医局報を更新しました。 平成28年春号

島根大学医学部内科学講座内科学第四医局報
∼平成 28 年春号∼
2016年5月、大学キャンパス
1
『道』
この道を行けば
どうなるものか
危ぶむ無かれ
危ぶめば道はなし
踏み出せば
その一足が道となり
その一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかるさ
∼ タイトル『道』の由来について ∼
『道』というタイトルの詩…。元々は、一休禅師の言葉だといわれていますが、一般にはアントニオ
猪木が引退セレモニーのリング上で、ファンに送った最後のメッセージとして知られています。
田邊教授は、何か新しいことにチャレンジするとき、いつもこの詩を思い浮かべ、そして新しい道を
切り開かんとする若者に、この詩を贈ってきたそうです。
島根大学医学部内科学講座第四も、常に前向きにチャレンジすることを忘れず、ただひたすらに医師
としての『道』を進んでいこう…そういう想いを込めて、この『道』というタイトルを選びました。
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内科学第四医局員・学内同門名簿
(2016 年4月現在)
■内科学第四
田邊 一明(教授・循環器内科診療科長)
遠藤 昭博(講師・副診療科長)
高橋 伸幸(学内講師)
渡邊 伸英(助教・医局長)
大内 武(助教)
岡田 大司(助教・病棟医長)
伊藤 新平(助教・外来医長)
香川 雄三(医員)
松田 絋治(医員)
山口 直人(医員)
吉金かおり(医員)
加藤 志帆(医員)
高瀬健太郎(医員)
芦村 龍一(医員)
藤井 俊吾(医員)
(学外)
松井 浩輔(平成記念病院)
岡 朋大(島根県立中央病院)
花田 健(松江赤十字病院)
大嶋 丈史(医員)
朴 美仙(医員)
伊藤 孝史(講師・診療教授)
江川 雅弘(医員)
■循環器内科
中村 琢(医員)
■腎臓内科
坂本 考弘(医員)
(学外)
佐藤 寛大(済生会江津総合病院)
和氣 正樹(東京大学)
竹田 昌希(松江市立病院)
川原 洋(豊橋ハートセンター)
花田 真希(松江赤十字病院)
花田 昌也(浜田医療センター)
福永 昇平(東京慈恵会医科大学)
中西 宣太(島根県立中央病院)
岩下 裕(和歌山県立医大)
岩下 裕子(和歌山県立医大)
佐藤 陽隆(松江生協病院)
■内科学第四資料室
影山久美子
足立 優也(松江市立病院)
柳楽 由美
岡崎 浩一(島根県立中央病院)
森山 瑞希
黒田 紘章(益田赤十字病院)
今岡 彩乃
森田 祐介(浜田医療センター)
三浦 重禎(松江市立病院)
■総合医療学講座
安田 優(済生会江津総合病院)
石橋 豊(教授)
■留学生
■救命救急センター
Maidar Tumenbayar(モンゴル)
小谷 暢啓(講師)
Ting Gao(中国)
■検査部
吉冨 裕之(助教)
3
教 授 挨 拶
内科学講座第四 教授 田邊 一明 薫風の候、皆様にはますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り感謝いたし
ます。この春も大学は医局員の入れ替わりがあり、循環器内科は体制を新たにしました。若いリーダーたち
には、批判を恐れずに、大胆に、自分の信じる方向に引っ張っていって欲しいと思います。組織を動かすの
に「安全運転」は最善の策とは限りません。ヘレン・ケラーの言葉に「安全などというのは多くの場合、迷
信にすぎません。人生は冒険するか、空虚に過ごすかの二つに一つなのです」というのがあります。新年度、
医局の冒険が始まります。個々が自分を信じて行動範囲を広げ、経験値を積み上げ、成長する努力をするこ
とにより、大学にも地域にも影響力のある存在になってほしいと願っています。
2016 年2月に文光堂より「研修医のための臨床心エコー」を出版しました。初めて単著で本を作りました
が、「心エコーの教育」という視点で、日頃から自分自身が教育していること、ベッドサイドで取り組んでい
ることを盛り込みました。この本は、私が卒後3年目に国立循環器病センターから大学へ来られた泉司郎先
生(現在は仁摩診療所で孤軍奮闘されています)の手書きの心エコーマニュアルが原点となっています。当
時の大学の先生方は、泉先生が心エコー所見から何を考えておられるのか頭の中が覗けるようなそのマニュ
アルを片手に心エコーと格闘していたと思います。その場、その場で立ち止まり、考えなければならないの
が臨床現場であり、心エコーは目の前の病態をどう考えればいいのかヒントを与えてくれます。しかし、最
初からだれもが頂上には行けません。頂上を目指す初心者には入口でガイドが必要です。教育の現場では今
の時代の“泉マニュアル”が必要だと感じていました。最初から研修医や学生に教えるための本にしたいと
思い、その書き方を参考にしたのが、オーストラリア人のソノフラファーである Bonita Anderson さんの重
厚な教科書”A sonographer’
s guide to the assessment of heart disease(2013)”でした。現時点での心エコー
のすべてを網羅した“手抜きのない”本です。Bonita さんは、私が留学中(1997 ~ 99 年)に Mayo Clinic で
行われた講習会の講師で来られ、たまたま食事会の席が隣になり話をさせていただきました。自分自身を”
lecturer(講義する人)”と呼び、当時から完璧な教科書を書く人として、それ以来意識することとなりまし
た。神戸時代に学会の講師招聘で相談を受けた際、Bonita さんを是非にとオーストラリアから呼んでいただき、
神戸市立中央市民病院の心エコー検査室でも講義をしていただきました。Bonita さんの本は読者としての対
象も違いますが、入り口に立つ人のために何を書くべきか、という精神をその本から教えていただいたよう
に思います。Bonita さんを知らなければ手にすることもなかった本からインスピレーションを与えていただ
いたのには運があったのだと思います。Kazu 語録(サッカーの Kazu です)に、「もちろん運は大事だけど、
