グローバル・マクロ・ トピックス

グローバル・マクロ・
トピックス
6/10
投資情報部
シニアエコノミスト
3
竹井 豊
2016/
FX ストラテジスト
金岡 直一
英国民投票実施直前、Brexitを回避できるか
 英国のキャメロン首相は今年2月、英国のEUでの特別な立場を求めた改革案交渉に臨ん
だ。EU域内の移民問題では双方が妥協、改革案は全会一致で合意。これをふまえ首相は
6/23にEU残留・離脱を問う国民投票の実施を表明した。
 首相自身や産業界の多くは残留を望んでいるものの、世論調査は残留・離脱がほぼきっ抗。
今後、投票日にかけて市場でリスク回避の動きからポンドが主要通貨に対して下落基調をた
どるようだと、円高傾向が強まる場面も想定される。
 仮に英国がEU離脱となれば脱退手続きや新たな通商条約締結交渉が長期化する可能性
や、EU統合の求心力が弱まるなど世界経済に影響がおよぶとみられ、注意が怠れない。
英国が EUと の 関係
見直し交渉のうえ、
残留か離脱かを問う
国民投票実施へ
英国(Great Britain)の欧州連合(EU)からの離脱(exit)を指す合成語「Brexit(ブ
レグジット)」の実現可能性に市場の関心が高まっている。英国が現在のEUの前身、
欧州共同体(EC)に加盟したのは1973年1月。実はその直後の1975年6月にEC残
留・離脱を問う国民投票を実施し残留を決定した歴史がある。当時は保守党から労
働党への政権交代にともない、前政権が決定したEC加盟の条件を改めてECと交
渉したうえで国民投票を行うという手続きが取られた。そのため、今回の国民投票は
当時から数えて41年ぶり2回目となる。
英国では、1997年~2010年の労働党政権下で移民規制の緩和が行われた他、
2004年5月の中・東欧8ヵ国同時加盟をきっかけにEUの労働市場の開放が進み、英
国に多くの移民が流入した。しかし、2008年秋のリーマンショック以降、財政状況も
含め英国の経済情勢が悪化したため、国内では「移民が英国民の雇用を奪い、社
会保障の増大を招いている」との不満が一部に高まった。その後、2011年には議会
でEUからの離脱を選択肢とする国民投票の実施案が提出されたが。否決された。
今回はキャメロン英首相が2013年1月、「次回総選挙で与党・保守党政権が勝利し
た場合、英国はEUとの関係見直し交渉を開始し、その結果をふまえEU残留・離脱
を問う国民投票を実施する」と国民に約束したことが直接の発端。2013年後半以降
に英国経済が回復基調を取り戻すと保守党も党勢を盛り返し、2014年9月には北海
油田を持つスコットランドで独立の是非を問う住民投票が行われたが、独立は否決
された。結局、2015年5月の総選挙では事前の接戦予想に反して保守党が下院の
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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単独過半数をおさえて勝利。この結果、キャメロン首相の続投決定とともに同首相
は公約通りこの問題と取り組むことになった。
2015年11月に同首相はEU首脳会議のトゥスク常任議長に宛てた書簡で、①経済
統治(ガバナンス:ユーロ加盟国と非加盟国の不平等是正)、②競争力の強化(成
長と規制緩和の推進)、③各国主権の回復(各国議会のEU法案拒否権の付与
等)、④移民制度改革(労働者の自由移動の制限と社会保障給付の要件引き上
げ)、の4項目の改革案を提示、今後、EUとの話し合いを行ない、2017年末までに
英国のEU残留か離脱かを国民投票で問うことを改めて明らかにした。これを受けて
EU側は、2015年12月のEU首脳会議でこの英国のEU改革案について討議すること
を決定、16年2月開催の同会合で4分野すべてにおいて解決策を見いだすことと
なった。
2016年2月に英国が
EUの譲歩案で合意、
英国の EU 残留も 全
会一致で支持
2/18~19のEU首脳会議に先立つ2/2、EU首脳会議のトゥスク常任議長が英国を
含むEU加盟国に対して、英国が提出した上記4項目を中心に、改革案への譲歩案
を提示、英国をEUに残留させるための調整に乗り出した。
これまでにも、この4項目については、①の通貨ユーロ不参加国の権利保護や、
④の移民に対する福祉に制限を加えること等については、EUの基本的な統合理念
の修正を迫る内容であることや、EUに加盟し、英国への多くの移民を送り出してい
る旧東欧諸国側からの異論も強く、早期に折り合いをつけるのは難しいとみられて
いた。一方、②の行き過ぎた規制で競争力を弱めないようにとの主張や、すでに
2014年のEU首脳会議で合意が成立している③の主権については、交渉のハード
ルは比較的低いとみられていた。
英国のEU改革要求とEUの譲歩案
項目
①経済ガバナンス
(統治)
英国の要求
EUの譲歩案
非ユーロ加盟国の権利保護
ユーロ危機対策の財政負担なし
を保証(拒否権は認めず)
EUの単一市場推進とより競争力 規制改革などの進捗を定期点検
②競争力
のあるEUの構築
する仕組みを導入
「より緊密な」統合に向けたプロセ 各国議会から反対が多いEU法案
③主権
スからの英国の解放
の撤回可能に
④移民
EUからの移民に対する福祉を制 移民流入が急な場合の緊急措置
(社会保障と自由移動) 限
を最長7年間導入可能に
出所:英国政府、欧州委員会等の資料よりみずほ証券作成
結局、英国のEUでの特別な立場を求めたキャメロン首相が臨んだ2月のEU首脳
会議では、英国側の主張にほぼ沿う形でまとめられたEU側の譲歩案が一部修正の
