FX Weekly(6月10日号)‐「雇用統計 38Kショックと

FX Weekly
平成 28(2016)年 6 月 10 日
GLOBAL MARKETS RESEARCH
チーフアナリスト
内田 稔
三菱東京 UFJ 銀行
A member of MUFG, a global financial group
Table of contents
1
今週のトピックス
2
来週の相場見通し
3
来週の経済指標・イベント
4
マーケットカレンダー
1. 今週のトピックス
雇用統計 38K ショックと米国金融政策
シニアマーケットエコノミスト
鈴木 敏之
2. 来週の相場見通し
(1) ドル円:円高の原動力
予想レンジ
105.00 ~ 109.00
(2) ユーロ:米利上げ期待剥落と英国民投票等から揉み合い
予想レンジ
対ドル:
1.1150 ~ 1.1450
対円:
118.50 ~ 123.50
(3) 豪ドル:豪米金融政策格差が豪ドルの上値を阻もう
予想レンジ
対ドル:
0.7150 ~ 0.7550
対円:
77.00 ~ 81.00
(4) 人民元:重要イベントに上下しつつも上値は重い
予想レンジ
対ドル: 6.5500 ~ 6.6100
対円:
1
FX Weekly | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
16.20 ~ 16.60
雇用統計 38K ショックと米国金融政策
米国の 5 月分の雇用統
計が弱く、6 月利上げ
再開の可能性消滅
6 月 3 日に発表された米国の 5 月分の雇用統計で、非農業部門雇
用者増加数(NFP)が 3.8 万人という弱い数字であったため、また、
6 月 6 日に発表された労働市場情勢指数(LMCI)が大きめの落ち
込みであった。このため、4 月のFOMC議事要旨に記されていた
「雇用情勢が引き続き強まる(labor market conditions continuing to
strengthen)こと」という利上げ再開の条件は満たされなかったこ
とになり、市場のみる 6 月 14-15 日のFOMCで利上げがあるという
確率は 0%になってしまった。全ての金融市場に影響を持つといっ
ても過言ではない米国の金融政策の今後について、次が見込まれる。
(今後の米国の金融政策の行方)
注目されるのは、次の
7 月 8 日の雇用統計
① 6 月 14-15 日のFOMCでの利上げは、見送られるであろう。
② 米国経済は危機状態を脱しており、完全雇用達成もいえるほ
どに失業率は低下している。金融政策の正常化、継続的に利
上げを進めるというFedの方針は持ち続けられるであろう。
③ しかし、現実に利上げに進めるかとなると障害がある。
④ 当座については、7 月 8 日に発表される次の雇用統計(6 月分)
が非常に重い意味を持つ。この数字で、雇用状態が順調拡大
に戻れば、7 月 26-27 日のFOMCで利上げ再開が言われるであ
ろうし、雇用面の弱さが引き続き目立つものであれば、大き
なシナリオの書き換えが求められることになりかねない。
(6 月 14-15 日の FOMC)
利上げはないが、
FOMC 内 は 利 上 げ の
意向の強く、6 月 15
日の FOMC も無風と
侮れない
2
ここでは利上げの可能性は、まずなくなった。現時点で市場は、
このFOMCでの利上げの確率をゼロとみている。既にブラックアウ
ト期間に入っているので、この市場の見方を修正させる誘導(コ
ミュニケーション)の時間はもうない。Fedは、見込まれていない
ことをやって、市場に余計なストレスを与えることを避ける。イエ
レンFRB議長は 6 月 6 日に講演を行っており、利上げ再開に進むつ
もりであればその告知を行うことができたが、それを行わなかった。
6 月 23 日に、英国でEUからの離脱を問う国民投票の結果如何で市
場の動揺が懸念される。その直前の 6 月 14-15 日の利上げを避ける
ことは、もともと可能性が言われていた話でもある。
この通り、6 月 15 日利上げ再開の可能性は極めて小さいが、
FOMCメンバーの中には今の過剰緩和に警戒があるので、声明の表
現の変化、経済見通し、FF金利の見通し、当日の討議をふまえての
イエレンFRB議長の記者会見での発言の 6 月 6 日講演からの変化な
どが、市場の期待形成を変える可能性は見込んでおかなければなら
ない。政策決定の採決への反対者も出るとみられる。利上げ再開は
なさそうでも、無風のイベントとみてはならない。
今週のトピックス | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
(Fed は、金融政策正常化の方針保持)
6 月 15 日は利上げ再
開せずとも、継続利上
げの方針は保持しそう
今後について、金融政策の正常化を進めること、すなわち、継続
的に利上げをして行くという方針は、この雇用面で軟化の動きがあ
るとしても、この 6 月 14-15 日のFOMC時点では保持されそうであ
る。FOMCの経済見通しは、経済成長率、失業率、個人消費支出価
格指数(PCE)でみるインフレ率と、FF金利で構成される。これら
の予測数字に関する限り、特に失業率についてみると、米国経済は
順調といえる。アトランタ連銀の公表するGDP Nowで 2.5%を見込
んでいる通り、第 1 四半期のGDP成長率は弱かったが、第 2 四半期
は持ち直している。インフレ率もPCEコア指数は、直近で 1.6%の
上昇になっている。
第 1 表: 3 月 16 日に発表された FOMC メンバーの経済見通し(SEP)
2016
実質 GDP 成長率
2017
2018
長期
2.2
2.1
2.0
2.0
2.4
2.2
2.0
2.0
失業率
4.7
4.6
4.7
4.8
4.7
4.7
4.7
4.9
PCE インフレ率
1.2
1.9
2.0
2.0
1.6
1.9
2.0
2.0
1.6
1.8
2.0
1.6
1.9
2.0
0.9
1.9
3.0
3.3
1.4
2.4
3.3
3.5
