2016 年の海外旅行についての緊急調査

2016 年第 11 号
(2016.6.10)
2016 年の海外旅行についての緊急調査
~潮目が変わった?2016 年に入ってからの海外旅行者の特徴と今後~
〇
〇
〇
〇
今年の海外旅行は 29 歳以下男女と 60 歳以上女性がけん引
観光旅行の約半数をアジアが占め、個人旅行と航空会社の直販が伸びる
熟年層こそウェブが主流。むしろ若年層が店舗を利用する傾向
瞬時に心を動かすプッシュ型の画像情報が“旅情”を喚起
(株)JTB総合研究所(東京都港区 代表取締役社長 野澤 肇)は、
「2016 年の海外旅行についての緊急
調査」を実施しました。当社は生活者の消費行動と旅行に関する調査分析を継続的に行っています。
日本の海外旅行市場は、経済成長とプラザ合意以降の円高を背景に 80 年代後半から右肩上がりで推移しまし
た。しかし 2000 年を境に出国者数は頭打ちとなり、2012 年は過去最高人数を更新したものの、翌年以降は国
際情勢や感染症の発生、円安などの影響もあり再び低迷が続いていました。
2016 年に入ってから動きは一転し、4か月連続で対前年比増となりました。その一方で主要旅行会社のパッ
ケージ商品の取扱人数は連続して前年割れの状態です。海外旅行市場が動いたきっかけは何なのか、どのような
人々が旅行をしているのか、緊急調査結果から探ります。
【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート調査
スクリーニング調査対象者:全国に居住する 15~79 歳の男女 40,000 人へのインターネットアンケート調査
(うち、2016 年 1~5 月の海外旅行経験者は 2,743 名)
本調査対象者:スクリーニング調査対象者の中で、2014 年 1 月以降に海外旅行(ビジネス、観光問わず)をし
た経験者 3,399 名(うち、2016 年 1~5 月の海外観光旅行経験者は 1,157 名、海外ビジネス旅行経験者は 192 名)
調査期間:2016 年 5 月 16 日~5 月 20 日
【2012~
2012~15 年の海外旅行の動き】
過去最高の 1,849 万人の出国者数を記録した 2012 年と 1,620 万人だった 2015 年の出国者数を性年代別にみる
と、全体的に女性の方の減少が大きく、特に 20 代、30 代、60 代の落ち込みが目立ちました。男性も年代的には
同様の傾向が見られますが、ビジネス出張が多いと考えられる 40~50 代男性はそれほど大きな落ち込みは見ら
れません。2015 年の出国者数の減少は主に観光需要の縮小に起因するものであったと考えられます。
~1~
2012年と
年と2015年の日本人出国者数と
年の日本人出国者数と
年と
2012年と比較した
年と比較した2015年の比率(主な性年齢別)
年の比率(主な性年齢別)
年と比較した
万人
300
2012年
2015年
2012vs.2015年比(年間)
88.8
80.3
82.5
79.7
74.7
89.4
78.8
2015年
120%
2016年
伸び率(%)
100.0
93.9
250
日本人の出国者数と対前年比
(2015年、
年、2016年月別)
年月別)
年、
88.3
85.6
87.7
万人
100%
200
80%
150
60%
100
40%
50
20%
0
0%
200
103.3
107.0
105.9
180
100%
160
140
90%
120
100
女
女
女
女
女
女
20~29 30~39 40~49 50~59 60~69
歳
歳
歳
歳
歳
男
70~
79歳
男
男
男
男
110%
101.1
80%
80
70%
60
40
男
60%
20
20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79
歳
歳
歳
歳
歳
歳
0
50%
1月
2月
3月
4月
出典・日本政府観光局
出典:法務省「出入国管理統計統計表」
【2016 年における海外旅行の環境】
年における海外旅行の環境】
2016 年における海外旅行の環境をみると、為替レートは 2015 年の後半から徐々に円高に転じ、燃油サーチャ
ージは 2014 年の終わりから下がり始め、2015 年の 12 月には 0 円となりました。2016 年には、比較的海外旅行
には行きやすい状況が整ったということが言えるでしょう。
円/1unit
円/100unit
為替レートの推移
160
140
燃油サーチャージの推移
円
12
30,000
10
25,000
120
韓国
中国
グアム・ベトナム
タイ・シンガポール
8
100
80
6
ドル(左軸)
4
ユーロ(左軸)
2
5,000
日銀「金融経済統計月報」よりJTB総合研究所作成
Jul-15
Oct-15
Apr-15
Jan-15
Jul-14
Oct-14
Apr-14
Jan-14
Jul-13
Oct-13
Apr-13
Jan-13
Jul-12
Oct-12
2016
0
Jan-12
4月
0
1月
7月
2015
10月
1月
7月
2014
10月
4月
1月
7月
2013
10月
4月
1月
7月
10月
4月
1月
2012
4月
ウォン(右軸)
0
北米・欧州・オセアニア
15,000
10,000
40
20
インドネシア・ハワイ
Apr-12
60
20,000
出典:JALプレスリリースよりJTB総合研究所作成
【2016 年 1 月~5
月~5 月に海外旅行をした人の特徴】
月に海外旅行をした人の特徴】
「観光旅行」、「業務出張・ビジネス関連旅行」が共に伸びる。
「観光旅行」、「業務出張・ビジネス関連旅行」が共に伸びる。15
共に伸びる。15~
15~29 歳男女、60
歳男女、60 代女性がけん引
スクリーニング調査における、2016 年 1 月~5 月に海外旅行をした人の属性は以下の通りです。
海外旅行の目的は「観光旅行・レジャー」が最も高く 74.6%。次いで「家族・友人訪問(13.7%)
」
「業務出張
(11.6%)
」でした。1 月~5 月という時期的な要因もあり、新婚旅行の割合は低くなりました。
性年齢別でみると、3 月~4 月にかけては 60 歳以上女性の割合が高く、5 月は 15~29 歳女性男性の割合が高
まりました。5 月に海外旅行をしたきっかけとして「仕事が休めた」がトップであることから、GW の日並びの
良さで、働く若い層が動いたとみられます。居住地別では、首都圏の割合が高い傾向でした。
職業をみると 2 月、3 月は学生のシェアが高くなりました。厚生労働省が発表した「大学等卒業者の就職状況
調査」
によれば、
2016 年 4 月 1 日(3 月末)時点の大学卒業者の就職率(就職希望者に対する就職者の割合)は 97.3%
(データが取得可能な 1996 年 3 月末卒業者以降最高値)となり、昨年同時期と比べ 0.6%ポイントの増加が見
られたことから、卒業旅行が堅調であったことが考えられます。
世帯年収別には、1 月、5 月などピークシーズンには世帯年収が高い層が動く傾向がありました。海外旅行経