うえ、全会一致で承認された。難関とみられた移民問題では、移民の流入が急な場
合の緊急措置として、福祉等の制限を最長7年間導入することが認められた。一
方、経済ガバナンスでは通貨統合を推進するための新たな政策への英国の不参加
を認めたが、拒否権を持つことは認められなかった。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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国民投票を2016年6
月に前倒し実施へ
この合意を携えて英国に戻ったキャメロン首相は2/20に、英国のEU残留に向け自
ら先頭に立ち国民に理解を求めること、そしてEU残留・離脱を問う国民投票を6/23
に実施することを明らかにした。当初国民投票の実施時期は2017年末までとされて
いたが、①17年はフランス大統領選挙やドイツ総選挙が予定されている、②世界有
数の金融市場ロンドンを有し、大陸EUへ玄関口としての特色を生かしてきた英産業
界の多くが不透明感の早期解消を望んでいる、等から2016年中に前倒し実施が選
ばれたとみられる。
首相や 産業界は 残
留を望むも、世論調
査では残留・離脱が
ほぼきっ抗
また、キャメロン首相は先の書簡の中で「EUとの交渉が満足できる結果となった場
合、英国のEU残留のために全力で国民に働きかける」と記しているように、首相自
身はEU残留を望んでいる。ただ、同首相は与党保守党の一部の根強いEU懐疑派
勢力や、反EU、反移民を掲げる新興政党、英国独立党(UKIP)が国民の不安や不
満を吸い上げて支持を拡大する動きを封じ込めるため、まず改革案交渉でEU側の
妥協を引き出し、EUにおける英国の特別な立場を確認できたことを「成果」として強
調し、公約である国民投票を実施してEU残留を確実なものとする、というシナリオを
描いてきた。実際、英国とEU双方にとってこれが1番望ましいとみられる。しかし、こ
のシナリオがすんなりと実現するかどうか、予断を許さない状況である。
(%)
「EU残留か離脱か」英世論調査の推移(日次:2015/9/4~2016/6/6)
60
残留
50
離脱
40
分からない
(注)英調査会社8社
の世論調査結果
の平均としてブ
ルームバーグが
算出
出所:ブルームバーグ
のデータよりみずほ証
券作成
30
20
10
0
15/9 15/10 15/11 15/12 16/1 16/2 16/3 16/4 16/5 16/6
(年/月)
というのも、首相自身や産業界の多くはEU残留を望んでいるものの、世論調査は
残留・離脱がほぼきっ抗している状況であるためだ。実際、昨年前半頃までは英国
経済や雇用情勢の改善等から残留支持派が上回る結果もみられたが、後半以降は
欧州の難民問題が表面化したため、離脱支持派が勢いを増し、足元では残留・離
脱支持派が約4割と僅差で競り合う状況が続いている。6/23の国民投票日に向けて
EU残留派・離脱派双方の国民への働きかけが解禁となった4月中旬以降も、調査
機関や調査日によって残留派・離脱派の双方の支持率は接近した状況に変化は
見られない。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
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投票実施を前に市場
ではリスク回避の動
きが強まる場面も
このため、投票日にかけて世論調査の動向をにらみつつ、市場ではリスク回避の
動きが強まり、主要通貨に対するポンドの下落が加速、それを受けて円高傾向が強
まる場面も想定され、注意が怠れない。
国民投票の結果が判明するまで市場では、リスク回避の動きが強まることが懸念さ
れる。前述した2014年9月のスコットランド独立を巡る住民投票の際は、投票日が近
づくにつれて市場でリスク回避の動きが強まる場面がみられた(独立は否決)。
英国株価指数と英ポンド相場の推移
(日次:2014/1/1~2014/12/31)
(1ポンド=ドル)
1.75
(ポイント)
6900
6800
1.70
英ポンドドル
(左目盛)
6700
6600
1.65
6500
1.60
1.55
ポンド高
↑
↓
英FT100
(右目盛)
6400
スコットランド独立住民
投票(9/18)前後
1.50
14/1 14/2 14/3 14/4 14/5 14/6 14/7 14/8 14/9 14/10 14/11 14/12
6300
出所:Datastreamのデータ
6200 よりみずほ証券作成
6100
(年/月)
今回も、国民投票の実施に際しては例えば為替市場で英ポンドが主要通貨に対
して下落が進む等の場面が想定される。特に昨年来の急増する難民・移民を巡っ
て有効な解決策を見いだせずにいるEUの混迷や後を絶たないテロ事件発生等を
背景に、世論は反EU的な主張に傾きやすくなっており、予断は許されない状況で
ある。実際、為替市場でのポンドの変動率を示す通貨ボラティリティは、国民投票実
施日が明らかになった前後から上昇を強め、1ヵ月から3ヵ月の短期のボラティリティ
はスコットランド住民投票の局面を上回る水準にまで達している。
こうした市場でのリスク回避の動きは、6/23の国民投票でEU残留が多数となった
場合には、2014年9月のスコットランド住民投票後にみられたように、落ち着く方向
に向かうとみられる。
仮に英国がEU離脱
となった場合、新た
な通商協定締結等に
長期間要する可能性
しかし、仮に国民投票の結果、英国がEU離脱するとなれば、市場はリスク回避の