PCE コアインフレ率
FF 金利
(注)下段は、前回(2015 年 12 月)の数字 『失業率』以外は第 4 四半期の前年同月比、『失業率』は第 4 四半期平均。数字
は 17 人のメンバーの見通しの中位値
(資料)FRB のデータより、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチで作成
Fedが主張してきた経済の回復、拡大で、供給能力の余剰(ス
ラック)が小さくなり、それに応じて、賃金の上昇など物価の上昇
の動きが出ている。経済見通しの通りに経済が動いているので、方
針を変えることはできない。また、雇用統計の弱さも、一時的な振
れ ( Fluke ) か も 知 れ な い 。 そ の 場 合 、 利 上 げ の 対 応 が 遅 れ る
"Behind The Curve"に陥るリスクもみておかなければならない。
こうした事情から、FOMC後も従来の金融政策の正常化、金融政
策としては利上げの再開、その後の継続的利上げを進める方針は、
保持されるであろう。なお、6 月 21 日に、イエレンFRB議長は上院
での議会証言を予定しているが、この方針保持の説明が基本線にな
るであろう。
(現実に利上げ再開、そして継続的利上げに進めるか)
利上げの再開に進むこ
とを阻む経済の動き
3
上述の通り、Fedは金融政策の正常化、利上げ再開の看板を掲げ
続けるとみられる。しかし、これまでの正常化の進め方は、極めて
遅々としたものである。2013 年 5 月に当時のバーナンキFRB議長が、
量的緩和拡大の縮小に言及してから、拡大を完全にやめる
(Tapering)まで、2 年弱かかっている。その次は、利上げを言い
今週のトピックス | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
続けたが、利上げ開始に進むまで 1 年の時間をつかった。そして、
当初、2016 年は 4 回の利上げを言っていたはずだが、半年経って
も利上げは再開できていない。
景気循環が尽きることはない。この長い時間をおいた間に、米国
に景気循環は、拡大の成熟に到達している。さらに注目すべきこと
は、金融政策の影響である。米国経済の労働生産性の成長率が低い
ままである。これに伴って自然利子率が低下している。量的な金融
緩和の拡大を縮小すること(Tapering)と、先行き利上げをすると
いう告知を続けるフォワードガイダンスによる誘導は、シャドーFF
金利でみると、利上げの効果を持った。このシャドーFF金利を実質
化した実質シャドーFF金利と自然利子率の差が、金融緩和/引き締
めを示すとすると、その結果として、米国の経済の減速が起きてい
るとみることができる。Fedは既に、比較的大きな引き締めをして
しまったかもしれないのである。
第 2 図:量的緩和拡大の停止と利上げの期待誘導による「引き締め」に米経済は反応してきた
16.0
(%)
-5.0
金融緩和 ↑
12.0
-4.0
-3.0
8.0
-2.0
4.0
-1.0
0.0
0.0
-4.0
1.0
2.0
-8.0
3.0
-12.0
金融引き締め ↓
-16.0
4.0
5.0
(年/月)
合成ISM 〈前年同期からの変化幅 左目盛〉
シャドーFF金利から計算した実質FF金利-自然利子率の前年同期からの変化(1年先行) 〈右目盛〉
(資料)FRB、アトランタ連銀、ISM のデータより、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチで作成、
景気拡大の成熟で減速が見えている中で、利上げをすることは、
Fedが自分の足を撃っていることになりかねない。利上げを継続的
に進めるのは、容易なことではない。
(7 月 8 日に発表される雇用統計の重み)
7 月 8 日の雇用統計
で、3.8 万ショックが
解消されないと、大き
なシナリオ変更になり
える
4
次回の雇用統計の発表は 7 月 8 日になる。この 6 月分の数字が、
5 月分の 3.8 万人(大手電話会社のストの影響を 3.5 万人とみて加え
ると 7.3 万人)という弱い数字が、一時的な振れ(Fluke)であるか
どうかが、この 7 月 8 日の雇用統計で判定可能になる。第 1 四半期
に、実質経済成長率は前期比年率 0.8%まで落ち込んだが、第 2 四
半期は戻している。雇用者の増加数も同様に回復を見せれば、Fed
のいう金融政策正常化、利上げの継続の方針が是認される。
それが実現せず、7 月 8 日も弱い雇用統計の数字が続いてしまっ
た場合は、Fedはシナリオの書き直しを検討しなくてはならないだ
ろう。
今週のトピックス | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
3.8 万人は、一時的な振れとは言い切れない。NFPの数字が振れ
る(ボラタイル)ので移動平均でみるが、それでも、減速傾向が見
える。また、労働需給を反映しやすい一時的雇用の数字が、耐久財
受注の数字と連動していることに着目すると、企業収益で圧迫を受
けている米国企業が行動を慎重化させている可能性が見える。5 月
分のあまりに少ないNFPの増加、LMCIの低下は目立つが、軟化は
その前にも起きているので、一時的な振れ(Fluke)とみきること
は、軽率といえよう。
第 3 図:耐久財受注と一時的雇用は伸び鈍化~米国の景気拡大は成熟
(千人)
(百万ドル)
600
15,000
10,000
400
5,000
200
0
0
‐5,000
‐200
‐10,000
‐400
‐15,000
一時的雇用者数 前年同月水準差<千人、左目盛り>
耐久財受注 前年同月水準差<百万ドル、右目盛り>
16/01
15/01
14/01
13/01
12/01
11/01
10/01
09/01
08/01
07/01
06/01
05/01
04/01
03/01
02/01
01/01
00/01
99/01
98/01
‐25,000
97/01
‐800
96/01
‐20,000
95/01
‐600
(年/月)