いざその運が向いたとき、ターニングポイントになったときだけ頑張ろうと思ってもできないんだよね。日
頃から、サッカーに対して謙虚でなければ、運さえ向いてこない」というのがあります。これまで書いてき
た原稿や講演、講義スライドなどの蓄積があったこと、編集者や出版社に応援していただいたこと、そして
泉先生をはじめ多くの師や Bonita さんに出会った運があって出来上がった小さな本が「研修医のための臨床
心エコー」です。
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2005 年 Bonita Anderson さんと
「研修医のための臨床心エコー」は初期研修医や新専門医制度での内科専攻医、循環器の勉強を始めた方を
対象とした心エコーの入門書です。携帯できて、ベッドサイドや救急外来で心エコーを記録するときに、あ
るいは検査レポートを解読する時に“指導医”となってくれるような本を目指しました。文光堂の編集者か
らはシャープな本になりましたね、という評価です。本書がお役に立てれば幸いです。
医局報〜春号〜に寄せて
腎臓内科 講師
伊藤 孝史
平成 28 年4月1日、また新しい年度が始まりました。
いつも支えてくださっています内科学第四の諸先生方、
島根大学医学部・医学部附属病院の諸先生方、そして出
雲市内、島根県内、山陰地方、全国の諸先生方に心より
御礼申し上げます。今年度は1名の新入局者があり、医
局員皆に昨年にはなかった勢いを感じています。
新年度の腎臓内科の体制を紹介させていただきます。
❶島根大学医学部附属病院:江川雅博先生を中心に、
吉金かおり先生、高瀬健太郎先生、芦村龍一先生が昨年度から継続で支えてくれています。腎臓専門医、
透析専門医の資格を取得した花田昌也先生には国立病院機構浜田医療センターに出向していただきました。
加藤志帆先生は産休に入られました。元気な赤ちゃんを出産してください。そして、3年目の藤井俊吾先生(平
成 26 年島根大学卒)が新たに入局してくれました。藤井先生は2年目を島根大学外で総合医コースでの研修
をしてこられましたので、腎臓内科に新たな風を吹かせてくれることを期待しています。早速、医局説明会
のポスター作成で力を発揮(?)して頂いています。臨床面では、今年度 CKD 教育入院の実施を予定して
おります。患者さん、家族を中心に多職種が連携をして CKD 医療の充実を図っていきたいと考えております。
人数は減りましたが、一丸となって診療、研修医の先生、ポリクリ学生さんの教育をしていきたいと思います。
❷島根県立中央病院:岡朋大先生、中西宣太先生には、今年度も継続して県立中央病院で頑張っていただ
きます。金聲根先生の指導のもと、内科管理のみならず、外科的手技もしっかり身につけて頂きたいと思っ
ております。島根大学からもたくさんの初期研修医の先生が研修しておられますので、腎臓病学の重要性・
面白さを伝えて、しっかり勧誘していただきたいと思います。
❸松江赤十字病院:花田健先生には、今年度も継続して松江赤十字病院で頑張っていただきます。膠原病
内科も一緒に診ていただいておりますので、かなりのハードワークと聞いておりますが、漆谷義徳先生の右
腕として頑張ってください。花田真希先生は3人目のお子さん出産後で、育児休暇中です。3人の子育て頑張っ
て、そして1年後には是非復帰してくださいね。
❹国立病院機構浜田医療センター: 4月から花田昌也先生に出向していただいております。島根大学腎臓
内科始まって以来初の西部地区での腎臓内科の常勤医です。山陰中央新報にも掲載されるなど地域の期待を
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背負って、頑張っていただければと思います。無理せず、着実に実績を積み上げていただきたいと思います。
❺松江生協病院:松井浩輔先生には大変お世話になりましたが、陶朋会平成記念病院に転勤していただく
事になりましたので、昨年度から引き続き佐藤陽隆先生お一人で頑張っていただく事になりました。大変だ
と思いますが、持ち前のガッツで、ピンチをチャンスに変えて頑張って頂ければと思います。大学病院から
も外来支援、腎生検支援など、できうる支援はしていきますので。
❻陶朋会平成記念病院:4月から松井浩輔先生に出向していただいておりま
す。平成記念病院は雲南地域の外来透析の中心のみならず、島根県東部の入院
透析の要の病院であり、以前より腎臓専門医、透析専門医の常勤医派遣を検討
しておりましたが、本年度やっと実現できる事になりました。松江地区、出雲
地区からの要望が増えてくることが予想されますが、頑張っていただければと
思います。後輩たちの指導にも期待しております。
以上が島根県内の医師派遣状況です。
大学から県外に出向していただいている先生方は3名で、前年度から継続です。福永昇平先生には、東京
慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科に出向していただいており、臨床のみならず、研究面で充実した研修をし
ていただきたいと思います。岩下裕先生、岩下裕子先生のご夫婦には、和歌山県立医科大学腎臓内科に出向
していただいております。裕先生は関連病院に出向し、バスキュラーアクセス関連に強くなってくれるよう
です。裕子先生は引き続き大学院生として研究に励んでいただく予定です。3名の先生方の活躍を祈念し、
多くの経験、知識を島根県に持ち帰ってきていただきたいと思います。
島根県内の腎臓病医療に関しましても、引き続き幅広く支援できるような体制を取っております。
①松江地区:松江生協病院では、金曜日の午前に腎臓内科外来を担当させていただいております。
②出雲地区:出雲市民病医院では、月曜日、水曜日に透析室を担当させていただいております。
③雲南地区:平成記念病院では、隔週水曜日の午後に腎臓内科外来を、毎週水曜日は宿直を担当させてい
ただいております。
④大田地区:大田市立病院では、火曜日の午前に腎臓内科外来を担当させていただいております。
⑤江津地区:済生会江津総合病院では、毎週月曜日に腎臓内科外来を、土曜日には透析室管理をさせてい
ただいております。
