ㈱
所 属
電力機器事業本部 小型変圧器製造部
設計グループ
槻 陽 平
技術開発本部 技術研究所 材料技術グループ
栗原 二三夫
生産技術センター メカトロソリューション推進部
寺井 藤雄
電力システム社 原子力機械システム設計部
岡 桂一朗
リビング機器技術部 調理技術グループ
加藤 善光
製造部 第一製造技術課
東芝三菱電機産業システム ㈱ モータ&ドライブ技術部
東芝三菱電機産業システム ㈱
東芝ライフスタイル ㈱
東洋電機製造 ㈱
㈱ 戸上電機製作所
西芝電機 ㈱
ニチコン草津 ㈱
日新電機 ㈱
パナソニック ㈱
パナソニック ㈱
パナソニック ㈱
パナソニック ㈱
パナソニック
エコシステムズ ㈱
受 賞 者
功績の題目(部門)
環境配慮型変圧器の開発(重電)
福島第一原子力発電所廃炉に向けた遠隔調査
装置の開発(重電)
IH ジャー炊飯器 RC-10ZWH、10ZPH の開発
中 島 守 (家電)
大柏 芳弘
プロセス制御研究開発センター プロセス制御開発課
新居 稔大
システム技術第一部 重工システム技術第一課
小松 孝史
ホームアプライアンス事業本部
HA 第一事業部 技術部
武下 正憲
ホームアプライアンス事業本部
HA 第一事業部 技術部
阿部 孝彦
交通事業部 交通工場 設計部
インバータ駆動システム設計課
藤 森 勇
交通事業部 交通工場 設計部 電動機設計課
山﨑 康成
技術本部 製品開発部 高圧開発グループ
岩部 敦也
技術本部 開発管理グループ
松枝 亮太
制御システム事業部 制御システム設計担当
古賀 充真
コンプレッサ駆動用超大容量ドライブシステムの
開発と事業化(重電)
冷間圧延向けフレキシブル形状制御システムの
開発(重電)
高容積率大容量冷蔵庫 GR-J610FV シリーズの
開発(家電)
ブエノスアイレス地下鉄向け電機品(重電)
ラッチ式 22kV 自動ガス開閉器(センサー内蔵型)
の開発(重電)
制御システム事業部 制御システム設計担当
電気推進機能付き軸発制御システムの開発
土 井 史 雄 (重電)
応用機器グループ 応用機器技術課 技術四係
川口 秀章
応用機器グループ 応用機器技術課 技術三係
高安定高速振り分けキッカー電磁石電源の完成
(重電)
吉野 達也
電力機器事業本部 受配電機器事業部 開発部
千 林 暁
電力機器事業本部 受配電機器事業部 開発部
福永 哲也
技術本部 ホームアプライアンス開発センター
開発第二部 第二課
久保 昌之
キッチンアプライアンス事業部 電子レンジ技術部 電子レンジ調理ソフト課
高山 富美子
ビューティリビング事業部 ヘルシー商品部
金綱 良壽
技術本部 ホームアプライアンス開発センター
開発第四部
三 原 泉
冷蔵庫事業部 商品開発部 冷却設計課
浜野 泰樹
技術本部 エアコン・コールドチェーン開発センター 開発第二部 第一課
柿田 健一
ビューティ・リビング事業部 制御技術部
パーソナル制御設計課
岩村 則宏
技術本部 ホームアプライアンス開発センター
開発第三部 第二課
筒井 真美
IAQ ビジネスユニット 換気設備ディビジョン
技術グループ サニタリ換気チーム
兼松 大輔
IAQ ビジネスユニット 制御・モータ技術グループ ソフトチーム
濱 恵美子
温湿度(塩分等付着)検出スイッチの開発と
実用化(重電)
解凍性能を向上させ,
「芯までほぐせる解凍」を
実現した電子レンジ NE-BS1200 の開発(家電)
ハイブリッド電気刺激技術を応用した
ひざトレーナーの開発(家電)
新微凍結パーシャル「酸化ブロック冷却」を搭載
した冷蔵庫 1V シリーズの開発(家電)
「非接触 1 時間充電」と「パワー制御機能」を
搭載した音波振動歯ブラシ EW-DE54 の開発
(家電)
省エネ浴室乾燥を実現した浴室換気乾燥機の
開発(家電)
[ハイライト]
41
ハイライト
[ 奨励賞 ]
会員会社名
パナソニック
エコシステムズ ㈱
パナソニック
エコソリューションズ電路 ㈱
日立アプライアンス ㈱
日立アプライアンス ㈱
日立アプライアンス ㈱
日立工機 ㈱
日立工機 ㈱
日立ジョンソンコントロー
ルズ空調 ㈱
(旧 日立アプライアンス㈱)
㈱ 日立製作所
㈱ 富士通ゼネラル
富士電機 ㈱
富士電機 ㈱
富士電機 ㈱
富士電機 ㈱
富士電機機器制御 ㈱
42 電 機 2016・June
所 属
受 賞 者
IAQ ビジネスユニット 空質家電ディビジョン
技術グループ 空清チーム
千 葉 伸
IAQ ビジネスユニット 制御・モータ技術グループ ソフトチーム
長瀬 哲也
商品技術部
星野 哲也
パワー機器 電路商品技術部
宮川 紘平
家電・環境機器事業部 多賀家電本部 第四設計部
仁 木 亨
家電・環境機器事業部 多賀家電本部 第四設計部
服部 健治
家電・環境機器事業部 多賀家電本部 第一設計部
山口 龍之介
功績の題目(部門)
3 方向吹出しと HEMS 対応の天井埋込形空気
清浄機の開発(家電)
HEMS 対応住宅分電盤搭載 系統連系用小型
ブレーカシリーズの開発(重電)
住宅向け太陽光発電システム用
パワーコンディショナーの開発(重電)
ドラム式洗濯乾燥機 ナイアガラすすぎ機能搭載
「ビッグドラム BD-V9800」の開発(家電)
㈱ 日立製作所 研究開発グループ
テクノロジーイノベーション統括本部 機械イノベーシ
ョンセンタ 信頼性科学研究部 機械 S5 ユニット
上甲 康之
家電・環境機器事業部 栃木家電本部 冷蔵庫設計部
平 山 宏
「マルチバルブ搭載」省エネ冷蔵庫シリーズの
開発(家電)
㈱ 日立製作所 研究開発グループ
社会イノベーション協創統括本部
東京社会イノベーション協創センタ 製品デザイン部
海老原 徹
ライフサイエンス機器事業部 設計部
大河原 正
ライフサイエンス機器事業部 設計部
クラス世界最高速と最静音を両立し、さらに真空
待ち時間を大幅に削減した超遠心分離機の開発
赤 津 幸 一 (重電)
開発本部 第一設計部
山田 英貴
開発本部 第二設計部
野口 裕太
栃木空調本部 空調システム設計部
大郷 賢一
栃木空調本部 空調システム設計部
茂木 喜和
研究開発グループ エネルギーイノベーションセンタ
電力流通研究部
栗田 直幸
㈱ 日立産機システム 受配電・環境システム事業部
変圧器設計部
中ノ上 賢治
空調機商品開発本部 国内空調機開発事業部
第一技術部
春山 賢二
空調機商品開発本部 空調機デザイン部
明田 安泰
産業インフラ事業本部 産業計測機器事業部
制御機器技術部 制御システム課
松本 雅好
産業インフラ事業本部 産業計測機器事業部
制御機器技術部 制御システム課
笹野 喜三郎
パワエレ機器事業本部 開発センター インバータ Gr
鷹見 裕一
技術開発本部 製品技術研究所
パワエレ技術開発センター 電機制御技術開発部
玉手 道雄
パワエレ機器事業本部 開発センター インバータ Gr
木内 忠昭
パワエレ機器事業本部 開発センター インバータ Gr
仲渡 由征
計測ソリューション開発部 工業計測開発 Gr.
工藤 高裕
計測ソリューション開発部 工業計測開発 Gr.
古市 卓也
開発本部 受配電開発部 低圧受配電機器課
江村 武史
開発本部 技術開発部 開発試験課
千葉 英樹
業界初 AC ブラシレスモータ搭載クラストップの高
性能ハンマドリルシリーズの開発(重電)
「くらしカメラ」の進化と気流制御の革新により
「節電」と「快適」を実現した
「ステンレス・クリーン 白くまくん」
(家電)
パワエレ機器用アモルファスフィルタリアクトルの
開発(重電)
“冷暖気流” と “室温気流” で極上の快適さを
作る新型ルームエアコン「ノクリア X シリーズ」の
開発(家電)
高速・省エネ監視システムの開発(重電)
位置決め機能搭載、高性能・小形スタンダード
インバータ FRENIC-Ace の開発(重電)
欧州エレベータ規格に対応したスリム形
インバータの開発(重電)
バッテリレス・ワイヤレス SAW 温度センサ
システムの開発(重電)
サーキットプロテクタの開発(重電)
会員会社名
㈱ マキタ
㈱ マキタ
三菱電機 ㈱
三菱電機ホーム機器 ㈱
三菱電機ホーム機器 ㈱
㈱ 明電舎
㈱ 安川電機
㈱ 安川電機
㈱ 安川電機
所 属
受 賞 者
開発技術本部 第 2 開発部
田原 隆如
開発技術本部 電装技術部
林 克 名
開発技術本部 第 1 開発部
近藤 友幸
先端技術総合研究所 電機システム技術部
開閉装置 G
中田 勝志
先端技術総合研究所 電機システム技術部
開閉装置 G
矢野 知孝
家電製品技術部 調理機器技術課
藤田 善行
三菱電機 ㈱ 住環境研究開発センター
製品化技術開発部 家事家電第二グループ
伊藤 ちひろ
家電製品技術部 クリーナー技術課
内田 龍一
家電製品技術部 クリーナー技術課
鎌田 亮介
電子機器事業部 電子機器工場 技術部 技術課
家田 正彦
技術開発本部 開発研究所
センサ・エンコーダ技術課
原田 正信
技術開発本部 開発研究所
センサ・エンコーダ技術課
高田 裕司
モーションコントロール事業部
コントローラシステム技術部 情報技術開発課
長 田 武
モーションコントロール事業部
サーボドライブ技術部 サーボ制御技術課
橋本 純香
ロボット事業部 ロボット技術部
アプリケーション技術部 技術第 1 課
金森
貴彦
功績の題目(部門)
ハイブリッド集じん機の開発(重電)
小型・軽量かつ高トルク化した充電式インパクト
レンチの開発(重電)
ガス絶縁開閉装置向けアーク磁界駆動遮断技術
の開発(重電)
かまどごはんを再現した IH ジャー炊飯器の開発
(家電)
業界唯一のエアブロー機能を搭載した,軽量小型・
高性能サイクロンクリーナーの開発(家電)
高度なプラズマ制御に特化した自動可変容量型
真空コンデンサ(重電)
高性能・超薄型バッテリレスエンコーダ(重電)
業界初! ものづくりを支えるクラウド活用
エンジニアリング(ものづくり)
MOTOMAN-VS100 による溶接ラインの生産性
向上(ものづくり)
[ハイライト]
43
ハイライト
委員会活動 優秀賞
功績の題目:グローバルに通用する短絡試験評価手法の構築
委 員 会 名:日本短絡試験委員会(JSTC)
・日本短絡試験技術委員会(JSTC-TC)
(敬称略)
法 人 名
名古屋大学
金沢大学
東京電機大学
㈱ 東芝
三菱電機 ㈱
㈱ 日立製作所
一般財団法人 電力中央研究所
東京大学名誉教授
東京大学
元九州工業大学
電気事業連合会
㈱ 東芝
㈱ 東芝
日新電機 ㈱
日新電機 ㈱
㈱ 明電舎
富士電機 ㈱
三菱電機 ㈱
氏 名
松村 年郎
田中 康規
腰 塚 正
中本 哲哉
菊池 邦夫
木田 順三
合 田 豊
河村 達雄
池田 久利
萩森 英一
早 田 敦
森 正
工藤 喜悦
石井 博美
阿久津 克則
斎 藤 仁
中島 昌俊
澤田 達男
JSTC
委員長
副委員長
委 員
幹 事
幹 事
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
-
委 員
-
委 員
委 員
委 員
委員会活動 優良賞
功績の題目:電気自動車搭載蓄電池の系統連系技術要件の整備
委 員 会 名:蓄電システム併設型分散電源認証検討 WG
(敬称略)
主 査
副主査
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
会 社 名
パナソニック㈱
シャープ ㈱
ニチコン ㈱
㈱ GS ユアサ
㈱ 東光高岳
㈱ 正興電機製作所
㈱ 本田技術研究所
三菱電機 ㈱
三菱電機 ㈱
東京ガス ㈱
富士電機 ㈱
㈱ デンソー
京セラ ㈱
エリーパワー ㈱
東芝燃料電池システム ㈱
オムロン ㈱
日立アプライアンス ㈱
日本電気 ㈱
ソニーエナジー・デバイス ㈱
㈱ 東芝
㈱ IHI
㈱ 高砂製作所
新電元工業 ㈱
田淵電機 ㈱
東芝ライテック ㈱
㈱ エヌエフ回路設計ブロック
44 電 機 2016・June
氏 名
山口 健二
阿部 和也
小口 富弘
栗坂 昌克
森口 益巳
中村 貴光
小谷 善明
泉 喜久夫
春日井 誠
三宅 治良
関 孝二郎
大 竹 高
楠瀬 智也
森岡 英樹
伊東 洋三
坪田 康弘
仁 木 亨
櫻井 光徳
菅野 直之
兒嶋 大輔
真島 隆司
本田 一晃
小林 貴之
新谷 昌孝
北川 晃一
明 石 純
JSTC-TC
-
-
委員長
-
委 員
幹 事
幹 事
-
-
委 員
-
-
委 員
-
委 員
委 員
-
委 員
最優秀賞の紹介
世界最大出力900MVA級 水素間接冷却タービン発電機の製品化
三菱電機株式会社
電力・産業システム事業本部
電力システム製作所
回転機製造部 開発課
三菱電機株式会社
電力・産業システム事業本部
電力システム製作所
回転機製造部 タービン発電機設計課
古賀 清訓
佐古 浩
1.はじめに
水素間接冷却タービン発電機は、図 1 のように発電機
のフレーム内に加圧封入した水素ガスによって機内各部
2.900MVA級
水素間接冷却タービン発電機の開発
2.1 大出力化技術
の冷却を行う方式のタービン発電機であり、大電流・高
これまで、水素間接冷却タービン機の出力は最大で
電圧を発生する固定子巻線の導体は、周囲を取り巻く主
700MVA 程度であったが、大出力化のための技術開発
絶縁を介して間接的に水素ガスによって冷却される。こ
によって 900MVA 程度まで拡大することにより、水冷却
のため、導体の内部を水で直接冷却する水冷却タービン
タービン発電機の出力領域の一部に水素間接冷却タービ
発電機と比較すると単機出力が小さい傾向にあるが、高
ン発電機を適用することが可能となった。大出力化を可
効率かつ保守性に優れるという利点がある。
能にした新技術を以下に説明する。
当社は、この水素間接冷却タービン発電機の大出力化、
さらなる高効率化および発電機体格をコンパクト化する
(1)固定子巻線主絶縁の高性能化
技術について開発を進めた。2014 年 11 月にこれらの新
大電流・高電圧を発生する固定子巻線内の導体は図 3
技術を適用した 900MVA 級の実機検証機(以下、検証
のように導体周囲を取り巻く主絶縁を介して間接的に水
機)を製作し(図 2)
、技術検証試験によって性能および
素ガスによって冷却される。複数に重ねたマイカ層と熱
各部の健全性を確認した。また、本シリーズ機では輸送・
硬化性樹脂を主材料として構成される固定子巻線の主絶
組立・点検面の改善も加え、付加価値の向上を図った。
縁は、熱伝導率が低く導体で発生した熱を通しにくいた
め、検証機では、構成材料および製作プロセスの改善に
より主絶縁の熱伝導率をさらに向上させた。
水素ガス
図 1 水素間接冷却タービン発電機の構造図
固定子巻線の主絶縁
固定子巻線の導体
固定子鉄心
図 2 水素間接冷却方式 870MVA 検証機
図 3 水素ガスによる固定子巻線の冷却
[ハイライト]
45
ハイライト
(2)通風路形状の最適化
の適正化により、軸受損を従来品から約 30%低減した。
回転子巻線は、導体内に設けた通風路に水素ガスを通
して導体を直接冷却する。検証機では、通風路の各部に
(3)金属構造物の漂遊負荷損低減
おいて圧力損失の低減および冷却性能の向上を目的に形
タービン発電機のフレーム等の金属構造物に漏れ磁束
状の最適化を図った。この結果、当該部の圧力損失が従
が鎖交すると、渦電流による漂遊負荷損が発生する。検
来形状と比較して約 60%低減することを CFD 解析(数
証機では、構造物の配置・形状の適正化および材料の見
値流体力学解析)および部分モデル風洞試験で確認した。
直しを行い、漂遊負荷損を低減した。
(3)固定子鉄心端部の損失・温度解析技術
2.3 コンパクト化技術
発電機の出力密度の増加に伴い、漏れ磁束の増加によ
鉄道輸送制限への対応や設置場所の省スペース化の要
る固定子鉄心端部の過熱が懸念されることから、渦電流
求など、タービン発電機にはコンパクトな設計が求められ
を考慮した三次元電磁界解析により損失と温度を評価し
る。検証機では、水素ガス冷却器の熱交換性能を改善し
た。検証機における定格電流発生時(三相短絡状態)の
て水素ガス冷却器の小型化を図るとともに、配置の適正
温度測定結果と解析結果は良く一致することを確認した。
化によって発電機の外形を従来機から約 20%縮小した。
2.2 高効率化技術
3.技術検証試験結果
タービン発電機の運転時の損失は固定損(風損、軸受
損、鉄損)と負荷損(銅損、漂遊負荷損)がある。検証
新技術を適用した検証機を製作して検証試験を実施
機では、これらの損失を低減する技術開発により効率の
し、水素間接冷却機として世界最大出力となる 900MVA
向上を図った。以下に高効率化技術の一部を紹介する。
級の出力特性と世界最高
レベルとなる 99%以上の
(1)高効率ファン
効率を達成したことを確
機内に加圧封入した水素ガスは、回転子軸の両端に取
り付けられたファンによって循環される。水素ガスの機内
認した。検証機の主な仕
様を表 1 に示す。
表 1 検証機の主な仕様
最大出力
力 率
回転速度
極 数
効 率
冷却方式
870MVA
0.90(遅れ)
3600min-1/60Hz
2極
99%
水素間接冷却
循環によって発生する風損の低減のため、新開発のファ
ンは図 4 のように翼形状およびファン入口の吸い込み風
路構造を適正化し、ファン効率を従来品と比較して約 10
ポイント改善した。
4.まとめ
水素間接冷却タービン発電機について、大出力・高効
率・小型化を可能とする技術開発を行い、これらの新技
術を適用した検証機によってその性能を確認した。また、
水素間接冷却タービン発電機としては世界最大となる
900MVA 級の出力と、効率 99%以上を達成したことによ
り、水冷却タービン発電機の出力領域の一部を水素間接
冷却タービン発電機で置き換えることが可能となった。こ
れにより、大出力領域においても高効率で保守面に優れ
図 4 ファンの高効率化
(2)低損失軸受
たタービン発電機の提供を可能とした。
当社では、新型の水素間接冷却タービン発電機を 200
~ 900MVA の出力領域で VP-X シリーズ機としてライン
当社は、回転子軸の両端を支持する軸受に比較的低損
アップ化し、2015 年 4 月より販売を開始した。今後もさ
失な直潤型ティルティングパッド軸受を多く採用してき
らなる技術開発を進め、高品質で信頼性の高いタービン
た。検証機に組み込んだ軸受は、パッド枚数や給油形状
発電機の提供に取り組んでいく。
46 電 機 2016・June
重電部門 優秀賞の紹介
(社名・所属は執筆時点)
世界最高耐圧の超高耐圧素子を適用した世界最小GIS用避雷器の開発
株式会社 東芝
エネルギーシステムソリューション社
浜川崎工場 避雷器部 避雷器技術担当
株式会社 東芝
エネルギーシステムソリューション社
浜川崎工場 避雷器部 避雷器技術担当
春日 靖宣
深野 孝人
1.はじめに
絶縁スペーサー
電力の安定的な供給が必須である現代においては、電
電位分布制御用
シールド
力流通に高度な信頼性が求められており、変電・配電・
送電系統に発生する雷などの過渡的な異常電圧(サージ)
から、変圧器、開閉装置などの電力流通機器を保護する
避雷器が重要な役割を果たしている。
SF6 ガス*1
絶縁ロッド
絶縁板
近年、経済性と環境負荷低減の観点から、変電機器の
小型・軽量化の要求が高まっており、GIS 機器の一つで
(b)ZnO 素子
ある避雷器においても同様である。
図 1 に示すように、避雷器には、酸化亜鉛を主成分と
(a)避雷器の全体図
したセラミックスである避雷器用 ZnO 素子が、多数個積
* 1:温室効果を有する電気絶縁性に優れたガス。GIS 用避雷器の絶縁媒体として使用。
層されて使用されている。ZnO 素子は、電流-電圧非直
図 1 GIS 用避雷器の構造図
線抵抗特性を有しており、運転系統電圧では微小電流し
か流れないが、雷などのサージにより高電圧が印加され
ると抵抗値が急激に低下して大電流が流れ、そのサージ
エネルギーを吸収することにより、電圧の上昇を抑制し、
電力流通機器を保護することができる。
この ZnO 素子は動作電圧を高めること(高耐圧化)に
2.開発・製品化の概要
2.1 超高耐圧素子の開発
ZnO 素子を高耐圧化するためには、ZnO 素子を高耐
圧化する結晶微細化技術と、素子が破壊せずに吸収でき
より、積層する素子枚数を低減することができ、GIS 用
るエネルギー量(耐量)を向上する技術が必要であり、
避雷器の大幅な小型化が可能となる。当社では 1997 年
これらの技術課題を、以下に示す手段により解決した。
に従来素子の 2 倍の動作電圧を有する 400V/mm 級の高
耐圧素子を製品化しており、今回、さらに高耐圧素子の
(1)結晶微細化技術(高耐圧化)
1.5 倍の動作電圧を有する世界最高となる 600V/mm 級
ZnO 素子の特異な非直線抵抗は結晶粒界で発現する
の超高耐圧素子を世界で初めて開発した。この超高耐圧
ため、図 2 に示すように、結晶微細化による、単位長さ
素子を適用した超高耐圧型 GIS 用避雷器を製品化し、大
当たりの粒界数を増加することによって、高耐圧化が可
幅な小型・軽量化を実現している。
能となる。本開発では、新しい組成(添加元素の成分比)
の開発と粉体処理における原料粉砕・混合工程の改善に
より、高耐圧化を実現した。
[ハイライト]
47
ハイライト
Low ← 温度 → High
ZnO 粒子
電流
粒界
(非直線抵抗)
従来素子
高耐圧素子
超高耐圧素子
図 2 微細構造の高耐圧化モデル
図 3 に、従来素子、高耐圧素子および超高耐圧素子の
(a)
リング発熱型
(b)熱応力緩和型
図 4 素子表面の発熱温度分布の改善
2.2 超高耐圧型 GIS 用避雷器の製品化
電流−電圧特性および微細構造の観察写真を示す。動作
図 5 に、代表例として 245kVGIS 用避雷器の構造比
電圧が高くなるに従い、結晶組織が微細化することを確
較図を示す。超高耐圧素子の適用による素子枚数の大幅
認した。
な低減によって、電位分布制御用シールドおよびタンク
形状の最適化を行うことにより、避雷器構造の簡素化と
動作電圧*2
小型化を実現した。
超高耐圧素子
ZnO 粒径:5μm
このため、245kVGIS 用超高耐圧型避雷器の容積およ
び SF 6 ガス使用量は、従来型に比べ 25%、高耐圧型に
比べ 50%に低減した。また本避雷器は、JEC 規格および
高耐圧素子
IEC 規格に基づいた形式試験および検証試験を行い、良
ZnO 粒径:7μm
好な試験結果を得ており、実系統においても十分な性能
を有していることを確認した。
従来素子
容積比:100%
50%
ZnO 粒径:12μm
25%
* 2:1mA の電流が流れたときの端子間電圧
図 3 ZnO 素子の電流 - 電圧特性と微細構造
また、避雷器の保護レベルに直接的に影響する指標で
ある ZnO 素子の非直線性は、一般に動作電圧(V1mA)
従来型
高耐圧型
超高耐圧型
図 5 245kVGIS 用避雷器の構造比較図
と大 電 流 領 域の電 圧(V10kA )の比(V 10kA /V1mA)で
表され、この値が小さい程、非直線性が向上したことを
示す。超高耐圧素子の非直線性は、従来素子に比べ約
10%、高耐圧素子に比べ約 4%向上した。
3.まとめと今後の展開
超高耐圧素子は新しい組成開発および製造プロセス
の改善により実現し、この超高耐圧素子を適用した世界
(2)エネルギー耐量向上技術
最小となる超高耐圧型 GIS 用避雷器を製品化した。GIS
ZnO 素子の結晶不均一性に起因するエネルギー吸収時
用避雷器の小型化は、使用される材料および内蔵される
の発熱温度分布は、素子内の抵抗値つまり ZnO 結晶粒
SF 6 ガスの使用量を低減できるため、省資源、温暖化防
径の分布である。本開発では、原料粉砕・混合工程およ
止に貢献しており、本製品は 2009 年より国内外問わず、
び熱処理工程の改善により、焼結反応時の ZnO 粒子粒
世界中のさまざまなユーザーに納入している。
成長を制御することによって、図 4 に示すように発熱温
また ZnO 素子の高耐圧化開発は、現在も継続してお
度分布を均一化し、発生する熱応力を低減することによっ
り、動作電圧が 1000V/mm 級となる超々高耐圧素子お
て、エネルギー耐量を向上した。
よびそれを適用した GIS 用避雷器の開発を進めている。
48 電 機 2016・June
家電部門 優秀賞の紹介
「圧倒的省エネ性能」及び「革新的気流制御搭載」のエアコン霧ヶ峰FZ シリーズの開発
三菱電機株式会社 静岡製作所
ルームエアコン製造部 技術第一課
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所
熱流体システム技術部 空調換気技術 G
手塚 元志
福井 智哉
1.開発の背景
その結果、ファンの送風効率(静圧効率)はクロスフ
ローファンの約 30%*1 からプロペラファンの約 50%*2 に
ルームエアコンの歴史を振り返ってみると、1968 年に
大幅に改善されるとともに、熱交換器の搭載量は同一断
壁掛けエアコンで初めてクロスフローファンを搭載した当
面においては 15%*3、実搭載量においては 27%*4 増加
社の“霧ヶ峰”は、当時画期的な小型化をもたらし、現在の
させることができた。また、熱交換器の表面積拡大は通
室内機のスタンダードな形態を作ってきた。しかし、約半
風抵抗削減にも寄与しており、ファンの送風効率改善分
世紀に渡って改善を続けてきたこの室内機の風路形態で
と合わせると、従来機種と比較して同一風量時のファン
は、昨今の厳しい省エネ要求に応え続けるには限界があ
モータ消費電力を 31%削減することができた。
る。特に近年では、筺体の奥行き寸法を拡大して熱交換
*1 *2 当社調べ。
器の搭載量を増やすことで、省エネ性の改善を進めてい
るが、これ以上筺体の奥行きを拡大できる余地は少ない。
*3 *4 家庭用エアコン 6.3kW クラスにおいて当社調べ。当社従来 MSZZW635S/ZXV635S と MSZ-FZ6316S/FZV6316S との比較。
また、人が感じる暑さ・寒さの感覚(温冷感)の異な
る二人が同じ部屋に共存している場合において、従来の
クロスフローファンの方式で空調すると、左右の風量の差
がほとんど付けられないため、左右の温度コントロールに
は限界があり、二人の快適性を同時に満足させることが
難しいという課題があった。
2.新製品の特徴
2.1 約半世紀ぶりの送風技術革新
今回省エネ大賞受賞に至った新製品では、上記課題を
解決するために、室内機の内部構造を抜本的に見直して
いる。従来のクロスフローファンの方式では、熱交換器は
ファンの吸気側を取り囲むように Λ 型に配置され、ディ
フューザはファンの排気側で風を送り出すためにスロープ
図 1 室内機内部構造の変化
表 1 プロペラ室内機の入力削減効果
形 態
クロスフロー室内機
プロペラ室内機
製品年度
従来機種
新機種
型 名
MSZ-ZW635S
MSZ-FZ6316S
47.5
32.8
送風機電力[W]
(Q = 18m3/min 時)
削減率[%]
31%
2.2 小型・高効率 DC モータの開発
形状として配置されていたが、スペース効率が悪く熱交換
今回の新型モータでは、フェライト磁石と希土類磁石
器をこれ以上増やせないという課題があった。そこで、レイ
を一体成形する “ハイブリッド構造” のロータを開発し、
アウト変更を行い、熱交換器は搭載量をさらに増やせる W
高効率化を実現した。また、フェライト磁石と回転軸を一
型に、送風機はより効率の高いプロペラファンに変更した。
体成形することで、モータの小型化が可能となり、プロペ
[ハイライト]
49
ハイライト
ラファンのボス部に格納できるめどが得られたことから、
左右で別々にコントロールさせて、同じ部屋の中に異な
革新的な内部構造の成立に結び付いた。
る温度空間を作り出すことができる。
実際に、当社環境試験室で測定したところ、暖房時の
足元温度評価において、最大で約 3℃ *5 の差を付けられる
ことが分かった。
図 3 モータ外観
図 2 モータ搭載状態
* 5 MSZ-FZ6316S/FZV6316S において。暖房時、当社環境試験室(20 畳)
において、外気温 7℃・室温 23℃で温度の感じ方が異なる人が同一空間
に二人いる場合の各々付近の足元温度。使用環境により効果が異なります。
図 4 薄肉連結コア
(ポキポキモータ)の展開状態
表 2 従来品と新開発のロータ比較
図 6 二温度空調時の温度分布
2.5 省エネルギー性
FZ シリーズでは、4.0kW から 8.0kW の発売クラスに
おいて省エネラベルの最高ランクである「★★★★★* 6」
を達成するとともに、5.6kW、6.3kW、8.0kW のクラス
2.3 人の温冷感をとらえる “ムーブアイ極” を開発
で業界 No.1*7 の APF を達成した。また、5.6kW におい
人間の体表近傍温度は、図 5 で示すように室温が下が
ては、当社従来品が 5 年間かけて積み上げてきた省エネ
ると心臓から遠い手や足の温度が冷たくなる特徴がある。
性の改善率 13.2%* 8 を、単年で 13.3%* 9 改善しており、
そこで、サーモパイルセンサの横方向の解像度を昨年比
省エネ性能の飛躍的な向上を実現している。
で約 4 倍にアップし、冷たい脚や腕を含む身体全体の温
* 6 省エネラベリング制度による省エネラベル表示において
度をとらえることで温冷感の精度を上げる検討を実施した。
* 7 2016 年 5 月 10 日現在。国内家庭用エアコン 5.6kW、6.3kW、8.0kW ク
ラスにおいて。MSZ-FZ5616S/FZV5616S 期 間 消 費 電 力 量 1558kWh、
MSZ-FZ6316S/FZV6316S 期 間 消 費 電 力量 1805kWh、MSZ-FZ8016S/
FZV8016S 期間消費電力量 2609kWh(JIS C 9612:2013)
* 8 2010 年度モデル MSZ-ZW560S(期間消費電力量 1,998kW)と 2015 年
度モデル MSZ-ZW565S(期間消費電力量 1,765kW)との比較。JIS に基
づく条件による。
* 9 2015 年度モデル MSZ-ZW565S(期間消費電力量 1,765kW)と 2016 年
度モデル MSZ-FZ5616S(期間消費電力量 1,558kWh)との比較。JIS に
基づく条件による。
3.最後に
図 5 人体温度分布 ※1
<引用文献>
※1 Jürgen, A.;Rütger W.;Kern und Schale im Wärmehaushalt des Menschen,
Aufsätze Naturwissenschaften, Volume 45, Issue 20, pp.477-485(1958)
圧倒的な省エネ性能とパーソナルな気流制御を併せ持
つ “霧ヶ峰 FZ シリーズ” は、これからの超省エネ時代の
要求に応えられる、新しい時代の “エアコンのあり方” を
2.4 左右独立気流で “二温度空間” を実現
二つのプロペラファンを独立回転数で駆動させること
ができる “パーソナルツインフロー” は、吹き出し風量を
50 電 機 2016・June
提案するものである。近い将来、この室内機の形態がルー
ムエアコンの第二のスタンダードとして置き換わっていく
ものと考えている。
ものづくり部門 優秀賞の紹介
(社名・所属は執筆時点)
多品種少量向けモジュラー型設計・生産システム開発
株式会社 日立製作所
サービス&プラットフォームビジネスユニット
制御プラットフォーム統括本部
ものづくり統括設計部
株式会社 日立製作所
サービス&プラットフォームビジネスユニット
制御プラットフォーム統括本部
製造部
上野 信也
青木 敏雄
1.はじめに
客に必要な機能を定義し、機能単位にモジュールを区分
して、データベースに機能モジュールを登録しておく。製
電力・公共・産業などのさまざまな社会インフラを支
品の設計段階においては、登録された機能を選択するだ
える情報制御システムは、顧客個別仕様に対応するため、
けで、機能モジュールが組み合わされて、顧客が必要と
多品種少量受注生産で対応している。その一品一様な製
する製品設計が自動で完了する。また、顧客の新たな要
品の設計・製造におけるきめ細やかな対応は強みである
求に対しては、機能モジュールの組み合わせで設計完了
一方、グローバル時代の市場競争においてはスピード面・
した製品に、新規に設計した部分のみを追加することと
コスト面で課題があった。強みを守りつつグローバル市
した。これにより短期間で顧客要求に応えた製品設計が
場で勝ち抜くために、以下 3 つの要件を挙げ、顧客要求
実現した。
に応えた製品を量産品と同等の効率やコストで生産する
さらに、この新規に設計した部分は差分データ抽出機
仕組みづくり(マス・カスタマイゼーション)の実現を図
能により、差分情報の見える化(追加・削除・変更ごと
るため、
「多品種少量向けモジュラー型設計・生産システ
に色別表示)も可能にした。この見える化された差分情
ム」の開発に取り組んだ。
報の中で、今後も繰り返し生産する有効な部分に対して
(1)需要変動に速やかに対応する
は、新たなモジュールとしてデータベースに登録する。こ
(2)顧客要求に応えた製品を提供する
の差分データを活用したサイクルによって、需要変動や
(3)量産品と同等なコスト競争力を持つ
顧客要求に応えたモジュールの蓄積が可能となった。ま
今回その中で、主なシステムの概要と特長について紹
介する。
た、モジュール化した固定情報と差分情報を有効活用す
るために、後工程作業のハード設計・製造・ハード試験
に対して情報を展開する仕組みも構築した(図 1)
。
2.システム概要と特長
2.1 モジュラー型設計システムの開発
従来は顧客ニーズに対応するために、一品一様で製
品設計を行っていたため、設計にかかるコストが大きく、
リードタイムも長くなっていた。そこで顧客が必要とする
機能をモジュールとしてあらかじめ準備し、その組み合
わせを選択することにより製品設計を自動で行う機能と、
顧客要求対応にて新たに設計した部分を、差分データと
して抽出・展開する機能を持つシステム開発を実施した。
まず、製品をモジュール化するために、あらかじめ顧
図 1 モジュラー型設計システムの概要
[ハイライト]
51
ハイライト
2.2 部門協調型システムの構築
やしてきた(図 3)
。開発後は、生産に使用している動態
従来、製品設計および製造における改善は各々の部門
情報取得 RFID(Radio Frequency Identification)およ
にて個別で行っていたため、改善効果も部分的なものと
び、1 作業 1 ページごとにパソコン画面に表示される作
なっていた。そこで、設計部門と製造部門全体での協調
業ナビのページ送り時間を活用し、1 作業単位での生産
により改善効果の最大化を図るため、部門協調型システ
