〇生活・総合的な学習の時間

平成27年度 生活科・総合的な学習研究委員会資料
生活科・総合的な学習研究委員会 全体主題
自ら学び続ける子どもの育成
~自己の変容を自覚させる単元構成の工夫及び評価を通して~
研究の考え方
1. 小学校教科等研究委員会の研究の方向
○(子どもが)基礎的・基本的な事項を着実に身に付ける指導
○ 教師の創意工夫を生かす指導
○ (子ども)一人ひとりの個性を伸ばし、創造性を育成する指導
○ 教科の特性を明確にした指導
2. 小学校教科等研究委員会の研究主題
学習指導要領を踏まえ、
「新しいふくおかの教育計画」後期実施計画の具体化を図る学習指導のあり方
「新しいふくおかの教育計画」後期実施計画の具体化としては
重点施策1-①確かな学力の向上:子どもたち一人ひとりに「主体的に学習する態度」
「課題解決に
必要な思考力・判断力・表現力」などを身に付けさせる。
→自己の変容を自覚させる単元構成の工夫により、自ら学び続ける子どもを育てる。
重点施策1-④地域の特性を生かした教育と国際教育の推進
→地域の「人・もの・こと」を対象とする学習の計画
重点施策2-②学校と家庭・地域の連携の強化
→学習の GT や表現・発信の相手としての地域人材や保護者の活用
3. 学習指導要領改定の要点より
生活科改定の趣旨
総合的な学習の時間改定の趣旨
・活動や体験を通して得られた気付きを質的に
・総合的な学習のねらいや育てたい力(身に付けた
高める指導の充実
・思考と表現の一体化
・知的好奇心を高め、科学的な見方・考え方の
基礎を養うための指導の充実
・生命の尊さや、自然現象について体験的に
学習することの重視
・幼児教育と小学校教育との具体的な連携
い力)の明確化
・他者と協同して課題を解決しようとする学習活動
の重視
・教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習、探究
的な学習を行うことをより明確化
・子どもの発達段階に応じた適切な学習活動の展開
・体験活動と言語活動の充実
主題及び副主題の意味
「自ら学び続ける」とは
生活科においては、豊かな体験を通して自分の気付きを表現し、友達の気付きと比べながら、無自覚だったこ
とを自覚したり、気付きと気付きを関連づけたり、対象への気付きを自分自身への気付きにつなげたりして、気
付きの質を高めていく。この気付きの質の高まりは、子どもが願いをもち、それを発展させることへとつながり、
自ら学び続ける姿となる。
総合的な学習においては、地域の「人・もの、こと」との関わりを通して課題を発見し、解決していきながら、
自分の見方や考え方、対象との関わり方の現状と変容を、表現、交流、評価していく。このことを通して身近な
地域の対象に関わっていける自分の力や役割を発見したとき子どもの学びが連続していくと考える。
つまり、生活科でも、総合的な学習でも、
「自ら学び続ける」とは、子どもが活動を貫く切実な課題意識をも
ち、体験や対象への関わり、問題解決の各段階ごとに、気付きや見方、考え方の変容を自覚していくことによっ
て、課題意識が連続していく姿である。
「自己の変容」とは
生活科において、対象と関わったとき、子どもには様々な気付きが生まれる。しかし、せっかく生まれた気付
きもそれを表現したり、他の気付きと比べたりしなければ、そのよさや価値に気付かないままになってしまう。
同様に総合的な学習においても、地域の「人・もの・こと」に対して課題を見つけ、解決していく。しかし、問
題解決過程での気付きや理解や新たな課題などを整理・分析したり、表現したりしなければ、対象に対する気付
き、子どもの思いや願いの広まりや深まりが出ない。子どもが聞いたり、話したり、書いたりすることを通して
子どもの気付き、思いや願いが変容していくことである。
「自覚させる」とは、
自覚するとは、子どもが、対象に対する課題や気付き、見方や考え方を整理して表現し、視覚化することで、
はじめとの違いを明らかにし、他者と比べることで自分のよさや役割(できること)を実感することである。そう
することで、地域の対象に対する見方や考え方と、自分自身の役割の認識の変化が表現され、整理されることに
なり、生活科・総合的な学習の目標である自分の成長に気付いたり、自己の生き方を考えたりすることができる。
教師が学習計画を作成する段階で目指す子どもの姿を明確にして、どのような変容を期待するか予め予想して
おくこと、単元においては、生活科のカードや総合的な学習のポートフォリオを作成したり、交流したり、振り
返ったりする場において、気付きや願いなどを選んだり、比べたり、分類したり、つなげたり、まとめたりして
整理している活動を位置づけること、教師が対話などを通して、子どもの気付きや課題意識を意味づけたり、価
値づけたり、方向付けたりして意識させる適切な支援をすることが必要であると考えられる。
本年度は前述の手立てに加えて、子どもたちが目指す姿に到達しているかどうかを探究のサイクルごとに教師
が評価し、また子どもが自己評価する活動を位置付けることを主たる手立てとする。学習計画の段階で、探究の
過程の中で自分に身についた力を振り返る場面を位置付け、子どもたちが自己の変容を定期的に自己点検でき、
自ら学び続ける子どもの姿に高めることができると考えられる。
4.研究の目標
生活科・総合的な学習において、自己の変容を自覚させる単元構成及びその評価のあり方を究明する。
5.研究の仮説
自己の変容を自覚させる単元構成の工夫及び評価をすれば、自ら学び続ける子どもを育成することができる
であろう。
6.研究の内容
上記のような仮説の検証のため、本研究委員会では以下の4点の単元構成の工夫及び評価を行う。
①
子どもの変容が見られる教材の選定
②
課題意識の連続・発展を大切にする単元構成の工夫
③
子どもが自己の変容を自己点検する場面を位置付けた単元構成の工夫
④
子どもの変容を評価できる場面の重点化
7.研究の手立て
①
学習の探究の各過程及び単元終了後の目指す子どもの姿を明確にした学習計画の作成
②
子どもが次時にやりたい活動を記述できる学習プリントの項目を設定する。
③
子どもが自己の変容を自己点検できる時間を設定する。(中間交流及び単元終末)
④
事前に評価計画を作成し、めざす子どもの姿を多様に想定する。
第2学年
1
単元名
「 あそんで
ためして
生活科学習指導案
くふうして
」
こんな子どもに
○
身近にあるものを使って,遊びや遊びに使うものを工夫し,みんなで楽しく遊ぼうとしている。
【関心・意欲・態度】