験別には、
これまでの海外観光旅行経験が 30 回以上の人が 19.0%と 2015 年の 9.9%より 10 ポイント近く高く、
海外旅行のリピーターが 2016 年の海外旅行市場をけん引しているものと推察されます(図1~図 7)
。
~2~
図 1 海外旅行の目的
(複数回答)
図 2 性年齢別割合
2015年と
年と2016年
年1月~
月~5月の海外旅行者(性年齢別割合)
年と
月~ 月の海外旅行者(性年齢別割合)
海外旅行の目的
80%
(単一回答)
74.6
72.8
2015年(3549)
60%
男性 15~29
男性 30代
男性 40代
男性 50代
男性 60歳以上
女性 15~29
女性 30代
女性 40代
女性 50代
女性 60歳以上
2016年(2743)
5月(588)
40%
20%
12.4
7.4
3.6
7.6
11.6
5.0 6.3
4.6 5.0
7.0
8.5
16.1
2月(494)
10.0
15.0
2016年1月~5月(2743)
13.0
2015年(3549)
7.1
8.6
10%
9.7
20%
8.8
7.7
12.1
8.6
8.4
図 3 海外旅行(観光)にでかけたきっかけ(2016 年)
1月(426)
2月(409)
3月(538)
4月(431)
5月(514)
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
(単一回答)
2016年
年1月~
月~5月
月~ 月の海外旅行者(地域別割合)
首都圏
名古屋圏
5月(588)
大阪圏
48.0
その他地域
17.2
10.0
24.8
4月(516)
43.4
10.3
17.6
28.7
3月(646)
44.7
8.0
19.7
27.6
2月(494)
45.3
1月(499)
44.1
全体(26953)
10%
20%
40%
26.7
18.0
9.4
30%
31.6
21.8
7.4
36.9
0%
14.0
9.1
50%
35.7
60%
70%
80%
90%
100%
*全体は、スクリーニング調査対象者4万人から海外旅行をしたことがない人を除いた数
~3~
など で
SNS
海 外 の情報に触れ行きたく
なった
円高になった ので海 外旅行
に行きやすくなった
図 4 居住地
など、格安 の航空券を
LCC
見つけた
燃油サーチャージが 下がり
海外旅行に行きやすくなっ
た
貯金や積立が貯まった
卒業や結婚、周年記念など
ライフステージ上の節 目が
あった
世 界の絶 景など、今ま で知
らなかったところの情報を
見て行きたくなった
たまたま安いツアーを見つ
けた
仕事が休めた
家族や友 人などに誘われた
0%
8.6
7.5
10.1
6.0
40%
8.2
18.2
8.0
50%
10.7
60%
6.4
10.0
18.2
14.1
6.1
4.9
6.2
7.8
7.5
70%
9.0
7.1
5.1
8.3
14.0
18.5
(複数回答)
旅行に出かけたきっかけ(観光旅行)
9.9
7.0
25.3
9.7
30%
7.8
21.5
9.1
8.1
6.9
15.6
14.0
6.3
7.6
8.7
8.8
0%
6.7
6.1
7.5
6.6
8.5
9.3
6.8
12.6
1月(499)
9.5
11.1
8.5
3月(646)
そ の他 の旅 行
そ の他 のビジネス関連旅 行
業務 出張
新婚旅 行
家族、友人訪問
観光旅 行 ・
レジャー
0%
12.2
4月(516)
13.7
7.7
8.4
80%
10.9
13.0
13.2
13.8
90%
100%
図 5 職業
(単一回答)
2016年
年1月~
月~5月の海外旅行者(職業別割合)
月~ 月の海外旅行者(職業別割合)
経営者・役員
会社員・公務員
専業主婦(主夫)
パート・アルバイト
学生
自営業
その他
無職
5月(588) 2.9
18.0
53.6
4月(516) 2.7
40.5
3月(646) 3.1
40.2
2月(494) 3.0
25.4
9.1
14.0
0%
10%
8.1
20%
30%
40%
50%
5.4 5.0 5.0
7.2
4.8 5.9
7.1
2.6 5.7
7.3
12.1
8.0
22.4
40.3
4.3 3.43.1 5.8
14.7
14.8
51.7
全体(26953) 1.8
8.7
15.0
47.2
1月(499) 2.8
9.0
60%
6.4 5.0 4.2 7.0
12.4
4.0 5.2 5.1
70%
80%
8.8
90%
100%
*全体は、スクリーニング調査対象者4万人から海外旅行をしたことがない人を除いた数
図 6 性年齢
(単一回答)
2016年
年1月~
月~5月の海外旅行者(世帯年収別割合)
月~ 月の海外旅行者(世帯年収別割合)
400万円未満
400~600万未満
600~800万未満
1000万円以上
わからない
無回答
5月(588)
17.5
4月(516)
19.2
3月(646)
2月(494)
19.8
1月(499)
21.4
20%
15.0
12.6
14.5
21.5
10%
30%
17.0
9.5
13.2
19.2
40%
8.7
16.1
8.7
11.9
16.8
19.4
9.3
13.8
16.3
25.0
0%
13.4
13.8
20.0
21.7
全体(26953)
16.0
15.1
800~1000万未満
50%
60%
10.3
11.4
11.5
11.1
12.1
14.8
15.8
8.9
9.4
70%
9.9
10.2
10.2
80%
7.4
10.6
90%
100%
*全体は、スクリーニング調査対象者4万人から海外旅行をしたことがない人を除いた数
図 7 海外旅行経験
(単一回答)
海外旅行経験(観光旅行)
30回以上
2016年(2743)
10回~29回
19.0
2015年(3549)
9.9
0%
5回~9回
3回~4回
2回
1回
18.5
12.8
8.5
29.7
30.9
20%
21.4
40%
海外旅行経験(ビジネス旅行)
14.3
60%
8.9
80%
0回
8.1 3.4
10.4 4.3
30回以上
2016年(2743)
10回~29回
7.6
7.8
6.9
5回~9回
7.3 5.6 6.3
2015年(3549) 4.1 5.2 4.5 4.6 4.5 8.5
100%
0%
~4~
20%
3回~4回
2回
1回
0回
58.5
68.7
40%
60%
80%
100%
【2016 年 1 月~5
月~5 月における
月における海外
おける海外観光
海外観光旅行
観光旅行の
旅行の特徴】
本調査からビジネス旅行を除く、観光旅行、家族親族訪問、新婚旅行などで動き始めた若年層および 60 代女性を中心
に、2016 年 1 月~5 月現在まで海外旅行をした人の傾向を探ってみました。
1. 行先は 「アジア」の割合
「アジア」の割合が大きく伸びる
の割合が大きく伸びる(
が大きく伸びる(2015 年との比較)
15~