(注) 『耐久財受注』は、航空機除きの非国防資本財
(資料)米労働省、商務省のデータより、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチで作成
結び
7 月 8 日に雇用の数字が戻れば、それは、Fedのこれまでの方針
通り動けることになる。それは、時間的に後ずれしたとしても、従
前のシナリオの範囲内におさめられる。しかし、弱い雇用の数字が
戻らない場合(Flukeでない場合)は、シナリオの書き換えが求め
られることになりかねない。それは、あらゆる金融市場、政策運営、
企業の経営に影響が出る事態であるといって過言でない。7 月 8 日
に発表される次の米雇用統計は非常に重い意味があり、事前にシ
ミュレーションをしておくことが必要であろう。
シニアマーケットエコノミスト
5
今週のトピックス | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
鈴木 敏之
(1) ドル円:円高の原動力
今週のレビュー
雇用統計の余韻残り、
一時 106 円台前半を
記録
今週のドル円相場は、予想を大きく下回った前週末の米雇用統計
(5 月分)の余韻が残る中、週明け早々の日本時間未明に 106 円 30
銭付近まで下落した。しかし、イエレンFRB議長の講演を控える中、
一段の下攻めも勢いを欠くと徐々に持ち直し、同日中にドル円は、
107 円台を回復した。その講演でイエレンFRB議長は、米経済の拡
大や緩やかな利上げが妥当との従来の見方を概ね維持したが、向こ
う数ヶ月のうちに利上げが適切とした前回の講演(5/27)と比べる
と、利上げに対する積極さは感じられなかった。この為、6 月の利
上げの織り込み度合いが消滅し、これがドルへの重石となった。当
初は、利上げが後ずれする可能性が好感され、米国の株式相場が堅
調に推移。また、ドルと逆相関性が高い原油先物相場も堅調に推移
するなど、市場の緊張がやや緩和した。これを受け、ドル円も 7 日
には戻り高値 107.91 を記録している。ただ、肝心の日米金利差が
縮小するとあってドル円の浮力も弱い。その後、再びじり安に転じ
ると 107 円台を割り込み続落し、9 日に週間安値 106.26 を記録した。
米国の新規失業保険申請件数が市場予想比良好だったことなどから、
週末には 107 円台を回復したが、総じて動意に乏しい。翌週に、米
連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行(日銀)の金融政策決定
会合を控えており、上下ともに決め手を欠いたと言えそうだ。
第 1 図: ドル円相場
(円)
108.0
↑円安
107.5
107.0
106.5
106.0
↓円高
6/6
6/7
6/8
6/9
6/10
(月/日)
(資料) Bloomberg より、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
来週の見通し
FOMC 、 日 銀 と も に
ノーアクション
6
雇用統計後の翌月曜日に米FRBが公表する 5 月の労働市場情勢指
数(LMCI)は、▲4.8 となった(第 2 図)。年初来 5 ヶ月ものマイ
ナスは、金融危機後の景気回復局面では最長であり、マイナス幅も
2009 年 5 月以来の低水準ぶりだ。これらは、前週の雇用統計が必
ずしも一過性の落ち込みではないことを示唆している。その見極め
には、少なくとも 7 月 8 日の 6 月分の雇用統計まで待つ必要がある
だろう。この為、来週のFOMCでは、利上げは見送られよう。イエ
レンFRB議長の記者会見では、今週初の講演同様、米国経済が緩や
かな回復を続けており、正常化継続が妥当とのスタンスが示される
にとどまり、新味を欠こう。この為、参加者の各年末の政策金利予
想を示した分布図、いわゆるドットチャートが注目される(第 3
図)。6 月の利上げが見送りとなれば、年内の利上げ回数が前回示
された 2 回から 1 回へと引き下げられる可能性が高い。また、政策
来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
金利の最終到達予想値(Longer Goal)も下方修正される可能性があ
る。これらは、いずれも米国債の利回り低下を通じて、ドル円の重
石となろう。翌週のイギリスのEU離脱是非を問う国民投票も間近
に迫る中、来週のドル円は軟調に推移すると予想する。
尚、FX Monthly 6 月号(5/31 発行)の 6 月予想レンジを「105.50
~113.50」としているが、来週のドル円はドル安円高方向へ逸脱す
る可能性もあると予想する。
第 2 図 : 米国の労働市場情勢指数(LMCI)
第 3 図 : FOMC 参加者の年末政策金利予想(中位値)
1
30
景気後退期
LMCI
(%)
4.0
0.9
20
3.5
0.8
10
0.7
0
3.0
0.6
2.5
0.5
2.0
15年6月FOMC
-10
0.4
-20
15年9月FOMC
1.5
1.375%
0.3
-30
1.0
0.875%へ下方修正
(年内2回利上げを示唆)
0.2
-40
0.1
-50
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(資料)米 FRB より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
イエレン FRB 議長が
強気を維持する可能性
も
0
16 (年)
15年12月FOMC
0.5
16年3月FOMC
0.0
15年末
16年末
17年末
18年末
Longer Run
(資料)米 FRB より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
一方、引き続き利上げのタイミングを模索するFOMC参加者らに
とって、7 月の利上げの織り込み度合いすら 3 割を下回っている状
況は面白くないだろう。何故なら、当局としては、見方が半々に割
