みずほ日本経済情報 2016年6月号 ◆ トピック 景気ウォッチャーにみる増税延期の効果 増税の再延期が確定したことは先行き不透明感の緩和に つながるが、1度目の延期表明時と同様、企業心理の押し 上げ効果は限定的となる見込み ◆ 景気判断 現状は踊り場。先行きは緩やかに持ち直し 輸出・生産は地震の影響もあって横ばい圏で推移してい る。雇用・所得情勢は引き続き堅調だが、個人消費は弱含 みが続いている 1.総 括 日本経済の現状と先行 日本経済は踊り場にある。輸出・生産は地震の影響もあって横ばい圏で推 き 移しているほか、個人消費は弱含みが続いている。経済の活動水準は潜在生 産量(物価変動に対して中立的とみられる生産量)を引き続き下回っている。 先行きの日本経済は、海外経済の減速や円高が重石となるものの、公共投 資の進捗などを支えに、緩やかに持ち直すとみられる。ただし、経済活動の 水準は、潜在生産量を下回る状態が続く見込みである。 消費税率引き上げの再延期が正式に表明されたことは、先行き不透明感の トピック 緩和につながりそうだ。特に個人消費は、駆け込み需要とその後の反動減、 「景気ウォッチャーに 物価上昇に伴う実質所得の目減りの影響が当分の間回避されることになる。 みる増税延期の効果」 その結果、成長率は 2016 年度こそやや低下するものの、2017 年度にかけて持 ち直していくと予想される(図表 1、詳細は『2016・17 年度 内外経済見通 し』http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/forecast/outlook_160608.pdf参照) 。 安倍首相の会見は 6/1 だったが、連日の報道により増税延期はその前から 浸透していたようだ。 月末に行われた 5 月の景気ウォッチャー調査 (6/8 公表) では、 増税延期が織り込まれる形で先行き判断DIが3カ月ぶりに上昇した。 ただしコメントをみると、景気浮揚効果は限られるという声が大半である。 増税延期に言及したコメントを景気の先行き判断別に集計すると、7 割程度が 「変わらない」であった(図表 2。なお、必ずしも増税延期に対する評価を直 接表していないことに留意) 。1 度目の増税延期が発表された 2014 年 11 月と 比べれば、 「やや悪くなる」の割合は低いものの、増税延期が一時的なものに 過ぎないこともあり、 「やや良くなる」といったプラス評価の割合はほとんど 変わらない。政府は増税延期に加えて、秋には景気刺激策を策定する予定だ が、短期的な対策にとどまらず、社会保障制度を巡る将来不安の解消や、成 長期待の向上に資するような政策も打ち出していく必要があるだろう。 図表 1 経済見通し 実績 年度 2014 図表 2 増税延期反映後 2015 2016 2017 増税延期反映前 2016 2017 実質GDP 前期比、% ▲ 0.9 0.8 0.6 1.0 0.9 0.2 内需 前期比、% ▲ 1.5 0.7 0.6 0.9 1.0 0.1 前期比、% ▲ 1.9 0.7 0.2 0.7 0.8 ▲ 0.3 前期比、% ▲ 2.9 ▲ 0.2 0.7 1.0 1.3 ▲ 0.6 住宅投資 前期比、% ▲ 11.7 2.4 1.6 ▲ 1.5 3.2 ▲ 6.6 設備投資 前期比、% 0.1 2.0 1.2 1.8 1.5 0.6 在庫投資 前期比寄与度、%Pt 0.6 0.3 ▲ 0.4 ▲ 0.3 ▲ 0.4 0.2 前期比、% ▲ 0.3 0.6 1.8 1.6 1.7 1.1 民需 個人消費 公需 政府消費 前期比、% 0.1 1.5 1.6 1.7 1.6 1.4 公共投資 前期比、% ▲ 2.6 ▲ 2.7 2.6 1.6 2.1 0.2 外需 前期比寄与度、%Pt 0.6 0.1 0.0 0.0 ▲ 0.1 0.1 輸出 前期比、% 7.9 0.4 1.1 2.8 1.0 2.7 輸入 前期比、% 3.4 ▲ 0.1 0.9 2.5 1.6 2.1 120 増税延期に関するコメント数 (件数) 100 悪くなる やや悪くなる 80 変わらない やや良くなる 60 良くなる 40 20 0 14/8 14/11 15/2 15/5 15/8 15/11 16/2 16/5 (年/月) (注) 景気の先行き判断のコメントのうち、 「消費税」と「延期」(ま たは「先送り」)が同時に登場するものを回答別に集計。 (資料) 内閣府「景気ウォッチャー調査」より、みずほ総合研究所作成 (注) 詳細は『2016・17 年度 内外経済見通し』 (2016/6/8)参照。 (資料) みずほ総合研究所作成 1 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 図表 3 景気判断 6月 5月 (現状判断) (現状判断) (先行き判断) 総括 対 外 部 門 企 業 部 門 家 計 部 門 政 府 物 価 経済活動の方向性 踊り場にある 踊り場にある 緩やかに持ち直す 経済活動の水準 潜在生産量を下回っている 潜在生産量を下回っている 潜在生産量を下回る状態が続く 海外経済 緩やかに回復しているものの、新興国を 中心に減速している 緩やかに回復しているものの、力強さを欠いている 緩やかな回復を維持するものの、 当面力強さに欠ける状況が続く 対外交易環境 前年に比べて大幅な改善を続けている 前年に比べて大幅な改善を続けている 前年比で大幅な改善が続く 輸出 横ばい圏で推移している 横ばい圏で推移している 徐々に上向くとみられるが、回復力は力強さを欠く 輸入 上向きつつある 上向きつつある 緩やかに増加する 生産・サービス活動 上向きつつあるが、 震災の影響から一時的に落ち込んでいる 横ばいで推移している しばらくは横ばい圏で推移した後、緩やかに回復する 企業マインド 弱さがみられる 弱含んでいる 徐々に回復に向かう 設備投資 足踏みしている 足踏みしている 緩やかに回復する 雇用者所得 回復傾向にある 回復傾向にある 緩やかな回復が続く 消費者マインド 弱含んでいる 弱含んでいる 徐々に持ち直す 個人消費 弱含んでいる 弱含んでいる 当面は力強さに欠ける 住宅着工 増加している 増加している 高水準を維持する 公的需要 下げ止まりつつある 上向きつつある 緩やかな増加が続く 税収 増加している 増加している 緩やかに増加する 国内企業物価 前年比マイナス幅が拡大している 前年比マイナス幅が拡大している 前年比大幅なマイナスが続く 消費者物価 前年比マイナスで推移している 前年比マイナスで推移している 前年比マイナスが続く 金融政策 金融緩和を進めている 金融緩和を進めている 2016年内に一段の金融緩和に踏み切る (注) 1.矢印の向きは景気の方向性を示している。上向きが拡大局面、横向きが横這い局面、下向きが後退局面を意味する。 2.矢印の色は生産の水準感を示している。白は潜在生産量を上回る、紺は潜在生産量を下回る、白紺の縦縞は潜在生産量程度 の生産量を意味する. 3.先行き判断は、3 カ月程度先の経済の動きに関する判断を示している。 (資料) みずほ総合研究所 図表 4 景気動向指数 CI 先行指数 CI 一致指数 CI 遅行指数 DI 先行指数 DI 一致指数 DI 遅行指数 全産業活動指数 全産業 鉱工業 第3次産業 建設業 国民経済計算 実質GDP 前期差、Pt 前期差、Pt 前期差、Pt % % % 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比年率、% 民需 公需 外需 名目GDP 寄与度、%Pt 寄与度、%Pt 寄与度、%Pt 年率、兆円 前期比、% GDPデフレーター 内需デフレーター 前年比、% 前年比、% 景気の全体観を示す主要統計 FY2014 FY2015 ▲ 1.1 n.a. ▲ 0.5 ▲ 1.0 ▲ 1.1 1.3 ▲ 3.5 n.a. ▲ 0.9 0.8 ▲ 1.5 0.6 ▲ 0.1 0.2 0.6 0.1 489.6 500.4 1.5 2.2 2.4 1.4 2.1 ▲ 0.2 2015Q4 2016Q1 2016Q2 ▲ 0.2 ▲ 0.0 n.a. 0.1 ▲ 1.0 0.9 ▲ 0.1 0.1 n.a. ▲ 1.5 0.6 n.a. ▲ 0.4 0.5 n.a. ▲ 1.8 1.9 n.a. ▲ 0.5 0.2 n.a. 0.0 0.1 n.a. 0.1 0.2 n.a. 500.2 503.2 n.a. ▲ 0.2 0.6 n.a. 1.5 0.9 n.a. ▲ 0.2 ▲ 0.5 n.a. 2016/01 2016/02 2016/03 2016/04 2016/05 ▲ 0.1 ▲ 1.3 0.1 1.4 n.a. 1.2 ▲ 1.8 0.2 2.0 n.a. ▲ 0.6 ▲ 0.6 0.4 0.7 n.a. 45.5 27.3 31.8 55.6 n.a. 40.0 30.0 40.0 25.0 n.a. 50.0 44.4 66.7 60.0 n.a. 1.2 ▲ 0.9 0.1 n.a. n.a. 2.4 ▲ 5.1 3.5 0.3 n.a. 0.7 0.2 ▲ 0.7 n.a. n.a. 2.9 ▲ 0.2 ▲ 1.8 n.a. n.a. - (注) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3 次産業は第 3 次産業活動指数の値。 2.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 3.2016 年 4・5 月の実績値が発表されていない指標の 4~6 月期の前期比は、4 月の 1~3 月期に対する変化率。 (資料)内閣府「景気動向指数」、「四半期別GDP速報」、経済産業省「全産業活動指数」、「鉱工業指数」、「第 3 次産業活動指数」 2 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 2.対外部門 海外経済 海外経済は緩やかに回復しているものの、力強さを欠いている。米国は 5 月の製造業ISMが 51.3 と前月(50.8)から上昇した(図表 1) 。一方、非農 業部門雇用者数が前月差+3.8 万人(4 月同+12.3 万人)と伸びが鈍化するな ど、これまで比較的堅調であったサービス業の雇用は足元で失速している。 また、ユーロ圏と中国についても、PMIは 50 を上回って推移しているが、 依然として回復力が弱い状態が続いている。 今後の海外経済は、緩やかな回復を維持するものの、当面力強さに欠ける 状況が続く見込みである。米国やユーロ圏経済は、個人消費が景気を下支え するとみられる。中国経済は財政出動による下支えが期待されるほか、個人 消費が底堅く推移するとみられる一方、資本ストック調整が重石となり、減 速が続くだろう。 対外交易環境 対外交易環境は、前年に比べて大幅な改善を続けている。4 月は素材を中心 に輸出物価の弱含みが続く一方、資源価格の下落などから輸入物価が引き続 き大きく低下している。 今後についても、原油価格は低水準での推移が見込まれるため、輸入物価 は当面大幅な下落が続くだろう。対外交易条件は前年比で大幅な改善が続く 見通しである。 輸出 輸出は横ばい圏で推移している。4 月の輸出数量指数(※)は前月比▲2.6% (3 月同+2.3%)と 2 カ月ぶりに低下した(図表 2) 。先月に大幅増となった 米国向けの自動車や欧州向けの船舶が全体を押し下げた。なお、米国向けの 自動車輸出の減少については、熊本地震の影響もあった模様である。 一部の自動車大手では海外向けの生産を強化する動きがあるほか、情報関 連財輸出に先行する台湾の電子部品出荷在庫バランスが足元で持ち直してい ることなどから(図表 3) 、今後の輸出は徐々に上向くとみられる。ただし、 年初からの円高を踏まえれば、回復は力強さを欠くだろう。 輸入 輸入は上向きつつある。4 月の輸入数量指数(※)は前月比▲4.2%(3 月 同+2.1%)と 2 カぶりに低下した(図表 4) 。石油・石炭税の税率引き上げに 伴う鉱物性燃料の駆け込み輸入の反動が出た模様である。もっとも、鉱物性 燃料を除くベースでみると、足元では上向いている。 先行きについては、国内の生産活動の持ち直しに伴い、緩やかに増加する 見通しである。 (※)みずほ総合研究所の季節調整値 経常収支 経常収支(季節調整値)は、高めの黒字が続いている。円高の影響などか ら第一次所得収支の黒字幅が縮小したこともあり、4 月の経常黒字は 19.5 兆 円(年率、3 月 22.7 兆円)と高水準ながらも前月から減少した。 貿易収支は、国内経済の持ち直しに伴う輸入数量の増加が見込まれるもの の、原油価格の水準が低位にとどまることから、当面黒字が続くとみている。 一方、第一次所得収支は、円高の影響から今後も縮小するだろう。その結果、 経常収支の黒字幅は、高水準ながらも徐々に縮小する見通しである。 3 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 図表 1 米欧中の業況感(製造業)の推移 図表 2 輸出数量指数の推移 (2010年=100) 60 米ISM指数 総合 120 米国 欧州 アジア ユーロPMI指数 110 中国PMI指数 55 100 90 50 80 45 13 14 15 70 (年) 14 15 16 (年) (注)指数が 50 超のとき業況拡大を示す。直近値は 2016 年 5 月。 (注) みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は 2016 年 4 月。 (資料)米サプライマネジメント協会、Markit、中国物流購買連合会より、 (資料) 財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成 みずほ総合研究所作成 図表 3 IT輸出と台湾の出荷在庫バランス (前年比、%) 図表 4 120 (前年比、%) 15 30 10 20 5 10 0 0 輸入数量指数の推移 110 100 ▲ 5 ▲ 10 ▲ 10 2013 2014 総合(除く鉱物性燃料) ▲ 20 台湾の出荷在庫バランス (電子部品、4カ月先行、右目盛) ▲ 15 総合 90 実質輸出(情報関連) 鉱物性燃料 80 ▲ 30 2015 2016 14 13 (年) 15 16 (年) (注)みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は 2016 年 4 月。 (資料)財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成 (資料)財務省「貿易統計」 、CEIC Data より、みずほ総合研究所作成 図表 5 対外部門の主要統計 海外経済 CPB生産指数 前期比、% 米国 ユーロ圏 前期比、% 2016/02 1.0 ▲ 0.5 2016/03 2016/04 2016/05 ▲ 0.2 ▲ 0.9 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 1.1 0.3 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 0.9 ▲ 0.4 n.a. 0.6 ▲ 0.2 前期比、% n.a. 0.8 1.0 n.a. 2.8 ▲ 1.2 前期比、% 4.6 n.a. 1.0 0.8 n.a. 0.1 0.2 DI - - - - 48.2 52.3 49.4 49.5 51.2 49.0 51.8 51.6 50.8 51.7 51.3 51.5 DI - 50.2 50.1 50.1 前年比、% 2.7 14.4 15.2 13.3 n.a. 13.9 12.1 14.1 12.3 n.a. 輸出物価 輸入物価 実質実効為替レート 前年比、% 2.9 0.2 ▲ 1.5 ▲ 13.8 ▲ 4.7 ▲ 17.3 ▲ 8.0 ▲ 18.8 n.a. n.a. ▲ 6.8 ▲ 18.2 ▲ 7.9 ▲ 17.9 ▲ 9.1 ▲ 20.3 ▲ 9.5 ▲ 19.4 n.a. n.a. ▲ 3.1 ▲ 2.7 0.4 0.2 7.2 ▲ 0.5 n.a. ▲ 2.4 5.6 3.1 7.7 ▲ 4.1 8.4 2.3 n.a. 前期比、% ▲ 4.9 1.3 10.5 輸出数量 ▲ 2.6 n.a. 米国向け 前期比、% 0.1 ▲ 4.6 ▲ 1.3 0.9 ▲ 4.8 3.1 ▲ 1.0 ▲ 1.0 ▲ 3.8 n.a. 欧州向け 前期比、% 3.4 4.7 4.4 5.5 ▲ 0.5 中国向け 中国を除くアジア向け 実質輸出 前期比、% ▲ 2.7 ▲ 1.7 0.7 1.4 0.2 1.7 0.7 ▲ 1.4 ▲ 0.1 1.8 ▲ 3.2 ▲ 0.6 7.8 ▲ 7.2 ▲ 6.1 0.9 8.0 ▲ 0.9 5.5 1.1 ▲ 7.7 5.0 ▲ 4.7 前期比、% ▲ 2.3 1.9 2.8 ▲ 1.9 7.5 1.9 ▲ 0.1 輸入数量 前期比、% ▲ 2.0 ▲ 2.1 ▲ 1.7 0.0 ▲ 3.0 0.9 ▲ 0.2 2.1 ▲ 1.6 ▲ 4.2 n.a. n.a. n.a. n.a. 実質輸入 前期比、% ▲ 0.8 1.2 ▲ 0.9 0.8 ▲ 5.0 1.1 1.3 ▲ 2.1 ▲ 4.0 n.a. 経常収支 年率、兆円 8.7 18.0 19.2 19.8 19.5 貿易・サービス収支 年率、兆円 ▲ 9.3 ▲ 0.6 0.1 3.4 4.5 16.3 1.8 20.2 3.6 22.7 4.7 19.5 4.5 n.a. n.a. 第一次所得収支 年率、兆円 20.0 20.6 21.1 18.7 17.0 17.1 19.6 19.4 17.0 n.a. 対外交易環境 対外交易条件 対外収支 2016/01 n.a. ユーロ圏(PMI) 中国(PMI)「国家統計局版」 輸入 2015Q4 2016Q1 2016Q2 0.4 0.4 n.a. 3.0 0.9 アジア 製造業の業況 米国(ISM) 輸出 FY2014 FY2015 2.5 n.a. DI 前年比、% 前年比、% 前期比、% n.a. (注) 1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 2.2016 年 5・6 月の値が発表されていない指標の 2016 年 4~6 月期前期比は、4 月の 1~3 月期に対する変化率。 3.輸出数量及び輸入数量はみずほ総合研究所による季節調整値。中国を除くアジア向け輸出数量は 2010 年輸出金額ウェイトにより算出。 4.対外交易条件=輸出物価指数÷輸入物価指数。 (資料) 財務省「貿易統計」 、日本銀行「実質輸出入」 、 「国際収支統計」 、 「企業物価指数」 、 「外国為替相場」 、 CPB Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis 4 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 3.企業部門 生産・サービス活動 生産・サービス活動は、横ばいで推移している。4 月の鉱工業生産は前月比 +0.3%(3 月同+3.8%)と小幅に増加した。熊本地震による部品供給の問題 から輸送機械は減産となったが、全体では小幅な増産を維持した。非製造業 は、3 月の第 3 次産業活動指数が前月比▲0.7%(2 月同+0.2%)と低下して おり、 1~3月期でみても前期比+0.1%とほぼ横ばいで推移している (図表1) 。 先行きについては、しばらくは横ばい圏で推移した後、緩やかに回復する とみている。生産は、5・6 月の生産予測指数が力強さを欠いているなか、在 庫調整圧力の残存も生産の下押し要因として引き続き寄与するだろう(図表 2) 。ただし、今後、徐々に在庫調整が進むにつれ、生産は緩やかな回復に向 かうとみている。サービス活動についても、個人消費の力強さに欠ける動き からすると、回復のペースは緩やかなものにとどまるだろう。 企業収益・財務 企業収益は弱含んでいる。法人企業統計での 1~3 月期の経常利益(金融、 保険除く全産業。季節調整値)は前期比▲6.8%(10~12 月期同▲3.3%)と 3 四半期連続の前期比マイナスとなった(図表 3) 。これまで相対的に堅調だ った非製造業も回復トレンドに一服感がみられるなど、業績改善の動きは一 旦止まった格好だ。 日銀短観(2016 年 3 月調査)では、下期には増益に復する計画となってい るものの、海外経済の減速や円高などを受けて、企業業績はしばらく横ばい 圏で推移するものとみられる。加えて、為替レートは足元で再び円高方向に 振れており、4 月以降は一貫して想定レートである 117.05 円(全規模・全産 業)対比で円高で推移している。今後、輸出企業を中心に業績が下振れるリ スクがあるだろう。 企業マインド 企業マインドは弱含んでいる。5 月の景気ウォッチャー調査では、現状判断 DI(企業動向関連)が 43.5(4 月:45.0)と 2 カ月連続の低下となった 。 製造業・非製造業とも受注が減少しているとのコメントがみられたほか、熊 本地震の影響を指摘する声も多く聞かれた。 今後の企業マインドは、外的要因には依然不透明感が残り、熊本地震の影 響も重石となる可能性はあるが、生産・サービス活動の持ち直しにより徐々 に回復に向かうだろう。 設備投資 設備投資は足踏みしている。 法人企業統計における1~3月期の設備投資 (金 融、保険除く全産業。季節調整値)は、前期比+1.4%と増加傾向を維持した 一方で、1~3 月期の資本財総供給(除く輸送機器)は前期比▲3.1%となるな ど、指標によっては弱含みもみてとれる。 