平成 27 年度 査察の概要

平 成 28 年 6 月
東 京 国 税 局
平 成 27 年 度
査察の概要
適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持を目的として、査察部に配置されている国
税査察官は、厳正な査察調査に基づき、悪質な脱税者に対する刑事責任の追及を行っていま
す。
1 着手・処理・告発件数、告発率の状況
○ 平成 27 年度において査察に着手した件数は、71 件でした。
○ 平成 27 年度以前に着手した査察事案について、平成 27 年度中に処理(検察庁へ
の告発の可否を最終的に判断)した件数は 68 件、そのうち検察庁に告発した件数
は 43 件であり、告発率は 63.2%でした。
年度 平成
23
項目
24
25
26
27
数
件
70
件
69
件
70
件
71
件
71
処 理 件 数 ( A )
70
65
68
66
68
告発件数(B)
42
%
60.0
45
%
69.2
43
%
63.2
42
%
63.6
43
%
63.2
着
手
件
告発率(B/A)
【件数(件)】
【告発率(%)】
100
100.0%
90.0%
70 70
69
70
65
42
50
71
66
43
45
69.2%
71
68
42
63.6%
63.2%
68
43
80.0
80.0%
着手件数
70.0
70.0%
処理件数
60.0
60.0%
63.2%
告発率
50.0%
60.0%
40.0%
0.0
30.0%
0
23
24
25
26
【年 度】
- 1 -
27
告発件数
2 脱税額の状況
○ 平成 27 年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で 47 億円、そのうち告発
分は 42 億円でした。
○ 告発した事案 1 件当たりの脱税額は 9,700 万円でした。
○ 告発した事案のうち、脱税額が 3 億円以上のものは 2 件でした。
年 度 平成
項
23
目
税
額
25
26
27
百万円
百万円
百万円
百万円
百万円
額
7,809
6,931
5,155
5,002
4,715
同上 1 件
当 た り
112
107
76
76
69
告 発 分
6,379
5,863
3,791
4,331
4,151
130
88
103
97
総
脱
24
同上 1 件
当 た り
152
(注) 脱税額には加算税額を含む。
○脱税額
○1 件当たりの脱税額
総処理分の脱税額
告発分の脱税額
【金額(百万円)】
総処理分の脱税額
告発分の脱税額
【金額(百万円)】
200
15,000
150
10,000
100
5,000
50
0
0
23
24
25
26
27
23
24
25
26
27
【年 度】
【年 度】
(参考)大口事案の推移
年 度 平成
項
23
目
24
25
26
27
件
件
件
件
件
42
45
43
42
43
うち脱税額が 3 億円以上
6
3
1
1
2
うち脱税額が 5 億円以上
2
1
0
0
0
告
発
件
数
(注) 脱税額には加算税額を含む。
- 2 -
3 税目別告発事案の推移
○ 平成 27 年度においても、従来どおり、所得税、法人税事案に取り組むとともに、
消費税事案等についても積極的に取り組みました。
⑴ 税目別の告発件数
年 度
平成23
件 数
区 分
24
割合
件 数
25
割合
件 数
26
割合
件 数
27
割合
件 数
割合
件
%
件
%
件
%
件
%
件
%
所
得
税
12
29
6
13
6
14
9
21
10
23
法
人
税
29
69
33
73
26
60
28
67
29
68
相
続
税
−
−
2
5
1
2
−
−
1
2
内0
内1
内4
内1
内0
税
1
2
3
7
5
12
3
7
3
7
源泉所得税
−
−
1
2
5
12
2
5
−
−
消
費
合
計
42 100
45
100
43
100
42
100
43 100
(注) 消費税の内書は、消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む。)の告発件数である。
⑵ 税目別の脱税額
年 度
区 分
平成23
24
25
26
27
脱税額
割合
脱税額
割合
脱税額
割合
脱税額
割合
脱税額
割合
百万円
%
百万円
%
百万円
%
百万円
%
百万円
%
所
得
税
2,050
32
836
14
863
23
808
19
941
23
法
人
税
4,230
66
4,454
76
2,431
64
2,860
66
2,669
64
相
続
税
−
−
330
6
130
3
−
−
315
8
内0
内 36
内 102
内 68
内0
税
99
2
195
3
157
4
388
9
226
5
源泉所得税
−
−
48
1
210
6
275
6
−
−
消
費
6,379
100
5,863
100
3,791
100
4,331
100
4,151
100
合
計
(注)1 脱税額には、加算税額を含む。