実績データとして抽出することで、計測作業のレス化を
ムを構築した(図 2)
。
実現した。さらには、抽出した生産実績データをワースト
順にソートすることにより、ボトルネック作業を瞬時に摘
出することが可能となった。このボトルネック作業におい
ては作業ナビ画面やビデオ映像を自動で切り出すことが
可能であり、短時間でのネック作業摘出から問題点分析
が可能となった。この IoT(Internet of Things)を活用
した分析により、改善 PDCA サイクルの高速化および高
効率生産を実現した。
図 2 部門協調型システム構築の概要
設計部門で設計した機能モジュールのコスト評価を行
い、目標コスト達成となった設計データ(固定情報、差
分情報)を製造部門に展開する。製造部門は展開された
設計データを活用し、待ち構えによる生産準備を行い、
改善を折り込んだ作業環境を事前に構築しておくことで
垂直立ち上げを実施する。これにより、量産と同等なコス
図 3 IoT を活用した生産システムの概要
ト競争力を実現した。また、製造部門においては日々生
産改革活動を実施しており、改革によって得られた改善
効果の実績データおよび製造ノウハウをモジュラー型設
計にフィードバックすることで、製品構造およびコスト評
価など、設計精度の向上が可能となった。
3.おわりに
今回のシステム開発により、顧客要求に応えた製品を
量産品と同等の効率やコストで生産する仕組みづくり(マ
ス・カスタマイゼーション)が実現できた。今後は IoT
2.3 IoT を活用した生産システム開発
のさらなる活用により「データ収集・蓄積」
、ビッグデー
前項にて説明した製造部門の生産改革活動の一環とし
タや人工知能技術を活用した「分析」
、シミュレーショ
て、生産実績データからの分析手法の確立およびシステ
ン技術を活用した「対策立案」
、制御技術を用いた「現
ム開発を行った。従来の作業分析はビデオ撮影や作業者
場へのフィードバック」を、制御技術と情報技術の融合
の作業時間計測により、分析者が対象の作業全体から課
“ OT(Operational Technology)×IT ” により実 現し、
題の抽出を行っていたため、非常に多くの分析時間を費
顧客ニーズに応えていく。
52 電 機 2016・June
TO P I C S トピックス
IoT ASIA 2016 参加報告
-シンガポールで開催の IoT に関するカンファレンス-
一般社団法人 日本電機工業会
スマートマニュファクチャリング特別委員会
副委員長 松
隈 隆志
◇
一般社団法人 日本電機工業会
IoT に関する政策や技術について展示、発表する IoT
ASIA 2016 がシンガポールで 3 月 30 日 ㈬ ~ 31 日 ㈭
技術部 次長 高
橋 一郎
重電部 調査統計課長 市
村 浩一
主催者
シンガポール産業自動化協会(SIAA)他
開催内容
2014 年にスタートし、2016 年で 3 回目の開
に開催され、一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)か
催。政府、産業、社会、医療などの分野か
らも展示とプレゼンテーションを実施した。以下、その内
ら IoT を活用して今後の発展が期待される
容について報告する。
テーマについてのカンファレンスが中心。
1.開催概要
会 期
2016 年 3 月 30 日 ㈬ ~ 31 日 ㈭
会 場
シンガポール・エキスポ・コンベンション&
出展社数
2.展示ブース
(1)概要
・シンガポール:センサ、スマートメータ、ドローン利
エキシビジョンセンター
用の 3D 計測、サーボモーター用の通信などを展示。
80 社/団体
また、アドバンテックがシンガポール内で実施して
カンファレンス 15 カ国/地域からプレゼンターが参加
いるバスやタクシーの運行記録や、競技場の来場者
来場者数
管理のシステムを展示していた。
3,795 名(前年比 75%増)
図 1 シンガポール外務大臣 兼 スマート・ネイション・イニシア
チブ大臣によるあいさつ
図 2 オープニングセレモニー会場
◇オムロン株式会社 商品事業部 技術開発センタ
[ハイライト]/[トピックス]
53
TO P IC S トピックス
・台湾:店舗向け、教育向けのシステムを展示。メ
ディアテックが IoT 向けの携帯回線利用のチップを
展示。
・米国:インテル、アクセンチュア、マイクロソフトが
展示。
・欧州:オランダ・ブースでセキュリティやシステムの
開発ツールを展示。ST マイクロが MPU(IoT 向け
の CPU)を利用した住宅などの監視、制御を展示。
図 5 エインドホーベン市(オランダ)の市長来場
(右から 2 番目)
・日本:三菱電機、アンリツ、相模テレコミュニケー
ションが通信技術を中心に展示。JEMA も展示。
3.カンファレンス
カンファレンスは次の 3 つのトピックスについて開催され
た。
(1)企業・団体によるソリューション展示
(2)ゲストによる基調講演
(3)出展者セミナー(5 種類のトラック)
・SMART CITIES トラック
図 3 アドバンテック 競技場来場者管理システム
(2)JEMA の展示
今回、初めて JEMA の展示ブースを設けた。SCF(シ
ステムコントロールフェア)や、スマートマニュファク
・IoT DATA ANALYTICS トラック
・DESIGN APPLICATIONS トラック
・WEARABLES トラック
・INDUSTRIAL IoT トラック
出展者セミナーは業界別に 5 つのトラックに分かれて
チャリング特別委員会について、SCF の映像、チラシ、
おり、INDUSTRIAL IoT トラックの 2 日目に、JEMA か
ポスターを使って展示し、SCF への出展の勧誘も実施
ら、スマートマニュファクチャリング特別委員会の松隈副
した。ブースへの来場者数は 150 名であった。また、ス
委員長が委員会の活動内容についてプレゼンテーション
マートマニュファクチャリング特別委員会のプレゼンテー
した。
ションを実施した後には、シンガポール IBM の技術者か
ら制御製品についての質問があった。なお、日経 BP 社
(IoT ASIA の設立メンバー)の協力を得て SCF に関す
る展示を実施した。
図 6 スマートマニュファクチャリング特別委員会の活動内容の
紹介(松隈副委員長)
プレゼンテーションでは、前半に JEMA を紹介し、後
図 4 JEMA ブース
54 電 機 2016・June
半でスマートマニュファクチャリング特別委員会の提言
書「製造業 2030」について説明した(図 6、7)
。
シンガポールでは「Smart Nation」と称する国家戦略
の下、IoT による「暮らしやすい街づくり」を目指してお
り、今回の展示内容もスマートシティに関するものが多
かった。発表の前には、モノづくりの将来像をテーマにし
た本講演に対してどれだけの方が関心を持ってくれるの
か集客に不安があったが、結果的に盛況になり、プレゼ
ンテーションの後には JEMA の展示ブースへの来客が増
加した。
図 8 シンガポール産業自動化協会(SIAA)と JEMA の面談
図 7 プレゼンテーション資料より
(スマートマニュファクチャリング特別委員会の設立について)
4.ミーティングへの参加
参加した団体間で会場内の会議室を使い個別にミー
図 9 ラウンドテーブルミーティング後の記念撮影
5.おわりに
今回、IoT ASIA に参加し、カンファレンスでのプレ
ティングを実施した。JEMA が出席した主なミーティン
ゼンテーションや SIAA 等とのミーティングを行って、
グには、シンガポール産業自動化協会(SIAA)とのミー
JEMA の IoT や SCF に関する取組みを海外に発信し、
ティングとラウンドテーブルミーティングがある。
アジアの企業からの SCF への出展を勧誘した。
プレゼンテーションを通して、シンガポールでの発表
(1)SIAA と JEMA のミーティング
日 時 3 月 30 日 ㈬ 13:00 ~ 14:30
出席者 SIAA(オリバー会 長、タン氏など)
、JEMA
(海老塚専務理事、高橋)
者に対する配慮の良さ(発表者専用の控え室の提供、軽
食の提供、カンファレンスの聴講が自由)を実感した。
一方で、開催前のプレゼンテーションのための提出物
に関しては大変苦労させられた。ホームページに掲載す
内 容 SIAA の IoT ASIA に対する取組み(テーマの
る顔写真の体裁に色々と注文があり、結局 3 回送ること
選定や政府との協力など)
。今後の情報交換に
になった。プレゼンテーション資料についても、PDF に
ついて。
変換したり、サイズを変更したりと、何度も作り直すこ
とになった。シンガポールの街がきれいなのは有名だが、
(2)ラウンドテーブルミーティング
日 時 3 月 30 日 ㈬ 15:00 ~ 17:00
出席者 4 カ国・地域(シンガポール、オランダ、台湾、
日本〈JEMA、日経 BP〉
)18 団体
展示会にもこだわりや美意識の高さがうかがえた。
近年シンガポールでは、企業のグローバルな展開にお
いて、アジア地域を統括する支店が集まってくるようにな
り、一人当たりの GDP では日本以上の豊かさとなってい
内 容 各団体の業務の紹介、IoT に対する取組みの紹
る。各国からシンガポールに人材が集まり、アジア系の
介(JEMA からスマートマニュファクチャリン
エンジニアも欧米系のエンジニアも英語を使って議論し
グ特別委員会が発行を予定する提言書について
自己主張する場に居合わせることができ、その理由の一
紹介)
、IoT アイデア表彰制度設立を決定。
端を見ることができたと感じた。
[トピックス]
55
TO P IC S トピックス
メキシコにおける電力改革の進展状況と
電力公社製品認証機関との意見交換
~会員企業によるメキシコ市場参入の一助として~
一般社団法人 日本電機工業会
インフラ・システム輸出推進検討 WG
主査(2015 年度)今
1.はじめに
村 正宏
◇
2.出張概要
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)では、2011
日 程: 2016 年 3 月 7 日 ㈪ ~ 12 日 ㈯ 年度より、重電政策委員会/重電業務委員会傘下に「イ
訪問先: ■メキシコ・連邦区メキシコ市、
ンフラ・システム輸出推進検討 WG」を設置し、発送変
・メキシコエネルギー産業協会(AME)
電分野における会員企業の海外事業展開に向けた種々の
・在メキシコ日本国大使館
活動を推進してきた。
・国際協力銀行
(JBIC)
メキシコ駐在員事務所
2013 年度には、会員企業による「新規市場開発」を
・三菱日立パワーシステムズ メキシコ社
支援することを目的に、日本の電機業界の代表団として
・東芝 メキシコ社
メキシコの発送変電事業者や監督官庁等を訪問すること
を通じて、電力改革の構想や関係諸機関の構成等を確認
■グアナフアト州イラプアト地区
・メキシコ電力公社(CFE)システム・材料試
しつつ、会員企業の市場への新規参入に際して、ベース
となるような情報の収集と、日本企業が活動しやすい市
験研究所
(LAPEM)
調査団:インフラ・システム輸出推進検討 WG 主査を含
場ニーズの発掘を行った。
め、4 名で構成
さらに 2014 年度には、経済産業省 製造産業局「新興
国市場開拓等事業」の補助をいただき、メキシコの電力・
一般産業向けインフラ案件の組成を目的に、①会員企業
代表者によるミッション派遣、②現地でのワークショッ
3.情報収集:メキシコ市場と
電力改革の進展状況
プ開催、③日本への要人招聘、を行ったほか、メキシコ
上記に記載のとおり、メキシコにてそれぞれの立ち位
エネルギー産業協会(AME)と当会の間で電力産業分
置でアクティブな活動をされている各所を訪問して、
「メ
野における相互の情報交換やインフラビジネス発掘に向
キシコの経済状況」
「エネルギー改革の現状」
「電力分野
けた連携強化を図っていくことを目的とした覚書(MoU)
の政策および電力改革の進展」などの切り口で、懇談さ
を締結した。
せていただいた。詳細については、59 ページ以降に「詳
2015 年度の活動の一環で実施した今回のメキシコ訪
問では、AME および現地諸機関との意見交換を通じて、
日々変化しているメキシコ電力改革の最新動向を確認し
た。また、メキシコ電力公社(CFE)に製品を納入する
際には避けて通れない「製品認証」の実施機関であるシ
ステム・材料試験研究所(LAPEM)を訪問し、当会会
員企業の製品の受入れに向けて必要な諸手続き等につい
て調査・意見交換したので、以下に報告する。
◇株式会社 東芝 インフラシステムソリューション社 企画部
56 電 機 2016・June
細情報」として記すが、その概要は以下のとおりである。
表 1 各所を訪問して得られた情報のサマリー
項 目
概 要
●
メキシコの
経済状況
エネルギー
改革の現状
電力分野の
政策および電
力改革の進展
経済成長率は順調に推移(対前年比:1.7%増〈2013 年 〉
、
2.1%増〈2014 年 〉)。
●
人口は1億2,701万人(2015年)。引き続き増加の見込み。
●
自由・開放的な貿易政策に転換。自動車産業を積極誘致。
●
●
●
石油公社(PEMEX)およびメキシコ電力公社(CFE)に
よる石油・電力供給の独占を民間に開放。組織改正も併せ、
外資にも機会が拡大。
再生可能エネルギーが全発電量に占める割合を 2024 年
までに 35%とする国家目標を提示。
①高効率化による電力コスト削減、②市場開放・民間資本
導入、③クリーンエネルギー振興、を柱に改革が進行中。
4.メキシコエネルギー産業協会
(AME)との交流
ついて調査を行った。
われわれの今回の訪問は、日本からの初めての訪問者
ということで、Jorge(ホルヘ)副所長以下、多くのスタッ
前述のとおり、AME と当会の間では、電力産業分野
フに大変好意的なご対応をいただいた。研究所の試験設
における相互の情報交換や、インフラビジネス発掘に向
備(高電圧、材料分析)を時間をかけて見学することが
けた連携強化を図っていくことを目的とした覚書(MoU)
でき、また CFE 向け発電・送配電機器の認証システムが
を 2015 年 3 月に締結している。
どうなっているか、どのように試験が行われるのか、また、
今回の訪問では、AME 幹部の定例昼食会に JEMA 出
エネルギー改革により今後予想される CFE の組織変更が
張者が同席する形で AME の主要メンバー(商社、ガス
現行組織や業務にどのような影響を与え得るのかなどに
事業者、メーカ、IPP 事業者、コンサルタントなど計 10
ついて意見交換をすることができた。概要を以下に示す。
名)との交流を行った。
当会の事業概要、会員企業の構成・事業内容、相互交
5.1 組織概要
流の必要性・重要性等を説明するとともに、当会として
LAPEM は、CFE において発送変電設備の材料と機
も、日本の技術・製品・システムをメキシコ市場に紹介
器に関する試験・認証を業務とする研究所で、60 年以上
することに注力していきたく、メキシコでのビジネスに必
の歴史がある。従業員数は約 150 名。現在は CFE 傘下
要な技術・製品・ソリューションがあれば当会を窓口とし
であるが、エネルギー改革後は、CFE グループの分社組
て活用いただき、問い合わせをいただくなども含め、引き
織になることが決定しており、より独立性をもって認証を
続き連携を深化していくことを確認した。
行っていくことになる。独立の結果として、より活動の幅
を広げていきたいし、将来的には第三者認証機関として
の役割を担っていくとの説明があり、将来の顧客になり得
る日本企業への期待感が感じられた。
5.2 LAPEM の役割
LAPEM は、CFE の技術的サポート機関として、製品
および新技術に対するプロトタイプ試験の実施と認証の
発行や、型式認証(Type test Certificate/Report)の発
行業務などを担当している。さらに CFE に納入された後
図 1 AME との意見交換会
に事故を起こしたシステム・部品(タービンブレード、熱
交換器の蒸気配管等が実際にあった)の分析を通じ、事
故原因の特定も行っているとのこと。現実問題として、
5.LAPEM(CFE のシステム・
材料試験研究所)訪問
原因究明に熱心でない・協力的でない企業が存在するこ
とや、製品をライセンス契約の下で生産しており、製品
を構成する要素技術やそれらの特性を十分に把握してい
冒頭にも紹介したように、CFE に製品を納入する際に
ない企業からの製品納入も実際に発生しているということ
は、CFE の各主管部門(火力発電、水力発電、送変電、
から、CFE が受けた損失を保険により求償する際の鑑定
地熱発電など)が提示した仕様書に準拠した製品である
も視野に入れた活動ととらえられそうである。主な試験
ことを「認証」してもらう必要がある。今回、時宜を得
設備を表 2 に示す。
て、メキシコシティから飛行機で 1 時間程度の地点(グ
説明によれば、対応できる領域の拡大を強く志向して
アナフアト州イラプアト地区)に位置する製品認証実施
おり、将来的には、材料のナノ分析、再生可能エネル
機関「システム・材料試験研究所(LAPEM)
」を訪問し、
ギー分野に関連した技術の解析等にも注力する予定との
当会会員企業製品の受入れに向けて必要な諸手続き等に
ことであった。
[トピックス] 57
TO P IC S トピックス
また、CFE 案件に入札する際の条件には、LAPEM に
識すれば、今後はコストダウンに資するあらゆる提案に
よる製品認証の取得が含まれ、この認証のもとになる技
は前向きに採用を検討すべきと考えている、との知見も
術仕様書は、基本的には、CFE の主管部門の技術委員
披露された。
会および傘下の WG で作成・承認されるものの、その仕
様書の内容の最終的な精査は LAPEM が担当していると
のことであった。今まではそれほどでもなかったようだが、
今後は、国際規格との整合性の確認を重視していかなけ
ればならないと感じているように見受けられた(ちなみに、
Jorge 氏は 2015 年の IEC 東京大会の機に来日している)
。
このほか、CFE 案件落札者の検査・監査業務のみならず、
IPP プロジェクトに対しての監査(audit)も行っている
とのことであった。
表 2 LAPEM の主な試験設備
図 2 LAPEM との意見交換会
雷/開閉インパルス試験、交流耐電圧試験、
高電圧試験所
部分放電試験、静電容量試験、汚損試験、劣化試験、
現地高電圧試験(GIS、電力線)など
損失試験、ヒートラン試験、電流試験、短絡試験、
大電力試験所
アーク試験、機械的試験、温湿度試験、騒音試験、
など
材料試験
電子顕微鏡による材料分析、など
6.おわりに
今回の調査で、電力市場の民間開放へと大きく舵を
切ったメキシコの電力改革の実情を把握するとともに、
CFE に製品を納入する際に LAPEM が主導して行う製
品認証の手続き概要や受入れ体制について有益な情報を
5.3 技術の進歩、経験の蓄積などを踏まえた
新製品や新技術の受入れ
得ることができた。
当会では、メキシコ電力市場調査を開始した 2013 年
CFE への新技術導入にあたり、CFE が要求する技術
から交流を深めてきた現地業界団体等とのパイプを今後
仕様書(Technical Specification)に適合しているかを
とも維持しながら、メキシコでの当会会員企業の事業開
確認するため、試作機の検証およびその認証としてプロ
拓につながる支援活動を継続していく所存である。
トタイプ試験を実施し、併せて供給者(応札者)の工場
最後に今回の調査にあたり、ヒアリングにご協力いた
監査・認定の上、製品の型式認証を発行する活動も行っ
だいた現地の在外公館や各日系企業の関係者の皆さま、
ている。技術仕様書に用いられる主な規格には、NOM
現地において訪問先との調整を快くお引き受けいただい
(Norma Oficial Mexicana:メキシコ公式規格)
、NMX
た東芝メキシコ社 松澤社長に、この場を借りて、あら
(Normas Mexicanas:メキシコ任意規格)
、NRF、IEC、
ためて御礼申し上げたい。
ISO、IEEE、ANSI、ASME、などが挙げられていた。
意見交換会においては、現状では、新技術の受入れに
ついて保守的(=否定的)ではあるものの、エネルギー
改革に伴う CFE の分社化や低廉な電力料金の実現を意
58 電 機 2016・June
<参考文献>
・守田裕彦「インフラシステム輸出推進に係る JEMA の取組み」
『電機』第 772 号(2014 年 10 月発行号)
・荒 弘美「インフラシステム輸出につながるメキシコ電力市場調査事業」
『電機』第 777 号(2015年6月発行号)
詳細情報
今回の訪問に際して、関係各所を訪問して得られ
た情報に、帰国後、文献調査を行って整理した内容
は以下のとおりとなる。
割強を占めるメキシコにとって、石油開発の再活性
化が急務であった。
また電力分野ではメキシコ電力公社(CFE)の独
占のもと、電力需要は経済発展に伴って順調に推移
1.メキシコ経済
しており、2015 年の発電電力量は前年比 4%増の
メキシコでは、2012 年 12 月の連邦政府と主要三
313,518GWh(発電設備容量 68,418MW)となって
党の合意文書「メキシコのための協約」に基づき、
いた。事業別発電電力量の割合を図 3 に示す。しか
エネルギー、財政、通信、教育、労働をはじめとす
し一方では、従来から電力コストが高いという課題
る 11 分野において構造改革が進められており、経済
を抱えていた。
成長率(対前年比)は 2013 年に 1.7%増、2014 年
に 2.1%増と堅調に推移している。人口は、日本を超
えて 1 億 2,701 万人(2015 年)となり、引き続き増
加が見込まれている。
コジェネ
5%
その他
3%
自家発電
7%
1994 年の北米貿易自由協定(NAFTA)を契機と
して自由・開放的な貿易政策に転換し、貿易量と外
貨直接投資の受入額が拡大している。製造業は輸出
IPP
28%
の 8 割の金額を占めるほどに成長した。特に自動車
CFE
57%
産業では、北南米向け製造拠点として日本を含む世
界の自動車メーカの工場集積が進み、2014 年には生
出典 CFE
産台数が世界 7 位となった。背景として、道路・港
湾などの輸出に必要なインフラ、若い人口構成と豊
図 3 事業別発電電力量の割合
(2015 年)
富な労働力、低く安定した労働コストなど、投資に
有利なビジネス環境が整っていることが挙げられる。
エネルギー改革は、これら石油部門と電力部門の
メキシコへ進出した日本企業数は近年加速的に増
民間開放を主目的とした 2014 年 8 月のエネルギー
加して過去 5 年で 2 倍となり、在留邦人数も 2015
改革法公布以降、本格的に始動した。改革の主な内
年には約 9,500 人となった。好景気に沸くメキシコ
容は、①国営企業独占であった石油資源開発および
であるが、治安対策、人材確保などの課題もあるよ
発電事業における部分的な民間開放、② PEMEX お
うである。関係者によれば、有能な通訳や課長級人
よび CFE の財政・組織強化のための組織改革であ
材の確保は非常に難しいとのことである。
り、この脈絡から外資企業にもビジネスチャンスは拡
大している。
2.エネルギー改革の進展
メキシコは、1938 年に石油産業を国有化して以来、
石油公社(PEMEX)が独占して石油資源開発を進
今回の調査を通じて、石油鉱区の開発や、それに
向けた事業者の募集、PEMEX、CFE など国営企業
の組織改革は、順調に進んでいることが確認できた。
めていたが、原油価格の下落、原油埋蔵量・生産量
の低下や資金力・技術力不足による新たな深海油田
開発の停滞が生じていた。石油収入が国家歳入の 3
3.電力分野の政策および電力改革の進展
メキシコ政府は、発電分野においてガス火力発
[トピックス]
59
TO P IC S トピックス
電、クリーンエネルギー発電を重点拡大する方針を
象付けようとしているからか、電力料金の先行値下
示した(図 4)
。クリーンエネルギーを増強するため、
げを実施しており、その結果、PEMEX や CFE の業
2024 年までに再生可能エネルギーによる発電電力量
績が悪化しているようである。
設備容量と発電量の違いが明確に示されていない。
また、コージェネおよび原子力をクリーンエネルギー
に含めるかについても、新規の原子力発電施設の設
置に関する住民感情などに配慮してか、明確に示さ
(米セント/kWh)
を全体の 35%とする国家目標が提示されたが、発電
25 21.6
20.4
18.3
20
15
10
15.3 14.6 14.4
12.3 12.2
10.4 8.7
5
0
れていないようである。
出典 KPMG, Cometitive Alternatives, 2014
燃料別発電設備容量
(2015年9月末)
図 5 産業用電力価格の国際比較
その他
1%
ターボガス
5%
コンバインド
サイクル
クリーン
36%
エネルギー
27%
水力
22%
地熱
1%
石油
21%
石炭
10%
太陽光
0%
原子力
3%
風力
1%
コンバインド
クリーン
サイクル
エネルギー
40%
47%
ターボガス
石炭
2%
6%
石油
4%
水力
18%
になるが、発電分野では一部民間参入が許可された
2015 年より電力オークションによる長期契約の導入、
風力
14%
バイオマス
0%
電分野は引き続き国の管理下で CFE が運営すること
を見込んでいる。基本的には CFE への売電となるが、
原子力
2%
地熱
3%
既に行われており、今回の電力改革により送電・配
ことを受けて、市場原理が働くことによるコスト削減
燃料別発電設備容量
(2024年)
その他
1%
発電事業における民間資本の導入は 2000 年から
スポット市場の開設、大口需要家への個別売電契約
太陽光
2%
コージェネ
8%
出典 JBIC資料
図 4 燃料別発電設備容量の目標値
電力改革は主に、①電力コスト削減、②電力市場
開放・民間資本導入、③クリーンエネルギー振興を
が認められ、海外の発電事業者およびメキシコ民間
資本が参入してきている(図 6)
。CFE の入札予定
をみると、ガス火力を中心に風力、水力、地熱など
の幅広い案件が計画されている(図 7)
。
3.2 燃料転換(ガスだき火力発電導入)の進展
燃料転換とは、老朽化し、かつコストの高い重油
目指し、2016 年 1 月から本格的に開始されている。
だき火力発電から、環境負荷が少なくかつ高効率な
以下に概要と進展を記す。
ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)など
の LNG だき火力発電への転換を示しており、同時
3.1 電力コスト削減
に発電コスト低減も目指すものである。燃料転換に
従来、メキシコでは電力料金が高いことが課題と
向けた天然ガスパイプライン建設は順調に進行して、
なっており(図 5)
、政府はその対策として、①電力
既設のパイプライン長は 11,342km に達し、建設中、
市場の自由化により競争原理を導入して料金を引き
入札中、計画中案件の合計も既設の 61%にあたる
下げること、②燃料転換(石油から LNG、そして米
6,945km もある。
国産シェールガス)による発電コスト削減を行って
先述の通り、CFE は、燃料転換や効率改善が十
いる。成果の実現と刈り取りは、新設発電プラント
分に進まない中、自由化された発電分野における民
が運転を開始する将来になると思われるが、エネル
間主導の IPP や自家発電との競争力強化のために、
ギー改革、電力改革が成功裏に進む状況を国民に印
先行して工業・商業用向けの電気料金を 20 ~ 30%
60 電 機 2016・June
下げたことで、過去最大の赤字を計上した。結果と
25%、24 年には 35%とすることを義務付けた。未達
して CFE の活動が鈍化し、GTCC の開発計画が遅
分は、CO 2 排出権に相当する「再エネ証書(CEL)
」
延するなどの影響が出ており、また一部の投資家は
を購入しなければならない。
発電設備への新規投資に対して様子見に入ってい
地熱発電については、2015 年 7 月に CFE 向け地
る。ガス火力発電の市場を見極めるためには引き続
熱割当て鉱区(生産 5 鉱区、探鉱 13 鉱区)
、通称
き CFE の動向を注視する必要がある。
「ラウンドゼロ」が決定され、案件が動き出している。
このラウンドゼロは、国全体のポテンシャルの 3.3%
に相当し、残り 96.7%は民間での開発が可能となっ
3.3 クリーンエネルギー振興
メキシコ政府は、2024 年までに再生可能エネル
ている。メキシコにおける当会会員企業による地熱
ギーによる発電電力量を全体の 35%とする国家目
発電設備のシェアは 75%を占めており、今後の受注
標達成のため、大口需要家に対して非化石燃料に
も期待されている。現況を見れば、当会の会員企業
よる電力の利用割合を 2018 年までは 5%、20 年に
による市場参入の可能性は十分にあるとみている。
図 6 電力改革後の電力市場の仕組み
6,000
設備容量[ MW ]
5,000
ガス火力
火力ボイラー 41
風力
1,145
4,000
1,569
1,000
0
3,148
3,717
水力
火力ボイラ-
152
200
3,000
2,000
地熱
136
75
588
400
3,246
2,726
984
2016
2017
2018
2019
2020
出典 在メキシコ日本国大使館資料
図 7 メキシコ電力公社(CFE)が入札する発電事業
[トピックス]
61
TO P IC S トピックス
アジア地区銅ダイカスト連合広州会議
出席報告
一般社団法人 日本電機工業会
高効率モータ普及委員会事務局
重電部 産業機器企画業務課長
小 川
1.概 要
晋
中国やインドなどに比べ国内メーカの量産化は遅れて
いるが、電気自動車駆動モータでの評価や高速回転時の
第 3 回 Asian Copper Die-casting Confed-
損失増大改善など、日本においては他国にない活動を行っ
eration(ACDC)広州会議
ており、技術的優位性の高い銅ロータを目指していると
開催期間
2016 年 3 月 10 日 ㈭ 9:00 ~ 17:30
のこと。
開催地
ホテル・クラウンプラザ広州シティセンター
開催会議
会議場(中国広州市)
主催者
国際銅協会(ICA)
先方対応者 梁棟氏、周甠氏、李東森氏他:国際銅協会
(ICA)アジア地区担当者
なお、ICA のスタンスは、モータ、変圧器およびエ
アコン等の家電製品において最低エネルギー効率基準
(MEPS)による規制の導入をサポートするとともに、導
入済の品目については規制値の改訂を促進することによ
り、最終製品における銅の使用量増を図ることである。
参加国・地域 中国、台湾、インド、韓国、日本が講演、
35 名が出席
2.背景・目的
世界的なエネルギーの有効活用化の流れから、日本で
3.講演(要旨)
筆者からは、以下の内容で講演した。骨子を記載する。
まず、日本において、モータが省エネ法のトップラ
ンナー制度の対象となった経緯などを説明した。また、
もモータ(三相誘導電動機)の高効率化規制が 2015 年 4
MEPS では、出荷時にモータ単品の効率が一定以上であ
月から始まったが、世界ではさらに高い効率のモータ開
ることを判断基準にしているのに対して、トップランナー
発が進んでおり、アルミに比べ電気的特性が優れた銅製
基準は、一年間に出荷された製品効率の加重平均値とし
ロータを用いたモータの利用が期待されている。また、高
ているという差異についても説明した。製品の定格ごとに
効率化規制の適用対象外のモータにおいても、銅の優れ
設けた区分別に効率の加重平均が行われているため、具
る熱放散性や耐食性を活かし、工作機械分野や水中ポン
体的な区分と区分ごとの目標効率値についても紹介した。
プ分野などでの銅ロータモータの拡大が期待されている。
トップランナー製品の目標基準値は数年ごとに見直さ
このような状況の下、アジア地区銅ダイカストメー
れることとなっており、現在に至るまで、見直しの際には
カとの連 携を深める第 3 回 Asian Copper Die-casting
効率のさらなる改善や適用範囲の拡大が検討されてきた
Confederation(ACDC)が中国の広州で開催され、国際
ことを紹介した。モータのトップランナー基準についても
銅協会(ICA)より、日本銅センターを通じ、日本におけ
2015 年度に目標年度を迎えたが、一定年数経過後に具
る省エネルギーの成功事例について講演してほしいとの
体的数値を再検討することになっていることを紹介した。
要請があり、本会議に参加した。
加えて、省エネルギー政策の総論として、日本では早
なお、日本からは国内ダイカストメーカ(株式会社 明
くから、一定規模の事業者・事業所には中長期的なエネ
石合銅)と共に一般社団法人 日本銅センターが参加し、
ルギー原単位の削減計画の立案、実行、年度ごとの報告
中国、台湾、インド、韓国の各ダイカストメーカとの情報
や、省エネルギーにかかわるエネルギー管理士の配置を
交換を行った。
義務付けていることを紹介。省エネルギーに関するエキ
62 電 機 2016・June
resources
infrastructure
5.成果とむすび
TRADE
スパートエンジニアの認定や専門知識を持った管理者に
BUSINESS
GLOBAL
WORLD STANDARD
より、省エネルギーにつなげている状況を PR した。
ELECTRIC POWER
GNP
今回、アジア地区の銅ダイカスト技術開発の取組みお
よび ICA の活動に協力することで、アジア(中国、台湾、
4.その他の講演(概要)
or ga ni za t i o n
インド、韓国など)における活動の協力パートナーになる
と期待できる人々と直接コミュニケーションを取る機会が
以下に、講演者・タイトルを示す(講演順)
。
持てたことは大きな成果である。
講演タイトル他
JEMA 小川 晋(日本、筆者)
日本におけるモータの
トップランナープログラム
南陽防爆 玉佳彬 氏(中国)
高効率モータの小型化・軽量化の
理論と実践
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)では、引き続
き各国・地域の政策動向を把握しながら、高効率な機器・
日本銅センター
銅ロータモータ用絶縁ケミカル材料
需要開発部長 幸 洋二氏(日本) (明石合銅との共同研究の紹介)
Eul Ji Electrical Machinery Co.、LTD.