自分の思いや願いに沿ったおもちゃを作ろうと,試したり作り直したりして取り組むことができる。
【思考・表現】
身近にあるものを使って遊ぶ面白さや,おもちゃを作った自分や友達のよさに気付くことができる。
【気付き】
○
○
こんな教材で
ひろげる
ふかめる
つかむ
(教材の価値)
本教材は,身近にあるものを使って
遊びや遊びに使うものを工夫して作
り,その面白さに気付き,みんなでの
遊びを楽しむことができるようにする
ものである。
まず,紙コップ・ペットボトルなど
身近にあるものを使って,自由に遊ぶ。
1人で重ねたり倒したりして遊び,そ
の後友達と競争したり比べたりする活
動に発展させていく。さらには,ルー
ルなどを決めて遊ぶ活動をしていく。
次に,ゴムなど動きのあるおもちゃ
を作って遊ぶ。自分が「こうしたい」
という思いをもって,試しては作り直
す活動を行っていく。
ここで昨年2年生におもちゃを使っ
て遊んでもらったことを想起させ,自
分たちも1年生を呼んで遊ばせたいと
いう思いをもたせる。
3.こんな子どもの姿をめざしたい
その後,おもちゃの改良やルールの
工夫を繰り返し,1年生を招待して遊
ばせる。自分が作ったおもちゃで一緒
に遊ぶことで,楽しさを味わわせる。
最後に単元を振り返り,活動の中で
気付いたよさや工夫を出し合い,自分
の成長に気付かせる。
○
こんな支援で
○
(1年生との遊び)
1年生が遊んでみて,楽しかったと
思うおもちゃには「いいね!シール」
を貼ってもらうことで,達成感を味わ
わせる。
○ (ためしの遊び②)
違うグループの友達に遊んでもら
い,「いいね!カード」に遊んだ感想
やもっとこうした方がいいことを書い
てもらう。そのことを,次の作業への
手がかりにする。
○ (ためしの遊び①)
同じおもちゃを選んだグループで遊
び,それぞれのおもちゃの仕組みにつ
いてよいところを言ったり,アドバイ
スをしたりする。
○(「素材を生かした材料」のあそび)
活動に入る前に,遊びに使う身近な
自然物や生活用品の廃材を普段からガ
ラクタバコに集めておくようにする。
身近にあるものから発想した遊びを
楽しみ,より楽しく遊ぶ方法を工夫し ,
みんなで楽しむことができるようにす
る。
こんな子どもだから
○
興味をもったことであれば,意欲的に集中して取り組むことができる。しかし,自分からしたいことを考
えたり,積極的に友達と協力して学習に取り組もうとする子は少ない。
【関心・意欲・態度】
○ クラスの3分の2は,身近なものを使って遊んだ経験がある。その中で,おもちゃを作り,遊んでまた作
り直すなどの経験をしている児童は少ない。
【思考・表現】
○
「町をはっけん 大はっけん」では,自分達の校区の周りにはたくさんの施設や建物があることに気付く
ことができた。しかし,自尊感情が低い児童もおり,自分や友達のよさに気付いていない子どももいる。
【気付き】
2.学習活動計画(13時間)
過程 配時
学習活動と内容
目指す子どもの姿
支援の方法
2 1.みのまわりの ものをつかっ
①
て,たのしく あそぼう。
(1)「ガラクタバコ」にあるも ○ 自分達の「ガラクタバコ」に, ○ 遊び方については,児童の気
たくさんの物が集まっている
付きに任せて,感じたように自
のを確認し,どんなことをして
つ
ことに気付くことができる。
由に話し合わせる。
遊べるか考える。
か
【気付き】 ○ 思い浮かばない児童には,教
科書を見るように伝える。
む
○ これからの学習の流れをつ ○ 子ども達が意欲的に取り組
(2)学習の見通しを持つ。
かみ,今後の授業に意欲を持つ
めるように,遊び方の例を提示
ことができる。
する。
【関心・意欲・態度】
2.あそびかたを くふうして
①
たのしく あそぼう。
(1)「ガラクタバコ」の中の道
具を使って,個人で遊ぶ。
○
材料の性質を生かして,楽し
く活動をすることができる。
【思考・表現】
(2)集団で,ルールを作ったり, ○ グループの中でル-ルを工
ゲーム化したりしながら遊
夫して,楽しく遊ぶことができ
ぶ。
る。
【関心・意欲・態度】
8 3.風や ゴムなどをつかった
おもちゃで たのしく あそ
/ ①
ぼう。
(1) 教師が提示したおもちゃ ○ おもちゃの仕組みに目を向
けて,楽しく遊ぶことができ
で遊ぶ。
る。
(2)提示されたおもちゃを使っ
【思考・表現】
て集団で,ルールを作って遊
ぶ。
ふ
○
楽しく活動ができ,様々な遊
びを考えることができるよう
に,十分に遊ぶ時間を設ける。
○ 目的をもたせるために,ルー
ルを決めて遊んでいるグルー
プを紹介し,遊び方の例を提示
する。
○
意欲を持って活動できるよ
うに,風やゴムを使って動くお
もちゃ見本を多く用意してお
く。
○ 仕組みについて様々な考え
が出るようにするために,考え
る時間を十分に確保する。
(3)去年の自分達がしたことを
ふり返り,これからの活動に ○ 1年生を楽しませたいとい ○ 活動により意欲を持たせる
う気持ちを持つことができる。
ついて考える。
ために,1年生を迎えて遊ぶこ
【関心・意欲・態度】
とを伝える。
か
め
る
1年生をしょうたいしてあそぶ,おもちゃを作ろう。
⑤
4.1年生が たのしめる おも
ちゃをつくろう。
(1) 自分が作るおもちゃを決
め,遊び方を考える。
(2) グループを作り,おもち
ゃを作る。
(本 時)
(3) グループ内で作ったおも
ちゃで遊び,よい点や改
善点を考える。
〈交流1①〉
○
根拠を持って,作りたいおも
ちゃを選ぶことができる。
【思考・表現】
○ 風やゴムなどで動くおもち
ゃの仕組みに気付き,自分のお
もちゃに風やゴムの力を利用
することができる。
【思考・表現】
○ 同じグループで遊び,どうし
たらもっと楽しくなるか考え
ることができる。
【思考・表現】
○
作りたいおもちゃを選択し
やすいように,掲示物を工夫す
る。
○ 同じグループで活動を行う
ことで,アドバイスをしやすい
環境を作る。
○
おもちゃをさらによくする
ために,いいね!カードを使っ
て,おもちゃのいいところやア
ドバイスを書く。
○
(4) 前時の活動を活かして,
作品を作り直す。
同じグループで遊び,自分や
友達の作ったおもちゃのよさ
や改善点に気付くことができ
る。
【気付き】
○ いいね!カードに書かれて ○ 何度も作り直すことができ
るようにするために,試しの場
いることを参考にして,自分の
を設ける。
おもちゃをよりよくしようと
している。
【思考・表現】
おもちゃやあそび方を見なおして
もっとたのしめるようにしよう。
5.1年生が,たのしくあそべる