⑥浜田地区:浜田医療センターでは、常勤医派遣に伴い毎週月曜日午前のみ腎臓内科外来を担当させてい
ただいております。
⑦益田地区:岩本内科医院では、月一回外来を担当させていただいております。
以上のように、東西に長い島根県内各地で診療をさせていただけるようになって参りましたが、西部地域
には未だ腎臓病医療を十分にサポートできる体制になっておりませんので、引き続き仲間を増やしていきた
いと考えております。
臨床研究面では、
「コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法の有用性に関する臨床研究(先進医療 B)」、
「LDL アフェレシス療法の重度尿蛋白を伴う糖尿病性腎症に対する多施設臨床試験(先進医療 A)」を継続し
ていきます。
また、今年度は二つの大きな会を開催させていただきます。
❶第6回血液浄化心不全治療研究会
会期:平成 28 年7月3日(日) 会場:松江コンベンションセンター
田邊教授を大会長に、「心腎連関を再考する」というテーマで開催させていただきます。循環器領域、血液
浄化領域の国内トップの先生方にお越し頂きます。この研究会は、内科学第四のためにあるような会である
と考えておりますので、同門の先生方におかれましては、万障お繰り合わせの上ご参加頂ければと思います。
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❷日本腎臓学会主催 第 23 回臨床研修医のための腎臓セミナー
会期:平成 28 年7月 30-31 日(土、日) 会場:松江コンベンションセンター
臨床研修医のための腎臓セミナーが山陰、中国地方で開催されるのは初です。初期・後期研修医の先生に
多数参加していただき、腎臓病学に興味を持ってもらい、未来の腎臓内科医ができる事を夢見ております。
腎臓学会を代表する講師陣で、日常臨床にすぐに役に立つようなプログラムを作成中ですので、是非とも各
施設の初期・後期研修医の先生にお声がけ頂ければと思います。
一般住民の方々に対しても、慢性腎臓病(CKD)の啓発に力を入れていきたいと考えております。例年通
り市民公開講座、世界腎臓デー(毎年3月の第2木曜日)にあわせた街頭キャンペーンを継続していく予定
にしております。
最後になりますが、我々島根大学腎臓内科は学内のみならず、学外(島根県内、山陰地方、全国)でも腎
臓病診療・啓発、教育・研究に精進して参ります。内科学講座第四同門会の先生方におかれましては、今後
ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
学 会 案 内
第108回日本循環器学会
中国・四国合同地方会
第6回血液浄化心不全治療研究会
2016年6月10日(金)、11日(土)第108回日本循環器
2016年7月3日(日)第6回血液浄化心不全治療研究会
学会中国・四国合同地方会が済生会江津総合病院・中澤芳
を松江市のくにびきメッセで開催します。循環器内科と腎臓
夫病院長を大会会長として松江市のくにびきメッセで開催
内科が合同で議論するユニークな全国研究会を今回は島根で
されます。一般演題、YIA、研修医セッション、コメディ
担当させていただくこととなりました。事務局の腎臓内科・
カルセッションの他、教育講演では神戸大学・大北裕教授
伊藤孝史先生とともに「心・腎連関を再考する」をテーマに
による「大動脈瘤の現在と未来」、大阪医科大学・寺崎文生
プログラムを企画しました。心不全治療における血液浄化療
教授による「心臓サルコイドーシスの診療をめぐる諸問題」
法、右心不全、CKD 合併心不全と貧血管理、ASV 治療といっ
と重要なテーマの講演があります。また、血管エコー講習会、
たいずれも現在の心腎連関における問題点を議論します。特
男女共同参画セミナー、7つのランチョンセミナー、3つ
別講演には大阪大学・坂田泰史教授をお招きして「心不全に
のイブニングセミナー、2つのモーニングセミナーと幅広
おける心腎連関」の講演をしていただきます。また、おおつ
い領域の勉強ができる企画が準備されています。6月 11
かクリニック・公受伸之先生には教育講演として「心腎連関
日
(土)午後には市民公開講座が開催され、「笑いと医療」を
を病診連携の立場で再考する~透析クリニックでの循環器専
テーマに笑い療法士の腎臓内科・伊藤孝史先生の講演、医
門医の役割」のご講演をお願いしています。全国からお客様
師であり落語真打ちの春雨や落雷先生の落語も企画されて
を迎えるに当たって、地元の先生方にも多くのご出席で盛り
います。中国・四国地方の循環器領域の先生方や研修医、
上げていただければ幸いです。
コメディカルの交流する機会となります。多くの先生方の
ご出席をお願いします。
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新医局長挨拶
循環器内科 渡邊 伸英
26 期生 平成 19 年卒業の渡邊伸英です。この4月から内科学講座第四医局長を拝命い
たしました。若輩者であり皆様に御迷惑をおかけすることも多々あるかと思いますが、
医局の発展に貢献できるよう尽力してまいります。また、私事ですが、臨床面でもよう
やく不整脈を専門として第一歩を踏み出し、当院でも心房細動に対するカテーテルアブ
レーションを始めることができました。こちらについても医局の発展、同門の先生方の
御診療、また島根の医療に多少なりとも貢献できるよう精進する所存です。今後とも御
指導・御鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。
さて、第四内科はがらりとメンバーが変わり今年度を迎えております。詳細はそれぞれの紹介文に譲りま
すが、循環器内科には北里大学から大内武先生(H19 年卒)、土谷総合病院から香川雄三先生(H20 年卒)が
新たに医局に加わってくださいました。大内先生は主に心不全、香川先生は主に虚血性心疾患をご専門とし
ておられたということです。お二人とも第一線で活躍していた方ですので、即戦力としての期待はもちろん
のこと、それぞれの専門領域を中心にどんどん若手を牽引してくださることと思います。また、大阪大学か