Sales Director、Young Ki Paek 氏(韓国)
EJ Motor 社の事業紹介
Kapil Core Packs(KCP)
Harish Dua 氏(インド)
KCP 社の事業紹介
TECO Jim Chang 氏(台湾)
TECO モータの事業紹介・市況
Foxnum 廖永盛 氏(台湾)
Foxnum 社の事業紹介・
EV モータの事業紹介
WORLD 銅ロータ(CMR)モータの
上海電器科学研究院 黄坚 氏(中国)
システムの適用拡大を通じ、社会全体での省エネルギー
resources
化を推進していく。ご関係の各社、各位におかれては、
中国の新規格
Buhler 汪本平 氏(中国)
ダイカストマシンの紹介
雲南銅技術開発 楊旭 氏(中国)
銅ロータ(CMR)を用いた
infrastructure
モータの改修技術
これまで以上のご理解とご協力をお願い致したい。
0.000001
講演者
GLOBAL
会場風景
[トピックス]
63
TO P IC S トピックス
ASEAN 諸国での
冷蔵庫の標準化活動の取組み
一般社団法人 日本電機工業会
冷蔵庫省エネ普及評価 WG 主査
今田 寛訓
1.はじめに
◇
そこで一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)として、
実使用に則した機器のエネルギー効率評価基準である新国際
近年、各国経済の相互依存性が高まり、急成長を遂げ
規格(IEC 62552:2015)の開発に積極的に取り組むととも
ている ASEAN 諸国との連携がますます重要になってき
に、ASEAN 諸国へ理解促進・普及を図り、信頼性のあるラ
ている。また、世界的に省エネルギーに対する意識が高
ベリング制度などを通じて各国の省エネルギー政策に貢献す
まっている中、ASEAN 諸国においても近年の経済発展
る。そのため、経済産業省の委託事業を活用して、ASEAN
を背景としたエネルギー多消費型製品である冷蔵庫の普
省エネルギー最適評価方法の開発や試験機関の新規格習熟
及が進みつつある。しかしながら、わが国は高い技術を
度向上のための協力を行い、ASEAN 各国に対して新規格の
有しながらグローバル市場(特に ASEAN 市場)では、
早期導入を働き掛かけてきた。
必ずしも優位性を発揮できていないのが現状であり、日
本の優れた技術(例えば、わが国の優れたインバータ省
エネルギー技術)が正当に評価されることが日本製品の
ASEAN 市場への普及拡大にとって重要である。
本稿では、この一年の委託事業*での取組みについて報告
する。
*平成 27 年度エネルギー使用合理化国際標準化推進事業(省エネルギー等国際標準共
同研究開発・普及基盤構築事業:家庭用エアコン及び冷蔵庫の新国際規格に基づく
「省エネ最適評価方法(簡易測定方法)
」に関する国際標準化・普及基盤構築)
表 1 各規格比較まとめ
◇パナソニック株式会社 アプライアンス社 冷蔵庫事業部 商品開発部 冷却設計課
64 電 機 2016・June
2.新国際規格 IEC62552:2015
および ASEAN 省エネルギー
最適評価方法の開発
要件を選定した。
タイが ASEAN で初めての導入であり、ASEAN 省
エネルギー最適評価方法のベースとなるため、地域要
件の適正な選定が重要となる。しかしながら露付き防
消費電力量測定は、40 年以上前に欧州で開発された
止ヒータ用の人口分布荷重確率の採用時に、日本提案
規格を基礎としている IEC62552:2007 で行っている国・
と異なる確率表を採用するとの課題があったが、より
地域が多い。しかしながら、日本や米国、豪州など間冷
多湿条件となる日本作成の確率表がタイの気候には近
式冷蔵庫が主流の国では、独自の試験規格を開発し、運
いことを説明し、受け入れられた。
用しているため、消費電力量の国際比較が困難であり、
新タイ規格(TIS455)と MEPS 発行は、2016 年中
輸出入時には、各規格での試験を行う必要がある。①再
旬の審議会承認を受け、法的手続を行い、2017 年初
現性があること、②繰り返し測定が行えること、③試験
めにラベル切り換えの実施予定である。
費用が高価ではないこと、④世界的に認められること、
(2)マレーシア
⑤使用実態に即していることを満足するよう新国際規格
新国際規格採用に向け、国内委員会がマレーシア
を IEC/SC59M にて開発を行い、2015 年 2 月に発行さ
国内で予算化された。このため、国内委員会および省
れた。新国際規格は、あらゆる地域での使用実態に即し
エネルギー政策機関主催のワークショップに参加し、
た試験方法となるよう開発し、各国の試験規格とするた
ASEAN 省エネルギー最適評価方法をどのように国内
めに、試験を実施する際の ①周囲温度、②製氷試験、③
規格へ具現化するか検討を行い、地域要件を盛り込
負荷投入試験、④露付き防止ヒータ用の人口分布荷重確
んだ MEPS(MS2595)の改正案作成の協力・支援を
率等を各地域で規定する必要がある。これらの地域要件
行っている。
を ASEAN 諸国の環境や使用実態を考慮し、ASEAN 省
エネルギー最適評価方法の開発を行った。
新国際規格に基づく国内試験規格は、パブリックコ
メントを経て、大臣承認後、2016 年中旬に発行予定
である。MEPS は、2018 年内の施行予定であり、試
3.ASEAN 各国に対する
取組みと現状
3.1 各国規格作成委員会への協力
験データの収集やラベリング基準の作成等の支援を行
い、遅延なく事業推進していく予定である。
(3)インドネシア
省 エネルギ ー 政 策 機 関、標 準 化 機 関と協 議し、
ASEAN 省エネルギー最適評価方法に対する理解度
ASEAN 省エネルギー最適評価方法の採用に向けた検
が、ラベリング制度等に大きく影響を及ぼすと考え、省
討を 2015 年から始めた。そのため、新国際規格の導
エネルギー政策機関・標準化機関・試験機関のみならず
入に向けた検討委員会設立や具体的なロードマップを
各国のステークホルダーへの働き掛けが重要である。上
把握することに重点を置き、支援を行っている。国内
記各機関の訪問に加え、規格を作成する技術委員会への
のステークホルダーに対し、ASEAN 最適評価方法を
出席や標準化セミナーを開催して ASEAN 省エネルギー
採用するメリットを説明し、新規格採用に向けた国内
評価方法が省エネルギー政策において有効であることや
委員会の設立および具体的な検討スケジュールも協議
具体的なデータ計算方法などの説明により、理解促進を
をしてきた。また、インドネシア内での性能評価できる
進めている。
試験設備が不足していることなど、新国際規格導入に
(1)タイ
標準化機関、省エネルギー政策機関および電力公社
向けての課題も共有化できた。
(4)フィリピン
と協力して、新タイ規格(TIS455)および新 MEPS
国内技術委員会で、新国際規格採用のメリットや冷
(TIS2186)の作成を行っている。タイ国内規格審議委
蔵庫の試験方法などを実演して説明してきた。フィリ
員会に出席しメンバーと議論を重ね、タイの気候、流
ピンでは、テストパッケージを使用する貯蔵試験も必
通している冷蔵庫の種類、使用実態等を考慮した地域
要なため、消費電力量試験がシリンダー方式に変更す
[トピックス]
65
TO P IC S トピックス
ることで、試験準備に時間がかかるという課題があっ
表 2 ラウンドロビン試験結果データ(単位:kWh/year)
た。しかし、日本側から従来規格と比べ試験日数で不
利ではないことや、測定時間短縮等のメリットなどを説
明した結果、2016 年内のフィリピン国内規格(PNS)
化を目指す合意が得られた。
(5)シンガポール
旧国際規格での MEPS およびラベリングが 2014 年
9 月に改定されたばかりで、2 年以上の継続が必要と
タイ試験機関
A
タイ試験機関
B
マレーシア
試験機関
Max-min 差
(%)
合 計
735.4
762.4
759.0
3.6
安定時
569.3
593.3
585.4
4.2
霜取り時
95.5
104.2
96.0
9.1
負荷投入
70.5
65.0
77.6
19.3
② 実機試験結果
のことから、新国際規格導入の検討もこれからであり、
フィリピンおよびインドネシアでは、新国際規格に
新国際規格への理解、データ収集等に相応の検討日程
基づくデータ解析の経験が少ないため、測定データ
を必要としている。2016 年からの新しい省エネルギー
の解析方法に重点をおきながら、技術習得の協力を
法の枠組みに沿って、新国際規格の採用に向けた導入
している。必要最低限の試験データの抽出など可能
検討がされるものと見込まれる。
なレベルにあるが、今後、データ解析など試験報告
書作成までの一連の研修が必要となっている。
3.2 試験機関への協力
③ 各国試験機関から研修受け入れ
(1)活動内容
現地で性能試験設備が不足しているインドネシア
2014 年度までの試験機関の協力の結果、タイは自
および新人試験員が多いマレーシアから、試験員を
立可能な実力となり、マレーシアもそれに次ぐ能力を
日本へ招聘して受け入れ研修を実施した。研修では
持つに至った。しかしながら、フィリピンはデータ解析
基礎的な知識の講義や実践的な測定体験および実際
の経験不足、インドネシアは試験経験が少なく基礎的
のデータ解析などの研修を実施している。
な技術習得が必要という課題がある。タイおよびマレー
シアのさらなる試験能力向上とフィリピンおよびマレー
シアの課題を解決するため、タイ試験機関 A、タイ試
3.3 国際ワークショップ開催
ASEAN 諸国(タイ、マレーシア、インドネシア、フィ
験機関 B、およびマレーシア試験機関の 3 試験機関で、
リピン、シンガポール、ベトナム)の省エネルギー政策
タイ試験機関 A が主体となってのラウンドロビンテス
機関、標準化機関、試験機関の 3 部門の代表者 28 名
トの実施、およびフィリピン試験機関およびインドネシ
を招聘し、各国の新国際規格の採用状況やラベリング・
ア試験機関に対して、試験経験を積むことを重視して
MEPS 規制などの情報交換や、試験機関での評価試験
実機による試験を実施した。また、インドネシア試験
結果を共有することを目的とした国際ワークショップ(総
機関と他 2 機関(インドネシア)およびマレーシア試
勢 70 名)を 2016 年 1 月に開催した。新国際規格の採
験機関に対して、日本の試験設備を活用し、負荷投入
用に向けた取組みが加速されてきていることが確認でき、
試験を含む一通りの ASEAN 最適評価方法に基づく試
また、ASEAN 省エネルギー最適評価方法に基づき各国
験を行い、試験精度の向上や試験方法の理解度の向上
試験機関が実施した消費電力量の試験結果を相互に評価
を図った。
し、試験機関が抱える課題とその具体的な解決策を共有
①ラウンドロビン試験結果
した。
タイとマレーシアの 3 試験機関の間で新国際規
格に基づくラウンドロビンテストを実施した。共に
期日通りに試験を完遂し、ASEAN の試験機関のみ
で実施した初めての試験にもかかわらず試験結果は
表 2 に示す通り、試験機関間の最大差分が 3.6%と、
4.今後に向けて
4.1 各国規格作成委員会への協力
日本から提案している ASEAN 省エネルギー最適評
2015 年度の日本が主体で行った結果とほぼ同等とな
価方法を ASEAN 諸国で調和する方向性や各国のロー
り、期待する精度の確認ができてきた。
ドマップを確認できた。これは、今までの事業活動に
66 電 機 2016・June
おいて、省エネルギー政策機関、標準化機関に対して、
は自立の可能性が見えてきている。フィリピンおよびイン
ASEAN 省エネルギー最適評価方法に基づくラベリング
ドネシアの試験機関は、性能評価の基本的知識習得の段
制度が各国の省エネルギー政策に有効であることの説明
階にあり、高度な知識を要する新国際規格を理解するに
を繰り返し行ってきたことで、深い理解と認識を示した
は、さらに踏み込んだ協力が必要となる。
結果と思われる。タイやマレーシアでは、ASEAN 省エ
試験機関の能力については、国により差が顕著になっ
ネルギー最適評価方法導入を決定し、他の国も 2018 年
てきており、各国の試験機関の能力に応じたきめ細かな
をめどに自国の規格に反映する検討に入るロードマップを
協力を行っていく。タイ、マレーシアは、認証試験するた
共有することができてきた。
めに求められる能力と経験を試験機関が獲得できるよう、
ASEAN 省エネルギー最適評価方法では、今までの測
正確性や迅速性を高めるための課題抽出とその解決策の
定データを生かすことが困難なため、試験データの解析
考案を行い、フィリピン、インドネシアは試験マニュアル
や MEPS 案作成などきめ細かな協力が求められてきてい
に沿った試験経験を積むことに重点をおき、データ解析
る。規格および基準策定に深く入り込んだ協力が重要で
や試験報告書の作成等を含む一連のトレーニングが必要
あり、各国ごとの技術委員会に深く関わった活動を行い、
である。
現地メーカの試験データの活用や日系企業との情報共有
が重要となっていく。
4.3 まとめ
また、各国規格に採用する地域要件の確認も重要な課
本事業の推進の結果、ASEAN 諸国では新国際規格を
題であり、各国のキーパーソンと緊密に情報交換し、技
活用する各国省エネルギー政策への有効性の理解が深ま
術委員会や政府機関傘下の規格作成委員会など通じて、
り、国ごとに新国際規格の採用に向けたロードマップも共
ASEAN 省エネルギー最適評価方法を確実に導入される
有することができた。次の展開を実りあるものにするため
よう、継続して事業を推進していく必要がある。
に、引き続き、各国への協力を継続して行い、ASEAN
各国の信頼性のある新国際規格の早期導入に向けて貢献
できるよう邁進したいと考えている。
4.2 試験機関への協力
試験機関の技術力向上については、タイやマレーシア
図 1 ASEAN 各国の新国際規格導入ロードマップ
[トピックス]
67
TO P IC S トピックス
ASEAN 基準認証制度の調和動向調査報告
一般社団法人 日本電機工業会
海外規格認証技術専門委員会 副委員長
内 田 由紀夫
1.はじめに
◇
品質管理諮問評議会(ASEAN Consultative Committee
on Standard and Quality:以下、ACCSQ)議長国であ
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)会員各社
るインドネシア、および ASEAN 加盟各国の Informa-
の事業拡大の動きの中で、最重要市場の 1 つである東
tion booklet 作成推進の調整を担当しているシンガポー
南 ア ジ ア 諸 国 連 合(Association of Southeast Asian
ルとし、2015 年 3 月に実施した湾岸低電圧機器技術規
Nations:以下、ASEAN)* 1 の市場(以下、ASEAN 市
則現地調査同様、今後の調査ルートとして現地機関との
場)において、2015 年 12 月に基準認証の域内統合を目
協力関係構築も考慮した現地調査を実施した。
以下に現地調査の結果を報告する。
指し、各国認証制度の調和化・共通の技術基準制定等の
作業が推進中であるとの認識を会員各社が共有していた。
その各国認証制度調和の加盟国間協定である AGREEMENT ON THE ASEAN HARMONIZED ELECTRICAL AND ELECTRONIC EQUIPMENT (EEE)
REGULATORY REGIME*2(以下、AGREEMENT ON
* 1 加盟国:インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、
ブルネイ、ベトナム 、マレーシア、ミャンマー、ラオス
* 2 http://www.asean.org/storage/images/archive/documents/AHEEERR.pdf
2.JEMA 調査団メンバー
AHEEER)は ASEAN のウェブサイトに公開されてお
海外規格認証技術専門委員会 副委員長
り、2005 年 12 月に合意されている。この規則は2010 年
内田由紀夫* 3(筆者)
12 月31 日までに加盟各国は国内規則を準備するとなって
同委員会 委員代理
山際 信之* 4
いるが、海外規格認証技術専門委員会としては、その準備
は 2015 年 12 月31日まで延期されるとの共通認識であり、
同委員会およびその傘下の海外認証制度検討分科会メン
バー各社は鋭意調査・分析し、情報共有を行ってきた。
* 3 パナソニック株式会社 品質・環境本部 製品法規課
* 4 テュフ ラインランド ジャパン株式会社 営業統括部
現地支援会社
シンガポール:‌TUV Rheinland Singapore Pte. Ltd
しかし、ASEAN の情報基盤からは満足の得られる情
報入手が困難であること、その運用や実施等の見通し
Panasonic Asia Pacific Pte Ltd
インドネシア:PT TUV Rheinland Indonesia
が見えないことから情報は錯綜し、AGREEMENT ON
AHEEER が予定通り施行されているのか否か不透明感
を残しつつ、各社はウェブサイトから得られる数少ない
3.日程および訪問先
情報に基づき、手探りで対応を準備せざるを得ない状況
日 程:2016 年 3 月 20 日 ㈰ ~ 3 月 24 日 ㈭
であった。そのため、早期状況把握を目的に同委員会は
訪問国と訪問先:
現地へ調査団の派遣を行い、関係当局から ASEAN 基準
・シンガポール
認証制度の最新調和動向の情報を直接聞き取り、現地に
規格・生産性・革新庁(以下、Spring Singapore)
おける進捗状況を確認するとした。訪問国は ASEAN 全
Spring (The Standards, Productivity and Innovation
体の標準化・品質管理内容を検討する ASEAN 標準化・
Board) Singapore, Consumer Protection, Weights &
Measures
◇パナソニック株式会社 品質・環境本部 製品法規課
68 電 機 2016・June
今 回 の Spring Singapore お よ び BSN と の 面 談 調
・インドネシア
国家標準管理庁(以下、BSN)
査により、ASEAN 基準認証制度調和の推進は、既存
BSN (BANDAN STANDARDISASI NASIONAL),
の ASEAN 域内の相互承認協定(Mutual Recognition
Research and Cooperation on Standardization
Agreement(MRA)
:以 下、ASEAN MRA)の 拡 大と
充実を図り、そして AGREEMENT ON AHEEER を基
4.調査結果
本とした各国規則調和の達成を図るという二段階推進と
なっており、現在は、既存の ASEAN MRA の拡大と充
以下に調査結果をまとめる。なお、その内容は当局と
実を図る第一段階を推移していることがわかった。この
の会合において口頭で得られた情報であり、流動性が高
ASEAN 基準認証制度調和の推進は JSC EEE で議論が
い内容も含まれていることに注意されたい。
進められ、原則的に全会一致で決まる。
加盟国間で締結されている ASEAN MRA は既に発効、
4.1 ASEAN 基準認証制度調和の方向性と
AGREEMENT ON AHEEER
実施されているが、AGREEMENT ON AHEEER に基
づく規則の調和については合意されているものの、内容
ACCSQ で は 各 分 野ごとに WG や 委 員 会が 設 置さ
そのものは見直し中であること、また、AGREEMENT
れている。電 気 電 子 機 器の標 準 化・品 質 管 理は JSC
ON AHEEER は全加盟国が国内規則に落とし込むとこ
EEE(Joint Sectorial Committee for Electrical and
とで発効するも、インドネシアとミャンマーでは導入され
Electronic Equipment:以下、JSC EEE)で議論される
ていないこと、そして、インドネシアは本年 8 月、または
12 月の導入が目標であるが、ミャンマーは不明であるこ
(図 1)
。
図 1 ASEAN 標準化・品質管理諮問評議会
図 2 ASEAN 電気・電子機器相互承認制度概要
図 3 ASEAN 試験所および認証機関のリスト化
[トピックス]
69
TO P IC S トピックス
とがわかった。
また AGREEMENT ON AHEEERの発効は、ASEAN
4.5 適合手段の採用
製品の危険度が全加盟国の合意に基づき規定される。
事務局からの General booklet の発行をもって実施の通
製品に適用する適 合手段は ISO/IEC 17067 に基づき
知となる、という説明を両機関から説明をもらった。
表 1 のように、危険度によって、High Risk、Medium
Risk、および Low Risk と規定される。調査時点で 9 製
4.2 ASEAN MRA
ここからは、今回調査で明らかになった ASEAN MRA
の拡大と充実についてまとめる。
品が Medium Risk として合意されていたが、その他の危
険度は合意されていない。
また、119 規格において製品の危険度が議論されてい
ASEAN 基準認証調和の第一段階を担い現在運用が実
る。ただし、製品の危険度に応じた適合手段の採用は各
施されている ASEAN MRA による相互承認の制度概要
加盟国に委ねられており、調査時点、適合手段統一の域
を図 2、および図 3 に示す。
内合意は取れていない。
ASEAN MRA では締結国間で対象製品が規定され、
当該当局から認定され ASEAN 事務局の認定リストに掲
載された試験所の試験レポートと認証機関の ASEAN 書
式の CoC(Certificate of Conformity)
(以下、ASEAN
CoC)が活用される。
原産国の申請者は、そのリストに掲載された試験所と
表 1 製品危険度と適合手段
製品危険度
適合手段
備 考
High Risk
Type 5
1 年毎の工場監査
Medium Risk
Type 1 B
バッチテスト
Low Risk
Type 1A または SDoC
型式認証、または自己適合
認証機関から、それぞれ試験レポートと ASEAN CoC を
取得し、販売国の認証機関にそのレポートと CoC を提出
し、そして販売国の当局に登録をすることで、販売可能
となる。また、販売国では市場監視が実施される。
認定リストに掲載されるためには相手国とその適用規
4.6 Information booklet による各国の要求と
適合手順の公開
各国の要求と適合手順は各国ごとに規定され、そして
各国ごとに Information booklet が発行される。現在、発
格を申請し、当局の審査と相手国当局からの受け入れが
行年が古いが、インドネシア、シンガポール、ベトナム、
必要となる。電気・電子機器分野では ISO/IEC 17025
マレーシアの booklet が ASEAN ウェブサイトから入手
に基づく認定試験所、および IEC の CB スキームを受け
可能である。
入れているため、基本的に書類審査のみで認定される。
リストは下記 URL から確認が可能である。
http://www.asean.org/?static_post = listed-testing-laboratories-andcertification-bodies-under-the-asean-sectoral-mra-for-electrical-andelectronic-equipment-2
4.3 規制範囲
電気安全の分野が規制の対象である。AGREEMENT
ただし、Singapore Spring および BSN からは参考程
度とのコメントをもらっている。
4.7 適用規格
適用規格は IEC との整合規格となるが、加盟国が最低
限満たすべき Minimum(Lowest)Standard を規定して
いる。各加盟国の適用規格による差分は試験される。
ON AHEEER では EMC の分野も対象となっているが、
このことは今後の検討となっており、現在は規制対象外
となっている。
4.8 適合マーク
適合マークは各国の安全に関する適合マークが用いら
れる。予定されていた AHEEER 統合マークは取り下げ
4.4 対象製品
られている。
対象製品は ASEAN MRA 締結国間で規定し拡大する。
この締結国間の対象製品拡大が、ASEAN 全体での制度
調和としての対象製品の拡大につながっていく。
4.9 主要国の役割
加盟各国は制度調和の推進において、分担された役
割において加盟各国間の調整を行っている。表 2 に主
70 電 機 2016・June
要国の役割を示すが、フィリピンは適合評価手段を規定
の情報交換を継続し、動向注視を継続するとともに、必
するための製品の危険度について(4.5 項)
、シンガポー
要とされる場合は意見反映活動を展開していく必要があ
ルは各加盟国の要求や適合手順をまとめた Information
ると考える。
booklet の加盟国ごとの発行推進について(4.6 項)
、そ
してタイは IEC 整合となる適用規格について(4.7 項)
、
加盟各国間の調整の役割を担っている。
表 2 主要国の役割
国 名
加盟国間の調整役割
タイ
加盟国間の適用規格(強制−任意/ IEC 規格整合)
ミャンマー
市場監視
シンガポール
Information booklet
フィリピン
製品危険度
インドネシア
ACCSQ 議長国
Spring Singapore での会合後の記念写真
左から 3 人目が Singapore の Ms. Lim Lee Fang(Deputy Director)
右から 2 人目が Singapore の Mr. Lee Yicheng(Senior Executive)
5.おわりに
Spring Singapore、および BSN の両機関から友好的
に訪問を受け入れていただいた。今回の現地調査により、
ASEAN における JEMA のプレゼンスの向上とともに、
友好関係をより深めることができ、今後の意見交換や情
報収集の基盤構築もできたと思う。
また JEMA の質問事項に対して、複数の担当官から真
摯に回答をいただけたこと、そして、JEMA が理解する
AGREEMENT ON AHEEER の進捗状況について綿密
なディスカッションが実現でき、その現状が明確にできた
BSN での会合後の記念写真
左から 3 人目が BSN の Mr. Kukuh(Director)、2 人目が Ms.Konny
(Director)、右端が BSN の Mr. Nukman(Senior Executive)
ことに、心より深く感謝を申し上げたい。
一方、規格面については Minimum(Lowest)Standard を規定するも、IEC への整合化につき IEC 最新版
6.謝 辞
の各国導入のタイムラグの問題を感じるとともに、製品の
今回、シンガポールの現 地調 査においては、TUV
危険度に応じた適合性評価制度の採用は各国に委ねられ
Rheinland SingaporeのThan Soe 氏、そして Panasonic
ているため、同じ製品であっても国ごとに評価手順が異
Asia Pacific Pte Ltd の Richard TAN Yong Jin 氏に会
なり、ISO/IEC17067 に従う Scheme Type 1 か Type 5
合での支援をいただいた。また、インドネシアでの現
のいずれかに統一するという合意は取れないままの状態
地調査においては、PT TUV Rheinland Indonesia の
である。
Nyoman Susila 氏に BSN との会合手配および会合当日
制度調和に関しては、あくまで各国標準化機関の意見
の支援をいただいた。
が尊重され、原則的に全会一致で決まるため、今後の
両者の多大なるご尽力により、JEMA にとって非常に
ASEAN 全体像を客観的に知るには各国ベースの調査が
有意義な現地調査を実施できたことに、あらためて深く
必要と、あらためて認識した。今後も JEMA メンバー間
御礼を申し上げたい。
[トピックス]
71
TO P IC S トピックス
第 3 回 IRHMA(家電工業会国際円卓会議)
出席報告
一般社団法人 日本電機工業会
家電部長 田
原子力部 担当課長 笹
◇
1.背 景
中 智
子 雅純
2.第3回会議の概要と目的
欧 州、アジア、北 米の 5 つの白物家 電 製品の工業
第 3 回会議は、2016 年 3 月 12 日 ㈯ に上海のジュメ
会 が 集 ま り、2014 年 2 月 に IRHMA(International
イラ ヒマラヤ ホテルで開催した。5 つの工業会から 21
Roundtable of Household Appliance Manufacturer
名が出席した。出席者を表 2 に示す。
Associations:家電工業会国際円卓会議)を設立した。
今回の主な出席目的は、IRHMA 傘下 WG の取組み
IRHMA は、英語の頭文字を取った略称である。設立目
状況の把握、各工業会の最近の取組み状況把握、JEMA
的は、各国の家電製品の工業会が定期的に課題や問題
から提案した基準認証、標準化を検討する規格情報 WG
を議論できる会議であり、第 1 回会議後に韓国の KEA、
の活動を報告することである。また、日本における家電
オーストラリアの CESA が参加を表明し、現在 7 つの家
ネットワークの活動状況についても紹介した。
電工業会で組織されている。現在、参加している工業会
日 時:2016 年 3 月 12 日 ㈯ 9:00 ~ 17:00
は、表 1 のとおりである。
場 所:ジュメイラ ヒマラヤ ホテル 会議室
表 1 IRHMA 参加工業会
CECED
出席者:5 団体 21 名(日本 5 名含む)
(順不同)
AHAM
米国(カナダ)家電工業会
ANFAD
メキシコ家電工業会
CHEAA
中国家用電器協会
JEMA
日本電機工業会
KEA
CESA
表 2 第 3 回 IRHMA 会議出席者
欧州家電工業会
所属(役職名)
米国
AHAM(President)
Jeseph M. McGuire
2
米国
AHAM(Director, Energy &
Environmental Policy)
Charlotte Skidmore
3
中国
CHEAA(理事長)
Jiang Feng
4
中国
CHEAA(副理事長)
Wang Lei
韓国電子情報通信産業振興会
5
中国
CHEAA(副理事長)
Xu Dongsheng
豪州家電工業会
6
中国
CTO, TCL Home Appliance
Shao Hauairong
7
中国
Midea Vice president
Hu Ziqiang
8
中国
Haire Home appliance industry
Group Vice President
Wang Ye
第 1 回会議は、2014 年 2 月に CECED 主催でブリュッ
1
(順不同)
出席者
9
中国
BSH China Director
Xu Chengmao
10
中国
CHEAA(総務部 部長)
Dou Yanwei
11
中国
CHEAA(標準法規部 主任)
Wan Chunhui
第 2 回会議は、2015 年 5 月に AHAM 主催でワシン
12
中国
CHEAA
Ye Xiaqing
トンにて開催した。主に IRHMA 傘下 WG の活動状況
13
中国
CHEAA
Gao Dianmei
14
欧州
CECED(Director General)
Paolo Falcioni
報告、各工業会の最近の取組み状況を報告した。また、
15
KEA
韓国
Lim, Ho-Ki
(国際貿易チーム chief manager)
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)から基準認証、
16
韓国
標準化を検討するための新たな WG 設立を提案した。
17
日本
18
三菱電機
日本
望月昌二
(家電ネットワーク技術委員会 委員)
19
日本
パナソニック
内田由紀夫
(海外規格認証技術専門委員会 副委員長)
20
日本
JEMA(家電部 技術課 担当課長) 笹子雅純
21
日本
JEMA(家電部 技術課 主任)
セルにて開催した。主に IRHMA 設立文書の作成と締結、
省エネラベリング制度を中心に議論した。
IRHMA の会議は、年 1 回各工業会持ち回りで開催し
ている。
◇ 2016 年 3 月 31 日まで、家電部 技術課 担当課長
72 電 機 2016・June
KEA
Moon, So Young
(国際貿易チーム Asst manager)
JEMA(家電部長)
田中 智
齋藤祥典
3.傘下 WG の取組み報告
3.2 規格情報 WG の報告
第 2 回会議のときに JEMA から、中東および南米の安
IRHMA の傘下に表 3 のとおり WG を設立し、この課
全規制、省エネ規制の変更に伴って、製品輸出する際に、
題について各工業会が担当して運営している。現在、活
制度の問題、採用規格の問題などの影響が出たことを踏
発に活動している統計データ収集 WG と規格情報 WG
