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2016 年度 3 月期(第 6 号)
京都大学フォーミュラプロジェクト KART
月例活動報告書
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今月の活動概要
完成に近づく KZ-RR14
○車両設計・製作進捗
○ヤマハ発動機様
エンジン整備講習会
今月ご支援頂きました方々
今月の各班報告
ご挨拶
めっきり春らしくなってまいり,皆様ますますご健勝のほ
どお喜び申し上げます.
春休みも終了間際となってまいりましたが,チームは製
作スピードを落とすことなく,毎日作業を進めております.
着地こそ達成していないものの,車両は日々完成に近
づきつつあり,シェイクダウンに向けての作業スケジュー
ルも具体的に決まってまいりました.
また,今月は製作を進めながらも,各種講習会にも積
極的に参加し,1・2 回生を中心とした若いメンバーが貴
重な経験を積むことができました.
今後とも,京都大学フォーミュラプロジェクト KART にご
支援並びにご声援をよろしくお願い申し上げます.
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2016 年度 3 月期(第 6 号)
今月の活動概要
車両設計・製作進捗
今月は,走行に必要な部品を今年度車両
ることと,1・2回生主体の若いメンバーでの設
のフレームに取り付けていく作業を行いまし
計となったことにより,目標としていた3月中の
た.エンジン,ファイナルギアボックスなど動力
シェイクダウンは,達成できませんでした.現在
伝達部品や,ステアリング,ペダルなどの操作
は,5月4日をシェイクダウンの目標として再設
系などを組みつけ終えました.来月以降は,排
定し,その達成を目指しております.
気冷却燃料といったエンジン補器類の組み付
また,エアロデバイスは7月頭の走行会での
けを行っていきます.
搭載を目標に,製作を開始していきます.
メンバー数が昨年度に比べて半数ほどであ
ヤマハエンジン整備講習会
14,15 日にヤマハ発動機株式会社様本社
にてエンジン整備講習会が開催され,KART
からは 4 名が参加いたしました.
1 日目は,初めに工具の使用方法や安全な
作業方法について講習をしていただき,その
後大学ごとに分かれてエンジンの分解・組み
付けを行いました.最後にヤマハ発動機様に
今後提供いただける新型エンジンについて開
発者の方々に講習をしていただきました.講習
分解に初挑戦する 1 回生
で教えていただきました通り,分解や組み付け
いただきますエンジン YZ450F を用いて,カム
などをしている際には安全に配慮しながら,正
プロフィールの測定方法について教えていた
しい順序で作業を行いました.
だきました.
1 日目のエンジン分解作業中において,トラ
2 日間を通して,エンジン分解・組み付けの
ンスミッションの軸に使用しているベアリングや,
際には,担当の方々から作業手順や様々な注
クランクシャフト軸部の損傷が見つかりました.
意事項を教えていただきました.この講習会で
このエンジンは昨年度回転数が上がらない症
学んだことを生かして,大学においても安全に
状が見られていたため,該当部について後日
そして正確にエンジンの分解・組み付けを行っ
交換し,再運転を行います.
ていきます.
2 日目は,1 日目に引き続き,トランスミッショ
今回のエンジン分解講習会を開催していただ
ンの組み立てから作業を開始しました.午前の
いたヤマハ発動機様には深く御礼申し上げま
作業時間内にほとんどの作業を終えることがで
す.
き,午後の作業時間の中では新たに供給して
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2016 年度 3 月期(第 6 号)
今月支援していただきました方々
今月は以下の方々にご支援をいただきました.厚く御礼を申し上げますとともに,今後とも温かい
ご声援のほど,よろしく願い致します.
スポンサー様
ヤマハ発動機株式会社 様
(技術支援,部品支援をいただきました)
株式会社 UACJ
(アルミ材料のご支援をいただきました)
様
株式会社井尾製作所 様
(ハブシャフトの材料,加工支援をいただきました)
山岸本舗 様
(アーム・ロッド類の加工支援をいただきました)
有限会社イシダ製作所 様
(リアアームの加工支援をいただきました)
フューチャーテクノロジー株式会社 様
(離型用ワックスを提供していただきました)
有限会社プラスミュー 様
(ブレーキ部品の割引販売をいただきました)
株式会社松本金属工業 様
(パイプの曲げ加工をしていただきました)
NTN 株式会社 様
(軸受および駆動部品のご支援をいただきました)
サポーター様
大橋 一輝 様
井澤 純一 様
今月の各班報告
シャシ班
今月はナックル,ベルクランクの加工を主に
ていない状態からかかっている状態に急激に
行いました.