ように あそびを くふうし
よう。
(1)グループで,前時までを振
り返り,本時の活動を決め
る。
(2)おもちゃや ルールを 考 ○ どうすれば1年生がより喜
え直す。
んでくれるかを考え,「おもち
ゃのしくみ」や「ルール」を改
善することができる。
【思考・表現】
(3)ふり返りをする。
○ 前時までの自分達のおもち
〈交流1②〉
ゃやルールから,本時の活動で
よりよくなっていることに気
付くことができる。
【気付き】
6.1年生をむかえる じゅんび
をしょう。
①
①
(1)当日の流れを確認する。
(2)おもちゃや ルールの最終
確認をする。
/
3 7.1年生と おもちゃをつかっ
てたのしく あそぼう。
②
ひ
(1) 遊び方を確認する。
ろ
(2)1 年生とおもちゃを使って
遊ぶ。
げ
活動内容を明確にするため
に,
「おもちゃ」
「ルール」のよ
さを見つけることを確認する。
○
本時の自分の成長に気付く
ために,ふり返りをする。
〇
次時に活動をスムーズにす
るために,自分達の遊びを最終
確認・調整する。
○
る
(3)ふり返りをする。
〈交流2〉
①
○
自分達が作ったおもちゃを
使って,1年生を楽しませるこ
とができる。
【思考・表現】
○
安全に活動するために,遊び
のルールを伝える。
○ 本時の活動の達成感を味わ
わせるために,1年生に活動の
感想を聞いたり,いいね!シー
ルを貼ってもらったりする。
8.
「あそんで ためして くふ
うして」を ふりかえろう。
(1)本単元でできるようになっ
たこと,わかったことを出し
合う。
○
(2)単元の振り返りをする。
単元を通して自分達が成長
○ 自分達の成長をふり返らせ
したことに気付くことができ
るために,前時までの学習プリ
る。
【気付き】
ントを読み返す。
3 本時指導案
単元名 「あそんで ためして くふうして」本時(7/13)11月16日5校時
本時の目標
○ ためし遊びを通して,もっと楽しくするための工夫を考えることができる。
【思考・表現】
○ 同じグループで遊ぶ中で,自分や友達が作ったおもちゃのよさや改善点に気付くことができる。
【気付き】
4
本時指導の考え方
前時の学習では,1年生を招いておもちゃで遊ぶという目的意識を持ち,自分たちが作ってみた
い風やゴムなどの力で動くおもちゃを作っている。
本時では試し遊びを行う中で,自分や友達のおもちゃのよさに気付き,自分の作品に自信を持っ
たり,次時にしたいことを明確にしたりするための場面である。
まず,前時までの学習を想起し,本時のめあてを確認する。その後,学習の流れを整理するため
に本時の流れを押さえる。またその時に,あわせて本時で活用する「いいね!カード」に書くとい
い言葉(おもちゃや遊びのいいところやもっとこうした方がいいところ)も確認する。
確認後,自分達が作ったおもちゃを使って同じグループ内で試し遊びをする。活動をスムーズに
進めるために,活動前には教師がモデルとなり具体的にする活動を明確にする。活動中に児童への
手助けにするために,前には「お助けボックス」を用意し,おもちゃが壊れたときに修理するなど
の材料を入れておく。おもちゃの仕組みや遊び方に目を向け,しばらく遊んだ後,「いいね!カー
ド」に友達のおもちゃのいいところやもっとこうした方がいいところを書く。そして,カードを交
換して,自分が友達から書かれた「いいね!」を確認する。さらに,ワークシートに次の時間した
いことを記入し,次時への見通しを立てる。記入した後,今日分かったことやめあてが達成できた
かを確認するために全体で交流をする。
最後に,本時をふり返り,今日のグループでの活動の価値づけをして,次時への活動につなげる。
用意するもの
〈教師〉本時学習までの掲示物,いいね!カード,振り返りのプリント,座席表
〈児童〉教科書,前時に作ったおもちゃ
5
板書計画
をもっとたのしくしよう。
ゴム車
ゴム
ロケット
ボーリング
風
写真
写真
写真
写真
写真
写真
お
も
ち
ゃ
・ 数をふ
・ ゴムを
あ
そ
び
方
・ 点数を
やす。
ふやす。
・とぶよう
・ 道ぐを
かえる。
にした
い。
つける。
・ルールを
ふやす。
・ルールを
ふやす。
た のし
魚つり
友だちとあそんで 、あそびが
グループでためしにあそんで,友だちのいいところを見つけ合って,あそび
くなったね。
くふうして
つぎの 時間に、おもちゃを 作りな おそ
ためして
う!
あそんで
めあて
6
本時の展開
学習活動と内容
1.
めあてを確認する。
○指導・支援
○
※評価規準
前時までの流れを確認する。
めあて
グループでためしにあそんで,友だちのいいところを見
つけ合って,あそびをもっと たのしくしよう。
2.
学習の方法を確認する。
① グループの友だちのおもちゃであそぶ。
② 「いいね!カード」を書く。
③ もっとたのしくするための,くふうを考える。
④ ふり返りをする。
○
学習の流れが分かるようにするため
に,本時の流れを掲示する。
○ 活動内容をより理解しやすくするよ
うに,いいね!カードに書くといい言
葉を確認する。
3 . グループでおもちゃで遊び,いいね!カードを書い
て渡す。
○ 活動の流れを具体的にイメージしや
(1)作ったおもちゃを使い,同じグループで遊ぶ。
すくするために,教師がはじめにモデ
・ゴム車
2名
ルを提示する。
・魚つり
8名
○ 活動中におもちゃが壊れた場合など
・じしゃくのおもちゃ
8名
のために,前にお助けボックスを置い
・ボーリング
4名
ておく。
・風ではしる車
5名
※ 試し遊びを通して,どうしたらもっ
・空気ロケット
2名
と楽しい遊びになるかを考えることが
・弓矢
3名
できる。
【思考・表現】
(プリント・観察)
○ いいね!カードに書くといい言葉
(2)いいね!カードを書く。
を,再度確認する。
・とおくまでとぶね。
○ ペアにカードを書いた後は,同じグ
・はやく走るね。
ループ内で,何枚も書いていいことを
・池を大きくしたら,もっといい。
伝える。
・ゴムを2つにしてみたらいい。
※ 友達のおもちゃのよさに気付き,そ
のいいところや改善点を,いいね!カ
ードに書くことができている。
【気付き】
(いいね!カード)
(3)自分へのカードを確認し,作品のいいところや課
題に気付く。
4 . 今日の活動をふり返る。
(1) どうしたらもっと楽しい遊びになるかを,プリン
○
トに書く。
(2) 全体で交流をする。
・ざいりょうをふやす。
・おもちゃの数をふやす。
・点数をつけるようにする。
・おもちゃをつよくする。
5.