先行指標である機械受注(船舶、電力除く民需)をみると、4 月は前月比 ▲11.0%と減少した(図表 4) 。円高やそれによる企業収益の低迷、加えて熊 本地震なども寄与したと思われる。先行きは、短期的には企業収益の弱含み が足かせになると思われるが、これまで抑制されてきた維持更新投資を中心 に、設備投資は緩やかに回復するとみられる。 5 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 図表 1 鉱工業生産、第 3 次産業活動指数 (2010年=100) 115 図表 2 在庫循環図 (2010年=100) 10 106 8 第3次産業活動指数(右目盛) 105 103 100 102 12年4Q 4 2 0 ▲2 14年4Q 15年2Q 14年2Q 在庫調整局面 104 6 在庫積み増し局面 110 ( 在庫前年同期末比、%) 105 在庫積み上がり局面 16年4月 15年4Q 13年4Q 13年2Q ▲4 ▲6 95 101 ▲8 鉱工業生産指数 90 2013/1 ▲ 10 ▲ 10 ▲ 8 100 13/7 14/1 14/7 15/7 15/1 16/1 (年/月) 意図せざる在庫減局面 ▲6 ▲4 ▲2 0 2 4 (生産前年同期比、%) 6 8 10 (注)生産は前年同四半期平均との比較、在庫は前年同四半期末との比較。 但し、16 年 4 月はいずれも前年同月比。 (資料)経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成 (資料) 経済産業省「鉱工業指数」 、 「第 3 次産業活動指数」より、みずほ総合 総合研究所作成 図表 3 企業業績推移 図表 4 設備投資関連指標 (2010年=100) 135 (2007年度=100) 175 全産業 製造業 非製造業 機械受注(船舶、電力除く民需) 資本財出荷(輸送機器除く) 130 150 125 125 120 100 115 75 110 50 105 25 100 0 95 ▲ 25 90 ▲ 50 85 2006 07 08 09 10 11 12 13 14 15 2013/1 16 (年) (注) 全規模・全産業(除く金融・保険) 。季節調整値。 (資料) 財務省「法人企業統計」より、みずほ総合研究所作成 収益・財務 前期比、% 前期比、% 鉱工業在庫指数 出荷・在庫バランス 前期比、% 製造工業設備稼働率指数 第3次産業活動指数 建設業活動指数 売上高 製造業 前期比、% 非製造業 経常利益 %Pt 前期比、% 前期比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前期比、% マインド 設備投資 製造業 非製造業 企業倒産件数 大企業業況判断DI 製造業 非製造業 中小企業景況判断指数 景気ウォッチャー調査DI(企業関連) 機械受注(船舶・電力除く民需) 建築物着工床面積(非居住用) 資本財出荷(除く輸送機械) ソフトウェア受注額 前年比、% 前年比、% 前年比、% %Pt %Pt %Pt %Pt 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前年比、% 13/7 14/1 建設財出荷 14/7 15/1 15/7 16/1 (年/月) (注) 季節調整値。機械受注は、後方 3 カ月移動平均。 (資料) 経済産業省「鉱工業指数」 、内閣府「機械受注統計調査報告」 、財務省 「法人企業統計」より、みずほ総合研究所作成 図表 5 生産・サービス 鉱工業生産指数 活動 鉱工業出荷指数 設備投資(法人企業統計、 ソフトウェア除く) 企業部門の主要統計 FY2014 ▲ 0.5 FY2015 ▲ 1.0 ▲ 1.2 6.1 ▲ 1.2 1.8 0.4 ▲ 0.5 ▲ 2.0 2.4 1.3 ▲ 1.7 2.0 ▲ 0.3 ▲ 4.1 ▲ 0.2 1.8 2.9 1.5 ▲ 1.7 n.a. n.a. ▲ 7.3 0.6 ▲ 1.1 ▲ 3.5 1.4 ▲ 3.0 ▲ 2.6 1.3 1.2 ▲ 1.3 ▲ 0.9 0.3 ▲ 0.1 ▲ 1.5 ▲ 2.7 ▲ 4.3 ▲ 0.6 0.1 0.6 ▲ 3.3 1.1 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 5.5 2.8 0.7 1.3 - ▲ 0.7 ▲ 5.4 0.2 1.6 - ▲ 2.5 3.2 ▲ 0.7 ▲ 0.9 - ▲ 3.6 n.a. n.a. n.a. - n.a. n.a. n.a. n.a. - ▲ 0.7 2.4 5.9 5.9 6.3 5.6 ▲ 10.5 0.8 ▲ 6.7 4.4 3.6 ▲ 0.7 ▲ 1.5 4.9 n.a. ▲ 4.6 10.3 ▲ 7.0 4.1 ▲ 4.6 ▲ 2.3 1.3 ▲ 1.4 ▲ 3.2 ▲ 1.7 ▲ 3.3 ▲ 21.2 12.7 0.3 18 12 25 2.6 ▲ 2.2 ▲ 1.7 3.0 ▲ 2.2 ▲ 3.8 ▲ 9.3 ▲ 6.8 ▲ 20.4 ▲ 4.5 ▲ 5.0 13 6 22 6.7 ▲ 1.2 ▲ 2.4 ▲ 1.1 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 10.8 n.a. 4.9 n.a. ▲ 4.2 47.2 45.9 15.0 ▲ 13.4 4.2 0.5 4.6 47.9 45.8 ▲ 9.2 22.2 ▲ 8.1 2.5 ▲ 12.8 48.8 46.5 5.5 ▲ 6.0 2.6 ▲ 3.2 ▲ 12.1 47.8 45.0 ▲ 11.0 ▲ 14.0 6.0 3.3 n.a. 45.6 43.5 n.a. n.a. n.a. n.a. 2015Q4 2016Q1 2016Q2 0.1 ▲ 1.0 0.9 2016/01 2016/02 2016/03 2016/04 2016/05 2.5 ▲ 5.2 3.8 0.3 n.a. (注)1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 2.2016 年 2Q の鉱工業生産、出荷、在庫、出荷・在庫バランス、機械受注、資本財出荷は、2016 年 1~3 月期と 4 月実績の比較。 (資料) 経済産業省「鉱工業指数」 、 「第 3 次産業活動指数」 、 「全産業活動指数」 、 「特定サービス産業動態統計調査」 、財務省「法人企業統計」 、 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」 、帝国データバンク「全国企業倒産集計」 、商工組合中央金庫「中小企業月次景況観測」 、内閣府 「景気ウォッチャー調査」 、 「機械受注統計調査報告」 、国土交通省「建築着工統計調査報告」 6 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 4.家計部門 雇用者所得 雇用者所得は回復傾向にある。4 月の失業率は 3.2%と前月から横ばいとなっ たが、就業者数は 3 カ月ぶりに増加しており、雇用の改善を示す結果となっ た。有効求人倍率は、求人数の増加および求職数の減少により、1.34 倍(3 月 1.30 倍)と前月から大幅に改善した(図表 1) 。