Center for Educational Research and Development, Fukushima City 連 載 2016(H28).3.1 №58 「こころを育む」④ このお題を頂いて正直悩んでしまった。二人の子の親で,また,民間企業で長いこと勤 め た 私 は , 少 し は 「 育 て る 」 こ と を 意 識 は し た が ,「 育 む ( は ぐ く む )」 と い う 語 感 は な か な か ピ ン と く る も の で は な か っ た 。 そ こ で , 広 辞 苑 で 調 べ て み た ら ,「 親 鳥 が そ の 羽 で ひ な を お お い つ つ む 」 と , ま ず , と て も 具 体 的 に 書 い て あ り , そ の こ こ ろ は と し て ,「 養 い 育 て る 。 成 長 発 展 を 願 っ て 育 成 す る 。 な で い つ く し む 。 か ば い 守 る 。」 と , こ こ ま で 書 い たら感じるでしょうとばかりに書いてあった。うーん,まだピンとこない。私は羽でおお いつつむような子育てはしてこなかったからだろうか。 そ れ で は ,可 愛 い 孫 が い る 爺 々 の 気 持 ち で 捉 え て み た ら 理 解 で き な い だ ろ う か 。そ れ で , 三年前に初孫と対面したときのことを思い出してみた。そのとき,初孫が出来て喜ぶ家内 を傍目に,私は妙な感覚だった。自分の子どもを持ったときと同じような,嬉しさという よりとまどいが強く,そのとまどいを引きずったままに仕事人間に向かってしまって,父 親らしくなれなかった後悔をまた再現するような感情だったように思う。 ただ,それからが違っていて,私はこの孫にすっかりと「おおいつつまれてしまった」 のである。正月に帰ってくるからと,ふとんの上げ下ろしでぎっくり腰になり,孫に定番 の風邪をうつされ,それでも「爺々,遊ぼう!」と言われると「はいはい」とすっかり取 り込まれていた。私は孫を愛するというこころを孫に「育まれた」のだと思う。ダメな父 親だった罪ほろぼしを,この孫でさせてもらっているようだ。 余談だが,家内(婆々)は,この孫を「手なずけた」と豪語し,次のねらいを昨夏生ま れたばかりの二人目に定めている。そんな家内と二人で過ごす日々だが,せっかく孫に養 われた「育むこころ」を見失わずに,子どもたちと接していきたいと思う次第である。 福島市スクールソーシャルワーカー 三浦 彰 平成28年度の福島市教育実践センター研修・講座予定について 平成28年度の講座・研修(2・23現在)の主な予定です。先生方の参加をお待ちしております。 【教育経営研修】 ◆ 松浦芳孝氏(福島大学教職相談員) 8/9 学校経営講座 【特別支援教育研修】 ◆ 藤平 敦氏(国立教育政策研究所生徒指導・ ◆ 梅田真理氏(発達障害教育情報センター) 進路指導研究センター) 8/30 調整中 教育課題講座 ◆ 田村祐子氏(インターナショナルファカル ◆ 市川伸一氏(東京大学大学院教授) 6/27 チャー) 調整中 ◆ 長田 徹氏(国立教育政策研究所生徒指導・ 【教師のメンタルヘルス講座】 進路指導研究センター統括研究員) 9/9 ◆ 田村修一氏(創価大学大学院教授)6/10 調査官・国立教育政策研究所教育課程調査官) 10/11 学級経営ブラッシュアップ講座 ◆ ◆ 河村茂雄氏(早稲田大学教授) 調整中 佐藤歩氏(福島市スクールカウンセラー) 7/6 福島市教育実践センター 職員メンタルヘルス協会)8/4 【PC研修】 ◆ word,データ処理,プレゼンテーシ ョン等を予定 その他現在未定の講座,変更等のあった講 座を含め,4月には詳細をお知らせします。 〒960-8001 福島県福島市天神町11番31号 電話 024-536-6500 / 024-536-7700【教育相談専用】 FAX 024-533-2033 ホームページ http//www.fukushima-jissen-ec.fks.ed.jp/ E メ ー ル [email protected] Center for Educational Research and Development, Fukushima City 2016(H28).3.1 №58 福島市教育実践センターだより 巻頭言「学校教育は子どもの未来を預かる仕事」 福島市小・中学校長会協議会長 (福島市立福島第三中学校長) 私たちが採用になった昭和50年代中盤は,福 島県内の中学校にも「荒れ」の波が押し寄せ「ツ ッパリ」なる男子生徒が横行し始めた頃だった。 