まえて、各国の規制情報を共有するため新たな WG を提
について報告する。
案し設立した。この WG の運営は、家電部の海外規格認
証技術専門委員会に依頼し、内田副委員長から約 1 年間
表 3 WG のテーマと担当工業会
WG テーマ
担当工業会
統計データ収集
CECED
スマート家電
CHEAA
市場監視
ANFAD
家電のための政策的なインセンティブ
AHAM
規格情報
JEMA
の活動報告を行った。
【概要報告】
●●WG
の参加メンバーは、AHAM、CECED、CHEAA、
KEA、JEMA の 5 つの工業会から 11 名が参加してい
る。
3.1 統計データ収集 WG の報告
統計データ収集 WG では、主要 7 製品における 2014
●●対象製品は白物家電製品とし、AV/IT
機器などは含ま
年(暦年)
、2015 年(暦年)の、中国、欧州、日本、韓
ない。規制情報は、安全規制と EMC 規制を対象とす
国、米国・カナダの出荷(売上)データを集計した。統
る。省エネ、環境の情報は含まない。
計の品目は、冷蔵庫、冷凍庫、食洗機、洗濯機、衣類乾
燥機、レンジフード、電子レンジの 7 製品である。集計
データを表 4 に示す。
●●積極的に情報提供してほしい地域は、東南アジア、イ
ンド、中近東、中南米など。
●●情報交換の方法は、フリーフォーマットの電子メール
豪州の CESA およびメキシコの ANFAD は、統計デー
タ収集 WG には、データを提供していない。
で実施。少なくとも、国・地域および製造者に与える
影響情報を提供する。
IRHMA に参加しているメンバー国の GDP 合計は、
全世界の 77%を占めている。各地域の割合を表 5 に示
●●提供された情報は、1
年間で JEMA から 3 件、AHAM
から UL 規格の変更情報提供が 4 件あった。
す。家電製品の市場も同じ程度の割合を占めていると考
えられる。
【意見交換】
表 4 2014 年および 2015 年の主要家電製品の合計出荷(売上)台数
【単位:千台・%】
品 目
活動報告後、以下のように意見交換を行い、意見に基
づいて、今後の WG 活動に活かすことにした。
●●CECEDO
から、提供した情報は誰でも入手できるよう
2014 年
2015 年
対比(%)
1
冷蔵庫
66,551
67,777
101.8%
2
冷凍庫
13,776
13,238
96.1%
3
食洗機
20,720
20,021
96.6%
4
洗濯機
70,760
70,343
99.4%
し、1 年に 1 回まとめた内容を、電子メールで発信し
5
衣類乾燥機
13,232
12,241
92.5%
6
レンジフード
22,771
19,793
86.9%
ている。今後、情報共有できる場所を準備することに
7
電子レンジ
35,206
33,112
94.1%
表 5 各地域の GDP 割合
地 域
GDP 割合
に電子会議室にアクセスできるようにして欲しいとの要
望があった。現在は、電子メールでの情報交換を実施
した。
●●中国の美的から省エネ、各国の政策などの情報も共有
してはどうかとの提案があった。現在は、安全規制と
欧 州
27%
EMC 規制だけを対象としているが、今後の課題とする
アメリカ、カナダ
25%
ことにした。
メキシコ
2%
●●AHMA
からは、日本と米国からしか情報が得られてい
中 国
13%
日 本
6%
ないため、他の参加メンバーからも積極的に情報を提
韓 国
2%
オーストラリア
2%
供するように要望があった。また、得られた情報をど
のように活用するのか WG で考えていくことにした。
[トピックス]
73
TO P IC S トピックス
4.日本における
ホームネットワークの活動報告
JEMA 家電部の家電ネットワーク技術委員会の望月委
員からホームネットワークを採用する背景、ホームネット
ワークの日本での活動状況、エコーネットコンソーシアム
の活動状況、ECHONET Lite 規格の説明を行った。
ECHONET Lite 規格は、ホームネットワークを活用し
た白物家電の遠隔操作、電力の無駄遣いを抑えるための
5.2 CHEAA
●●中国の経済はこれまで高成長を続けてきたが、最近は、
成長が鈍化しており、2015 年の成長率は 6.9%となっ
ている。中国の家電製品の輸出額は、5,660 万ドルで
2.7%のマイナスになった。
●●エアコンの冷媒は、R22(HCFC)から
R290(HC)
への転換を進めている。エアコンは、生産、輸出とも
にマイナス。インバータエアコンは 61.8%、一定速が
38.2%となっている。
エネルギーマネージメントとして活用することも可能であ
●●冷蔵庫は、2 ドアから多ドアにシフトしてきている。
る。日本では広く一般的に家電製品で採用されているこ
●●洗濯機は、縦型式が
とを紹介した。
る。
●●10
5.各工業会からの報告
55%、ドラム式が 37%となってい
の製品委員会(冷蔵庫、洗濯機、温水器、調理家
電、炊飯器、空気清浄機、ウォーターサーバー、マッ
サージ機、太陽光、衛生機器)がある。
参加した 5 つの工業会から最近の活動状況について報
告があった。欧州の CECED および中国の CHEAA の状
況について報告する。
6.最後に
IRHMA 会議は、家電製品の 5 つの工業会が集結し、
5.1 CECED
1 年に 1 回定期的に家電業界として抱えている課題を議
●●Double
regulation というキーワードで 2 重規制になら
論できる、とてもメリットがある会議である。IRHMA メ
ないように働き掛けを行っている。例えば洗濯機の場
ンバー内で課題を共有し、解決に向けて議論できること
合、洗濯機の省エネ + モータの省エネというように 2
は大変良い機会であると思っている。今回は参加できな
つの省エネ規制を受けることになる。このような 2 重規
かったメキシコ、豪州にも家電製品の工業会があるため、
制にならないように働き掛けている。
次回の会議では、より多くの国が参加することで活発な
●●2016
年 6 月 13 日から Radio Directive が強制化され
議論ができることを期待している。なお、第 4 回会議は
る。その影響は、家電製品の無線通信機器に対して
2017 年 3 月に JEMA 主催で開催することが決定した。
は R&TTE 指 令(1999/5/EC)に 置き 換 わる Radio
引き続き、IRHMA 会議を活用することで、家電産業の
Equipment Directive(RE 指令)が強制化される。
重要な情報をいち早く入手し、会員の家電事業者が共に
●●2016
年 6 月ごろに市場監視の法律が改正される予定
発展していくことを期待している。
である。
●●欧州の省エネルギーラベルの見直しを行っており、A
~ G になる見通しである。
●●HFC
の削減に向けて、2017 年 1 月に冷蔵機器、エア
コン、ヒートポンプに対して、欧州域外で冷媒をプリ
チャージした製品を輸出販売する場合、販売メーカな
どは冷媒販売の割当てを獲得する必要がある。この施
策を採ることにより段階的に HFC を縮小していく。
参加者記念撮影
前列左から 田中(JEMA)
、パオロ氏(CECED)、
ジャン氏(CHEAA)
、マクガイヤー氏(AHAM)
、リン氏(KEA)
74 電 機 2016・June
2015年度 太陽光発電用パワーコンディショナの
出荷量動向調査報告
一般社団法人 日本電機工業会
PV パワコン統計委員会
1.まえがき
上期・下期の 2 期に分けて調査を開始した。本報告は、
それぞれの調査結果を年度としてまとめ、データを分析
太陽光発電システムの出荷量動向調査は、1987 年に
したものである。
旧通産省工業技術院委託事業である新発電システムの標
準化に関する調査研究の一環として、一般社団法人 日
本電機工業会(JEMA)太陽光発電システム・機器分
科会が調査内容を審議し、1987 年度出荷分から本格調
査を開始した。2001 年度からは JEMA の自主事業とし
2.太陽光発電システム用 PCS
出荷量の調査方法
a)調査対象期間:2015 年度
て実施していたが、システム数の増加および流通経路の
上期分(2015 年 4 月 1 日~ 2015 年 9 月 30 日)
複雑化により、システム単位での出荷量を把握すること
下期分(2015 年 10 月 1 日~ 2016 年 3 月 31 日)
が困難になってきた。そのため、JEMA 太陽光発電シス
b)調査項目:上記対象期間中に出荷された太陽光発電
テム技術専門委員会で調査方法および調査内容について
用 PCS について、次の項目について調査した。
審議し、2008 年度から対象をパワーコンディショナ(以
・仕向け先(国内住宅向け・国内非住宅向け・海外
下、PCS)に絞り調査を行うこととした。2011 年度から
向け)別の出荷台数
は、コンプライアンスの観点から、統計を専門に扱う PV
・国内生産品・輸入品、出力容量、入力電圧(750V
パワコン統計委員会を新たに設置し、JEMA 会員を対象
以下、750V 超)
、出力電圧方式(単相・三相、直
に調査を行った。さらに 2012 年度からは、より確度の
流・交流・直流/交流)
、自立運転機能の有無
高い調査を行うため、対象を JEMA 会員外にも拡大し
c)回答数 *1:
た。2013 年度からは国内生産品および輸入品の区分を
上期分(48 社に調査票を送付、37 社が回答)
追加し、電気事業法上の低圧および高圧の境となる直流
下期分(47 社に調査票を送付、34 社が回答)
750V 超か否かも併せて追加した。
2014 年度からは、より詳細な動向調査のため、年度を
* 1 調査の結果、自社生産のなかった会社および取扱いのなかった会社も含ま
れている。
表 2015 年度 太陽光発電用 PCS 出荷量動向調査回答会社一覧表
(五十音順)
愛知電機 ㈱
㈱ 三社電機製作所
東芝 IT コントロールシステム ㈱
アドバンスドエナジージャパン ㈱
山洋電気 ㈱
東芝三菱電機産業システム ㈱
㈱ ウエストホールディングス
㈱ GS ユアサ
日新電機 ㈱
ABB ㈱
シャープ ㈱
パナソニックグループエコソリューションズ社
㈱ エクソル
新電元工業 ㈱
㈱ 日立産機システム
SMA ジャパン ㈱
ZTE QUANTUM Japan ㈱
㈱ 日立製作所
㈱ NEP JAPAN※上期のみ
ゼネラル・エレクトリック
日立アプライアンス ㈱ ※下期のみ
㈱ 荏原電産 ※上期のみ
ソーラーエッジテクノロジージャパン ㈱ ※下期のみ 富士電機 ㈱
エリーパワー ㈱ ※上期のみ
㈱ ダイヘン
Fronius International GmbH. ※上期のみ
LS 産電 Japan ㈱
ダイヤモンド電機 ㈱
三菱電機 ㈱
オムロン ㈱
田淵電機 ㈱
㈱ 明電舎
KACO※下期のみ
デルタ電子 ㈱ ※上期のみ
㈱ 安川電機
㈱ サニックス
㈱ 東光高岳
サンケン電気 ㈱
㈱ 東芝 ※上期のみ
[トピックス]
75
TO P IC S トピックス
海外向け
3.調査結果
け(2. b)
)のうち、“海外向け” の集計結果が統計規約を
満たさないことから、すべての結果において海外向け出
荷を “0” として扱った。2015 年度の調査結果において
は “海外向け” の集計結果を公表しているが、2014 年度
2013年度
2015年度
国内非住宅向け
2014 年度分の調査結果においては、仕向け先の区分
国内住宅向け
3.1 はじめに
151,300
95,695
103,220
80,455
非公開
2011年度
2011年度
2015年度
2013年度
2015年度
0
2,000,000
総出荷容量(図 2)では 11.25 GW となり、前年度の
10.90 GW に対して 103.2%と増加している。なお、前年
度の総出荷台数・容量からは “海外向け” 出荷量を除い
ているため、同様に今年度の総出荷台数・容量から “海
海外向け
2011年度
2013年度
2015年度
国内非住宅向け
年 度の 992,329 台に対して 65.6%と減少しているが、
2009年度
2009年度
外向け” を除くと、国内の出荷容量は前年比 81.4%と減
2011年度
68,074
2013年度
2015年度
2015年度
172,791(256.9%)
2011年度
2011年度
993,028(146.9%)
2013年度
10kW未満
675,873(160.7%)
2012年度
2013年度
2015年度
2011年度
2013年度
2009年度
2010年度
2011年度
0.33
0.74(221.0%)
1.24(168.6%)
2.00(161.7%)
2012年度
4.87(242.8%)
9.73(199.8%)
2013年度
10.90(112.1%)
2014年度
11.25(103.2%)
2015年度
0.00
2.00
4.00
6.00
8.00
10.00
図 2 総出荷容量[GW](対前年度比)
76 電 機 2016・June
12.00
100kW以上
2008年度
7,302,183
4,455,129
4,948,156
3,312,189
2,000,000
4,000,000
6,000,000
8,000,000
図 5 容量帯別出荷容量[kW]
800,000 1,000,000 1,200,000
図 1 総出荷台数[台](対前年度比)
4,480,747
5,246,928
2015年度
2009年度
10kW以上
100kW未満
600,000
1,573,535
120,185
72,120
488,010
793,290
707,942
640,559
996,301
1,772,107
2,805,593
0
2009年度
10kW未満
400,000
128,400
160,470
2015年度
650,955(65.6%)
2015年度
607,514
630,634
531,450
100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000
2013年度
992,329(99.9%)
2014年度
411,826
図 4 用途別出荷台数[台]
256,315(148.3%)
420,565(164.1%)
460,879
355,096
0
100kW以上
67,261
200,000
8,000,000 10,000,000
2013年度
10kW以上
100kW未満
比 67.8%(台数ベースで 66.8%)
、国内非住宅向け出荷
164,181
233,304
2011年度
また、用途別出荷容量(図 3)および用途別出荷台数
(図 4)を見ると、国内住宅向け出荷は容量ベースで前年
362,227
294,233
59,382
少している。
0
6,000,000
6,054
3,673
15,484
2,050
285
167
非公開
1,626
1,825
4,937
7,527
6,689
2009年度
国内住宅向け
2015 年度の総出荷台数(図 1)は 650,955 台で、前
2011年度
4,000,000
図 3 用途別出荷容量[kW]
3.2 総出荷容量・台数
2010年度
6,712,996
8,316,193
7,125,922
954,765
1,766,492
2,728,867
2,935,715
2,586,833
1,754,211
2011年度
とに留意いただきたい。
2009年度
2,035,051
2013年度
分の “海外向け” 集計結果が「非公開」となっているこ
2008年度
2,374,798
138,821
142,511
372
213
593
737
5,799
13,794
13,468
12,478
3,765
5,382
11,374
6,802
48,015
77,953
61,934
42,614
63,124
2011年度
2013年度
2015年度
2011年度
2013年度
2015年度
2009年度
167,196
244,348
2011年度
413,026
2013年度
2015年度
622,059
595,863
0
200,000
400,000
600,000
800,000
図 6 容量帯別出荷台数[台]
901,281
916,927
1,000,000
は前年比容量ベースで 85.7%(台数ベースで 63.8%)と
スでは三相の割合が高く、台数ベースでは単相の割合
減少しているが、容量帯別出荷容量(図 5)および容量
が高い。この傾向は、固定価格買取制度の施行以降、
帯別出荷台数(図 6)を見ると、“100kW 以上” は容量
10kW 未満の単相の PCS が非住宅向け用途にも用い
ベースで前年比 139.2%(台数ベースで 92.6%)となっ
られているために起こっているものと推測される。
ている。以上から、100kW 以上の大容量化が進んでいる
9,265,609
(95.2%)
9,637,012
(87.5%)
6,643,639
(59.0%)
992,284
(99.9%)
988,473
(99.6%)
637,598
(97.9%)
2013年度
容量
ことが見て取れる。
2014年度
2015年度
3.3 PCS の各仕様の内訳
2013年度
台数
(1)単相・三相
2015年度
単相・三相の区別について図 7(容量ベース)
、図 8
0%
(台数ベース)に示す。国内住宅向けは従来どおり単
2012年度
0.0%
100.0%
2013年度
0.0%
100.0%
2014年度
非公開
2015年度
0.1%
国内非住宅向け
国内非住宅向け
85.4%
12.3%
87.7%
2013年度
22.6%
77.4%
2014年度
22.7%
77.3%
17.9%
40.4%
59.6%
0.4%
2012年度
1.0%
99.0%
2013年度
0.1%
99.9%
2014年度
非公開
2015年度
0.1%
2011年度
99.6%
99.9%
92.6%
20.1%
2012年度
79.9%
24.1%
75.9%
2013年度
34.5%
65.5%
2014年度
34.2%
65.8%
2015年度
82.1%
23.8%
76.2%
0.0%
2010年度
99.2%
0.8%
2011年度
100.0%
0.0%
2011年度
99.4%
0.6%
2012年度
100.0%
0.0%
2012年度
99.9%
0.1%
2013年度
100.0%
0.0%
2013年度
100.0%
0.0%
2014年度
100.0%
0.0%
2014年度
99.7%
0.3%
2015年度
100.0%
0.0%
20%
40%
60%
80%
2015年度
100%
0%
20%
74.0%
72.1%
72.1%
95.2%
100.0%
99.4%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
40%
単相
41.9%
29.9%
38.7%
84.5%
80.3%
79.8%
73.1%
60.4%
53.3%
60%
26.0%
27.9%
27.9%
80%
三相
図 8 単相・三相の台数割合[%]
0.0%
60%
80%
100%
なし
図 10 自立運転有無の容量割合[%]
海外向け
4.8%
0.0%
0.6%
非公開
15.5%
19.7%
20.2%
26.9%
39.6%
46.7%
40%
あり
国内非住宅向け
58.1%
70.1%
61.3%
20%
三相
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100%
国内住宅向け
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
100.0%
0%
図 7 単相・三相の容量割合[%]
海外向け
100%
100.0%
単相
国内非住宅向け
80%
2010年度
0%
国内住宅向け
60%
750V超
2011年度
2010年度 7.4%
73.1%
14.6%
2015年度
国内住宅向け
99.9%
26.9%
2011年度
2012年度
海外向け
99.5%
2010年度
2010年度
38.7%
0.5%
40%
図 9 直流入力電圧 750V 以下、750V 超の割合
国内住宅向け
海外向け
61.3%
2011年度
20%
750V以下
相のみとなっている。国内非住宅向けでは、容量ベー
2010年度
2014年度
463,557
(4.8%)
1,375,422
(12.5%)
4,611,292
(41.0%)
744
(0.1%)
3,901
(0.4%)
13,357
(2.1%)
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
0.0%
0.0%
0.7%
35.1%
7.2%
非公開
15.9%
12.9%
12.4%
7.4%
41.4%
0%
100.0%
100.0%
40.4%
20%
99.3%
92.8%
59.6%
64.9%
84.1%
87.1%
87.6%
92.6%
80.6%
93.6%
87.4%
81.0%
98.8%
98.8%
99.2%
99.3%
99.8%
99.9%
99.8%
100.0%
40%
あり
60%
58.6%
19.4%
6.4%
12.6%
19.0%
1.2%
1.2%
0.8%
0.7%
0.2%
0.1%
0.2%
0.0%
80%
100%
なし
図 11 自立運転有無の台数割合[%]
[トピックス]
77
TO P IC S トピックス
(2)直流入力電圧(750V 超・750V 以下)
ス)
、図 13(台数ベース)に示す。輸入品の割合は、国
入力電圧 750V 超の割合(図 9)は、容量ベース
内住宅向けでは容量ベースで前年度の 13.8%(台数ベー
で 前 年 度 1,375,422kW(12.5 %)から 4,611,292kW
スで 16.0%)から 20.0%(台数ベースで 20.5%)に、国
(41.0%)
、台数ベースで前年度 3,901 台(0.4%)から
内非住宅向けでは容量ベースで前年度の 8.9%(台数ベー
スで 12.7%)から 16.9%(台数ベースで 20.3%)に増加
13,357 台(2.1%)と大幅に増加している。
している。
(3)出力方式(直流・交流・直流/交流)
従来、出力方式には直流出力はなく、交流出力のみ
次に、容量別国内生産品・輸入品の割合を図 14(容
であったが、2015 年度の調査結果では、直流出力を
量ベース)
、図 15(台数ベース)に示す。すべての容量
具備する PCS および直流/交流ともに具備する PCS
帯において、輸入品の割合が前年度を上回っており、特
があった。しかしながら、集計結果が統計規約を満た
に 10kW 以上 100kW 未満の容量帯では容量ベースで前
さないことから、内訳は公表できない。
年比 227.8%(台数ベースで 174.8%)となっている。
なお、本調査では、輸入品の定義として次の事項を定
(4)自立運転機能
自立運転機能の有無を図 10(容量ベース)
、図 11
(台数ベース)に示す。国内非住宅向けでは、容量・台
めている。
1)国内企業が海外の生産拠点で生産して出荷したもの
数ベース共に自立運転機能 “あり” が増加傾向にあっ
2)一度海外に輸出したものの再度日本に輸入されたもの
たが、直近の 2 年間は “あり” の割合が容量・台数共
3)海外メーカの日本法人として、又は代理店として仲介
し出荷するもの
に減少した。
※ 海外で生産し、海外に輸出したもの(アウト-アウト
品)は除く
3.4 国内生産品・輸入品の割合
2013年度
2014年度
2015年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
0%
20%
40%
国内生産品
161,524
(7.9%)
462,913
(6.9%)
738,278
(8.9%)
1,206,106
(16.9%)
364,566
(13.4%)
364,405
(12.4%)
357,173
(13.8%)
351,000
(20.0%)
60%
80%
10kW以上
100kW未満 100kW以上
1,873,527
(92.1%)
6,250,083
(93.1%)
7,577,915
(91.1%)
5,919,816
(83.1%)
2,364,301
(86.6%)
2,571,310
(87.6%)
2,229,660
(86.2%)
1,403,211
(80.0%)
2012年度
10kW未満
国内住宅向け
国内非住宅向け
用途別国内生産品・輸入品の割合を図 12(容量ベー
100%
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
0%
20%
40%
国内生産品
1,616
(2.4%)
19,127
(5.3%)
58,436
(12.7%)
59,613
(20.3%)
96,952
(16.0%)
89,772
(14.2%)
84,786
(16.0%)
72,669
(20.5%)
60%
80%
輸入品
図 13 用途別国内外品の台数割合[台]
78 電 機 2016・June
383,929
(7.3%)
693,928
(14.1%)
789,480
(99.5%)
2013年度
3,690
(0.5%)
604,820
(85.4%)
2014年度
103,121
(14.6%)
405,523
(63.3%)
2015年度
234,905
(36.7%)
3,996,282
(89.7%)
2013年度
458,841
(10.3%)
4,339,756
(87.7%)
2014年度
608,399
(12.3%)
2,682,531
(81.0%)
2015年度
20%
40%
628,273
(19.0%)
60%
80%
100%
輸入品
図 14 容量別国内品・輸入品対比[kW]
100%
10kW以上
100kW未満 100kW以上
2015年度
364,787
(8.3%)
4,234,973
(85.9%)
2015年度
0%
10kW未満
国内非住宅向け
国内住宅向け
2014年度
4,862,999
(92.7%)
国内品
66,458
(97.6%)
343,100
(94.7%)
402,443
(87.3%)
234,620
(79.7%)
510,562
(84.0%)
540,862
(85.8%)
446,664
(84.0%)
282,427
(79.5%)
2013年度
4,035,630
(91.7%)
2014年度
輸入品
図 12 用途別国内外品の容量割合[kW]
2012年度
2013年度
2013年度
12,884
(94.5%)
756
(5.5%)
2014年度
12,709
(94.4%)
759
(5.6%)
9,869
(88.8%)
2015年度
2013年度
369
(0.5%)
54,999
(88.8%)
2014年度
30,482
(71.6%)
2015年度
6,935
(11.2%)
12,119
(28.4%)
793,506
(88.0%)
2013年度
107,774
(12.0%)
781,399
(85.2%)
2014年度
135,528
(14.8%)
476,696
(80.0%)
2015年度
0%
1,248
(11.2%)
77,572
(99.5%)
20%
40%
国内品
118,915
(20.0%)
60%
80%
輸入品
図 15 容量別国内品・輸入品対比[台]
100%
めた影響もあり、大幅な出荷量の増加が見られ、大容量
3.5 容量帯別出荷量
図 5 および図 6 をさらに細かく分類した、容量帯別
化へのシフトが進みながら堅調な出荷が続いている。
出荷量を図 16(容量ベース)
、図 17(台数ベース)に
しかしながら、2015 年度から固定価格買取制度の見直
示す。750kW 未満の容量帯では、容量・台数共に減少
しが進められ、2016 年 5 月 25 日に「電気事業者による
傾向にあるが、750kW 以上では、容量ベースで前年比
再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再
531.6%(台数ベースで 360.2%)と前年度を大きく上回っ
エネ特措法)等の一部を改正する法律案」が成立した。
ている。
FIT 法改正法では、現行法で認定を受けていても、改正
法の施行日(2017 年 4 月 1 日)までに電力会社との接
4.あとがき
続契約を締結していない案件は、認定失効とすることも
盛り込まれている。2017 年度以降、この認定取消による
2015 年度調査結果は、おおむね前年度までの調査結
影響を注視する必要がある。
果の流れを引き継いだものとなった。2015 年 1 月 22 日
一方、認定済みの未稼働案件のうち、電力会社との接
に施行された再エネ特措法施行規則の一部を改正する省
続契約の調整に時間を要しているものについては、接続
令により、太陽光発電の出力抑制対象が 500kW 未満の
契約および工事負担契約の締結の調整が円滑に進むよう
設備まで拡大され、太陽光発電の導入への影響が懸念さ
対応策が講じられることとなっているため、この取組みに
れたが、海外向け出荷などもあり、総出荷容量では極端
期待したい。これらの動向を注視しつつ、JEMA PV パ
な落ち込みは見られなかった。750kW 以上の大容量帯で
ワコン統計委員会では、今後も公共の利益に資する活動
は、固定価格買取制度における大型設備の導入が進み始
を目指し、調査を継続していく所存である。
191,125
628,620
750kW以上
3,341,932
2,500,570
3,151,981
2,929,655
1,474,062
1,276,027
903,996
314,990
190,300
126,600
793,290
707,941
640,559
500kW以上750kW未満
250kW以上500kW未満
100kW以上250kW未満
10kW以上100kW未満
10kW未満
3,312,189
0
2,000,000
2013年度
2014年度
750kW以上
198
676
2,435
500kW以上750kW未満
4,932
6,103
5,491
250kW以上500kW未満
5,584
4,853
3,320
100kW以上250kW未満
3,080
1,835
1,232
77,953
61,934
42,614
10kW以上100kW未満
4,455,128
4,948,156
4,000,000
2015年度
図 16 容量帯別出荷容量[kW]
6,000,000
10kW未満
595,863
0
200,000
2013年度
400,000
2014年度
600,000
901,281
916,927
800,000 1,000,000
2015年度
図 17 容量帯別出荷台数[台]
[トピックス]
79
業界報告
原子力発電所再稼働への取組み(インタビュー記事)
九州電力株式会社 川内原子力発電所
全国で初めて新規制基準に適合し通常運転を再開する
一般社団法人 日本電機工業会
原子力部
せん だい
九州電力株式会社川内 原子力発電所は、約 4 年の運
そうですね。東京では原子力規制委員会による新規制
転休止・再開準備期間を経て新規制基準に適合し、
1号機
基準適合性審査への対応、川内の現場では土木工事や電
は2015年 9 月10日、2 号機は 11 月17日に通常運転を再
気工事などハード面と運用管理などソフト面での安全対
開しました。
策に取り組みました。私たち環境広報もお客さまに発電
環境広報担当の米丸賢一さんは発電所のさまざまな情
報の公開業務に携わっています。
再稼働に至る安全対策の取組みや広報活動についてお
所で安全対策をじかに見ていただいたり、いろいろな会
合や自治会長などを訪問して安全対策について説明を行
うなど理解促進活動を進めました。
聞きしました。
九州電力株式会社 川内原子力発電所
兼 川内原子力総合事務所
環境広報担当 次長
米丸 賢一さん
−川内原子力発電所は固い地盤に設置されていて、敷
地の海抜も高いそうですね。最初に再稼働となった背景
に、やはりこうした立地条件があったのでしょうか。
川内原子力発電所は活断層のない地盤に設置されてい
ることが確認されています。また、原子炉など主要設備
のある敷地は海抜 13m で、琉球海溝でマグニチュード
9.1 の巨大地震による津波に対しても十分な余裕があるこ
原子力発電所の安全性について
理解を促進する活動に従事
とが確認されています。審査の上では「地震の大きさの
− 2010 年 7 月から環境広報のお仕事をされていると
再稼働に向けての大きな足がかりになったと思っています。
基準をどれくらいにするか」という議論と「どの程度の津
波を想定するか」という議論がわりと早く収束したことが、
いうことですが、震災前と震災後ではどのような変化が
ありましたか。
震災前の 2010 年 7 月は川内原子力発電所 3 号機の増
設に向けて順調に進み出していたときで、3 号機増設に
向けての進捗状況などの広報を行っていたのですが、国
に増設の申請を行った直後に震災が起こりました。震災
後は 3 号機の増設が凍結状態となり、地域の方々から原
子力発電に対する不安の声も聞こえてきたため、安全対
策について広くご理解いただくことが主な仕事になりました。
−発電所が動いていなかった期間は、再稼働に向けての
活動をされていたということですね。
80 電 機 2016・June
重大事故発生時に現地対策本部となる緊急時対策所
新規制基準に対応した
新たな安全対策