ら伊藤新平先生(H20 年卒)、松江市立病院から松田紘治先生(H22 年卒)、済生会江津総合病院から山口直
人先生(H24 年卒)が大学病院へ戻ってこられました。各々が大学
病院を離れて学んできたことを生かし、医局に新たな風を吹き込ん
でくれることでしょう。そして腎臓内科には藤井俊吾先生(H25 年卒)
が新たに加わってくださいました。卒後3年目のフレッシュマンと
して医局を活気づけてくれること、そして今後の活躍に期待です。
今年度の第四内科は比較的若い世代が中心となり動き出しまし
た。人数としてはまだまだ少なく、県内の医療機関への医師派遣も
十分でない状況ですが、若い力で活気ある第四内科、魅力ある第四
内科をアピールし、さらなる医局の発展に貢献できればと思います。
臨床・研究においては、治療や検査での新たな取り組みや学会発表、論文発表など、少しずつではあります
が着実に前進していると感じております。今後も外から認められるような結果を求め励んで行きたいと思い
ます。第四内科が益々の発展を遂げるよう、今後とも御指導・御鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
新病棟医長挨拶
循環器内科 岡田 大司
今年度から病棟医長を務める事となった医師9年目の岡田大司(おかだたいじ)です。早く
も1か月過ぎましたが、病棟医長の業務の大変さを実感するとともにやりがいを感じてい
ます。今年度は菅森先生、中島先生という医局の柱が抜け、田邊教授、高橋先生、遠藤先
生の次には渡邊先生(医師 10 年目)
、
以下 11 名という非常に若いメンバーで始まりました。
松江市立病院から松田先生、済生会江津総合病院から山口先生が帰局しただけではなく、
北里大学から大内先生、土谷総合病院から香川先生が入局していただいた事もあり、現段
階は今までの体制の問題点の抽出、修正をみんなで話し合いながら行っているところです。
私の目標として、提供する医療の均一化(主治医に問わず安全で質の高い標準的な医療)や他病院との円滑な
連携など患者さんについてだけでなく、働く医師の負担の均一化、働きやすい雰囲気作りを考えています。そう
することで、臨床、教育だけでなく研究も行える環境(しない言い訳ができない環境)にしたいと考えています。
その手掛かりに病棟管理をチーム制で行うこととし、患者さんへの医療の均一化、各チームでのディスカッ
ションによる医師のレベルアップ及び個人にかかる負担の軽減を図っています。また、医師、看護師、リハ
ビリ師、薬剤師、管理栄養士と多職種での心不全カンファレンスも始まりました。多職種との円滑なコミュ
ニケーションと各症例の問題点の抽出・早期介入を行うことでよりよい医療の提供、ADL の維持、入院期間
の短縮を期待しています。その結果として、今まで通り救急患者も受けながら、予定入院枠を確保していく
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予定です。まだまだ入院待機していただいている患者さんがたくさんおられますが、少しでも早く入院案内し、
快く治療を受けていただけるよう全力を尽くします。充実した診療の提供、学生・研修医の教育、研究をす
る必要もあり、体制を整えていきますが、独り善がりとならず、周りと協力しながら、少しずつ体制を整え
ていきたいと思います。若輩者ですが田邊教授の目指す循環器内科の力になれるよう、これからも努力して
まいりますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
帰局報告ならびに新外来医長挨拶
循環器内科 伊藤 新平
2008 年(平成 20 年)卒の伊藤新平です。2015 年(平成 27 年)4月から一年間大阪大
学にて研修して参りましたので報告させて頂きます。大阪大学は補助人工心臓、心臓移
植、心臓再生医療など手術が非常に多い施設です。高度の収縮能低下を伴い補助人工心
臓や心移植を必要とする重症心不全の診療に携わらせて頂くことで、知識・技術を学ん
できました。小生が特に研修で勉強させて頂いたのは、補助人工心臓の適応評価・管理、
心臓移植適応評価についてです。2015 年より大阪大学循環器内科では重症心不全治療医
養成コースを開設しており、私は記念すべき一期生として同コースにて勉強させて頂き
ました。このコースでは、補助人工心臓の適応評価・管理、心臓移植適応評価の他、心不全診療の基本知識、
臨床知識、心不全管理に関わる診療手技、基本実習、心不全の画像診断、在宅心不全管理(ゆみのハートク
リニック)と、心不全にまつわる診断・治療手技の習得や病態生理をより深
く理解することができました。臨床だけでなく、心臓病の基本的な分子生物
学的背景を学び、基礎研究面のとりくみや世界の趨勢を知るための講義もあ
り、臨床における探究心が高まりました。また終末期心不全の管理・緩和治
療を経験し、患者サイドから治療を考える倫理観を学びました。1年コース
を終了し3月に大阪大学総長名で修了書を授与して頂きました。一年間、心
不全診療にどっぷり浸かり、これまでの心不全に対する考え方が大きく変わ
りました。今後は島根での心不全治療に貢献できればと思います。
さて、2016 年(平成 28 年)4月1日付けで島根大学医学部内科学講座(内
科学第四)助教ならびに外来医長を拝命致しました。まだまだ不慣れな点も
あり、諸先生方にはいろいろと迷惑をおかけするかもしれませんが、御指導・
御鞭撻の程、何卒よろしくお願い致します。
新入医局員紹介
■循環器内科 大内 武
今年度より島根大学第四内科にお世話になっております大内武と申します。私は小中
高と出雲で育ち、神奈川県にあります北里大学医学部を卒業しました。同付属病院で初
期研修を行った後は北里大学循環器内科学に入局し、臨床を行ってまいりました。今後
は地元島根の地域医療に少しでも貢献できるよう精一杯頑張ります。若輩者ではありま
すが、どうぞよろしくお願いいたします。
■循環器内科 香川 雄三
今年度より島根大学医学部内科学第四内科に循環器内科医として入局させて頂きまし
た香川雄三と申します。平成 20 年に島根大学医学部を卒業し、初期臨床研修後、広島で