動きを一段と強めることが予想される。具体的には、英国経済はEU加盟国のなかで
ドイツに次ぐ第2位の規模(名目GDP)であり、英国のEU離脱が他のEU諸国にも直
接的な被害を与えるとみられる。
EU基本条約(リスボン条約)の規定では脱退交渉は最長で2年間とされる一方、
EU脱退後の英国の通商政策は、①欧州自由貿易連合(EFTA)に再加盟しEFTA
がEUの単一市場へ自由にアクセスできる欧州経済領域(EEA)に参加する「ノル
ウェー型」、②EFTAに再加盟もEEAには参加しない「スイス型」、③EUとは直接的な
通商協定は結ばず世界貿易機構(WTO)の一員として2国間での自由貿易協定
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(FTA)を締結―等のいずれかのパターンを念頭に置き、EUおよびそれ以外の国や
地域との間で条約締結等の交渉を進めていくことが求められる。ただ、米国は英国
がEUを離脱した場合にFTAを締結するつもりがない旨をすでに表明している。
英財務省は、EU離脱15年後、上記①から③のケースで程度の強弱があるもの
の、いずれも場合もGDPや歳入が大きく損なわれるとの試算を発表したほか(下表
参照)、国際通貨基金(IMF)や経済協力機構(OECD、次頁図表を参照)、他の調
査研究機関が英国のEU離脱がさまざまな分野で内外の経済・産業活動に及ぼす
負の影響を指摘している。例えばIMFは、最低でも1.5%、最大だと9.5%、英国のGDP
が押し下げられると指摘している。特に貿易面においては、英国の全輸出の44%、
全輸入の53%が対EU向けとなっており、貿易体制が不安定化するリスクが大きい。
英財務省の試算によるEU離脱15年後の影響
【ノルウェー型】
【スイス型】
【その他型】
EEA加盟
各国と2国間協定 WTO加盟のみ
(欧州経済領域)
(世界貿易機構)
①
②
③
英国GDP
水準
(%)
▲ 3.8
▲ 6.2
▲ 7.5
1人当たり
(ポンド)
▲ 1,100
▲ 1,800
▲ 2,100
1世帯当たり
(ポンド)
▲ 2,600
▲ 4,300
▲ 5,200
歳入への影響
(ネット)
(億ポンド)
▲ 200
▲ 360
▲ 450
(注)①は欧州自由貿易連合(EFTA)再加盟後、欧州連合(EU)との間の自由貿易協定、EEA参加
②はEUと直接的な通商協定を結ばず2国間で自由貿易協定を締結
出所:英財務省資料よりみずほ証券作成
(億ポンド)
英国の輸出入上位国(2014年)
1,000
900
800
700
600
輸出先
( 色付きの国はEU加盟国)
輸入先
( 色付きの国はEU加盟国)
500
400
300
200
100
0
出所:イングランド銀行資料よりみずほ証券作成
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最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
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英国のEU離脱が主要国の成長率におよぼす影響
(OECD推計:2018年末時点での実質GDP成長率下押し度合い)
(%ポイント)
0.0
▲ 0.2
▲ 0.4
▲ 0.6
▲ 0.8
英国のみの影響
▲ 1.0
欧州諸国も含めた影響
▲ 1.2
▲ 1.4
英
国
欧
州
諸
国
(
影
響
大
)
欧
州
諸
国
(
影
響
中
)
欧
州
諸
国
(
影
響
小
)
新
興
国
他
の
諸 O
国 E
C
D
日
本
米
国
(注)欧州諸国は影響の大きい国がアイルランド、オランダ、ノルウェー、スイス。中程度の国がオーストリア、
ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、スペイン、スウェーデン、小さい国が
チェコ、エストニア、ハンガリー、イタリア、リトアニア、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア。
新興国はブラジル、ロシア、インド、インドネシア、中国、南アフリカにOECD非加盟の新興国を含む
出所:OECD資料よりみずほ証券作成
また、特にロンドンにはシティと呼ばれる金融街があり、欧州の金融のハブとして
機能している。その大きな背景として、英国で認可を得れば他のEU加盟国内で活
動が行えるシングルパスポートルールの存在がある。英国がEUから離脱することで
シティが欧州の窓口としての機能をなくしてしまった場合には、世界の金融機関は
欧州の中心拠点を他のEU諸国に移転させる可能性が高まる。金融セクターの失業
増加や、英国とアイルランドで欧州域内の約4割を占めるとされるFinTech投資も落
ち込む公算が大きく、英国経済には大きなダメージとなる。EU離脱決定が資金流出
の引き金となって、英ポンドや英国株、英国債等の売り要因となるだろう。
英国に続く形でEUを
離脱する複数の国が
現れる可能性も
こうした経済面の影響に加えて、英国のEU離脱が現実化することになると、EU統
合の動き自体が行き詰る可能性も指摘される。EUの財政緊縮策や難民政策等で
不満を強めている南欧や旧東欧諸国では、EUの政策に反対する勢力が政権に参
画したり、議会で議席を伸ばす状況が広がっている。
こうした環境で英国と同じようにEU残留・離脱についての国民投票が実施された
場合、離脱派が多数を占め、EUから離れる国が複数となる可能性や、スペインのカ
タルーニャ州等、域内諸国の分離独立派を勢いづかせるケースも否定できないた
