2016年度第1回 一般社団法人日本箱庭療法学会 研修会のお知らせ

2016 年度第 1 回 一般社団法人日本箱庭療法学会研修会のお知らせ
主催:一般社団法人日本箱庭療法学会
日時: 2016 年 7 月 31 日(日)12:00~17:30
会場: 大正大学(東京都豊島区西巣鴨 3-20-1)
ご挨拶
日頃、さまざまな心理臨床の現場に携わっておられる皆さまには、ますますご清祥のこ
ととお喜び申し上げます。
2016年度第1回の全国研修会は、昨年度と同様、大正大学関係者の皆さまのお力添
えで、大正大学で開催させて頂けることになりました。全体講演では、京都大学の田中康
裕先生に、「日本的風景と主体―古くて新しい意識のあり方について」という演題で、お
話して頂きます。神の視点から人間の視点に降りて風景を描くようになった西洋の風景画
の変遷と意識の変容との関係や、東洋の風景画にみられる意識のあり方について、豊かな
お話をして頂けることと思います。
今回も、6つの分科会と、震災対策用分科会を1つ設けております。第3および第6分
科会では事例を募集しています。田中先生にも、「風景を眺めること、風景に分け入るこ
と―心理療法における世界体験の変容」という分科会を担当して頂きます。是非この機会
に、皆さまから提出して頂く事例から、そして既に提供者の決まっている事例から、深く
学ぶことができることを願っております。震災対策用分科会では、海洋生物環境研究所か
らお一方、そして相馬双葉漁業共同組合からお二方にお出で頂き、福島における環境問題
および漁業の問題の現状をお話して頂きます。
皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。
2016 年 5 月吉日
一般社団法人日本箱庭療法学会 研修委員長 川戸 圓
<開催要領>
1. 定
員:200 名
2. 参加資格:以下の条件のいずれかを満たす方とします。
①一般社団法人日本箱庭療法学会会員
②箱庭療法を導入・または導入を検討中の児童相談所・児童養護施設等の心理職に従事されている方
③箱庭療法を導入・または導入を検討中の学校等教育機関の保健・養護領域に従事されている方
④心理臨床を専攻する大学院生
3. 参 加 費:学会員:4,000 円
非会員:7,000 円
大学院生(非会員)
:5,000 円
4. 研修ポイント:本研修会への参加は、臨床心理士教育・研修規定別項第 2 条(3)により、一般参加者は
2 ポイント、事例呈示者は 4 ポイント取得となります。
5. 研修内容
(1) 全体会:12:00~14:00
テーマ:日本的風景と主体―古くて新しい意識のあり方について
講 師:田中 康裕 氏(京都大学)
概 要:
風景、あるいは風景画の歴史は、その民族や文化に固有の意識のあり方を反映している。西欧における近代
意識の確立は、風景画を描くことを可能にした意識や視点の誕生と深くかかわっており、深層心理学は、その
ような近代意識の確立を可能にしたものであると同時に、それ自体としてそのような意識を不可欠の前提とし
ていたと言えるだろう。他方、東洋には、山水画と呼ばれる風景を描くまったく別の伝統がかなり早くからあ
り、
「和魂漢才」よろしく、日本はそれをアレンジし、日本的風景として「完成」させたように思う。このよう
な日本的風景とそこに見られる主体のあり方を、近代ならぬ現代の意識のカリカチュアとも言える発達障害の
意識とのかかわりで論じたい。
(2) 分科会:14:30~17:30
以下の7グループに分かれ、分科会を行います。
事例呈示を募集している分科会は、概要の最後に<事例募集>の表記のある分科会です。事例呈示の希望者
は、参加申込書裏面に事例概要を記入のうえ参加申込をしてください。
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第 1 分科会
岩宮
恵子(島根大学)
「物語の生成のもたらすもの―BL という物語は何を生み出すのか―」
生育歴に大きな傷があり、その影響もあって現実適応にさまざまな困難を抱えているクライエントが、自分
自身の人生を受け入れていくということはどのようにして可能になるのだろうか。この分科会では、
「何を考え
ているかわからない」
「とにかくわがまま」という周囲の主訴から心理療法が始まった養護施設の女子クライエ
ントのケースを検討したい。そして、現実への倦怠や絶望などを二次元で表現し、しかもそれを自分が介入し