れている状態が、利上げ、利上げ見送りのいずれの場合も、市場に
与える動揺を最小限に抑えることができるためだ。こうしてみると、
イエレンFRB議長が記者会見にて、今週初の講演よりも利上げへの
積極さを滲ませる可能性がある。また、6 月の利上げを見送るにも
かかわらず、残り半年で依然として 2 回の利上げを支持する参加者
が多い結果となる可能性もある。これらが重なると、思わぬドル高
を誘発する可能性があり、一定の留意が必要だ。とは言え、必ずし
も準備万端とは言えない中での利上げ観測の台頭は、ドル高を促す
一方、米国の株式相場の軟化をもたらしかねない。それが日本の株
式市場にも波及し、株安・円高となるパターンに注意が必要だ。
本邦では日銀も金融政策決定会合を開催する。当面、マイナス金
利政策の効果の見極めに時間を費やすとみられ、追加緩和などは見
送られよう。特に、日銀にとって追加緩和策のメニューは有限と考
えられる。この為、緩和効果(円安への波及効果)の最大化を念頭
に、緩和策を講じるタイミングに関しては、米国の利上げ時期に合
わせるインセンティブが働きやすいのではないか。例えば、2014
年 10 月末の日銀によるサプライズ緩和も、米国のテーパリング終
了時期と重なったこともあり、市場に日米間の金融政策の方向性の
違いをことさら意識させた。また、昨年 12 月、(日銀は緩和では
7
来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
ないとしているが)保有国債の平均残存期間を延長する「補完措置
の導入」決定も、米国の利上げ時期と重なっている。
このほか、物価安定目標の達成を目指す日銀にとって、円高進行
にも強い警戒感を持っていよう。1 月のマイナス金利政策の導入決
定などは、市場の混乱と円高によるデフレマインドの台頭を抑制す
る狙いがあったと考えられる。実際、本日発表された企業物価指数
は、前年比の伸びが▲4.2%と前月同様に 2009 年以来のマイナス圏
で推移している(第 4 図)。一昨年半ば以降、企業物価指数の下押
しをもたらした国際的な商品市況の下落に一服感が出ている中、足
元では円高進行が企業物価への下押し圧力となり始めている。日銀
にとってさらなる円高進行は、追加緩和を講じるインセンティブと
なり得る点には常に留意が必要だ。
第 4 図: 日本の企業物価指数と商品先物指数(全て前年比)
(%)
20
(%)
6
CRB指数
10
4
CRB(円換算)
0
2
企業物価(右目盛)
‐10
0
‐20
-2
‐30
-4
‐40
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
-6
(年/月)
(資料) Bloomberg より、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
(※)商品先物指数は、トムソン・ロイター・ジェフリーズ/コアコモディティ CRB 指数。
円高の原動力
8
今週は円高の一因ともされるリスクオフの度合いを象徴するVIX
指数(恐怖指数)が低下している。リスクオフの起点ともされる原
油先物相場も底堅く推移しており、リスクオフ度合いが和らいでい
る(第 5 図)。仮に、円高の原動力がリスクオフだとすれば、ドル
円はもっと反発してもいいだろう。また、経常黒字の拡大は、確か
に当方も円高の一因に挙げてはいるが、主因ではなかろう。対名目
GDP比でみた黒字幅が日本(約 3.3%)をはるかに凌ぐ同じ先進国
通貨であるスイス(11.4%)のフランよりも昨年末からの円の上昇
ぶりが強いことをみれば、察しがつく(第 6 図)。
この為、ドル安円高の背景を探る上では、ドル円との相関が高い
米日予想実質金利差の各項目の中にヒントを得ることができよう
(第 7 表)。そこで、米国の予想実質金利(c)をみると、ドル円
が 125 円台で推移していた 1 年前よりも寧ろ上昇している(a:名
目金利上昇、b:予想物価上昇率低下)。つまり、米ドルの予想実
質金利は、昨年以上のドル高を示唆している。また、日銀のマイナ
ス金利政策の影響から日本の名目金利(d)も低下しており、本来
ならこれも円安の一因だ。これらの項目の中で唯一、円高方向をも
たらしているのが、円の予想実質金利(f)の上昇であり、日本の
来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
予想物価上昇率(e)の低下である。かねて指摘の通り、一度、予
想物価上昇率(インフレへの期待感)が萎むと、金融緩和や財政出
動といった既存の政策だけで、転換を図るのは難しいだろう。大局
的にみると日本にとって、ドル安円高への警戒が必要な時間帯がま
だまだ続きそうだ。
第 5 図 : VIX 指数(恐怖指数)と WTI 原油先物相場
(%)
30
第 6 図 : 円とスイスフランの名目実効相場(15 年初=100)
(㌦/バレル)
120
VIX指数
WTI(右目盛)
28
(通貨高)
スイスフラン
115
100
24
90
22
80
20
70
18
60
16
50
14
40
12
30
10
14/1
20
15/1
日本円
110
26
14/7
120
15/7
16/1
(年/月)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
110
105
100
(通貨安)
95
14/12
15/3
15/6
15/9
15/12
16/6 (年/付)
16/3
(資料)BIS より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
第 7 表: 米日実質金利差の各項目
米ドル
日本円
実質金利差
(a)名目金利
(b)予想物価
上昇率
(c)予想実質
金利(=a-b)
(d)名目金利
(e)予想物価
上昇率
(f)予想実質
金利(d-e)
(g)=(c)-(f)
2015 年 6 月 5 日
0.71
2.30
-1.59
0.00
1.39
-1.39
-0.20
2016 年 6 月 9 日