15~29 歳女性は欧州や韓国とハワイ、15
歳女性は欧州や韓国とハワイ、15~
15~29 歳男性は台湾、60
歳男性は台湾、60 歳以上女性は欧州とその他アジアの割合が高い
2016 年 1~5 月における主な海外旅行先はアジアで約半数を占め、前年から大きくシェアを伸ばしました。欧
州は前年より減少して 15.0%でした。国別では、特に韓国やタイの上昇が顕著です。
性年齢別にみると、欧州、韓国は全体的に女性の人気が高くなりました。欧州は 60 歳以上の女性(23.0%)
が最も多く、30 代女性(20.7%%)
、60 歳以上男性(18.6%)と続きました。ハワイは 50 代女性(18.8%)
、
15~29 歳女性(16.5%)
、韓国は 30 代女性(19.5%)が高くなりました。一方、台湾は 15~29 歳男性(14.2%)
の割合が最も高い結果でした(図 8、9)
。
図 8 直近の海外観光旅行の行先
(単一回答)
直近の海外観光旅行の行先(2015年と
年と2016年)
年)
直近の海外観光旅行の行先(
年と
韓国
シンガポール
北米
台湾
その他アジア
グアム/サイパン
2016年(1157)
11.3
2015年(1162)
9.6
6.5
0%
9.6
10%
6.0 3.4
6.6
4.4 4.6 4.0
20%
タイ
欧州
オセアニア・太平洋
11.4
9.3
30%
15.0
13.2
18.4
40%
50%
中国・香港・マカオ
ハワイ
中南米その他
17.9
60%
8.0
9.6
70%
80%
5.1
6.5 4.0
6.3
5.4 4.0
90%
100%
JTB総合研究所
図 9 2016 年に行った主な海外観光旅行先(性年齢別)
(単一回答)
2016年に行った主な海外観光旅行先(性年齢別)
年に行った主な海外観光旅行先(性年齢別)
男性 15~29歳(127)
男性 30代(87)
男性 40代(75)
男性 50代(89)
男性 60歳以上(97)
女性 15~29歳(236)
女性 30代(82)
女性 40代(85)
女性 50代(96)
女性 60歳以上(183)
全体(1157)
25%
20%
15.0
15%
13.2
11.4
11.3
9.6
10%
5%
0%
欧州
(173)
ハワイ
(153)
その他アジア
(132)
韓国
(131)
台湾
(111)
JTB総合研究所
2. 海外観光
海外観光旅行先を
観光旅行先を選んだ
旅行先を選んだ理由:
選んだ理由:「ずっと行ってみたい場所だった(
理由:「ずっと行ってみたい場所だった(33.3
「ずっと行ってみたい場所だった(33.3%
33.3%)」「好きで繰り返し行っている場所(
)」「好きで繰り返し行っている場所(27.1
「好きで繰り返し行っている場所(27.1%)」
27.1%)」
「価格が安かった(23.2
「価格が安かった(23.2%)」
23.2%)」がトップ3
%)」がトップ3
15~
15~29 歳男性は、「友達に行ったことを自慢できる場所」
歳男性は、「友達に行ったことを自慢できる場所」や
「友達に行ったことを自慢できる場所」や「SNS やブログでのおすすめ」
やブログでのおすすめ」であることも
め」であることも重視
であることも重視
海外観光旅行先を選んだ理由としては、全体では「ずっと行ってみたい場所だった(33.3%)
」
「好きで繰り返
し行っている場所(27.1%)
」
「価格が安かった(23.2%)
」が上位となりました。
「ずっと行ってみたい場所だっ
~5~
た」は、特に 15~29 歳女性、30 代女性、60 代女性が高く、
「好きで繰り返し行っている場所」は 40 代、50 代、
60 歳以上男性で高くなりました。女性はどこか新しい場所を開拓しようとするのに対し、男性は気に入った場
所にリピートする傾向があるのかもしれません。
「価格が安かった」は、比較的若い世代で高い傾向が見られま
す。また、割合は高くはないものの、全世代との比較でみると 15~29 歳男女で「友達に行ったことを自慢でき
る」
「SNS やブログの記事でおすすめだった」がきっかけとなる傾向が見られました(図 10)
。当社の「スマー
トフォンの利用と旅行消費に関する調査(2015)
」
(*1)でも SNS が旅行のきっかけとなっていることが明らか
となっていますが、SNS だけでなく、スマートフォンを通じて提供されるプッシュ型の画像情報の増加が旅行
意欲を刺激している可能性があると考えられます。
図 10 2016 年に行った主な海外観光旅行先(性年齢別)
(複数回答)
2016年に行った海外観光旅行先を選んだ理由(性年齢別)
年に行った海外観光旅行先を選んだ理由(性年齢別)
JTB総合研究所
男性 15~29歳(127)
男性 30代(87)
男性 40代(75)
男性 50代(89)
男性 60歳以上(97)
女性 15~29歳(236)
女性 30代(82)
女性 40代(85)
女性 50代(96)
女性 60歳以上(183)
全体(1157)
50%
40%
33.3
27.1
30%
23.2
21.1
16.5
20%
11.0
5.5
10%
その他
1.7
フォローしている有名人
など のおすすめ
やブ ログ の記事 での
SNS
おすすめ
2.1
そこしか予約が取れな
かった
4.5
友達に行ったことを自
慢 できる場所だった
旅 行会社 のおすすめ
治安や感染症 の不安な
どが比較的少なかった
家族や友人のおすすめ
価格が安かった
好き で繰り返し行ってい
る場所だった
ず っと行ってみたい場所
だった
0%
5.1
3. 旅行の形態はフリープランのパッケージツアーが最も多い。
旅行の形態はフリープランのパッケージツアーが最も多い。2015
フリープランのパッケージツアーが最も多い。2015 年と比較すると「個人でホテルや飛行機を予約し
年と比較すると「個人でホテルや飛行機を予約し
ていく個人旅行(FIT)
ていく個人旅行(FIT)」
(FIT)」の割合が高まる
の割合が高まる
旅行の形態をみると、
「フリープラン・自由行動タイプのパッケージツアー」
(以下フリープラン)が 38.9%
と最も高く、次いで「個人で航空券やホテルを別々のサイトや店舗で予約購入した旅行」
(以下 FIT)の 21.2%
でした。2015 年と比較すると、フリープランの割合が減少し、FIT が増加しています。性年齢別にみると、年
が若いほどフリープランの比率が高く、男性の 40 代、50 代、女性の 30 代、40 代、は FIT の割合が高くなり、
男女ともに 60 歳以上では添乗員付きのパッケージツアーの割合が上昇します(図 11、12)
。
図 11 直近の海外旅行の形態
(単一回答)
直近の海外観光旅行の形態(2015年と
年と2016年)
年)
直近の海外観光旅行の形態(
年と
フリープラン・自由行動タイプのパッケージツアー
日本から添乗員が同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
現地に到着してから現地ガイドが同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