ない形で楽しむことが可能な BL という物語の生成が、思春期のクライエントにとってどういう意味があった
のかをフロアの方々とともに考えていきたい。
(事例提供者:井上みゆき氏)
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第 2 分科会
河合 俊雄(京都大学こころの未来研究センター)
「夢と現実における他者」
心理療法においては、家族、恋人、友人、同僚などの他者との関係が重要なテーマとなり、また夢において
も、現実で知っている他者や、現実とは関係ない他者が登場し、それとの関係や登場人物自体が変化していく
ことがセラピーにおいてポイントとなることが多い。現実での他者や夢における他者との関係は、どのように
関連し、またどのように変容にしていくのかを、一般的に考えつつ、事例に即して検討したい。(事例提供者:
古川真由美氏)
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第 3 分科会
川嵜 克哲(学習院大学)
「風景構成法における「田」ショック」
風景構成法の根本的な特徴は、一つずつ項目が提示され、描き手がその都度、その項目を描いて風景を構成
していくことにある。これは、ひとつにはロールシャッハの系列分析に類する側面がある。もちろん、ロール
シャッハでは、それがパラディグマ的な軸を中心としているものであるため、この系列的反応は空間にその痕
跡を残さない。一方、風景構成法は描いた項目が厳然として画用紙に痕跡を残す。それゆえ、描き手はある項
目(複数ももちろん可)において(ロールシャッハの色彩ショックのように)なんらかの「ショック」が生じ
た場合、その反応(及び、その反応に対する治療的側面をも)は「歪み」となって画用紙の上に痕跡をなす。
この「ショック」は全項目に関してその可能性がありうるが、今回は、非常に頻繁に現れる項目として「田」
に重点をおいて、これらの諸相を検討していきたい。風景構成法が登場する事例を公募いたします。<事例募
集>
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第 4 分科会
川戸 圓(川戸分析プラクシス)
「虐待を癒す水のイメージ」
C.G.ユングによれば、元型(Archetype)は 1 つの自然(Nature)であるから、人間的な価値観を反映した
ポジティブな面やネガティヴな面を本来的に備えているものではない、ということになる。しかしながら元型
的イメージ(Archetypal Image)は、人間の意識によって認識されたものであるから、意識の在り様によって、
ポジティヴにもなればネガティヴにもなり得る。この分科会では、虐待を受けて成人となった女性が、様々な
水のイメージを箱庭で表現し、それらを再体験することを通して、虐待によって失われたものが回復され、意
識全体が少しずつ変容していった過程を、追ってみることにしたい。それは、水に対して過度にポジティヴに
なったり、過度にネガティブになったりしながら、水そのものを豊かに認識して来た人間の歴史を歩み直すこ
とにもなると思われる。
(事例提供者:公文佳枝氏)
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第 5 分科会
田中 康裕(京都大学)
「風景を眺めること、風景に分け入ること―心理療法における世界体験の変容」
Jung は心理療法の目的を「意識と無意識の相互浸透」という言葉で表したが、その含意するところは、クラ
イエントの(意識と無意識の)<意識>、すなわち、彼らの世界体験の変容であった。その意味で、風景を、
あるいは世界を眺める視点を獲得することは、新たな意識の確立として、精神発達の証しだったり、心理療法
の成果だったりもするが、他方、世界は単に眺めるだけでは本当には体験しえないものでもあるのも事実であ
る。この分科会では、
「障害」ではなく、ある種の発達の「奇妙さ」を抱えた青年期女子の事例を通して、風景
を眺めること、そして分け入ることが、彼女の世界体験の変容とどのように関わっていたのかを検討したい。
(事
例提供者:西牧万佐子氏)
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第 6 分科会
豊田 園子(豊田分析プラクシス)
「夢の分からなさの意味について」
夢は向こうからやってきます。すなわちこちらが意識的に作るのではなく、無意識の方から訪れるのです。