本時を振り返る。
グループの中で試し遊びをして,気
付いたことを書くことを伝える。
○
他の遊びを選んだ児童でもヒントに
なるように,板書は一般的な言葉で書
くようにする。
○
本時の自分達の頑張りを確認するた
めに,学習プリントにふり返りを書
く。
7
指導の実際と考察
○
手立て1の実際と考察(自分自身が自分のおもちゃのよさに気づくことができる交流の工夫)
自分自身が自分のおもちゃのよさに気づくことができるようにするために,①3回の交流の機会の設定②活
動の場の設定を行った。
交流は中間交流2回と終末交流1回の計3回行った。中間交流①では,同じおもちゃを作ったグループ内で
の交流を行った〈資料1〉。同じ仕組みのおもちゃを作っているので,おもちゃの仕組みについていいところ
やアドバイスをする姿見られた。また,次の時間にしたいことについては,「アドバイスを受けたところを工
夫したい。」という考えの他に「ルールを考えたい」という考えも出た。同じグループ内での交流で,おもち
ゃ一つ一つの遊びから,いくつものおもちゃを使っての集団での遊びに変化することができた。中間交流②で
は,他のグループを回り交流を行った。ここでは,
「はやく走れるのがいいね。
」などいいところを書く児童が
多く見られた。この活動で,自分のおもちゃに対する自信を持つことができた。
終末交流では,1年生との交流を行った〈資料2〉。1年生には,
『楽しいと持ったら看板に「いいね!シー
ル」を貼る』ように声をかけた。下級生との交流をすることでおもちゃを作ったことが価値付けられ,やって
よかったというふり返りが多く見られた〈資料3〉
。普段の学習ではあまり積極的ではない児童も,意欲的に
1年生と関わる姿も見られ,自主的に学ぶことができていた。
もっとこうした方
がいいよ!
〈資料2 1年生と交流している様子〉
〈資料1 中間交流の様子〉
〈資料3 終末交流のふり返り〉
児童がおもちゃ作りや交流に集中できるよう,
活動の場を工夫した。交流の時には,グループご
とに遊ぶ場所を決めておき〈資料4〉,広いスペ
ースでかつ安全に活動ができるようにした。この
ことで,子ども達は自分達や友達のおもちゃを使
って十分に遊ぶ機会を得ることができた。
またおもちゃが壊れたり,改善したいと思った
りしたときのために,「修理工場」の場を設定し
た〈資料5〉
。この工場が
あるおかげで,壊れたから活動ができないなど
〈資料5 修理工場の様子〉
〈資料4 遊ぶ場の設定〉
の時間のロスをなくすことができ,自分が納得いくまでおもちゃ作りに励むことができた。
○
手立て2の実際と考察(カードを活用したふり返りの工夫)
次時の活動を明確化するため,①ふり返りで「次の時間にしたいこと」の欄の設定②「いいね!カード」の
活用を行った。
学習プリントのふり返りの欄に,今日の学習で頑張ったこと以外に「次の時間にしたいこと」を設定した。
このことで,児童は次に時間の始まりをスムーズにすることができた。また,毎時間繰り返すことで,自分の
おもちゃがより楽しいものになっていることにも気づくことができた。
交流の時には,友達から「いいね!カード」をもらっている〈資料6・資料7〉。
「いいね!カード」は,そ
のおもちゃの「いいところ(いい点)」と「もっとこうしたほうがいいところ(改善点)」を書くものである。
このカードを利用することで,児童は自分のおもちゃのいいところを言われ自信になり,また改善点を指摘さ
れることで「次はこうしよう。」という思いが生まれた。改善点を指摘された児童の多くは,ふり返りの次時
でしたいことに,指摘されたことを書いていて,実際に次の時間にはその問題が改善されていることが多かっ
た。〈資料8〉このことから,
「いいね!カード」がふり返りにおいて有効であったと考える。
〈資料6 いいね!カード
改善点〉
〈資料7 いいね!カード
よい点〉
〈資料8 いいね!カードを受けてのふり返り〉
8
○
成果と課題
繰り返しの中間交流の設定
中間交流を同じグループ内と,クラスの他のグループとの2回行った。2回の中間交流を行ったことで,
子ども達は自分のおもちゃのよいところ・改善した方がいいところ,またおもちゃへの自信を持つことが
できた。
○
1年生との交流を設定
1 年生との交流を終末交流として設定したことで,子ども達は目的意識を持って意欲的に行動すること
ができた。
○
ふり返りの工夫の効果
毎時間のふり返りのプリントに,
「次時にしたいこと」の欄を設けたことで,一人ひとり個にあった指
導・支援を行うことができた。
○
「いいね!カード」の活用の効果
「いいね!カード」を活用することで,自分達のおもちゃへの自信や愛着を深めることができた。
●
試し遊びや、制作のための時間の確保
自分が作ったおもちゃで試し遊びする時間を十分に取ることができなかった。繰り返し,子どもがおも
ちゃと係わるような時間をとることで,よりスムーズに中間交流に入ることができたと考える。
第5学年 総合的な学習の時間学習指導案
1 単元名
「花っ子お米研究所」
こんな子どもに
○ 自らの関心で課題を設定し,友達と協力・分担しながら情報収集し,追究した情報をまとめて交流し,発信
する活動を通して,協同的に学ぶことのよさを実感している。
【主体的,創造的,協同的態度】
〇 自らの興味や関心に基づいて姉妹校交流での交流の方法に関する課題を設定し,実際に制作・調理してみた
り,GT に聞いたりするなどの多様な方法で探究し,お米や国際交流に関する情報を多面的に捉えることが
できる。
【学び方】
〇 お米を大切にする地域の GT の思いに触れたり,姉妹校をもてなす相手意識をもって国際交流の方法を考え
たりする活動を通して,お米や国際交流などの地域の特色を実感し,地域への愛着をもつ。
【自己の生き方・考え方】
こんな教材で
○ 本単元は米作りの学習と米に関わる
情報をもとに,収穫時の稲に関心を向
け,
「おいしいお米」を自分たちで調べ,
姉妹校のニュージーランドマレイズベ
イ校の友達にごちそうし,全校行事で
のもちつき大会での自分たちの栽培し
た米のよさを発信できる学習である。
子どもたちの身近なお米から,自らの
