6月16日号 利上げペースの見通しはさらに下方修正~米国

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
6/16
投資情報部
シニアエコノミスト
宮川 憲央
利上げペースの見通しはさらに下方修正
~米国・FOMC(2016年6月)
 6/14~15に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の
誘導目標レンジを0.25%~0.50%に維持することを決定した。
 FOMC参加者による政策金利の見通しはさらに下方修正された。先行きの見通しに対する不
透明感が強いなかで、慎重に状況を見極める姿勢を強めているとみられる。
 米国のファンダメンタルズを考えれば、利上げの方向性に変化はない。ただ、海外経済に弱
さが残るなかで、利上げのペースは今後も緩やかなものにとどまろう。みずほ証券投資情報
部では次回の利上げは9月、年内の利上げはその1回にとどまると予想している。
労働市場の減速を指
摘する一方、景気認
識は上向き
6/14~15に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド
(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%~0.50%に維持することを決定。保有債券の再
投資政策についても変更はなかった。
政策決定の背景となる経済・物価情勢の評価についてみると、まず経済活動の現
状に関しては、経済活動は上向いた模様であるが、労働市場の改善ペースは減速
したとされている。詳細をみると、労働市場については、5月の雇用統計を反映し
て、失業率は低下したが、雇用の増加数は減少したとされた。経済活動について
は、個人消費は力強さを増し、純輸出による下押しは和らいだ模様とする一方、設
備投資は軟調という評価は変わらず。インフレ率については、一部にはこれまでの
エネルギーやその他の輸入価格の下落を反映して、FOMCの長期目標(個人消費
支出デフレーターで2%)を下回り続けているとの評価は変わらず。期待インフレ率に
関しては、市場で計測される期待インフレ率は低下し、大部分のサーベイにもとづく
長期の期待インフレ率はここ数ヵ月、全体的にほとんど変化しなかったとしている。
先行きの見通しについてみると、金融政策の運営姿勢の緩やかな(gradual)調整
によって、経済は緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は力強さを増していく
との見方を維持。インフレについては、これまでのエネルギー価格の下落もあり、短
期的には低いままであるが、エネルギーや輸入価格の下落等の一時的な影響が一
巡し、労働市場がさらに力強さを増していくにつれて、中期的には2%に向かって上
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マクロ・トピックス
昇していくとの見方に変化はない。リスク判断については、4月の声明文と同様、物
価指標とともに、海外経済や金融情勢を注視し続けるとされた。
なお、こうした見通しについて、今回発表されたFOMC参加者の経済予測(中央
値)と照らし合わせると、実質GDP成長率が下方修正される一方、インフレ率は上方
修正となった。ただ、ともに修正幅は小幅にとどまっている。失業率は前回3月時点
の見通しとほぼ変わらず。見通しの大枠としては、実質GDP成長率は長期的な均衡
水準(潜在成長率)程度の緩やかなペースで推移し、労働市場の改善が続くなかで
失業率は完全雇用とみなされる長期的な均衡水準を下回る水準で推移。インフレ
率は目標である2%に向かって緩やかに上昇していくという姿になっている。インフレ
圧力が緩やかであるため、失業率が完全雇用の水準を下回る状況を当面は許容
し、利上げを急ぐ必要はないと判断しているとみられる。
FOMCの経済・物価見通し(2016年6月、中央値)
(%)
実質GDP
3月時点の見通し
失業率
3月時点の見通し
インフレ率
3月時点の見通し
コア ・ インフレ率
3月時点の見通し
フェデラルファンド( FF) 金利
3月時点の見通し
2016年
2017年
2018年
長期
2.0
2.0
2.0
2.0
2.2
2.1
2.0
2.0
4.7
4.6
4.6
4.8
4.7
4.6
4.5
4.8
1.4
1.9
2.0
2.0
1.2
1.9
2.0
2.0
1.7
1.9
2.0
---
1.6
1.8
2.0
---
0.875
1.625
2.375
3.000
0.875
1.875
3.000
3.250
(注)実質GDPおよびインフレ率は第4四半期の前年比、失業率は第4四半期平均、FF金利は年末時点の誘導目標もしくはレンジの中心値
インフレ率は個人消費支出(PCE)デフレーター、コアは食品およびエネルギーを除く
出所:米連邦準備理事会(FRB)の資料よりみずほ証券作成
利上げペースの見通
しは再び下方修正
今後の政策運営に関するガイダンスについては4月のFOMCから変化はない。主
な点を確認すると、「FF金利誘導目標レンジの将来的な調整の時期や規模を決定
するにあたって、最大雇用と2%のインフレ率という目標に向けた進展を現状と予測
の両面で評価していく」「こうした評価にあたっては、労働市場の状況、インフレ圧力
やインフレ期待、金融・国際情勢等、幅広い情報が考慮される」「現状、インフレ率
が2%を下回っていることから、FOMCはインフレ目標に向けた実際の進捗と見通しを
注意深く観察する」「経済情勢はFF金利の緩やかな(gradual)引き上げのみを正当
化する形で展開していくと予想され、しばらくの間、FF金利は長期的に予想されるよ
りも低い水準に維持される可能性が高い」「実際のFF金利の道筋は今後のデータ