個人で航空券とホテルを同じサイトで予約・購入した旅行(ダイナミックパッケージ)
個人で航空券やホテルを別々のサイトや店舗で予約・購入した旅行
個人で航空券のみを予約・購入した
団体旅行その他
2016年(1157)
38.9
2015年(1162)
11.8
41.5
0%
10%
20%
14.5
30%
40%
7.7
10.4
50%
11.4
60%
21.2
6.2
70%
7.5 2.6
18.1
80%
6.1 2.2
90%
100%
JTB総合研究所
~6~
図 12 直近の海外旅行の形態(性年齢別)
(単一回答)
2016年に海外観光旅行をした人の旅行形態(性年齢別)
年に海外観光旅行をした人の旅行形態(性年齢別)
フリープラン・自由行動タイプのパッケージツアー
日本から添乗員が同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
現地に到着してから現地ガイドが同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
個人で航空券とホテルを同じサイトで予約・購入した旅行(ダイナミックパッケージ)
個人で航空券やホテルを別々のサイトや店舗で予約・購入した旅行
個人で航空券のみを予約・購入した
団体旅行その他
0%
10%
20%
全体(1157)
30%
40%
38.9
50%
11.8
44.9
11.8
男性 30代(87)
46.0
10.3
34.7
男性 50代(89)
男性 60歳以上(97)
21.6
21.6
女性 60歳以上(183)
35.3
32.3
30.1
2.4 10.6
11.5
23.5
5.5 1.6
8.0 3.4
30.7
13.3
39.3
4.1
9.8
7.1
12.5
23.7
6.1
7.2 3.1
10.6
15.3
8.1 2.1
30.5
4.91.2
30.6
7.3
8.2
22.9
5.5
0.0
5.6 2.2
7.2
9.3
100%
7.5 2.6
15.0
19.5
9.3
8.9
4.9
90%
21.2
6.9
5.7
18.6
42.7
80%
14.2
7.1
10.1
53.8
女性 30代(82)
女性 50代(96)
4.0
4.5 6.7
女性 15~29歳(236)
女性 40代(85)
8.0
31.5
70%
7.7
10.4
男性 15~29歳(127)
男性 40代(75)
60%
5.9
11.5
16.4
2.1
5.5 3.8
JTB総合研究所
4. 旅行の予約や購入は
旅行の予約や購入はウエブが主流で
ウエブが主流で、
が主流で、さらに比率が高まる傾向
さらに比率が高まる傾向に
傾向に
全体では、ウエブ
全体では、ウエブサイトでの旅行申込みが
ウエブサイトでの旅行申込みが 69.1%と
69.1%と 7 割近くを占め、2015
割近くを占め、2015 年の 57.7%より大きく増加
57.7%より大きく増加
旅行会社店舗(来店)での申し込みは
旅行会社店舗(来店)での申し込みは 15~
15~29 才女性が
才女性が 33.9%
33.9%と 3 割を超える。60
割を超える。60 歳以上女性は 11.5%
11.5%に留まる
2016 年の旅行の申し込み先をみると、ウエブサイトでの申し込みが 69.1%と 7 割近くを占め、前年から 10
ポイント以上増加しています。インターネット調査の結果という点を考慮しても、ウエブサイトで旅行を申し込
むことがごく一般的なことになっています。店舗で申し込む割合は、性年齢別では、15~29 歳女性が 33.9%と
最も高く、15~29 歳男性も比較的高く 23.6%となりました。60 歳以上の女性は 11.5%と最も低くなりました。
店舗での申込み割合が高い 15~29 歳はなぜ店舗で申し込んでいるのか、理由をくわしく見てみると、女性は
「旅行商品の細かいことについて質問したかった」
「現地でどんなことができるか相談に乗ってほしかった」な
どが上位となりました。男性では「どんな旅行がお得か教えてほしかった」
「現地でどんなことができるか相談
に乗ってほしかった」
「インターネットではなく店舗で支払いがしたかった」が高くなりました。女性と比較し
て、
「知り合いの担当者がいるので全部お任せした」が高いのも興味深い点です。
旅行会社店舗では熟年世代が申し込み、若者世代は自分達でウエブ申込みをするようなイメージが強いかもし
れませんが、熟年層も変化しています。ポスト団塊世代が 60 歳以上になってきていること、また、旅行経験が
豊富でインターネットにも慣れている熟年層はウエブで手軽に申し込む人も多く、むしろ旅行経験が浅い若い層
で「旅行会社の店舗で相談したい」
「お任せしたい」という気持ちが強いのではないでしょうか(図 13~図 15)
。
~7~
図 13 直近の海外観光旅行の申し込み先
(単一回答)
直近の海外観光旅行の申し込み先(2015年と
年と2016年)
年)
直近の海外観光旅行の申し込み先(
年と
ウェブサイトで
旅行会社の店舗(来店)
旅行会社のコールセンター
その他
2016年(1157)
旅行会社の店舗(非来店)
69.1
2015年(1162)
20.7
57.7
0%
10%
20%
5.0 2.72.5
28.8
30%
40%
50%
60%
5.6 3.6 4.2
70%
80%
90%
100%
JTB総合研究所
図 14 2016 年に海外観光旅行をした人の旅行申し込み先(性年齢別) (単一回答)
2016年に海外観光旅行をした人の旅行申し込み先(性年齢別)
年に海外観光旅行をした人の旅行申し込み先(性年齢別)
ウェブサイトで
旅行会社の店舗(来店)
旅行会社のコールセンター
その他
0%
10%
20%
30%
40%
全体(1157)
69.1
男性 15~29歳(127)
70.1
60%
70%
80%
77.0
77.3
男性 60歳以上(97)
19.5
2.3
1.1
0.0
4.0 4.01.3
27.0
66.0
3.41.1
1.1
21.6
60.6
5.2 3.1 4.1
33.9
女性 30代(82)
78.0
女性 40代(85)
3.80.8
0.8
15.9
80.0
女性 50代(96)
6.10.0
12.9
72.9
女性 60歳以上(183)
3.1
0.8
2.4
13.3
67.4
63.4
11.5
100%
5.0 2.72.5
23.6
男性 30代(87)
女性 15~29歳(236)
90%
20.7
男性 40代(75)
男性 50代(89)
50%
旅行会社の店舗(非来店)
1.2
0.05.9
13.5
7.3 4.22.1
10.4
8.7
6.0
JTB総合研究所
図 15 2016 年の海外旅行を店舗で申し込んだ理由(15~29 歳男女) (複数回答)
直近の海外旅行(2016年)を店舗で申し込んだ理由
年)を店舗で申し込んだ理由
直近の海外旅行(
(15~
~29歳男女)
歳男女)
男性15~29歳(50)