疑問や関心をもとに「おいしいお米」
への課題を設定していくことができる
ので,子どもたちが主体的に課題追究
することが期待できる。また,各自が
異なる対象について追究するので,そ
れぞれが追究したことを交流する必然
性も生まれる。加えて,稲刈りやもち
つきなどの体験活動も行うことができ
るので,子どもたちが実感をもちなが
ら,自ら探究していく姿につながると
考える。
○ 子どもたちがお米を探究する中で,
3.こんな子どもの姿をめざしたい
米作りを支えてくれる地域の方や,も
ちつきに参加する地域の GT との交流
が期待できる。また,他学年の子ども
たちに 5 年生が作ったお米について知
らせたいという相手意識をもつことに
もつながる。そのような相手と関わり
ながら,お米を大切にする思いを高め,
子どもたち自身が単元終了後に地域へ
の愛着をもつように育てたい。
こんな支援で
〇
ひ
ろ
げ
る
ふ
か
め
る
つ
か
む
地域・保護者への発信
単元終末の全校もちつき大会で,保護者
や地域の方々に学習のまとめを発信する
活動や,学習を通して作成した学習プリン
トや表現物を単元導入時と単元終末で比
較する活動を通して,自己の成長を自覚す
ることができるようにする。
○ くり返しの交流活動
マレイズベイ校の友達から喜んで食べ
てもらえるおにぎりについてのアイディ
アの交流や,もちつき大会での発信に向け
たお米作りやおにぎり交流などの学習過
程をまとめ・交流する活動で,協同的に課
題解決できるようにする。
〇
多面的な情報収集の価値づけ
書籍や Web 資料だけでなく,おにぎり
などの調理・試作などの体験的な情報収集
を価値づけることで,多面的かつ実感を伴
う形で課題追究することができるように
する。
○ 体験にもとづく課題設定
お米の比較や試食など,初めての経験と
なる実物の提示と体験にもとづき,昨年の
国際交流やもちつき大会の情報提示から,
学習を通して相手を喜ばせたり,行事を成
功させたりしたいという課題意識がもて
るようにする。
こんな子どもだから
1 学期単元「花っ子お米作りプロジェクト」では,自らの関心で課題を設定し,友達と協力してお米作りに
関する情報をまとめて交流し,発信する活動を実施したものの,課題解決に向けて,意識的に分担・協力し
た経験は少なく,協同的に学ぶことのよさは実感できていない。 【主体的,創造的,協同的態度】
〇 自らの興味・関心から課題を設定し,中心となる学習資料や GT に聞くなどの方法で探究した経験はあるが,
より多面的に情報収集したり,交流して考えを深めたりする経験は十分でない。
【学び方】
〇 1 学期単元を通して,稲作に関わる自らの追究を振り返る活動を行い,お米を大切に思う心情は生まれつつ
あるが,相手意識をもってその情報を生かすために協同的に追究して考え,地域への愛着へと高めるまでには
至っていない。
【自己の生き方・考え方】
○
2 学習活動計画(29時間)
過程
配時
学習活動と内容
目指す子どもの姿
2
1 1 学期から育てている稲を観察する。
①
(1)田植え等を想起し,稲の成長の様子を
観察する課題意識をもつ。
①
○1 学期の学習を想起し,稲の成
長に関心をもち,その変化に気
付くことができている。
(2)成長した稲の様子を観察しに行き,記
3
めたり,関心を高めたりし,主体
2 お米についての興味や疑問を交流し,
○自分の興味・関心に基づいて追
究する課題を決めることができ
共通課題を決める。
① (1)3種類の白米(外国産米・国産安価・
国産高価)を観察し,違いに気付く。
〇色(つや・白さ)〇匂い 〇大きさ 〇形
①
(2)NZ の姉妹校の子たちに,おにぎりを
/
的に課題を設定できるようにす
る。
ている。
【学び方】
○複数の情報源から調べて,自分
の考えを加えてまとめること
※自ら課題を決められない子ど
もには,教師が個別に面談するな
どして課題を明確にさせる。
ができている。
ごちそうした昨年の国際交流を知らせ,
①
○お米の実物を提示することで,
【主体的・創造的・協同的に取り組む態度】 自分に調べられそうな課題を決
録をする。
つ
か
む
支援の方法
【学び方】 ○アンケート・インタビュー・実
課題を設定する。
物の試作・収集などの体験活動か
課題1:マレイズベイ校(姉妹校)の友達に喜んでもらえる交流のや
り方を考えよう。
ら得られる,多面的な情報を価値
5
3.国際交流の方法について追究する。
①
(1)調べる計画をたてる。
付け,支援する。
○使用するお米(品種・産地など)
〇調理・加工(おにぎり・もち・せんべい)
ふ
か
め
る
〇提供する形(丸・三角など)
④
(2)課題について調べ活動をする。
きる。
・調理(試食)
【学び方】
(3)調べた内容をまとめ,国際交流の仕方
を決める。
について調べたことを相手に分
かりやすく, まとめることがで
・書籍・Web 資料
本時
○お米・調理・形の 3 つの観点
○自分たちで考えた,喜んでもら
〈交流1〉 える交流の表現物に理由を入れ
○相手を納得させられる表現に
なるように,中間交流の場を設定
し,お互いのアドバイスを生かす
ことができるようにする。
○追究したことに対して,自分が
調べたことや,考えを必ず入れて
まとめるようにする。
てまとめ,発表している。
/
7
(4)マレイズベイ校の友達と会食する。
④
4.校区での自分たちの稲作体験を想起し,
すいように意識させ,表現物(A4
③
新たな課題を設定する。
(稲刈り体験)
1枚)にまとめて,報告するように
4
国際交流を想起し,稲刈り体験や昨年度のも
③
ちつき大会の活動をもとに課題を設定する。 課題と比べながら,自分の考えを
①
書くことができる。
課題2:もちつき大会に向けて,お米について調べてきたことをまとめ
て伝えよう。
【自己の生き方】
ひ
ろ
げ
る
【学び方】 ○調べたことを相手に伝わりや
○友達のまとめたものを自分の
する。
5.自分たちが追究したお米についてまと
め,他学年,地域,保護者に発信する。
7
④
(1)発表に向けた準備をする。
○
(2)発表をして,振り返る。 〈交流2〉 ○自分の意識の変容,生活への生
