「畳」(PDF) 『真宗』2015年10月号掲載

たたみ
阿 弥 陀 堂 の﹁ 畳 ﹂
おもて が
行うというものです。また、参詣
より藁の差込み等を行 い、隣の畳
また、畳床には、損傷の程度に
替えるという工夫です。
このため、このたびの御修復に
席・外陣等の畳表については、
﹁裏
との隙間や不陸︵段差︶があれば、
の部分を取り替える﹁表替え﹂を
お い て は、
﹁畳 工 事﹂と し て、全
返し﹂という作業を行うことにな
補正しながら修復がなされまし
用の限界に達していました。
般にわたり修復することになりま
り ま し た。こ の﹁裏 返 し﹂と は、
た。そして、茣蓙の部分を止める
阿弥陀堂の内陣本間など、一部
土壁や障子の和紙など、
日本間︵和
にも優れています。畳のみならず、
夏は湿度を吸収するなど、機能性
たたみおもて
たたみべり
きたい﹂とのお言葉をいただきま
わら
阿弥陀堂の畳は、参詣席・外陣
した。修復方針としては、内陣の
畳表は表と裏の両面を使用するこ
装飾である畳縁の縫い付け作業で
ふ りく
においては二十五年ほど前に一部
一部においては、畳の芯にあたる
とができるため、表側が傷めば裏
が施されています。
を新調したため、畳表に部分的な
畳床をそのまま使用し、い草の茎
す。
は、細部にわたる緻密な作業が求
した。
には、畳師が手縫いで作り上げる
たたみどこ
補修が必要なだけでしたが、その
側がきれいなうちに裏返して張り
現 在、重 要 文 化 財
められ、専門業者の職人の方々に
御修復後の阿弥陀堂の畳は、紋
ざ
に指定されている建
は、ひと縫いひと縫い丁寧に作業
ご
を 乾 燥 さ せ て 織 っ た 茣 蓙 ︵ 畳 表︶
造 物 の 畳 に は 必 ず、
﹁真 宗 本 廟 を は じ め と し て 京 都 に
縁 が そ の 輪 郭 を ぴ た り と あ わ せ、
ことが決められてい
は、まだまだ日本が誇るべき畳文
いただいております。阿弥陀堂の
ま す。藁 床 は 通 気 性
化を継承する素地があります。こ
くなっていることが判明したため、畳
伝統的な藁だけで作
に 優 れ、弾 力 に 弾 む
のたびの御修復に携わり、この経
の枚数が増加しました。
心地よい、い草の香りとともに参
た め、正 座 時 の 足 の
験を活かして、技術、文化、願い
伝統技術の﹁有職畳﹂といわれる
室︶に用いられる建材は日本の風
高麗小紋から派生したものと考え
の紋が使用されています。これは、
参詣席の畳縁には、東本願寺固有
立つものについては日常的な営繕
ごとに修復されますが、傷みが目
め、両堂の参詣席の畳は約三十年
拝者や観光客の方々が訪れるた
真宗本 廟には、年間数万人の参
四方を縫い付けたら、重なりあった縁を整えます
の一部と外陣の畳寸法が旧来より小さ
こ
※れまでは四〇一枚とされていました
が、今回の修復調査時において、内陣
拝者を迎えてくれるでしょう。
痛 み を 軽 減 し て く れ、
をしっかりと次代に引き継いでい
畳が用いられており、縁の仕上げ
土に適した、心地よい知恵が息づ
含 む た め 冬 は 暖 か く、
また藁の層が空気を
畳 工 事 に 携 わ る 職 人 の 方 か ら は、
紋縁を付け終わったら、床に表を張ります
畳作りに用いられる道具類
ゆう そく
には熟練の技術を要します。
られ、東本願寺の中では豆小紋と
のなかでそのつど修復がなされて
いています。
呼んでいます。畳縁の縫い付け作
います。
また、御影堂、阿弥陀堂の外陣・
業では、紋を一定に合わせ、畳を
こ れ ら 畳 工 事 に わ た る 工 程に
敷いた際に整然と見えるよう、配
慮がなされます。
い草の畳表に、予め紋縁を縫いつける作業
られた畳床を用いる
本山で用いられる紋縁
紋の大きさが大きくなるほど上間に用いられます
(左から豆小紋、高麗小紋、中紋白、中紋黒、大紋白)
他の畳すべては畳表が劣化し、耐
※の畳敷
席 に 分 か れ、四 一 八 枚 も
たたみじき
阿 弥 陀 堂 は、内 陣・外 陣・参 詣
御
修
復
の
あ
ゆ
み
畳を裏返し、肘を使って力強く表を縫い付けていきます
66
2015年
(平成27年)
10月
真 宗
真 宗
67 2015年(平成27年)10月