6年間の経験を積ませていただいたのち、本年より入局させていただいております。冠
動脈インターベンションを中心に診療を行っておりました。微力ではございますが島根
の医療に貢献できるよう、日々努力していきたいと考えております。医師としてまだま
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だ未熟でありますが、これまでの経験をできる限り活かして診療にあたらせていただきます。皆様にはご迷
惑をお掛けすることもあるかと思いますが、今後とも御指導、御鞭撻の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
■腎臓内科 藤井 俊吾
今年度より島根大学医学部内科学第四に入局致しました藤井俊吾と申します。大田市
で生まれ育ち、大学からは隣の出雲市へ移り、とてもコンパクトにまとまった人生を送っ
て参りました。初期研修2年目に初めて県外へ移動し、千葉県で家庭医療を学ぶ機会を
得ました。そこで生活習慣病と慢性腎臓病の関わりに関心を持ち、学生時代には苦手意
識すら感じていた腎臓病学を深く学びたいと思いました。入局に際して先生方から脈々
と受け継がれてきた内科学第四の歴史と伝統を改めて感じ、その誇りを胸に日々精進して参る所存です。こ
れから長い道のりかと思いますが、危ぶむことなく大胆に踏み出して行こうと思っております。先生方にお
かれましては何卒ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
業 績
論文・著書・総説
(2015 年秋号以降)
1.Ito Shimpei, Endo A, Okada T, Nakamura T, Adachi T, Nakashima R, Sugamori T, Takahashi N, Yoshitomi H,
Tanabe K. A case of acute myocardial infarction due to left atrial myxoma. Intern Med 2016; 55: 49-54
2.Fukunaga S, Ito T, Sato H, Yoshimura R, Takasa K, Iwashita Y, Hasegawa S, Mochizuki K, Hanada M, Shiina H.
LDL apheresis in cholesterol crystal embolization patients: 6 case report. Shimane J Med Science 2016; 32: 45-49
3. Adachi Y, Endo A, Kinoshita Y, Tanabe K. A case of renal artery stenosis that underwent renal artery
stenting using CO2 gas angiography. Intern Med(in press)
4. Liang S, Yamaguchi K, Yoshitomi H, Ito Saki, Nakashima R, Sugamori T, Endo A, Takahashi N, Tanabe K.
Factors influencing the prognosis of octogenarians with aortic stenosis in the advanced aging society. Intern
Med(in press)
5. Okada T, Endo A, Ito Shimpei, Nakamura T, Sugamori T, Takahashi N, Yoshitomi H. Tanabe K. Acute
coronary syndrome in a puerperal patient with coronary artery ectasia due to a coronary artery fistula. Intern
Med(in press)
6. Ito Shimpei, Hagiya H, Kimura K, Nishi I, Yoshida H, Kioka H, Ohtani T, Yamaguchi O, Tanabe K, Tomono K,
Sakata Y. Capnocytophaga ochracea bacteremia in a hypertrophic cardiomyopathy patient without neutropenia.
Intern Med(in press)
7. 田邊一明.感染性心内膜炎.今日の治療指針 2016 年版(医学書院).449-451、2016
8. 田邊一明.心臓腫瘍.今日の治療指針 2016 年版(医学書院).462-463、2016
9. 足立優也、田邊一明.僧帽弁狭窄.循環器疾患最新の治療 2016-2017.161-165、2016
10. 田邊一明.心エコー塾 身につけたい心エコー.企画にあたって.Heart View. 6-7、2016
11. 朴 美仙、田邊一明.運動負荷心エコーをいつ行うか.Heart View.51-57、2016
12. 伊藤新平、坂田泰史 . LVAD 患者に右心不全が絡んだらどうする? 右心不全を識り評価して治療に活かす(文
光堂)
.73-78、2016
13. 田邊一明.研修医のための臨床心エコー(文光堂).2016
学会・研究会発表
(2015 年秋号以降)
1. 三浦重禎、岡田大司、中村 琢、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、高橋伸幸、田邊一明、吉冨裕之.薬剤抵抗
性の心室中部閉塞性肥大型心筋症に対してペーシング療法が奏功した 1 例.第 3 回山陰心筋症弁膜症研究会.
2016. 3. 5、米子
2. 伊藤孝史.血管炎症候群に対するアフェレシス療法.第 34 回日本アフェレシス学会関西地方会.2016. 3. 12、松江
3. 遠藤昭博、岡田大司、中島龍馬、朴 美仙、中村 琢、菅森 峰、高橋伸幸、吉冨裕之、吉田泰之、田邊一明.