女性15~29歳(94)
50%
44.7
40%
2016年の旅行を店舗で申し込んだ人全体(349)
30.9
30%
20.0
22.0
29.8
26.0
20%
22.0
14.9
10%
18.0
24.5
20.0
16.0
12.8
12.0 11.7
8.5
4.3
0.0
その他
色 々な会社 の商 品を紹介して
くれた
どんな旅行先が自分に合ってい
るか、相談に乗ってほしかった
ど こが安全かなど、海外旅行 の
注意点を教えてほしかった
知り合いの担 当者がいるので、
全部お任せした
インターネットではなく店舗 で
支払いがしたかった
どんなツアーがお得かを教え
てほしかった
現地でどんな ことができるか、
相談に乗ってほしかった
旅行商 品の細かいことについて
質問したかった
0%
5. 旅行を申し込んだ会社は、
旅行を申し込んだ会社は、オンライン旅行会社、航空会社直販が伸び、旅行会社の申し込み
は、オンライン旅行会社、航空会社直販が伸び、旅行会社の申し込みは
オンライン旅行会社、航空会社直販が伸び、旅行会社の申し込みは減少
旅行会社での申し込みが
旅行会社での申し込みが多いのは、
会社での申し込みが多いのは、15
多いのは、15~
15~29 歳の男女
オンライン旅行会社の利用が多いのは男性 50 代、女性 30 代。航空会社利用が多いのは男女共に
航空会社利用が多いのは男女共に 40 代
~8~
次に旅行を申し込んだ会社について聞いてみたところ、2015 年と比較してオンライン旅行会社と航空会社の
割合が高まり、旅行会社の比率は減少しました。LCC の普及で個人旅行が拡大していると考えられます。性年
齢別にみると、オンライン旅行会社は男性の 50 代、女性 30 代、航空会社利用が多いのは男女共に 40 代でした。
また、申し込みをした旅行会社別にウエブサイトと店舗での申込みの割合を見てみると、ウエブ申込みが 6 割
以上ある会社や、ウエブサイトと店舗での申込み割合がそれぞれ半数となっている会社があります。いずれも前
年の申し込みと比較すると、ウエブサイトでの申込み割合が上昇する傾向が見られました(図 16~図 18)
。
図 16 直近の海外観光旅行で申し込みをした会社
(単一回答)
直近の海外観光旅行で申し込みをした会社
(2015年と
年と2016年)
年)
年と
旅行会社
オンライン旅行会社
2016年(1157)
51.7
2015年(1162)
航空会社
12.9
9.3
20%
40%
18.2
17.2
62.8
0%
その他
14.4
13.6
60%
80%
旅行会社:JTB、H.I.S.、Knt!、日本旅行、阪急交通社の合算
オンライン旅行会社:楽天トラベル、エクスペディアの合算
100%
JTB総合研究所
図 17 申し込みをした会社(性年齢別)
(単一回答)
図 18 旅行会社別申し込み方法 (単一回答)
申し込み旅行会社別の申し込み方法
2016年に海外観光旅行をした人が申し込みをした会社(性年齢別)
年に海外観光旅行をした人が申し込みをした会社(性年齢別)
0%
10%
航空会社
20%
全体(1157)
30%
男性 30代(87)
49.4
70%
80%
13.8
6.3
11.0
8.0
19.5
旅行会社のコールセンター
100%
7.0
8.7
旅行会社の店舗(来店)
旅行会社の店舗(非来店)
その他
90%
15.4
16.6
ウェブサイトで
0%
20%
A社(229)
13.3
B社(205)
41.6
21.3
53.6
女性 15~29歳(236)
12.4
58.5
18.3
18.3
12.9
41.7
48.6
旅行会社:JTB、H.I.S.、Knt!、日本旅行、阪急交通社の合算
オンライン旅行会社:楽天トラベル、エクスペディアの合算
26.0
5.5
11.9
14.8
80%
7.02.6 0.4
37.6
65.2
10.6
32.1
B社(255)
100%
45.4
5.41.50.0
13.6
53.8
46.3
C社(72)
9.1 1.5
7.2 5.2 1.6
43.9
6.72.0 1.2
16.7
62.5
9.7
9.7
1.4
2.1
10.6
15.9
21.2
27.1
9.4
9.3
5.6
15.5
16.5
9.7
37.8
31.8
10.1
21.3
2.7
60%
55.6
C社(66)
9.2
12.0
26.7
40%
44.5
A社(249)
男性 60歳以上(97)
女性 60歳以上(183)
覚えていない
13.4
45.3
男性 50代(89)
女性 50代(96)
60%
11.9
60.6
男性 40代(75)
女性 30代(82)
50%
49.1
男性 15~29歳(127)
女性 40代(85)
40%
その他
2016年
オンライン旅行会社
2015年
旅行会社
JTB総合研究所
17.7
27.9
9.8
7.1
5.2
3.3
JTB総合研究所
6. 【2016 年に入り復調傾向に転じた韓国への旅行者とは?】
年に入り復調傾向に転じた韓国への旅行者とは?】
性年齢別では
年齢別では 15~
15~29 歳女性の割合が高く、居住地別では、東名大以外の「その他地域」の割合が高い
2016 年に韓国へ旅行した理由の1位は「好きで繰り返し行っている場所だった(韓国 39.0%、全方面
39.0%、全方面 24.5%)」
24.5%)」。
%)」。
「価格が安かった(韓国 22.7%、全方面
22.7%、全方面 21.0%)」
21.0%)」 が続く
図 19 訪韓日本人旅行者の推移 (対前年比%)
韓国を訪問する日本人出国者数は、2012 年に 351.8 万人と過去
最高となって以来 2013 年~2015 年まで減少し、183.7 万人まで
落ち込みました。しかしながら 2016 年に入ってから復調の兆し
が見られます(図 19)
。本調査から 2016 年に韓国旅行に行った人
を性年齢別にみると、15~29 歳女性の割合が 27.3%と 1/4 以上を
訪韓日本人旅行者数の推移(対前年比)
+40.0%
韓流ドラマ
人気
+30.0%
K-POPブーム
+20.0%
+10.0%
+0.0%
-10.0%
-20.0%
~9~
2016年2月
2016年3月
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
出典:韓国観光公社データよりJTB総合研究所作成
2016年1月
場所」が 39.0%で全体の 24.5%を大きく上回りました。きっかけ
2005年
-30.0%
占めました。旅行に行った理由では、
「好きで繰り返し行っている
は「コンサートやイベントに参加したかった」が全体より高い傾向が見られたことから、韓国の文化や芸術に対
する固定的なファンの存在が後押ししたと考えられます。同行者は友人や自分一人での割合が高く、居住地別に
みると東名大以外の地域の割合が高くなりました。地域の空港から韓国へ就航している路線も多いことから、地
域の割合が高まったものと考えられます(図 20~図 24)
。
図 20 2016 年に韓国へ行った人の性年齢割合