0.77
2.00
-1.23
-0.24
0.21
-0.45
-0.78
(資料) Bloomberg より、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
(日米とも名目金利は 2 年国債の利回り、予想物価上昇率は 5 年先 5 年のインフレスワップ金利)
予想レンジ
ドル円:105.00 ~ 109.00
チーフアナリスト
9
来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
内田 稔
(2) ユーロ:米利上げ期待剥落と英国民投票等から揉み合い
今週のレビュー
今週のユーロドル相場は、米国早期利上げ期待からやや上昇した
後、英国のEU離脱の是非を問う国民投票(以下、英国の国民投票)
への思惑などから下落した(第 1 図)。
第 1 図: 今週の為替相場推移
(ドル)
1.145
↑ユーロ高
1.140
1.135
1.130
↓ユーロ安
1.125
6/6
6/7
6/8
6/9
6/10
(月/日)
(資料) Bloomberg より、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
先週末の米 5 月雇用統計で、非農業部門雇用者数が 3.8 万人と市
場予想の 16.0 万人を大きく下回ったことなどから、米国早期利上
げ期待が大きく後退し、ドル売り地合いとなった。ユーロドルは、
週初に 1.13 ドル台半ばで寄り付いた後も、上値を試す展開となっ
た。
6 日のイエレンFRB議長講演では、「緩やかな利上げを依然想定
している」と言及した一方、以前の講演での「今後数ヶ月のうちに
利上げが適切になる」等の発言はなく、利上げ時期に関するヒント
はなかった。加えて、単月の経済指標を過度に重視すべきではない
としながらも、「5 月の雇用統計は失望を誘う内容であった」との
認識を示した。ユーロドルは 1.1393 まで上昇した。その後も、8 日
には、米国債利回りの低下や対資源国通貨でドル売りが強まったこ
となどから、ユーロドルは 1.1411 まで上昇した。
しかし、9 日には、①ドラギECB総裁が「ユーロ圏各国の構造改
革の遅れのコストは高くつく」と発言し、ユーロ圏経済への懸念を
示したことや、②英国のEU離脱の是非を問う国民投票(6/23)への
思惑などから、ユーロが売られた。ユーロドルは 10 日東京時間に
1.13 ドル割れを示現している。
ユーロ円は 10 日に英国の国民投票への思惑などから年初来安値
を更新する 120.32 まで下落した。
来週の見通し
来週は、ユーロ圏 4 月鉱工業生産(6/14)、ユーロ圏 4 月貿易収
支(6/15)、ユーロ圏 5 月新車登録台数(6/16)等の経済指標が発
表される。ユーロ圏景気指標は原油安や物価下落による実質購買力
の拡大を受けた個人消費の増加、ユーロ安を受けた輸出の持ち直し
などから、ユーロ圏景気の緩やかな回復を示す良好な結果となろう。
しかし、ユーロ圏景気はデフレギャップ(実際のGDPが潜在GDP
を下回る幅)が引き続き大きい上に、消費者物価指数(HICP)は
前年比マイナスで推移することが見込まれる。ECBは金融緩和スタ
ンスを続けていこう。ドラギECB総裁は「ユーロ圏が健全な経済成
10 来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
長を取り戻すためには構造改革の加速が不可欠」との主旨の発言を
繰り返したほか、ビルロワドガロー仏中銀総裁は「現在のようにイ
ンフレ率が極めて低い場合、我々は行動を起こす必要がある。行動
を起こさなければ、欧州とドイツのデフレリスクは高まるだろう」
と発言した。
直近では、英国の国民投票(6/23)におけるBrexit(英国のEU離
脱)のリスクが意識されている。クーレECB理事は「(Brexitとな
れば)流動性供給を通じて市場を安定化させるため、あらゆる可能
性に備えている」と発言している。英国によるEU離脱は、これま
での物、資本等の自由な移動に制限を加えると考えられることから、
ユーロ圏景気を下振れさせるリスクが大きく、ユーロ売りで反応し
易い。
第 2 表:英国の EU 離脱を問う国民投票に関する最近の世論調査
日付
調査会社
サンプル数
残留(%)
離脱(%)
未定(%)
6/6
YouGov
2,001
43
42
11
6/5
ICM
2,047
43
48
9
6/5
ORB
800
52
40
8
6/3
YouGov
3,500
41
45
11
6/3
Opinium
2,007
43
41
16
5/31
YouGov
1,735
41
41
17
5/30
ICM
2,052
44
47
9
5/29
ICM
1,004
42
45
13
5/29
ORB
800
51
42
7
(資料)各種報道より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
他方、米国では、6 月FOMC(6/15)、米 5 月小売売上(6/14)、
米 5 月住宅着工(6/17)等が注目される。5 月雇用統計を受けて米
国の早期利上げ期待が大きく後退している。当面の間、ドル売り地
合いとなろう。
来週のユーロドルは、米国の早期利上げ期待後退とECBによる金
融緩和スタンス、英国の国民投票に対する思惑などから揉み合おう。
ユーロ円は英国の国民投票に対する思惑などからやや上値が重い。
予想レンジ
ユーロドル:1.1150 ~ 1.1450
ユーロ円:118.50 ~ 123.50
シニアアナリスト
11 来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
天達 泰章
(3) 豪ドル:豪米金融政策格差が豪ドルの上値を阻もう
今週のレビュー
今週の豪ドル相場は、週初、0.73 台半ばで寄り付いた。早々に、
安値となる 0.7316 を示現するも、オーストラリア準備銀行(以下、
RBA)定例理事会を受けて、追加利下げ観測が後退すると、豪ドル