5 単元全体をふりかえる。
かし方,自分の成長の気付きなど
できるようになったことなどの
単元前後での考えの変化や
視点を提示し,地域や国際交流に
③
を書くことができる。
関する自分の変容に気付くこと
1
【自己の生き方】
ができるようにする。
3
本時指導案
単元名 「花っ子お米研究所」本時(14/29)
10月19日 5校時
本時目標
○マレイズベイ校の友達に喜んでもらえるおにぎりの表現物を伝え合って交流内容を決める活動を
通して,姉妹校の相手をもてなす意欲を高めることができる。
【主体的・創造的・協同的態度】
4
本時指導の考え方
子どもたちは単元を通して,一見同じように見えても価格も味も異なる白米の観察や試食,昨年度まで
の国際交流の記録などを知ることから,マレイズベイ校(姉妹校)の友達に喜んでもらえるおにぎり(お米料
理)をつくろう。という共通課題を作って追究を進めてきている。また,家庭科「元気な毎日と食べ物」
の学習と関連して,ご飯の炊き方に関する知識も増やしてきた。
前時までに,子どもたちはそれぞれの生活経験や興味・関心をもとに調べ活動を行い,友達に喜んでも
らえる交流のためのお米料理を①お米(品種など)②調理法(おにぎり・せんべいなど)③形(丸・三角・ハ
ートなど)の3観点から考えてきている。その際,姉妹校の子どもにアレルギーの強い友達がいる実態か
ら,白米(うるち米・もち米)と塩・砂糖のシンプルな材料で計画する条件の下でもてなし方を考えてきた。
自分たちが考えるもてなしの料理を試作するなどの活動も行い,自分たちなりに喜んでもらえるおにぎり
(お米料理)について画用紙にまとめてきた。
そこで,本時では,子どもたちが現在までに作り上げている表現物を見合うグループでの交流活動を通
して,各自が考えているおにぎりのアイディアを共有し,相手のアイディアと自分のアイディアを比べな
がら,交流で実際につくるお米料理を決める。それぞれに異なるアイディアをもつクラスの友達に向けて,
「マレイズベイの友達に喜んでもらえる」という視点でおにぎりのアイディアをアドバイスし合う姿を期
待したい。そして,クラス全体できまったメニューを出し合い,クラスとして作成するメニューを決める。
最後に,本校の国際交流に10年以上関わっていただいている GT のビデオレターを見せて,交流の内容
を再評価し,本校のよさが伝わるように,稲作を指導していただいている校区 GT のお米を使用したり,
姉妹校の友達と互いに学び合う(シェアする)ために一緒に作ったりする方法がよいという交流の改善に
気付き,マレイズベイの交流のリハーサルに向けてもっと喜んでもらおうという意欲を高め,次々以降の
活動につなげる。
用意するもの
5
児童・・・学習プリント
板書計画
<花っ子お米研究所>
各自で考えたアイディアを出し合い,
国際交流のメニューを決めよう
〇〇さんの話
① 和風のもの・地域のよさが伝わるもの
② 一緒に分かち合う(シェア)の気持ちが大切
□□さん(GT)のお米
評価の視点
① 相手に喜んでもらえるか。
② 自分で調べたり・試作したりしたことを
生かしているか。
③ 自分のアイディアと比べてよりよいか。
おにぎり
丸
もち米
せんべい
三角
上新粉
もち だんご
ハート
一緒に
おにぎりやおもち
をつくる。
GT の写真
国際交流で喜んでもらえるように
リハーサルをしよう。
6
本時展開
学 習 活 動 と 内 容
〇指導・支援 ※評価規準
1.前時までの活動を振り返り,本時のめあてを確
かめる。
〇
前時までの活動を振り返ることのできる掲示資
めあて
料を用意して,視覚的に想起できるようにする。
各自で考えたアイディアを出し合い,
国際交流のメニューを決めよう
2.これまでにまとめたおにぎりの画用紙をもとに,
伝え合う。
伝え合う内容
〇
〇お米の種類〇調理・加工○形
グループのアイディアが交流しやすいようにグ
ルーピングを工夫する。
発表を聞いて気付いたことをもとに,グループで
一番よいメニューを決める。
※ 発表を聞いて,友達のアイディアのよいところ
を見付け,メニューを決める話し合いをするこ
3.グループごとに決まったメニューを全体で交流
とができている。
【主体的・創造的・協同的態度】
し,交流メニューをよりよくするために話し合う。
(プリント・観察)
(1)アドバイスの内容を交流する。
交流のメニュー
○お米
〇
メニューの内容を板書,整理する。
元気つくし・もち米・上新粉
○調理・加工
おにぎり・せんべい・もち・だんご
○丸・三角・ハート
など
(2)GT からのメッセージを聞いて, 話し合う。 〇
相手に伝えたいという意欲を高めることができ
①和風のもの・地域のよさが伝わる
るように,GT からの賞賛や期待のメッセージを紹
②一緒に活動する(シェア)
介する。
4.今日の学習で学んだことを書いて発表する。
※
本時の学習を振り返り,次時以降の活動を書く
ことができている。
【主体的・創造的・協同的態度】
(プリント)
予想される発言
今日は友達と話し合って国際交流のメニューを決
めることができました。○○さんのアイディアがよか
ったです。ビデオを見て GT のお米をお願いしたり,
一緒に作ったりする工夫をすればもっと喜んでもら
えると思います。リハーサルが楽しみです。
7
指導の実際と考察
○
手だて1の実際と考察 子どもの変容を多様に想定したグルーピングの工夫
前時までに子どもたちは姉妹校の子どもたちをもてなすお米料理を各自で決め,本時の交流に向けて
A4サイズの画用紙で絵にかいて
表現していた。<資料 1>その表現
物を制作する際には,①品種(材料)
②食べ方③形の3つの視点を必ず
入れるようにした。本時の交流では,
お米料理の提案の3つの視点のう
<資料1:お米料理の表現物>
ち1つ以上が共通している子ども
でグループ編成を行い,各グループ
での話し合いの結果,子どもたちの考えがどのように変容するか
教師が予め想定する予想シートを作成し,本時の学習に臨んだ。
<資料2:児童の変容の予想シート(一部)>
<資料2>
右表のグループ1では,話し合いの結果「①もち米②せんべい③丸型(喜ばれる形)」に決まった。1-D
