サイクロトロン冷却系の更新 仕 様 書 平成28年5月 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線高度利用施設部 イオン加速器管理課 1.一般仕様 1.1 件名 サイクロトロン冷却系の更新 1.2 目的および概要 量子科学技術研究開発機構(以下、量研機構)TIARA加速器用冷却設備のうち放射線管理区域内 を循環する冷却水はサイクロトロンの高エネルギーイオンビームにより放射化する可能性がある。 そこでサイクロトロン冷却設備のうち電源の冷却系を放射線管理区域区分に合致した系統に分離す ることを目的に更新する。 本仕様書はこのサイクロトロン冷却系の更新を受注者に請負わせる為について定めたものである。 受注者は対象設備の構造、取扱方法、関係法令等を十分理解し、受注者の責任と負担において本作 業を実施するものとする。 1.3 作業実施場所および作業期間 (1)作業実施場所 群馬県高崎市綿貫町1233番 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所 イオンビーム研究棟およびサイクロトロン棟 (2)作業期間 年末年始を除く平成28年12月19日(月)から平成29年3月17日(金)までとする。た だし加速器の停止等、他の機器に支障を及ぼさない事前作業は量研機構の同意のうえ可能とす る。 1.4 納期 平成29年3月24日(金) 1.5 契約の範囲 本作業に伴う機械系および電気系の設計、物品調達、輸送、既存設備の撤去、据え付け調整、動 作試験、を本作業の契約の範囲とする。 1.6 検収条件 第 2 章に定める試験検査の合格及び提出図書の確認並びに、仕様書に定める作業が完全に実施さ れたと量研機構が認めた時を以て検収とする。 1.7 かし担保責任 検収後1年以内にかしが発見された場合、無償にて速やかに改修、補修もしくは交換を行うもの とする。 1.8 提出図書 以下の図書を提出時期までに提出すること。また提出図書の電子データも合わせて提出すること。 図 書 名 提 出 時 期 部数 確認 工程表 契約締結後速やかに 2部 要 実施要領書 契約締結後速やかに 2部 要 体制表 作業開始前 2部 不要 完成報告書 作業終了後速やかに 2部 不要 作業日報 作業日作業終了後 1部 不要 委任または下請負届 作業開始前 2 週間前まで 1部 不要 *実施要領書・完成報告書とは P&ID、設備仕様書、計器リスト、配管図、概略配管図、単線結線図、 盤外形図、盤展開接続図、機器メーカー図、機器データシート、試運転要領書・成績書、取扱説明 書等をいう。 (各種機器のミルシートは不要) (提出場所) 量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所 イオンビーム研究棟 1.9 115 号室 支給品 作業用電源、作業用水は支給する。 1.10 貸与品 天井クレーン、簡易台車、保有工具、作業員控え室、資材置き場は無償で貸与する。ただし、使 用にあたっては受注者側で仕様及び状態等を確認のうえ機構職員の許可を得ること。 1.11 適用法規・規格基準 ・原子力基本法 ・労働安全衛生法 ・日本工業規格(JIS) ・日本電気規格調査会標準規格(JEC) ・日本電機工業会規格(JEM) ・その他適用または準用すべき全ての法令・規格・基準等 1.12 その他 (1)一般安全管理 ・作業計画に際し綿密かつ無理のない工程を組み、材料、労働安全対策等の準備を行い、作業の安 全確保を最優先としつつ、迅速な進捗を図るものとする。また、作業遂行上既設物の保護及び第 三者への損害防止にも留意し、必要な措置を講ずるとともに、火災その他の事故防止に努めるも のとする。 ・作業現場の安全衛生管理は、法令に従い受注者の責任において自主的に行うこと。 ・作業着手に先立ち量研機構と安全について十分に打合せを行い着手すること。 ・作業中は、常に整理整頓を心掛ける等、安全及び衛生面に十分留意すること。 ・本作業に使用する機器、装置の中で地震等により安全を損なう恐れのあるものについては、転倒 防止策等を施すこと。 (2)放射線安全管理 ・管理区域内で作業を行う場合は、量研機構が定める規定を遵守しなければならない。 ・本作業期間中、心身ともに健康で身体に外傷のない作業員を従事させること。 ・本作業を開始する前に、受注者側作業員は量研機構が行う保安教育を受けるとともに放射線作業 指定登録依頼書を提出すること。