の買い戻しが活発化(詳細後述)。鉄鉱石価格の反発や、対主要通
貨でのドル売りも重なる中、6/9 には、約 1 ヶ月ぶり高値 0.7505 を
記録した。もっとも、同水準では上値も重く、週末にかけて再び反
落。豪州債利回りの低下も重石となる中、0.74 台前半へと下落して
いる(第 1 図)。対円相場は、週初 78 円台半ばで寄り付いた。
早々に、2/11 以来となる安値 77.98 まで下落するも、追加利下げ観
測の後退を背景に急反発。6/9 には、高値となる 80.31 まで上昇し
た。もっとも、週末にかけては再び反落。リスク回避の円買いも重
なる中、79 円台前半にて越週しそうだ。
第 1 図: 今週の為替相場推移
(ドル)
0.755
↑豪ドル高
0.750
0.745
0.740
0.735
↓豪ドル安
0.730
6/6
6/7
6/8
6/9
6/10
(月/日)
(資料) Bloomberg より、三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
来週の見通し
RBAは 6/7、政策金利を過去最低となる 1.75%に据え置くと共に、
声明文でも「緩和バイアス」を示さなかった。政策金利の据え置き
自体は大方の予想通りであったものの、「緩和バイアス」が示され
なかった事は、かなりのサプライズとなった。事実、当方でも、3
月や 4 月の声明文同様、『Continued low inflation would provide scope
for easier policy(低インフレ環境の継続は、更なる金融緩和をもた
らすだろう)』等の、追加緩和を示唆する文言の復活を予想してい
た。しかし、実際にはこうした記述は盛り込まれず、極めて中立的
な内容に留まった。この為、市場では追加利下げ観測が大きく後退。
8 月の追加利下げの織り込み度合いは、7 割前後から 5 割前後へ低
下している(第 2 図)。
とは言え、豪州経済には不透明感も根強く、とりわけ、①物価上
昇圧力の弱さが警戒される。実際、6/6 にメルボルン研究所が公表
したMIインフレ指数は、前年比+1.0%、前月比-0.2%と、インフ
レ圧力の弱さが明らかとなった(第 3 図)。加えて、②賃金伸び率
の低迷、③設備投資の弱さ、④個人消費の伸び率鈍化、⑤鉄鉱石価
格の下落など、豪州経済への逆風は少なくない。こうした状況を考
慮し、当方では引き続き、8 月の追加利下げ(1.75%⇒1.50%)の可
能性を想定する。年内の追加利下げを織り込む豪州と、利上げ時期
を模索する米国との金融政策格差は明白であり、豪ドル安基調は続
12 来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
くと予想する。とは言え、前週末の冴えない米雇用統計を受けて、
6~7 月の米利上げ観測も低下している。その為、一方向の豪ドル
安も想定し辛く、下落速度は緩やかなものに留まるだろう。来週は
6/16 の豪雇用統計に注目が集まる。底堅い雇用情勢が示されるとの
見方が大勢ながら、直近 2 ヶ月は正規雇用者数の前月比マイナスが
続く等、雇用がピークアウトしたとの見方も一部で根強い。市場予
想を下回った際のネガティブインパクト(豪ドルの下値リスク)に
留意が必要だ。
第 2 図 : 8 月の追加利下げの織り込み度合いの推移
第 3 図 : MI インフレ指数の推移
(%)
(%)
100
6.0
MIインフレ指数(前月比)
5.0
90
MIインフレ指数(前年比)
4.0
80
3.0
70
2.0
60
1.0
50
0.0
-1.0
40
05/06
05/13
05/20
05/27
06/03
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
予想レンジ
04
(月/日)
05
06
07
08
09
10
11
12
13
対ドル:0.7150 ~ 0.7550
15
16
(年)
対円:77.00 ~ 81.00
アナリスト
13 来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
14
(資料)メルボルン研究所より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
藤瀬 秀平
(4) 人民元:重要イベントに上下しつつも上値は重い
今週のレビュー
冴えない米雇用統計を背景に、対主要通貨でドル売りが強まる中、
オンショア人民元(CNY)は、前週までの安値圏から急反発。週間
高値となる 6.5520 で寄り付いた。しかし、同水準では上値も重く、
旺盛なドル買い需要を背景に、じりじり下落。翌 6/7 には、安値と
なる 6.5734 を記録した。もっとも、その後は、端午節(中国の祝
日)を前に、手控えムードが強まる中、6.56 近辺まで小反発。同水
準にて越週している(※6/9~6/10 が休場となる為、オンショア人
民元は 6/8 にクローズ)。オフショア人民元(CNH)も同様に、週
初に高値 6.5465 を示現するも、その後は、ドル買い需要に圧され
てじりじり下落。端午節で本土市場が休場となる中、週末には、安
値となる 6.5895 を記録した。引けにかけて小反発するも、上値は
重く、そのまま、安値圏にて越週しそうだ(第 1 図)。
第 1 図 :人民元相場と対ドル基第 1 図 :人民元相場と対ドル基準値の推移の推移
(人民元)
6.70
対ドル基準値
オンショア人民元相場
オフショア人民元相場
6.65
6.60
6.55
6.50
6.45
6.40
16/01
16/02
16/03
16/04
16/05
16/06
(年/月)
(資料) 中国人民銀行、Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
来週の見通し
6/8 に発表された輸出統計は、外需不振を背景に、前年同月比
▲4.1%と、市場予想(同▲4.0%)を下回る冴えない結果となった。
一方、輸入は、商品市況が回復する中、前年同月比▲0.4%と、市場