長ラン・短ラン,眉・額の剃り込み,喫煙,バイ ク無免許運転,校内暴力等々の指導に明け暮れた という先生も少なからずいらっしゃるだろう。 私の初任校も例外ではなかったが,新採用から 3年間共に過ごした時間に培われた人間関係と先 輩諸先生方の助けに支えられ,学級担任として感 動的な最初の卒業生を送り出すことができた。 しかし,その1学年下の2年生は,学校全体が 危機感を抱かざるを得ない状況だった。授業が成 立しないなど後に言われる学級崩壊が複数学級に みられた。特に当該学級担任の先生方は日夜苦悩 し,内1名は年度末に退職する状況まで追い込ま れてしまった。管理職は悩んだ末,2年生から3 年生へは組替えを行っていなかった通例を覆し, 新3年生6学級の編成をし直す英断を下した。 次年度は新1年生担任と思い込み,その様子を どこか他人事のような感覚でいた若造に新3年生 学級担任という予期せぬ命令が下り,慌てふため く幕開けとなった。教師側の覚悟や組織力が勝っ たのか,状況を察知した生徒たちが成長していた のか,不思議なことに様々な教育活動を確実に経 験していくうちに,次第に生徒達の有り余るエネ ルギーは,部活動や学校行事など価値ある方向に 集約され,予想を超える成果を上げていった。若 造は,生徒たちの限りない可能性,先入観という 罪の重さ,生徒・保護者と教員との信頼関係の重 要さ,教育活動への真摯な取組や教職員のチーム ワーク・組織力の大切さ等,教員としての基本中 の基本をとても良い形でたたき込んでいただい た。さて,私が当時学級担任をした生徒たちは, 小山 金也 成人式以降,5年ごとに同級会を開催してきた。 先日,その周期を崩して私の還暦と退職前のタイ ミングに合わせて祝う会を開いてくれた。 ツッパリ代表格だったA君は大手企業の課長職 に納まっており,部下一人一人をよく把握し話を 聞き一人一人に応じて励まし褒めることがとても 大事だと言う。管理職らしい物言いに感動した。 将来的には親の営む自営業を継ぐ見通しがあっ たため,さほどの目的意識もなく自衛官になった B君は,今や100人程度の隊員を束ねる中間管 理職的立場にいると言う。人事が難しいという話 に相づちを打ちつつ,専門的な知識や特異な経験 談話に驚かされた。 全国的に有名なゴルファーを娘に持つCさんか らは,ストレスがたまる息詰まる観戦,将来への 膨らむ夢,経済的な大変さ等をうかがい,母親・ 人間としての強さを大いに感じた。 角界に進み序の口で優勝したものの,膝故障の ため現役を退き,ある部屋のマネージャーを務め ていたD君は,数年前に脳梗塞を患い,療養のた め角界から完全撤退していた。現在は東京で多く の従業員を抱えて飲食業を営んでいると言う。厳 しい世の中を雑草のようなたくましさで乗り越え ていく彼の生き様に感心させられた。等々 そして,このように一人一人が自分の人生を確 実に歩み,五十路に届こうとしている彼らが,社 交辞令でなく本心なんだと断ったうえで,あの中 学校時代があって今があると,私や級友に感謝を 述べるのである。学校教育の重要性をあらためて 痛切に感じ,エネルギーを頂戴した時間だった。 これまで出会った教職員の皆さんや生徒・保護 者の方々に心から感謝である。各校の一層の発展 と教職員の皆さんのご活躍をお祈り申し上げる。 CONTENTS 特集: 調査研究報告会 「教職員のメンタルヘルス」「道徳教育」 ○ 巻頭言:「学校教育は子どもの未来を預かる仕事」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○ 特集:調査研究報告会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○ 専門研修 「保育改善専門講座」「ふくしま教師塾」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○ 連載「こころを育む」④・次年度の研修 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 3 4 Center for Educational Research and Development, Fukushima City 平成27年度調査研究報告会~2月18日(木)福島市市民会館 参加者(幼・小・中・特)94名~ ※ 報告内容の詳細については,各校に配付された報告書をご覧ください。