(単一回答)
JTB総合研究所
2016年に韓国旅行をした人の性年齢割合
年に韓国旅行をした人の性年齢割合
男性 15~29歳
男性 30代
男性 40代
男性 50代
男性 60歳以上
女性 15~29歳
女性 30代
女性 40代
女性 50代
女性 60歳以上
韓国(154)
11.7
6.5 7.1
全体(1337)
11.9
7.9
0%
10%
7.1 3.9
7.8
8.9
20%
30%
27.3
8.5
11.0
20.3
40%
50%
7.8
6.4 7.0
60%
70%
7.4
22.7
21.0
24.5
20%
全体(1337)
韓国(154)
18.8
16.2
12.3
16.2
15.4
14.9
9.7
10%
5.3 6.5
4.5 5.2
1.6
4.8
3.9
3.2
1.8 1.9
その他
そこしか予約が取れなかった
友達に行ったことを自慢 でき
る場所だった
フォローしている有名 人など
のおすすめだった
やブ ログ の記事 でのおす
SNS
すめだった
旅 行会社 のおすすめだった
治安や感染症 の不安などが比
較的少なかった
ず っと行ってみたい場所だった
家族や友人 のおすすめだった
価格が安かった
好き で繰 り返し行っている場
所だった
0%
100%
JTB総合研究所
30.2
30%
90%
(複数回答)
2016年に韓国へ行った理由
年に韓国へ行った理由
39.0
7.8
14.0
80%
図 21 2016 年に韓国へ行った理由
40%
9.7
図 22 2016 年に韓国旅行をしたきっかけ
2016年に海外旅行をしたきっかけ
年に海外旅行をしたきっかけ TOP10
(韓国へ旅行した人)
40%
30%
(複数回答)
JTB総合研究所
全体(1337)
27.2 26.0
韓国(154)
20.3 16.9
20%
14.7
16.2
10%
12.3
5.0
7.2
9.1
9.1
5.6
7.8
6.7 7.1
5.6 6.5
8.4 5.8
貯金や
積立が貯まった
手ごろなクルーズ
旅行を 見つけた
円高になった ので海外旅行に
行きやすくなった
世界の絶景など、今ま で知ら
なかったところの情報を 見て
行きたくなった
などを通じ、海外 の情報に
SNS
触れ て行きたくなった
など、格安
LCC
航空券を 見つけた
海外で開催される
コンサートやイベントに参加
たまたま安いツアーを
見つけた
仕事が休めた
家族や友 人などに
誘われた
0%
14.7
~ 10 ~
図 23 2016 年の韓国旅行の同行者
(複数回答)
2016年の韓国旅行の同行者
年の韓国旅行の同行者
JTB総合研究所
図 24 2016 年に韓国旅行した人の居住地(単一回答)
JTB総合研究所
2016年に韓国旅行をした人の居住地
年に韓国旅行をした人の居住地
50%
41.7
全体(1337)
首都圏
40%
名古屋圏
大阪圏
その他の地域
韓国(154)
31.2
24.7
30%
22.4
韓国(154)
23.4
33.8
19.5
13.6
14.9
37.7
20%
9.9
8.4
5.9 5.2
6.4 5.2
会社 の同僚
子供、孫 (
高校生 以上)
子供、孫 (
中学生 以下)
兄弟姉妹、親戚
親
配偶者、パートナー
恋 人など
自分ひとり
2.1 3.2
1.9 0.6
その他
7.3 5.8
趣味やサークルなど の仲 間
6.1
友人
0%
全体(1337)
11.7
10%
45.0
0%
9.4
20%
40%
18.2
60%
27.3
80%
100%
【ビジネス旅行の現状】
7. 2016 年の海外ビジネス旅行は、
年の海外ビジネス旅行は、中国、韓国、タイなどアジア方面が増加
は、中国、韓国、タイなどアジア方面が増加(
中国、韓国、タイなどアジア方面が増加(2015 年との比較)
海外旅行の目的は前述のとおり、業務出張やビジネス関連旅行も 2015 年と比較して伸びが見られます。直近
の海外ビジネス旅行の主な行先をみると、中国や韓国などのアジア方面が伸びています。またフランスも若干で
すが増加しています。最近の海外ビジネス旅行先の変化について聞いた設問では、
「アジア方面が増えた(40.5%)
」
に次いで「欧州方面が増えた(11.9%)
」となりました。アジア方面の伸びと共に、欧州方面も根強い需要があ
りそうです。一方、
「テレビ会議が増えて出張が減った」は 2.2%に留まりました。2016 年のビジネス旅行頻度
の見込みとしては、51.2%が例年並みと回答し、23.9%が増えると回答しています。テレビ会議などでコストを
抑えつつも、グローバルなビジネスが拡大する中、実際にビジネスパートナーと会ってコミュニケーションを取
り事業を円滑に進めることも重要視されているのかもしれません(図 25~図 28)
。
図 25 海外ビジネス旅行の主な行先
(単一回答)
直近の海外ビジネス旅行の主な行先
図 26 海外ビジネス旅行先の変化 (単一回答)
2015年(192)
海外ビジネス旅行先の変化
2016年(202)
16%
14%
12%
アジア方面が増えた
北米方面が増えた
欧州方面が増えた
中近東方面が増えた
テレビ会議が増えて出張が減った
特に変化はない
10%
0%
8%
20%
40%
6%
2016年(185)
4%
60%
80%
2.2
1.1
38.4
100%
11.9
40.5
5.9
2%
*2016年の海外ビジネス旅行経験者 JTB総合研究所
欧州 (
合算 )
フランス
その他アジ ア
香港 マ/カオ
シンガポール
ハワイ
タイ
台湾
アメリカ
韓国
中国
0%
JTB総合研究所
~ 11 ~
図 27 2016 年の海外ビジネス旅行の形態
(単一回答)
図 28 2016 年の海外ビジネス旅行見込み
2016年の旅行見込み
年の旅行見込み
JTB総合研究所
2016年に行った海外ビジネス旅行の形態
年に行った海外ビジネス旅行の形態
例年通り
フリープラン・自由行動タイプのパッケージツアー
例年より回数が増えそう
例年より回数が減りそう
日本から添乗員が同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
海外ビジネス旅行(2150)
51.2
23.9
24.9
現地に到着してから現地ガイドが同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
個人で航空券とホテルを同じサイトで予約・購入した旅行(ダイナミックパッケージ)
JTB総合研究所
0%
50%
100%
個人で航空券やホテルを別々のサイトや店舗で予約・購入した旅行
個人で航空券のみを予約・購入した
職場や学校の団体旅行
その他
2016年(202)
21.3
2015年(192)
5.9 7.9
26.6
0%
10%
6.4
6.3 5.7 6.8
20%
30%
40%
9.9
23.8
18.2
50%
60%
10.4
70%
9.4
13.5
80%
15.3
12.5
90%
100%
8. 2016 年に海外旅行へ行った人はどんなタイプ?