Comparison of predictors in recurrent cardiac ischemia beyond early restenosis period between elderly
patients and younger patients. 第 80 回日本循環器学会学術集会.2016. 3. 18-20、仙台
4. 山口一人、吉冨裕之、岡田大司、中村 琢、朴 美仙、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、高橋伸幸、田邊一明.重
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症大動脈弁狭窄症患者における Post-Systolic Shortening の検討.第 80 回日本循環器学会学術集会.2016. 3. 1820、仙台
Tumenbayar M, Yamaguchi K, Yoshitomi H, Okada T, Pak M, Nakashima R, Sugamori T, Endo A, Takahashi N,
Tanabe K. Left atrial function assessed by two-dimensional speckle tracking echocardiography in patients with
aortic stenosis. 第 80 回日本循環器学会学術集会.2016. 3. 18-20、仙台
高橋伸幸、田邊一明、岡田大司、中村 琢、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、吉冨裕之、石橋 豊.
The Relationship between salt intake and central systolic blood pressure. 第 80 回日本循環器学会学術集会.
2016. 3. 18-20、仙台
伊藤孝史、高瀬健太郎、芦村龍一、加藤志帆、吉金かおり、花田昌也、江川雅博、杉原靖子、森田栄伸、椎名浩昭.
血漿交換療法が著効した抗 BP180 抗体著明高値の糖尿病合併水疱性類天疱瘡の一例.第 32 回日本医工学治療学
会.2016. 3. 18-20、甲府
Adachi Y, Ohta T, Hiroe K, Matsuda K, Takeda M, Okada S, Tanabe K. Left ventricular longitudinal
dysfunction assessed by longitudinal fractional shortening: a clinical two-dimensional echocardiographic study.
ACC.16. 65th Annual Scientific Session & Expo. 2016.4.2-4, Chicago, USA
高橋伸幸、平井順子、田邊一明、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、吉冨裕之、石橋 豊.高血圧患者
における食塩摂取状況と減塩指導の効果の持続性について . 第 113 回日本内科学会学術講演会.2016. 4. 15-17、
東京
田邊淳也、岡田大司、遠藤昭博、田邊一明.救急外来での心エコー図検査が治療方針の決定に有用であった
subepicardial aneurysm を伴う急性下壁梗塞の一例.第 113 回日本内科学会学術講演会.医学生研修医の日本内
科学会ことはじめ 2016 東京.2016. 4. 16、東京
Yamaguchi K, Yoshitomi H, Okada T, Nakamura T, Pak M, Nakashima R, Sugamori T, Endo A, Takahashi N,
Tanabe K. Left ventricular post systolic deformation using speckle tracking imaging in patients with severe aortic
stenosis. 4th annual scientific sessions of the Asian-Pacific association of echocardiography. 2016. 4. 22-23, Osaka
Tumenbayar M, Yamaguchi K, Yoshitomi H, Okada T, Nakamura T, Pak M, Sugamori T, Endo A, Takahashi
N, Tanabe K. Assessment of left atrial function in patients with severe aortic stenosis using speckle tracking
imaging. 4th annual scientific sessions of the Asian-Pacific association of echocardiography. 2016. 4. 22-23, Osaka
坂本考弘、三浦重禎、安田 優、大嶋丈史、朴 美仙、岡田大司、中村 琢、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、
遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.Calcified amorphous tumor に合併した感染性心内膜炎の 1 例.第
27 回日本心エコー図学会学術集会.2016. 4. 22-24、大阪
三浦重禎、岡田大司、坂本考弘、安田 優、大嶋丈史、朴 美仙、中村 琢、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、
遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.心室中部閉塞性肥大型心筋症へのペーシング療法の効果を心エコー
図検査にて確認した 1 例.第 27 回日本心エコー図学会学術集会.2016. 4. 22-24、大阪
朴 美仙、坂本考弘、三浦重禎、安田 優、大嶋丈史、岡田大司、中村 琢、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、
遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.胸膜腫瘍精査中に発見された右房内腫瘤の一例.第 27 回日本心エコー
図学会学術集会.2016. 4. 22-24、大阪
岡田大司、吉冨裕之、山口一人、中村 琢、遠藤昭博、田邊一明.高齢女性で両心機能低下を呈した不整脈原生
右室心筋症の一例.第 27 回日本心エコー図学会学術集会.2016. 4. 22-24、大阪
安田 優、坂本考弘、三浦重禎、岡田大司、中村 琢、遠藤昭博、吉冨裕之、松原広己、田邊一明.発症から 6
年後に施行したバルーン肺動脈形成術が有効であった慢性血栓塞栓性肺高血圧症の 1 例.第 27 回日本心エコー
図学会学術集会.2016. 4. 22-24、大阪
坂本考弘、田邊一明、矢崎善一.嘔気を主訴に内科外来受診し心筋梗塞と診断した 1 例.第 114 回日本内科学会
中国地方会.2016. 5. 7、岡山
宮崎佳子、吉金かおり、芦村龍一、高瀬健太郎、加藤志帆、花田昌也、江川正博、伊藤孝史、椎名浩昭.血液透
析導入期に複数の合併症を発症した糖尿病性腎症の 1 例.第 114 回日本内科学会中国地方会.2016. 5. 7、岡山
山口一人、田邊一明.3 次元心エコーによる左心機能評価.日本超音波医学会第 89 回学術集会.2016. 5. 27-29、
京都
山口一人、吉冨裕之、新田江里、三島清司、長井 篤、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、高橋伸幸、田邊一明.
大動脈弁狭窄症患者における左房機能:重症度との関係.日本超音波医学会第 89 回学術集会.2016. 5. 27-29、京都
中村 琢、岡田大司、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.心膜液排液
後に肺うっ血を呈した心筋梗塞の一例.日本超音波医学会第 89 回学術集会.2016. 5. 27-29、京都
坂本考弘、岡田大司、中村 琢、渡邊伸英、中島龍馬、菅森 峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.
Calcified amorphous tumor との鑑別を要した感染性心内膜炎の 1 例.日本超音波医学会第 89 回学術集会.2016.