(注)2 消費税の内書は、消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む。)の脱税額である。
- 3 -
4 告発事件の概要
○ 平成 27 年度に告発した査察事案で多かった業種・取引は、
「不動産業」、
「機械器
具卸」、「クラブ・バー」、「建設業」でした。
○ 脱税の手段・方法としては、売上除外や架空の原価・経費の計上が多くみられた
ほか、平成 23 年度に創設された単純無申告ほ脱犯の事例もありました。
○ 脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、有価証券として留保されて
いたほか、ギャンブルなどの遊興費、特殊関係人に対する資金援助などに充てられ
ていた事例も見受けられました。また、不正資金の一部が海外の預金口座で留保さ
れていた事例もありました。
○ 脱税によって得た不正資金の隠匿事例としては、居宅の階段下の物置に積まれた
段ボール箱の中に現金を隠していたものなどがありました。
⑴ 告発の多かった業種(3者以上)
平成25
業
種
27
26
者数
業
種
ク ラ ブ ・ バ ー
5 不
業
8 不
情報提供サービス
5 ク ラ ブ ・ バ ー
3 機
不
業
4 調
業
3 建
広
動
告
産
代
理
−
− 広
−
− 性
動
産
者数
剤
薬
設
告
風
代
理
俗
業
種
動
業
9
卸
5
局
3 ク ラ ブ ・ バ ー
3
業
3 建
設
3
業
3
−
−
業
3
−
−
械
産
者数
器
具
業
(注) 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は、1 者としてカウントしている。
⑵ 脱税の手段・方法
告発の多かった業種における脱税の手段・方法として、不動産業では売上除外や架
空の経費を計上していたものが多く見られました。
そのほか、
○ 土地の取得価額を建物及び建物附属設備の取得価額に付け替え、減価償却費
を過大に計上したもの
○ 多額の利益がありながら、故意に税を免れようとして、法定申告期限までに
申告書を提出しなかったことから、単純無申告ほ脱犯を適用したもの(平成 23
年度創設)
などがありました。
- 4 -
⑶ 不正資金の留保状況及び隠匿場所
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、有価証券として留保されてい
たほか、ギャンブルなどの遊興費、特殊関係人に対する資金援助などに充てられてい
た事例も見受けられました。
また、不正資金の一部が海外の預金で留保されていた事例もありました。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
○ 居宅階段下の物置に積まれた段ボール箱の中
に現金を隠していた事例などがありました。
5 査察調査の状況
⑴ 動員人数及び調査期間
平成 27 年度に着手した査察事案では1事件当たり、着手日に 67 か所を調査し、延
180 名を動員しました。
平成 27 年度に告発した査察事案では1事件当たり、着手から告発まで6か月の調
査期間を要しました。
⑵ 検察庁との連携
検察庁との間で、早期かつ綿密な連携を図り、悪質な脱税者に対して厳正に対応し
ました。また、検察官が強制捜査を行った上で、合同で捜査・調査を実施し真相の解
明に至った事案もありました。
⑶ 国際化への対応
国際取引を利用した事案に的確に対応するため、査察部の専門部署による調査支援
及び租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換制度を積極的に活用して
います。
平成 27 年度の事例では、査察官を外国税務当局へ派遣して事案の説明をした上で
情報提供を要請したものや、脱税で得た不正資金を海外に持ち出したことが想定され
たことから、情報提供を要請した結果、外国税務当局の調査により相手国へ持ち込ん
だ資金の金額及びカジノで費消した金額が判明したものがありました。
⑷ ICT化への対応
経済取引等のICT化に的確に対応するため、査察開発課による調査支援及びデジ
タルフォレンジック用機材を活用した電子機器等の電磁的記録の証拠保全、解析を行
っています。
- 5 -
6 査察事件の一審判決の状況
○ 平成 27 年度中に一審判決が言い渡された件数は 46 件であり、その全てについて
有罪判決が出されました。
項目 ①
判
年度
決
件 数
平成
件
内8
25
件
41
26
1 件当たり
1 人当 たり
1人(社)当
犯 則 税 額
懲 役 月 数
た り罰金額
%
人
百万円
月
百万円
5
46
12.4
11
4
49
14.8
12
0
64
16.3
16
100.0
内1
41
97.6
内−
46
⑤
実刑判決
人
数
内4
内−
④
内5
41
42
③
有罪 率
(②/①)
内8
内4
27
②
有 罪
件 数
内−
46
100.0
(注)1 表中の内書は他の犯罪との併合事件を示している。
(注)2 ③∼⑤は他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。
- 6 -