−福島第一原子力発電所では水素爆発が起こって原子
炉建屋が壊れ、放射性物質が外に出てしまいました。水
素爆発を防止する対策はどのようなものですか。
−福島第一原子力発電所の事故は、津波のためにすべ
丸い大きな原子炉建屋の中には原子炉格納容器という
ての電源を失い、原子炉を冷やす機能が使えなくなった
厚さ 3cm の鋼鉄でできた容器があります。福島第一原子
ことが原因とされています。これに対してどのような対
力発電所では同じような構造物がありながら、燃料が空
策をとられていますか。
だきになって水素ガスが発生し、格納容器から漏れ出し
大津波に対する安全対策として、第一に浸水を食い止
て建屋の上にたまって水素爆発が起こりました。川内で
めること、そして電源を確保すること、さらに冷却水を送
も、万が一燃料まわりの水がなくなって空だきになれば、
るポンプと冷却水を確保することが必要になります。
同じように水素ガスが発生すると想定しています。ただ、
まず浸水を食い止める対策ですが、海に面した海水ポ
川内の格納容器は福島第一原子力発電所の 1 号・3 号の
ンプエリアの周辺に海抜約 15m の防護壁を設置し、その
タイプと比べて 10 数倍の大きさがあります。ボリューム
外側をぐるりと囲むように海抜約 8m の防護堤を設置しま
が大きいと、仮に水素ガスが発生しても水素の濃度が低
した。これらの高さは、琉球海溝のプレートが動いて発
く抑えられることが確認できています。しかし新規制基準
生するマグニチュード 9.1 の地震による津波を想定し十
では水素爆発防止のための対策が求められたため、原理
分な余裕をもって決められています。
次に電源ですが、電源供給手段を多様化することで安
1 号機再稼働への道のり
全確保を図っています。例えば中央制御室からの遠隔起
動が可能な大容量の空冷式発電機を設置しているほか、
2013 年
7月8日
2014 年
3 月 13 日
電源用の発電機を車両に搭載し、必要なときに必要な場
所へ動かせるようにしています。また自主的な取組みとし
て予備変圧器などの特高開閉所を高台に移設し、さらに
信頼性を上げるために、発電所の外部から受電する対策
も進めています。
冷却手段についても、常設ポンプに加えて可搬型の大
容量ポンプ車、発電機と組み合わせたポンプ車、ディー
7 月 16 日
ゼル機関を搭載したポンプ車など、多様化しています。
これらの発電機やポンプ車は 6 エリアに分けて配置し、
福島第一原子力発電所事故の教訓や海外の
規制動向を踏まえ、従来の安全基準の強化
と、重大事故への対策を含めた「新規制基
準」が施行された。
同日、川内原子力発電所に係る新規制基準
への適合性確認のための申請書を提出。
原子力規制委員会が川内原子力発電所 1、
2 号機について、新規制基準適合性審査の
「審査書案」を優先して作成することを決
定。
川内 1、2 号機の「審査書案」を公表。
9 月 10 日
原子力規制委員会が「審査書」を正式決定。
「原子炉設置変更許可申請」を正式に了承。
川内原子力発電所は全国で初めて、新規制
基準を満たすと認められた。
3 月 18 日
原子力規制委員会が 1 号機の工事計画認
可を正式に了承。
7月7日
1 号機の原子炉に核燃料を装荷開始、10
日に作業完了。
7 月 23 日
重大事故等発生時の 1 号機訓練に関わる
保安検査が実施される(8 月 3 日まで)
。
8 月 11 日
10 時 30 分、原子炉から制御棒を引き抜
き、原子炉を起動。
9 月 10 日
国の最終検査項目である「総合負荷性能検
査」が終了し、通常運転を再開した。
リスクの分散を図っています。
2015 年
冷却手段多様化のために配備された移動式大容量ポンプ車
[業界報告] 81
業界報告
の異なる二つの装置をそれぞれ 1 号・2 号の格納容器内
んだポンプを着実に設置できるようにするための訓練を
に設置しました。
行っています。電源の供給についても、ケーブルの敷設
ひとつは触媒式で、触媒(白金あるいはパラジウム)
を含め自分たちですべてできるよう訓練しています。放射
を金属プレートの中に練り込み、その表面を通る間に水
性物質の拡散抑制については、地上 70m まで放水でき
素濃度が低減されるという装置です。もうひとつは電気
る放水砲の操作はもちろん、放水砲へのポンプの接続訓
式で、ヒーターに電気を通し、その熱で強制的に水素を
練も併せて行います。これらの訓練は、福島第一原子力
燃やす装置です。
発電所の事故以降、繰り返し行ってきているものです。
また、万一格納容器が破損した場合を想定し、放射性
物質の拡散を抑制するための放水砲を配備しました。原
−重大事故対策のために、どれくらいの人を確保されて
子炉建屋は地上高さが約 60m あります。その屋根の上に
いるのですか。
1 時間に千トンを超える水を放水砲を使って放水すること
常に 52 名が宿直体制をとっています。震災以前は発
により、放射性物質をその場に落として拡散させないと
電所近くにある独身寮に事故時の指揮者が 4 名、中央制
いう役割を持っています。
御室に当直運転員 12 名という体制でしたが、当然この
16 名だけでは要員が不足するので発電所の外からも社員
重大事故に社員自らが
対応するための体制づくり
が駆けつけることになっており、道路が通れなければ山を
−安全対策のため新たな設備や機器が設置されると、
時でも重大事故は発生しうるという前提に立っています。
それを動かす人も必要になりますね。
そうなると、初期対応にあたる人が発電所の中にいなけ
通るなどの訓練もしていました。
しかし、新しい規制要求は、今この瞬間、いつどんな
震災直後は、今回配備したような大型重機やトレーラー
ればなりません。52 名から中央制御室の 12 名を引くと
を操作・運転できる資格を持つ社員は数名しかいません
残り 40 名、うち指揮者 4 名を含む 24 名の九州電力社員
でした。そこで私たちがまず取り組んだのは、九州電力
はすべて発電所内に寝泊まりします。残りの 16 名は協力
の社員自らが作業ができるよう、これらの免許・資格を
会社の方々で、発電所内または発電所近辺に確保してい
取得することでした。
ます。
そして、これはどこの発電所でも行っていることですが、
毎日同じ人が宿直するわけにはいかないので、13 の班
万一のときに設備や機器を確実に使えるようにするため
が交替で勤務にあたっています。毎朝 9 時に引き継ぎ式
の訓練です。例えば冷却水の供給に関しては、まず必要
を行い、ビブスとよばれるベストを渡すことによって引き
なものを必要なところに運べるようにする訓練、そして運
継ぎをします。こうすることで、
「あなたは 52 名のひとり
屋外の設備や車両は竜巻でも飛ばないよう鎖でつながれている
(鎖のたるみは竜巻発生時に巻き取られ、張られた状態となる)
電源供給手段の多様化のための変圧器車と高圧発電機車
82 電 機 2016・June
ですよ」とはっきり意識させるのです。このやり方は、薩
員は、当然ですが発電所が動いているのを見たことがあ
摩川内市にある陸上自衛隊から「人前でしっかり意識づ
りません。再稼働となると、そのような人たちも含めて現
けをすることが大事」とアドバイスをいただいて始めました。
場を動かしていかなければならないので、運転休止中は
近隣の火力発電所で実際に動いている状態や温度が高い
じっくりと時間をかけたからこそ
円滑に進めることができた
配管の状態などを体験したり、ベテラン社員に来てもらっ
て指導を受けたりと、さまざまな対策を講じてきました。
メンテナンスの部署では、休止期間中も年に 1 度は大
−運転休止中は運転時の経験を積むことが困難ではな
きな点検をしますので、いつ稼働しても問題がないように
かったかと思います。どのような対策をとられていたの
機器の状態を保っていました。このように、それぞれの部
ですか。
署で綿密な計画を立て、しっかりと経験を積み、保全を
発電を行う部署に、この 3 年の間に入ってきた新入社
行ってきた 4 年間でした。
−さまざまなご苦労があったと思いますが、米丸さん自
身の体験やお気持ちはどうでしたか。
再稼働まで思った以上に時間がかかったように感じま
す。ですが、地元の方々にしっかりとご説明でき、また
熱心に話を聞いていただけて、ご理解をいただくことがで
きました。再稼働に対して地元の人々の大きな反対運動
が起こることもなく、市議会、市長、県議会、知事のご
判断もいただくことができました。たしかに時間はかかり
ましたが、じっくりと時間をかけたからこそ円滑に進める
放射性物質の拡散防止のための放水砲
ことができたのではないかと思っています。
〈DATA〉
九州電力株式会社 川内原子力発電所
所在地:鹿児島県薩摩川内市久見崎町
従業員:約 340 名(協力会社を含めると約 1,370 名)
川内(せんだい)川が東シナ海にそそぎこむ河口にほ
ど近い海岸部に位置する。1 号機、2 号機とも加圧水
型炉(PWR)で出力は 89 万 kW。
現在の日本で、原子力は大切な選択肢のひとつです
エネルギー資源に乏しい日本には、エネル
米丸 賢一さん
起こったとき、日本はエネルギーを確保でき
ギー確保という課題が常にあります。自然エ
なくなってしまいます。このような背景から、
ネルギーも大事にすべきで、技術的にも期待
私たちは少なくとも現時点では、原子力とい
できるものです。しかし、現在は火力発電に
う選択肢を失うわけにはいかないと考えてい
頼っている状態です。このことは石油などを
ます。みなさんも、川内原子力発電所を一度
政情不安定な中東に依存していると、何かが
見学してみませんか。
[業界報告] 83
業界報告
原子力発電所再稼働への取組み(インタビュー記事)
四国電力株式会社 伊方発電所
運転再開を目指してさらなる安全性向上に力を注ぐ
一般社団法人 日本電機工業会
原子力部
四国電力株式会社伊方発電所では、運転再開に向けて
さまざまな設備の安全対策を着実に進めています。
入社 7 年目の市田しおりさんは計測制御設備の点検・
た、原子力部門の技術系女性社員は私でまだ 3 人目でし
たから、会社からもきめ細かな配慮をいただき、すぐに業
務に集中することができました。
整備を担う、女性では数少ない技術者。
これまでの仕事や日々の思いなどをお聞きしました。
四国電力株式会社 伊方発電所
保修部 計装計画課
市田 しおりさん
−現在はどのような分野に携わられていますか。
今私は、
「計装計画課」に所属していて、流量計や水
位計・温度計といった計器や制御機器の点検整備を行っ
ています。発電所では発電していないときにも、さまざ
まな設備が動いているのですが、私はそれら設備につい
ている計測・制御機器の点検や不具合が出た際の対応を
行っています。また、新しい規制基準に対応するために
設置した設備のメンテナンスも担当しており、いつでもそ
四国電力との出会いは中学時代
当初から原子力部門を目指す
の設備を使えるよう、点検計画の立案などにも携わって
−女性の技術職はまだまだ少ないかと思います。学生の
安全への思いも新たに、
モットーは正確さ、迅速さ
ころから技術職を志望されていたのですか。
はい。私と四国電力との出会いは、中学生のときに参
います。
加した伊方発電所の見学会でした。そのとき私が質問し
−福島第一原子力発電所の事故が起こったときは、どの
たことについて、後日、あらためて四国電力の方から、と
ようなことを考えられたのでしょうか。
ても丁寧な回答をいただいたことが強く心に残っていまし
前例のないような災害だったので、直後は何かを考え
た。その後、地元の工業高等専門学校に進み、将来の進
られる状態ではありませんでした。でも今は事故の教訓
路を考えた時、身近な存在として印象に残っていた四国
から、
「まずこんなことは起こらないだろう」という想定外
電力を目指しました。理系の科目がすごく得意というわけ
のことも、
「万一起こったらどうするか」を考えるようにな
ではなかったんですけどね(笑)
。
りました。
また、普段の仕事では、正確さと迅速さの向上を心が
−当初から原子力発電所で仕事をされていたのですか。
けています。発電所の設備は万一トラブルが起きても、
最初から原子力部門を希望しました。伊方発電所に配
代替設備などでその機能をバックアップできるよう構成さ
属されて 3 年間は 1、2 号機の運転員として当直勤務に
れていますが、対応は「ミスなく、できる限り速く」が基
ついたのですが、夜勤もあり、慣れない環境で最初は戸
本です。このため、設備にどんなトラブルが起こり得るの
惑うこともありました。でもそんな新人の私に対して、先
かを日ごろから考えておくことも大切だと思います。今は
輩方は、本当に丁寧に仕事を教えてくださいました。ま
日々勉強ですね。
84 電 機 2016・June
−毎日の仕事が鍛錬の場でもあるということですね。苦
労されていることや課題などはありますか。
私にとって伊方発電所は大切な職場ですから早く再稼
働してほしいですし、それによって安定供給に貢献でき
同じ職場の先輩方と比べ、私はまだ経験年数が浅く、
ればと思っています。そのためには、まず安全面で信頼
仕事を知識として学ぶことはできても、実際の作業経験
されることが大切です。今後はさらに技能を磨き、再稼
の不足は否めません。このため、今は少しでも時間があ
働の際の点検や新しい設備の運用などの業務への理解を
れば現場に足を運び、実際の作業を確認するように心掛
一層深めていきたいですね。
けています。新しい設備が多くなってきたので、設計・
設置部門からの情報をきちんと引き継いでメンテナンスに
反映することも課題の一つです。
−これから社会に出ていく人たちへ伝えたいことは。
私は行きたかった工業系の学校へ進んで、今の会社に
また、先日、防災訓練が行われましたが、一瞬の判断
出会うことができました。皆さんも自分が行きたいと思う
を必要とされる場面でも、落ち着いて状況を確認し、対
会社や、これまで学んできたことを活かせる職場を見つ
応する先輩方を見て、私もこれから訓練を重ね、的確な
けて、強い意志を持って目指してほしいと思います。
対応のできる技術者にならなければと強く思いました。
発電所が担う役割を考えながら
技能を磨き、業務に取り組む
−市田さんにとって伊方発電所は中学生のころから大切
な場所だったと思いますが、再稼働に向けてどのような
思いがありますか。
電気供給の源である発電所は社会的に大きな役割を
担っていて、原子力発電所を運転できるかどうかは、電
力の安定供給に大きく影響します。
中央制御室
〈DATA〉
四国電力株式会社 伊方発電所
所在地:愛媛県西宇和郡伊方町
従業員:約 350 名(協力会社を含めると約 1,700 名)
佐田岬半島の瀬戸内海側にある四国で唯一の原子力発
電所。出力は 1、2 号機が 56.6 万 kW、3 号機が 89
万 kW。原子炉の型式はいずれも加圧水型(PWR)
。
現場では、今まで以上の安全対策に日々尽力しています
福島第一原子力発電所の事故があり、今は
います。万が一事故があった場合にも迅速に
原子力というと不安を覚えたり、原子力に対
対応できるように、日々訓練を行い、知識と
して信頼することが難しいかもしれません。
技術を深めています。現場ではそういった努
しかし現場で働く人たちは何よりも安全を第
力をしているということを知っていただけれ
一に、今まで以上の安全対策に力を尽くして
ばと思います。
市田 しおりさん
[業界報告] 85
業界報告
標準化活動紹介
TC22/ IEC62477-1(パワーエレク
トロニクス機器の安全)改正会議
IEC/SC22G/MT11(可変速駆動
システムの安全)タンパ会議 出席報告
ため、必要性の高い項目を追補(Amd.1)として、2015
年 11 月に CDV(投票用委員会原案)が発行された。
今回タンパで開催された、TC22/IEC62477-1 改正会
議(TC22/MT9 委員および傘下 SC 関係者による改正内
容協議)
、第 10 回 IEC/SC22G/MT11 会議の 2 会議へ
可変速駆動システム IEC 対応分科会
横井
修
エキスパート委員として参加した。
◇
【概 要】
【成果および課題】
1.IEC 62477-1 Ed.1 改正審議(IEC/TC22/MT9)
開催会議 TC22/IEC62477-1(パワーエレクトロニクス
2015 年 3 月 に 引 き 続 き TC22 傘 下 の 各 SC よ り
機器の安全)改正、IEC/SC22G/MT11(可
IEC62477-1 Ed.2 への本格改正にあたり、Ed.2 で検討す
変速駆動システムの安全)
べき項目について意見交換を行い、以下を前回意見交換
開催期間 IEC62477-1 改正会議:
2016 年 3 月 2 日 ㈬ ~ 3 月 4 日 ㈮
会から追加し、改定作業を行なう IEC/TC22/MT9 で審
議することとなった。
MT11:2016 年 3 月 7 日 ㈪ ~ 3 月 11 日 ㈮
開催地
タンパ(フロリダ、米国)
参加者
MT9:7 カ国 12 名(日本含む)
MT11:6 カ国 11 名(日本含む)
【出席背景・目的】
IEC/TC22 では、パワーエレクトロニクス機器の安全
に関する規格 IEC 62477-1 Ed.1 の改正を行う作業グルー
プ MT9 が 2013 年 9 月に立ち上げられた。しかしなが
ら、当時 TC22 傘下の SC では各製品群に対する安全規
項 目
1
短時間耐電流
(Icw)の時間
検討内容
現行の 1.5 サイクルから 100ms へ変更
2
直流主電源
定義、短時間過電圧、
インパルス電圧などの要求事項
3
DVC A(s)への
インパルス電圧
最大値 1.5kV とする
SC22E(安定化電源)からの提案
4
部品の評価
SC22E の安全規格
IEC61204-7 FDIS 内容の採用
5
ハザード
防爆、失明(光)、EMF、騒音の検討
6
SPD/MOV の
劣化監視
IEC61643-12 を参考に検討
格の改正作業に入っているため、それらに影響を与えな
い SC22H(UPS)より提案された短絡試験を主とした追
IEC 62477-1 Ed.2 への全面的な改正についての審議は、
補(Amd.1)を発行することとし、2015 年 10 月のロス
以下の文書発行スケジュールに沿って、今年 6 月の IEC/
リン会議後に FDIS(最終国際規格案)を IEC 事務局に
TC22/MT9 エアランゲン会議(ドイツ)より開始される。
提出した。
また SC22G(PDS)では、可変速駆動システムの安
全規格 IEC 61800-5-1 Ed.2 の改正作業グループ MT11
が 2013 年 1 月に立ち上げられ、上 述の IEC 62477-1
Ed1 および UL 61800-5-1 との整合作業を行っている。
作業内容が多く、改正規格(Ed.3)の発行まで時間要す
◇東芝シュネデール・インバータ株式会社
86 電 機 2016・June
段 階
CD
時 期
委員会原案
2017 年 7 月
CDV
投票用委員会原案
2018 年 7 月
FDIS
最終国際規格案
2019 年 5 月
国際規格
2019 年 10 月
IS
2.IEC 61800-5-1 Ed.2 改正審議
(IEC/SC22G/MT11)
主に電動機過負荷保護について UL 61800-5-1 との
IEC/SC22G/MT7
(可変速駆動システムの EMC)
ロンドン会議 出席報告
整 合を行った追 補(Amd.1)CDV が 2015 年 11 月に
発行され、投票の結果、可決された。なお、投票時に
IEC/SC22G/MT7 エキスパート
吉岡 康哉
併せて提出された各国コメントについて審議が行われ、
◇1
日本から提出した 38 件のコメントはほぼすべてが容認
IEC/SC22G/MT7 エキスパート
(Accepted)され、FDIS に反映された。FDIS は、2016
井上 博史
◇2
年 9 月ごろ発行される見込みである。
MT11 では、これまで IEC 62477-1 Ed.1 および UL
61800-5-1 との整合について主に箇条 4(安全要求事項)
を審議してきており、今回の会議で、高電圧 PDS およ
【概 要】
開催会議 IEC/SC22G/MT7
び冷却フィン外出しのような複数 IP 構造を除き、ほぼ箇
(可変速駆動システムの EMC)
条 4 の審議を終えた。次回 2016 年 6 月開催予定の IEC/
開催期間 2016 年 4 月 19 日 ㈫ ~ 21 日 ㈭
SC22G/MT11 エアランゲン会議では、箇条 5(試験要
開催地
BSI(ロンドン、英国)
求事項)および箇条 6(情報要求事項)を審議していく
参加国
英国、デンマーク、ドイツ、フィンランド、
ことになる。
3.課 題
安全に関するパワエレ共通規格および PDS 製品規格
フランス、日本
【出席背景】
の全面的な改正がほぼ同時平行して進行することになる
可変速駆動システム(PDS)の製品 EMC 規格 IEC
ため、長期にわたって両者の動きを見ながら会議に参加
61800-3 の Edition 3 作成のための改 正 作業が 続けら
し、日本にとって不利益にならないように意見を述べる必
れていたが、この作業はほぼ最終段階となった。一方、
要がある。
EMC 規格では、関連する EMC 規格の最新動向(図)
を、随時製品ごとの EMC 規格に反映する必要がある。
【今後のアクション】
1.IEC 62477-1 Ed.1 改正審議(IEC/TC22/MT9)
2017 年 7 月に発行を計画している Ed.2 1stCD(第 1
回委員会原案)について、2016 年 6 月より全面的な改正
の審議を開始する。
PDS に影響する要素の一つである電源高調波に関して、
現 在、IEC/SC77A/WG1( 電 源 高 調 波 )で 測 定 方 法
の見直しの議論が行われており、次回 SC77A/WG1 は
2016 年夏に開催される。
SC77A/WG1 には、電力業界、他の機器業界など多く
の利害関係者が参加しており、PDS メーカに不利な方針
<今後の会議予定>
となる可能性もあるため、MT7 では、SC77A/WG1 へ
2016 年 6 月 エアランゲン(ドイツ)
PDS としての意見発信を行うことを決定した。
2.IEC 61800-5-1 Ed.2 改正審議
(IEC/SC22G/MT11)
2016 年中に Ed.3 1stCD を発行するため、審議を継続
する。
【目 的】
今回の会議は、SC77A/WG1 での審議状況を共有し、
PDSとしての対応について検討することを目的としている。
<今後の会議予定>
2016 年 6 月 エアランゲン(ドイツ)
2016 年 9 月 セナボー(デンマーク)
◇ 1 富士電機株式会社 技術開発本部 コア技術研究所 パワエレ技術開
発センター 電源技術開発部
◇ 2 一般社団法人 日本電機工業会 技術部 技術企画課
[業界報告] 87
業界報告
【成 果】
WG1 での限度値は、この両立性レベルを基に決められる
見込みであることから、SC77A/WG8 での検討状況につ
いても情報共有を行った。入手した主な情報を次に示す。
SC77A/WG1 での検討状況を共有し、各国でフィール
ドデータの収集を行ったうえ、次回会議でパワエレ機器
・2 ~ 30kHz について回付された 77A/914/CD(IEC
としての意見集約を図ることとした。入手した主な情報を
61000-2-2(公共低電圧電力系統の両立性レベルの追
次に示す。
加)については、次のステップに進み CDV が回付される。
・SC77A/WG1 では、2 ~ 9kHz の限度値の規定に関し
・30 ~ 150kHz については各国に意見を問う意見照会
て、基準インピーダンスおよび限度値を電圧・電流の
文書が回付されたが、さまざまな意見・代替案などが
いずれにするかの議論を行っている。
提示されたため、大きな進展はない。新たな TF が設
置され、より慎重に検証することとなった。
・電圧限度値を規定するときには、電圧はインピーダン
スに比例するため、インピーダンスの規定が重要にな
・機器からのノイズによる PLC 通信への障害に関して、
る。インピーダンスは、IEC 61000-4-7(高調波エミッ
ノイズは障害の要因ではないとの実証試験の結果が日本
ションの試験方法)の Figure B.4 に既に記載があるが、
から紹介された* 1。TC22 にとって非常に有益である。
TC22(パワエレ)としては、このインピーダンスは 2
* 1 本号 95 ページに掲載の「IEC/SC77A/WG8(低周波電磁両立性の電
磁環境)東京会議 出席報告」を参照
倍程度大きな値となっており、保守的であると考えて
いる。
・ドイツで開催された PLC カンファレンスで、機器メー
・WG1 において、独自の測定回路が示されたが、2kHz
カにとって有利となる次の発表があった。
で 80%、9kHz で 60%のインピーダンス値となってお
a)
PLC 通信には、150kHz より高い周波数が適してい
り、TC22 としては受け入れられない。
る。
・限度値を電圧と電流のどちらで測定するのかはいずれ
b)
フ
ランスでは、PLC 通信が期待以上の通信成功率に
も一長一短があるが、電流限度値を採用する場合、試
達している。
験時に基準インピーダンスが不要となる長所がある。
c)
通信喪失があった場合は、repeater を設置すること
・電流値の範囲について、まずは 16A 以下の装置につい
て検討している。
で通信可能となる。
d)
通
信障害に影響するものとして、ノイズは 10 番目に
過ぎない。
また、SC77A/WG8(低周波の電磁環境)では、2 ~
150kHz の両立性レベルについて検討しており、SC77A/
電流
両立性レベル
規格化済み
75
(SC77A/WG8)
(A)
16
両立性レベル 改正案回付中
(SC77A/WG8)
限度値
規格化済み
(SC77A/WG1)
両立性レベル
検討中
限度値
規格化済み
(SC77A/WG8)
(CISPR/B)
限度値 検討中
(SC77A/WG1)
2kHz
9kHz
30kHz
150kHz
30MHz
周波数
※2~150kHzについては、TC22/MT8で作成したTSで推奨値(限度値相当)を記載
図 PDS に関連する EMC 規格(エミッション限度値・両立性レベル関連)の検討状況
88 電 機 2016・June
【今後の課題】
【出席背景・目的】
MT7 は、PDS の製 品 EMC 規 格 の改 正を主目的と
現行の冷蔵庫の性能規格は、温度、内容積、消費電力
しているが、前述のとおり、EMC 規格では、関連する
量のような定量的パラメータをこれまで測定してきた。し
EMC 規格の最新動向を随時製品ごとの EMC 規格に反
かしながら、これらの規格は、食品鮮度保持に関しては
映する必要があるため、EMC を所管する関連 TC/SC に
取り扱っておらず、そのような観点で、冷蔵庫の性能を
対して TC22 としての意見発信を行うための検討母体と
測定または比較する標準的な試験方法は、現状存在して
しての役割も担っている。日本からは、SC77A/WG1、
いない。
SC77A/WG8 など、特にパワエレ機器への影響が大きい
このような標準的な試験方法があれば、メーカは食品
TC/SC にも参加しているが、国を超えてパワエレ機器と
鮮度保持に対して自社の技術をアピールし、その妥当性
しての意見集約を行う意義は大きい。
を示すことができる。また、顧客は試験結果に基づいて
今回の会議でも、SC77A/WG8 対応で行った国内実
製品購入の決定を行うことができ、消費者団体もまた、
証試験結果のほか、日本がリーダを務めている CISPR/
比較試験を行うことによって、消費者に有益な情報をも
B(工業機器などの高周波エミッション)での検討状況を
たらすことができる。
日本から紹介し、MT7 における日本のプレゼンスを高め、
こうした中、2015 年 10 月、SC59M ミンスク会議に
各国の信頼も得られている。SC77A/WG1 では、欧州な
おいて、中国から 6 つの食品鮮度保持に関する試験方法
どで主流の三相 4 線電力系統を主体に議論されているが、
の提案がなされ、SC59M の傘下に WG4 が設立された。
MT7 においては、欧州とは異なる日本の事情を加味した
WG4 の第 1 回目の会議は上海で開催されることとなり、
意見集約が期待できる。
日本もこの会議に出席することとした。出席の目的は、試
MT7 は、当面、パワエレ機器としての意見集約の場と
して機能することが予想されるため、引き続き各国と協調
験規格に日本意見を反映させること、また日本に不利な
試験方法が採用されないように対応することであった。
を取りつつ、日本の提案を TC22 として関連 TC/SC に意
【試験方法の概要】
見発信できるように取り組む必要がある。
中国からは 6 つの試験、CECED(欧州の家電工業会)
IEC/SC59M(家庭用電気冷蔵・冷凍
機器の性能)食品鮮度保持WG上海会議 出席報告
からは追加の 3 つの試験提案があった。その試験方法の
概要は以下のとおりである。
【中国提案の 6 つの試験】
試験名称
日立アプライアンス株式会社
家電事業部 栃木家電本部 冷蔵庫設計部
1
Weight Loss in
Vegetables
野菜の重量損失
7 日間保存した後の野菜の重量変化を
測定する。
2
Condensation
結露
1 の試験後に冷蔵庫内壁面の左右、前
後、上下、各々の表面の結露状況を指
数化して測定する。
3
Vitamin C content
ビタミン C 含有量
7 日間保存した後のビタミン C 含有
量を測定する。
4
Drip Loss
肉汁損失-肉製品
7 日間冷凍保存した後の肉を解凍し、
その重量を測定する。
5
Titratable acidity
滴定酸度
14 日間保存した牛乳の酸性度を測定
する。
6
Chlorophyll Content
クロロフィル含有量
7 日間保存した野菜のクロロフィルの
残存量を測定する。
岩渕 真也
【概 要】
開催会議
IEC/SC59M(家庭用電気冷蔵・冷凍機器の性
能)食品鮮度保持 WG 上海会議
開催期間
2016 年 3 月 1 日 ㈫ 〜 2 日 ㈬
開催地
上海浦東シャングリラホテル(上海、中国)
参加国
8 カ国、26 名
試験方法の概要
[業界報告] 89
業界報告
【CECED 提案の追加の 3 つの試験】
実使用状態に近づけるために実食品の使用を推奨するグ
試験方法の概要
ループと、試験の再現性を重要視して模擬負荷やスポン
7
Product Color
野菜の色
冷蔵庫で保存した後の野菜の色の変化
を色見本で比較する。
ジ等の人工物を推奨するグループとに、意見が割れてい
8
Microbiological content
微生物の含有量
保存した後の食品の微生物の含有量を
初期値と比較する。
9
Sensory
感覚的な評価
外観など定量的に示せないものを評価
する。
試験名称
る。これは試験結果を基に議論を重ねて方向性を決める
しかなく、この調整に時間がかかると思われる。
しかしながら、標準試験方法作成の有用性については
各国とも一致しており、できる限り実現につなげたい。た
だし、誤った情報が出てしまうような試験では意味がない
【上海会議の検討結果】
ため、慎重に議論を重ね、より良い標準試験方法を規定
できるよう、検討を進めていきたい。
中国提案の 6 つの試験の試験方法の課題、必要性を議
論した。主な意見は以下のとおりだが、今回の会議では
各国が自国の意見を主張しただけに留まり、方向性は決
しなかった。今後、各国で試験を実施し、試験結果を持
ち寄った上で再度議論することとなった。
試験名称
IEC/TC61/MT23(住宅用機器の
電子制御安全性、EMS及び絶縁協調)
ベルリン会議 出席報告
検討結果および主な意見
IEC/TC61/MT23 セクレタリ
Weight Loss in
Vegetables
野菜の重量損失
•日本、CECED、ドイツは、実野菜を使
用するのではなく、水、スポンジなどの
どこでも入手可能な代替物で試験するこ
とを主張した。
•中国は、実野菜で試験することを主張し
た。
2
Condensation
結露
•野菜に実際に水が付くと傷むため、水が
付いたかどうかで評価する意見があっ
た。
開催会議 IEC/TC61/MT23(住宅用機器の電子制御
3
Vitamin C content
ビタミン C 含有量
•試験結果を得るには、試験機関に依頼す
る必要があるため、コストが高額になる
という指摘があった。
開催期間 2016 年 4 月 18 日 ㈪ ~ 20 日 ㈬
Drip Loss
肉汁損失-肉製品
•日本は、0 ~ -5℃までの冷凍の速さだけ
ではなく、その後の保存中の温度や、解
凍中の肉の温度変動もドリップ量に影響
することを説明した。
•CECED、ドイツは、0 ~ -5℃までの冷
凍の速さが重要であるため、肉を使用す
る必要はなく、代替物で試験することを
主張した。
1
4
5
6
Titratable acidity
滴定酸度
•14 日間保存した牛乳自体が、実使用で
は考えにくいことから、不要との意見が
あった。
Chlorophyll Content
クロロフィル含有量
•ビタミン C 含有量など他の試験で代行で
きるので不要との意見があった。
•試験コストが高額になるという指摘もあ
った。
【おわりに】
上海会議では各国から提案・意見が多く出たが、解決
柴田 和男
◇
【概 要】
安全性、EMS 及び絶縁協調)ベルリン会議
開催地
ド イ ツ BSH 提 供 会 議 室(Mercure Hotel
Berlin City West:ベルリン/ドイツ)