5. 27-29、京都
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佐藤寛大先生、Shuai Liang 先生に
学位(医学博士)が授与されました
2016 年 3 月 25 日、 佐 藤 寛 大 先 生、
Shuai Liang 先 生 に 学 位( 医 学 博 士 )
が授与されました。佐藤先生は松江
市立病院在籍中にまとめられた仕事
で、経胸壁断層心エコー法による大動
脈弁逆流の重症度評価法を考案され、
“Severity of aortic regurgitation by area of vena contracta: a clinical two-dimensional and three-dimensional
color Doppler imaging study”のタイトルで Cardiovascular Ultrasound 2015;13:24 に発表されました。Shuai
Liang 先生は中国寧夏医科大学からの留学生で大学院博士課程に在籍され、中国においてもこれから迎える
高齢化社会における医療に興味を持たれて勉強されました。学位論文は”Factors influencing the prognosis
of octogenarians with aortic stenosis in the advanced aging societies”で 80 歳以上の大動脈弁狭窄症の予後
規定因子についてまとめられ、Internal Medicine に掲載予定です。Liang 先生は中国に戻られ寧夏医科大学
のスタッフに就かれます。学位取得はそれで終わりではなく、独立した研究者として認められることであり、
研究指導もその役割として加わります。お二人の今後の益々の活躍をお祈りします。
第80回日本循環器学会(仙台)報告 田邊 一明
2016 年3月 18 日~ 20 日、仙台国際センターを中心に第 80 回日本循
環器学会が開催され、医局からは4演題の発表でした。ESC に次ぐ規模
で、約2万人が参加すると言われる学会ですが、会場には展示棟が新設
され、仙台駅から地下鉄も開通しており会場へのアクセスも便利になっ
ていました。日循 80 回目、東日本大震災から5年目という節目の学会で
我が国の循環器病学を展望する企画、取り組みが盛り込まれていました。
会期の初日に天皇・皇后両陛下が仙台市を訪れられ、震災関連の展示を
見学されるというタイミングもあって、東北大学・下川会長の仙台開催
にこだわられた思いが通じる学会であったように思います。
多くのセッションが並行して行われる中で、TAVI のセッションで現状を学びました。TAVI はわが国では
2013 年 10 月に保険適応となり、今学会までに 3182 例が行われ、2016 年になってからは 200 例 / 月のペース
と増えています。ちなみに 2015 年一年間の全国の surgical AVR(SAVR)は 12500 件で、TAVI が 10 数 %
の割合ですが、TAVI 施設では年間症例数で TAVI が 60%、SAVR が 40% の割合ということでした。TAVI
の 30 日死亡率は 1.7%、1年死亡率は 12%前後、ヨーロッパの1年死亡が 25%であり、国内の成績がいいこ
とがわかります。島根県は数少ない TAVI 空白県ですが、TAVI 施設認定に必要なハイブリッド手術室が今
年度大学にできることとなり、TAVI チーム(循環器内科、心臓外科、麻酔科)を結成して準備をしています。
来年の日循は 2017/3/17 ~ 19 金沢で開催されます。今回も出遅れた人は宿泊先がなく苦労されていました。
ホテルも早くに押さえられることをお勧めします。
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日本心エコー図学会(大阪)報告 田邊 一明
2016 年 4 月 22 日 ~ 24 日、 第 27 回 日 本 心 エ コ ー 図 学 会 お よ び
Asian-Pacific Association of Echocardiography(AAE)が大阪国際会
議場で開催されました。医局からは AAE も含めて7演題の発表でした。
大阪大学・中谷敏会長の心エコーで得られた情報を活かすのに何より
も重要なことは「考えること」という信念が学会のテーマとされました。
今回は 4/23(土)に USJ での全体パーティーが開催され、多くの師
や友人たちと一緒に踊り、飛び跳ねる楽しい機会でした。かつて、アメリカ心エコー図学会に行きますと、オー
ランドではユニバーサル・スタジオが貸し切りになり、またワシントン DC ではスミソニアン博物館が貸し
切りになって学会参加者が楽しめるという機会がありました。そういう時代を知る中谷先生が、この学会を
開催されるのに当たって最初に企画されたのが USJ パーティーだったそうです。今回、事前申し込み制で定
員があり、また貸し切りというわけにはいきませんが、パーティー後も閉館までの時間は園内のアトラクショ
ンが利用できるため、朴先生、研修医の小林先生と一緒にウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッ
ターに行きました。列を作ることもないスムーズな流れで、何が起きるのか心の準備をする間もなく箒に乗っ
て夜空へ放り出されてしまいました。学会で刺激を受けるだけでなく、楽しい体験をさせてもらいました。
ACC2016報告 松江市立病院循環器内科 足立 優也
2016 年4月2日~4日、イリ
ノイ州シカゴで開催された第 65
回米国心臓病学会(ACC)に出席、
発表してきました。今回は松江
市立病院・太田哲郎先生との二人旅で、成田空港から直行便でオヘア空港に向かいしました。日本では桜が
満開となる4月。シカゴは、ミシガン湖からの季節風が強く、発表当日は吹雪でした。
会場であるコンベンションセンターは、2014 年新入医局員の海外学会研修で参加させて頂いた AHA と同
じ場所でした。2年前、国際学会の規模にただ圧倒されていたことを覚えていますが、演題を持ってこの場
所にまた来れたことは非常に嬉しく、また感慨深いものでした。今回の発表は、松江市立病院で行った GLS
と FS に関する臨床研究であり、学会初日のポスターセッションでした。5人の方から質問頂き、本当に有
