厚労省「第 2 回 医療計画の見直し等に関する検討会」

厚労省「第 2 回 医療計画の見直し等に関する検討会」
2 次医療圏と 5 疾病・5 事業の在り方について議論
2016/6/15
6 月 15 日の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学
部教授)では、2018 年度から始まる第 7 次医療計画の作成指針を見直すため、2 次医療圏と
5 疾病・5 事業の在り方等について議論した。
■2 次医療圏の見直し基準をめぐり応酬
2 次医療圏は医療法において「病床の整備を図るべき地域的単位」と定義されており、医
療計画制度で「一般及び療養病床での入院医療を提供する地域的な単位」として設定するこ
ととされている。前回の医療計画作成指針では「人口 20 万人以下(特に流入率 20%未満、
流出率 20%以上)の医療圏で、入院医療提供区域として成り立っていない場合は、2 次医療
圏を見直す」という考え方が追加された。第 7 次医療計画では、これらの考え方を踏襲した
上で、地域医療構想との整合性を図るため、2 次医療圏と地域医療構想における構想区域を
一致させることを基本とする方針が事務局より示された。
これに対し、構成員からは 2 次医療圏の見直し方法について意見が相次いだ。尾形裕也構
成員(東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は、前回の医療計画策定時に 349 医療
圏のうち 87 医療圏(32 都道府県)が見直しの基準に該当したものの、実際に見直しが行わ
れたのは 3 県にとどまったことに触れ、
「基準自体を見直すか、もしくは該当した 2 次医療圏
の中で優先順位を付けることも検討してはどうか」と述べた。
また、相澤孝夫構成員(一般社団法人日本病院会副会長)は、見直しの基準である患者の
流入率・流出率の算出方法において、全ての患者が一律に扱われていることを問題視。
「一般
病床の患者と療養病床の患者では流れが全く違う。一般病床の患者が多く流入している医療
圏がある一方で、療養病床の患者の流入が多い医療圏もある」と述べ、これらを分けて検討
するべきだと主張した。
■5 疾病に応じた圏域設定の検討を提案
5 疾病・5 事業及び在宅医療提供体制については 2 次医療圏を基礎としつつ、地域の実情に
応じた圏域の在り方が必要とされており、既に兵庫県や北海道では疾患に応じた圏域が設定
されている。事務局は「2 次医療圏と 5 疾病・5 事業との関係」を論点に挙げ、「緊急性の高
い医療(脳卒中・急性心筋梗塞等)を完結できる圏域」など、疾患に応じた圏域の設定を検
討する方向性を提示した。
こうした考えに賛同する意見があった一方で、相澤構成員は「緊急性が高い」として挙げ
られた「脳卒中」と「急性心筋梗塞」で、同じ圏域を設定することを疑問視した。
「脳卒中は
急性期経過後、回復期リハビリへと移るが、急性心筋梗塞の場合は退院するケースが多い」
と、それぞれ患者がたどる経過が異なることを指摘。それぞれの違いを踏まえた上で圏域を
設定する必要性を訴えた。
株式会社 メディカル・リード;http://www.medical-lead.co.jp
■5 疾病以外は地域包括ケアシステムで対応する方針
前回の医療計画で「精神疾患」が追加された 5 疾病・5 事業だが、第 7 次医療計画では「高
齢化の進展に伴い、今後さらに増加する疾病については、他の関連施策と調和を取りながら、
予防を含めた地域包括ケアシステムの中で対応する」とし、5 疾病のままとする方向性が示
された。多くの構成員が賛同したが、
「高齢化に伴って増加している、複数の疾患を持った患
者をケアするためには、5 疾病以外の疾病も医療計画に記載すべき」との声もあった。
そのほか、医療計画の「PDCA サイクルを推進するための指標の在り方」についても論点に
挙げられ、
「地域住民に公開した際に、その地域でどのような医療が提供されているかを理解
してもらえるような指標が望ましい」といった意見が多数上がった。
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