4 月の名目賃金は、所定内 給与、所定外給与、特別給与のいずれも押し上げ要因となり、前年比+0.3% と 3 カ月連続で増加した。物価調整後の実質雇用者所得(常用雇用×実質賃 金(※) )は、同+2.4%と堅調に推移している(図表 2) 。 今後も、雇用者所得は緩やかな回復が続くだろう。依然として、中小企業 を中心に非製造業の人手不足感が強いことから、雇用情勢は緩やかな改善が 続く見込みである。名目賃金も緩やかに増加するだろう。円高の影響などに より企業収益は弱含むものの、タイトな労働需給を背景に、所定内給与は緩 やかな回復が続く見通しである。また、夏の一人当たりボーナスについては、 伸びは弱いものの増加を見込んでいる。 (※)消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いて実質化。 消費者マインド 消費者マインドは弱含んでいる。5 月の消費者態度指数は、前月からほぼ横 ばいだった。熊本地震により九州・沖縄地方のマインドはやや悪化したもの の、金融市場の落ち着きにより、他地域のマインド悪化には歯止めがかかっ た。ただし、熊本県の世帯は 5 月の調査対象から除外されたため、九州・沖 縄地方の値はやや割り引いてみる必要がある。今後、熊本地震の影響収束や 雇用者所得の改善などを背景に、消費者マインドは徐々に持ち直すだろう。 個人消費 個人消費は弱含んでいる。4 月の実質消費支出(二人以上の全世帯)は、前 月比+0.2%(3 月同+0.5%)と 3 カ月連続、消費活動指数は前月比+0.8% と前月(3 月同▲1.3%)から 2 カ月ぶりに増加した。ただし、2 月の大手自 動車メーカーの生産中断による影響が収束した新車販売を除けば、消費全体 の増勢は強まっていない。なお、5 月の新車登録台数(季節調整値・みずほ総 合研究所による試算)は小幅な減少にとどまっており(図表 3) 、熊本地震に よる生産中断の影響は限定的だったと評価されよう。 先行きの個人消費は、雇用者所得の回復が続くものの可処分所得の伸び悩 みが見込まれることから、当面は力強さに欠けると予測する。 住宅着工 新設住宅着工戸数は増加している。4 月の着工戸数(季調済み年率)は 99.5 万戸(3 月 99.3 万戸)と 4 カ月連続で増加した。貸家が前月比+10.6%(3 月同▲4.4%)と大きく増加したほか、持家や分譲住宅も均してみれば増加基 調を維持しており、堅調な結果となった(図表 4) 。 当面は 2017 年 4 月に予定されていた消費増税を見据えた駆け込み需要が残 るとみられるため、住宅着工は高水準を維持する見込みである。駆け込み需 要が剥落する年後半にかけては、着工の増勢は弱まるだろう。 7 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 図表 1 有効求人倍率の要因分解 図表 2 実質雇用者所得 (前年比、%) (前月差、%Pt) 0.05 求職減少要因 0.04 求人増加要因 0.03 有効求人倍率 5.0 物価要因 名目賃金要因 雇用者数要因 実質雇用者所得 2.5 0.02 0.01 0.0 0.00 ▲ 0.01 ▲ 2.5 ▲ 0.02 ▲ 0.03 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 (月) 2014 2015 ▲ 5.0 2016 (年) 14/01 14/07 15/01 15/07 16/01 (年/月) (資料) 厚生労働省「職業安定業務統計」より、みずほ総合研究所作成 図表 3 (資料) 厚生労働省「毎月勤労統計」より、みずほ総合研究所作成 新車登録台数の推移 図表 4 利用関係別着工の推移 (年率、万台) 560 (年率、万戸) 540 45 520 500 (年率、万戸) 持家 貸家 16 分譲住宅 15 一戸建 40 14 480 35 460 440 13 12 30 420 マンション 11 400 25 380 360 20 14/01 14/04 14/07 14/10 15/01 15/04 15/07 15/10 16/01 16/04 (年/月) 13 (注) みずほ総合研究所による季節調整値。 (資料) 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会より、みずほ総合研究 所作成 図表 5 就業者数 有効求人倍率 マインド 個人消費 住宅着工 % 14 15 9 16 (年) 13 14 15 16 (年) (注)季節調整値の後方 3 カ月移動平均。 マンションおよび一戸建ては、みずほ総合研究所による季節調整値。 (資料)国土交通省「建築着工統計」より、みずほ総合研究所作成 家計部門の主要統計 FY2014 雇用・所得 完全失業率 10 3.5 FY2015 3.3 2015Q4 3.3 2016Q1 2016Q2 3.2 3.2 2016/01 2016/02 3.2 3.3 2016/03 2016/04 2016/05 3.2 3.2 n.a. 前期差、万人 38 28 3 29 ▲8 61 ▲ 58 ▲ 13 20 n.a. 倍 1.12 1.24 1.26 1.29 1.34 1.28 1.28 1.30 1.34 n.a. 新規求人数 前期比、% 3.6 4.2 3.4 ▲ 1.3 1.4 ▲ 1.0 1.7 ▲ 6.7 5.7 n.a. 所定外労働時間 前期比、% 2.0 ▲ 1.4 ▲ 0.2 ▲ 1.2 0.2 ▲ 0.2 ▲ 1.0 ▲ 0.2 0.7 n.a. 名目賃金 前年比、% 実質賃金 前年比、% 0.5 ▲ 2.9 0.2 ▲ 0.2 0.2 ▲ 0.1 0.7 0.6 n.a. n.a. 0.0 0.0 0.7 0.3 1.5 1.6 0.3 0.6 n.a. n.a. 名目雇用者所得(雇用者数×名目賃金) 前年比、% 1.3 n.a. 1.1 2.3 n.a. 1.8 2.3 2.7 2.2 n.a. 実質雇用者所得(雇用者数×実質賃金) 前年比、% ▲ 2.2 n.a. 0.9 2.2 n.a. 1.8 1.8 2.8 2.4 n.a. 40.9 消費者態度指数 % - - - - - 42.3 40.1 41.7 40.8 消費総合指数 前期比、% ▲ 2.5 ▲ 0.0 ▲ 0.8 0.5 n.a. 0.7 0.2 ▲ 0.1 n.a. n.a. 消費活動指数(実質) 前期比、% ▲ 1.7 0.3 ▲ 0.4 ▲ 0.1 0.3 ▲ 0.1 0.9 ▲ 1.3 0.8 n.a. 実質消費支出(二人以上の全世帯) 前期比、% ▲ 5.0 ▲ 1.6 ▲ 2.1 0.6 1.1 ▲ 0.6 1.7 0.5 0.2 n.a. 実質小売業販売額 前期比、% ▲ 4.6 0.5 ▲ 0.2 ▲ 1.2 0.4 0.5 ▲ 3.2 2.3 ▲ 0.1 n.a. 新車販売台数(乗用車) 年率、万台 401.0 443.9 421.4 396.9 418.6 402.5 394.3 393.8 424.5 412.8 合計 年率、万戸 88.0 92.1 86.8 94.7 99.5 87.3 97.4 99.3 99.5 n.a. 