予想(▲6.8%)を上回った。政府による景気対策が内需を押し上げ
たとの見方も根強く、こうした状況が持続するか否か、来月以降の
結果に注目が集まる。この他、6/9 には、物価指標も発表された。
消費者物価指数は、前年同月比+2.0%と、市場予想(同+2.2%)と
前月実績(同+2.3%)を共に下回った。食料品価格(特に生鮮野菜)
の低下が主因と見られ、5 月以降、後退しつつあった金融緩和期待
が、足許で再び台頭している。もっとも、生産者物価指数は、前年
同月比▲2.8%と、市場予想(▲3.2%)と前月実績(▲3.4%)を共
に上回った(第 2 図)。このように、今週の経済指標は、強弱まち
まちの結果となり、方向感を見出だすには至らなかった。
とは言え、政府・当局がサプライサイドの構造改革を進める中で、
景気への下方圧力は相応に根強い。また、人民元改革に向けた取り
組み強化も、潜在的な元安を想起させよう。足許では、窓口指導を
通じた資本規制を背景に、国内から国外への資本流出の動きが抑制
14 来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
されてはいるものの、当局が人民元改革を一段と推し進めれば、資
本流出圧力が強まる恐れもあるだろう。とりわけ、10 月のSDR
(IMFの特別引き出し権)組み入れ開始を前に、当局が自由に売買
可能な人民元のハードカレンシー化を企図し、変動幅拡大や変動相
場制移行等に踏み切るシナリオも想定される。事実、6/6~6/7 に開
催された米中戦略・経済対話では、「市場原理に基づいた人民元相
場の実現に向け改革を続ける」との中国側の見解が示された。こう
した動きは、ボラティリティの拡大に繋がるため、人民元相場の下
値不安を高め易い。今後は、人民元改革の動向に留意が必要だ。
来週は、鉱工業生産や固定資産投資、小売売上高等の重要経済指
標の発表(6/13)に加え、米MSCI社による人民元建て株式(A株)
の新興国市場指数への採用可否(6/14)にも注目が集まる。採用見
送りとなった場合は、株価の下支え要因が剥落する為、中国株の重
石となるだろう。一方、米国サイドでは、6/14 の米小売売上高や、
6/14~15 の米FOMCに注目が集まる。来週の人民元相場は、米中の
重要イベントに上下しつつも、上値の重い展開が続くだろう。
第 2 図 : 貿易統計(輸出および輸入)の推移
第 3 図 : 消費者物価および生産者物価指数の推移
(前年比、%)
(億ドル)
(前年比%)
100
1,000
10.0
貿易収支(右目盛)
輸出(前年比)
輸入(前年比)
貿易(前年比)
80
消費者物価
800
60
600
40
400
20
200
生産者物価
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
0
0
-2.0
-20
-200
-40
-400
-6.0
-600
-8.0
-60
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(資料)中国国家統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
予想レンジ
-4.0
10
11
12
13
14
ドル人民元:6.5500 ~ 6.6100
16
(年)
人民元円:16.20 ~ 16.60
アナリスト
15 来週の相場見通し | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
15
(資料)中国国家統計局より三菱東京 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチ作成
藤瀬 秀平
来週の主な経済指標
13 日 (月)
14 日 (火)
15 日 (水)
16 日 (木)
17 日 (金)
マネーサプライ M2(前年比、5 月)*
予想
12.5%
8:50
11:00
11:00
11:00
18:00
21:30
21:30
23:00
18:00
21:30
21:30
22:15
22:15
5:00
10:30
10:30
15:00
18:00
18:00
21:30
21:30
21:30
21:30
17:00
21:30
21:30
中
日
中
中
中
ユ
米
米
米
ユ
米
米
米
米
米
豪
豪
ユ
ユ
ユ
米
米
米
米
ユ
米
米
鉱工業生産(前年比、5 月)
都市部固定資産投資(年初来累計/前年比、5 月)
小売売上高(前年比、5 月)
鉱工業生産(前月比、4 月)
輸入物価指数(前年比、5 月)
小売売上高(前月比、5 月)
企業在庫(前月比、4 月)
貿易収支(季調済、4 月・億ユーロ)
生産者物価指数(前月比、5 月)
ニューヨーク連銀景況指数(6 月)
鉱工業生産(前月比、5 月)
設備稼働率(5 月)
証券投資収支(4 月、億ドル)
雇用者数変化(5 月・万人)
失業率(5 月)
EU 新車登録台数(前年比、5 月)
消費者物価指数(前年比、5 月確定)
消費者物価指数(前年比、5 月確定コア)
新規失業保険申請件数(6/11・万件)
消費者物価指数(前年比、5 月)
経常収支(1Q・億ドル)
フィラデルフィア連銀景気動向指数(6 月)
経常収支(4 月・億ユーロ)
住宅着工件数(5 月・万件)
建設許可件数(5 月・万件)
22:00
ユ
ヌイ・SSM(単一監督メカニズム)議長講演
1:30
3:00
15:30
18:15
20:00
20:45
0:00
ユ
米
米
日
日
ユ
英
ユ
ユ
コスタ・ポルトガル中銀総裁講演
FOMC 金利誘導目標発表
イエレン・FRB 議長定例会見
日銀金融政策決定会合(金融政策発表)
黒田・日銀総裁定例会見
ノボトニー・オーストリア中銀総裁講演
MPC(BOE 金融政策委員会、政策金利発表) / MPC 議事録
クーレ・ECB 専務理事講演
ドラギ・ECB 総裁講演
18:35
17:50
22:00
16:00
ユ
ユ
ユ
ユ
10 年債入札(ドイツ)
国債入札(フランス)