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難かったです。近くで発表されていた Mayo Clinic に留学中で、日本では宮崎市郡医師会病院の渡邉望先生
のもとにおられた先生とお話しすることもでき、とても刺激になりました。また質問を頂いた方から、この
研究論文はもう publish されているのか?と聞かれました。初めての国際学会で、発表が終わった時点で達
成感を感じていましたが、出来るだけ早く英語論文にして自分の伝えたいことを発信していこうと思いまし
た。夜は太田先生と祝杯をあげ、貴重な時間を過ごしました。今回ご指導頂いた太田哲郎先生、また不在中
に代行頂いた島根大学附属病院、松江市立病院の先生方には、心より感謝申し上げます。
同門会コーナー
同門会長挨拶
後藤クリニック
後藤 泰利
内科学講座第4も田邊教授が就任されて早8年、安定期に入った感じがあります。田邊
教授の1期生である渡邊先生が、今年から医局長になられ、今後の益々の発展を期待する
ところです。さて今回は、漢方について、今開業医になってから思っていることを少し紹
介したいと思います。漢方との出会いは、実は医師1年目のことでした。当時大学では、
入院患者は退院前カンファで許可されないと退院できないことになっていました。患者の
主訴に対して、必ず何らかの診断と治療がなされ、主治医はすべての検査異常に対して、
それなりの理由、考察がなくてはならなかったのです。29 歳女性、37 度前後の発熱、胸
部不快での入院患者を受け持つことになりました。1か月かけてありとあらゆる検査しましたが、病状を説明
することはできません。本人は病状が改善しないので退院しないと言い、
カンファも許可されそうにない。困っ
た私はだれに相談したかは忘れましたが、当時漢方で専門の先生に詳しい病状を手紙で送り意見を求めました。
返事は、桂枝加竜骨牡蠣湯を投与してはどうかという内容でした。この漢方投与2週間で症状は改善、退院カ
ンファも無事 OK が出たという経験をしています。しかしながら以後循環器だけは、西洋医学が漢方に負けな
いとの信念で開業までの 15 年すっかり漢方のことは忘れていました。しかし 40 歳で開業してから、西洋医学
では、対応できない患者がいかに多いか実感し、友人である斐川中央クリニックの下手公一先生の漢方勉強会
に参加するようになりました。下手先生には1日 200 ~ 300 人の外来患者が受診されています。西洋医学、漢
方医学に精通した下手先生が開業医として流行るのは当然のことだと思います。だれも見捨てることのない医
療を実践されているのです。また4内同門会の北村順先生も漢方の達人であり、名著「循環器医が知っておく
2015 年 12 月、内科学第四忘年会(玉造温泉にて)
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べき漢方薬」は私の診察室で座右の書となっています。漢方初心者がいうのもなんですが、漢方はまず自分で
服用して効果を実感することが一番です。私の常用は八味地黄丸、ゴルフ後の芍薬甘草湯、疲れの補中益気湯
などです。診療では、心不全、原因不明の浮腫に五苓散、冬の感染で悪化する重症心不全の風邪予防に痲黄附
子細辛湯など大変役立っています。一般内科では、ウイルス感染症に対して漢方が有効で、特に小児では、漢
方のおかげで抗生剤の使用が激減しており、医療経済的にも漢方は有効だと実感しています。そうは言っても
西洋医学が基本ですので、正しい知識と診断力と養うのが一番大切ですが、現代医学では説明できないことが
人間にはあるので漢方の知識も身に着けておくと便利だと思います。開業医にとって漢方は必須のツールに
なっていると思うこの頃です。
追 記
北村順先生(神戸海星病院)の「循環器医が知っておくべき漢方薬」の続編が今秋出版予定です(田邊)
。
第17回第4内科田邊杯
ゴルフコンペ結果報告
同門会ゴルフ幹事
後藤 泰利
平成 28 年5月 15 日、快晴のいずも大社カントリークラブで第 17 回の4内ゴルフコンペが開催されました。参
加者が少なかったですが、同門会員と学内の先生とのいい交流ができたように感じました。結果は、またしても村
上林児先生の優勝となりました。最終2ホールでトリ、ダボとなり、そこが隠しホールに当たりいいハンディが付
いたようです。村上先生は北海道でまだ現役バリバリの心カテ屋でもあり、頭が下がる思いです。次回は多くの会
員の方に御参加いただき、打倒村上先生を果たしたいところです。ニアピンは山口、後藤、ドラコンは村上、佐藤
先生が取られました。次回は 10 月 23 日(日)
(10 月 22 日の同門会総会の翌日)に開催します。山口から1期生
の吉金秀樹先生が前日の島根心腎血管研究会の特別講演で来られますので、ゴルフもご参加予定です。多くのご参
加宜しくお願いします。
順 位
競技者名
美久我
国引
GROSS
HDCP
NET
優勝
村上 林児
46
44
90
16.8
73.2
準優勝
後藤 泰利
42
41
83
8.4
74.6
3位
波多野 淳
52
50
102
24.0
78.0
4位
田邊 一明
56
54
110
31.2
78.8
5位
佐藤 秀俊
65
55
120
36.0
84.0
6位
山口 直人
62
60
122
36.0
86.0
7位
中村 琢
70
69
139
36.0
103.0
8位
大嶋 丈史
88
101
189
36.0
153.0
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編集後記
ijıIJķාˎ࠮̥ͣ඾ུ૤΀΋Ȝ଎‫ڠ‬͈ٛ΂έͻΏλσȆΐλȜ΢σ̜́ͥ ŋŰŶųůŢŭġŰŧġ
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島根大学医学部内科学講座内科学第四
循環器内科・腎臓内科
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1
電話(0853)20-2206(医局資料室ダイヤルイン)
Fax(0853)20-2201(医局資料室)
循環器内科ホットライン 070-5672-8109
URL: http://www.med.shimane-u.ac.jp/internal_med4/index.html
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