参加者
(敬 称略・順不同)10 カ国 19 名(日本含
む)Bernd Gehrke(コンビナ、ドイツ)
、前
川(ダイキン工業)
、坂口(ダイキン工業)
、
柴田(セクレタリ:筆者)
、他、各国メンバー
(カナダ、スイス、ドイツ、フランス、英国、
イタリア、スウェーデン、オランダ、米国、
IEC/TC72 リエゾン)
、オブザーバ参加(ド
イツ 1 名)
【会議開催の背景等】
IEC/TC61(家庭用電気機器の安全性)傘下の MT23
の第 30 回会議が開催されることになり、筆者は MT23
する課題も多いことがわかり、食品鮮度保持の標準試験
方法の規定が非常に難しいことを各国が認識した。特に、
90 電 機 2016・June
◇一般社団法人 日本電機工業会 新エネルギー部
の Secretary(幹事)として出席した。
MT23 では、家電機器や家庭用の小形燃料電池システ
ムなどネットワークを介した遠隔操作が可能となる住宅
終的な安全を担保しているソフトウェアを対象としてい
る。
2.この適用範囲の表現の仕方についての議論にほぼ 1
用設備機器についての安全性規格(IEC60335 シリーズ)
日時間を費やし、最終的に新設の 22.5x 項に Annex
の改正案審議を行っている。
XY を適用する条件を明記することにした。
今回の会議の主議題は、IEC/TC61 傘下の MT23 に
3.見通し範囲内で使用される赤外線通信は今回の提案
て作成・提案した「家電機器にパブリックネットワーク
の対象外となるが、最終的な機器への信号送信が赤
を経由して操作またはプログラムの書き込み/変更を行
外線であっても、公衆回線(インターネット)に接続
うことに対する安全性確保のための規格案(文書番号
し、外部から機器を操作するシステムの場合は、もう
61/5073A/DC)
」に対する各国意見の審議であり、審議
一方が本提案の対象になるので、機器としては対象と
結果を TC61 のメキシコシティ会議(2016 年 5 月)へ回
なる。
答する必要があった。
4.データの機密性や消費者の個人情報保護には言及し
ない。
【主な決定事項等】
1.提案(61/5073A/DC)に対する各国意見の審議にほ
5.ソフトの書換手順をユーザに伝えることを要求事項に
追加する。
6.日本のメンバーによるソフトウェア評価の代替方法の
ぼ 2 日間かかったが、すべての意見について MT23
提案要点は、以下のとおり。
としての評価をまとめることはできなかった。このた
6.1 現行規格は 1 つのソフトウェアによる保護機能
め、次回の TC61 会議における MT23 活動報告の中
に頼り、そこに起きるマイコンを含めた故障をコン
で要点を紹介し、MT23 としては次回会議で継続審
トロールするという考え方に対し、多重保護により
議を行うことにした。
最初の機能に発生した故障を他の機能で補うとい
2.日本のメンバー(前川氏、坂口氏)から、ソフトウェ
う考え方。
ア評価の代替方法について紹介した。この内容に基づ
6.2 ソースコードの精査に代わり、フローチャートと
き、改正提案を予定している旨を併せて説明し、了承
回路図による保護機能の説明と、実機あるいはデ
された。
バッグ環境でのデモンストレーションで保護機能
3.Annex R(ソフトウェア評価)の見直し案(61/5105/
の動作を確認するというもの。
DC)
への各国意見の審議を完了し、TC61 へ報告する。
7.Annex R(ソフトウェア評価)の見直し案(61/5105/
4.IEC/TC59(家庭用及びこれに類する電気機器の性能)
DC)への各国意見の審議では、新規追加提案の R.3.4
で審議中の文書 59/646/CD(IEC TS62950 案:住宅
(Management items)は、日本メンバーから、安全
用機器のネットワーク適合性)の内容を確認し、コンビ
担保に関係なく認証行為に関係するものとの見地から
ナにて今回の議論を基に気付いた点をコメントする。
削除することを意見したが、MT23 の方針に反すると
5.今後の予定は、2016 年 7 月 26 日 ㈫ ~ 28 日 ㈭ (ス
のことで拒絶された。
トックホルム/スウェーデン)および 2016 年 10 月
8.IEC/TC59(住宅用機器の性能)で審議中の文書
19 日 ㈬ ~ 21 日 ㈮ (マドリッド/スペイン)とした。
59/646/CD(IEC TS62950 案:住宅用機器のネット
ワーク適合性)の内容を確認し、
「Safety」の言葉が
【原案審議のポイント】
ある部分を一通り流して確認した。その結果、コンビ
ナにて今回の議論を基に気付いた点をコメントするこ
1.MT23 から提案した改正案では、遠隔操作および公
とになった。なお、5.2.2 項(Safety)に関しては、ポ
衆回線を経由したソフトウェアのダウンロード & イン
リシー的な内容であることから特に問題はないと考え
ストールによって IEC 60335 の安全要求事項を満た
られ、MT23 からのリエゾンを擁立する考えはないこ
せなくなる場合を適用範囲としており、遠隔操作と最
とを確認した。
[業界報告] 91
業界報告
【今後の予定】
社団法人 日本電機工業会(JEMA)の規格である JEM
1479 にその仕様が規定されている。JEMA 内に設置さ
1.次回は英国メンバー(エレクトロラックス)からの招
れた「ネットワーク推進特別委員会」がその規格の制定
待により、2016 年 7 月 26 日 ㈫ ~ 28 日 ㈭ にストッ
と、普及促進を図っている。FL-net を将来にわたって
クホルム(スウェーデン)での開催が予定されている。
国内外でより一層普及させる目的で、FL-net を IEC 規
主な議題としては、DC 文書に対する各国意見の審議
格とするための活動を、2013 年よりスタートさせた。今
(TC61 メキシコ会議のフォロー)および今回の積み残
回、FL-net の IEC 規 格 化を進めるため、IEC/SC65C/
し案件(Part2-6 の見直し、ガイダンス文書のアップ
JWG10(工業用ケーブリング)アーリントン会議に出席
デート、等)の審議を予定している。
した。以下にその内容を報告する。
また、 次 々 回を 2016 年 10 月 19 日 ㈬ ~ 21 日 ㈮
(マドリッド:61/5073A/DC 提案の修正案審議、等)
とした。
2.今回の経過は 5 月にメキシコシティで開催される
IEC/TC61 に報告する。
【IEC/SC65C/JWG10
(工業用ケーブリング)の位置付け】
IEC(International Electrotechnical Commission)
の中の IEC/SC65C/JWG10 の位置付けを図 1 に示す。
IEC の中で工業用プロセス計測制御を扱う専門委員会
(TC65)傘下に、工業用ネットワークシステムを扱う分
IEC/SC65C/JWG10
(工業用ケーブリング)
アーリントン会議 出席報告
科委員会(SC65C)があり、その中に工業用ケーブリン
グを扱うジョイントワーキンググループ(JWG10)があ
るという位置付けである。JWG10 の扱う IEC 規格には、
ネットワーク推進特別委員会
国際標準化 WG 主査
塩原 康壽
◇
一般社団法人 日本電機工業会
技術部 次長
【概 要】
IEC 61918(工業用ネットワークインスタレーション)と
IEC 61784-5 シリーズ(工業用ネットワークプロファイル
-第 5 部:フィールドバスのインスタレーション)がある。
今回のアーリントン会議では、2018 年に改正が予定され
る主に IEC 61918 について審議した。
高橋 一郎
開催期間
2016 年 1 月 18 日 ㈪ ~ 20 日 ㈬
開催場所
TIA(米国電気通信工業会、米国アーリン
専門委員会
(Technical Committee)
分科委員会
(Subcommittee)
IEC/TC65
SC65C
(工業プロセス計測制御) (工業用
ネットワーク
システム)
13 名(イタリア 1 名〈コンビナ〉
、米国 2
名、ドイツ 4 名、英国 1 名、日本 5 名)
MT9
(フィールドバスメンテナンス)
・IEC 61918(工業用ネットワーク
インスタレーション)
WG12 (フィールドバス機能安全)
・IEC 61784-5 シリーズ
WG13 (サイバーセキュリティ)
(工業用ネットワークプロファイル-
第 5 部:フィールドバスの
WG15 (高可用性ネットワーク)
インスタレーション)
WG16 (無線)
JWG10(工業用ケーブリング)
WG17 (無線での共存)
MT : Maintenance Team
JWG : Joint Working Group
WG : Working Group
トン市)
参加者
ワーキンググループ
(MT,JWG,WG など)
図 1 IEC/SC65C/JWG10(工業用ケーブリング)の位置付け
JEMA より国際標準化 WG 塩原主査、
技術部 高橋が出席(共に筆者)
【出席背景・目的】
工業用ネットワークの FL-net は、JIS B3521 と一般
◇ YS アソシエイツ産業コミュニケーション研究所
92 電 機 2016・June
【議事概容】
工業用ネットワークの規格の中でインスタレーションに
関する規程を定めている IEC 61918 を中心に審議した。
今後、FL-net の IEC ケーブリング規格を起草する際に、
IEC 61918 の規程をテンプレートとして、FL-net の規程を
を示す。IEC 61784 と IEC 61158 には各フィールドバス
記述することが要求される。IEC 工業用ネットワークの現行
の規格が規定されており、この中に FL-net と ADS-net
規格の改正時期となる 2018 年 10 月に IEC 61918 も改
が新たに 2018 年 10 月に追加される。
正を予定しており、本会議ではその改正内容を審議した。
【FL-net の IEC 規格化の日程】
【成果と今後の予定】
今回の会議では、IEC 61918 の改正内容で FL-net の
図 2 に FL-net の IEC 規格化の日程を示す。提案段階
規格に大きな影響を及ぼすような事項はなかった。ISO
(NP)
、委員会段階(CD)
、照会段階(CDV)
、承認段階
や IEEE などでのネットワーク関連規格の進展を反映し
(FDIS)
、発行段階(IS)と進むが、今回、NP と CD を
た内容で IEC 61918 の CD が発行されることになった。
経過し、アーリントン会議の開催となった。最終的に 2018
年 10 月に FL-net の IEC 規格化を目指している。
また、ISO/IEC のジョイント分 科 委 員会(ISO/IEC
JTC1/SC25)が審議している規格案(CD2 11801-3)に
示されている、工場の製造ラインから工場内の敷地全体
項目
規格改正
IEC61918
IEC61158
IEC61784
FL-net
IEC規格化
2014年
2015年
NP
提案段階
2016年
CD
委員会段階
2017年
CDV
照会段階
2018年~
FDIS
承認段階
IS
発行段階
改正版
(2018年10月)
NP提案
(2015年4月成立)
CD文書回付
(2016年2月成立)
CDV文書回付
(2017年7月)
東京会議
アーリントン会議
FDIS文書回付
(2018年4月)
までのネットワークを示す構成図の表現が、本委員会が
担当する IEC 61918 や IEC 61784-5 シリーズとの関係が
明確になるように記述を変更するよう、本委員会から意
見を提出することになった。
規格化
(2018年10月)
図 2 FL-net の IEC 規格化日程
IEC 61158
(フィールドバス 各層通信サービ
ス定義とプロトコル仕様)
CPF
技術名称
Type
技術名称
1
Foudation Fieldbus
1
Foudation Fieldbus
2
CIP
2
CIP
3
PROFIBUS & PROFINET
3
PROFIBUS
4
P-NET
4
P-NET
5
WorldFIP
5
Foudation Fieldbus
6
INTERBUS
6
−
7
−
7
WorldFIP
8
CC-LINK
8
INTERBUS
9
HART
9
Foudation Fieldbus
10 VNET/IP
10 PROFINET
11 TCnet
11 TCnet
12 EtherCAT
12 EtherCAT
13 Ethemet Powerlink
13 Ethemet Powerlink
14 EPA
14 EPA
15 MODBUS
15 MODBUS RTPS
16 SERCOS
16 SERCOS
17 RAPInet
17 VNET/IP
18 SafetyNET P
18 CC-LINK
19 MECHATROLINK
19 SERCOS
20 ADS-net
20 HART
21 RAPInet
➡ 21 FL-net
22 SafetyNET P
FL-net 予定番号:IEC 61784 CPF21
23 CC-LINK
(CPF : Communication Profile
24 MECHATROLINK
Family)
25 ADS-net
➡ 26 FL-net
IEC 61784
(フィールドバス・プロファイル)
FL-net 予定番号:IEC 61158 Type26
図 3 FL-net の IEC 規格の予定番号
図 3 に IEC 61784(フィールドバス・プロファイル)
図 4 会議の様子
図 5 会議出席者
本委員会では、この後、2016 年 3 月に電話会議で
IEC 61918 の CD 案を審議し、その後 2017 年 1 月のミ
ラノ会議にて CDV 案の審議を予定した。2018 年内に現
と IEC 61158(フィールドバス各層通信サービス定義と
行規格の改正版と FL-net 新規格を発行する予定である。
プロトコル仕様)での FL-net に予定されている規格番号
今後 FL-net の IEC 規格を起草する際には、IEC 61918
[業界報告] 93
業界報告
をテンプレートとし、IEC 61918 と同一の文書構成で規
定内容を参照することが必要となる。
会期中にはレセプションが開催され、委員会の委員や
日本からは複数の企業が参加しており、その中で富
士通がテストベッドを立ち上げ、他の企業と協力して
開発を進めている。世界に 7 カ所の IIC の支部があり、
TIA の職員と交流することができた。会議の最終日には
日本にも支部を作った。韓国、中国、インドなどにも
雪が降り始め、その翌日(1 月 22 日)には記録的な大雪
IIC のテストベッドに参加する企業(サムスン、ファー
になり、ワシントン地区には非常事態宣言が出されること
ウェイなど)がある。
になった。幸いアーリントンを離れるのがこれより 1 日早
かったため、移動手段への影響は少なかった。
テストベッドのような実験では成功が保証されてい
る訳ではないが、幸い、最初の 3 つのテストベッドの
実証が成功した(Bosch の自動車部品の製造ライン、
カリフォルニアでのスマートグリッドの事業など)
。ス
マートグリッドのビジネス化には 10 年単位の時間がか
かると予想されるが、ベンチャー企業を中心にして事
業を推進している。日本にはスマートグリッドの事業化
のためには規制が強く、ビジネス化が困難という課題
がある。
2.IoT ビジネス推進についての説明
図 6 レセプションの様子
IoT を利用して新規のビジネスを作るという分野で
は、今後、一つの国ですべての技術をまかなうことが
【IIC(Industrial Internet
Consortium)訪問】
会 議 終了後に、ボストンの IIC(Industrial Internet
困難であり、グローバルに企業同士が連携することが
必須になる。
3.感想など
Consortium)を訪問した。IIC は IoT を利用した新しい
これまで、日本は国際的なコンソーシアムなどの場
ビジネスを創出するために、グローバルに企業間で連携
で互いに協力するという経験が少なく、日本が持つ実
して実証試験を実施するための場としてのテストベッドを
力に見合った存在感を発揮できていないと感じる。グ
運営している。今回の面会では IIC のテストベッドの運
ローバルな企業間で協力し実験するという手法は、こ
営がどうなっているのかを伺った。
れから日本でも採用を検討すべきであると感じた。
日 時
2016 年 1 月 22 日 ㈮ 9 時~ 10 時 30 分
場 所
シェラトンコマンダーホテル
(ボストン近郊のハーバード)
出席者
IIC リチャード・ソレイ会長(図 7)
、JEMA
塩原主査、技術部 高橋(ともに筆者)
議事内容:
1.IIC テストベッドについての説明
IIC には 50 カ国から企業が参加し、まだ発足 1 年で
あるが、9 個のテストベッドの内容を公開している。他
にも未公開の活動や新しく計画中の活動がある。
94 電 機 2016・June
図 7 IIC ソレイ会長
(2)30k ~ 150kHz については、パワエレ機器メーカが
IEC/SC77A/WG8
(低周波電磁両立性の電磁環境)
東京会議 出席報告
提案する両立性レベルと、欧州系統運用者が提案
する両立性レベルの両方を併記した意見照会文書
(DC)を回付する。
家電 EMC 技術専門委員会
IEC/SC77A/WG8 エキスパート
吉岡 康哉
◇
今回の会議では、上記改定案・意見照会文書に対する
各国の回答結果を基に、
(1)については改定案の修正版
を作成し、
(2)については今後の方針を決定する方針と
【概 要】
開催会議 IEC/SC77A/WG8
(低周波電磁両立性の電磁環境)
開催期間 2016 年 3 月 14 日 ㈪ ~ 17 日 ㈭
開催地
富士電機(東京、日本)
参加国
ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、デン
マーク、北米、マレーシア、日本など
している。日本からは、
(1)の CD 文書に対して修正意
見を提出しており、日本意見を反映することを目的として
いる。また、
(2)については、事前に提出した意見の説
明に加え、日本で行った実証試験結果を紹介し、実証試
験結果に基づいた技術的な議論を行う。
【成 果】
今回の会議で、次の 2 点が決定された。
【出席背景】
欧州で導入が進められているスマートメータの計測障
(1)2k ~ 30kHz の CD 文書については、各国意見を反
映して、次のステップ(CDV)を発行することが合
意された。
害対策と計測データ通信に用いる PLC(電力線搬送通
(2)30k ~ 150kHz については、両立性レベルを議論
信)の保護を目的として、2k ~ 150kHz の EMC 定義を
するために、あらためて PLC の通信性能評価を実
新たに導入する IEC 国際規格の改定作業に取り組んでお
フィールドと試験場の両方で実施することとなった。
り、家電機器、新エネ機器、産業機器等すべてのパワエ
同時に、追加フィルタの設計製作費用の検討、両立
レ機器の製品設計に多大な影響を及ぼす可能性がある。
性レベルの代替案も、再度実施することとなった。
【目 的】
(1)の CD 文書では、2 ~ 9kHz と 9 ~ 30kHz とに分
けて両立性レベルを規定しているが、周波数の境界があ
WG8 では、エミッション限度値およびイミュニティ
いまいであり、また、対象としているモードがディファレン
レベルの基準となる両立性レベル(CL:Compatibility
シャルモード(線間)かコモンモード(対地)かがあいまい
Level)に関して、2k ~ 150kHz の周波数帯における新
になっていた。日本から、周波数の境界・モードの明確化
規制定に向けて審議が進められている。
を提案したところ、適切な規定に見直されることとなった。
前回、2015 年 10 月に開催された会議で、次の 2 点が
決定された。
(2)に関しては、これまでに欧州の系統運用者から「パ
ワエレ機器の伝導ノイズが PLC 通信に障害を与える」と
(1)2k ~ 30kHz については、パワエレ機器メーカが提
の実証試験結果が示されたが、測定方法や評価結果が
案した一般電気機器に対するエミッション限度値を
不明確であったことから、日本国内にて行った 2 回の再
基に規定した両立性レベルと、PLC に対する両立性
現試験の結果を紹介した。また、これらの試験結果から、
レベルを新たに導入した IEC 61000-2-2(公共低電
PLC の通信性能は電力系統の特性(インピーダンス)に
圧系統の両立性レベル)の改正案(CD)を回付する。
大きく影響し、また、PLC の機種ごとに違いが見られ、
◇富士電機株式会社 技術開発本部 コア技術研究所 パワエレ技術開発
センター 電源技術開発部
PLC 自体の性能にも依存していることが分かり、パワエ
レ機器が発生するノイズだけが障害の原因ではないとの
[業界報告] 95
業界報告
考察結果を報告した。この日本からの報告も含め、DC
開催会議 IEC TC116 WG9(IEC 62841-3-XX 可搬式
文書に対する各国意見の確認が行われたが、WG8 での
電動工具の安全 個別規定)
(4 月 4 日)
議論と同様、現時点での合意形成が難しいとのことから、
IEC TC116 WG8(IEC 62841-2-XX 手持式
4 つのタスクフォース(TF)を新たに設置して、PLC 通
電動工具の安全 個別規定)
(4 月 5 日)
信性能評価やフィルタ設計費用などの検討を再度実施す
IEC TC116 WG7(IEC 62841-1 手持式電
ることとなった。
動工具、可搬式電動工具、園芸工具の安全
一般規定)
(4 月 6 日~ 4 月 8 日)
PLC AからPLC Bに1000回通信
IEC TC116 WG10(IEC 62841-4-XX 電動
装置
PLC A
PLC B
疑似電源
回路網
複数の機器を接続して
機器ごとの通信成功回数
をカウント
国際規格に基づいた測定装置で
機器のノイズを測定
園芸工具の安全 個別規定)
(4 月 11 日~ 4
月 15 日)
開催地
サバンナ市(米国)
参加国
米国(9)
、カナダ(1)
、英国(3)
、ドイツ
(7)
、ベルギー(1)
、スウェーデン(1)
、南
図 日本で行った実証試験の回路構成
アフリカ(1)
、中国(1)
、日本(2)
、事務局
【今後の課題】
(1)
(9 カ国 27 名)
日本からの出席者
2k ~ 30kHz については特に重要な日本意見が反映さ
・第 59/61/116 小員会 WG5:成田正己
(WG5 主査/株式会社 マキタ)
れたが、詳細な点については CDV についてあらためて精
・第 59/61/116 小員会 WG5:山城直人
査し、必要に応じて意見提出する必要がある。
(WG5 委員/日立工機株式会社)
(筆者)
30 ~ 150kHz については、日本は 2 つの TF に参加し、
特に電力線通信の性能評価の TF に関しては、日本で新
たな条件を追加して実証試験を行うこととなった。TF の
最終会議が 10 月となっており、重電 EMC 技術専門委員
【出席背景、目的】
会の傘下に新たに発足した 150kHz 以下 EMC 対応 WG
手持式電動工具、可搬式電動工具、園芸工具は製品の
で早急に試験の内容などを検討し、対応する必要がある。
構造、試験方法が類似していることから、従来それぞれ
IEC 60745(手持式電動工具)
、IEC 61029(可搬式電
動工具)
、IEC 60335(園芸工具)に分かれていた一般
規定を一つにまとめ、IEC 62841-1 として 2014 年 3 月に
発行した。
IEC/TC116(手持ち電動工具の安全
性)WG7/WG8/WG9/WG10
サバンナ会議 出席報告
また従来規格の個別規定の数は全部合わせると 40 に
及ぶ(IEC 60745-2-1 ~ -2-23、IEC 61029-2-1 ~ -2-11、
IEC 60335-2-77, -2-91, -2-92, -2-94, -2-100, -2-107)
。現
第 59/61/116 小員会 WG5 委員
山城 直人
◇
【概 要】
開催期間 2016 年 4 月 4 日 ㈪ ~ 4 月 15 日 ㈮ (10 日
間:4 月 9 日 ㈯ 、4 月 10 日 ㈰ は会議なし)
◇日立工機株式会社 開発本部 規格管理センタ
96 電 機 2016・June
在 TC116 の上記委員会において IEC 62841-1 の一般規
定に整合したこれらの個別規定を順次作成中。これまで
に 11 件の個別規定が発行されている。
これらの規格が電気用品安全法の整合規格の基となる
ため、将来日本の規格として採用する上で問題となるよ
うな要求事項について事前に日本からの提案を行い、国
際規格と日本の規格の整合を図る。
【主な審議内容】
1.IEC TC116 WG7 会議
(IEC 62841-1:手持式電動工具)
(4)グラインダ、ポリッシャ、ディスクサンダ IEC
62841-2-3(委員会草案)
前回に引き続き委員会草案の審議を行ったが、
すべ
てを終えることはできず、
次回 20.101から審議を行う。
(1)バッテリの高電圧化(75Vdc → 250Vdc)に伴う
充電器規格 IEC 60335-2-29 の出力電圧上限変更
TC116 から TC61 にレターを送付し、IEC 60335-
3.IEC TC116 WG9 会議
(IEC 62841-3-XX:可搬式電動工具)
2-29 の規格を改定して出力電圧を 250V に上げる
(1)スレッダ IEC 62841-3-12
よう正式に依頼したところ、早速 TC61 にて DC を
作成し、10 月に TC61 のプレナリーミーティング
(116/217/CDV、116/243/RVC)
CDV の審議を終了した。FDIS を発行する。
で議論するという回答を得た。
21.101 ランダウン時間
(2)電動工具用スイッチの個別規定 IEC 61058-2-6
ラン ダ ウン 時 間 の 要 求 が 追 加 とな った。IEC
FDIS が 4 月 1 日に発行され、投票期限は 5 月 13
62841-3-9(卓上丸のこ)の要求内容を元に作成さ
日となっている。
れ、スイッチオフ後に 2 回転以内でスピンドルが停
止することが求められる。
(3)IEC 62841-1 一般警告文
IEC 60745 を適用した製品の取説の一般注意文
(2)テーブルソーの IEC/ISO 適用範囲の競合
に IEC 62841-1 の内容を先行して使用してよいと
IEC 62841-3-1 と ISO 19085-9 の適用範囲の区別
する INF ドキュメントを発行する提案。DC 文書
がついていないため、両方の規格が適用となる製
(116/280/DC)で各国に回覧する。
品があったが、ISO TC 39/SC 4 が ISO 19085-9
の適用範囲を 3700W 以上の製品とすることとした
2.IEC TC116 WG8 会議
(IEC62841-2-XX:手持式電動工具)
(1)ルータ、トリマ IEC 62841-2-17(116/248/CDV、
ため、問題は解消されることとなった。
(3)正誤票(Corrigendum)
116/273/RVC)
下記の正誤票が発行された。
CDV の審議を終了した。FDIS を発行する。
・テーブルソー IEC 62841-3-1, 正誤票 1(23 項
の修正、2015-11-18 発行)
(2) ド レ イ ン ク リ ー ナ IEC 62841-2-21(116/250/
CDV、116/274/RVC)
マイナーな変更のみ。CDV の審 議が 終了した。
FDIS を発行する。
保護装置は、非自己リセット型であることが要求
される。
・卓上丸のこ IEC 62841-3-9 , 正誤票 1(Table 4
の修正、2015-10-28 発行)
「23.3 項で要求される保護装置の自己リセット防
(3)ジグソー、セイバソー IEC 62841-2-11
止」が削除された。
19.101 項 b)
(レシプロソーのフロントハンドルのツバ)
前回のプレトリア会議にて、
レシプロソーのフロントハ
(4)ドレインクリーナ IEC 62841-3-XX(116/244A/
ンドルに要求される6mmのツバの要求の解釈が明確
DC、116/268/INF)
となるよう正誤票
(Corrigendum)
を発行し、図を追
大きな変更はなく、DC の審議を終了した。CDV
加することとなっていた。しかし、
図の追加は大きな変
を発行する。
更とみなされ、正誤票としては認められないことが分
かり、修正票
(Amendment)
を発行することとなった。
[業界報告] 97
業界報告
(5)バンドソー IEC 62841-3-5(委員会草案)
8.14.2 a)まで審議。次回引き続き審議を行う。
(2) ヘ ッ ジ トリ マ IEC 62841-4-2(116/224/CDV、
116/254/RVC)
プレトリア会議の続きで 116/224/CDV、116/254/
4.IEC TC116 WG10 会議
(IEC 62841-4-XX:電動園芸工具)
RVC の審議を行った。
(1)チェーンソー IEC 62841-4-1(116/XXX/FDIS)
8.14. 項 取説
前回のプレトリア会議で 116/207/CDV(116/230/
製品とバッテリのハーネスなど、複数のハーネスを
RVC)の審議が終了し、FDIS(最終草案)のド
同時に使用してはいけない旨、取説の注意文が追
ラフトが完成した。正式に FDIS を発行する前に、
加された。危険が生じたときに製品、またはバッテ
WG10 メンバーあてに確認のため回覧したところ、
リを簡単に離脱できない恐れがある。背負式バッテ
多くのコメントが提出され、今回、それらのコメン
リとハーネスを使用する製品(草刈機)などを一緒
トについて審議された。
に使ってはならない。
20.103 項 チェーンキャッチャーの強度試験
14.2.1 項 注水試験
ISO 10726:1992 に従ったチェーンキャッチャーの
注水試験時に一般規定では最も不利な向きに置い
強度試験を追加する(チェーンキャッチャーの強度
て注水試験を行うことになっているが、ヘッジトリ
試験の要求が漏れていた)
。
マは上向き(normal rest position)に製品が置か
れる(チェーンソーの最終草案と同じ内容)
。
21.18.102 項 スイッチ ロックオフ
シカゴ会議の際に提案されたスイッチトリガーを
18.8 項 Table 4 – 要 求 性 能 レ ベ ル(Required
シーケンシャル操作することでロックオフ解除でき
performance levels)
ることを認める件について、今回改めて議論し、十
19.101.1.1 に、移動するときのための収納ポジショ
分な安全性が確保できないとして削除された。初
ンなど、規格に合致しないような位置に調整した際
めて製品を使う人は、製品の操作方法がよくわから
には製品が運転できてはならないという要求がある
ず、ロックオフの解除の仕方が不明確である。ロッ
が、収納ポジションで製品が動かなくする際にイン
クオフを解除しようとして、そのまま不意に製品が
ターロックスイッチ(電子スイッチ)を使った際に
始動してしまう恐れがある。
はこのような電子スイッチは SCF とみなされ、PL
そのため、スイッチを切ってから 1 秒間はロックオ
= a が要求される。
フ解除状態が維持されてもよいことが明記された。
操作中にハンドルを握り直す時にプレゼンスセン
サーから不意に手が離れても、1 秒以内にすぐプレ
ゼンスセンサーを握り直すことでロックオフ解除が
【今後の課題】
現在 IEC 62841 シリーズは一般規定と 11 の個別規定
維持されるという主旨である。
が発行されたが、まだ 30 もの個別規定が従来規格から
また、ロックオフが解除されている間、音や光によ
移行されていない。また電動刈払機のように、従来個別
るインジケーターでロックオフが解除されているこ
規定がなかった新しいカテゴリの製品で、新規に個別規
とを表示することの要求が草案にあったが、この要
定を追加する予定のものも多くある。今後も多くの個別
求は削除された。
規定が作成されていくため、将来日本の規格として採用
する上で問題とならないよう、日本の規格と国際規格の
今後の予定
今回の議論を織り込んで FDIS を発行する。
98 電 機 2016・June
整合を図っていく。
【今後の会議開催予定】
証制度(IECRE)が設立された。その下部組織に太陽
光発電システム(PV)にかかわる運営管理委員会(PVOperational Management Committee:PV-OMC)が設
2016 年
7月11日㈪~ 15日㈮:WG7/8/9 フランクフルト
(ドイツ)
立され、PV システム(プロジェクト)の認証にかかわる
7月18日㈪~ 22日㈮:WG10
フランクフルト
(ドイツ)
国際的なルール作りが進められている。これに対して、日
ナイアガラ
(カナダ)
本企業にとって不利なルールにならないよう日本の提案
10月17日㈪~ 21日㈮:WG7/8/9 ナイアガラ
(カナダ)
や意見反映を行うことを目的に、IECRE 国内審議委員会
10月10日㈪~ 14日㈮:WG10
の下に PV-OMC 国内検討委員会を設置し、基本ルール、
認証方法等について検討し日本意見の提案を行ってきた。