年に海外旅行へ行った人はどんなタイプ?価値観別マーケティング(
人はどんなタイプ?価値観別マーケティング(TLS5
価値観別マーケティング(TLS5)
TLS5)での分析
当社が開発したライフスタイルや旅行への意向などから旅行者を 5 つの価値観にもとづくタイプに分けた「旅
ライフセグメント 5」を用い、2016 年に海外旅行へ行った人と、2015 年に海外旅行へ行った人のタイプを比較
してみました。2016 年の割合が高くなっているのは、
「共感型(34.4%)
」
「高アンテナ(13.8%)
」と「体験重
視(12.4%)
」タイプでした。高アンテナと体験重視は旅行に関して感度が高いイノベーター層、共感型はフォ
ロワー層への影響力が強いアーリーアダプター層です(表1)
。円安や燃油サーチャージ 0 円を受けて、いち早
く動いたのがこれらの層と言えるでしょう。
これまでの当社の研究結果から、新しい商品やサービスが普及する際には、まずイノベーターである「高アン
テナ」タイプが動き始め、その動きをとらえ、アーリーアダプターである「共感」タイプが拡散することがわか
っています。2016 年は高アンテナから共感タイプまでの利用が広がっている様子が明らかとなりましたので、
今後はフォロワー層である合理派やメリハリ消費タイプへと波及することが期待されます。
2016 年に旅行(観光、ビジネス含む)をしたきっかけとしては、
「家族や友人などに誘われた(27.2%)
」
「仕
事が休めた(20.3%)
」
「世界の絶景など知らなかったところの情報を見て(14.7%)
」が上位でした。
「家族や友
人などに誘われた」は特に高アンテナタイプで高くなりました。普段から旅行に詳しい人と見られているため、
海外旅行へ行く時には頼られる存在なのかもしれません。
行先別のトップ 15 をみると、共感型はハワイや韓国、グアム/サイパンという失敗が少ない定番型の行先を好
み、高アンテナは台湾、アメリカ、タイ、イタリアなど、自分なりの深掘りが可能な旅行先を好むようです。体
験重視は韓国、タイ、その他ヨーロッパの割合が高くなりました。これは、歴史や文化的背景があり、知的好奇
心を満たすような場所を選ぶためと考えられます。
旅行形態は、共感型でフリープランの割合が高く、高アンテナと体験重視は FIT が高い傾向が見られます(図
29~図 31、参考図表)
。
~ 12 ~
図 29 直近の旅行年別旅行者タイプ
(単一回答)
旅ライフセグメント(TLS5):新しい商品やサービスが普及する過程(参考)
直近の旅行年別の旅行者タイプ(TLS5)
)
直近の旅行年別の旅行者タイプ(
共感型
高アンテナ
合理派
34.4
13.8
2016
2015
30.6
0%
12.2
20%
体験重視
12.9
16.1
40%
メリハリ消費
12.4
26.5
10.2
30.9
60%
80%
100%
図 30 2016 年に海外旅行をしたきっかけ(旅行者タイプ別)
(複数回答)
35%
2016年に海外旅行をしたきっかけ
年に海外旅行をしたきっかけ
30%
25%
20%
共感型(460)
高アンテナ(184)
体験重視(166)
メリハリ消費(354)
合理派(173)
15%
10%
5%
円高 で
たまたま出張が入った
など格安航空券を見つけた
LCC
貯金や積立が貯まった
卒業や結婚など
ライフステージ上の節 目
燃油サーチャージが
下がったから
たまたま安いツアーを見つけた
世界の絶景など知らなかった
ところの情報を見て
仕事が休めた
家族や友人などに誘われた
0%
表 1 2016 年の海外旅行の主な行先(旅行者タイプ別)
(単一回答)
アジア
韓国
台湾
タイ
中国
アメリカ・太平洋・オセアニア
シンガ
ポール
香港/マ その他ア
カオ
ジア
ハワイ
アメリカ
欧州
グアム/ オースト
サイパン ラリア
イタリア
フランス
ドイツ
その他
ヨーロッ
パ
全体(1157)
11.3
9.6
6.6
3.5
3.4
2.5
5.5
13.2
7.0
5.1
4.3
4.1
2.6
2.1
4.4
共感型(396)
13.6
9.6
4.8
3.8
2.0
3.5
3.3
15.7
6.8
7.6
3.5
4.3
3.0
2.3
3.3
高アンテナ(166)
11.4
11.4
7.8
6.0
4.8
1.2
6.6
9.0
8.4
2.4
4.2
7.2
2.4
0.6
0.6
合理派(126)
18.3
11.1
3.2
3.2
4.0
4.0
4.0
12.7
7.1
6.3
4.0
1.6
1.6
3.2
2.4
体験重視(154)
13.0
7.1
10.4
1.9
3.9
1.3
6.5
6.5
5.2
5.8
6.5
1.3
1.9
1.9
7.1
メリハリ消費(315)
4.8
9.2
7.6
2.5
3.8
1.9
7.9
15.9
7.3
2.5
4.4
4.4
2.9
2.2
7.3
~ 13 ~
図 31 2016 年に海外旅行をした人の旅行形態(旅行者タイプ別) (複数回答)
2016年に海外観光旅行をした人の旅行形態(価値観タイプ別)
年に海外観光旅行をした人の旅行形態(価値観タイプ別)
フリープラン・自由行動タイプのパッケージツアー
日本から添乗員が同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
現地に到着してから現地ガイドが同行し、食事や観光などがセットになっているパッケージツアー
個人で航空券とホテルを同じサイトで予約・購入した旅行(ダイナミックパッケージ)
個人で航空券やホテルを別々のサイトや店舗で予約・購入した旅行
個人で航空券のみを予約・購入した
団体旅行その他
0%
10%
20%
全体(1157)
40%
38.9
共感型(396)
高アンテナ(166)
30%
50%
11.8
合理派(126)
5.4 3.6
30.5
メリハリ消費(315)
31.7
9.7
13.0
8.1
8.7
6.3
12.1
5.6 2.3
8.4 1.8
18.3
31.8
18.1
6.0
100%
7.5 2.6
32.5
5.8
6.5
90%
21.2
9.1
12.7
9.5
80%
7.7
14.9
42.9
体験重視(154)
70%
10.4
48.0
35.5
60%
9.5