にもとづく経済見通し次第」というものである。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マクロ・トピックス
今後の利上げのペースに関して、FOMC参加者の政策金利見通しを確認すると、
中央値では16年末が0.875%(3月時点の見通し:0.875%)、17年末が1.625%(同
1.875%)、18年末が2.375%(同3.000%)、長期が3.000%(同3.250%)となっている。17
年以降の見通しや中立金利とみなされる長期水準が下方修正された。利上げの
ゴールとでもいうべき水準は徐々に切り下がっている。また、16年については中央
値では引き続き年内0.5%の利上げが見込まれている一方、年内0.25%にとどまる(1
回あたりの利上げ幅が0.25%とすれば、年内の利上げは1回)という見方は3月時点
の1名から今回は6名に増えた。慎重に状況を見極めるため、FOMC参加者のなか
で利上げに対して慎重なハト派の見方が増えていることを示している。
(%)
5
FOMC参加者によるFF金利誘導水準もしくは誘導レンジの中心値の予想分布
(2016/6と2016/3のFOMCでの比較)
2016/6
2016/3
4
3
2
1
0
(各年末時点)
出所:米連邦準備理事会(FRB)の資料よりみずほ証券作成
慎重な利上げスタン
スはリスク資産価格
の支えに
今回のFOMCを受けた金融市場の動きをみると、政策金利見通しの下方修正等、
ハト派的な姿勢を受けて、債券高(金利低下)が進む一方、株価や為替については
明確な方向感が出るにはいたらなかった。また、市場の利上げ期待は一段と低下し
ており、FF金利先物を用いてブルームバーグが算出する利上げの確率をみると、
次回7月のFOMCでは5.9%、12月時点でも40.3%にとどまっている。市場参加者の見
通しがFOMCよりも慎重であることや下振れリスクが発生する確率を織り込んでいる
等の背景により、市場で織り込まれている利上げの経路がFOMC参加者の見通しよ
りも緩やかという状況は続いている。
利上げペースの見通しがさらに緩やかになり、中立的な金利水準も低下している
ため、長期金利の上昇は抑制されやすい。日本銀行や欧州中央銀行(ECB)をはじ
め、世界的に金融緩和政策が続いていることや低成長のもとで資金需要が高まりづ
らいことを考えればなおさらであろう。こうした低金利が、投資家による利回り追求の
動きを通じて、リスク資産価格を支える状況は今後も続くとみている。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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グローバル・マクロ・トピックス
(%)
2.00
FOMC参加者の政策金利見通しとFF金利先物
( 2016/6/15時点)
2016/6時点の見通し
1.50
2016/3時点の見通し
1.00
0.50
FOMC参加者の見通し
0.00
16/09
16/12
17/03
17/06
現時点
(注) FOMC参加者の見通しは各年末時点の中央値
現時点の水準は誘導目標レンジの中心値である0.375%と仮定している
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
慎重に状況を見極め
ながら、緩やかに利
上げへ
FF金利先物
17/09
17/12
(限月:年/月)
今回のFOMCでは利上げが見送られたが、5月の雇用統計の下振れや翌週に英
国の欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票を控えている状況下、もともと利上げ
を見込む見方は少なかった。このため、結果自体は予想通りといえる。
一方、政策金利見通しが下方修正される等、利上げに対して慎重な見方が増え
ていることが確認された。また、利上げのタイミングに対する明示的な示唆もなかっ
た。5月の雇用統計で示された労働市場の減速が一時的なものであることを確認す
る必要が生じたことに加えて、インフレ期待の低下、労働生産性上昇率の低迷、英
国の問題を含めた、海外経済の弱さや金融市場の状況等、先行きの見通しに対す
る不透明感が高いなかで、慎重に状況を見極める姿勢を強めているとみられる。
こうした点をふまえて、みずほ証券投資情報部では次回の利上げは9月、年内の
利上げはこの1回にとどまると現時点で予想している(従来は年内2回の利上げを予
想)。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、記者会見で7月の利上げは不可能
ではないという趣旨の発言をしており、7/8発表予定の次回6月分の雇用統計にお
いて、雇用の増加ペースが回復(5月分が上昇していればさらに望ましい)していれ
ば、その可能性もゼロではない。ただし、1ヵ月分の雇用統計で5月の弱さが一時的
なものであると十分に見極められるかどうか、ハードルが高いのは事実だろう。
その後については、労働市場が完全雇用の状態に近づき、インフレ率も上向いて
いるという米国のファンダメンタルズを考えれば、利上げの方向性に変化はないとみ
ている。一方、米国とその他の国における金融政策の方向感の違いや中国経済を
はじめとする世界経済の弱さをふまえれば、利上げを急いだ場合にはドル高や海
外経済の減速、金融市場の不安定化につながるリスクがある。また、賃金やインフレ
率の上昇ペースが緩やかであるため、利上げを急ぐ状況でもない。こうした点をふま
えれば、利上げのペースは今後もきわめて緩やかなものにとどまろう。
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