企業の注目する群馬県の魅力、問題点、産業資源等

(2016 年6月号掲載)
企業の注目する群馬県の魅力、問題点、産業資源等について
~地域振興に関する県内企業アンケート~
群馬経済研究所主任研究員
~要
齊藤由香
約~
1. 当研究所は 2016 年2月、県内企業を対象に「地方創生など地域振興の動きに関する意
識調査」を行った。以下は、その結果の概要である。
2. 県内企業が考える東京圏への人口集中の緩和策では、
「地方出身者のUターン推進」や
「首都機能の地方分散」といった回答が多い。ただ、東京圏に人口が集中することに
関して、「特に意識していない」や「東京圏への近さを強みに、商圏として利用する」
という見方も多い。
3. 地方圏への優先整備が望まれる項目の1位は「雇用対策」であり、以下、
「(地域内の)
公共交通網や道路網」、「子育て支援サービスの拡充」等が続いている。
4. 群馬県の魅力をたずねた結果では、東京圏に近い、広域で交通網の要に位置する、災
害が少ない、等の回答が多い。一方、鉄道等の公共交通網の未整備が地域振興の妨げ
であるという指摘も多い。
5. 農林水産物、鉱工業品及びその生産技術、観光資源など群馬県の産業資源については、
「資源が活用されていない」、「地域の独自性に欠ける」といった意見が多い。また、
そうした産業資源を自社の実際の業務に活用している企業は4割弱にとどまっている。
6. 地域振興への貢献では、
「雇用の創出」が4割弱と最も多く、以下、
「人材の育成」、
「経
済活動の活発化」、「産業技術の向上」、「納税など利益還元」、「地場産品等のブランド
化」と続いている。
7. 今回の調査によれば、群馬県が東京圏に近く交通網の要所にあること、災害が少なく
自然環境や産業資源に恵まれていることなどは企業の好感材料である。一方、地域内
の公共交通網などの未整備、人口減少、情報発信力の弱さ、消費や人材の東京圏への
流出などは問題点として指摘されている。東京圏への近さに頼りすぎず、未だ活用さ
れていない県内の地域産業資源を見出し、上手に利用する努力が必要であるとみられ
る。