4.8
12.3
3.2
22.5
6.3 2.2
JTB総合研究所
旅ライフセグメント(TLS5)のタイプ別特徴と一般的な日本人旅行者のタイプ別シェア(参考)
一般的な日本人
旅行者(2060)
共感
高アンテナ
合理派
体験重視
メリハリ消費
SNSの利用率が高く、流行
は押さえておきたいものの一
つ。パッケージツアーを好
み、人との出会いも旅の楽し
み
流行に敏感で、人よりも早く
知りたい、体験したい。自分
の個性を表現できるようなも
のを選ぶ。話題のスポットも
好き
流行には関心が低く、無駄
のないシンプルなものを好
む。行先や現地での体験よ
り同行者との時間を楽しみた
い
流行には捉われない。知的
好奇心が高く、体験を重視
する。人の知らないところを
積極的に開拓したい
流行には捉われない。無駄
なお金は使わないが、本当
に気に入ったものなら価格
にこだわらずに手に入れる
26.1
12.6
22.6
7.9
30.9
9. まとめ
低迷していた日本人の海外旅行は 2016 年に入り、円高、燃油サーチャージの減少、GW の日並びの良さ、な
どの環境が整ったことが、特に若い世代の旅行を後押ししていることが明らかとなりました。
過去の傾向を振り返ってみると、例えば 2004 年~2005 年にかけての SARS からの回復期においては、まず
FIT 旅行者が増加し、その後パッケージツアーの利用者が増加する動きを取りました。FIT の比率は年々上昇し
ていますが、現時点では、パッケージツアーから FIT へのシフトが加速したとは言い切れず、今後、ある程度
はパッケージツアーの利用者が増加すると考えられます。この動きは、8 章でふれた「商品やサービスの普及過
程」で、イノベーターである「高アンテナ」
(FIT 旅行が多い)やアーリーアダプターである「共感型」
(パッケ
ージツアーを好む)からフォロワーである「メリハリ消費」や「合理派」
(パッケージツアーの利用が多い)へ
連鎖していくこととも一致しています。
ただし、インターネットの環境が大きく変わっているため、10 年前と同じような形でパッケージツアーの割
合が増えるとは考えられません。ますます旅行者の目は厳しくなり、商品や価格、売り方の工夫がより問われる
ことになるでしょう。またフォロワー層(メリハリ消費、合理派)の動きが遅い背景には、消費マインドが冷え
たままであることも左右していそうです。消費増税は延期になりましたが、将来に対する不安は拭えません。景
気動向にも注視する必要があります。
●プッシュ型画像情報が旅行意欲を喚起
2016 年の旅行の特徴として、新しい情報に触れたことや SNS などを通じて世界の情報を知ったことが海外旅
行のきっかけとなっていました。
“世界の絶景”といった言葉を聞くことも多くなりましたが、スマートフォン
の普及でニュースのまとめサイトや SNS、チャットアプリの情報配信などによるプッシュ型の画像情報が増え
~ 14 ~
ています。当社の過去の調査では、人々の関心は“文字”から“画像や動画”へと移っていることがわかってい
ます(*1)
。今まで知らなかった場所や、見たことのない情景が心の琴線に触れたのでしょう。瞬時に人々の完
成に訴えられるような印象的な情報を画像や動画を通じて提供していくことが、今後はより重要となると考えら
れます。
●「熟年層=旅行会社の店舗を利用」の誤解とミレニアル世代のこれから
調査結果から、旅行会社の店舗を利用する割合が高いのは 15~29 歳の若い層で、60 歳以上の熟年層はむしろ
ウエブでの申込み割合が高いことがわかりました。熟年層も世代交代しつつあります。若いころからネットサー
フィンを通じて自分から情報を取りに行くことが当たり前の世代が今後は熟年層の主流になっていきます(*2)
。
「熟年層はパッケージツアーを旅行会社の店舗で申し込む」という思い込みから離れ、インターネットを通じて
どのように効果的に情報を提供できるかが、今後も継続して熟年層を海外旅行へ誘うためのカギとなりそうです。
一方、ミレニアル世代といわれる今の 20 代を中心とした世代はアプリや SNS を通じての情報取得に慣れ親
しんだ世代で、上の世代に比べて自ら必要な情報を探し切る、ネットサーフィンのようなことには馴染んでいま
せん。年齢と旅行の経験を重ねるにつれいずれウエブへシフトするとしても、世代の特徴として、リアルな店舗
を志向する傾向があるかは今後続けて検証していきます。少なくとも、若い世代が店舗を利用する最初の入口に
なることには間違いなさそうです
●AI による代替え可能性が低いとされた「旅行会社カウンター係」の価値とは?
「日本の労働人口の 49%が人口知能やロボット等で代替え可能」
(2015 年 12 月 2 日野村総合研究所のリリー
スより)の推計結果で、
「旅行会社カウンター係」は AI 等による代替え可能性が低い職業とされました。同じよ
うに代替え可能性が低いとされた職業には「人」と「人」とがコミュニケーションする中で生まれる“価値”を
提供するものが多く含まれています。今回の調査結果から、旅行会社とのコミュニケーションにおいて、店舗へ
の来店に加え、メールや電話でのやり取りも大きいことがわかりました。
「旅行会社カウンター係」とは店舗の
ことではなく、
「人」全般と理解できます。とはいえ、AI の活用で簡略化し、コストを下げられる業務も多いと
考えられます。
「人」の価値を最大限に発揮し、旅行者のニーズに対応するために AI との共存を考える時が来て
いるようです。
(*1)
「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2015)
」
http://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2015/10/smartphone2015/
(*2)
「シニアのライフスタイルと旅行に関する調査(2)
」
http://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2016/04/senior-lifestyle-2016-2/
<お問い合わせ>
(株)JTB総合研究所
調査・分析担当:早野陽子
03-6722-0759
(担当
早野・三ツ橋・波潟)
~ 15 ~