但し、放射線に関する知識は、受注者側で教育すること。 ・放射線管理及び異常時の対策は、量研機構の指示に従うこと。 (3)特記事項 ・設計にあたっては量研機構担当者と十分な連絡をとり行うこと。量研機構担当者が指示した設計 であっても受注者側で十分な検討をすること。 ・すべての工程において十分な品質管理を行うこと。 ・機器の搬入のため必要に応じて養生を施すこと。床等を加工しまたは傷を付けた場合には元の通 りに修復、補修すること。 ・機器等の搬入方法および搬入時期など詳細については事前に打ち合わせのうえ決定する。 ・更新を予定しない機器および機材が作業前に故障していた場合は、別途協議のうえ決定する。 ・受注者は量研機構が高い技術力及び高い信頼性を社会的に求められていることを認識し、量研機 構の規程等を遵守し安全性に配慮し業務を遂行しうる能力を有する者を従事させること。 ・受注者は業務を実施することにより取得した当該業務及び作業に関する各データ、技術情報、成 果その他のすべての資料及び情報を量研機構の施設外に持ち出して発表もしくは公開し、または 特定の第三者に対価をうけ、もしくは無償で提供することはできない。ただし、あらかじめ書面 により量研機構の承認を受けた場合はこの限りではない。 ・受注者は異常事態等が発生した場合、量研機構の指示に従い行動するものとする。 (4)グリーン購入法の推進 ・本契約において、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)に適用 する環境物品(事務用品、OA機器等)が発生する場合は、これを採用するものとする。 ・本仕様に定める提出図書(納入印刷物)については、グリーン購入法の基本方針に定める「紙類 」の基準を満たしたものであること。 1.13 協議 本仕様書の技術仕様に記載されている事項及び、本仕様書に記載のない事項に関して疑義が生じ た場合は機構及び受注者間で協議のうえ決定することとする。 2.詳細仕様 2.1 はじめに 受注者は後述の仕様及び概念設計資料を尊重しつつ、全ての設計条件を総合的に見直し受注者の 責任において設計を行い量研機構の確認を受けること。また、本作業完了後においても各冷却系統 の冷却性能、温度制御機能、運転操作監視機能等を維持しサイクロトロン加速器の運転に支障を及 ぼさないこと。 2.2 仕様 (1)作業内容 更新作業の概略は次の通りである。 (別添図1参照) ・サイクロトロン本体系 1)サイクロトロン電源室内の系統を切り離す。 ・BT 系 1)サイクロトロン電源室内の系統を切り離す。 ・テストベンチ系 1)サイクロトロン電源室内のサイクロトロン本体系と BT 系の系統を接続する。 2)増大した熱負荷に対処するため、機器、配管および電気設備の更新を行う。 3)冷水利用を最小限度にするように改造する。 また、上記に伴って必要となる機器、計器類、配管材料、電気計装系等の設計、調達、輸送、廃 棄設備の撤去作業、新設機器の基礎、機器据付作業、配管作業、保温・塗装作業、電気計装等の関 連作業及び試運転調整一式を実施するものとする。 (2)該当する各系統の状況 系統 サイクロトロン本体系 サイクロトロン電源室部分 BT系 サイクロトロン電源室部分 テストベンチ系 HECRイオン源部分 熱負荷 流量 送り圧力 戻り圧力 91kW 11.5 m3/h 7.8~8.2kg/cm2 ~2.5kg/cm2 120kW 25.1 m3/h 7.8~8.2kg/cm2 ~2.5kg/cm2 220kW 9.8 m3/h 5.4~5.8kg/cm2 ~2.5kg/cm2 (3)配管 ・配管材料(接液部)は SUS304 又は相当品とする。 ・本作業後の各系統の流量は本作業前と同等となるように配管の設計を行うこと。 ・バルブ類やフレキシブルジョイント等は本作業前と同等となるように設計すること。 ・各系統それぞれにバルブ等を新たに設け、各系統を独立して冷却できるように設計すること。 ・系統の切り離し及び接続においては減圧弁等を適宜使用して既存機器の水圧に変化を及ぼさない こと。 ・各系統において、分離された箇所の配管端末処理方法は残存部分に支障が無いようにすること。 ・サイクロトロン電源室内の配管は極力ピット内に敷設するものとする。 ・別添図1の作業後(例)を参考に冷水利用を最小限度にとどめるようにすること。 ・機器及び配管類の設計温度はプロセス上予想される最高使用温度とする。