児は元気つくしでせんべいを作ることを計画していたが,せんべいにするにはもち米がよいという1-C 児
の意見ともち米をつぶす時に米の形が残る調理の方法(はんつぶし)にこだわっていた1-B 児の意見を合
わせて,材料を元気つくしからもち米に修正した。一方で,昨年の5年生が塩おにぎりでもてなしていたこ
とを踏まえ,さらにひと手間かけてせんべいでもてなしたいという意見に一致し,提案が修正されても意欲
を高めることにつながった。<資料3>
グループ2では,話し合いの結果「①白玉粉②団子③ハート形」
に決まった。2-C 児は交流前に「もちを作り串にさして食べても
らう」ことを考えていたが,もちを串にさすのが難しいという実現
可能性の低さと,姉妹校の子ども(女子)に一層喜んでもらうための
<資料3 グループ1-D 児(修正)のコメント>
ハート形を提案した2-A 児のアイディアに賛成して考えを修正し
た。
「最高の思い出になる」という
目的を達成したいという思いから,
提案が修正されても意欲を高める
ことができた。<資料4>
<資料4 グループ2-C 児(修正)のコメント>
グループ3では,グループ編成の際,他教科の学習でも積極的に発言し,
提案理由にもこだわりある D 児がグループの他のメンバーを説得すること
を想定してグルーピングを行った。話し合いの結果「①元気つくし②せん
べい③丸形」に決まった。3‐D 児の提案したせんべいは,グループの中
<資料6 グループ交流の様子>
では少数派だったが採用された。交流場面では,グループ1と同様に,昨
年と異なる調理法で喜んでもらいたいという思いと,姉妹校の子どもに
食物アレルギーがあるために時別な調味料や具材を用いることが困難
な事情を根拠に,グループのメンバーを説得した。 話し合いの結果メ
ニューが決まり,自分の考えの根拠を確かめることで,3-D 児は意欲
を高めることができたと考える。<資料5>
<資料5 グループ3-D 児(強化)のコメント>
このように,グルーピングを意図的に行い話し合った結果<資料6>
提案が修正された子どもも,自分の提案が支持された子どもも,本時目標である国際交流の意欲をもつこと
につながったと考える。
〇手だて2の実際と考察(子どもが自己の変容を自己点検できる時間の設定)
上記本時の翌週に,姉妹校のニュージーランドのマレイズベイ校と
の国際交流を実施した。学級で話し合った結果,国際交流は焼きおに
ぎり・せんべい・団子・塩おにぎりの4種類のメニューに決定した。
そして,例年国際交流の通訳で同行される GT のアドバイスも踏まえ,
姉妹校の友達にも一緒に作ってもらうことにした。また,子どもたち
の希望で,材料のお米は地域の GT が収穫したばかりの新米の元気つ
くしを分けていただいた。
<姉妹校の友達のせんべい作りを見守る子ども>
国際交流を実施した後に子どもが自分の変容を点検する時間を設定し,文章に表現して振り返った。実際の
国際交流の前に試作やリハーサルを行う学習展開を計画したので,事前の試しの活動の際に失敗してしまった
ことをもとに見直し,本番での改善につながったことを
記述している子どもの言葉が見られた。例えば,団子を
作ったグループではニュージーランドの女の子に喜ん
でもらうために色付けをする食紅を入れすぎてしまっ
ていたのが,本番ではうまくいった。学習を通した成長
<資料6 試作やリハーサルからの成長を感じているコメント>
を感じている記述が見られた。<資料6>一方,国際交
流でニュージーランドの子どもたちとの英語のコミュ
ニケーションに対するコメントも見られた。英語を学習し,
言葉が通じない相手とでもコミュニケーションを一層図
っていかなければならない必要感から,おもてなしとは
異なる面での交流の意義を感じている子どももいた。この
子どもは,交流を通して自分が高学年という段階にあると
<資料7 高学年への成長を感じているコメント>
いう成長を自覚していると考えられる。<資料7>
単元の中間での振り返りの後,子どもたちは
稲刈りともちつきの体験などを経て,最終的に
単元全体を通して,再度の振り返りの時間を設定
した。そこでは,様々な体験活動や国際交流を通
して抱いた地域のゲストティーチャーへの感謝や
尊敬の言葉が多く見られ,地域への愛着をもつこ
<地域の方のご指導による稲刈りともちつき>
とにつながったといえる。加えて,地域の方への
感謝や学びをもとに毎日のお米を食べる際の意識
の変化を記述している子どももおり,学習を通して子どもたちが生活の変化も含めた自己の変容を感じている
ことがうかがえた。<資料8・9>
地域の GT
<資料8 お世話になった地域の GT への尊敬>
<資料9 学習を通したお米の意識の変化>
8
成果と課題
〇
グルーピングの効果
子どもの変容を個に応じて多様に想定し,それに基づいてグルーピングと交流を行ったことで,子どもが
自分の考えを修正する場合でも,自分の考えを強化する場合でも,グループのメンバーから納得できる提案
や根拠を聞くことができ,次時の活動への意欲をもつことにつながった。
〇
振り返りの時間の設定の効果
単元の中間と終末で自己の変容を自覚するための振り返りの時間を設定したことで,中間交流までの段階
で交流活動や相手意識をもとにした自己の変容の側面を特に意識することにつながった。単元終了時には
GT への感謝の思いや日々の生活の変化など,単元全体をふまえて実感できる自己の変容を意識させること
ができた。
● 課題意識の不十分さ
交流に臨む前提として,一層こだわりのある提案や根拠をもつことができるような課題意識をもつまでに
至っていなかったために,次時への意欲は持てたものの交流を通した思考の深まりが十分でなかった。
● 子どもの変容の具体化・視覚化の不十分さ
単元の中間と終末という場面における子どもの変容の自覚は促せたが,単元の流れを通じてどのように変
容していたのか,連続して捉えるまでには至らなかった。観点別の項目で子どもたちの自己評価を数値で連
続して記録するなどの手だてが必要であったと考えられる。
評価の工夫
指導と評価の一体化
評価の観点
総合的な学習の時間
生活科
