2016年中小企業白書に見る「稼ぐ企業の経営力」

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2016年中小企業白書に見る「稼ぐ企業の経営力」
稼げる中小企業はどこが違う?
着実に進展!社長の高齢化
課題は成長投資と世代交代!
稼ぐ力
経営力
201 6年
中小企業
白書
今年の中小企業白書が公表されました。今回
は中小企業の生産性と収益性に焦点を当て、問
題点や課題を指摘するとともに、稼げる中小企
業の経営者とその経営力を分析しています。
今年の白書のテーマ
大企業を中心に景況感が改善傾向で、中小企
業も経常利益は過去最高水準に達しているが、
売上は伸び悩んでいる。
●中小企業の生産性
サービス業を中心に低水準だが、大企業より
も生産性が高く、積極投資の中小企業もある。
<第2部>中小企業の稼ぐ力
●生産性向上のためのIT活用
IT活用が進まず、導入企業も効果が出てい
ない。IT活用で稼ぐ力を強化するには?
●売上拡大のための海外展開
訪日客(インバウンド)数は過去最高を更新する
も、対応できていない中小企業が多い。
●稼ぐ力を支えるリスクマネジメント
リスクマネジメントの取り組みにより、緊急
時だけでなく平時の経営改善につながる。
●中小企業の成長を支える金融
稼ぐ力の強化には資金供給が重要。
●中小企業の稼ぐ力を決定づける経営力
稼げる企業と潜在的成長可能性の高い企業に
つ い て、特 徴 や 経 営 者 の 意 識、企 業 風 土 を 分
析。高齢化に伴う経営者の意識や投資行動の変
化の分析から、計画的な事業承継が必要と指摘。
●毎年発表されているけど
●経常利益が過去最高水準?
政府は4月22日に2016年版中小企業白書
を閣議決定しました。全企業数の99%を占め
る中小企業の動向や課題、将来展望、今年の政
策を知ることのできる利用度の高い資料です。
経済全体は緩やかな回復基調で、「中小企業
においても、経常利益は過去最高水準に達し、
倒産件数は減少している」とあります。
<中小企業白書とは?>
中小企業基本法で
政府が中小企業政策審議会の意見を聴いた上で、
毎年国会に提出することが義務付けられている。
同法策定以来2016年版で53回目の白書。
<経常利益の推移>
大企業のみ
2013年から急回復
●今年の白書の注目ポイントは?
今年のテーマは「稼ぐ力」で、低い水準にあ
ると言われる中小企業の生産性や収益性に注目
し、海外展開やIT活用で生産性を向上し、
「稼ぐ力を高める必要がある」と指摘。
<第1部>2015年度の中小企業の動向
●日本経済の動向と中小企業
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●中小企業の売上高は?
中小企業の経常利益は2010年以降、安定し
NEWS RELEASE 2016.6
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て伸び、2008年のリーマン・ショック前の水
準より高く、過去最高益となっていますが、そ
れは大企業も同じでもっと顕著です。しかし大
企業と中小企業では大きく異なる点がありま
す。それは売上高です。
<売上高の推移>
中小企業の売上高は回復していない
は安定的に稼げている企業であるため、経常利
益率及び自己資本比率が共に高い数値であるこ
とが考えられます。
<経常利益率、自己資本比率による分類>
自己資本比
率の平均
③
2,576社
①
2,042社
41.0%
(大企業の
平均)
④
5,023社
②
1,108社
【企業分類】
①稼げる企業
②経常利益率の高い企業
③自己資本比率の高い企業
④その他の企業
4.0% 経常利益率の平均
(大企業の平均)
経常利益率=
●アベノミクスの恩恵を受けてない!
大企業は売上高を拡大させ、原油・原材料価
格低下の恩恵を受け、国内設備投資を抑えるこ
とで、経常 利益ベースで最高益を記録した反
面、中小企業は売上高の減少を変動費や人件費
の減少でカバーして過去最高益になっています。
<売上伸び悩みの原因は?>
経常利益
売上高
×100
自己資本
比率=
総資本
×100
経常利益率の推移を見ると、③自己資本比率
の高い企業と④その他の企業は低迷が続き、
リーマン・ショック後の二極分化が顕著です。
●中長期事業計画の策定は?