最高使用温度が不明の 場合は、常用運転温度に15℃を加えた値とする。ただしこの設計温度は切り上げて5℃単位と する。 ・接合方法はフランジ接合または溶接接合を原則とするが、ヴィクトリックジョイントの使用も可 とする。ただしシールテープ等による接合は正当な理由がない場合は不可とする。 (4)機器 ・更新機器材料は、1次系はステンレス鋼を、2次系はステンレス鋼または炭素鋼を原則とする。 ・1次側冷却水の送り温度は30℃とすること。 ・冷却塔の設計湿球温度は25℃とすること。 ・冷却塔の設計温度は入口温度を35℃、出口温度を30℃とする。 ・冷水の設計温度は入口温度を7℃、出口温度を12℃とすること。ただし17℃まで十分に熱交 換できる構造とすること。 ・冷却塔はインバータ制御により冷却水の温度安定化を行うこと。 ・冷水は流量を9.65 m3/hとすること。 ・サイクロトロン本体系およびBT系においては熱負荷の低減に伴う既存機器の更新の必要はない。 ・テストベンチ系の合計熱負荷(431kW)に適切なポンプからの入熱量を考慮すること。 ・流量増大に伴うイオン交換塔(X506)の更新は必要ないが、製造能力拡張用の接続ポートを設け ること。 ・イオン交換塔への流量は1次側冷却水全体の5%程度を確保すること。 ・1次冷却系純水用補給水槽との高低差は11mである。 ・2次冷却系浄水補給槽との高低差は20mである。 (5)電気系及び計装系 ・別添図3に既存電気系統図を示す。機器の更新により電気容量が大きくなる場合は、既存電源盤 を更新または改造を行うこと。 ・精密温調制御を十分に理解して行うこと。 ・既存の電気ケーブルでは安全上、法令上または機器の正常運転に支障がある場合は必要に応じて 電気ケーブルを更新すること。 ・計装設備は中央監視システム、現場盤、計装機器とそれを接続するケーブル等から構成されてい るが、本作業後においても本作業前の機能が維持されること。 ・冷水利用を最小限度にとどめるために新設された制御弁等の計装設備を付加すること。 ・冷水利用時でも1次側冷却水の温度安定化が図れるような設計とすること。 ・ケーブルの布設方法は主にケーブルラックを用い、その他は電線管とする。電線管は、建屋内は 薄鋼電線間とし、屋外及び遮蔽壁埋設部は厚鋼電線管とする。 ・配線等は誘導ノイズによる影響を他に与えないようにすること。 ・ケーブルラックを使用する場合の配線材料は難燃シースケーブルとし、酸素指数はシーズ:27 以 上とする。 ・感電の防止、漏電の防止等を目的として適切な設置を行うこと。 ・屋外に設置する電気機器については防水及び耐食性を考慮すること。 (6)撤去・処分 ・不要となる機器や配管は機構の指示が無い限り全て撤去すること。ただし機器等のコンクリート 土台は撤去の必要は無い。 ・撤去作業前に機器及び配管内部の水抜き作業を行うこと。 ・本作業に伴い撤去した機器や配管等は高崎量子応用研究所内の機構指定の場所に運搬すること。 ただしコンクリート等の瓦礫は受注者の責任において持ち帰ること。 (7)基礎 ・新設する機器および電気制御盤は基礎を設置すること。 (8)設置 ・テストベンチ系の配管ルートは別添図2を基本とし他の配管に支障の無いように敷設すること。 ・更新機器の設置場所は既存機器と同じ場所または近傍とすること。 ・配管の敷設に際し、壁および床のはつり作業を行った際は、粉塵の飛散および他の配管に損傷を 及ぼさないように十分注意すること。 ・壁および床の貫通作業(ボーリング等)においては近辺に厳密な設置精度を有する機器が据え付 けられているため作業時には十分に注意すること。 ・据え付け後に機器及び配管内に水はりを行うこと。 (9)保冷 ・改造を行った冷水配管は保冷を施すこと。 (10)塗装 ・屋上床面等作業に伴い作業前と同様の防水塗装を施すこと。 ・ステンレス鋼以外の金属製品には塗装を施すこと、 2.3 主要機器の仕様 (1)1次冷却系ポンプ ・記号 P509 ・方式 渦巻き型(メカニカルシール) ・流体 純水 ・基数 1基 ・主要材料 ステンレス鋼 ・設置場所 イオンビーム研究棟地階ポンプ室 (2)2次冷却系ポンプ ・記号 P510 ・方式 渦巻き型(グランドパッキン) ・流体 浄水 ・基数 1基 ・主要材料 FC ・設置場所 イオンビーム研究棟地階ポンプ室 (3)テストベンチ系熱交換器(冷却塔用) ・記号 H517 ・方式 プレート式 ・基数 1基 ・主要材料 プレートはステンレス鋼、他炭素鋼等 ・設置場所 イオンビーム研究棟地階ポンプ室 (4)テストベンチ系熱交換器(冷水用) ・記号 H518 ・方式 プレート式 ・基数 1基 ・主要材料 プレートはステンレス鋼、他炭素鋼等 ・設置場所 イオンビーム研究棟地階ポンプ室 (5)テストベンチ系冷却塔 ・記号 H503 ・方式 屋外型密閉式 ・基数 1基 ・設置場所 サイクロトロン棟屋上 2.4 試験検査 機構職員立会いのもと下記の試験を実施すること。 ・外観検査 更新機器の外観に有害な傷等が無いことを確認する。 ・通水試験 各機器および配管からの漏水が無いことを確認する。 ・動作試験 各機器の単体運転および総合運転により正常動作を確認する。総合運転の方法は模擬 的な方法とするが別途協議のうえ決定する。 2.5 打合せ 量研機構と受注者は、常に緊密な連絡を保ち、必要に応じて適宜打合せを行なうものとする。打ち 合わせの形態は、電話会議も含むものとする。受注者は、必要に応じて、本仕様の一部を実施する下 請け等の技術者を打合せに出席させることができるものとする。打合せをした場合、議事録を作成し 、量研機構の確認を受けること。 2.6 特記事項 ・設備制御室に設置されている遠隔モニター画面の改造は行わなくても良い。 ・機器搬入に支障となる手すり、ダクト等は取り外して良いが、作業終了後は復旧すること。 ・本作業に伴って一旦取り外したのち再利用する機器・計器等については、解体前に簡易な作動確 認を実施し再利用を可能とする。再利用機器等が経年劣化による不具合が生じた場合、機構担当 者確認の上、処置について別途協議のうえ決定する。 ・本作業外の関連機器および配管等の経年劣化等により本作業の遂行に支障が生じた場合は別途協 議の上決定する。 H501 H501 50A H511 BT系電源 125A H512 50A W102 純水製造装置 X502A&B 本体系電源 本体系装置 純水製造装置 X502A&B 150A サイクロトロン 本体系 P502 P502 150A 純水補給槽(V501A) 純水補給槽(V501A) H502 H502 200A 100A H513 150A 純水製造装置 X503A&B W103 P506A&B BT系電源 125A H513 50A BT系装置 ×2 浄水補給槽(V502) 純水製造装置 X503A&B P506A&B 150A BT系 純水補給槽(V501A) W102 ×2 浄水補給槽(V502) BT系 W103 P503 P503 純水補給槽(V501A) 200A 純水補給槽(V501A) P507A&B P507A&B 80A ×2 本体系電源 150A H512 サイクロトロン 本体系 P501 純水補給槽(V501A) 100A 第1種放射線 管理区域 W101 P501 イオン源入射系 BT系装置 浄水補給槽(V502) 本体系装置 イオン源入射系 第2種放射線 管理区域 P505 純水製造装置 X501A&B W101 第1種放射線 管理区域 50A 第2種放射線 管理区域 純水製造装置 X501A&B P505 浄水補給槽(V502) H511 32A 40A 冷水槽 H517 ×2 40A H517 冷水槽 W107 P509 純水補給槽(V501A) 50A 80A H503 P510 H503 80A 50A H518 H518 浄水補給槽(V502) P509 W108 純水補給槽(V501A) 作業後(例) 作業前 別添図1 更新作業概略図 HECR イオン源 W108 テストベンチ系 純水製造装置 X506 40A HECR イオン源 浄水補給槽(V502) 純水製造装置 X506 P510 テストベンチ系 ポンプ熱交換器設置場所 イオンビーム 研究棟 空 調 機 械 室 1 D 配管ルート(1次・2次系) サイクロトロン 棟 複合ビーム棟 HECRイオン源 D U イオン 源 室 立上り箇所(1次・2次系) 本 体 ピット 室 U 純水冷却 D 設 備 室 U D U 冷却塔設置場所 給気室 U U D U D 配管ルート(1次・2次系) TIARA3階&屋上 サイクロトロン電源室 BT系電源 サイクロトロン 本体系電源 TIARA地階 空調機械室2 配管ルート(2次系) U 該当部詳細(TIARA1階) 別添図2 テストベンチ系配管ルート図 D 該当部詳細(TIARA2階) 別添図3 既存電気系統図
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