飯藤 大和

様式(10)
論文審査の結果の要旨
甲
保
第
報告番号
審査委員
題
22
号
乙
保
主
査
田村
副
査
雄西 智恵美
副
査
近藤 和也
氏
名
飯藤
大和
綾子
目
The Development of the Japanese Psychiatric Nursing Assessment Classification System (PsyNACS©)
(日本の精神科病院における患者に対する看護に必要なアセスメント分類システムの開発)
著
者
Hirokazu Ito, Misao Miyagawa, Kazuhiro Ozawa, Tetsuya Tanioka, Yuko Yasuhara, Mutsuko Kataoka, Beth
King, Masahito Tomotake, Rozzano C. Locsin: Open Journal of Psychiatry, 2016, 6, 20-33 DOI:
10.4236/ojpsych.2016.61003 に掲載済
要
旨
本研究の目的は、日本の精神科病院における患者に対する看護に必要なアセスメント情報の分類シス
テムを開発することである。日本国内の精神科病院で使用されている看護理論や看護モデルを基に、患
者アセスメント項目の重要度を評価するための質問票を 9 つの領域(精神症状とストレス、治療に関す
る情報、摂食機能と水分出納、生活と価値、バイタルサインズとヘルスアセスメント、セルフケア、ソ
ーシャルサポート、活動・睡眠と移動能力、性機能と性行動)に分けて、研究者らが作成した。調査期
間は 2015 年 2 月から 4 月の 3 か月間、調査対象者は患者アセスメントに熟練した看護師 644 名であり、
435 名から有効回答(67.5%)を得た。得られた結果をもとに因子分析(主因子法、バリマックス回転)
を行い、信頼性は、各因子の内的整合性を Cronbach'sαで確認し、適応妥当性を Kaiser-meyer-Olkin
法および Bartlett 検定で確認した。9 つの領域において 31 の因子が抽出され、回答の精度や重み付け
を高めた結果、21 因子が抽出できた(領域 1:精神症状、ストレス・コーピング、気分障害と攻撃性、
認知機能、せん妄と記銘力障害、領域 2:アドヒアランスの情報、精神科リハビリテーションの情報、
領域 3:摂食機能、排泄状況、水分バランス、領域 4:意思・考え方、患者の思い、領域 5:全身状態、
バイタルサイン、領域 6:排泄と清潔、領域 7:家庭の状況と社会生活、医療職者との関係、病気と家
族、他者との関係、領域 8:活動と睡眠、移動能力)。
日本の精神科病院では、患者情報の電子化の遅れ、患者の高齢化による合併症を有する割合の増加、
入院期間の長期化の問題があり、効果的に看護師が関わるには患者情報を効率的に収集・分析し、介入
する必要がある。そのためのアセスメント情報の分類システムを開発した点で評価できる。さらに精神
科専用の看護データベースとして利活用することにより、日本の精神科病院の現状に応じた看護の提供
が可能となる。日本の精神科看護の質を担保するための方策を検討することができ、ケアの質の向上に
貢献するものである。以上のことから、博士の学位授与に値するものであると判定した。