◆各学校の目標や内容に従って評価の観点を適切に定める。
◆生活への関心・意欲・態度
<例>
・目標に基づいた観点
◆活動や体験についての思考・表現
・資質や能力及び態度に基づいた観点
◆身近な環境や自分についての気付き
・各教科の評価の観点と関連を明確にした観点
評価の場面
◆重点的・計画的な評価
◆結果だけではなく過程の評価
・教師間の共通理解
・活動前の実態把握,途中や終末の学習状況の把握
(観点・規準・各過程での適切な位置付け)
・児童の変容した姿の把握
評価の方法
◆多様な評価(異なる方法・異なる評価者)
異なる方法
・観察による評価
・ポートフォリオによる評価
・制作物による評価 ・パフォーマンス評価
異なる評価者
・児童の自己評価や相互評価
・他者評価(教師・GT)
外部連携のための留意点
日常的なかかわり;協力的なシステムを構築するためには,日頃から外部人材などに
適切にかかわろうとする姿勢をもつことが大切である。
担当・組織の設置;校務分掌上に地域連携部などを設置したり,外部との連携を図る
ための窓口となる担当者を置いたりする。
教育資源のリスト;学校外の教育資源を活用するために協力可能な人材や施設など
に関するリスト(人材・施設バンク)を作成し,校内で共有化する。
打ち合わせの充実;外部人材に対して,適切な対応を心がけるとともに,十分な打ち合
わせをする。
<打ち合わせの内容> ・対象学年の人数と実態 ・学習のねらいと内容 ・依頼したい内容
・学習時間 ・当日の準備 ・事前の準備(学校,子ども) ・活動場所(広さや条件)
学習成果の伝達 ; 他学年・保護者・地域の人々へ成果を発表する機会を設ける 。
引用文献: 『小学校学習指導要領解説生活科編』
『小学校学習指導要領解説総合的な学習の時間編』
『今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開』
平成27年度生活科・総合的な学習研究委員会
生活科・総合的な学習の時間の進め方
総合的な学習の時間
生活科
教科のポイント
◆具体的な活動や体験の重視
◆探究的・協同的な学習
◆気付きの質の高まり
◆自己の生き方
内容
生活科の内容の
階層性
⑧
目標の実現のためにふさわしいと各学校
が判断した学習課題を定める
⑨
◆自分自身の
自
分
の
成
長
⑦
⑥
生活や成長に
要件
関する内容
①横断的・総合的な学習としての性格をもつこと
⑤
④
動 自 季 公
の生・
栽 っ 生 施
交活培植た然活節設共
流や 物遊や のの物
出 のび物 変利や
来 飼 を 化用公
事 育 使 と 共
③
②
①
地
域
と
生
活
家
庭
と
生
活
学
校
と
生
活
◆自らの生活を豊
かにしていくため
に低学年の時に
体験させておきた
い活動に関する
内容
◆児童の生活
圏としての環境
に関する内容
②探究的に学習することがふさわしいこと
③学習や気付きが自己の生き方を考えることに
結びついていくこと
国際理解
健
情
環
キャリア
康
防
報
災
生
境
町づくり
命
福
伝統文化
地域経済
単元計画の作成
地域の実態
・地域のよさ
・地域の自然,社会,環境
・地域の人,もの,こと
・出会わせたい人
学校の実態
・カリキュラムの特色
・6年間の系統性
子どもの実態
・既習経験
・育てたい資質,能力
・発達段階・興味関心
単元作り
諸機関との連携
・公的機関
・企業
・他校種
・専門性をもったGT
単元構成
・子どもの興味・関心を
ふまえた活動
・活動時間
・活動の組み立て
祉
活動のバランスは?
・年間
・1単元
・表現活動・繰り返しの
活動・試しの活動
生活科の学習過程
教師の支援のポイント
気付きの質が高い子ども
◆振り返り活動の工夫
これからも
やってみよう。
わかったよ。
できたよ。
表現・交流
体験
体験
活
動
へ
の
想
い
や
願
い
もっと,
やってみよう。
みつけたよ。
もっと
~したいな。
表現・交流
・ポートフォリオの活用
・多様な伝え方の活用(発表会,~ランド)
・事前実態調査との比較
・GTとの交流
◆交流活動の工夫
・交流の位置付け(中間交流会・発表会)
・交流対象(同じ活動同士, 違う活動同
士, GTと)の工夫
・交流形態(2人組・グループ・全体)の
工夫
・交流カード(いいねカード, アドバイス
カード等)の工夫
◆発問・問い返しの工夫
・発見(何を?いつ?どこで?)
・分類(似ている点・違う点は?)
・比較(前とは?友達とは?)
・関連づけ(どうすれば?なぜ?)
◆発見カードの工夫
やってみよう。
・気付きの見える化
(観察の目,数値化,ズームで)
・次の学習の見える化
・自己の成長(変化)の見える化
◆多様な表現活動の工夫
おもしろそうだな。
やってみたいな。
表現・交流
体験
実
地域
態
児童
学校
・活動の言語化(話す・書く)
・身体表現 ・劇
・絵
・歌
◆出会いの工夫
・生活の中から
・学校行事や他教科の発展
・共通体験を生かす
・GTとの出会い
総合的な学習の時間の学習過程
自己の生き方を考える子ども
◆まとめ・表現の工夫
まとめ・表現
整理・分析
情報の
収集
探
課
題
意
識
究
的
新たな
課題の設定
な
まとめ・表現
学
整理・分析
習
情報の
収集
課題の設定
実
地域
態
児童
学校
教師の支援のポイント
言
語
活
動
・振り返りカード
・自己評価カード
・新聞 ・パンフレット
・ポスター
・プレゼンテーション
・報告会(保護者・地域住民)
・パネルディスカッション
・シンポジウム
◆整理・分析の工夫
協
同
的
に
取
り
組
む
学
習
活
動
体
験
活
動
・カード ・グラフ
・マップ ・図表
・座標軸
・ランキング
・「メリット・デメリット」の視点
・「ビフォー・アフター」の視点
◆情報収集の工夫
・アンケート調査
・フリップボード
・インタビュー
・手紙・電話・電子メール
・実験・観察
・図書室や図書館
・ファイルに情報を集積
・コンピュータフォルダに蓄積
◆課題設定の工夫
・体験活動を対比して
・資料を比較して
・グラフの推移を予測して
・対象へのあこがれから
・KJ法的な手法で
・問題を序列化して
・ウェビングで