年率、万戸 27.8 28.4 26.9 29.3 29.3 27.8 29.4 30.7 29.3 n.a. 持家 貸家 年率、万戸 35.8 38.4 36.1 38.8 43.0 36.7 40.7 38.9 43.0 n.a. 分譲住宅 年率、万戸 23.6 24.7 23.1 25.6 27.1 22.3 25.7 28.9 27.1 n.a. (注) 1. 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 2. 2016 年 5・6 月の値が発表されていない指標の 2016 年 4~6 月期の前期比・前期差は、4 月の 1~3 月期に対する変化・変化率。 3. 消費総合指数は四半期系列、月次系列ごとに季節調整がかけられるため、月次平均と四半期値は一致しない。 4. 実質小売業販売額は、みずほ総合研究所による計算値。 5. 新車販売台数はみずほ総合研究所による季節調整値。 (資料) 総務省「労働力調査」 「家計調査」 、厚生労働省「一般職業紹介状況」「毎月勤労統計」、内閣府「消費動向調査」「消費総合指数」、 経済産業省「商業動態統計」、国土交通省「建築着工統計」、日本銀行「消費活動指数」、日本自動車販売協会連合会等 8 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 5.政府部門 公的需要 公的需要は上向きつつある。3 月の公共工事出来高は、前月比▲1.1%と 2 カ月連続で減少したものの、減少幅は縮小してきている(図表 1) 。また、政 府消費は 1~3 月期に前期比+0.7%と増加が続いた。今後についてみると、 公共投資は増加していくと予想される。先行指標である 4 月の公共工事請負 金額は、 前月の大幅増の反動もあり▲12.1%と5カ月ぶりに減少したものの、 均してみれば増加傾向にある。人手不足の緩和や資材価格の上昇一服、2015 年度補正予算や 2016 年度当初予算の早期執行が押し上げ要因となろう。政府 消費も、社会保障給付の拡大により増加傾向が続き、公的需要全体では緩や かな増加が続く見込みである。 税収 税収は増加している。2016 年 4 月分(2015 年度出納整理期間中の納税分) の国税収入は所得税収が伸びたことが全体を押し上げ、前年比+10.2%(3 月同+5.0%)と増加が続いた。全体の進捗率(補正後の予算額を使用)は 86.1%と、前年度をやや上回って推移している(図表 2) 。このペースで進捗 が進めば、2015 年度の税収は約 58 兆円前後と、見込み額(約 56.4 兆円)を 2 兆円弱上回るとみられる。 円高で法人税収の増加が伸び悩むとみられる一方、 経済政策 雇用者所得の改善などが続くことから、税収は緩やかに増加するだろう。 5 月 26、27 日に伊勢志摩サミット(G7)が行われ、世界経済や移民・難 民、貿易等の幅広いテーマで議論が行われた。世界経済については、下方リ スクが高まっている中、日本は財政出動を中心とした経済政策について各国 と協調姿勢を示したい考えだったようだ。しかし、各国の経済環境の差異な どを背景に、 「全ての政策手段(金融、財政及び構造改革)を個別にまた総合 的に用いる」と、財政出動に消極的なドイツ・イギリスに配慮する形の宣言 となった(図表 3) 。 こうした中、安倍首相は 6 月 1 日に記者会見を開き、2017 年 4 月に予定さ れていた消費増税について、19 年 10 月までの 2 年半の延期を表明した。世 界経済が大きなリスクに直面しており、日本が再びデフレに逆戻りするリス クが高まったこと、また、消費税率の 10%への引き上げが内需を腰折れさせ かねないことが原因と述べた。秋には「総合的かつ大胆な経済対策」を講じ ることも併せて打ち出された。 消費腰折れに対する懸念は理解できるものの、増税延期により財政健全化 の遅延は避けられない。2020 年度のプライマリーバランス対GDP比(みず ほ総合研究所による試算)は、消費増税の実施と延期の場合であまり変わら ないが(図表 4) 、それまでの間は赤字幅が拡大する結果となる。加えて、秋 に打ち出される経済対策についても、4 兆円程度であれば国債の利払い費の 削減などにより賄うことができるが、一部で報じられているように 10 兆円規 模となれば、赤字国債の発行が必要となろう。 「経済成長なくして財政健全化なし」という基本方針に基づけば、経済対 策による短期的な景気の下支え策だけでなく、社会保障改革や成長戦略の実 施等、長期にわたる対策も併せて進めていくことが求められよう。 9 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 図表 1 (兆円) 公共工事出来高・請負金額の推移 図表 2 (兆円) 公共工事出来高 2.0 (%) 1.6 公共工事請負金額(右目盛) 4~5月平均 100 1.5 1.9 40 1.2 1.6 30 20 1.1 1.5 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 2014年度 50 3月 13/1 2015年度 80 60 1.3 1.7 90 70 1.4 1.8 税収の進捗率の推移 10 0 1.0 (年/月) 16/1 4月 7月 10月 1月 4月 (注) みずほ総合研究所による季節調整値。 (注)2015 年度の進捗率については、補正後の予算額を使用し計算。 (資料) 国土交通省「建設総合統計」 、保証事業会社 3 社「公共工事前払金保証統 (資料) 財務省より、みずほ総合研究所作成 計」より、みずほ総合研究所作成 図表 3 図表 4 G7伊勢志摩首脳宣言の世界経済等に関する主な内容 ○世界経済の状況 プライマリーバランスの推移 (対GDP比、%) 0 ・世界経済の見通しに対する下方リスクが高まっている ・弱い需要及び未対応の構造的な問題が、実際の及び潜在的な成長に負荷を与えている ▲1 ○政策的対応 試算値 ▲2 ・全ての政策手段(金融、財政及び構造改革)を個別にまた総合的に用いる ・金融政策のみでは、強固で、持続可能な、かつ、均衡ある成長に繋がらない ▲3 ・質の高いインフラ投資を促進 ・女性、若者及び高齢者による労働市場参加を推進、雇用の機会と質を改善 ▲4 ・鉄鋼の世界規模での過剰な生産能力は、世界的な影響を有する構造的な課題であると認識 20年度:▲2.1% (目標:黒字化) ▲5 ・為替レートは市場において決定されること、為替市場における行動に関して緊密に協議 ・通貨の競争的な切り下げを回避 ○金融規制 ▲6 ・銀行セクターにおける資本賦課の全体水準を更に大きく引き上げることなく、バーゼルⅢ枠組みの一貫性を確保し、 有効性を最大化するため、バーゼル委員会の作業に対する支持を再確認 ▲7 2017年4月増税 2019年10月増税 12 2010 ○租税及び透明性 14 16 20 (年度) 18 ・実質的所有者情報の入手可能性及びその国際的な交換に関するものも含む、国際基準の履行改善 (注)一般政府ベースの試算。 (資料)内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成 (資料)G7伊勢志摩首脳宣言より、みずほ総合研究所作成 図表 5 FY2014 公的需要 政府部門の主要統計 FY2015 2015Q4 2016Q1 2016Q2 2016/01 2016/02 2016/03 2016/04 2016/05 公共工事出来高 前期比、% 5.0 ▲ 2.0 ▲ 4.5 ▲ 2.2 n.a. 1.8 ▲ 1.6 ▲ 1.1 n.a. n.a. 公共工事請負金額 前期比、% ▲ 0.3 ▲ 3.8 0.6 5.6 9.6 3.2 4.2 0.6 14.6 ▲ 12.1 2.7 兆円 ▲ 23.3 ▲ 19.7 ▲ 5.2 ▲ 2.2 n.a. 3.3 ▲ 0.9 ▲ 4.7 ▲ 9.9 前年差、兆円 15.3 3.6 3.4 ▲ 0.3 n.a. 1.0 ▲ 1.4 0.2 ▲ 0.4 1.8 兆円 51.3 n.a. 14.2 12.2 n.a. 5.1 4.4 2.7 5.4 n.a. 会計年度累計、兆円 54.0 n.a. 30.9 43.1 n.a. 36.0 40.4 43.1 48.6 n.a. % n.a. n.a. 54.7 76.4 n.a. 63.8 71.6 76.4 86.1 n.a. 財政フロー 財政資金対民間収支(一般+特別) 一般会計租税・印紙収入 進捗率 前年度差、% n.a. n.a. 2.8 2.9 n.a. 2.9 2.8 2.8 3.1 n.a. 所得税収入 会計年度累計、前年差、兆円 1.3 n.a. 0.8 ▲ 14.3 n.a. 0.8 0.8 0.8 1.0 n.a. 法人税収入 会計年度累計、前年差、兆円 0.5 n.a. ▲ 0.2 ▲ 6.2 n.a. ▲ 0.2 ▲ 0.2 ▲ 0.2 ▲ 0.2 n.a. 消費税収入 会計年度累計、前年差、兆円 5.2 n.a. 2.4 ▲ 10.2 n.a. 2.6 2.8 2.9 3.0 n.a. n.a. 兆円 1,053.4 1,049.4 1,044.6 1,049.4 n.a. 1,075.2 1,061.3 1,049.4 1,056.4 前年差、兆円 28.4 ▲ 4.0 14.7 ▲ 4.0 n.a. 27.7 6.7 ▲ 4.0 ▲ 11.0 n.a. 兆円 843.7 874.6 865.1 874.6 n.a. 873.3 883.4 874.6 882.6 n.a. 国庫短期証券 兆円 154.7 119.9 124.4 119.9 n.a. 147.3 123.2 119.9 119.7 n.a. 借入金 兆円 55.0 54.8 32.5 54.8 n.a. 35.3 39.6 54.8 40.6 n.a. 10億ドル 1,245.3 1,262.1 1,233.2 1,262.1 n.a. 1,248.1 1,254.1 1,262.1 1,262.5 1,254.0 財政ストック 政府債務残高 内国債 外貨準備高 (注)1.公共工事出来高、公共工事請負金額はみずほ総合研究所による季節調整値。 2.公共工事請負金額の 4~6 月期前期比は、4・5 月の 1~3 月期に対する変化率。 (資料)日本銀行「金融経済統計月報」 、財務省「租税及び印紙収入、収入額調」 、 「財政資金対民間収支」 、経済産業省「全産業供給指数」 、国土交通省「建設総 合統計」 、保証事業会社「公共工事前払金保証統計」 10 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 6.物価 国内企業物価 国内企業物価は前年比マイナス幅が拡大している。 4 月の国内企業物価指数 は前年比▲4.2%(3 月同▲3.8%)と 3 カ月連続で拡大した(図表 1) 。石炭・ 石油製品のマイナス幅は前月から縮小したものの、電力・都市ガス・水道や、 薬価改定に伴う化学のマイナス幅の拡大が企業物価の押し下げに寄与した。 先行きを展望すると、国内企業物価指数は前年比大幅なマイナスが続く見 通しである。円高基調が続く中、輸入物価の下落を通じて国内企業物価は低 迷するだろう。その他の製品も、景気が力強さを欠く中で、足元と同程度の 下落幅が続く見通しである。 消費者物価 消費者物価は前年比マイナスで推移している。 4 月の生鮮食品を除く総合指 数(コアCPI)は前年比▲0.3%(3 月同▲0.3%)と、下落幅は前月から横 ばいだった(図表 2) 。電気代やガス代の下落幅が拡大したほか、円高の影響 などから生鮮食品を除く食料の伸びが鈍化した。一方で、原油価格の持ち直 しを受け、ガソリン代のマイナス幅は縮小した。食料(酒類除く) ・エネルギ ーを除く総合指数 (米国基準コアCPI) の伸びも同+0.7% (3 月同+0.7%) と前月と同水準で推移した。5 月の東京都区部コアCPIは、前年比▲0.5% (4 月同▲0.3%)とマイナス幅が拡大した(図表 3) 。宿泊料の伸びが拡大し たものの、生鮮食品を除く食料や外国パック旅行の伸びが前月から縮小した ことが寄与した。米国基準コアCPI前年比の伸びは同+0.5%(3 月同 +0.6%)と前月から伸びが縮小した。 電気代・ガス代の下落による下押し圧力は当面続くとみられる。また、景 気が力強さを欠く中、円高に伴う輸入物価の下落の影響もあり、米国基準コ アCPI上昇率は鈍化するだろう。今後のコアCPIは、前年比マイナスが 続く見通しである。 金融政策 日銀は 2016 年 1 月の金融政策決定会合において導入した「マイナス金利付 き量的・質的金融緩和」に即して金融緩和を進めている。4 月 27、28 日の金 融政策決定会合では、現状の政策を維持することを決定した。また「経済・ 物価情勢の展望」 (4/28)では、エネルギー価格下落の影響などを踏まえ、物 価目標 2%の達成時期を 2017 年度前半頃から 2017 年度中に後ろ倒しした。 5 月 19 日のG7会合前の記者会見で、黒田総裁は「物価目標の達成に必要 であれば、ちゅうちょなく追加的な緩和措置を講ずるという姿勢に変わりな い」との見解を示した。また 5 月 25 日の衆院財務金融委員会で、黒田総裁は 「消費者物価の前年比 2%の物価安定目標は適切」であり、 「変更する考えは ない」との意向を示した。 エネルギー価格の低迷や円高を背景に、コアCPIはしばらく前年比マイ ナス圏で推移する見通しである。また日銀が重視する生鮮食品及びエネルギ ーを除く総合は 4 月に前年比+0.9%(3 月同+1.1%)と 9 カ月ぶりに 1%を 下回り(図表 4) 、今後も伸びが鈍化すると予想される。日銀は、2016 年内に もう一段の金融緩和を実施するとみられる。 11 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 図表 1 国内企業物価指数 図表 2 (前年比、%) 3 生鮮食品を除く総合CPI (前年比、%) 4 2 コアCPI 3 1 コアCPI (消費税の影響を除く) 2 0 ▲1 1 ▲2 0 ▲3 ▲4 ▲5 13/1 他の加工業種 他の素材業種 電子機器・他の機械 エネルギー 化学・非鉄金属 飲食料品 国内企業物価 13/7 14/1 14/7 消費税率引き上げの影響 米国基準コア エネルギー 食料(生鮮食品・酒類を除く) ▲1 ▲2 15/1 15/7 13/1 16/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 (年/月) (年/月) (注) 消費税率引き上げの影響を除くベース。 (資料) 日本銀行「企業物価指数」より、みずほ総合研究所作成 図表 3 (前年比、%) 2.0 (資料) 総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成 全国と都区部のコアCPI 図表 4 1.5 コアCPI(全国) (前年比、%) 日銀・総合CPI(除く生鮮・エネルギー) 刈込平均値(上下10%控除) コアCPI(都区部) 1.5 1.0 1.0 日銀・基調的なインフレ率 0.5 0.5 0.0 0.0 ▲ 0.5 ▲ 0.5 ▲ 1.0 ▲ 1.0 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 金融政策 (消費増税の影響を除く※当社推計値) 酒類を除く食品・エネルギーを除く (消費増税の影響を除く※当社推計値) 耐久消費財 半耐久消費財 非耐久消費財 一般サービス 公共サービス 無担保コール翌日物金利(末値) 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% % 14/7 15/1 15/7 16/1 (資料) 日本銀行「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」より、 みずほ総合研究所作成 図表 5 前年比、% 14/1 (年/月) (注) 消費税率引き上げの影響を除くベース。 (資料) 総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成 商品市況 日本銀行国際商品指数 国内企業物価 総平均 (消費増税の影響を除く) 素原材料 中間財 最終財 企業向け 総平均 サービス価格 (消費増税の影響を除く) 国際運輸を除く 金融・保険 不動産 運輸 情報通信 広告 リース・レンタル 諸サービス 消費者物価 総合 生鮮食品を除く 13/7 13/1 16/1 (年/月) 物価の主要統計 FY2014 FY2015 ▲ 18.8 ▲ 35.3 2.7 ▲ 3.2 ▲ 0.0 ▲ 3.3 ▲ 3.4 ▲ 6.1 0.5 ▲ 4.8 ▲ 0.5 ▲ 0.6 3.3 0.4 0.6 0.4 3.3 0.5 3.7 0.3 3.0 0.3 3.6 ▲ 0.2 2.5 ▲ 0.2 3.2 0.1 4.1 0.1 3.8 1.2 3.0 0.2 2.8 0.0 0.8 2.1 0.4 3.0 3.3 4.4 1.3 3.1 0.02 0.7 2.2 1.8 ▲ 0.6 0.4 0.8 ▲ 0.00 2015Q4 2016Q1 2016Q2 ▲ 35.8 ▲ 29.6 n.a. ▲ 3.7 ▲ 3.4 n.a. ▲ 3.7 ▲ 3.5 n.a. ▲ 6.3 ▲ 4.1 n.a. ▲ 5.6 ▲ 5.3 n.a. ▲ 0.5 ▲ 0.5 n.a. 0.3 0.2 n.a. 0.3 0.2 n.a. 0.4 0.4 n.a. 0.0 0.0 n.a. 0.6 0.8 n.a. ▲ 0.6 ▲ 0.8 n.a. ▲ 0.2 0.1 n.a. 0.3 0.6 n.a. 0.0 ▲ 1.4 n.a. 1.1 1.0 n.a. 0.2 0.1 n.a. 0.0 ▲ 0.1 n.a. 0.9 4.1 1.6 ▲ 0.8 0.5 0.3 0.04 0.7 2.7 2.0 ▲ 1.2 0.4 0.3 ▲ 0.00 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. 2016/01 2016/02 2016/03 2016/04 2016/05 ▲ 27.1 ▲ 36.6 ▲ 24.4 ▲ 21.9 ▲ 18.7 ▲ 3.2 ▲ 3.4 ▲ 3.8 ▲ 4.2 n.a. ▲ 3.2 ▲ 3.4 ▲ 3.8 ▲ 4.1 n.a. ▲ 4.9 ▲ 4.1 ▲ 3.3 ▲ 1.0 n.a. ▲ 5.0 ▲ 5.3 ▲ 5.8 ▲ 6.2 n.a. ▲ 0.3 ▲ 0.5 ▲ 0.8 ▲ 1.1 n.a. 0.3 0.2 0.2 0.2 n.a. 0.2 0.2 0.2 0.2 n.a. 0.4 0.3 0.4 0.4 n.a. 0.1 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.2 n.a. 0.8 0.8 0.7 1.0 n.a. ▲ 0.7 ▲ 0.8 ▲ 0.8 ▲ 1.1 n.a. ▲ 0.1 0.1 0.2 0.6 n.a. 0.9 0.2 0.5 1.0 n.a. ▲ 1.1 ▲ 1.4 ▲ 1.7 ▲ 1.5 n.a. 1.0 1.0 1.0 0.8 n.a. 0.0 0.3 ▲ 0.1 ▲ 0.3 n.a. 0.0 0.0 ▲ 0.3 ▲ 0.3 n.a. 0.7 3.0 1.9 ▲ 1.4 0.4 0.4 0.07 0.8 2.8 2.1 ▲ 0.7 0.5 0.3 ▲ 0.00 0.7 2.3 2.0 ▲ 1.4 0.4 0.3 ▲ 0.00 0.7 1.7 1.9 ▲ 2.1 0.5 0.7 ▲ 0.06 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 0.05 (注) 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 (資料) 日本銀行「企業物価指数」、「企業向けサービス価格指数」、「日本銀行国際商品指数」「金融経済統計月報」、総務省「消費者物価指数」 12 みずほ日本経済情報(2016 年 6 月号) 2 01 6年 6月 9日 発行 [執筆担当] 市川雄介(総括) 03-3591-1289 yusuke.ichikawa@m iz uho-ri.co.jp 有田賢太郎(物価) 03-3591-1419 kentaro.arita@miz uh o-ri.co.jp 小西祐輔(企業) 03-3591-1294 yusuke.konishi@mi zu ho-ri.co.jp 宮嶋貴之(個人消費) 03-3591-1434 takayuki.miyajima @m izuho-ri.co.jp 松浦大将(外需) 03-3591-1435 hiromasa.matsuura @m izuho-ri.co.jp 上里 啓(雇用) 03-3591-1284 hiromu.uezato@miz uh o-ri.co.jp 高瀬美帆(住宅) 03-3591-1416 miho.takase@mizuh o- ri.co.jp 川口 亮(政府) 03-3591-1243 ryo.kawaguchi@miz uh o-ri.co.jp ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではあり ません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正 確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更され ることもあります
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