変化した際,ベアリングに衝撃荷重が加わるこ
ナックルやベルクランクはベアリングハウジ
ととなります.これはベアリングの寿命を低下さ
ング部分を JIS 規格におけるしまり嵌めの P7
せると同時に,車両の運動特性に悪影響を与
の公差で加工し,ベルクランクに関してはベア
えることになりかねません.よってベルクランク
リングを圧入し,フレームのマウントに取り付け
をフレームに取り付ける際ベアリングの内部隙
致しました.今年度のベルクランクは昨年度と
間が若干負の値となるようにフレームとベルク
は異なり,二枚構造が一体構造となり,ベルク
ランクの間に挟むスペーサーの厚みを慎重に
ランクが地面に対して斜めに取り付けられてお
検討して加工いたしました.
ります.よってベアリングにアキシャル方向の
フレームに関しましては先月に完成し,今月
内部隙間が存在するとタイヤに荷重がかかっ
はエンジンやギアボックスをフレームに取り付
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2016 年度 3 月期(第 6 号)
けました.溶接ひずみや治具のケガキ線の誤
差などにより,CAD 上では干渉していなかった
ものがフレームと干渉したため試行錯誤し,す
べての問題を解決し,無事にドライブトレイン
の取り付けを完了させることができました.
来月の 4 月末までにはサスペンションアーム
を取り付けて,アップライトの組み付けを完了さ
せ,車両の着地完了まで漕ぎつける予定です.
一体構造のフロントベルクランク
エンジン班
今月エンジン班では,今年度搭載パーツの
復帰時間の削減も可能だと見込んでおります
製作を進めてまいりました.
対処①: シフトポジションは 7 セグではなく
シェイクダウン時には NA での走行にするた
フルカラーLED を使用することで,センサのワ
め,昨年度パーツが取り付けられるように吸気
イヤーから直接 LED に配線.
系の設計変更を行い,燃料系,冷却系も製作
対処②: LED バーについてはタコメータの
を進めております.
信号(周波数情報)をマイコンで変換し LED に
また,信頼性の高い電装システムを目指し,
送信する方法から Motec のシフトインジケータ
例年より早い時期ですが製作を開始しました.
機能(x rpm でスイッチオンとなる)を複数個使
昨年度,ステアリング周りの電装システムが
う方法に変更.
度々故障し,復旧時間に時間を要したため走
対処③: シフトアップダウン等に使用してい
行機会が減るという問題がありました.故障の
たホールセンサについては,ホールセンサ以
原因は,熱害やセルスタート時のバッテリー電
降オペアンプ,MOSFET による増幅を経てア
圧効果によるマイコンや素子の故障だと考え
クチュエータを駆動していたものから,リードス
ております.そこで今年はマイコンやホール素
イッチ(磁界によって ON になるスイッチ)に変
子を使わないよう回路を単純化するといった対
更.
処を行い信頼性の向上を図ります.詳細は後
来月以降も部品製作を進めシェイクダウンを
述します.回路を簡略化することにより,故障
目指します.
の要因を減らすだけでなく,トラブルに対する
エアロダイナミクス班
今月は,オス型の CAD の修正と, CFD 解
をあける位置や,分割を行うラインにケガキ線
析を用いてより詳細な部分の設計を行いまし
を入れられるように設計変更を行いました.オ
た.オス型の修正は,足回りの細かな変更に
ス型にケガキ線を入れることによって,製作の
追従するために行いました.さらに,製品に穴
しやすさと穴位置や分割部の加工の精度が大
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2016 年度 3 月期(第 6 号)
きく向上します.今年度も一部の大型のオス型
はスポンサーの方に加工をお願いしており,
CFD 上の性能と同一あるいは,非常に近い性
能を発揮できるエアロデバイスを製作できると
考えております.
細かな部分の CFD 解析は,主にアーム周り
とウイングストールシステムに関して行っていま
す.今年度まで行っていた解析では,アーム
類は解析のスピードを上げるために解析から
除外しておりました.しかし,アームを解析モデ
ルに入れて CFD 解析を行ったところ,その有り
無しで大きな差が出たため,アームの影響を
小さくする方法を CFD 解析を利用しながら検
討しております.具体的には,アームの断面形
状の変更を行っております.
ウイングストールシステムとは,ウイングの下
面中央部のダクトから空気流を噴出させること
ウイングストールシステムの
CFD 解析による効果検証
(上:ダクトなし 下:ダクトあり)
でわざと下面に沿って進んでいた気流を剥離
させることを狙ったシステムです.これによって,
ウイング後方で発生していた大きな渦を小さな
渦に変えることができ,ドラッグを低減すること
までに搭載の有無,そして搭載する場合はそ
ができます.幣チームでは,搭載スペースや効
の最終形状を決定したいと考えております.
来月以降は,ウイング類の製作を開始した
果の大小を考慮してリアウイングへの搭載を検
いと考えております.
討しております.
これら 2 つの変更は現在も行っており,来月
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