無意識の解は向こうにあって、こちらの意識的世界の認識を超えています。だからこそ、こちらの知を超える
可能性を秘めています。それはたったひとつの解でもないでしょう。そこに何か響くものがあったとすれば、
身体感覚をともなう納得なのではないでしょうか。心理臨床での夢の扱い方について考えてみたいと思います。
夢を扱った事例を提供してくださる方を募集します。夢が少ない事例でもかまいません。<事例募集>
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震災対策用分科会1(S1)
岸 良範(茨城大学)
、渡部
純夫(東北福祉大学)
「「海洋汚染」の現状と「風評」の中での福島(相馬・双葉)―海洋生物環境の研究者と漁業従事者を交え
て「これから」を考える―」
震災から 5 年が過ぎたにもかかわらず、突破口のない重苦しい空気は未だに福島を覆っています。そのひと
つに漁業の問題があります。福島県の浜通り、特に相馬・双葉は漁業が盛んな地域です。しかし、震災後の原
発の様々な問題に振り回され続けてきています。産業の復活が待たれる中、漁業は条件が整わず「生殺し」の
状況で、生き甲斐が萎んでいくという心理学的問題も生じています。震災から 5 年の動きを見つめる時に、こ
の問題を避けて通ることは出来ません。今回、海洋生物環境研究所の原猛也氏が科学の立場から報告してくだ
さることになり、また相馬双葉漁業共同組合からスタッフの方が現状を報告して下さることになります。この
ことを基にし、今後の福島への支援に必要なことを皆さんと考えていきたいと思います。
(報告者:原猛也氏(海
洋生物環境研究所)、池田精一氏(相馬双葉漁業共同組合 総務部長)、斉藤誠一氏(相馬双葉漁業共同組合 事
業部長)
)
各分科会会場につきましては、当日受付にて配布のプログラムにてお知らせいたします。
6. 参加お申し込みについて
・ 同封の参加申込書所定欄に必要事項をご記入の上、連絡用ハガキと併せて返信用封筒にてお申し込み下さい。
連絡用ハガキには必ず住所・氏名をご記入の上、お手数ですが 52 円切手をお貼り下さい。
・ お申し込み受付は、原則として先着順とさせていただきます。
希望者多数の場合にはご参加いただけない場合もありますので、予めご了承ください。
・ 参加申込締切:2016 年 6 月 10 日(金)必着
7. 参加の可否について
・ 申込締切後、連絡ハガキにて参加の可否をご通知致します。
8. 参加費振込みについて
・ 参加確定の連絡ハガキを受領後に、以下の口座に参加費を送金して下さい。
口座番号: 00900-8-233788
加入者名: 一般社団法人日本箱庭療法学会研修委員会
※振替用紙の通信欄には受付番号並びに「2016 年度第 1 回全国研修会参加費」とご記入ください。
・ 参加費振込締切:2016 年 6 月 24 日(金)
(納入された参加費のご返金はできませんので予めご了承下さい。)
・ 振込締切までに入金を確認した方には分科会番号・名前等の記載された名札カード・名札ケースをお送りいた
します。当日は名札・名札ケースをご持参いただき、身に着けてご参加下さい。
*振込締切以降に参加費を入金された方につきましては、当日、受付にて名札をお渡しいたします。
*名札ケースは研修会終了後、返却下さいますようお願い申し上げます。
9.研修会に関するお問合せ先
一般社団法人日本箱庭療法学会事務局気付「一般社団法人日本箱庭療法学会研修会」係
住所:〒541-0047 大阪市中央区淡路町 4-3-6 新元社内
FAX:06-6233-8529
e-mail:[email protected]
*お手数ですが電子メールまたは FAX にてお問合せください。
10. 会場案内
■電車をご利用の場合
■東京駅から(約 30 分)
・都営地下鉄三田線 … 西巣鴨駅下車 徒歩 2 分
・東京(山手線内)⇒巣鴨(都営三田線乗換)⇒西巣鴨
・JR 埼京線 … 板橋駅東口下車 徒歩 10 分
・都電荒川線 … 新庚申塚駅又は庚申塚駅下車 徒歩 7 分
■バスをご利用の場合
・池袋駅東口から都バス … 堀割バス停下車 徒歩 2 分
6 番乗り場 西新井駅前行き、北車庫前行き、新田一丁目行き 7 番乗り場 浅草雷門行き
12 番乗り場 とげぬき地蔵行き
13 番乗り場 浅草寿町行き
■羽田空港から(約 60 分)
・東京モノレール … 羽田空港-浜松町(山手線乗換)-巣鴨(都営三田線乗換)-西巣鴨
・京浜急行(都営浅草線直通「エアポート快特」
)… 羽田空港-三田(都営三田線乗換)-西巣鴨