(HPにも掲載) 第1部 第2部 [ 道 徳 教 育 に 関 す る 調 査 研 究 ]1年次 [教職員のメンタルヘルスに関する調査研究]2年次 学習指導要領の一部改正により「特別の教科 道徳」となり全面実施に向けた移行期に当たる ことから,本市道徳 <研究協力員> 渡 利 小 校長 内藤 良行 教育の現状と課題の 佐 原 小 教頭 瀨戸 和子 明確化と,今後の道 森 合 小 教諭 上石 和子 徳教育の一層の充実 野 田 小 教諭 佐藤 倫子 蓬 萊 中 教諭 渋谷美智子 に向けた調査研究 清 水 中 教諭 古川 正 報告1 【道徳教育に関する報告】 東日本大震災下,福島の復興や子どもの教 育に奔走してきた本<研究協力員> 庭 坂 小 校長 竹之下道子 市教職員のメンタル 松 陵 中 校長 遠藤 哲 ヘルスについての実 大笹生小 教頭 井上 明浩 態把握と,今後の解 福島四小 教諭 齋藤 朱音 信 陵 中 教諭 枝並 忠幸 決に向けた対応策に 福島一小 養護教諭 藤原あや子 朋子 ついての調査研究 平 野 中 養護教諭 平 報告2【メンタルヘルス に関する報告】 昨年度の報告を 振返った後,対応 策について提言がありました。 グループ協議1【報告を聞いての感想】 報告を聞いての感想を 一人一人付箋に書いた後 隣同士で,道徳教育につ いて語り合いました。 道徳に関する 幼稚園での保育 内容を中学校の 先生が知り,感 動していました。 ◆調査研究報告会に参加して◆ グループ協議2【個人で職場で実践できること】 一人一人が考 えた実践できる ことを付箋に書 き,班ごとにホ ワイトボードに KJ法的手法を 使って協議しま した。 さらに座標軸に「実 践可能・難,個人・職 場」で分類することで 実践できることが明確 になりました。 たくさんの感想を寄せていただきました。以下はその一部です。 =報告内容= ○ 2つともタイムリーな内容で分析や提言などが具体的で参考になった。職場で生かしたい。 ○ 調査のためだけの調査ではなく結果から何かを生み出す調査であった。必ず,伝達する。 =報告会のもち方= ○ 報告だけでなく,情報交換や話合いの場があってよかった。 ・校種(幼・小・中・特支)や教諭・教頭・校長等あらゆる職種の方の話を聞くことができた。 ・小グループで初めて合った方とも和やかに楽しく話ができた。ストレス解消になった。 ○ 時間配分,講話と話合いのバランスがよかった。△ 話合いの時間がもう少しほしかった。 =その他= ○ 市職員メンタルヘルス研修は受けたことがあったが,今回は同じ教職員の立場で共感するこ とができ新しい発見がたくさんあった。貴重な機会をいただき感謝したい。(幼) ○ 2年次の道徳の調査を楽しみにしている。○ 道徳教育に対して本気で取組みたい。 2016(H28).3.1 専 門 研 修 保育改善専門講座 №58 年間を通して 2月25日(木)に「全体研修会(研修報告会)」が行われ,2名の先生が1年間の研修を修了し ました。報告会に続いて,福島学院大学教授 笹谷幼稚園 川合恵美 先生 庭塚幼稚園 板垣健太郎先生からご講演をいただきました。 青山千晃 先生 福島学院大学 板垣健太郎 先生 研修報告の後,1年間にわたり1対1でご指導をいただいた学校教育課指導教諭田中まゆみ先生 から,研修の成果や課題,教師としての在り方について講評をいただきました。 また,福島学院大学福祉学部福祉心理学科教授板垣健太郎先生から,「発達に課題のある子ども たちに寄り添う保育・指導 ~療育的セラピーの立場から~」という演題でのご講演をいただきま した。自閉症スペクトラム障害についての詳しいお話,そして保育に携わる者としての専門性を生 かした他機関との交流の方法についてのお話をうかがいました。 報告内容の詳細については,各校に配付された報告書をご覧ください。(HPにも掲載) ふくしま教師塾 年間を通して 2月23日(火)に「修了式」が行われ,第Ⅳ期生5名が2年間の研修を修了しました。また, 「研 修報告会」において,それぞれ自己の研修課題に基づいた成果を報告しました。 福島三小 秋葉征典塾生 北信中 竹野努塾生 蓬莱中 多田慎之介塾生 信陵中 浅田美帆塾生 西信中 譽田由貴子塾生 それぞれの報告のあとには,後藤修師範(金谷川小学校長) ,矢舘実也師範(松川小学校長) , 佐々木光政師範(北沢又小学校長),石川逸子師範(月輪小学校長) ,佐藤浩子師範(西根中学校長) よりご指導を,小島英二塾長(瀬上小学校長)より講話をいただきました。 報告内容の詳細については,各校に配付された報告書をご覧ください。(HPにも掲載)
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