ユーロ圏財務相会合
EU 経済・財務相理事会
法人企業景気予測調査 大企業製造業景況 DI(前期比、2Q)
6.0%
10.4%
10.1%
0.5%
▲ 6.0%
0.3%
0.2%
0.3%
▲ 5.00
▲ 0.2%
75.2%
1.50
5.7%
▲ 0.1%
0.8%
1.1%
▲ 1,250
1.0
115.0
114.5
中央銀行関連
13 日 (月)
14 日 (火)
15 日 (水)
16 日 (木)
17 日 (金)
18 日 (土)
その他
13 日(月)
14 日(火)
15 日(水)
16 日(木)
17 日(金)
※市場予想は Bloomberg 調査中央値
時刻は日本時間
*印は作成日(6/10)現在で未確定のもの
16 来週の経済指標・イベント | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
前回
12.8%
▲ 7.9
6.0%
10.5%
10.1%
▲ 0.8%
▲ 5.7%
1.3%
0.4%
223
0.2%
▲ 9.02
0.7%
75.4%
781
1.06
5.7%
9.1%
▲ 0.2%
0.8%
26.4
1.1%
▲ 1,253
▲ 1.8
323
117.2
113.0
マーケットカレンダー
月
火
2016/6/13
水
14
中/マネーサプライ M2(5 月)* 米/FOMC(~15 日)
鉱工業生産(5 月)
輸出入物価指数(5 月)
小売売上(5 月)
小売売上(5 月)
都市部固定資産投資(5 月)
企業在庫(4 月)
日/法人企業景気予測調査(2Q) ユーロ圏/鉱工業生産(4 月)
木
15
金
16
ユーロ圏財務相会合
20
日/貿易収支速報(5 月)
17
米/FOMC
米/経常収支(1Q)
米/住宅着工件数(5 月)
FRB 議長定例記者会見
建設許可件数(5 月)
フィラデルフィア連銀景況
生産者物価指数(5 月)
指数(6 月) ユーロ圏/経常収支(4 月)
NY 連銀景況指数(6 月)
消費者物価指数(5 月)
鉱工業生産(5 月)
ユーロ圏/EU 新車登録台数
設備稼働率(5 月)
(5 月)
証券投資収支(4 月)
消費者物価指数確報(5 月)
ユーロ圏/貿易収支(4 月)
英/MPC(BOE 政策委員会)
英/MPC(BOE 金融政策委員会、
MPC 議事録
~16 日) 日/日銀金融政策決定会合
日/日銀金融政策決定会合
日銀総裁定例会見
(~16 日) 豪/雇用統計(5 月)
21
22
EU 経済・財務相理事会
23
24
独/ZEW 景況指数(6 月)
日/日銀金融政策決定会合
米/FHFA 住宅価格指数(4 月) 米/新築住宅販売(5 月)
米/耐久材受注速報(5 月)
中古住宅販売(5 月)
景気先行指数(5 月)
独/Ifo 景況指数(6 月)
ユーロ圏/製造業 PMI 速報
日/日銀金融政策決定会合
議事要旨(4/27,28 分) ユーロ圏/消費者信頼感指数
豪/RBA 議事要旨(6/7 分)
速報(6 月)
(6 月)
主な意見(6/15, 16 分)
サービス業 PMI 速報(6 月)
日・黒田日銀総裁講演
米・2 年債入札
米・イエレン FRB 議長議会証言
米・5 年債入札
27
ユーロ圏/マネーサプライ M3
28
米/GDP 確報(1Q)
(5 月)
独/小売売上(5 月)*
米・ダラス連銀総裁講演
米・30 年 TIPS 債入札
英・EU 離脱を問う国民投票
米・7 年債入札
欧州議会本会議(~23 日)
29
世界経済フォーラム(26~28 日)
30
7/1
米/個人所得・消費支出(5 月)
ユーロ圏/欧州委員会景況
米/シカゴ PM 景況指数(6 月) 米/ISM 製造業指数(6 月)
ユーロ圏/ECB 理事会議事録
建設支出(5 月)
ケース・シラー住宅価格指数
消費者物価指数速報(6 月)
自動車販売(6 月)*
(4 月)
指数(6 月)
ユーロ圏/失業率(5 月)
CB 消費者信頼感指数(6 月) 独/消費者物価指数速報(6 月) 日/鉱工業生産速報(5 月)
住宅着工件数(5 月)
中/製造業 PMI(6 月)
日/日銀短観 概要(2Q)
完全失業率(5 月)
消費者物価指数
(都区部 6 月、全国 5 月)
家計調査(5 月)
EU 首脳会議(~29 日)
4
米・セントルイス連銀総裁講演
5
6
7
8
米/FOMC 議事要旨(6/14, 15
ユーロ圏/生産者物価指数(5 月) 米/製造業受注指数(5 月)
日/日銀短観
ユーロ圏/小売売上(5 月)
調査全容、業種別計数 豪/RBA 理事会
分)
貿易収支(5 月)
ISM 非製造業指数(6 月)
米/ADP 雇用統計(6 月)
独/鉱工業生産(5 月)
日/景気動向指数速報(5 月)
米/雇用統計(6 月)
消費者信用残高(5 月)
独/貿易収支(5 月)
中/消費者物価指数(6 月、10 日)
生産者物価指数(6 月、10 日)
日/国際収支速報(5 月)
対外対内証券売買契約等
の状況(6 月)
景気ウォッチャー調査(6 月)
欧州議会本会議(~7 日)
米市場休場
*印は作成日(6/10)現在で日程が未確定のもの
17 マーケットカレンダー | 平成 28(2016)年 6 月 10 日
照会先:三菱東京UFJ銀行
グローバルマーケットリサーチ
チーフアナリスト
内田 稔
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BTMUロンドン支店は、英国会社登録所において、英国支店として登録されています(登録番号BR002013)。
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EUステータスについての英国国民投票に関するディスクレーマー: BTMUの調査レポート又は速報等のニュースにおける、英国の欧州連合離脱の含意についての
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18 FX Weekly | 平成 28(2016)年 6 月 10 日