ごあいさつ

ごあいさつ
卓上に置かれた果物 、家族の情景、ポーズをとるモデル。
画家にとってそれらを描く場としてのアトリエ、居室などの
「室内」は、最も身近な創造の源といえます。
本展覧会では、たましんコレクションの中から室内で描か
れた近現代の作品を、静物から人物の順にご紹介します。
日本で油絵が本格的に導入された明治期以降、画家たちは
西洋美術を積極的に学び、静物画ではセザンヌや後のピカソ
らの影響も受けながら、独自の画面構成や色彩を追求しました。
どのようなモチーフを選び、配置し構成するのか、表現意図が
直接的にあらわされ、各画家の創意が光ります。
人物画では、人間の美しさや魅力を、女性の肉体美、何気ない
家族の情景、人体の形態などによって表現しています。親しい
人物、家族、自画像など、限られた部屋という空間で描かれる
それらは、描かれる対象と同じ空間で描く画家自身の気配を
も内包しているようです。
絵画空間にひそむ、画家の気配。描かれた対象物の放つ気配。
各作品にひそむ画家の思想や息遣いを感じていただければ
幸いです。
2016 年 5 月
たましん歴史・美術館