<計画の策定有無による経常利益率の違い>
(%)
9.01
8.24
7.41
卸売・小売・サービス業は「需要の停滞」が
上位を占め、卸売業であれば「販売単価の低
下・上昇難」、小売業は「大・中型店の進出によ
る競争の激化」、サービス業は「利用者ニーズ
の変化への対応」が挙げられている。
7.09
①稼げる企業と②経常利
益 率 が 高 い 企 業 で は、事
業計画を策定している企
業の方が利益率が高い!
0.64
稼ぐ中小企業はどう違う
自己資本
稼げる企業①
経常利益率の
高い企業②
1.27
自己資本比率
の高い企業③
0.68 0.96
その他の企業
④
●大企業以上の生産性の会社も
●稼げる企業の投資行動は!
一方、中小企業の中にも生産性の高い稼げる
企業はあります。こうした企業は成長投資に積
極的に取り組んでいると考えられるため、その
投資行動や資金調達の特徴も分析しています。
実際の投資行動に着目すると、高収益企業
(①②)は積極的に投資していますが、低収益
企業には投資に保守的な傾向が見られます。
<売上高固定資産取得額割合の推移>
<製造業で約1割、非製造業で約3割>
労働生産性(従業員1人あたりの付加価値額)
の累積分布を見ると、製造業では約1割の中小
企業が大企業平均(1,171万円)以上、非製造業
では約3割が大企業平均(899万円)以上に。
生産性の高い中小企業は、設備投資やIT投
資等に積極的で、1人あたりの賃金が高い傾向
にあることが分かります。
●中小企業を4つに分類!
白書では、経常利益率と自己資本比率に基づ
いて中小企業を4分類しています。稼げる企業
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●リスクマネジメントへの取組み
高収益企業は、自然災害、事故・故障だけで
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なく、情報セキュリティやコンプライアンス違
反などにも対応が進んでいます。
<リスクへの対応状況>
●20年間で47歳から66歳へ?
1995 年 で は 年 齢 の ピ ー ク が 47 歳 で し た
が、2000年代なると、年齢層のピークもシフ
トし、2015年ではピーク年齢が66歳に。
<中小企業の経営者年齢の分布>
自然災害
施設・設備の
事故・故障
情報セキュリティ
コンプライアンス
違反
商品の品質
●稼げる企業の企業風土とは?
新陳代謝が
進んでない
企業風土を見ると、①稼げる企業は「経営計
画や経営戦略の内容が現場まで浸透している」
が他の分類企業より高く、経営層が事業計画を
策定し全社一体で共有するという組織的な経営
を目指していることがわかります。
<企業風土>
●経営者の高齢化の影響は?
経営者年齢が上がるほど、投資意欲の低下や
リスク回避性向が高まっています。
<今後3年間の投資意欲(経営者年代別)>
自社の意思 全社一体と
決定スピード なり顧客の
課題解決に
は速い
取り組んで
いる
経営計画や 失敗を恐れ
従業員は
従業員は
経営戦略の ず、新たな試 個々の能力 個々の収入・
内容が現場 みに挑戦す 向上への意 待遇に満足
まで浸透し る考えが根
識が高い
している
ている
付いている
②経常利益率の高い企業は「失敗を恐れず新
たな試みに挑戦する考えが根付いている」が多
く、「自社の意思決定スピードは速い」とも。
中小企業の今後の課題
●小規模企業ほど高齢化が!
投資行動を決定する経営者の年齢に着目する
と、中小企業の経営者は高齢化が顕著です。
<経営者年齢の高齢化率の推移>
設備投資
人材投資 海外展開投資 研究開発投資 広告宣伝投資
●事業承継後に業績アップ!
経営者が交代していない企業より、交代した
企業の方が収益力が高いことから、「計画的な事
業承継が必要である」と結論付けています。
<経営者交代による経常利益率の違い>
経営者の交代あり
(n=79)
経営者の交代なし
5.50
(n=1,746)
1,825社を対象に08年と14年の
経常利益率を比較。
3.62
*高齢化率:
65歳以上年齢割合
IT投資
3.37
2.21
07年に経営者が交代した79社
は08年に3.62%だった経常利
益率が14年には5.50%に。
(年度)
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