IECRE(IEC再生可能エネルギー機器規
格試験認証制度)/PV-OMC(太陽光発電
システムにかかわる運営管理委員会)
済州会議 出席報告
【成果および課題】
1.主な決定事項
1) 基 本 ルール である PV-OMC RoP(Rules of Procedure)の Ed.2.0 案が承認され、今後 REMC(再生可
PV-OMC 国内検討委員会 事務局
吉田 功
◇
【概 要】
開催会議 IECRE/PV-OMC
開催期間 2016 年 4 月 18 日 ㈪ ~ 4 月 22 日 ㈮
能エネルギー管理委員会)へ提案し承認を得る。
2)RoP は引き続き各国コメントを反映した Ed.3.0 の検
討を行い、次回 PV-OMC で審議する。
3)RoP や公式文書(OD)に未出版の IEC 標準等を引
用することが、“unpublished” を明記の条件付きで暫
定的に承認する。
4)certificate には適合性認証を行った対象文書名を明記
する。
開催地
Lotte Hotel Jeju Island(済州、韓国)
出席者
IECRE チ ェ ア、PV-OMC チ ェ ア、IECRE
5)RECB/REIB の Peer Assessment 評価フォーマット案
事 務 局 長、IECRE 経 理 部 長 IECRE PV-
について、RECB は 5 月 31 日、REIB は 7 月 15 日ま
OMC 参加 12 カ国の代表・オブザーバ
でに事務局に提出し、次回 PV-OMC 会議で審議する。
日本からの参加者:Delegate:高橋弘(富
士電機)
、山道正明(産業技術総合研究所)
、
篠原裕文(電気安全環境研究所〈JET〉
)
、
Observer:大林只志(JET)
、亀田正明(太
6)PV-OMC 現副議長の Sewang Yoon 氏(韓国)が再
任された。
7)次回開催は 2016 年 10 月 24 日~ 25 日(米国 フロリ
ダ州 Juno)
陽光発電協会)
、吉田功(日本電機工業会
〈JEMA〉
)
2.WG 活動状況と日本提案
RoP を作成・審議する WG401 では、2015 年 9 月の
【出席背景・目的】
東京会議で示された RoP 原案に対する 153 件のコメント
(日本コメントは 51 件)を反映させた Ed.2.0 案を作成、
再生可能エネルギーシステム市場への投資判断の拠
未発行 IEC 規格、PV-OMC 文書を引用せざるを得ない
り所としての活用が見込まれるシステム認証に関し、各
状況であったが、暫定的に “unpublished” の明記という
国で活用できる国際的な第三者認証制度の構築を目的
条件を付けることで承認された。なお、Ed.2.0 に対する
に、2014 年 6 月に再生可能エネルギー機器規格試験認
各国コメントは日本コメントも含めて Ed.3.0 に反映させ
次回会議で審議される。また、部分認証、プラント性能
◇一般社団法人 日本電機工業会 新エネルギー部 技術課
認証、認証機関(RECB)や検査機関(REIB)にかか
[業界報告] 99
業界報告
わる文書も承認された。
ル・仕組み作り等の検討に対して個別 WG に委員を登
認証にかかわる手続き等を審議している WG402 で
録・参加させ、日本産業界発展の立場から、IECRE 国
は、RECB/REIB 認定申請書式の検討を進められ、今後
内審議委員会の協力の下、メーカ、認証機関、EPC 会
RECB の Peer Assessment 評価フォーマット案、REIB
社を含めた PV-OMC 国内検討委員会を通して、日本意
の評価フォーマット案を作成し、次回会議で審議される
見を集約し提案していく。
予定である。なお、RECB/REIB の初期認定について、
機関の相互アセスメントの進め方、アセスメント要件等
が未検討であり、早急に詰める必要がある。また、日本
がコメントした ISO 認定・審査との関係の整理、EPC と
の契約等の妥当性評価も要検討事項として共通の認識が
CISPR(国際無線障害特別委員会)
/
SC-F(家電機器・電機工具・照明機器等)
/WG1ロンドン会議 出席報告
得られ、今後検討されることになった。その他、日本から
コメントしたディーゼル発電、蓄電池、太陽光などを組
家電 EMC 技術専門委員会委員
CISPR/SC-F/WG1 エキスパート
み合わせたハイブリッド発電設備のシステム認証への取
前川 恭範
◇
組みの必要性については同意が得られ、その設計認証の
検討には日本から篠原氏(JET)が参加する。
IECRE PV-OMC のプロモーションやマーケティングを
担当する WG404 では、認証に用いられるパラメータ(出
力エネルギー〈電力量〉測定法、総合性能評価指標、推
【概 要】
開催期間 2016 年 4 月 13 日 ㈬ ~ 14 日 ㈭
定運用保守費用)の定義が整理された。ただし、各認証
開催場所 AMDEA(家電協会)
/ロンドン(英国)
内容については WG401 との調整が必要であり、本検討
* AMDEA:The Association of Manufacturers of Domestic Appliances
には、日本から五十嵐氏が参加する。本会議では、既存
出席者
英国(コンビナー、セクレタリ)
、ドイツ(2 名)
、
PV システムの売買等の際に利用できる資産移転/残存
韓国(1 名)
、イタリア(2 名)
、スイス(1 名)
、
価値認証の検討が新規に提案された。なお、これらマー
オランダ(1 名)
、日本(山下氏/ JET、前
ケティン グ 活 動 に つ い ては、EUPVSEC、Intersolar、
川〈筆者〉
)計 11 名
IEEE-PVSC 等の学術国際会議や展示会の場でもプレゼ
ンテーションが予定されている。
風力発電システムでは太陽光発電システムに先行して
【出席目的、背景】
システム認証が進められているため、今回、その認証機
CISPR14-1 規格は、現在第 6 版への改正作業が行わ
関会議およびその運営管理委員会(WE-OMC)にも参
れている。2015 年 9 月に開催されたストレーザ会議(イ
加し、認証チームメンバーの選定や、運営管理等の状況
タリア)にて最終国際規格案(以下、FDIS)に進むこと
について調査し、今後の PV-OMC での議論に活かして
が承認され、FDIS 草案は、WG1 内の編集チームによる
いく。なお、日本の太陽光発電システムの系統連系につ
作成作業を経て 2016 年 1 月に IEC 中央事務局に提出さ
いてプレゼンテーションを行い、系統連系にかかわる問
れた。FDIS は 5 月 20 日付で回付され、国際規格発行
題点等について意見交換した。
は 9 月に予定されている。
これと並行して修正 1(Amendment 1)に向けた改
【今後のアクション】
正作業が進められており、ストレーザ会議において SC-F
(F 小委員会)から与えられた検討事案、アドホックグ
IECRE PV-OMC 活動はまだ基本ルールを策定してい
ループ(以下、AhG)によって進められてきた IPT(誘
る段階であるが、特に投資家からの強い期待や要望がこ
導式電力搬送)を用いた機器への要求事項の検討結果を
の活動の背景にある。未発行 IEC 規格の扱い等で米国の
焦りのようなものも伺えたが、JEMA としては、国際ルー
100 電 機 2016・June
◇ダイキン工業株式会社 空調生産本部 企画部
審議し、10 月の杭州会議(中国)に向けた作業計画を今
回の会議で策定する。
ストレーザ会議において SC-F から与えられた検討事
案としては、エンターテインメントマシンに関する要求事
項の CISPR32 への移管、クリック測定方法の見直しと解
釈シート(以下、ISH)の発行、規格適合性の統計的評
(3)第 6 版の FDIS が発行されたら改正案を DC と
して発行し、各国の意見を募る。おそらく、10
月の杭州会議(中国)でコメントを審議するも
のと思われる。
今 回 の 審 議 結 果 を 踏 ま え て、CISPR14-2、
CISPR15 における記述も合わせて修正される。
価(以下、統計的評価)に関する記述の見直しがある。
CISPR14-2 規格については、第 2 版に対する修正 1
1.3 クリック測定方法の見直しと ISH の発行
に向けた改正作業で取り入れる事項を審議する。記述の
(Fragment 3)
見直しのほか、CISPR14-1 同様に、統計的評価に関する
ストレーザ会議にてイタリアが測定方法について
記述の見直し、エンターテインメントマシンに関する要求
の課題提起を行ったことを受けて、AhG を結成して
事項の CISPR35 への移管を予定している。
現行規格(第 5.2 版)についての ISH と第 6 版に対
する修正案を作成することとなっていた。AhG には、
【会議結果】
1.CISPR14-1 の改正作業
修正 1 で取り入れる事項を、4 つに分割(Fragment
1 ~ 4)して審 議を進め、投 票用委 員会 原案(以下、
スイス(リーダー)
、イタリア、英国、韓国、ドイツ、
日本のエキスパートが参加している。
2 月に開催された AhG 会議の結果をもとに審議を
行った。以下の合意内容に基づいて ISH と規格修正
案が AhG によって作成され、回付される。
CDV)で可決された改正案を 1 つの FDIS にまとめる方
式を採用することとした。
<合意された事項>
(1)クリック率は、2 つの周波数(150kHz、500kHz)
1.1 IPT を用いた機器への要求事項(Fragment 1)
これまでに発行された意見照会文書(以下、DC)
で測定し、決定する。
(2)500kHz、1.4MHz、30MHz の本測定(最終測
に対するコメントへの対応を最終的に審議する予定
定)は、以下のどちらかを適用する。
であったが、AhG リーダー(オランダ)が急遽欠席
①それぞれの周波数におけるクリック数に対して
したため、次回に持ち越すこととした。
上位四分価法を適用する。
② 500KHz におけるクリック数に対して、それ
1.2 統計的評価に関する記述の見直し(Fragment 2)
CDV において、英国とドイツからこの記述の修正
または削除を求める意見が出されたことから、AhG
を結成して統計的評価に関する記述の改廃を検討す
ることになっていた。AnG には、ドイツ、英国、日本
のエキスパートが参加している。
リーダー(ドイツ)が用意した、統計的評価の解
釈および記述修正案を中心に審議が進められ、以下
の結果となった。
ぞれの周波数で上位四分価法を適用する。
これは、次の Amd1 でどちらか 1 つに限定する。
(3)同じ最小観測時間と運転モードを、すべての周
波数の測定に使用することができる。
(4)40 クリックを数えるのに要する時間が最小とな
るように運転条件の調整を可能とする。
(5)フローチャート(Fig.5)も併せて見直す。
(6)Annex C および Annex D におけるスイッチング
動作、およびクリックの例を見直す。
(1) Type Test においては、1 つのサンプルによる評
価、または、複数のサンプルによる統計的評価
のどちらかで規格への適合性を確認する。
(2)市場調査において疑義が生じた場合に統計的手
法で評価する旨の記述を削除する。
1.4 その他の事項(Fragment 4)
会議前に寄せられた質問事項、会議中に意見交換
して取り入れることとなった事項は Fragment 4 にま
とめられる。
[業界報告] 101
業界報告
(1)スチームアイロンの試験条件の明確化
(1)エンターテインメントマシンに取り入れられている技
オランダから、試験時にスチーム機能は ON/
術、これから取り入れられるであろう技術をふまえ
OFF のどちらにすべきか? との質問について
て、完全移管がふさわしいかどうかを検討する必要
審議した結果、ON 状態にすることとした。なお、
がある。また、エンターテインメントマシンには、電
スチーム用の水は絶やさないように適宜補給さ
気と機械的なもの、ITE(情報技術機器)
、および両
れる必要がある。これは、スチームの ON/OFF
方を備えるものがあり、単純に判断できない。その
状態によってヒータの ON/OFF 頻度が変わるの
ため、エンターテインメントマシンのメーカーからの
で規定すべきとの考えに基づくもの。
参加が必要。
(2)測定周波数域の、1000MHz 超への拡張
(2)エンターテインメントマシンの定義を明確にする必要
コ ン ビ ナ ー か ら、 他 の 規 格 に 合 わ せ て
がある。
1000MHz 超の周波数域の測定を導入する提案
が出されていることが紹介され、意見交換を行っ
た。メンバーからは同調する意見は出なかったも
のの、コンビナーは提案文書を作成する。
(3)床置き型機器の妨害波端子電圧測定において、
2.CISPR14-2 の改正作業
第 2 版修正 1 においては、記述の見直しのほかに、
CISPR14-1 と共通の項目、統計的評価に関する記述見直
し、エンターテインメントマシンの取り扱いがある。
垂直な接地面を用いる際の配置条件の見直しが
提案され、ドイツが修正案を作成する。
2.1 統計的評価に関する記述見直し
(4)クロック内蔵型マイクロプロセッサにおける、
・9.1 項のタイトルを削除し、TYPE TEST では 1
300MHz 超の放射妨害波測定要否判定方法の
つのサンプルにて試験を実施したら、後々の試験
明確化
を逐次別のサンプルで行っていく。
クロック内蔵型マイクロプロセッサにおいて、
・9.2 項のすべてを削除する。
30MHz 超のクロックが使用されている場合、ク
ロックがマイクロプロセッサ外部で使用されない
2.2 エンターテインメントマシンの扱い
限り、
「クロック周波数< 30MHz」の条件を満
・CISPR14-1 における審議結果を受けて対応する。
たしているものとして扱われることを会議の場で
日本より確認した。しかし、現状はそのように記
述されていないので日本が修正案を作成する。
(5)電気柵の試験条件の明確化
スイスが修正案を作成する。
(6)空気清浄機の試験方法見直し
昨今の空気清浄機の機能に合わせた測定条件
【今後の会議予定】
スイス
6 月 13 日 ㈪ :クリックの AhG 会議
杭州/中国
10 月 25 日 ㈫ PM:統計的評価の AhG 会議
に見直すこととなり、AhG を結成して検討する
10 月 26 日 ㈬ AM:IPT の AhG 会議
こととなった*。韓国が修正案を作成する。
* 韓国(リーダー)
、オランダ、英国、日本
10 月 27 日 ㈭ AM & PM:WG1 会議
(7)記述見直し
1.5 エンターテインメントマシンへの要求事項の
CISPR32 への移管(fragment 4)
以下の理由から、現時点では審議すべきでないとの結
論に至った。SC-F 議長は、今回の審議結果を踏まえて、
作業の進め方を SC-I 議長と検討する。
102 電 機 2016・June
PM:SC-F プレナリ会議
家電啓発活動紹介
「2016年度 扇風機安全啓発活動」の紹介
一般社団法人 日本電機工業会 家電部
−快転せんぷうき−
扇風機専門委員会では、長くお使いの扇風機の点検不
備や誤った使用方法による、発煙・発火事故を防ぐため
に、一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)ウェブサイ
ト「快転せんぷうき」へ、
「扇風機の安全点検・使用」の
(1)「長期使用製品安全表示制度」について
扇風機において、長期使用製品安全表示制度が 2009
年 4 月 1 日より施行され、その制度を説明した JEMA
ウェブサイト内コンテンツへ誘導しております。
啓発チラシをダウンロードが可能なデータ(PDF とイラ
ストレーターの 2 種類)にて掲載致しました。また、扇
風機を使用するシーズン前(5 月下旬)に、全国の自治
体広報誌への啓発チラシ掲載依頼を行いました。
地方自治体への依頼は、より多くの消費者への展開を
(2)点検・お手入れについて
使わない間の保管方法や、つい忘れがちなお手入れ方
法から、毎日ご利用いただくための安全点検までをご紹
介しております。
目指す一環として、2011 年度から継続して実施しており、
毎年多くの自治体の賛同を得て広報誌へ掲載いただいて
おります。
特に、自治体広報誌にて JEMA の啓発活動を知った
(3)上手な使い方について
エアコンを使用する際に扇風機を併用して、より快適
に過ごしていただくための工夫を紹介しております。
ホームセンターが、ダウンロードした啓発チラシを全国支
店の扇風機売場内に設置いただくなど、地道な安全啓発
活動の強化により、徐々に JEMA の扇風機安全啓発活動
に対しての理解が得られております。
(4)扇風機の歴史
扇風機がいつ製造され現在に至っているかなど、意外
と知られていない扇風機の変遷について紹介しております。
その他に「快転せんぷうき」では、扇風機の正しい使
用でより安心で快適に生活いただけるように、以下内容
のコンテンツを継続して展開しております。
これらの活動により着実に事故は減っており、今後も継
続して事故の未然防止に繋がる取組みに努めてまいります。
長年ご使用の扇風機は必ず点検をお願いします。
スイッチを入れても
ファンが回らない。
ファンが回っても異常に
回転が遅かったり不規則。
お手入れ方法
1
2
3
1
2
3
電源スイッチを切り、
電源プラグを抜きます。
スライドパイプを一番上まで
伸ばします。
電源スイッチを切り、
電源プラグを抜きます。
スライドパイプを一番上まで
伸ばします。
1
1
回転するときに異常な音がする。
モーター部分が異常に熱かったり、
コゲくさいにおいがする。
2
保管方法
2
サビ防止のために、
モーターシャフトの汚れを
取り、油(ミシン油)
を
うすく塗ります。
スライドパイプを一番下まで
押し下げ、
確実に固定します。
サビ防止のために、
モーターシャフトの汚れを
取り、油(ミシン油)
を
うすく塗ります。
スライドパイプを一番下まで
押し下げ、
確実に固定します。
ガード、
ファン
(羽根)
を
はずします。
はずしたガード、
ファン
(羽根)
は水洗いし、
しっかり乾かしてください。
また、
モーター内部の
ガード、
ファン
(羽根)
を
ホコリは掃除機で
はずします。
はずしたガード、
吸い取ります。
ファン
(羽根)
は水洗いし、
しっかり乾かしてください。
また、
モーター内部の
ホコリは掃除機で
吸い取ります。
3
3
ポリ袋やビニールカバーを
かぶせてから包装箱に
おさめます。
おさめ方は包装箱などの
説明書きをご覧ください。
ポリ袋やビニールカバーを
箱を閉じ、
湿気の少ない所
かぶせてから包装箱に
に保管します。
おさめます。
おさめ方は包装箱などの
説明書きをご覧ください。
箱を閉じ、
湿気の少ない所
に保管します。
「快転せんぷうき」ウェブサイト(http://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/senpu-ki/index.html)より
[業界報告] 103
理事会報告
2016年度(平成28年度)第1回理事会
日 時:2016 年(平成 28 年)5 月 17 日 ㈫
2.2015 年度(平成 27 年度)事業報告(案)
海老塚専務理事より、2015 年度(平成 27 年度)
事業報告(案)について説明があり、原案どおり承
認された。
12:00 ~ 13:30
2015 年度(平成 27 年度)の事業は、エネルギー・
場 所:当会 4 階会議室
環境戦略の具現化や原子力の重要性に関する意見発
議 事:
信等を行うとともに、成長戦略に関して国内市場活
Ⅰ.議決事項
性化とグローバル市場の需要取込みのための戦略的
施策に関する意見発信、さらに新たなモノづくり、
1.会員異動(案)
以下の企業の入会及び会員種別変更について、原
サービス産業の創出としてスマートマニュファク
チャリング推進等を展開した。
案どおり承認された。
1)正会員
株式会社 タムラ製作所
2)正会員
メトロ電気工業株式会社
3.2015 年度(平成 27 年度)決算(案)
3)賛助会員 ソーラーエッジテクノロジージャパン
海老塚専務理事より、2015 年度(平成 27 年度)決
算(案)について説明があり、原案どおり承認された。
株式会社
事業活動収入は合計 16 億 3,758 万円、事業活動
4)正会員→賛助会員 日揮株式会社
5)正会員→賛助会員 株式会社 ハーマン
支出は合計 15 億 2,036 万円で事業活動収支差額は
1 億 1,722 万円の決算となった。投資活動収入は合
併せて賛助会員 4 社(株式会社 NEP JAPAN、JX
計 5,145 万円、投資活動支出は合計 1 億 3,119 万円
エネルギー株式会社、ハーティング株式会社、富士
で投資活動収支差額はマイナス 7,973 万円の決算と
電工株式会社)の退会について報告があった
なった。この結果、当期収支差額は、3,749 万円の
決算となり、次期繰越収支差額は 4 億 6,251 万円の
以上の入退会の結果、会員数は次のとおり。
種 別
正 会 員
賛助会員
合 計
平 28 年
3 月 17 日
報告
181 社
102 社
283 社
104 電 機 2016・June
入会
2
1
3
種別
退会 増減
変更
-2
2
0
0
4
4
0
-1
-1
平 28 年
5 月 17 日
現在
181 社
101 社
282 社
決算となった。
4.任期満了に伴う役員改選(案)
津田会長より、任期満了に伴う役員改選(案)に
ついて説明があり、原案どおり理事候補者 24 名、
監事候補者 3 名を、来る 5 月 31 日の第 95 回定時
総会へ提案することが承認された。
2)2016 年 11 月 24 日 ㈭
2016 年度(平成 28 年度)第 3 回理事会
12:00 ~ 13:30
Ⅱ.報告事項
1.電機業界に係る JEMA 関連報告
海老塚専務理事より、電機業界に係る一般社団法
3)2017 年 1 月 5 日 ㈭
2017 年 年賀交歓会(東京) 11:00 ~ 12:30
人 日本電機工業会(JEMA)関連報告として、以下
大阪支部
1 月 11 日 ㈬ 12:00 ~ 13:30
4 テーマについて報告があった。
福岡支部
1 月 12 日 ㈭ 12:00 ~ 13:30
1)グローバル化を見据えた冷蔵庫の省エネトップ
名古屋支部
1 月 13 日 ㈮ 11:30 ~ 14:30
ランナーの取組み
2)スマートマニュファクチャリングに関する
4)2017 年 3 月 16 日 ㈭
2016 年度(平成 28 年度)第 4 回理事会
JEMA の活動状況
3)重電分野に関する JEMA での取組み
12:00 ~ 13:30
4)2015 年度冬季の電力需給実績及び 2016 年度
夏季の電力需給見通し
2.その他(今後の日程)
1)2016 年 9 月 16 日 ㈮
2016 年度(平成 28 年度)第 2 回理事会
12:00 ~ 13:30
[理事会報告]
105
ュ
フラッシス
ニュー
新会員紹介(正会員)
ダイヤモンド電機株式会社
代表取締役社長 栗田 裕功
(2016 年 3 月入会)
彩なお客さまニーズに迅速に個別対応しています。また、
【会社概要】
省エネ製品の開発はもとより、環境対策として鉛フリーは
会 社 名 ダイヤモンド電機株式会社
んだ対応、部品の小型化、製造方法の高度化等に伴う表
代 表 者 代表取締役社長 栗田 裕功
面実装への対応も行っております。
設 立 1937 年 4 月
また、
「太陽光発電用パワーコンディショナ」等、急速
資 本 金 21 億 9,000 万円
に拡大する代替エネルギー分野では、日本のみならず世
従 業 員 約 2,200 名(連結)
界のエネルギー需要に応えるため、これまで蓄積された
本 社 大阪市淀川区塚本 1 丁目 15 番 27 号
電力変換技術等の多彩なノウハウと若くて優秀な技術者
国内拠点 大阪・鳥取・松阪・新潟・浜松・横浜・宇都宮・
たちの発想により、新規開発に積極的に取り組んでおり
豊田・広島・久留米
海外拠点 米国・ハンガリー・中国・インド・タイ・イン
ドネシア・韓国
U R L http://www.diaelec.co.jp
ます。
一方、
「自動車機器事業」の主力生産品である自動車
用点火コイルは、国産第 1 号を開発して以来、エンジン
性能を左右するキーパーツとして、小型化・高性能化を
追求し続けてきました。高度な安全性、有害排気ガスの
【事業内容】
各種電子制御機器、太陽光発電用パワーコンディショ
ナ、自動車用点火コイルおよび電装品等の製造・販売
低減、燃料電池の開発や ITS(高度道路交通システム)
への対応など、自動車産業では、技術革新が急速に進ん
でいます。当社では、点火コイルはもとより、センサー開
発等周辺パーツを含めたエンジン燃焼制御のシステム化・
【事業概要】
ダイヤモンド電機は、各種電子制御機器、太陽光発
統合化に向けた製品開発を行っております。
これまで常に最先端の技術課題に取組み、どこよりも
電用パワーコンディショナ等の代替エネルギー関連製品、
優れた品質を創造することを目指して、お客さまの信頼
自動車用点火コイルおよび電装品等の開発・製造・販売
を獲得してきました。これからも、お客さまの信頼に応え
を一貫して手掛ける創業 79 年のメーカーです。
る品質に徹し、また生命の営みを大切にする理念と一体
電子機器事業および太陽光発電用パワーコンディショ
化した事業活動、製品開発を行ってまいります。
ナ事業は「省電力」をキーワードに、自動車機器事業は
「省燃費」をキーワードに、独自の技術力で時代をリード
するエレクトロニクス製品を生み出し、世界の家電メー
カーや自動車メーカーに供給しています。
当社の「電子機器事業」では、エアコン、給湯器、
ファンヒータなど生活のさまざまな場面で使用される電子
制御部品を開発しています。エアコン用コントローラ、イ
ンバータモジュール、エコキュートコントローラなど、多
106 電 機 2016・June
鳥取工場
太陽光発電用パワーコンディショナ
新会員紹介(正会員)
日立化成株式会社
本社ビル
代表執行役 執行役社長 丸山 寿
(2016 年 3 月入会)
部品、蓄電デバイス・システム、電子部品などの製造・販売を
【会社概要】
行っています。
会 社 名
日立化成株式会社
当社は、今後高い成長が見込まれる「蓄電デバイス・シス
代 表 者
代表執行役 執行役社長 丸山 寿
テム」事業をグローバルに展開し、第三の事業の柱として成長
設 立
1962 年 10 月 10 日
させる計画です。蓄電デバイス・システム事業を当社主導で
資 本 金
155 億円
推進し、グローバル競争基盤の強化などグループシナジーを創
従 業 員
単独:6,209 名 連結:19,117 名
出する体制を整えるため、2013 年に旧新神戸電機株式会社
※2016 年 3 月末時点
の営業、事業企画、研究開発を当社に移管統合後、2016 年
本社事業部
〒 100-6606
に同社を吸収合併して、製造機能を含め両社の完全な一体化
東 京 都 千 代 田 区 丸の内 一 丁 目 9 番 2 号
を図りました。
(グラントウキョウサウスタワー)
当社は、産業用鉛電池をはじめ、産業用リチウムイオン電池、
研 究 所
コア技術革新センタ(茨城県、埼玉県)
自動車用バッテリー、コンデンサ、電源装置まで幅広い分野で
生 産 拠 点
山崎事業所(茨城県)
・下館事業所(茨城県)
事業展開し、あらゆる顧客のニーズに対応できるソリューション
五井事業所(千葉県、茨城県、徳島県)
を提供しています。
松戸事業所(千葉県)
・埼玉事業所(埼玉県)
電源装置は、優れた技術開発力を元に、信頼性が高く、高
名張事業所(三重県)
・彦根事業所(滋賀県)
性能な製品をラインアップしており、通信機器、制御用機器に
販 売 拠 点
東京支社(東京都)
・関西支社(大阪府)
使用される直流電源装置をはじめ、情報機器のバックアップ電
中部支店(愛知県)
・関東支店(茨城県)
源として使用される無停電電源装置など、数多くの納入実績
九州支店(福岡県)
・北日本支店(宮城県)
があります。
海外
グループ会社
米国・メキシコ・ドイツ・中国・香港・台湾・
産業用リチウムイオン電池は、他社の電池に比べて、大容
韓国・インドネシア・マレーシア・シンガポール・
量で耐衝撃性に優れた構造で長寿命であるという特長を有し、
タイ・ベトナム・インド
構内搬送用の無人搬送車(AGV)や港湾クレーンなどの移動
http://www.hitachi-chem.co.jp
体、スマートシティ内の電力調整や商業施設などのピークカッ
U
R
L
トシステム、電力系統のアンシラリーサービスなどに使用されて
【事業内容】
います。
機能材料(電子材料、無機材料、樹脂材料、配線板材料)
、
蓄電システムについては、当社が停電時の自立運転機能を
先端部品・システム(自動車部品、蓄電デバイス・システム、
備えた 10kW の太陽光発電用蓄電システムを開発し、屋外へ
電子部品)などの製造・販売
の設置が可能な単相仕様と屋内設置用三相仕様の二機種を
ラインアップしています。また、50 ~ 300kW の蓄電システム
【会社概要】
は、効率的な電力使用を担うエネルギーマネジメントシステム
日立化成株式会社(以下、当社)は「モノづくり」の会社
(EMS)や太陽光や風力発電の系統安定化システム、工場や
であり、先人たちが成し遂げてきた技術革新の積み重ねの上に
事業所向け自立運転機能付蓄電システムに使用することが可
成り立っています。出発点は 1912 年に着手した電気絶縁ワニ
能です。
ス国産化の研究にありました。半世紀後の 1962 年に株式会
社 日立製作所から分離独立し、電機絶縁ワニスをはじめ、積
私たち日立化成は、未知の領域に踏み出すチャレンジ精神
層板、絶縁ガイシ、カーボンブラシという 4 つの源流製品を核
をもって、化学を超えた「新たな価値」を創造し、社会やお客
に、電子材料、無機材料、樹脂材料、配線板材料、自動車
さまの期待を超える「驚き」を実現します。
[フラッシュニュース] 107
新会員紹介(賛助会員)
ハイセンスジャパン株式会社
代表取締役社長 李 文麗
(2016 年 3 月入会)
台数世界シェアは 3 位(市場調査会社 IHS による)で
【会社概要】
す。
会 社 名 ハイセンスジャパン株式会社
液晶テレビの開発拠点は中国国内に 5 カ所、海外に 6
代 表 者 代表取締役社長 李 文麗
カ所、生産拠点は中国国内に 9 カ所、海外に 5 カ所、冷
設 立 2010 年 11 月
蔵庫の開発拠点は中国国内に 5 カ所、生産拠点は中国国
資 本 金 500 万円
内に 9 カ所あります。
従 業 員 22 名(2016 年 6 月現在)
ハイセンスグループは販売拠点が世界 180 カ所にあり、
本 社 〒 101-0051
ハイセンスジャパンは日本での輸入販売会社です。日本
東京都千代田区神田神保町 3 丁目 10 番
では液晶テレビから販売を開始し、2016 年 6 月現在の商
ハイセンスビル 8 階
品ラインアップは 55 型まで、冷凍冷蔵庫は現在 300L 以
U R L http://www.hisense.co.jp
下を販売、また全自動洗濯機を輸入販売する予定です。
液晶テレビでは 4K タイプも今年販売を予定しています。
将来、日本市場での新しい価値提案ができるように研
【事業概要】
ハイセンスは本社が中国青島にある家電機器メーカー
です。2015 年度においてグループ全体の液晶テレビ出荷
液晶テレビ
108 電 機 2016・June
究開発も視野に入れて取組み、ハイセンスジャパンは市
場発展に貢献していきます。
冷凍冷蔵庫
全自動洗濯機
(6 月より輸入販売予定)
一般財団法人 省エネルギーセンター
平成 28 年度「省エネ大賞」募集について
一般財団法人 省エネルギーセンターでは、平成 28 年度「省エ
ネ大賞」の募集を 4 月 13 日から開始しました。
3.応募から表彰までの流れ
なお、省エネ大賞は平成 23 年度より、省エネルギーセンターが
4 月 13 日
(水)
~
が紹介されました。
地区発表大会
対象の選考
[書類審査]
6 月 30 日
(木)
自主事業として、事例発表会で審査が行われるなど形を変えて実
表彰式
件、製品・ビジネスモデル 26 件)が表彰され、広く優秀な事例
発表内容等の審査
平成 27 年度は、153 件の応募があり、50 件(省エネ事例:24
応募
品の普及促進等に寄与することを目的としています。
地区発表大会
本事業は、優れた省エネ活動事例や技術開発等による先進型省
エネ製品等を表彰し、省エネルギー意識の浸透、省エネルギー製
表彰対象の選考
一部は現地
確認審査実施
[
]
西日本地区:
9 月 29 日
(木)
予定
平成 29 年
2 月 15 日
(水)
予定
中日本地区:
9 月 30 日
(金)
予定
東日本地区:
10 月 4 日
(火)
、
10 月 5 日
(水)
予定
施しています。平成 27 年度より審査過程の地区発表会において、
中日本地区(名古屋会場)で新規開催するなど、ますますの発展
を遂げています。
事前選考(書類審査)を通過した応募者は、次のいずれかの地
区発表大会で発表し、審査されます。
1.応募対象
■西日本地区発表大会(大阪会場)
(公開開催・9月29日㈭ 予定)
性に優れた製品またはビジネスモデルを開発した事業者を対象と
■ 東日本地区発表大会(東京会場)
(公開開催・10月4日㈫ 、5日
国内の省エネルギーを推進している事業者および省エネルギー
しています。
また、本年度も昨年度に引き続き、上記の取組みを行う事業者