めだ。
金融市場では、英国がEUを離脱した場合、英ポンドの国際的な準備通貨としての
地位にも影響が出るとの指摘が聞かれる一方、通貨圏としての崩壊への確信が高
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まらない限り、ユーロ相場が急落する所まではいかない、との楽観的な見方も聞か
れる。しかし、上述のようにEUの団結力や一体性に疑問が持たれるような場合に
は、ユーロ相場も不安定化する可能性があるだろう。結果的に欧州諸国の景気や
株式相場等のリスク資産市場の先行きに対する不透明感とともに、リスク回避のムー
ドが強まれば、円買いにつながる可能性もあろう。
6/23の国民投票日まで2週間を切り、英国では残留、離脱双方の勢力がまだ態度
を決めかねている国民に対して支持を求める動きが一層強まるとみられる。一般的
に、高齢者は離脱支持率が高く、反対に若年層は残留支持率が高い傾向があると
いわれている。国民投票のための事前登録締切日直前には若年層の登録が急増
した(当初6/7期限だったものがシステムダウンのため6/9深夜まで延長)との報道が
ある一方、投票当日の天候によっては高齢者が多い離脱派に有利に働くとの予想
も報じられるなど、いずれも先行き不透明感を払しょくするには材料不足であること
は否定できない。英政府はEU離脱を説明した文章で(離脱が)「長期にわたり不確
実さをともなって、英国企業の経営や貿易、国内投資に影響する」可能性を指摘
し、離脱派を強くけん制しているが、政府のこうした説得が奏功するか注目される。
ポンドドル、ポンド円の推移
(1ポンド=ドル)
1.75
(1ポンド=円)
205
(日次:2009/1/2~2016/6/9)
1.70
195
ポンドドル(左目盛)
1.65
185
1.60
175
1.55
165
1.50
155
1.45
1.40
ポンド円
(右目盛)
1.35
145
ポンド高
↑
↓
ポンド安
135
125
1.30
115
09
10
11
12
13
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
14
15
16
(年)
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金融商品取引法に係る重要事項
2014/19/18
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化
等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料を
ご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込
み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含
む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込
むことがあり、損失を被ることがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与
えることがあります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が
当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売
却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市
場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し
ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商
品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および
諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳
細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に
対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、
約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別
途手数料および諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託
手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に
97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取
引口座管理料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決
定した為替レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または
お客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160610-20
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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