の中から、特にピーク電力の抑制・ピークシフト等の節電に貢献
のあった事業者も表彰することとしています。
事業者とは、企業、工場、事業場、グループおよびこれらを支
援する企業等としています(各種機関を含む)
。
■中日本地区発表大会(名古屋会場)
(公開開催・9月30日㈮ 予定)
㈬ 予定)
発表日ごとにプレゼンテーション技術に優れた事業者は「優秀プ
レゼンテーション賞」として表彰されます。
発表大会後、選考された表彰対象者については、ENEX2017「第
41 回地球環境とエネルギーの調和展」
(平成 29 年 2 月 15 日 ㈬ 予
定)に併せて開催する表彰式で表彰され、受賞者プレゼンテーショ
ンを実施する予定です。
2.応募区分と評価項目
1)省エネ事例部門
企業全体での取組みや工場等の製造プロセスの改善のほか、省
エネ活動を推進している事業者を対象としています。
なお、省エネ活動には、ピーク電力抑制・ピークシフト等の節
電への取組みを含みます。
4.表彰種別と表彰数(予定)
資源エネルギー庁 中小企業庁 省エネルギー 審査委員会
長官賞
長官賞
特別賞
センター会長賞
部 門
経済産業
大臣賞
省エネ事例
4 件以内
6 件以内
1 件程度
10 件程度
1 件程度
製品・ビジネスモデル
4 件以内
5 件以内
1 件程度
7 件程度
1 件程度
評価項目:
(1)先進性・独創性 (2)省エネルギー性
(3)汎用性・波及性 (4)改善持続性
2)製品・ビジネスモデル部門
原則、平成 28 年 11 月 1 日までに国内で購入可能な優れた省
エネルギー性を有する製品(要素製品、資材・部品を含む)ま
5.応募要領入手先
応募要領は、一般財団法人 省エネルギーセンターのウェブサイ
トよりダウンロードして下さい。
(http://www.eccj.or.jp/bigaward/index.html)
たは省エネルギー波及効果の高いビジネスモデルを開発した事
業者を対象としています。
なお、省エネルギー性および省エネルギー波及効果には節電効
6.問い合わせおよび応募申請書類提出先
〒 108-0023
果も含みます。
東京都港区芝浦 2 丁目 11 番 5 号 五十嵐ビルディング
評価項目:
(1)開発プロセス (2)先進性・独創性
一般財団法人 省エネルギーセンター 省エネ大賞事務局
(3)省エネルギー性 (4)省資源性・リサイクル性
Tel:03-5439-9773 Fax:03-5439-9777
(5)市場性・経済性 (6)環境保全性・安全性
E-mail:[email protected]
※両部門とも、地区発表大会では、上記評価項目に加え、プレゼンテーショ
ン技術も評価項目としています。
[フラッシュニュース]109
一般社団法人 日本電機工業会 委員会体系図
(2016 年 5 月 15 日現在)
当会会員各位が参加・活動している各会議体の位置付けを
ご理解いただき、その活性化を図るとともに、より効果的な
活動を推進するため、当会の委員会体系図を掲載します。
委員会数については下表に、委員会体系の詳細は次ページ
以降に掲載しております。
なお、本誌に掲載しましたものは、2016 年 5 月 15 日現在
の内容です。
〈委員会一覧〉
分 類
Ⅰ.内部委員会
政策委員会
(2016.5.15 現在)
委 員 会
専門委員会
分 科 会
W G
その他
財 務
1
1
0
0
0
0
中堅企業
1
0
0
0
0
0
総合技術
1
7
0
0
3
0
内訳
環 境
1
1
1
0
1
0
本部
381
重 電
1
業務
8
4
1
8
0
支部
37
技術
8
37
7
21
2 幹事会
1TF
業務
5
17
0
4
0
1
8
4
4
5
0
1
1
6
10
5
0
14
3
16
24
4
8
4
13
0
1 幹事会
4
0
0
0
0
(24)
(4)
(0)
(1)
(1)
(0)
(1)
(0)
(0)
(0)
43
(0)
5
(1)
29
(0)
15
(0)
5
(0)
産業システム・
1
機器
原子力
新エネルギー
システム
家 電
1
業務
技術
その他
支 部
Ⅱ.外部からの委託
あるいは合同
の委員会
業務
技術
4
(5)
Ⅲ.その他の会議
合 計
(注)
( )数字は支部計 110 電 機 2016・June
備 考
9
(0)
103
(28)
114
(2)
63
(1)
79
(1)
13
(5)
表彰審査委員会
合 計
2
420
ほかに3支部に
支部幹事会がある
〈JEMA 委員会体系図〉
委員会基幹図
分類Ⅰ〔内部委員会〕
財
務
政
策
委
員
会
経理委員会
(総務部)
中 堅 企 業 政 策 委 員 会
(企画部)
総 合 技 術 政 策 委 員 会
(技術部)
環
境
政
策
委
員
会
(環境部)
重
電
政
策
委
員
会
(重電部)
会 長
電機工業技術功績者表彰審査委員会
電 機工業 永 年 功 績 者 表 彰 審 査 委 員 会
(総務部)(技術部)
産業システム・機器政策委員会
以下は、次頁より掲載
(重電部)
原 子 力 政 策 委 員 会
(原子力部)
新エネルギーシステム政策委員会
(新エネルギー部)
家
電
政
策
委
員
会
(家電部)
総 務 委 員 会 (総務部)
展 博 委 員 会 (企画部)
重電貿易業務委員会(企画部)
家電貿易業務委員会(企画部)
( )
内は担当部門
一般社団法人 日本電機工業会 委員会体系図 111
1.総合技術政策 関連委員会
委
政 策 委 員 会
員
会
専 門 委 員 会
分 科 会 ・ W G
標準化
基準認証政策検討
会
日本高電圧・インパルス試験所
長
高電圧・大電流測定の
JCSS 校正サービス確立
検討(WG)
日本短絡試験
総合技術政策
日本短絡試験技術
日本短絡試験証明書
総合技術政策運営
重電・産業技術
I
EC基準認証戦略
(WG)
新エネルギーシステム企画
家電機器技術
原子力技術
環境政策運営
理科教育支援(WG)
2.環境政策 関連委員会
政 策 委 員 会
会 長
環 境 政 策
委 員 会
環境政策運営
専 門 委 員 会
分 科 会 ・ W G
環境技術
温暖化防止、製品化学物質、事業所関連化学物質対策、事
業所関連廃棄物・リサイクル対策等は電機・電子関連団
体との合同運営委員会にて対応。
詳細は「分類Ⅱ」
【外部から
の委託あるいは合同の委員会】
に記載。
112 電 機 2016・June
3.重電政策、産業システム・機器政策 関連委員会
政 策 委 員 会
委 員 会
重電業務
専 門 委 員 会
分 科 会 ・ W G
重電機器統計
原動機
重電物流業務
重電保全
受注実績集計(分)
梱包改善(WG)
物流環境検討(WG)
RA 対応(WG)
重電産業の将来展望に関する研究
(WG)
建設業法(WG)
重電業界温暖化対策 PR 推進
(WG)
インフラ・システム輸出推進検討(WG)
機器情報資料作成(WG)
資材
PCB 処理検討
電力EDI
スマートグリッド
船舶電気機器
防衛電気機器
重 電 政 策
重電政策実行
会 長
HEMS(新エネルギー部)
(一 般)
重電EMC技術
150kHz 以下 EMC 対応(WG)
防爆機器技術
電気材料技術
ねじ
(WG)
超電導機器技術
船舶電機技術特別(大阪支部)
建設用電気設備特別(大阪支部)
(回転機)
下記*1 とも繋がる
直流機技術
永久磁石動機電動機(分)
誘導機技術
電動機の絶縁に関する検討(WG)
同期機技術
可搬形発電機技術
下記*2 とも繋がる
電気ホイスト技術
クレーン用電機品(分)
(静止機器)
変圧器技術
小形変圧器技術
コンデンサ技術
電磁鋼板技術
(高圧開閉保護機器)
高圧遮断器技術
高圧交流電磁接触器 JIS 原案作成(WG)
負荷開閉器技術
避雷器技術
電力ヒューズ技術
カットアウト
(分)
断路器技術
計器用変成器技術
継電器技術
電力用リレー
(WG)
エポキシがいし技術
重電・産業技術
(開閉制御・保護装置)
配電盤・制御盤技術
コントロールセンタ技術
スイッチギヤ技術
C-GIS JEM 規格作成(WG)左記*3 とも繋がる
重電意匠
SC17( )
端子技術
(低圧開閉保護機器)
配線用遮断器技術
漏電遮断器技術
低圧遮断器 - 直流対応(WG)
受電システム技術 *3
小形回路遮断器技術
住宅用 JIS 原案作成(WG)
制御装置技術
JISC8201-4-1 及び JISC8201-1
デバイスプロファイル技術
原案作成(WG)
(産業用エレクトニクス装置)
パワーエレクトロニクス技術
可変速駆動システム IEC 対応
(分)
サーボ技術 *2
可変速駆動システム機能安全 JIS 化(WG)
インバータドライブ技術 *1*2
UPS技術
UPS MIB
(分)
PLC(プログラマブルコント
汎用PLC
(分)
プログラミングツール
(分)
ローラ)
技術
Safety PLC(WG)
ワイヤレスネットワーク
(WG)
制御システムセキュリティ
(WG)
蓄電システム技術
蓄電システム性能検討(WG)
スマートマニュファクチャリング特別
幹事会
重電・産業システム機器環境対応
重電・産業システム機器 LCA 検討
電力技術
ネットワーク推進特別
ネットワーク認証特別
産業システム・機器政策実行
産業システム・
機 器 政 策
特定機器変圧器普及促進
システムコントロールフェア/
計測展 TOKYO 実行
産業システム・機器業務
高効率モータ普及
監視制御用計算機システム
(WG)
(WG)
SF6ガス
普及
(WG)
仕様
(WG)
試験検証(WG)
国際標準化(WG)
ネットワーク推進特別委員会
幹事会
省エネシステム・機器普及
電動機業務
インバータ業務
変圧器業務
進相コンデンサ業務
標準制御器業務
プログラマブルコントローラ業務
UPS業務
サーボ業務
低圧遮断器業務
汎用高圧機器業務
電機商品サービス
フィールドサービス
可搬形発電機業務
電気ホイスト業務
電動工具業務
蓄電システム業務
変圧器・特定機器判断基準(WG1)
変圧器・特定機器判断基準(WG2)
蓄電システム共同スキーム検討
(WG)
蓄電システムビジョン検討(WG)
省エネ効率(WG)
トップランナーモータ普及促進(WG)
一般社団法人 日本電機工業会 委員会体系図 113
4.原子力政策 関連委員会
政 策 委 員 会
専 門 委 員 会
委 員 会
原子力技術
原子燃料サイクル
原子力機器標準化
核融合技術
原子力業務
原子力調査統計
分 科 会 ・ W G
原子力機器標準化バルブ特別
(分)
原子力機器標準化ポンプ特別
(分)
原子力機器標準化計測制御機器特別
(分)
次世代軽水炉開発
(WG)
会
長
加速器特別
原 子 力 政 策
原子力広報特別
原子力広報
(分)
原子力放射線管理特別
放射線管理高度化検討
(WG)
放射線管理教育検討
(WG)
放射線管理記録検討
(WG)
原子力品質保証特別
原子力品質保証規程対応
(WG)
原子力国際化対応特別
放射線利用医療機器輸出対応特別
5.新エネルギーシステム政策 関連委員会
政 策 委 員 会
会 長
新 エネルギー
システ ム 政 策
114 電 機 2016・June
委 員 会
専 門 委 員 会
分 科 会 ・ W G
太陽光発電システム技術
PVパワコン統計
(委)
太陽光発電システム技術
(分)
PV接続箱規格検討
(WG)
PV認定・認証制度
(分)
風力発電システム技術
サイト適合性評価手法フォロー特別
(委)
燃料電池発電システム技術
定置用小形燃料電池認証システム検討
(委)
定置用小形燃料電池認証システム検討
(WG)
太陽熱発電システム国際標準化
太陽熱発電システム国際標準化
(委)
JWG1:安全・用語
(分)
JWG2A:線集光形システム
(分)
JWG2B:タワー形システム
(分)
JWG2C:反射鏡
(分)
JWG3:蓄熱システム
(分)
分散型電源技術
分散型電源標準化
(委)
分散型電源系統連系
(分)
PV-AVR 制御検討
(WG)
蓄電システム併設型分散型電源認証検討
(WG)
ミニモデル標準化
(WG)
HEMS
太陽光発電
(分)
蓄電池
(分)
エアコン
(分)
(家電部)
新エネルギーシステム企画
6.家電政策 関連委員会
政 策 委 員 会
委 員 会
家電調査
家電統計
包 装
専 門 委 員 会
分 科 会 ・ W G
家電世界需要調査
知的財産保護
家電機器業務
家電リサイクル
家電リサイクル運営
小型電気電子機器
電気温水器
暖房器
扇風機
換気扇
冷蔵庫
洗濯機
食器洗い乾燥機
電子レンジ
調理家電
IH クッキングヒーター
掃除機
カミソリ・ドライヤー
空気清浄機
F対策(分)
電気式浴室換気乾燥暖房機啓発
(WG)
冷蔵庫(WG)
掃除機(WG)
家電機器業務(WG)
割賦販売
洗濯機環境対応
掃除機環境対応
会
冷蔵庫環境対応
冷蔵庫環境対策業務
冷蔵庫環境対策技術
家電政策運営
長
家 電 政 策
家電機器環境
家電安全
事故分析・安全表示
家電技術幹事会
家電機器技術
家電標準化技術
家電ネットワーク技術
家電EMC技術
製品安全制度技術
海外規格認証技術
暖房器技術
調理家電技術
電気アイロン技術
電気温水器技術
電気洗濯機技術
食器洗い乾燥機技術
扇風機・換気扇技術
電気掃除機技術
電気かみそり技術
電気井戸ポンプ技術
電動工具技術
空気清浄機技術
ヘヤドライヤ技術
電子レンジ技術
IH 調理器技術
ルームエアコン技術
電気冷蔵庫技術
電気除湿機技術
HEMS
(新エネルギー部)
家電海外課題
家電製品安全HP検討(WG)
ワイヤレス給電(分)
海外認証制度検討(分)
加湿器JEM改定(WG)
炊飯器省エネ対応(WG)
ジャーポット省エネ対応(WG)
洗濯機性能(WG)
洗濯機海外規格(WG)
乾燥機性能(WG)
電気掃除機 JIS 検討(WG)
充電式掃除機規格検討(WG)
電気掃除機吸込仕事率測定(WG)
電子レンジ EMI
(分)
電気冷蔵庫安全規格(分)
電気冷蔵庫性能規格(分)
冷蔵庫消費電力量評価(分)
冷蔵庫内容積(分)
電磁波対応(WG)
省エネ対応(WG)
製品VOC対応(WG)
エアコン
(分)
家電タイ
(分)
家電インドネシア
(分)
家電ベトナム
(分)
一般社団法人 日本電機工業会 委員会体系図 115
7.支部関連委員会
専 門 委 員 会
委 員 会
〔大阪支部〕
支部長
幹事会
運 営
家 電
消費者関連
電気機器保全
電気機器保全(中国地区)
資 材
環境保全
技 術
電力使用合理化対策
関西光発電普及推進
サービス
(分)
船舶電機技術特別
建設用電気設備特別
*一般社団法人 日本建設機械施工協会
関西支部との合同委員会
本部重電・産業技術委員会へ続く
委 員 会
〔名古屋支部〕
支部長
幹事会
運 営
分 科 会 ・ W G
委 員 会
分 科 会 ・ W G
労 務
経 理
資 材
設 計
生 産
電気機器保全
環 境
物 流
消費者関連
〔福岡支部〕
理科教育支援
(WG)
支部長
幹事会
運 営
労 務
経 理
消費者関連
資 材
電気機器保全
技 術
環 境
分類Ⅱ〔外部からの委託あるいは合同の委員会〕(1/ 2)
日本工業標準調査会
経 済 産 業 省
産業技術環境局
会 長
IE C
国内
審議団体
SC23E
TC31
SC31G
SC31J
SC31M
SC32B
SC32C
TC59/61/116
SC61H
SC61J
SC59A
SC59D
SC59F
SC59K
SC59L
SC59M
SC61B
SC61C
SC61D
TC70
TC72
TC82
TC88
TC96
TC105
TC111/WG4
TC116
TC117
TC121
SC121A
SC121B
RE
住宅用及び類似用途の小形の遮断器
爆発性雰囲気で使用する機器
本質安全防爆
危険場所の分類及び設置要件
爆発性雰囲気で使用する非電気機械器具と保護システム
低圧ヒューズ
ミニチュアヒューズ
家電機器の性能/安全(第 59/61/116 小) 第 59/61/116 小 WG1
農場器具の安全性
ルームエアコン JIS 検討特別
業務用掃除機の安全性
電気食器洗い機の性能
ルームエアコン性能規格 WG
洗濯機の性能
掃除機の性能
電子レンジの性能
小形家電機器
家庭用電気冷蔵・冷凍機器の性能
電子レンジの安全性(第 59/61/116 小 WG2)
冷蔵機器の安全性(第 59/61/116 小 WG3)
ルームエアコンの安全性(第 59/61/116 小 WG4)
外郭による保護方式の分類(IP コード)
家庭用機器の自動制御(第 72 小)
太陽光発電システム
風力タービン
小形変圧器
燃料電池技術
環境配慮設計(ECD)の国際標準化(国内対応 WG)
電動工具の安全性(第 59/61/116 小 WG5)
太陽熱発電
低圧開閉装置及び制御装置並びにその組立品
低圧開閉装置及び制御装置
低圧開閉装置及び制御装置組立品
再生可能エネルギー機器規格試験認証制度
IS O
TC86 /SC6
国内審議団体
経 済 産 業 省
産業技術環境局
会 長
エアコンの性能
太陽光発電システム標準化総合(第 82 小)
燃料電池国際標準化
(第 105 小)
風力発電システム標準化
(第 88 小)
分散型電源標準化
※AIST 再委託
次頁にも 分類Ⅱ 〔外部からの委託あるいは合同の委員会〕
を掲載
116 電 機 2016・June
WG3・6:太陽光発電システム・機器
(分)
WG7:集光型太陽光発電
(分)
WG3:太陽光発電アレイ
(分)
WG2:太陽光発電セル・モジュール
(分)
WG1:太陽光発電用語
(分)
PV 規格開発
(PJ)
PV-OMC 国内検討
(委)
燃料電池国際標準化戦略会議
JWG1:燃料電池用語
(分)
JWG3:定置用燃料電池安全性
(分)
JWG4:定置用燃料電池性能
(分)
JWG5:定置用燃料電池設置用件
(分)
JWG6:移動体推進用燃料電池システム
(分)
JWG7:可搬形燃料電池システム
(分)
JWG-Micro:マイクロ燃料電池システム
(分)
JWG11A:PEFC 単セル試験法
(分)
JWG11B:SOFC 単セル試験法
(分)
JWG12:小形定置用燃料電池式 CHP システム
(分)
JWG13:燃料電池・水電解エネルギーシステム
(分)
JWG-LCA:燃料電池 LCA(分)
JWG-RFB:フローバッテリーシステム
(分)
風力発電設計要件
(分)
小形風車設計要件
(分)
洋上風車設計要件
(分)
浮体式洋上風車設計要件
(分)
ギヤボックス設計要件
(分)
風力発電 性能試験方法
(分)
風力発電 認証システム
(分)兼 WE-OMC 国内検討
(委)
風力発電 雷保護
(分)
タワー・基礎設計要件
(分)
風車音計測法
(分)
風力発電 電力・通信
(分)
太陽光発電システム EMC 検討
(委)
電力変換装置等 EMC 検討
(委)
分類Ⅱ〔外部からの委託あるいは合同の委員会〕(2/ 2)
防 衛 省
防 衛 省
会 長
会 長
艦艇電気特別(委)
艦艇電気特別(委)
委託
(分・WG)
委託
(分・WG)
ラベルサービス協議会
ラベルサービス協議会
会 長
会 長
漏電遮断器買上審査業務(委)
漏電遮断器買上審査業務(委)
環境政策(委)
環境政策運営
(委)
会 長
環境政策(委)
環境政策運営
(委)
会 長
JEITA 等 電 機 ・ 電 子 関 連 団 体
JEITA 等 電 機 ・ 電 子 関 連 団 体
環境戦略
環境戦略
(連絡会)
(連絡会)
生物多様性
(WG)
生物多様性
エコデザイ
ン
(WG)
エコデザイ
ン
(WG)
中国
WEEE
対応
(WG)
中国
WEEE
対応
(WG)
バーゼル条約対応
(TF)
バーゼル条約対応
(TF)
環境フットプリント対応
(WG)
環境フットプリント対応
(WG)
欧州化学品規制
(WG)
欧州化学品規制
(WG)
中国化学品規制
(WG)
中国化学品規制
(WG)
製品化学物質
製品化学物質
専門
(委)
専門
(委)
事業所関連化学物質
事業所関連化学物質
対策専門
(委)
対策専門(委)
VOC フォローアップ調査
(WG)
VOC フォローアップ調査
(WG)
事業所関連廃棄物・
廃棄物フォローアップ調査
(WG)
事業所関連廃棄物・
(WG)
リ
サイクル対策専門(委) 廃棄物フォローアップ調査
リサイクル対策専門(委)
〔大 阪 支 部〕
〔大 阪 支 部〕
支部長
支部長
温暖化対策
温暖化対策
(連絡会)
(連絡会) 運営
(委)
製品貢献専門
(委)
運営
(委)
製品貢献専門
(委)
広報専門
(委)
広報専門
(委)
低炭素社会実行計画フォローアッ
プ
(委)
低炭素社会実行計画フォローアップ
(委)
幹事会
幹事会
一般社団法人 日本建設機械施工協会 関西支部
一般社団法人 日本建設機械施工協会 関西支部
建設用電気設備特別専門
(委)
建設用電気設備特別専門
(委)
分類Ⅲ〔その他の会議〕
〔本 部〕
〔本 部〕
〔大 阪 支 部〕
〔大 阪 支 部〕
〔名古屋支部〕
〔名古屋支部〕
〔福 岡 支 部〕
〔福 岡 支 部〕
中堅企業研究会、変圧器事業課題研究会、
割賦法務部会、
大型分散電源認証基盤利用促進協議会
中堅企業研究会、変圧器事業課題研究会、
割賦法務部会、
大型分散電源認証基盤利用促進協議会
企業研究会、
業務連絡会
企業研究会、
業務連絡会
企業研究会、
産学官懇談会
企業研究会、
産学官懇談会
企業研究会
企業研究会
JEMA 各政策委員会 委員長一覧(2016 年 5 月 15 日現在)
(順不同・敬称略)
政策委員会名
氏 名
会員会社名
所属・役職
財務政策委員会
平 田 政 善 株式会社 東芝
代表執行役 上席常務
中堅企業政策委員会
山 田 信 三 大洋電機株式会社
代表取締役社長
総合技術政策委員会
武 田 晴 夫 株式会社 日立製作所
理事 研究開発グループ 技師長
環境政策委員会
谷 口 信 之 シャープ株式会社
執行役員 品質・環境担当
重電政策委員会
三 井 田 健 株式会社 明電舎
取締役副社長
産業システム・機器政策委員会
南 公 敏 三菱電機株式会社
役員理事 FA システム事業本部 機器事業部長
原子力政策委員会
畠 澤 守 株式会社 東芝
エネルギーシステムソリューション社 原子力事業部長
新エネルギーシステム政策委員会
山 脇 雅 彦 三菱電機株式会社
執行役員 電力・産業システム事業本部副事業本部長
家電政策委員会
永 友 秀 明 三菱電機株式会社
常務執行役員 リビング・デジタルメディア事業本部 副事業本部長
一般社団法人 日本電機工業会 委員会体系図 117
統計
■ 電機・電子産業の生産額
(経済産業省「生産動態統計調査」による)
(単位:百万円,%)
2016 年 1 月分
機 種
金 額
2016 年 2 月分
前年同月比
金 額
2016 年 3 月分
前年同月比
金 額
前年同月比
発電用原動機計 ※
18,573
25.1
27,032
58.1
66,846
66.6
回転電気機械計 ※
64,290
72.9
71,151
83.2
81,515
83.3
静止電気機械器具計 ※
57,074
87.7
59,203
85.3
78,926
93.7
101,261
98.8
116,104
102.7
187,475
98.8
民生用電気機械器具◎
59,748
103.6
67,232
114.4
76,344
123.0
エアコンディショナ、フリーザ、除湿機◎
66,480
109.4
77,801
118.9
83,342
124.5
82,571
93.2
91,517
99.9
126,365
99.0
424,599
87.0
364,071
81.0
421,975
80.2
48,634
94.5
54,855
105.9
62,173
113.5
開閉制御装置・開閉機器計 ※
電子計算機及び関連装置
電子管・半導体素子及び集積回路
民生用電子機械器具
177,868
97.6
175,418
99.2
184,695
98.0
通信機械器具及び無線応用装置
電子部品
79,827
79.1
104,685
71.9
176,471
73.2
電球、配線及び電気照明器具
93,607
109.4
95,700
109.3
98,695
112.6
電池
63,411
101.1
66,247
106.4
73,733
113.0
6,093
109.2
6,947
108.6
6,661
88.0
91,057
91.1
112,384
99.6
142,030
88.0
1,435,093
89.0
1,490,347
91.8
1,867,246
90.6
事務用電子機器
電気計測器及び電子応用装置
合計
* 1:太字は JEMA 取扱製品
* 2:※の和は重電機器の合計
◎の和は家電機器の合計(下表の家電機器数値とは、対象品目に一部違いがあることから合致しない)
■ JEMA 取扱製品(重電機器・家電機器)の生産・輸出入実績
生 産
(経済産業省「生産動態統計調査」による)
2016 年 1 月分
2016 年 2 月分
2016 年 3 月分
金額(百万円) 前年同月比(%) 金額(百万円) 前年同月比(%) 金額(百万円) 前年同月比(%)
重電機器
241,198
73.2
273,490
87.0
414,762
87.8
家電機器
125,556
106.6
144,386
116.8
159,164
123.8
366,754
82.0
417,876
95.4
573,926
95.5
【 合 計 】
輸 出
(財務省「日本貿易月表」による)
2016 年 1 月分
2016 年 2 月分
2016 年 3 月分
金額(千円) 前年同月比(%) 金額(千円) 前年同月比(%) 金額(千円) 前年同月比(%)
重電機器
原子炉およびその部分品
家電機器
輸 入
159,349,061
80.5
186,017,544
327,963
67.1
1,341,246
22,465,786
94.0
24,096,202
94.8
202,094,671
83.2
91.4
814,888
221.3
101.9
26,073,784
101.0
(財務省「日本貿易月表」による)
2016 年 1 月分
2016 年 2 月分
2016 年 3 月分(注)
金額(千円) 前年同月比(%) 金額(千円) 前年同月比(%) 金額(千円) 前年同月比(%)
重電機器
99,635,664
83.3
103,767,190
95.6
101,093,864
102.2
原子炉およびその部分品
0
−
77,047
1,341.3
9,441
101.4
核燃料要素
0
−
741
−
0
−
75,606,253
90.8
65,186,258
83.4
77,077,163
115.1
家電機器
(注)輸入の 2016 年 3 月分は速報値
118 電 機 2016・June
品目別の詳細な統計データーは、JEMA ウェブサイトで
公開しております(ダウンロード可能)
。
www.jema-net.or.jp
■ 電気機器生産実績の推移
重電機器・家電機器 合計
億円
%
140
7,000
130
6,000
120
5,000
110
4,000
100
3,000
90
2,000
80
1,000
70
0 ,
15/3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
,
16/1
2
3
前年同月比(右目盛)
生産額
(左目盛)
8,000
0
年/月
重電機器
億円
%
140
7,000
130
6,000
120
5,000
110
4,000
100
3,000
90
2,000
80
1,000
70
0 ,
15/3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
,
16/1
2
3
前年同月比(右目盛)
生産額
(左目盛)
8,000
0
年/月
家電機器
億円
%
140
7,000
130
6,000
120
5,000
110
4,000
100
3,000
90
2,000
80
1,000
70
0 ,
15/3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
,
16/1
2
3
前年同月比(右目盛)
生産額
(左目盛)
8,000
0
年/月
[統 計]
119
電機
2016 June 第784号
頒価540円(本体500円)
2016年6月24日発行
発 行
,
THE JAPAN ELECTRICAL MANUFACTURERS ASSOCIATION
編集兼発行人 松本 俊博
■本 部・〒102-0082 東京都千代田区一番町17番地4
(電機工業会館)
電話03-3556-5882 ファクシミリ03-3556-5891
(本誌編集部)
■大 阪 支 部・〒530-0004 大阪市北区堂島浜2-1-25
(中央電気倶楽部4階)
電話06-6344-1061 ファクシミリ06-6344-1837
■名古屋支部・〒460-0008 名古屋市中区栄2-10-19
(名古屋商工会議所ビル6階)
電話052-231-5211 ファクシミリ052-231-5610
■福 岡 支 部・〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-1-82
(電気ビル北館10階)
電話092-761-4778 ファクシミリ092-751-2094
至九段下
女子学院高・中
至市ヶ谷
一番町
テレ
大妻通り
日本
駅
り
麹町
ビ通 楽町線
有
コンビニ
農済会館
4 番出口
酒屋
麹町小
郵便局
麹町学園
女子高・中
GS
3 番出口
20
新宿通り
麹町 4 丁目
至新宿
半蔵門線 半
蔵門駅
この 5 月は、全国各地で真夏日を記録するなど厳しい暑
さが続きました。強い紫外線が注がれたばかりではなく、賑や
かな話題も多く、国民の視線も熱かったように思われます。ま
ず、大相撲五月場所では第 66 代横綱若乃花以来、18 年ぶ
りに日本人横綱が誕生するかと期待されましたが、稀勢の里は
勝負どころで土がつき、横綱昇進を逃してしまいました。また、
50 年続いている長寿テレビ番組の『笑点』で、2006 年から
10 年間司会を務めていた桂歌丸氏に代り、6 代目司会に春風
亭昇太氏が昇格されました。一方、伊勢志摩サミットで来日
されたオバマ大統領が、
現職の米国大統領として初めて被爆地
である広島を訪問し、
世界へ平和の祈りを発信されたことは歴
史的な出来事ではなかったでしょうか。夏本番を前にして、
国
民の熱い視線はまだまだ続きそうです。
政治家のお金に関する不祥事は、いつの時代でも国民の熱
い視線の的です。東京都知事のずさんで不可解な会計処理
が注目されていますが、それを正当化しようとする答弁がさら
に疑惑となり、国民やマスコミから厳しい追及が続いています。
現在の東京都知事の年収は約 2,200 万円であると公開され
ています。また退職金は、任期中の給料にもよりますが、任期
の 4 年ごとに 3,600 万円ほどが支払われるそうですので、魅
力あるポストだと思いますが、善悪を判断する線引きが鈍くな
っているとしか思えないです。ところで、各国のリーダの収入
はどの位なのでしょうか? 経済大国、米国大統領の年収は約
4,000 万円と言われています。日本の首相の年収は約 5,000
万円と言われていますので、米国大統領の年収はやや低い印
象を受けます。しかし、米国の大統領になると、その任期が終
わっても年金や医療保障などがあり、一生安泰に暮らせるそう
です。しかも、元大統領の肩書きで高額な講演料を得ることも
できますし、本を書けばその印税などで金持ちになった歴代の
大統領も多いようです。一方、世界で最も高額の年収を得て
いる首相はシンガポールで、何と、約 1 億 3,000 万円の年収
だそうです。それに対して、英国の首相の年収は約 1,900 万
円と言われており、国によって首相の年収は格差が大きいよう
です。
それでは、各国のリーダの年収とその国の幸福度は相関関
係があるのかを調べてみました。国連が 2013 年に発表した国
別幸福度ランキングによると、第 1 位はデンマークでした。ま
た、公務員と政治家がどの程度腐敗しているかを国際比較し
た腐敗認識指数でも、デンマークが最も清潔な状態であると
評価されています。しかし、デンマーク首相の年収は、わずか
900 万円程度だそうです。驚きの数値ですが、福祉国家をリ
ードするデンマークは、やはり政治家のコストが低く抑えられて
いるからこそ、いずれも高評価を得ているのでしょう。
会社のトップの方もせこいことを考えずに、職員全員に幸せ
を発信して下さい。経営者の皆さん! この夏のボーナスは期
待しております!
(matsumo.)
麹町 1 丁目
麹町 3 丁目
至永田町
パン屋
至内堀通り
至永田町
■地下鉄半蔵門線 半蔵門駅下車 4番出口徒歩3分
■地下鉄有楽町線 麹町駅下車 3番出口徒歩7分
-お詫びと訂正-
本誌第 783 号(4 月発行号)に掲載いたしました「IEC62109-1(太陽光
発電用パワーコンディショナ安全性)規格改訂作業部会 出席報告」
(P.85
~ 86)におきまして、筆者(太陽光発電システム機器分科会 委員 五十嵐
広宣 氏)の所属先に誤りがございました。
お詫びして訂正いたします。
正:テュフ ラインランド ジャパン株式会社
誤:一般財団法人 電気安全環境研究所
印刷所
港北出版印刷株式会社 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-7-7
JEMAウェブサイト www.jema-net.or.jp
120 電 機 2016・June
(JEMA会員については会費中に本誌頒価が含まれています。)[2016 ⓒ 禁無断転載]